漢字の覚え方 兪
今日は兪(ユ)、輸(ユ)、諭(ユ)、喩(ユ)、愉(ユ)、愈(ユ)、癒(ユ)、偸(チュウ)、鍮(チュウ)という漢字のについて説明します。基本になる漢字は『兪・俞(ユ)』です。抜き取る様子を表しています。基本の音読みは『ユ』で『チュウ』と読むこともあります。
漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。『兪』に何を足したら、輸、諭、喩、愉、愈、癒、偸、鍮になるのかを考えます。輸は小学校5年生で習う漢字、諭、愉、癒は中学生 で習う常用漢字、喩は中学生で習うようになった常用漢字 です。中学何年生で習うかは教科書によって異なります。学年、学校に関係なく一緒に覚えましょう。
『兪・俞(ユ)』yúは、木の中をくりぬいて舟にする様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、舟(舟をくりぬく。取り出す)+亼巜(亼の刃物)=兪・俞(木の中をくりぬいて舟にする。取り出して移す)です。金文では舟に針を足した形(膿を針で舟(盤)に抜き取る)になります。漢字の部首は『入・いりがしら』、漢字の意味は『丸木舟』、『移す』、漢方の医学で『つぼ』です。
『説文解字』には「木の中を空として舟となすなり。亼に従い、舟に従い、巜に従う」とあります。藤堂は説文解字に従って木をくり抜いた丸木舟とし、白川は金文まで遡って針で膿を舟(盤)に抜き取るとしています。
音読みは呉音・漢音ともに『ユ』です。漢方医学で健康障害を抜き取るつぼを兪穴(ユケツ)といいます。
兪・俞(ユ)は常用漢字から外れています。
『輸(ユ)』shūは、取り出して移す様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、車(車で運ぶ)+兪・俞(舟をくりぬく。取り出す)=輸(取り出して移す)です。漢字の部首は『車・くるまへん』、漢字の意味は『うつす』です。
音読みは呉音が『ス』、漢音が『シュ』、慣用音が『ユ』です。荷物を運び入れること・外国から国内に入れることを輸入(ユニュウ)、国内から外国へ送り出すことを輸出(ユシュツ)といいます。
輸(ユ)は小学校5年生で習う漢字です。
『諭(ユ)』yùは、諭(さと)す様子・告げる様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、言(言葉)+俞(移す。取り出す)=諭(言葉を外へ取り出す。告げる。諭す)です。漢字の部首は『言・ごんべん』、漢字の意味は『告げる』、『諭(さと)す』、『喩(たと)える』です。
現在では『諭(さと)す』の意味では諭(ユ)が、『喩(たと)える』の意味では喩(ユ)が使われます。
音読みは呉音・漢音ともに『ユ』、訓読みが『諭(さと)す』です。諭し告げることを諭告(ユコク)、物事の趣旨をさとし告げることを諭旨(ユシ)、心に思っていることを告げ知らせることを諭意(ユイ)といいます。
良い意味の漢字で『さと』、『さとし』、『さとす』、『つぐ』と名前に使われます。
諭(ユ・さとす)は中学生 で習う常用漢字です。
『喩(ユ)』yùは、喩(たと)える・諭(さと)す様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、口(くち)+兪(移す)=喩(他のものに移して口にする。喩(たと)える)です。漢字の部首は『口・くちへん』、漢字の意味は『喩(たと)える』、『諭(さと)す』です。
現在は、『喩(たと)える』の意味では喩(ユ)が使われ、『諭(さと)す』の意味では諭(ユ)が使われます。
「お盆の様な丸い月」というのが喩(たと)えで、比喩(ヒユ)といいます。
音読みは呉音・漢音ともに『ユ』、訓読みが『喩(たと)える』です。何かをほかのものに移して表現すること比喩(ヒユ)、たとえ話を喩言(ユゲン)といいます。
良い意味の漢字で『あき』、『さとる』と名前に使われます。
喩(ユ・たとえる)は平成22年度から中学生で習うようになった常用漢字 です。
『愉(ユ)』yúは、愉(たの)しむ様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、忄(こころ)+俞(取り出す)=愉(不安・苦しみを取り出す。愉しむ)です。漢字の部首は『忄・りっしんべん』、漢字の意味は『愉(たの)しむ』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ユ』、訓読みが『愉(たの)しむ』です。さばさばとして愉しい様子を愉快(ユカイ)、愉快な様子・喜ぶ顔いろを愉色(ユショク)といいます。
