小学校4年生で習う漢字①(愛~極)
小学校4年生で習う漢字を説明します。『小学校4年生で習う漢字①』(愛~極)と 『小学校4年生で習う漢字②』(訓~信)、 『小学校4年生で習う漢字③』(成~念)、 『小学校4年生で習う漢字④』(敗~録)に分割しています。ご了承下さい。
漢字の説明の前に、漢字の成り立ちの話をしましょう。最古の漢字辞書は後漢(西暦100年頃)の許慎(キョシン)の「説文解字(セツモンカイジ)」です。許慎はその中で漢字の成り立ちについて、四種類あるとしました。中学の教科書に掲載されるようになったので、解説致します。
①.物の形を象った(かたどった)『象形文字』(ショウケイモジ)、②.象形文字を基に点を打つことにより示された『指事文字』(シジモジ)、③.文字を組み合わせて造った『会意文字』(カイイモジ)、④.意味と音を示す文字を組み合わせた『形声文字』(ケイセイモジ)の四種です。『会意文字』と『形声文字』は漢字の足し算で表す事が出来ます。四年生の漢字については一覧にしてありますので象形・指事・会意・形声 四年生も御覧ください。
漢字の成り立ちについての解釈は四通りです。どの時代の漢字に重点を置くか、また「説文解字(セツモンカイジ)」にどれほど敬意を払うかにより、解釈が違う場合が稀にあります。ある辞書では『見』を象形文字、別の辞書では目+儿の会意文字としています。漢字の解釈については諸説あることを御承知下さい。
『愛(アイ)』àiは、心が切ない様・愛(いと)しい様子を表わす形声文字です。漢字の足し算覚えるならば、旡(胸を詰まらせる)+心+夂(足をひきずる・ひざまずく)=愛(足を跪くほど、胸を詰まらせるほど愛しい。いとしい。アイ)です。漢字の部首は『心・こころ』、意味は『愛(アイ)』、『愛(いと)しい』、『愛(め)でる』です。
音読みは呉音が『オ・アイ』、漢音が『アイ』、訓読みは常用外の『愛(いと)しい』、『愛(め)でる』です。愛(いと)しい心情を愛情(アイジョウ)、国を愛することを愛国(アイコク)、愛することと憎むことを愛憎(アイゾウ)といいます。
常用外の読み方とは、中学校の義務教育までには習わない読み方です。中学までの国語の授業では使いません。
非常に良い意味の漢字で『あい』、『あき』、『さね』、『ちか』、『ちかし』、『つね』、『なり』、『なる』、『のり』、『ひで』、『まな』、『めぐむ』、『やす』、『よし』、『より』と広く名前に使われます。
愛(アイ)の漢字の仲間には曖(アイ)、噯(アイ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 愛』をご覧下さい。
漢字学者の藤堂はこのような漢字の仲間について『単語家族』と表現していました。『単語家族』とは同し音を持ち、共通したイメージを持つ漢字の仲間のことです。『系列単語』という人もいます。
『案(アン)』ànは、机・考えるを表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、安(落ち着いた)+木=案(肱を落ち着かせる机。考える)です。漢字の部首は『木・き』、漢字の意味は『つくえ』、『考える』です。この机は肘掛(ひじかけ)の様な机です。『考える』の意味では『按』と同じです。
音読みは呉音・漢音ともに『アン』です。内容を考えて導くことを案内(アンナイ)、考えるべき事件を案件(アンケン)、思い考えるのを思案(シアン)、考えた答えが答案(トウアン)です。
案(アン)は安(アン)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 安』をご覧下さい。
『以(イ)』yǐの元になる漢字『㠯(イ)』yǐを説明致します。耜(すき)を表す象形文字です。『用いる』の意味があります。また、『以(イ)』yǐの異体字にもなっています。
『以(イ)』yǐは、人が耜(すき)を持って仕事をする様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、㠯(耜・すき)+人=以(人が耜を持って仕事をする)です。漢字の部首は『人・ひと』、意味は『仕事をする』から転じて『用いる』、『~をもってする』、『おもう』、『ゆえに』、『~より』です。異体字に『㠯(イ)』yǐがあります。
音読みは呉音・漢音とも『イ』です。訓読みは常用外の『以(もっ)て』があります。これより前を以前(イゼン)、これより未来を以来(イライ)・以降(イコウ)、それより上を以上(イジョウ)、思うことにはを以為(おもえらく)といいます。
『以(イ)』の『単語家族』には、似(ジ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 以』をご覧ください。
