漢字の覚え方 婁

婁・娄（ル・ロウ）、樓・楼（ロウ）、數・数（スウ）、鏤（ル・ロウ）、髏（ロ）、という漢字のについて説明します。基本になる漢字は『婁・娄（ル・ロウ）』です。連なる様子を表しています。音読みは『ル』か『ロウ』が基本で、『スウ』と読む漢字もあります。

漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。婁・娄（ル・ロウ）に何を足すとどのような漢字になるか考えます。数（スウ）は小学校で覚える常用漢字、楼（ロウ）は中学校で覚える常用漢字、婁・娄（ル・ロウ）、鏤（ル・ロウ）、髏（ロ）は常用漢字から外れていますが、漢字の足し算で一緒に覚えましょう。

　『婁・娄（ル・ロウ）』lóuは、女性が並ぶ様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、母（はは・髪）＋中（なか）＋女（女性）＝婁・娄（女性が連なって並ぶ。重なる）です。女性が髪を結いあげる姿を表す象形文字という説もあります。漢字の部首は『女・おんな』、漢字の意味は『重なる』、『並ぶ』、『順序』、『中空の』です。

音読みは呉音が『ル』・漢音が『ロウ』です。

婁・娄（ル・ロウ）は常用漢字から外れています。

　『樓・楼（ル・ロウ）』lóuは、楼（たかどの）を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、木（木の構造物）＋婁・娄（重なる）＝樓・楼（重層の木造建造物。たかどの。やぐら）。漢字の部首は『木・きへん』、漢字の意味は『高くて大きな建造物』、『楼（たかどの）』、『楼（やぐら）』、『階』です。

音読みは呉音が『ル』、漢音が『ロウ』、訓読みは常用外に『楼（たかどの）』、『楼（やぐら）』があります。高い建物を楼閣（ロウカク）、楼（たかどの）から見た月を楼月（ロウゲツ）といいます。

我が国では常用漢字体の楼（ロウ）を使います。

楼（ロウ）は中学生で習う常用漢字、樓（ロウ）は常用漢字から外れています。

　『鏤（ル・ロウ）』llòuは、金属の容器に鏤（ほ）る様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、金（金属）＋婁（中空の）＝鏤（金属の容器に鏤（きざ）む、鏤（ほ）る）です。漢字の部首は『金・かね』、漢字の意味は『鏤（きざ）む』、『鏤（ほ）る』、『鏤（ちりば）める』です。

藤堂は細かい模様を連ねて金属に鏤（ほ）り込むこととしています。

音読みは呉音が『ル』、漢音が『ロウ』、訓読みは『鏤（きざ）む』、『鏤（ほ）る』、『鏤（ちりば）める』です。模様を鏤（ちりば）めてほることを鏤刻（ロウコク・ルコク）、骨に刻み付けること・決して忘れないことを鏤骨（ロウコツ・ルコツ）、非常に苦心して文章を練り上げることを彫心鏤骨（チョウシンルコツ・チョウシンロウコツ）といいます。

鏤（ル・ロウ）は常用漢字から外れています。

　『髏（ロ）』lóuは、髑髏（ドクロ）を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、骨（ほね）＋婁（中空の）＝髏（中空の骨。髑髏）。漢字の部首は『骨・ほね』、漢字の意味は『髑髏（ドクロ）』です。

藤堂は一節、一節繋（つな）がった骨としています。

音読みは呉音が『ル』、漢音が『ロウ』、慣用音が『ロ』です。人間の頭の骨を髑髏（ドクロ）といいます。

髏（ロ）は常用漢字から外れています。

　『数（スウ）』shùは、順序よく数える様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、娄（順序）＋攵（動作）＝数（順序よく数える。数える）。漢字の部首は『攵・ぼくづくり』、意味は『数（かぞ）える』、『回りあわせ』、『運命』、『暦の計算』、『しばしば』です。

