今日は『正(ショウ・セイ)』zhèngという漢字の『単語家族』について説明します。基本になる漢字は『正』です。真っ直ぐ歩く様子を表す漢字です。正、征、政、整、証、症、定、錠、掟、綻、碇、淀などがこの漢字の『単語家族』です。
『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。ここでは基本漢字の『正』に何を足すとどんな漢字になるのか漢字(楷書体)の構成を考えます。正は小学校1年、整、定は3年、政、証は5年、征、症、綻、錠は中学校で習います。一緒にまとめて覚えてしまいましょう。
『正(セイ・ショウ)』zhèngは、目標に向かって真っ直ぐ進む様子を表す会意文字です(藤堂)。漢字の足し算では、一(目標)+止(足のかたち。進む)=正(目標に向かって真っ直ぐ進む。真っ直ぐ。正しい)です。漢字の部首は『止・とめる』、意味は『真っ直ぐ』、真っ直ぐからの『正しい』、『正式』、『ちょうど』です。
古い形の甲骨文字では、城壁に足を向けた形になっていて(落合)攻撃する・征服するの意味に使われていました。

音読みは呉音が『ショウ』、漢音が『セイ』です。訓読みが『正しい(ただしい)』、『まさ』です。正解(セイカイ)、正常(セイジョウ)、正月(ショウガツ)、正夢(まさゆめ)の正です。
『正(セイ・ショウ)』は小学校1年生で習う漢字です。
呉音の『ショウ』は漢音の『セイ』になることがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音もご覧ください。
『征(セイ・ショウ)』zhēngは、征服する様子を示す形声文字です。漢字の足し算では、彳(ぎょうにんべん・行く)+正(目標に向かって進む)=征(進んで征服する)です。漢字の部首は『彳・ぎょうにんべん・』、意味は『征服する』です。

音読みは呉音が『ショウ』、漢音が『セイ』です。征服(セイフク)、遠征(エンセイ)、征伐(セイバツ)の征です。
『征(セイ)』は中学校で習う常用漢字です。
『政(セイ・ショウ)』zhèngは、正しく行う政治を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、正+攵(ぼくづくり・動作。行為)=政(正しく行う。政治)です。漢字の部首は『攵・ぼくづくり』、意味は『正しく行う政治』です。

音読みは呉音が『ショウ』、漢音が『セイ』です。訓読みが『まつりごと』です。政治(セイジ)、政府(セイフ)、家政(カセイ)、摂政(セッショウ)の政です。
『政(セイ・ショウ)』は小学校5年生で習う漢字です。
『整(セイ)』zhěngは、正しく整える様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、敕(引き締める)+正=整(引き締めて正す。正しく整える)です。部首は『攵・ぼくづくり』、意味は『整(ととの)える』です。

音読みは呉音が『ショウ』、漢音が『セイ』です。訓読みは『整(ととの)える』です。整理(セイリ)、整備(セイビ)、整列(セイレツ)、調整(チョウセイ)の整です。
『整(セイ)』は小学校3年生で習う漢字です。
『証(ショウ)』zhèngは、正しい言葉。証(あかし)を表す形声文字です。漢字の足し算では、言(言葉)+正=証(正しい言葉。あかし)です。部首は『言ごんべん』、意味は『証(あかし)』です。『證』の代用字としても使われてきました。
『證(ショウ)』zhèngは、言葉を登録する様子を表す漢字です。漢字の足し算では、言(言葉)+登(登録する・申す)=證(言葉を登録する。裏付ける。あかし)です。部首は『言ごんべん』です。漢字の成り立ちは違いますが意味の同じ漢字です。

音読みは呉音・漢音ともに『ショウ』です。訓読みは『証・證(あかし)』です。証券・證券(ショウケン)、証人(ショウニン)、証拠・證拠(ショウコ)の証です。
『証(ショウ)』は小学校5年生で習う漢字です。
『登』は画数が多いので『燈』が『灯』、『證』が『証』と代用字が良く使われます。
『症(ショウ)』zhèngは、病気の兆候・症状を表す形声文字です。漢字の足し算では、疒(病気)+正(まさしく)=症(まさしく病になるところ。病気の兆候。症状)です。部首は『疒・やまいだれ』、意味は『症状』です。

音読みは呉音・漢音ともに『ショウ』です。症状(ショウジョウ)、花粉症(カフンショウ)の症です。『症』は中学校で習う常用漢字です。
『定(ジョウ・テイ)』dìngは、定(さだ)まった様子を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、宀(屋根・家)+正(正しい)=定(家の中に正しく定まる。定まる)です。部首は『宀・うかんむり』、意味は『定まる(さだまる)』、『きまり』、『動かない』です。