『衣(エ・イ)』yīという漢字は、衣服の襟(えり)の部分を象った(かたど)象形文字(ショウケイモジ)です。亠の部分が奥襟、衣の下の部分が前の襟です。主に上着の事です。漢字の部首は『衣・ころも』です。
下半身の衣服は『裳(ショウ)』( 衣+尚で長い服の意味)と言います。上下合わせて衣裳(イショウ)です。ただ現在では 衣装(イショウ) と書きます。『装』の字は装う(よそおう)の意味で『裳』の代用字です。『装』は小学校6年生で習い、『裳』は中学でも習わないので、イショウと言えば衣装と書きます。
『衣』の音読みは呉音が『エ』、漢音が『イ』、訓読みは『ころも』、『きぬ』です。変った読み方では浴衣(ゆかた)というのもあります。
音読みの呉音とは今から1500年ほど前に中国の宋王朝などの南朝から輸入した漢字の読み方です。漢音とは、遣唐使が唐から輸入した漢語の読み方です。
呉音が『エ』の場合、漢音では『イ』と読むことがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音もご覧ください。
衣(エ・イ)の『単語家族』には、依(エ・イ)、哀(アイ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 衣』をご覧ください。
『位(イ)』wèiは、儀式で人が所定の位置に立ち並ぶ姿を会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、イ(人間)+立(立つ)=位(人が所定の位置に立つ。位置につく。位。くらい)です。漢字の部首は『イ・にんべん』です。漢字の意味は『位置につく』、『位(くらい)』、『等級』、『程度・量』です。
音読みは呉音・漢音ともに『イ』、訓読みは『位(くらい)』です。役人としての位(くらい)を官位(カンイ)、社会的(地)な立場を地位(チイ)、物の量を表す基準として決めた量を単位(タンイ)、君主の跡を継いで位置に立つことを即位(ソクイ)といいます。
非常に縁起の良い漢字で、『くら』、『ただ』、『たか』、『ただし』、『つら』、『なり』、『のり』、『ひこ』、『ひなた』、『ひら』、『み』と名前に使われます。
位(イ)は立(リュウ)を用いた漢字です。詳しくは詳しくは『漢字の覚え方 立』をご覧ください。
『囲(イ)』wéiは、城壁をとり囲んで攻める様子を示す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、口(かこむ)+韋(城壁)=圍、囲(城壁を取り囲んで攻める。囲む)です。漢字の部首は『口・くにがまえ』です。
本来は『圍(イ)』という字ですが、囲という簡単な漢字が常用漢字に登録されています。囲の方を覚えてください。
音読みは呉音が『エ』、漢音が『イ』、訓読みは『囲(かこ)む』です。包囲(ホウイ)、囲碁(イゴ)の囲です。また、囲はとり囲(かこ)む長さを表します。範囲(ハンイ)の囲はこの用法です。
囲(イ)の『単語家族』には、緯(イ)、偉(イ)などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 韋』をご覧ください。
『胃(イ)』wèiは、胃を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、田(米の入った胃袋)+月(身体)=胃(食べ物の入る袋。胃袋。い)です。漢字の部首は『月・にくづき』、漢字の意味は『胃袋(イぶくろ)』、『円(まる)い』です。
田はこの場合田畑ではなく、米の入った口(袋)を表しています。
音読みは呉音・漢音ともに『イ』です。胃と腸を胃腸(イチョウ)、胃の炎症を胃炎(イエン)といいます。
胃(イ)の『単語家族』には、謂(イ)、蝟(イ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 胃』をご覧ください。
『印(イン)』yìnは、押さえつける様子・印(イン)を押す様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、E(手)+卩(ひざまづいた人)=印(手で人をひざまずかせる。転じて抑え付ける。印を押す)です。漢字の部首は『卩・ふしづくり』、漢字の意味は『抑え付ける』、『印を押す』、『印(しるし)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『イン』、訓読みは『印(しるし)』です。心にあるイメージ(象)を押しつけられることを印象(インショウ)、版型を押しつけて刷(す)ることを印刷(インサツ)、郵便物の消息を伝える印を消印(けしイン)、書物を印刷して世に出すことを印行(インギョウ)、書物の著作権からえるお金を印税(インゼイ)といいます。
