漢字の覚え方 垔

　今日は、垔（イン・ふさぐ）、堙（イン・うずめる）、湮（イン・しずめる）、煙（エン・けむり）という漢字について説明します。基本になる漢字は『垔（イン）』です。蓋（ふた）をした香炉か煙がでる様子を表しているといわれ、共通する音読みは『イン』か『エン』です。これらの漢字は同じ『垔（イン）』という構成要素からなるので、漢字の足し算で表すことが出来ます。

漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。垔（イン）に何を足すとどのような漢字になるか考えます。煙（エン・けむり）は中学生 で覚える常用漢字、垔（イン・ふさぐ）、堙（イン・うずめる）は常用漢字から外れていますが、漢字の足し算で一緒に覚えましょう。

　『垔（イン）』yīnは、蓋（ふた）をした香炉か煙がでる様子・垔（ふさ）ぐ様子を表す会意漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、西（香炉の形）＋土(つち）＝垔（蓋（ふた）をした香炉か煙がでる。ふさぐ）です。漢字の部首は『土・つち』、漢字の意味は『垔（ふさ）ぐ』です。

音読みは呉音が『』、漢音が『』、訓読みは『垔（ふさ）ぐ』です。跡形もなく消えてしまうことを垔滅（インメツ）・隠滅（インメツ）といいます。

垔（イン・ふさぐ）は常用漢字から外れています。

　『堙（イン）』yīnは、土をかぶせて堙（うず）める 様子を表す形声漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、土(つち）＋垔（ふさぐ）＝堙（土をかぶせて堙（ふさ）ぐ。堙（うず）める 。）です。漢字の部首は『土・つち』、漢字の意味は『堙（ふさ）ぐ』、『堙（うず）める 』、『滅びる』です。

音読みは呉音が『』、漢音が『』、訓読みは『堙（ふさ）ぐ』、『堙（うず）める』です。跡形もなく消してしまうことを堙滅（インメツ）・隠滅（インメツ）といいます。常用漢字の隠（イン・かくす）を使って隠滅（インメツ）と書くのが普通です。

氵（さんずい）の湮（イン・しずめる）も同じような使い方をします。

堙（イン・うずめる）は常用漢字から外れています。

　『煙（エン）』yānは、煙（けむり）を表す形声漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、火(ひ）＋垔（香炉から出る煙）＝煙（）です。漢字の部首は『火・ひへん』、漢字の意味は『煙（けむり）』、『すす』、『煙草（たばこ）』です。

音読みは呉音が『』、漢音が『エン』、訓読みは『煙（けむり）』です。煙を空中に排出すための筒状の装置を煙突（エントツ）、敵の視界を遮る人工の煙（けむり）を煙幕（エンマク）、煙草（たばこ）をすうことを喫煙（キツエン）といいます。

煙（エン・けむり）は中学生 で覚える常用漢字です。

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『漢字の覚え方 垔』　垔　堙　湮　煙

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.証拠の いんめつ（　　　）。

2.えんとつ（　　　）を上る。

3.えんまく（　　　）を張る。

4.きんえん（　　　）する。

解説です。基本の漢字は垔、堙（うず）める は土を足して堙 、湮（しず）めるは氵（さんずい）を足して湮、 煙（けむり）は火を足して煙 です。

解答です。垔滅、堙滅、湮滅、隠滅、煙突、煙幕、禁煙。

漢字の覚え方 奄

今日は奄（エン）、俺（エン）、掩（エン）、庵（アン）という漢字のについて説明します。基本になる漢字は『奄（エン）』です。奄（おお）う様子・かばう様子などを表しています。基本の音読みは『エン』または『アン』と読みます。

漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。奄（エン）に何を足すとどのような漢字になるか考えます。俺（エン）は中学校で習う常用漢字、奄（エン）、庵（アン）は人名用漢字、掩（エン）は常用漢字ではありませんが、漢字の足し算で一緒に覚えましょう。