音読みは呉音が『ジョウ』、漢音が『テイ』です。訓読みが『定まる(さだまる)』です。定規(ジョウギ)、定義(テイギ)、決定(ケッテイ)、安定(アンテイ)の定です。
『定(ジョウ・テイ)』は小学校3年生で習う漢字です
『錠(ジョウ)』dìngは、定める金具・錠を表す形声文字です。漢字の足し算では、金(金属)+定(定める)=定(定める金具。戸締りをする金具。錠)です。漢字の部首は『金・かねへん』、意味『錠(ジョウ)』です。また、我が国では平たく固めた薬も『錠(ジョウ)』と呼びます。


音読みは呉音の『ジョウ』が普通で、漢音の『テイ』は使いません。錠前(ジョウまえ)、錠剤(ジョウザイ)の錠です。『錠』は中学校で習う常用漢字です。
鍵(ケン・かぎ)は錠(ジョウ)に真っ直ぐ入れる金属を意味します。詳しくは『漢字の覚え方 建』をご覧ください。
落語ですhttp://bit.ly/1SMPwh4 もご覧ください。
『綻(タン)』zhànは、布の糸が解けて中があらわれる様子・蕾(つぼみ)が開く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、糸(糸を抜く)+定(定める)=綻(定められた糸を抜くように綻びる。定められた花が次々と咲き始める。咲き始める。綻びる)です。漢字の部首は『糸・いとへん』、意味『綻(ほころ)びる』です。
同じ意味の『袒(タン・はだぬぐ)』tǎnに通じ、音読みが『タン』になっています。

音読みは呉音が『デン』で、漢音『タン』、訓読みは『綻(ほころ)びる』です。布の糸が解けて中があらわれる様子を表します。破綻(ハタン)、花が綻(ほころ)びるの綻です。
『綻(タン)』は平成22年より中学生で習う漢字になりました。
『掟(ジョウ)』dìngは、人(扌)が定めた掟(おきて)を表す形声文字です。漢字の足し算では、扌(手・人の動作)+定(定める)=掟(人が動かぬように定めた掟。おきて)です。漢字の部首は『扌・てへん』、意味『掟(おきて)』です。

読みは呉音が『ジョウ』、漢音が『テイ』、訓読みは『掟(おきて)』です。天の定めた掟(おきて)を天掟(テンテイ)といいます。
『掟(ジョウ・おきて)』は中学校で習う常用漢字からは外れています。
『碇(テイ)』dìngは、石でつくられた碇(いかり)を表す形声文字です。漢字の足し算では、石(いし)+定(定める)=碇(石でつくられた船が動かぬように定めた碇。いかり)です。漢字の部首は『石・いしへん』、意味『碇(いかり)』です。

読みは呉音が『チョウ』、漢音が『テイ』、訓読みは『碇(いかり)』です。碇(いかり)を入れて船が泊ることを碇泊・停泊(テイハク)といいます。
碇(いかり)は錨(いかり)http://bit.ly/1CD1iRZ とも書きます。
『碇(テイ・いかり)』は常用漢字からは外れています。
『淀(デン)』diànは、水が動かない場所を表す形声文字です。漢字の足し算では、氵(水)+定(動かない)=淀(水が動かない場所。淀み)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、意味『淀(よど)み』です。

同じ意味の『澱(デン・よどむ)』dianの影響を受けて、音読みが『デン』になっています。
読みは呉音が『デン』、漢音が『テン』、訓読みは『淀(よど)』です。琵琶湖から流れ大阪湾に注ぐ一級河川を淀川(よどがわ)といいます。淀川(よどがわ)と呼ばれる下流域では流れが遅く水がよどんでいたため名付けられたといわれています。
淀(よど)みは澱(よど)みとも書きます。
『淀』は人名用漢字です。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-6035.html
『漢字の覚え方 正』 正 征 政 整 証 症 定 錠 掟 綻 碇 淀
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.問題の せいかい( )。
2.まさゆめ( )を見る。
3.えんせい( )に出る。
4.せいじか( )を志す。
5.机の上の せいり( )。
6.しょうけん( )会社。
7.法廷で しょうげん( )する。
8.かふんしょう( )。
9.鉛筆と じょうぎ( )。
10.政権が あんてい( )。
11.風邪薬の じょうざい( )。
12.財政はたん( )。
13.おきて( )を破る。
14.船が ていはく( )する。
15.よどがわ( )。
解説です。正しいは一に止の正、目標に向かって行くは征、正しい行為は攵を足して政、ランプはは火で整、正しい言葉で證、正しい登録で証、正に(まさに)病気で症、家の中に正しく定まるで定、錠剤は金を使って錠、綻(ほころ)びるは糸を足して綻で、掟(おきて)は扌(てへん)、碇(いかり)は石、淀(よど)は氵(さんずい)を足します。
解答です。正解、正夢、遠征、政治家、整理、證券、証券、証言、花粉症、定規、安定、錠剤、破綻、掟、碇泊、停泊、淀川。