印の『単語家族』には、抑(ヨク)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 印』をご覧ください。
『英(エイ)』yīngは、中央のはっきりした花を漢字にしたものです。花ですからすぐれているの意味があります。漢字の足し算で覚えるならば、艹(植物)+央(円い・真ん中)=英(真ん中の花。はな)です。部首は『艹・くさかんむり』、意味は『すぐれている』、『イギリス』です。
音読みは漢音が『エイ』が普通で、呉音の『ヨウ』は使いません。訓読みは常用外の『はなぶさ』です。英雄(エイユウ)、英国(エイコク)、英断(エイダン)、英一蝶(はなぶさいっちょう)の英です。良い意味の漢字なので、『あきら』、『ひで』、『はな』、『すぐる』、『よし』と名前に良く使われる漢字です。
英は央の『単語家族』です。この『単語家族』には、映、瑛などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 央』をご覧ください。
『栄(エイ)』róngは、花が木いっぱいに華やかに咲いている様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、(火+火+冖)+木=榮・栄(たくさんの火で明るく囲まれているように華やかに花が咲く。栄える)です。漢字の部首は『木・き』、漢字の意味は『栄(さか)える』、『栄(は)える』です。
音読みは呉音が『ヨウ』、漢音が『エイ』、訓読みは『栄(さか)える』、『栄(は)える』です。華やかに栄えることを栄華(エイガ)、はなはなだしい名誉を栄誉(エイヨ)、栄えることと衰えること栄枯(エイコ)といいます。
栄はの『単語家族』です。営(エイ)、労(ロウ)などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 栄』をご覧ください。
『塩(エン)』yánは、塩(しお)を表す形声文字です。本字は鹽(エン)で、監(みる。水の中に現れる)+鹵(結晶)=鹽(点々と現れてくる結晶した塩。しお)です。書くのが大変なので、土+囗(結晶)+皿(水の中)=塩(海水を煮詰めたり、土の上に浮いてくる塩の結晶。塩。しお)と書きます。漢字の部首は『土・つち』、漢字の意味は『塩(しお)』、『塩素(エンソ)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『エン』、訓読みは『塩(しお)』です。塩分濃度の高まりでおこる災害を塩害(エンガイ)、人間の生活に欠かせない米と塩を米塩(ベイエン)、塩素との化合することを塩化(エンカ)、イカなどを塩漬けにした発酵食品を塩辛(しおから)といいます。
塩(エン・塩水の中から現れる結晶)は監(カン・水の中に見えるもの)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 監』をご覧ください。
『億(オク)』yìは、人の考えられる最大の数を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、イ(にんべん・人)+意(心の動き・考え)=億(人の考えられる最大の数)です。漢字の部首は『イ・にんべん』です。1000万の十倍を『億(オク)』と言います。
人が予想(兆・きざし)も出来ないような大きな数を『兆(チョウ)』といいます。
音読みは呉音が『オク』、漢音が『ヨク』です。億兆(オクチョウ)は、大変多くの人で人民を表し、億劫(オックウ)は、もともと仏教の言葉でとてつもない長い時間を表し、現在では面倒を表します。
縁起の良い漢字で『おく』、『はかる』、『やす』と名前に使われます。
億(オク)は音(オン)の『単語家族』です。この『単語家族』には、意(イ)、憶(オク)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 音・意』をご覧ください。
『加(カ)』jiāという漢字は、田畑を耒(すき)で耕し、生産力を加えることを示す会意(カイイ)文字です。田畑を耕す時に人は祝器である口(サイ)を添えるといわれています。
会意文字とは漢字と漢字を合わせた漢字の事です。漢字の足し算で覚えるならば、力(ちから・耒)+口(サイ・祝)=加(田畑に生産力を加える)です。漢字の部首は『力・ちから』です。田畑だけに限定せずに、あらゆるものに『くわえる』ことを『加』という漢字で表現します。
映像ではこんな感じです。篆文(テンブン)と呼ばれる古い書体も載せておきます。カが耒(すき)を表しているのがわかります。ちなみに耒を使った漢字に耕作の『耕』があります。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『カ』です。訓読みは『加(くわ)える・加(くわ)わる)』です。増加(ゾウカ)、加減(カゲン)、加入(カニュウ)、参加(サンカ)、添加(テンカ)の加です。
