漢字には『単語家族』と呼ばれる漢字の仲間があります。今日は『重(ジュウ)』zhòngという字を中心とした『単語家族』を説明します。この『単語家族』には重、種、腫、踵、衝、動、働という漢字が含まれます。また大変近い漢字に、童、瞳、撞、鐘、憧という漢字があります。
『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『重』、『童』に何を足したら、種、踵、腫、衝、動、働、童、瞳、撞、鐘、憧になるのかを考えていきます。重、動、童は小学校3年生、種、働は小学校4年生 、衝、腫、働、瞳、鐘、憧は中学校で習う常用漢字です。学年、学校に関係なく一緒に覚えましょう。
『重(ジュウ・チョウ)』zhòng、chóngは、人が上から下の土まで重さを感じる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、人(人間)+東(つきぬける)+土=重(人が上から下の土まで重さを感じる。重い)です。漢字の部首は『里・さと』、意味は『重(おも)い』、『大切なものとする』、『重(かさ)なる』です。
音読みは呉音が『ジュウ』、漢音が『チョウ』、訓読みは『重(おも)い』、『重(かさ)なる』、『重(え)』です。重い圧力を重圧(ジュウアツ)、重み厚みのあるどっしりとした性格を重厚(ジュウコウ・チョウコウ)、慎ましく重みのあるやり方・性格を慎重(シンチョウ)、同じ物事が重なることを重複(チョウフク)、軽い事と重い事を軽重(ケイチョウ)といいます。
『重(ジュウ・チョウ)』は小学校3年生習う漢字です。
重みのある大変に良い漢字で『あつ』、『あつし』、『いかし』、『え』、『おも』、『おもし』、『かさぬ』、『かず』、『かたし』、『しげ』、『しげし』、『しげる』、『のぶ』、『ふさ』と名前に使われます。
重いの反対の軽いは径(ケイ)、経、茎などと同じ仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 巠』をご覧ください。
『種(シュ)』zhǒng、zhòngは、植物の種を植える様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、禾(穀物)+重(上から下)=種(上から下へと種を土に植えこむ。種。たね)です。漢字の部首は『禾・のぎへん』、漢字の意味は『種(たね)』、『血筋』、『種類(シュルイ)』、『植える』です。
音読みは呉音が『シュ』、漢音が『ショウ』、訓読みが『種(たね)』です。植物の種を種子(シュシ)、性質・形態など共通するものを分類したそれぞれを種類(シュルイ)、血統が同じで子孫を残す生物を種(シュ)・species、実際に使用するための火の元になる小さな火を火種(ひだね)といいます。
大変に縁起の良い漢字で『おさ』、『かず』、『くさ』、『しげ』、『たね』、『ふさ』と名前に使われます。
『種(シュ・たね)』は小学校4年生で習う漢字です。
『腫(シュ)』zhǒngは、身体の一部が腫(は)れる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、月(身体)+重(重い)=腫(身体の一部が腫れる。はれる)です。漢字の部首は『月・にくづき』、漢字の意味は『腫(は)れる』です。
音読みは呉音が『シュ』、漢音が『ショウ』、訓読みが『腫(は)れる』です。腫れものを漢字で腫物(シュモツ・はれもの)、身体にできる細胞増殖による腫れを腫瘍(シュヨウ)といいます。また、転移を人体に悪影響を及ぼす悪性の腫瘍は癌(ガン)と呼ばれています。
『腫(シュ・はれる)』は中学生で習うようになった常用漢字です。
『踵(シュ)』zhǒngは、踵(かかと)を表す形声文字です。漢字の足し算では、足+重(上から下)=踵(上から下へと体重がかかる足の部分。かかと)です。漢字の部首は『足・あしへん』、漢字の意味は『踵(かかと)』です。
音読みは呉音が『シュ』、漢音が『ショウ』、訓読みが『踵(かかと)』、『踵(きびす・くびす)』です。旋踵(センシュ)とは踵(かかと)の向きを変えて引き返すことです。踵(きびす・くびす)を返すも同じ意味です。