　『奄（エン）』yǎn yānは、上から奄（おお）う様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、大（大きく）＋申（伸びる）＝奄（伸びたものを上から大きく奄（おお）う。かぶさる。ふさぐ）です。漢字の部首は『大・だい』、漢字の意味は『奄（おお）う』、『かぶさる』、『ふさぐ』です。

音読みは呉音・漢音ともに『エン』、訓読みは『奄（おお）う』です。息がかぶさった様にたえだえなことを気息奄々（キソクエンエン）といいます。

奄（おお）うは覆（おお）うと書くのが普通で、蔽（おお）う、被（おお）うとも書きます。

奄美と書いて奄美（あまみ）と読みます。

奄（エン・おおう）は人名用漢字です。

　『俺（エン）』ǎnは、上から奄（おお）う様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、イ（人）＋奄（大きく伸びる）＝俺（大きく伸びたいばった感じの人。俺。おれ）です。漢字の部首は『イ・にんべん』、漢字の意味は『俺（おれ）』です。

音読みは呉音・漢音ともに『エン』、訓読みは『俺（おれ）』です。

俺（エン）は中学生で習うようになった常用漢字です。

　『掩（エン）』yǎnは、手で掩（おお）う様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、扌（手の動作）＋奄（奄（おお）う・かぶさる）＝掩（伸びたものを手で奄（おお）う。掩（おお）う。かくす。かばう）です。漢字の部首は『扌・てへん』、漢字の意味は『掩（おお）う』、『かくす』、『かばう』です。

音読みは呉音・漢音ともに『エン』、訓読みは『掩（おお）う』です。かばい守ることを掩護（エンゴ）、掩（おお）い隠すことを掩蔽（エンペイ）といいます。

掩（おお）うは覆（おお）と書くのが普通です。

掩（エン・おおう）は常用漢字から外れています。

　『庵（アン）』ānは、上からおおわれた庵（いおり）を様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、广（建物）＋奄（奄（おお）う）＝庵（上から奄（おお）われた建物。庵（いおり））です。漢字の部首は『广・まだれ』、漢字の意味は『庵（いおり）』です。

音読みは呉音が『オン』、漢音が『アン』、訓読みは『庵（いおり）』です。かやぶきの小さな家を草庵（ソウアン）、庵（いおり）の主人を庵主（アンジュ・アンシュ）といいます。

庵（アン・いおり）は人名用漢字です。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2018/09/post-98f5.html

『漢字の覚え方 奄』　奄　俺　掩　庵

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.気息 えんえん（　　　）。

2.おれ（　）のステーキ。

3.えんご（　　　）射撃。

4.そうあん（　　　）に住む。

解説です。基本の漢字は奄、俺（おれ）はイ（にんべん）を足して俺、掩（おお）うは扌（てへん）を足して俺、庵（いおり）は广（まだれ）を足して庵、

解答です。奄々、俺、掩護、援護、草庵。

漢字の覚え方 肙

漢字には『単語家族』と呼ばれる発音・意味上の漢字の仲間があります。今日は『肙（ケン）』yuānという字を基本とした『単語家族』を説明します。この『単語家族』には肙、絹、狷、捐、娟という漢字が含まれます。

『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『肙』に何を足したら絹、狷、捐、娟になるのかを考えます。絹は小学校6年生 で習う漢字で、狷、捐、娟は常用漢字(日常で使う漢字）から外れています。常用漢字であるなしに関係なく一緒に覚えましょう。

　『肙（ケン・エン）』yuānは、まるく巻いた虫・小虫を表す会意文字です(藤堂）。漢字の足し算で覚えるならば、〇（まるい）＋月（にくづき・生物）＝肙（まるく巻いた虫。小虫。中空の）です。漢字の部首は『月・にくづき』、漢字の意味は『小虫』、『中空の』、『くびれた』、『まるく縮む』です。