また、『加』の漢字の成り立ちですが、『力』を手の筋肉の様子、『口』を口(くち)で元気付けるの意味にとる解釈もあります。意味は同じで『加える(くわえる)・加わる(くわわる)』です。
加(カ)の『単語家族』には、架(カ)、賀(ガ)、伽(カ)などの仲間のがあります。詳しくは『漢字の覚え方 加』をご覧ください。
『果(カ)』guǒは、木になっている果実の姿を漢字にした象形文字です。漢字の部首は『木』、意味は『実』、『中身』、『丸い』、実の成るから転じた『結果』、『果て』があります。
音読みは呉音・漢音ともに『カ』、訓読みは『果(は)たす』、『果(は)て』です。果実(カジツ)、結果(ケッカ)、成果(セイカ)、果物(くだもの)の果です。
『課(カ)』kèは、仕事の区分を表す形声文字です。漢字の足し算では、言(言葉)+果(結果)=課(結果のよしあしを言う。調べる。仕事の区分)です。部首は『言・ごんべん』、意味は『仕事の区分』、『仕事の割り当て』です。会社、役所で使います。ちなみに病院では『科(カ)』を使います。
音読みは呉音・漢音ともに『カ』です。割り当てた項目を課目(カモク)、割り当てた税金を課税(カゼイ)、日々の割り当てを日課(ニッカ)、仕事の区分の長を課長(カチョウ)といいます。
果(カ)、課(カ)は果(カ)の『単語家族』です。顆(カ)、裸(ラ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 果』をご覧ください。
『貨(カ)』huòは、化(かわる)に貝(財貨)を足した形声文字です。漢字の足し算では、化(姿がかわる。ばける)+貝(財貨)=貨(姿を変える貝。お金)です。お金は色々なものに姿を変えるからです。漢字の部首は『貝』、意味は『お金』です。
貨は貝が使われているので主に金貨・銀貨・銅貨です。幣は布が使われているので布製・紙製のお札を指します。両方あわせて貨幣(カヘイ)です。
音読みは呉音・漢音ともに『カ』です。訓読みはありません。財宝と貨幣で財貨(ザイカ)、貨幣を殖やすで貨殖(カショク)、貨幣と荷物で貨物(カモツ)、金貨と幣(紙・布のお金)で貨幣(カヘイ)、珍しいお金で奇貨(キカ)です。
貨(カ)は化(カ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 化』をご覧ください。
『芽(ガ)』yáは、二枚の葉が互い違いに芽生える様子を漢字にしたものです。漢字の足し算で覚えるならば、艹(植物)+牙(くいちがう)=芽(互い違いに葉が出る様子。芽)です。艹(くさかんむり)と牙を組み合わせた漢字で、(ガ)の音・声の影響受けているので形声文字(ケイセイモジ)と呼ばれています。漢字の部首は『艹・くさかんむり』です。
音読みは漢音が『ガ』です。訓読みは『め』です。発芽(ハツガ)、胚芽(ハイガ)、麦芽(バクガ)、木の芽(きのめ)、新芽(シンめ)の芽です。
芽に関しは、薔薇の芽を読んだ短歌があります。
くれないの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨の降る 正岡子規
春先には薔薇(ばら)は新しい芽(め)が出てきます。新しい芽は紅(くれない)色です。薔薇の棘ですが、まだかたくなくてまだ柔らかいのです。全体の薔薇の高さは二尺ですから60cm程でしょうか。そこへ柔らかい春雨が降っています。そんな情景でしょうか。
芽(ガ)は牙(ガ)の『単語家族』です。芽(ガ)の他には雅(ガ)なのど漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 牙』をご覧ください。
『改(カイ)』gǎiは、やり直す様子を表す形声文字です。 己に『きづく』、『やり直す』イメージがあり、動作を示す漢字である攵(ぼくづくり)を合わせた漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、己(やりなおす)+攴・攵(ぼくづくり・動作)=改(あらためる)です。漢字の部首は『攵・ぼくづくり』。意味は『改(あらた)める)』です。
動作を表す攵(ぼくづくり)は、篆文で攴(ボク)pū、楷書体では攵(ボク)pūのデザインをとります。
音読みは『カイ』、訓読みは『改(あらた)める』、『改(あらた)まる)』です。善く改めるで 改善(カイゼン)、改めて修理するで 改修(カイシュウ)、心を改めるで 改心(カイシン)などと使います。
改(カイ)は己(コ)の『単語家族』です。改の他には記(キ)、紀(キ)などが同じ『単語家族』の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 己』をご覧ください。