『踵(シュ)』は常用漢字から外れています。
『衝(ショウ)』chōngは、衝突する様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、行(道・交差する道)+重(重なる)=衝(大通りをつきぬけて衝突する。衝く。つく)です。漢字の部首は『行・ぎょうがまえ』、漢字の意味は『衝(つ)く』、『大通り』、『衝突する』です。
音読みは呉音が『シュ』、漢音が『ショウ』、訓読みが『衝(つ)く』です。衝(つ)きあたる様子を衝突(ショウトツ)、激しく衝きあたること・その刺激を衝撃(ショウゲキ)、衝撃や衝突を和らげる(緩める)ことを緩衝(カンショウ)といいます。
『衝(ショウ)』は中学生で習う常用漢字です。
『動(ドウ)』dòngは、上下へ力強く動く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、重(上から下)+力=動(上から下へと力強く動く。動く。うごく)です。漢字の部首は『力・ちから』、漢字の意味は『動(うご)く』です。
音読みは呉音が『ズウ』、漢音が『トウ』、慣用音が『ドウ』、訓読みが『動(うご)く』です。機械などを動かす力を動力(ドウリョク)、体の動き・立ち振るまいを動作(ドウサ)、動きの方向・傾向を動向(ドウコウ)、動かせる財産を動産(ドウサン)といいます。
『動(ドウ・うごく)』は小学校3年生で習う漢字です。
動く反対の静かは青(セイ)、精(セイ)、清(セイ)などと同じ仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 青』をご覧ください。をご覧ください。
『働(ドウ)』は、人が働(はたら)く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、イ(人間)+動(動く)=働(人が動いて働く。はたらく)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、漢字の意味は『働(はたら)く』です。
音読みは漢字のルールに従って『ドウ』、国字(我が国で造られた漢字)ですので呉音・漢音の区別はありません。訓読みが『働(はたら)く』です。体や智能を使って働くことを労働(ロウドウ)といいます。
『働(ドウ・はたらく)』は小学校4年生で習う漢字です。
働(ドウ)は我が国で造られた国字で、中国では仂(ロク)を使います。仂(ロク)については『漢字の覚え方 力』httphttp://bit.ly/1GdnftL をご覧ください。
『慟(ドウ)』tòngは、人が激しく慟(なげ)く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、忄(心)+動(動く)=慟(身体を上下させて激しく慟く。なげく)です。漢字の部首は『忄・りっしんべん』、漢字の意味は『慟(なげ)く』です。
音読みは呉音が『ズウ』、漢音が『ドウ』、慣用音が『ドウ』、訓読みが『慟(なげ)く)』です。体を上下させて(慟)激しく泣くことを慟哭(ドウコク)といいます。
『慟(ドウ・なげく)』は常用漢字から外れています。
『重(ジュウ)』に近い漢字に『童(ドウ)』があります。漢字の造字方法は同じで東に土を合わせて『つき通す』ことを表し、童、瞳、撞、鐘、憧などの漢字の仲間があります。
『童(ドウ)』tóngは、召使い・僕(しもべ)を表す形声文字です。漢字の足し算では、辛(針)+目+東+土=童(目を針でつき通した召使。僕)です。漢字の部首は『目・めへん』、漢字の意味は『僮(しもべ)』です。転じて、物事の判断の出来ない子供『童(わらべ)』を意味します。現在では『僮(しもべ)』の意味で使うことはありません。
音読みは呉音が『ズウ』、漢音が『トウ』、慣用音が『ドウ』、訓読みが『童(わらべ)』です。子供用の歌を童歌(わらべうた)、童謡(ドウヨウ)、幼児(ヨウジ)と青年(セイネン)の間で6歳から16歳前後の子供を児童(ジドウ)といいます。
『童(ドウ・わらべ)』は小学校3年生で習う漢字です。