白川は攵（ぼくづくり）は鞭打つ様子としています。

旧字体は『數』ですが、常用漢字体の『数』を使って下さい。

音読みは呉音が『シュ』、漢音が『ス』、慣用音が『スウ』です。訓読みは『数（かず）』、『数（かぞ）える』です。漢字的には、割り切れない（奇）かたよった数を奇数（キスウ）、ペア（偶）になる数を偶数（グウスウ）といいます。普通でないめぐりあわせが数奇（スウキ）、暦の計算を暦数（レキスウ）、算数（サンスウ）といいます。

数（スウ・かず）は小学校2年生で習う常用漢字です。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/post-a76e.html

『漢字の覚え方 婁』　婁 娄 樓　楼　鏤　數　数

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.春 こうろう（　　　）の花の宴。

2.彫心 るこつ（　　　）。

3.どくろ（　　　）。

4.すうじ（　　　）。

5.すうがく（　　　）。

解説です。基本の漢字は婁・娄、楼（たかどの）は木を足して樓・楼、鏤（ちりば）めるは金を足して鏤、髑髏（ドクロ）は骨を足して髏、数（かず）は攵（ぼくづくり）を足して数です。

解答です。高楼、鏤骨、髑髏、数字、数学。

漢字の覚え方 留

今日は留（畱）（リュウ）、柳（リュウ）、溜（リュウ）、瘤（リュウ）、劉（リュウ）、瑠（ル）という漢字について説明します。基本の漢字は『丣（ユウ）』yǒuで、『留（とど）まる』や『溜め池』という漢字のイメージがあります。

漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて、まとめて、漢字の足し算で覚えると良いです。『丣』に何を足したら、留、柳、溜、瘤、劉、瑠になるのかを考えます。留は小学校5年生で習う漢字です。柳、瑠は中学校で習う常用漢字、溜、劉は人名用漢字です。学年、学校に関係なく漢字の足し算で一緒に覚えましょう。

　『丣（ユウ）』yǒuは、溜（た）まり水を表す象形文字です。川の流れの両側の溜まり水を表すとされています。漢字の部首は『一・いち』、漢字の意味は『留（とど）まる』です。

『説文解字』には｢古文の酉なり｣とあります。留（とど）まるの意味では留（リュウ）、溜（た）め池・溜（た）めるの意味では溜（リュウ）を使うので、丣（ユウ）の漢字単独で使うことはありません。元のデザインと同じものが、留（リュウ）、柳（リュウ）、溜（リュウ）、瘤（リュウ）といった漢字に使われています。

　『留（リュウ）』liúは、留（とど）まる様子を表す会意文字です。川の流れとの両側にある池と田んぼからなると考えられています。漢字の足し算で覚えるならば、丣（川の流れの両側の水溜り）＋田（田んぼ）＝畱・留（川の流れの両側にある溜池。転じて留（とど）まる。留（と）まる）です。漢字の部首は『田・た』、漢字の意味は『留（とど）まる』、『留（と）まる』です。

異体字に畱（リュウ）・畄（リュウ）があります。

白川は田をそえたものから灌漑用の溜池（ためいけ）の形、藤堂は動きやすいものをある場所(田）で留めることを示すとしています。

音読みは呉音が『ル』、漢音が『リュウ』、訓読みが『留（と）まる』です。『留（とど）まる』は常用外（普段使わない読み方）なので高校生から使って下さい。あることに心を留（とど）まらせることを留意（リュウイ）、主人がいない間に留まってその家を守ること・家にいないことを留守（ルス）、決定を先延ばしにして留まることを保留（ホリュウ）といいます。

草書体からひらがなの『る』ができました。

留（とど）まることを表す大事な漢字で『たね』、『とめ』、『ひさ』と名前に使われます。

留（リュウ）は小学校5年生で習う漢字 です。

　『溜（リュウ）』liùは、溜め池・水を溜める様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵（水）＋留（溜め池）＝溜（溜め池。水を溜（た）める）です。漢字の部首は『氵・さんずい』、漢字の意味は『溜（た）める』です。

音読みは呉音が『ル』、漢音が『リュウ』、訓読みが『溜（た）める』です。灌漑用の水を溜める池を溜め池、胃液が必要以上に溜（た）まって喉に上がってくる状態を溜飲（リュウイン）、液体を蒸発させて再び液体にして溜（た）めることを蒸溜（ジョウリュウ）といいます。

