漢字の覚え方 戌

今日は戌（ジュツ）、烕・滅（メツ）、威（イ）、縅（イ）という漢字について説明します。基本の漢字は『戌（ジュツ）』xūで、読み方は『ジュツ』、『メツ』や『イ』、共通した意味は『ほろびる』、『けずる』です。

戌（ジュツ）、烕・滅（メツ）、威（イ）、縅（イ）とそれぞれ音符は違いますが、ここでは一緒に覚えるためにまとめて扱います。

漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。『戌（ジュツ）』xūに何を足すとどんな漢字になるのかを考えます。滅は中学生、威は中学生 で習う常用漢字です。中学何年生で習うかは教科書によって異なります。また、烕、縅は常用漢字から外れていますが、漢字の足し算で一緒に覚えましょう。

　『戌（ジュツ・いぬ）』xūは、作物を刈り取ってひとまとめにする様子を表す会意文字です(藤堂）。漢字の足し算で表せ覚えるならば、一（ひとまとめ）＋戈（ほこ・ぶき・刃物）＝戌（作物を刈り取ってひとまとめにする。刈り取る。けずる。ほろぼす）です。漢字の部首は『戈・ほこづくり』、漢字の意味は『刈り取る』、『けずる』、『ほろぼす』、『戌（いぬ）』です。

鎌田は戊（ボ・ほこ）と一を合わせた形声文字としています。

音読みは呉音が『シュチ』、漢音が『シュツ』、慣用音が『ジュツ』、訓読みは『戌（いぬ）』です。戌（いぬ）の御産は安産であることから、戌（いぬ）の日におこなう安産祈願を行う習慣があります。平成２９年１０月２６日、１１月７日、１１月１９日が戌（いぬ）の日にあたります。

『戌（ジュツ・いぬ）』は旧暦の九月(収穫時期？）、時間は午後八時、方角は西北西、動物では犬にあてられています。

中国を中心とした東アジアの世界では、子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉 戌 亥の十二支を使って暦、時刻、方角を表しました。数字でもなんでもない漢字の順番を覚えるの大変です。そこで、神様に新年の挨拶に来た十二種類の動物になぞらえて、十二支を宛てて覚えたのです。

猿（申・さる）と犬（戌・いぬ）は中が悪く、喧嘩しながら来たので遅くなり、鶏（酉・とり）が喧嘩の仲裁をしたため、猿と犬の間に入って（申 酉 戌）の順になったと覚えます。

ちなみに一番目は牛の背中に乗ってきた鼠（子・ねずみ）、十二番目は勢いよく走ってきて、神様の前を通り越してしまった猪（亥・いのしし）です。

戌（いぬ）は犬（いぬ）、狗（いぬ）とも書きます。戌（ジュツ・いぬ）は常用漢字から外れています。

　『烕（メツ）』mièは、刃物で火種を切って消す様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、戌（刃物）＋火（ひ）＝烕（刃物で火種を切って消す。ほろぼす）です。漢字の部首は『火・ひ』、漢字の意味は『火を消す』、『滅ほろ）びる』です。

音読みは呉音が『マチ』、漢音が『ベツ』、慣用音が『メツ』です。氵（さんずい）を足した滅（メツ）が好んで使われるため、烕（メツ）を使うことはありません。

烕（メツ・ほろびる）は常用漢字から外れています。

滅（メツ）の原字が烕（メツ）ですが、水を意味する氵（さんずい）を足した滅（メツ）を使うのが普通です。

　『滅（メツ）』mièは、水で火を消す様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵（みず）＋烕（火種を切って火を消す）＝滅（水を使って火を完全に消しさる。火を消す。滅びる）です。漢字の部首は『氵・さんずい』、漢字の意味は『火を消す』、『滅（ほろ）びる』です。

音読みは呉音が『メチ・メツ』、漢音が『ベツ』、訓読みは『滅（ほろ）びる』です。消えてなくなることを消滅（ショウメツ）、灯りが点（つ）いたり消えたりすることを点滅（テンメツ）、ほろびることを漢語で滅亡（メツボウ）といいます。

滅（ほろ）びるは亡（ほろ）びるとも書きます。

滅（メツ・ほろびる）は中学生 で習う常用漢字です。

　『威（イ）』wēiは、女性を武器で威（おど）す様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、戌（ほこ・武器）＋女（女性）＝威（女性を武器で威（おど）す。おどす）です。漢字の部首は『女・おんな』、漢字の意味は『威（おど）す』、『強い勢い』、『厳かな力』です。

音読みは呉音・漢音ともに『イ』、訓読みが常用外に『威（おど）す』があります。強い力でおびやかすこと脅威（キョウイ）、他を押さえつけ強い力を威力（イリョク）、威力でおどしつけることを威嚇（イカク）、堂々としておごそかな様子を威厳（イゲン）といいます。

威（おど）すは脅（おど）すと書くのが普通で、嚇（おど）すとも書きます。

威厳（イゲン）のある漢字で『あきら』、『おどし』、『たか』、『たけ』、『たけし』、『たける』、『つよ』、『つよし』、『とし』、『なり』、『のり』と名前に使われます。