『械(カイ)』xièは、罪人の両手にはめる戒めの道具を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、木(木製)+戈(ほこ)+廾(両手)=械(罪人の両手にはめる戒めの道具。械。かせ。転じて道具)です。漢字の部首は『木・き』、意味は『械(かせ)』、『道具』です。
音読みは呉音が『ゲ』、漢音が『カイ』です。訓読みは常用外の『械(かせ)』があります。現在では、規模大きくて複雑な道具を機械(キカイ)、規模が小さい道具・仕掛けを器械(キカイ)といいます。
械(カイ)は戒(カイ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 戒』をご覧ください。
『害(ガイ)』hàiは、進んでくるものを止める様子表す漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、宀(屋根・板・盾)+丰(進む)+口(頭)=害(進んでくるものを盾で止める。邪魔をする。転じて傷つける)です。漢字の部首は『宀・うかんむり』、意味は『とめる』、『生命を断つ』、『傷つける』、『災い』、『邪魔をする』です。
音読みは呉音が『ガイ』、漢音が『カイ』、訓読みは常用外(普段使わない用法)の『害(そこな)う』です。生命を断つことを殺害(サツガイ)、他人を傷つけようとする気持ちを害意(ガイイ)、気温が冷たくて作物などを害(そこな)うことを冷害(レイガイ)といいます。
害(ガイ)の『単語家族』には割(カツ・刀でとめる)、轄(カツ・車どめ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 害』をご覧ください。
『街(ガイ)』jiēは、綺麗に道路が整っている街を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、行(交差点・行く)+圭(綺麗)=街(綺麗に道路が整っている街。まち)です。漢字の部首は『行・ぎょうがまえ』、意味は『街(まち)』です。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『カイ』、慣用音が『ガイ』です。訓読みは『街(まち)』です。街の大通り・中央と地方を結ぶ道を街道(カイドウ)、街の通り・通りの旁(かたわら)を街頭(ガイトウ)、街の大通りを街路(ガイロ)といいます。
街(ガイ)は圭(ケイ)の『単語家族』です。この『単語家族』には桂(ケイ)、佳(カ)など同じく『綺麗』のイメージを持った漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 圭』をご覧ください。
『各(カク)』gèという漢字は、人が石に躓(つまづ)いた様子を表した文字です。漢字の足し算では、夂(人の足)+口(石)=各(人が石に躓く。つっかかる)です。漢字の部首は『口・くち』、漢字の意味は『つっかかる』、『おのおの』です。
各々(おのおの)というのは 映像にしてみると『つっかえつっかえ』という感じです。各だけでもおのおのと読みます。
石ではなく、神様が御神酒、祝器(口・サイ)に舞い降りてきた様子を表すという説もあります。ようするに『つっかかる。つかえて止まる』という状態を『各』は表現しています。
音読みは呉音・漢音ともに『カク』、訓読みは『おのおの』です。各位(カクイ)、各論(カクロン)、各(おのおの)、各々(おのおの)の各です。
各(カク)の『単語家族』には客(キャク)、落(ラク)などがあります。同じく『つっかえる』というイメージを持った漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 各』 をご覧ください。
『覚(カク)』juéは、目で見て覚える様子を表す漢字です。。漢字の足し算では、爻(交わる)+両手(両手)+冖(覆う)+見=覺・覚(生徒と先生の交わりの中で見て覚える)です。漢字の部首は『見・みる』です。
意味は『見て覚える』のほかに、一瞬で見て覚える『認識する・悟る』、『目が覚める』の意味があります。常用漢字体の覚を使います。
音読みは呉音・漢音ともに『カク』です。古い時代の読み方に、呉音『キョウ』、漢音『コウ』がありましたが、我が国では使いません。訓読みは『覚(おぼ)える』、『覚(さ)める』です。視覚(シカク)、自覚(ジカク)、覚悟(カクゴ)、発覚(ハッカク)、覚醒(カクセイ)、目覚(ざ)め、見覚(おぼ)えの覚です。
悟り、目覚めを表す良い意味の漢字で、『あき』、『あきら』、『さだ』、『さと』、『さとし』、『さとる』、『ただ』、『ただし』、『よし』と名前に使われます。
覚(カク)は爻(コウ)の『単語家族』です。この『単語家族』には交(コウ)、学(ガク)など同じく『交わる』のイメージを持った漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 爻・交』をご覧ください。