愉(ユ)は中学生 で習う常用漢字です。
『愈(ユ)』yùは、心配が無くなり、事態が愈々(いよいよ)進む様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、愉(心配の種が抜き取られる)+心(こころの状態)=愈(事態が愈々(いよいよ)進む。いよいよ)です。漢字の部首は『心・こころ』、漢字の意味は『事態が良くなる』、『愈々(いよいよ)』、『愈(まさ)る』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ユ』、訓読みが『愈々(いよいよ)』、『愈(まさ)る』です。
愈(ユ)は常用漢字から外れています。
『癒(ユ)』yùは、病気が癒(い)える様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、疒(病気)+愈(移す。事態が良くなる)=癒(病気を外に移す。癒(い)える)です。漢字の部首は『疒・やまいだれ』、漢字の意味は『癒(い)やす』、『癒(い)える』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ユ』、訓読みが『癒(い)やす』、『癒(い)える』です。何かをほかのものに移して表現すること治癒(チユ)、炎症によって臓器がくっつくこと・利益のための立場を超えた深い関係を癒着(ユチャク)といいます。
良いい意味の漢字で『あき』、『さとる』と名前に使われます。
癒(ユ)は中学生 で習う常用漢字です。
『偸(トウ・チュウ)』tōuは、偸(ぬす)む様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、イ(人間の行為)+兪(移す。抜き取る)=偸(中身をそっと抜き取る。偸(ぬす)む)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、漢字の意味は『偸(ぬす)む』、『ひそかに』です。
異体字に媮があります。
音読みは呉音が『ツ』、漢音が『トウ』、慣用音が『チュウ』、訓読みが『偸(ぬす)む』です。ぬすむこと・ぬすびとを偸盗(トウトウ・チュウトウ)、不正なことをしてそっと利益を得ることを偸利(トウリ)といいます。
偸(トウ・チュウ)は常用漢字から外れています。
『鍮(チュウ)』tōuは、黄金色の銅を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、金(金属)+兪(移す。抜き取る。抽出する)=鍮(自然の銅を溶かして抽出した黄金色の銅。真の銅)です。漢字の部首は『金・かねへん』、漢字の意味は『真の銅』、『真鍮』、『黄銅』です。
藤堂は黄金色の銅のことで、亜鉛と合金でできる黄金色の真鍮(シンチュウ)を表すようになったとしています。
音読みは呉音が『ツ』、漢音が『トウ』、慣用音が『チュウ』です。銅と亜鉛と合金でできる黄金色の金属を真鍮(シンチュウ)といいます。五円硬貨は真鍮で出来ています。
鍮(チュウ)は常用漢字から外れています。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-7017.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.製品を ゆしゅつ( )する。
2.福沢 ゆきち( )。
3.ゆし( )免職。
4.ひゆ( )を用いて説明。
5.ゆかい( )な話題。
6.いよいよ( ) 決戦の時を迎えた。
7.病気が ちゆ( )。
8.政治家と ゆちゃく( )。
9.しんちゅう( )のアクセアサリー
解説です。基本の漢字は兪(俞)、輸(うつす)は車を足して輸、諭(さと)すは言を足して諭、喩(たと)えるは口を足して喩、愉(たの)しむは忄(りっしんべん)を足して愉、愈々(いよいよ)は心(りっしんべん)を足して愈、癒(い)えるは疒(やまいだれ)を足して癒、偸(ぬす)むはイ(にんべん)を足して偸、真鍮(シンチュウ)むは金を足して鍮です。
解答です。輸出、諭吉、諭旨、比喩、愉快、愈愈、治癒、癒着、真鍮。