威（イ・おどす）は中学生 で習う常用漢字です。

　『縅（おどし）』wēiは、鎧（よろい）の札（さね）を糸で通したものを表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、糸（いと）＋威（おどす）＝縅（鎧（よろい）の札（さね）を糸で通したもの。縅。おどし）です。漢字の部首は『糸・いと』、漢字の意味は『縅（おどし）』です。

縅（おどし）は鎧のさねを緒（糸）でつづり合わせたもので、緒（糸）を通すことから緒通（おど）しと呼ばれ、武具の威（おど）しに通じることから我が国で造られた国字です。

訓読みは『縅（おどし）』です。音読みはあるとすれば『イ』でしょう。緋色の糸で緒通した鎧を緋縅（ヒおどし）の鎧といいます。

縅（おどし）は常用漢字から外れています。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2017/10/post-b668.html 

戌　滅　威　縅　『漢字の覚え方 戌』

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.いぬ（　）の日の安産祈願。

2.可能性の しょうめつ（　　　）。

3.信号の てんめつ（　　　）。

4.大型台風の いりょく（　　　）。

5.ミサイルの きょうい（　　　　）。

6.緋おどし（　　）の鎧。

解説です。基本の漢字は戌、烕（ほろ）びるは火を足して烕、さらに氵を足して滅、威（おど）すは女を足して威、鎧（よろい）の縅（おどし）はさらに糸を足して縅です。

解答です。戌、消滅、点滅、威力、脅威、縅。

漢字の覚え方 朮

　漢字には『単語家族』と呼ばれる発音・意味上の漢字の仲間があります。今日は『朮（ジュツ）』shùという字を基本とした『単語家族』を説明します。この『単語家族』には朮、述、術という漢字が含まれます。

『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『朮』に何を足したら述、術になるのかを考えます。述、術は小学5年生で習う漢字、朮は常用漢字ではありませんが、一緒に覚えましょう。

　『朮（ジュツ）』shùは、穀物の『もちあわ』を表す象形文字です。十字の茎（くき）に点々と実のついた姿を表しています。漢字の部首は『木・き』、漢字の意味は『もちあわ』です。

音読みは呉音が『ジュツ・ズチ』、漢音が『シュツ』、訓読みが『朮（もちあわ）』です。朮（ジュツ）の漢字を使うことはありませんが、述（ジュツ）、術（ジュツ）の漢字の一部として使われています。

朮は常用漢字でから外れています。

　『述（ジュツ）』shùは、従来のやり方で述（の）べる様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、辶（進める）＋朮（もちあわ・くっつく）＝述（従来のやり方にくっついて進める。述べる。のべる）です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、漢字の意味は『述（の）べる』です。

音読みは呉音が『ジュツ・ズチ』、漢音が『シュツ』、訓読みが『述（の）べる』です。事実そのままに文章に記（しる）すことを記述（キジュツ）、意見や考えを口頭で述べることを陳述（チンジュツ）、先人の業を受け継いでそれに従うことを紹述（ショウジュツ）といいます。

のべるについては、漢字の世界では幾通りかあり、意味はほぼ同じですが、微妙なニュアンスが違います。

陳 （の）べる　　つらねて言う。展開して陳べる　　　陳　http://bit.ly/1odVQnE

述（の）べる　　今までのいきさつを述べる　　　　　朮　http://bit.ly/1QJM35Y

叙 （の）べる　　順序良く叙べる　　　　　　　　　  叙　http://bit.ly/1weWCjk

陳 述（チンジュツ）、叙 述（ジョジュツ）のように熟語として重ねて使います。聞いた時に解かりやすいからです。

良い意味の漢字で『あきら』、『とも』、『のぶ』、『のぶる』、『のり』と名前に使われます。

　『術（ジュツ）』shùは、従来のやり方を様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、行（行う）＋朮（もちあわ・くっつく）＝術（従来のやり方で行う。術）です。漢字の部首は『行・ぎょうがまえ』、漢字の意味は『術（すべ）』、『技（わざ）』です。

音読みは呉音が『ジュツ・ズチ』、漢音が『シュツ』、訓読みが『術（すべ）』です。戦いに勝つための具体的方法を戦術（センジュツ）、医者が患部を切開などして回復させる治療法を手術（シュジュツ）、忍者の使う技を忍術（ニンジュツ）といいます。

良い意味の漢字で『てだて』、『みち』、『やす』、『やすし』と名前に使われます。

述（ジュツ）、術（ジュツ）は小学校5年生で http://bit.ly/1IcJ9kv 習う漢字です。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-7bb1.html

『漢字の覚え方 朮』　述　術

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.ちんじゅつ（　　　）調書。

2.きじゅつ（　　　）式の試験。

3.ぎじゅつ（　　　）の向上。

4.摘出 しゅじゅつ（　　　）。

5.せんじゅつ（　　　）上の勝利。

解説です。基本の漢字は朮、述（の）べるは辶（しんにょう）足して述、術（すべ）は行（ぎょうがまえ）を足して術です。

解答です。陳述、記述、技術、手術、戦術。