一説には井戸の中にいる孑子（ぼうふら）を表している漢字ともいわれています（説文解字注）。

肙（ケン・エン）は我が国では使うことはありませんが、狷（ケン）、捐、娟（エン）の漢字の部分として活躍しています。

肙（ケン・エン）は常用漢字から外れています。

　『絹（ケン）』juànは、蚕（かいこ）の繭 （ケン・まゆ）からとる糸を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、糸（いと）＋肙（小虫・中空）＝絹（小虫・蚕からとる糸。絹。きぬ）です。漢字の部首は『糸・いとへん』、漢字の意味は『絹（きぬ）』です。

音読みは呉音・漢音ともに『ケン』、訓読みは『絹（きぬ）』です。蚕の繭 からとった糸を絹糸（ケンシ・きぬいと）、絹糸で織った織物を絹織物（きぬおりもの）といいます。

絹（ケン）は小学校6年生 で習う漢字です。

　『狷（ケン）』juànは、片意地な様子を表す形声文字です。漢字の足し算では覚えるならば、犭（犬）＋肙（小さい枠）＝狷（小さな枠から出ない犬。片意地な犬。片意地）です。漢字の部首は『犭・けものへん』、漢字の意味は『片意地』です。

音読みは呉音・漢音ともに『ケン』です。他人と和合しないことを狷介（ケンカイ）といいます。

中島敦の『山月記』の冒頭、李徴について「性、狷介（ケンカイ）、自ら恃（たの）むところ頗（すこぶ）る厚く」とあります。李徴の性格が他人と和合せず、自信過剰であったことがわかります。

狷（ケン）は常用漢字から外れています。

　『捐（エン）』juānは、私財を出して人を助ける様子・棄てる様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、扌（動作）＋肙（空にする）＝捐（私財を出して人を助ける。棄てる）です。漢字の部首は『扌・てへん』、漢字の意味は『私財を出して人を助ける』、『棄（す）てる』です。

音読みは呉音・漢音ともに『エン』です。義捐金（ギエンキン）、棄て去ることを棄捐（キエン）といいます。

義捐金（ギエンキン）は常用漢字の援（エン）http://bit.ly/2d1i63U を代用して、義援金（ギエンキン）と書きかえるのが普通です。

捐（エン）は常用漢字(日常使う漢字）から外れています。

　『娟（エン）』juānは、女性の美しい様子・棄てる様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、女（女性）＋肙（くびれる）＝娟（くびれのあるしなやかな美しい女性）です。漢字の部首は『女・おんなへん』、漢字の意味は『美しい女性』です。

音読みは呉音・漢音ともに『エン』もしくは『ケン』です。女性の美しい様子を娟娟（エンエン・ケンケン）といいます。

娟（エン）は常用漢字(日常使う漢字）から外れています。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-7487.html

『漢字の覚え方 肙』　肙 絹 狷 捐 娟

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.きぬいと（　　　）。

2.けんかい（　　　）な性格。

3.ぎえん（　　　）金。

解説です。基本の漢字は肙、絹（きぬ）は糸を足して絹、、狷（片意地）は犭（けものへん）を足して狷、捐（私財を出して助ける）は扌（てへん）を足して捐、娟（女性の美しい）は女を足して娟です。

解答です。絹糸、狷介、義捐、義援。

漢字の覚え方 厭

　漢字には発音・意味・構造上の漢字の仲間があります。今日は『厭（エン）』yànという字を基本とした漢字の仲間を説明します。この漢字の仲間には厭（エン・いや）、圧（壓）（エン・おさえつける）、靨（ヨウ・えくぼ）という漢字が含まれます。これらの漢字は同じ構成要素を持つので、漢字の足し算で表すことが出来ます。

漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。『厭』に何を足したら圧（壓）、靨になるのかを考えてます。圧（壓）は小学校5年生で習う漢字で、厭、靨は常用漢字ではありませんが、一緒に覚えましょう。

厭（エン）の前に猒（エン）の説明を致します。

　『猒（エン）』yànは、肉を食べ猒（あ）きる様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、日（丸い）＋月（肉）＋犬＝猒（肉を食べ猒（あ）きる。あきる）です。漢字の部首は『犬・いぬ』、意味は『猒（あ）きる』です。