『瞳(ドウ)』tóngは、目の中の瞳(ひとみ)を表す形声文字です。漢字の足し算では、目+童(通す)=瞳(目のつき通す部分。瞳。ひとみ)です。漢字の部首は『目・めへん』、漢字の意味は『瞳(ひとみ)』です。
音読みは呉音が『ズウ』、漢音が『トウ』、慣用音が『ドウ』、訓読みが『瞳(ひとみ)』です。目の中の黒い孔(あな)の部分を瞳孔(ドウコウ)といいます。
良い意味の美しい漢字で『あきら』、『ひとみ』と名前に使われます。
『ひとみ』は、『睛(ひとみ)』、『瞳(ひとみ)』、『眸(ひとみ)』とも書きます。『睛(ひとみ)』についての成り立ちは、『漢字の覚え方 青』をご覧ください。
『瞳(ドウ・ひとみ)』は中学生で習うようになった常用漢字です。
『撞(ドウ・シュ)』chuáng、zhuàngは、つり鐘を撞(つ)く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、扌(手の動作)+童(つき通す)=撞(つり鐘を撞(つ)く。つく)です。漢字の部首は『扌・てへん』、漢字の意味は『撞(つ)く』です。
音読みは呉音が『ドウ』、漢音が『トウ』、慣用音が『シュ』、訓読みが『撞(つ)く』です。つり鐘を撞く木の棒を撞木(シュモク・トウボク)、ビリヤードのことを撞球(ドウキュウ)、撞き当たること・矛盾することを撞着と(ドウチャク・トウチャク)といいます。
『撞(ドウ・トウ・シュ)』は常用漢字から外れています。
『鐘(ショウ)』zhōngは、中が空洞なつり鐘を表す形声文字です。漢字の足し算では、金(金属)+童(つき通す)=鐘(中が空洞なつり鐘。かね)です。漢字の部首は『金・かねへん』、漢字の意味は『鐘(かね)』です。
音読みは呉音が『シュ』、漢音が『ショウ』、訓読みが『鐘(かね)』です。寺院などでつられている鐘を釣鐘(つりがね)、火事などを知らせる小さな鐘を半鐘(ハンショウ)といいます。
良い意味の漢字なので『あつ』、『かね』と人名に使われます。
『鐘(ショウ・かね)』は中学生で習う常用漢字です。
『憧(ショウ・ドウ)』chōngは、心を貫(つらぬ)かれ憧(あこが)れる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、忄(心)+童(つき通す)=憧(心を貫(つらぬ)かれ憧(あこが)れる。あこがれる)です。漢字の部首は『忄・りっしんべん』、漢字の意味は『憧(あこが)れる』です。
音読みは呉音が『シュ』、漢音が『ショウ』、慣用音が『ドウ』、訓読みが『憧(あこが)れる』です。人に憧(あこが)れて落ち付かない様子を憧憬(ショウケイ・ドウケイ)といいます。
『憧(ショウ・ドウ)』は中学生で習うようになった常用漢字です。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-4f77.html
『漢字の覚え方 重』 重 種 腫 踵 衝 動 働 慟 童 瞳
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.じゅうこう( )な性格。
2.やえ( )桜。
3.ちょうふく( )区間。
4.たね( )を播く。
5.しゅるい( )に分ける。
6.良性の しゅよう( )。
7.足の かかと( )。
8.しょうとつ( )を回避する。
9.どうりょく( )に発電機を使う。
10.ろうどう( )時間。
11.激しく どうこく( )する。
12.待機 じどう( )。
13.君の ひとみ( )。
14.釣 がね( )を つ( )く。
15.都会に しょうけい( )する。
解説です。基本の漢字は重、種は禾(のぎへん)を足して種、腫れるは月(にくづき)を足して腫、踵(かかと)は足を足して踵、衝突は行(ぎょうがまえ)を足して衝、動くは力を足して動、人が動くで働(はたら)く、慟(なげ)くは忄(りっしんべん)を足して慟です。童(わらべ)は東と土に辛(立)を足して童、童に目(めへん)を足して瞳、扌(てへん)を足して撞、金(かねへん)を足して鐘、忄(りっしんべん)を足して憧です。
解答です。重厚、八重、重複、種、種類、腫瘍、踵、衝突、動力、労働、慟哭、児童、瞳、眸、睛、鐘、撞く、憧憬。