蒸溜（ジョウリュウ）は常用漢字を使って蒸留（ジョウリュウ）と書くのが普通です。

溜（リュウ）は人名用漢字です。

　『瘤（リュウ）』liúは、瘤（こぶ）を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、疒（病気）＋留（水が留まる）＝瘤（水分が留まって膨れる症状。瘤（こぶ）。）です。漢字の部首は『疒・やまいだれ』、漢字の意味は『瘤（こぶ）』です。

音読みは呉音が『ル』、漢音が『リュウ』、訓読みが『瘤（こぶ）』です。血液を運ぶ動脈が瘤状に拡張した状態を動脈瘤（ドウミャクリュウ）、表皮にできた袋状の瘤（こぶ）を粉瘤（フンリュウ）といいます。

瘤（リュウ）は常用漢字から外れています。

　『柳（リュウ）』liǔは、柳（やなぎ）を表す漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、木（樹木）＋丣（垂れさがって止まる・留まる）＝桺・柳（葉が地面に垂れさがって止まる樹木。柳。やなぎ）です。漢字の部首は『木・きへん』、漢字の意味は『柳（やなぎ）』です。

異体字に桺（リュウ）があります。

上に葉が伸びる楊（やなぎ）は楊（やなぎ）http://bit.ly/1rjHdtB と書きます。

音読みは呉音が『ル』、漢音が『リュウ』、訓読みが『柳（やなぎ）』です。柳の枝を柳条（リュウジョウ）、柳の葉の様な細い眉・美人を柳眉（リュウビ）、軍営を柳営（リュウエイ）といいます。

★漢の周亜父が遠征した時に細柳に陣をしいたことに因（ちな）んで軍営を柳営（リュウエイ）といいます。

柳（リュウ）は中学生 で習う常用漢字です。漢字でみるヤナギの分類も御覧ください。

　『劉（リュウ）』liúは、ばらばらに切り離す・殺戮（サツリク）を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、丣（両分・ひらく）＋釗（えぐる）＝劉（刃物でばらばらに切り離す。殺す。殺戮する）です。漢字の部首は『刂・りっとう』、漢字の意味は『殺（ころ）す』です。

ここでの丣（リュウ）は両分やひらくの意味で使われています（白川・藤堂）。

音読みは呉音が『ル』、漢音が『リュウ』です。中国で姓の一つで、特に漢王朝の劉氏が有名です。

劉（リュウ）は人名用漢字です。

　『瑠（ル）』liúは、瑠璃・琉璃（ルリ）を表す形声文字です。璃（リ）と一緒に使って紫ががった紺色の宝石を表します。漢字の足し算で覚えるならば、王（宝石）＋留（ル）＝瑠（ルの発音の宝石）です。漢字の部首は『王・おう・たま』、漢字の意味は『璃璃・琉璃（ルリ）』です。

音読みは呉音が『ル』、漢音が『リュウ』です。梵語のvaiḍūrya（ヴァイドゥーリャ）の音訳だといわれています。 琉（ル）http://bit.ly/1sOrLd3 の漢字を使うこともあります。

瑠（ル）は中学生で習うようになった常用漢字 です。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-71d4.html 

『漢字の覚え方 留』 留　溜　瑠　瘤　劉　柳

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.るす（　　　）番。

2.態度を ほりゅう（　　　）。

3.りゅういん（　　　）が下がる。

4.ウイスキーの じょうりゅう（　　　）。

5.動脈 りゅう（　）。

6.やなぎ（　　）。

7.項羽と りゅうほう（　　　　）。

8.るり（　　　）色の地球。

解説です。基本の漢字は丣、留（とど）まるは田を足して留、溜（た）めるは氵（さんずい）を足して溜、瘤（こぶ）は疒（やまいだれ）を足して瘤、柳（やなぎ）は木を足して柳、劉は釗（金と刂）を足して劉、瑠璃（ルリ）は王を足して瑠です。

解答です。留守、保留、溜飲、蒸留、蒸溜、瘤、柳、楊、劉邦、瑠璃、琉璃。

漢字の覚え方 流

　漢字には『単語家族』と呼ばれる発音・意味上の漢字の仲間があります。今日は『流（リュウ）』liúという字を基本とした『単語家族』を説明します。この『単語家族』には流、硫、琉という漢字が含まれます。