猒（あ）きるは普通、飽（あ）きるhttp://bit.ly/1wbVlul と書きます。

肉については熊と犬の肉(藤堂）、肩の骨付きの肉（白川）と諸説あります。

音読みは呉音・漢音とも『エン』、訓読みは『猒（あ）きる』です。猒（エン）の漢字を単独で使うことはありません。厂（がんだれ）を加えた厭（エン）の形で使います。

『猒』は常用漢字から外れています。

　『厭（エン）』yànは、厭（いや）な感じを表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、厂（がけ・上）＋猒（あきる）＝厭（上から抑えられ、厭（あ）きていやになる）です。漢字の部首は『厂・がんだれ』、漢字の意味は『厭（いや）』、『厭（いと）う』、『厭（あ）きる』です。

音読みは呉音・漢音とも『エン』、慣用音が『オン』、訓読みは『厭（いや）』、『厭（いと）う』、『厭（あ）きる』です。世の中を厭（いや）なものと思うことを厭世（エンセイ）、穢（けが）れた現世を厭（いと）い離れることを厭離穢土（エンリエド・オンリエド）といいます。

『厭（エン）』は常用漢字から外れています。

　『圧（アツ）』yāは、おさえつける様子を表わす形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、厭（いやな感じ）＋土(下の方向）＝壓・圧（厭な感じで下の方向へ。おさえつける）です。漢字の部首は『心・こころ』、意味は『おさえつける』、『おさえつける力』です。正字は壓ですが、常用漢字体の圧を使って下さい。

音読みは呉音が『ヨウ』、漢音が『オウ』、慣用音が『アツ』です。際立った力で相手を押さえつけることを圧倒（アットウ）、おさえつける力を圧力（アツリョク）、物質に圧力を加え容積を減らすことを圧縮（アッシュク）、血液が血管を流れるときの圧力を血圧（ケツアツ）といいます。

『圧（アツ）』は小学校5年生で習う漢字http://bit.ly/1ViqkSL です。

　『靨（ヨウ）』yèは、靨（えくぼ）を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、壓（下の方向・くぼむ）＋面（顔の表面）＝靨（顔に出来るへこみ・くぼみ。靨。えくぼ）です。部首は『面・めん』、意味は『靨（えくぼ）』です。

靨（えくぼ）は笑って出来る窪（くぼ）なので笑窪（えくぼ）とも書きます。

音読みは呉音・漢音ともに『ヨウ（エフ）』、訓読みが『靨（えくぼ）』です。贔屓目（ひいいきめ）で人（特に恋愛相手）の短所が長所に見えることを、痘痕（あばた）も靨（えくぼ）といいます。

『靨（ヨウ・えくぼ）』は常用漢字から外れています。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2016/04/post-6d5b.html

『漢字の覚え方 厭』 　圧　厭　靨

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.えんせい（　　　）感。

2.相手を あっとう（　　　）。

3.よくあつ（　　　）される。

4.痘痕（あばた）も えくぼ（　　　　）。

解説です。基本の漢字は厭、圧（アツ）は土を足して壓・圧、靨（えくぼ）は面を足して靨です。

解答です。厭世、圧倒、抑圧、靨、笑窪。

漢字の覚え方 寅

　漢字には『単語家族』と呼ばれる発音・意味上の漢字の仲間があります。今日は『寅（イン）』yínという字を基本とした『単語家族』を説明します。音読みは『イン』か『エン』、この『単語家族』には寅、演、縯、という漢字が含まれます。

『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『寅』に何を足したら演、縯になるのかを考えてます。演は小学校5年生で習う漢字、寅は人名用漢字です。学年、学校に関係なく一緒に覚えましょう。

　『寅（イン）』yínは、家の中で矢をまっすぐに伸ばす様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、宀（家）＋矢（や・まっすぐ）＋臾（両手）＝寅（家の中で、矢をまっすぐに伸ばす。まっすぐに伸ばす）です。漢字の部首は『宀・うかんむり』、漢字の意味は『まっすぐに伸ばす』、『居住まいを正す』です。