『完(カン)』wánは、欠け目のない丸い建物・城の様子を示す漢字です。漢字の足し算では宀(建物)+元(丸い)=完(欠け目のない丸い建物・城。攻める隙間のない建物。全うする)です。部首は『宀・うかんむり』です。意味は『欠け目のない丸い建物』、『完璧な建物』、『全うする』、『終わりにする』です。
また元を『元服する』の意味に限定し、『元服をする神聖な建物』、『少年時代の完了』と解釈する説もあります。
音読みは呉音が『ガン』、漢音が『カン』です。完璧(カンペキ)、完了(カンリョウ)、完成(カンセイ)の完です。
完璧(カンペキ)というのは、①傷のない宝石、②欠点のないこと、③借りたものを大事に持って帰り使命をはたすこと。の意味があります。③は中国の戦国時代の知将、藺相如(リンショウジョ)が璧(ヘキ・宝石)を持って秦に使いに行き、璧を無事持ち帰った故事によります。
完(カン)は元(ガン・ゲン)の『単語家族』です。玩(ガン)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 元』をご覧ください。
『官(カン)』guānは、官僚を表す漢字です。漢字の足し算では、宀(うかんむり・屋根)+㠯(つみかさね・軍事の祭肉)=官(公的な館に集まった役人。官僚)です。部首は『宀(うかんむり)』、㠯については、阜(つみかさね)や師(軍事の祭肉を司る将官)など諸説あります。公的な館に集まった役人を『官』といいます。意味は『役人』・『取り囲む建物・役所』と『はたらき』の意味があります。
音読みは呉音・漢音ともに『カン』です。『役所・役人』の意味で、外交官(ガイコウカン)、官吏(カンリ)、長官(チョウカン)、官舎(カンシャ)、仕官(シカン)などの単語があり、『はたらき』の意味で器官(キカン)などの単語があります。
『管(カン)』guǎnは、竹製の管(くだ)を漢字にした形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、竹+官(取り囲む)=管(竹製のくだ)です。部首は『竹(たけかんむり)』、意味は『くだ』、『管状の楽器』です。『取り囲む』、『取り締まる』、『取り締まる範囲』の意味もあります。『取り締まる範囲』の意味で使うことが多いです。
音読みは呉音・漢音ともに『カン』、訓読みは『くだ』です。血管(ケッカン)、試験管(シケンカン)、管楽器(カンガッキ)、管理(カンリ)、保管(ホカン)、管(くだ)を巻くの管です。
官(カン)、管(カン)は同じ『単語家族』で、他には菅(カン)、館(カン)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 官』をご覧ください。
『関(カン)』guānは、左右の門を丱(かんざし・かんぬき)でつなげる様子を表す漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、門+幺(糸・つなぐ)+丱(かんぬき)=関・關(門を丱(かんぬき)でつなぐ。関係づける。関係する。関わる)です。漢字の部首は『門・もんがまえ』、漢字の意味は『関(かか)わる』、『関(せき)』、『関(かんぬき)』、『仕掛け』です。
關が正字で、関は俗字ですが、我が国では現在、常用漢字になっています。
音読みは呉音が『ケン』、漢音が『カン』、訓読みは『関(かか)わる』、『関(せき)』、常用外の『関(かんぬき)』です。関(かんぬき)の鍵を関鍵(カンケン)、関所の東を関東(カントウ)、機械の仕掛けを機関(キカン)、かかわることを関係(カンケイ)といいます。
関(かか)わるは係(かか)わるとも書きます関係(カンケイ)は同じ意味の漢字を並べた熟語です。
非常に重要な漢字で『せき』、『とおる』、『み』、『もり』と地名・人名に使われます。関は丱 の漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 丱』 もご覧ください。
『観(カン)』guānという漢字は、『 そろえたものを比べてみる』、『見比べる』、『見比べて考える』といった漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、雚(そろえる)+見(見る)=觀・観(見比べて考える)です。
音読みは呉音・漢音ともに『カン』、訓読みは『観(み)る』です。観察(カンサツ)、観光(カンコウ)、観劇(カンゲキ)、主観(シュカン)、観衆(カンシュウ)、観音(カンノン)様、芝居を観る(みる)の観です。見た後に考える時に使う漢字です。觀は旧字体で、常用漢字体では観と書きます。
漢字の世界では『みる』について、多くの字があり、ニュアンスの違いがあります。