『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『㐬（リュウ）』に何を足したら流、硫、琉になるのかを考えます。流は小学校3年生で習う漢字です。硫、琉は中学校で習う常用漢字です。学年、学校に関係なく漢字の足し算で一緒に覚えてしまいましょう。

　『流（リュウ）』liúは、子供（子の字が逆さまになっています）が川に流れる映像を漢字にしたものです。漢字の足し算では、氵（さんずい・）＋子（子供）＋川＝流です。漢字の部首は『氵・さんずい』。意味は『流れる』です。『流れる』が基になって『伝わる・広がる』、『一派をなす』、『やり方』など多くの意味を持ちます。カタカナの『ル』は『流』の漢字がもとになってつくられました。

㐬（リュウ）liúは川に逆さになって落ちる子供を表しています。

音読みは漢音の『リュウ』が普通で、呉音の『ル』と読むこともあります。訓読みは『流れる（ながれる）』、『流す（ながす）』です。清流（セイリュウ）、漂流（ヒョウリュウ）、上流（ジョウリュウ）、流感（リュウカン）、流行（リュウコウ）、我流（ガリュウ）、流布（ルフ）、流転（ルテン）、河童の川流れ（ながれ）、流石（さすが）の流です。

『流（リュウ）』は小学校3年生で習う漢字です。

流石（さすが）は漱石枕流（ソウセキチンリュウ）の故事に由来しています。昔、中国の頑固な知識人が『石を枕（まくら）に流れに口を漱（すす）ぎ』を間違えて『石に口を漱（すす）ぎ流れを枕にする』と言ってしまいました。間違えを認めずにいたため皮肉をこめて流石（さすが）といったのです。夏目漱石（ソウセキ）の漱石もこの故事に由来しています。

　『硫（リュウ）』liúは、火山で流れでた硫黄を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、石（いし・石）＋㐬（流れる）＝硫（火山で流れ出た硫黄）です。意味は『硫黄（イオウ）』です。硫黄の『黄』はその色からきています。

音読みは漢音の『リュウ』が普通です。訓読みは『黄』を足して『硫黄（イオウ）・Ｓ』です。当然、漢字としては、硫黄に関わる熟語が殆どです。硫化水素（リュウカスイソ・H2S）、硫黄泉（イオウセン）、硫酸（リュウサン・H2SO4）の硫です。

『硫（リュウ）』は中学校で習う常用漢字です。硫黄（イオウ）は常用漢字の付表にある特別な読み方です。

　『琉（リュウ）』liúは、つるつるした玉・宝石の一種を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、王（ぎょく・宝石）＋㐬（流れる・つるつるすべる）＝琉（つるつるした流れるような宝石）です。漢字としては、『璃（リ）』と一緒で『琉璃（ルリ）』として使います。紫色をした宝石です。『瑠璃（ルリ）』http://bit.ly/2lPkak0 という表記もあります。

音読みは『リュウ』です。沖縄は、琉球（リュウキュウ）ともいいます。琉球の表記は7世紀の『隋書』の『流求』とあり、14世紀には『琉球國』として正式に国号に使用したとあります。

我国が戦争に負けたときに、非常に苦労なされた地域で、今もその御苦労は続いています。

『琉（リュウ）』は人名用漢字です。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-2136.html

『漢字の覚え方 流』 流 硫 琉

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.せいりゅう（　　　）に棲む魚。

2.風疹が りゅうこう （　　　）する。

3.ふうりゅう（　　　）を解する。

4.世間に るふ （　　　）する。

5.いおう（　　　）泉。

6.りゅうかすいそ（　　　）が発生する。

7.りゅうさん（　　　）を実験に使う。

8.るり（　　　）色の地球。

9.りゅうきゅう（　　　）王国。

解説です。流れる・広まるには氵（さんずい）で流、硫黄には石で硫、琉球には王で琉です。

解答です。清流、流行、風流、流布、硫黄、硫化水素、硫酸、琉璃、瑠璃、琉球。