寅（とら）は『まっすぐに伸ばす』を表す会意文字で生物の発生の季節3月(旧暦の1月）を表すといわれています。

中国を中心とした東アジアの世界では、子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉 戌 亥の十二支を使って暦、時刻、方角を表しました。数字でもなんでもない漢字の順番を覚えるの大変です。そこで、神様に新年の挨拶に来た十二種類の動物になぞらえて、十二支を宛てて覚えたのです。

寅（とら）は、暦（平成10年、平成22年・3月）、時刻(午前4時）、方角(東北東）を表します。また、北東の方角を丑寅（うしとら）といい、陰陽道で鬼のでる方角とされています。

虎（寅・とら）は三番目に挨拶に来た動物と覚えるわけです。

ちなみに一番目は牛の背中に乗ってきた鼠（子・ねずみ）、十二番目は勢いよく走ってきて、神様の前を通り越してしまった猪（亥・いのしし）です。

音読みは呉音・漢音ともに『イン』です。訓読みは『寅（とら）』です。慎み、かしこまることを寅畏（インイ）といいます。

寅（イン）は人名用漢字です。

　『演（エン）』yǎnは、述べる様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵（水）＋寅（引き延ばす）＝演（水が流れるようによどみなく述べる。演じる）です。漢字の部首は『氵・さんずい』、漢字の意味は『述べる』、『演じる』です。

音読みは呉音・漢音ともに『エン』です。見物の前で芝居などの技を演じることを演技（エンギ）、大勢の人の前で意見を展開させてのべることを演説（エンゼツ）、脚本をもとに俳優の演技・舞台・照明などを総合して作品に携わることを演出（エンシュツ）といいます。

演（エン）は小学校5年生 で習う漢字です。

　『縯（エン）』yǎnは、長く引きのばす様子・おし広める様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、糸（いと）＋寅（引き延ばす）＝縯（糸のように長く引きのばす。おし広める）です。漢字の部首は『糸・いと』、漢字の意味は『長く引きのばす』、『おし広める』です。

音読みは呉音・漢音ともに『エン』です。一般的な事柄から特殊的な事柄におし広める考え方を縯繹（エンエキ）といいます。

縯繹（エンエキ）は常用漢字の演繹（エンエキ）と書くのが普通です。この場合は『述べる』、『演じる』の意味ではなく、『おし広める』の意味です。

有名な例としては、

A：人間は死ぬものである。（一般的な事柄）

B:○○は人間である。

C:○○は死ぬ。（特殊的な事柄）

逆に、帰納（キノウ）というのは、個別の事柄から大原則に帰（かえ）り、納（おさ）める考え方を言います。

有名な例としては、

A①：人間○○は死んだ。（個別の事柄）

A②：人間××は死んだ。（個別の事柄）

A③：人間△△は死んだ。（個別の事柄）

B:人間は死ぬものである。（大原則）

縯（エン）は常用漢字から外れています。

　『瞚（シュン）』shùnは、瞚（またた）く様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、目（め）＋寅（矢・一瞬）＝瞚（矢のように一瞬、目を瞚（またた）く）です。漢字の部首は『目・めへん』、漢字の意味は『瞚（またた）く』です。

音読みは呉音・漢音ともに『シュン』、訓読みは『瞚（またた）く』です。目を開いたり閉じたりすることをを瞚（またた）くといいます。

瞚（またた）くは瞬（またた）くhttp://bit.ly/1wf5OEl と書くのが普通です。この場合は『瞬（シュン）』の影響を受けて『瞚（シュン）』の音読みになっています。本字は『瞚（シュン）』であると解説（白川）する人もいます。

瞚（シュン）は常用漢字から外れています。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/post-318c.html

