漢字の覚え方 刀・刂
今日は『刀(トウ)』dāoという漢字の仲間について説明します。基本になる漢字は『刀』・『刂』です。音読みは『トウ』、意味は『刀』、『曲線』です。刀、魛、到、倒などがこの漢字の仲間です。
漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。『刀・刂』に何を足すと到、倒になるのかを考えます。刀は小学校2年生で習う漢字 、到、倒は中学生 で習います。一緒に覚えましょう。
『刀(トウ)』dāoは、刀を象(かたど)った象形文字です。漢字の部首は『刀・かたな』、意味は『かたな』です。
音読みは呉音が『ト・トウ』、漢音が『トウ』、訓読みが『かたな』です。特別な訓読みに『太刀(たち)』、『竹刀(しない)』があります。昔は竹の札を刀で削って字を書きました。文書・文書を書く役人を刀筆(トウヒツ)、刀の形の銭を刀銭(トウセン)、刀を抜くことを抜刀(バットウ)、刀を帯びることを帯刀(タイトウ)といいます。
刀は文字の旁(つくり)では形を変えて、刂(りっとう)という形になります。漢字の足し算である会意文字や形声文字では刀を刂の形で使うことが多いです。
『刀(トウ・かたな)』は小学校2年生で習う漢字です。
刀を使った魚の名前に秋刀魚(さんま)、太刀魚・魛(たちうお)があります。
秋の刀(かたな)の魚と書いて秋刀魚(さんま)と読みます。身体が細くて刀(かたな)のようだからです。
『魛(トウ・たちうお)』dāoは、太刀(たち)の形をしている魚を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、魚(さかな)+刀=魛(太刀の形をしている魚。たちうお)です。
音読みは呉音・漢音ともに『トウ』、訓読みは『魛(たちうお)』です。魛(たちうお)は太刀魚(たちうお)と書くのが普通です。
太刀魚(たちうお) 太刀(たち)の魚と書いて太刀魚(たちうお)と読みます。身体が大きくて太刀(たち)のようだからです。また立って泳ぐことがあるために立魚(たちうお)と名付けられたとも言われています。
魚についての漢字は『部首索引 魚(うお・さかな)』をご覧ください。
『到(トウ)』dàoは、物が目的の場所や時間に届く様子を表す漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、至(まっすぐ届く)+刂(りっとう・刀・曲線)=到(物が曲がって届く。行き着く。到る)です。部首は『至』。意味は『行き着く』・『到る(いたる)』です。『至(シ)』が矢の様に真っ直ぐに届くのに対し、曲がって届くのが到です。
音読みは呉音・漢音ともに『トウ』。訓読みは『到(いた)る』です。到達(トウタツ)、到来(トウライ)、未到(ミトウ)、周到(シュウトウ)の到です。
未到(ミトウ)は未だ到達していないことです。記録、目標に使います。未踏(ミトウ)とは未だ足を踏(ふ)み入れていない場所に使います。
至(シ)の漢字の仲間には室(シツ)、致(チ)などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 至』をご覧ください。
『到(トウ・いたる)』は中学生 で習う常用漢字です。
『倒(トウ)』dǎo、dàoは、逆さまに倒れる様子を示す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、イ(にんべん・人の動作)+到(矢が曲線を描いて届く)=倒(人が曲線を描くように逆様に倒れる。倒れる)です。部首は『イ・にんべん』、意味は『倒れる(たおれる)』です。
『仆(フ)』http://bit.ly/1t1oE40 はパタリと前に仆(たお)れるのに対し、『倒(トウ)』は仰向けに倒れる様子を表します。どちらも部首は『イ・にんべん』です。常用漢字の『倒』を使う事が多いです。
音読みは呉音・漢音ともに『トウ』。訓読みは『倒(たお)れる』。倒産(トウサン)、倒置(トウチ)、卒倒(ソットウ)、転倒(テントウ)の倒です。
『倒(トウ・たおれる)』は中学生 で習う常用漢字です。
刀を使った漢字に『初(ショ)』があります。
『初(ショ)』chūは、布・衣に刃物を初めて当てる様子を表す漢字です。漢字の足し算覚えるならば、衤(布・衣)+刀(刃物)=初(布・衣に最初に刃物を入れて切る。初め。はじめ)です。漢字の部首は『刀・かたな』、漢字の意味は『初(はじ)め』です。
音読みは呉音が『ソ』、漢音が『ショ』、訓読みは『初(はじ)め』、『初(はつ)』、『初(うい)』、『初(そ)め』です。一番初めを最初(サイショ)、夏の初めを初夏(ショカ)、物事や芝居などの初めの日を初日(ショニチ)、元日の太陽を初日(はつひ)、初めの戦闘を初陣(ういジン)、年始に行う書く儀式を書き初(ぞ)めといいます。
大変縁起の良い漢字で、『うい』、『うぶ』、『しょ』、『そめ』、『はじめ』、『はつ』、『もと』と名前に使われます。
『初(ショ)』は小学校4年生で習う漢字です。
刀(トウ)を使う漢字に辺(ヘン)がありますが、漢字のデザインが同じなだけで、刀の『単語家族』ではありません。鼻と口を書いた省略形です。
『辺(ヘン)』biānは、顔の鼻のあたりを表す漢字です。漢字の足し算では、辶(進む)+刀(鼻と口を書いた省略形)=辺(顔の鼻や口のあたり。あるものを中心とした付近。中央からはなれた場所)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、漢字の意味は『あるものを中心とした辺(あたり)』、『中央からはなれた場所』、『図形の線分』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ヘン』、訓読みは『辺(あたり)』、『辺(べ)』です。あるものの周りを周辺(シュウヘン)、中央から離れた国境を辺境(ヘンキョウ)、海のあたりを海辺(うみべ)、直角三角形の斜めの線分を斜辺(シャヘン)といいます。
正しい字体は大きくわけて二種類あります。自(鼻)に宀八に方(口の端)を書いて邊、冖八に口を書いて邉です。
どの漢字を名字(ミョウジ)に使うかはその家の伝承によって違い、斉・斎・齊(サイ)とともに戸籍(コセキ)係を悩ませる漢字の一つです。
辺(ヘン)のもとになる漢字自(ジ)、鼻(ビ)については『漢字の覚え方 自』をご覧ください。
『辺(ヘン・あたり)』は小学校4年生で習う漢字です。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-1630.html
『漢字の覚え方 刀』 刀 到 倒 初
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.たいとう( )禁止令。
2.しない( )を握る。
3.用意 しゅうとう( )。
4.季節 とうらい( )。
5.本末 てんとう( )。
6.企業の とうさん( )。
7.大相撲の しょにち( )。
8.はつひ( )の出。
9.へんきょう( )の地。
解説です。基本の漢字は刀・刂、到(いた)るは至(いたる)を足して到、倒(たお)れるはイ(にんべん)を足して倒、初(はつ)は衤(しめすへん)を足して初、辺(ヘン)は辶(しんにょう)を足して辺ですが刀の仲間の漢字ではありません。
解答です。帯刀、竹刀、周到、到来、転倒、倒産、初日(ショニチ)、初日(はつひ)、辺境。