漢字の覚え方 柬
漢字には『単語家族』と呼ばれる発音・意味上の漢字の仲間があります。今日は『柬(カン)』jiǎnという字を基本とした『単語家族』を説明します。この『単語家族』には諌、練、煉、錬、鰊、鶫という漢字が含まれます。
柬は『単語家族』が形声される漢字の成り立ちの中で、『カン』、『レン』二通りの発音に分かれたと考えられています。柬(カン)・諌(カン)と練(レン)・煉(レン)・錬(レン)の二通りです。
漢字のカ行とラ行の関係はよくあることが知られていて、『各(カク)』と『絡(ラク)』や『果(カ)』と『裸(ラ)』の関係が有名です。
『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『柬』に何を足したら諌、練、煉、錬、鰊になるのかを考えてます。練は小学校3年生、諌、錬は中学校で習う常用漢字です。学年、学校に関係なく一緒に覚えましょう。
『柬(カン)』jiǎnは、選り分ける様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、束(たば)+八(選り分ける)=柬(束ねたものを選り分ける。選抜する。えらぶ)です。漢字の部首は『木・き』、漢字の意味は『柬(えら)ぶ』です。
音読みは呉音が『ケン』、漢音が『カン』、訓読みが『柬(えら)ぶ』です。『柬(カン)』単独で使われることはありませんが、諌、練、煉、錬の一部として漢字を構成しています。柬と書くのは面倒なので、東と省略して書きますが、『東(トウ)』dong http://bit.ly/1odVQnEは別字です。
『柬(カン)』は中学校で習う常用漢字からは外れています。
『揀(カン)』jiǎnは、手で選ぶ様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、束(たば)+柬(選り分ける)=揀(手で束ねたものを選り分ける。選抜する。えらぶ)です。漢字の部首は『扌・てへん』、漢字の意味は『揀(えら)ぶ』です。
音読みは呉音が『ケン』、漢音が『カン』、訓読みが『揀(えら)ぶ』です。えらび取ることを揀取(カンシュ)、区別し選り分けることを揀択(カンタク)といいます。
『揀(カン)』は中学校で習う常用漢字からは外れています。
『諌(カン)』jiànは、諌(いさ)める様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、言(言葉)+柬(選ぶ)=諌(諫)(過ちを改めるように直言する。諌(いさ)める)です。漢字の部首は『言・ごんべん』、漢字の意味は『諌(いさ)める』です。
音読みは呉音・漢音ともに『カン』、訓読みは『諌(いさ)める』です。目上の人の過失をを指摘し忠告することを諫言(カンゲン)、遠慮することなく率直に目上の人を諌めることを直諫(チョッカン)といいます。
諌(いさ)める格好の良い意味の漢字で『いさ』、『いさむ』、『ただ』と名前に使われます。
『諫(カン・いさめる)』は中学校で習う常用漢字です。
『練(レン)』liànは、生糸を選り分けて上質なものにする過程(練る)を表す形声文字です。漢字の足し算では、糸+柬(選ぶ)=練(生糸を選り分けて上質なものにする。練る。ねる)です。漢字の部首は『糸・いとへん』、漢字の意味は『練(ね)る』、『捏(こ)ねる』、『鍛える』、『技術をを上げる』、『良い物を選ぶ』です。
音読みは呉音・漢音ともに『レン』、訓読みは『練(ね)る』です。練り上げた上質な絹を練絹(レンケン)、繰り返し習い技術を上げることを練習(レンシュウ)、教え込み(訓)技術を上げることを訓練(クンレン)、練った辛子を練辛子(ねりがらし)といいます。
鍛え上げる良い意味の漢字で『ねり』、『よし』と名前に使われます。
『練(レン・ねる)』は小学校3年生で習う漢字 です。
『煉(レン)』liànは、火を使って煉(ね)る様子・不純物を取り除く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、火(火力)+柬(煉る)=煉(火を使って煉(ね)る。不純物を取り除く。煉り固める)です。漢字の部首は『火・ひ』です。意味は『鉱物を熱して不純物を取り除く』、『煉り固める』です。
音読みは呉音・漢音ともに『レン』、訓読みが『煉(ね)る』です。金属から不純物を除いて質のよいものにすることを精煉(セイレン)、粘土を練り、乾燥して窯 (かま) で焼いたものを煉瓦(レンガ)、木炭などの粉末を練って固めた燃料をを煉炭(レンタン)といいます。
『煉(レン・ねる)』は人名用です。精煉(セイレン)は常用漢字の精錬(セイレン)、煉炭(レンタン)も常用漢字の練炭(レンタン)と書くことの方が多いです。
『錬(レン)』liànは、金属を良質のものにきたえ上げる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、金(金属)+柬(練る)=錬(金属を良質のものにきたえ上げる。鍛え上げる)です。漢字の部首は『金・かねへん』です。意味は『金属を良質のものに鍛え上げる』、『心身や技をきたえ上げる』です。
音読みは呉音・漢音ともに『レン』、訓読みが『錬(ね)る』です。金属からから金を精錬しようとすることを錬金(レンキン)、鍛えて立派にすることを錬成(レンセイ)、力を入れることから、訓練や修養を積み重ね、技術や心身を鍛(きた)えることを鍛錬(タンレン)といいます。
『錬(レン・ねる)』は中学校で習う常用漢字です。小学校で習う練(レン)の字で代用することも多いです。
『鰊(レン・にしん)』liànは、鰊(にしん)を表す形声文字です。漢字の足し算では、魚+柬(選ぶ)=鰊(選ばれた魚。春に選ばれた魚。鰊。にしん)です。漢字の部首は『魚・さかんへん』です。意味は『鰊(にしん)』、我が国では春になると群をなして沿岸に寄る鰊(にしん)を指し示す漢字です。
音読みは呉音・漢音ともに『レン』、『鰊(にしん)』です。鰊(にしん)が豊漁であった頃に鰊で稼(かせ)いで建てた家を鰊御殿(にしんゴテン)、じっくりと乾燥させ背骨を除いた鰊(にしん)を身欠き鰊(みがきにしん)といいます。
鰊(にしん)は鯡(にしん)http://bit.ly/1qQSVwGとも書きます。
魚に関して詳しくは『部首索引 魚(うお・さかな)』 をご覧下さい。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-0eb0.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.君主に かんげん( )する。
2.避難 くんれん( )。
3.れんしゅう( )を繰り返す。
4.れんが( )造り。
5.れんきん( )術。
6.精神を たんれん( )する。
7.にしん( )蕎麦。
解説です。基本の漢字は柬、揀(えら)ぶは扌(てへん)を足して揀、諌(いさ)めるは言(こんべん)を足して諫、練(ね)るは糸を足して練、火を使う煉(ね)るは火を足して煉、金属を鍛える錬(ね)るは糸を足して錬、鰊(にしん)は魚を足して鰊です。
解答です。諫言、訓練、練習、煉瓦、錬金、鍛練・鍛錬、鰊・鯡。