『漢字の覚え方 寅』 寅 縯 演 瞚

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.とら（　　）年。

2.えんしゅつ（　　　）家。

3.えんぜつ（　　　）会。

4.えんえき（　　　）方。

解説です。基本の漢字は寅、演（エン）じるは氵（さんずい）を足して演、縯(押し広める）は糸を足して縯、瞚（またた）くは目を足して瞚です。

解答です。寅、演出、演説、縯繹、演繹。

漢字の覚え方 㕣

　今日は『㕣（エン）』yànという漢字の『単語家族』について説明します。基本になる漢字は『㕣』です。川が低い所へ流れる様子を表しています。㕣、沿、鉛、船などがこの漢字の『単語家族』です。

『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『㕣』に何を足すと沿、鉛、船になるのか考えます。船は小学校2年生で習う漢字 、沿は小学校6年生で習う漢字 、鉛は中学生 で習う常用漢字です。学校、学年に関係なく一緒に覚えましょう。

　『㕣（エン）』yànは、川が低い所へ流れる様子を表す漢字です。漢字の足し算では、八（分かれる）＋口（穴・低い）＝㕣（川が低い所へ流れる）です。漢字の部首は『口・くち』、漢字の意味は『川が低い所へ流れる』です。『㕣』は単独で使う事はありませんが、沿、船、鉛の音符（漢字の音読みと意味を表すパーツ）として重要です。

　『沿（エン）』yánは、川や道路に沿う様子を示す形声文字です。漢字の足し算では、氵（水）＋㕣（川・水路）＝沿（川に沿う。沿う）です。漢字の部首は『氵・さんずい』、漢字の意味は『沿う（そう）』です。

音読みは呉音・漢音ともに『エン』です。訓読みは『沿う（そう）』です。岸に沿うで沿岸（エンガン）、海に沿うのを沿海（エンカイ）、沿（そ）うと革（あらた）めるで遷り変りを沿革（エンカク）、川に沿うで川沿い（かわぞい）です。

『沿（エン・そう）』は小学校6年生で習う漢字 です。

　『船（セン）』chuánは、川に沿って進む船を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、舟＋㕣（川が低い所へ流れる）＝船（川に沿って進む船）です。漢字の部首は『舟・ふね』意味は『ふね』です。舟は丸木舟を表した象形文字です。一般的に、小型のものを舟、大型のものを船、さらに大型のものを舶としています。

音読みは呉音・漢音ともに『セン』、訓読みは『ふね』です。船員（センイン）、船舶（センパク）、客船（キャクセン）、船酔い（ふなよい）、屋形船（やかたぶね）の船です。

舟（ふね）の種類ですが、漢字の世界では細かく分類しています。

艇（テイ）はまっすぐ進む速いふね　『漢字の覚え方 廷』http://bit.ly/1FLcD6f

舟（シュウ）は小さいふね　　　　　　 『漢字の覚え方 舟』http://bit.ly/1DFvsUm

艦（カン）は戦う大きなふね　　　 　　『漢字の覚え方 監』http://bit.ly/25ApacQ

船（セン）はやや大きなふね　　　　  『漢字の覚え方 㕣』http://bit.ly/1vmpZDd

舶（ハク）は海を渡るふね　       　　『漢字の覚え方 白』 http://bit.ly/1rkEIHJ

艦 艇 （カンテイ）、船 舶 （センパク）、艦 船 （カンセン）、舟 艇（シュウテイ）。漢字は二字で安定し、聞いた時に解かり易いので組み合わせて使うことがあります。

『船（セン・ふね）』は小学校2年生で習う漢字です。

　『鉛（エン）』qiānは、鉛（なまり）Pbを漢字にした形声文字です。鉛は融点（ユウテン）が327℃低く、熱すると液体状になるため、鉛の漢字があてられます。漢字の足し算では、金（金属）＋㕣（流れる）＝鉛（融点が低く液体になる金属。鉛）です。漢字の部首は『金・かねへん』、意味は『鉛（なまり）』です。

音読みは呉音・漢音ともに『エン』です。訓読みは『鉛（なまり）』です。亜鉛（アエン）、黒鉛（コクエン）、鉛筆（エンピツ）の鉛です。

『鉛（エン・なまり）』は中学生 で習う常用漢字です。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-5351.html

