漢字の覚え方 一
漢字には基本漢字に点や線などを合わせて造られた指事と呼ばれる文字、基本漢字に別の漢字をあわせた形声と呼ばれる文字があります。今日は『一(イチ)』yīというを基本漢字に点をあわせた指事文字と別の漢字を合わせた形声文字を紹介します。一を基本漢字とした指事文字には上、下という漢字があり、一を使った形声文字に百、千があります。
『指事文字』や『形声文字』は漢字は足し算で表わす事が出来ます。『一』に何を足したら上、下、百、千になるのかを考えます。一、上、下、百、千は小学校1年生習う常用漢字(日常で使う2136字)です。一緒に覚えましょう。
『一(イチ)』yīは、占(うら)ないに用いる算木(サンぎ)一本の映像を漢字にした指事文字(シジモジ)です。漢字の部首は『一・いち』、漢字の意味は『ひとつ』、『同じ』、『ある』です。漢字では、一から四までの数字を、算木を増やす映像で表現しています。
音読みは呉音が『イチ』、漢音が『イツ』。訓読みは『一(ひと)』、『一(ひとつ)』です。一日(イチニチ・ついたち)、一番(イチバン)、一致(イッチ)、一見(イッケン)、一人(ひとり)の一です。
呉音の『チ』韻は、漢音では『ツ』韻に変わることがあります。中国中古の『チ』・『ツ』韻は入声音と呼ばれ、漢字を輸入したわが国には残っていますが、中国では宋から元のモンゴル帝国時代に無くなったといわれており(藤堂)、現在の北京語では『イー』yī になっています。
非常に縁起の良い漢字で『おさむ』、『か』、『かず』、『かた』、『かつ』、『くに』、『さね』、『すすむ』、『たか』、『ただ』、『ち』、『のぶ』、『はじむ』、『はじめ』、『ひ』、『ひじ』、『ひで』、『ひと』、『ひとし』、『まこと』、『まさし』、『もと』、『もろ』と広く名前に使われます。
一(イチ・ひとつ)は小学校1年生で習う漢字 です。象形・指事・会意・形声 一年生 もご覧ください。
一を使った漢字に上(ジョウ)、下(ゲ)、百(ヒャク)、千(セン)があります。
『上(ジョウ・ショウ)』shàngという漢字は、線の上に点を打って上を表した指事文字(シジモジ)です。漢字の部首は『一・いち』、漢字の意味は『上(うえ)』、『上(かみ)』、『上げる(あげる)』、『上る(のぼる)』です。
音読みは呉音が『ジョウ』、漢音が『ショウ』です。訓読みは『上(うえ)』、『上(うわ)』、『上(かみ)』、『上げる(あげる)』、『上る(のぼる)』です。上限(ジョウゲン)、上流(ジョウリュウ)、上下(ジョウゲ・ショウカ・うえした)、風上(かざかみ)、上手(ジョウズ・うわて・かみて)の上です。
上(ジョウ・ショウ・うえ・かみ)は小学校1年生で習う漢字 です。
『下(ゲ・カ)』xiàという漢字は、線の下に点を打って下を表した指事文字(シジモジ)です。漢字の部首は『一・いち』、漢字の意味は『下(した)』、『下(しも)』、『下げる(さげる)』、『下りる(おりる)』です。
音読みは呉音が『ゲ』、漢音が『カ』、訓読みは『下(した)』、『下(しも)』、『下げる(さげる)』、『下る(くだる)』、『下りる(おりる)』です。下限(カゲン)、下流(カリュウ)、下界(ゲカイ)、下山(ゲザン)、上下(ジョウゲ・ショウカ・うえした)、風下(かざしも)、下見(したみ)、値段を下げる(さげる)、下手(へた)の下です。下手(へた)は常用漢字の付表にある特別な読み方です。
下(ゲ・カ・した・しも)は小学校1年生で習う漢字です。
『百(ヒャク)』bǎiは、白に一を足した漢字で、数字の百を表す形声文字です。既存の漢字に一を足して数を表す漢字に百・千があります。漢字の足し算では、一+白=百(十の十倍。ヒャク)です。漢字の白は音を表しているだけといわれています(藤堂)。漢字の部首は『白・しろ』、意味は『百(ヒャク)』、『多くの』です。
白川先生は百に一を加えた指事文字としています。
音読みは呉音が『ヒャク』、漢音が『ハク』、訓読みは『もも』です。百回(ヒャッカイ)、百薬(ヒャクヤク)、百代(ヒャクダイ)、百合(ゆり)の百です。大変縁起の良い漢字で人名・地名に使われています。
百合(ゆり)という漢字ですが、多くの鱗茎(リンケイ)が合わさっている根をもつため百合と書くようです。大和言葉(やまとことば)のゆりは揺れる(ゆれる)からといわれています。
非常に重要な漢字で、百地(ももち)、百里(ヒャクリ)、八百津(やおつ)、八百善(やおゼン)、百子(ももこ)、小百合(さゆり)など地名、人名、屋号に良く使われ、お目出度い漢字の一つです。
百は小学校1年生で習う漢字 です。
また、百は白と同じ漢字の仲間です。詳しくは 『漢字の覚え方 白』をご覧ください。
『千(セン)』qiānは、人の姿を示した形声文字です(諸橋・白川)。古い字体では人に一を足して千と書きます。千は1000という数詞を意味します。人がどんどん進むからと千を表したものともいわれています(藤堂)。このような漢字の用法を仮借(カシャ)といます(藤堂・落合)。漢字の足し算では、一+人=千(百の十倍。セン)です。漢字の部首は『十・じゅう』です。
人は人間の行為全般を示しますが、千、億のように数を示す漢字にも使われます。 『漢字の覚え方 人』 もご覧ください。
音読みは呉音・漢音ともに『セン』で、訓読みは『ち』です。千金(センキン)、千里(センリ)、千歳(センザイ・ちとせ)の千です。大変縁起の良い漢字で、千葉(ちば)、八千代(やちよ)、千代(ちよ)、千沙(ちさ)など人名・地名に使われています。
千(セン・ち)は小学校1年生で習う漢字 です。
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参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.いちばん( )。
2.意見の いっち( )。
3.じょうりゅう( )かりゅう( )。
4.じょうげ( )の区別。
5.かざかみ( )かざしも( )。
6.ひゃっかい( )。
7.やおや( )。
8.値 せんきん( )。
9.ちば( )県。
解説です。基本の漢字は一、上(うえ)は点を上に足して上、下(した)は点を下に足して下、百(ヒャク)は白を足して百、千(セン)は人を足して千です。
解答です。一番、一致、上流、下流、上下、風上、風下、百回、百階、八百屋、千金、千葉。