『漢字の覚え方 㕣』 船 沿 鉛

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.会社の えんかく（　　　　）。

2.かわぞ（　　　　）いの散歩道。

3.えんがん（　　　　）警備隊。

4.えんかい（　　　　）フェリー。（羽幌⇔天売・焼尻）

5.ふなよい（　　　　）する。

6.大型 きゃくせん（　　　　）。

7.せんぱく（　　　）免許。

8.なまり（　）色の空。

9.ノートと えんぴつ（　　　　）。

解説です。基本の漢字は㕣、沿うは氵（さんずい）を足して沿、川に沿って進む船は舟をたして船、流れるような金属・鉛は金を足して鉛です。

解答です。沿革、川沿い、沿岸、沿海、船酔い、客船、船舶、鉛、鉛筆

漢字の覚え方 燕

漢字には『単語家族』と呼ばれる発音・意味上の漢字の仲間があります。今日は『燕（エン・つばめ）』yànという字を基本とした『単語家族』を説明します。この『単語家族』には燕（エン）、嚥（エン）、讌（エン）という漢字が含まれます。

『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『燕』に何を足したら嚥、讌になるのかを考えます。燕、嚥、讌を一緒に覚えてしまいましょう。

　『燕（エン・つばめ）』yànという漢字ですが、燕（つばめ）が飛翔（ヒショウ）する姿を描いた象形文字（ショウケイモジ）です。廿は頭、ヒは翼（つばさ）、口は胴体、灬は火ではなく尾の形です。漢字の部首は『灬・れっか』です。また、『燕』は古代中国の国名としても有名です。漢字の意味は『燕（つばめ）』、『子育て』、『安らか』です。子育てが上手な鳥で、『安らか』な意味があります。

音読みは呉音・漢音ともに『エン』、訓読みは『つばめ』です。燕雀（エンジャク）、燕尾服（エンビフク）、燕の巣（つばめのす）、燕返し（つばめがえし）の燕です。

『燕（エン・つばめ）』は常用漢字からは外れています。

つばめは玄鳥（つばめ）とも書きます。玄は細い糸を表し『黒い』、『幻』の意味があります。つばめの色が黒いので、玄鳥（つばめ）と書くのです。

　『嚥（エン）』yànは、燕のようにごっくと飲む様子を表す漢字です。漢字の足し算では、口＋燕（つばめ）＝嚥（燕のようにごっくと飲む。のむ）です。漢字の部首は『口・くちへん』です。

飲み下（くだ）すこと、飲み込むことを嚥下（エンカ・エンゲ）といいます。『嚥（エン）』は常用漢字からは外れています。

嚥下（エンカ・エンゲ）は咽下（エンカ・エンゲ。咽喉で飲み下す）とも書きます。原因の因は『元になる』の意味があり、咽（イン）は口の元で咽喉（のど）は表す漢字です。興味のある方は『漢字の覚え方 因』http://bit.ly/1EOhSlT をご覧ください。

医学用語では嚥下（エンゲ）と読ませます。また、英語の『swallowing』からでしょうか、咽下でなく、書くのが難しい嚥下の漢字を好んで使うようです。

　『讌（エン）』yànは、酒盛りをする様子を表す漢字です。漢字の足し算では、言（会話）＋燕（安らか）＝讌（良い感じで言葉を交わし酒盛りをする。うちとけてくつろぐ）です。

音読みは呉音・漢音ともに『エン』です。漢字の成り立ちは違いますが、『宴』と同じ意味を表す漢字です。讌会（エンカイ）の讌です。『讌（エン）』は常用漢字から外れています。

『宴（エン）』については 『漢字の覚え方 安』をご覧ください。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-a3c9.html

『漢字の覚え方 燕』 燕 嚥

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.えんび（　　　　）服。

2.つばめ（　　　　）の巣。

3.薬を えんか・えんげ（　　　　）する。

4.えんかい（　　　　）を楽しむ。

解説です。基本漢字は燕、のむは口を足して嚥です。

解答です。燕尾、燕、嚥下、咽下、宴会、讌会