見(み)る 目立つ。目に止まる。現れる。見(ケン)http://bit.ly/ZCbIEZ
視(み)る 真っ直ぐ視る。注意して視る。視(シ)http://bit.ly/1Vps6QQ
看(み)る 手をかざして看る。よくみる。看(カン)http://bit.ly/1Z5TbdM
診(み)る 細かいところまですみずみまでみる。診(シン)http://bit.ly/1ygC0wK
察(み)る すみずみまでみる。察(サツ)http://bit.ly/1zwPD77
覧(み)る 高い所から下を覧る。覧(ラン)http://bit.ly/25ApacQ
臨(のぞ)む 高い所から下を臨む。臨(リン)http://bit.ly/1WvVxot
監(み)る 上から下のものをみて、みさだめる。監(カン)http://bit.ly/25ApacQ
観(み)る 多くのものを比べて観る。批評する。観(カン)http://bit.ly/11kw1b1
眺(なが)める 右に左にと広く見渡す。眺(チョウ)http://bit.ly/1vDDgri
望(のぞ)む 遠くの見えにくいものをもとめみる。望(ボウ)http://bit.ly/1v84fty
知恵をもって遍く世間を観(み)、苦しんでいる人々を救う菩薩(ボサツ)様を観音(カンノン)様といいます。電子機器メーカーのキヤノンは観音(カンノン)様に因(ちな)んだ社名で有名です。
観(カン)は雚(カン)の『単語家族』です。勧(カン)、歓(カン)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 雚』をご覧ください。
『願(ガン)』yuànは、一心(イッシン)に願う様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、原(原泉。一つの源)+頁(頭)=願(一心に求め、願う。希望する)です。漢字の部首は『頁・おおがい』、意味は『願う(ねがう)』です。
音読みは呉音が『ゴン』、漢音が『ゲン』、慣用音が『ガン』、訓読みは『願(ねが)う』です。志願(シガン)、願望(ガンボウ)、願書(ガンショ)、念願(ネンガン)、悲願(ヒガン)の願です。
願(ガン)は原(ゲン)、源(ゲン)などと同じ厂(ガン)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 厂』をご覧ください。
『希(キ)』xīは、布を細かく織って行く(乂)様子を表す漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、乂(交差する)+布=希(布を織って行く。細かく織る。うすい。希。のぞみ)です。漢字の部首は『巾・はば』、漢字の意味は『細かい』、『少ない』、『希(まれ)』から転じて、『のぞむ』です。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『キ』、訓読みは常用外の『希(まれ)』、『希(のぞみ)』です。非常に希(まれ)で少ないことを希少(キショウ)、代(よ)にも希なことを希代(キダイ・キタイ)、願うことを希望(キボウ)、珍しい本を希書(キショ)、極めて稀にあることを希有(ケウ)といいます。
良い意味の少ない状態に使う漢字です。『まれ』、『のぞみ』と名前に使われます。
呉音が『ケ』の場合、漢音では『キ』と読むことがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音 もご覧ください。
希(キ)の『単語家族』には稀(キ)、絺(チ)、鯑(かずのこ)などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 希』をご覧ください。
『季(キ)』jìは、穀物のとれる時季を表した会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、禾(イネ)+子(収穫)=季(穀物のとれる時季。秋の時季。一年の四分の一)です。季は穀物の実る秋の三カ月を表しますが、春、夏、秋にも使われます。漢字の部首は『子・こ』です。意味は『三カ月』、『兄弟の年少者』、『実る』です。
古代中国では、一年の四分の一を季、二十四分の一を節としました。合わせて季節(キセツ)です。
音読みは呉音・漢音ともに『キ』です。季節(キセツ)、季語(キゴ)、四季(シキ)の季です。収穫に関係した、大変良い漢字で、『き』、『すえ』、『とき』、『とし』、『ひで』、『みのる』と名前に使われます。
季(キ)は禾(カ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 禾』をご覧ください。
『紀(キ)』jìという漢字は、糸偏を使って『順序良く始める』、『順序良く仕事する』、『順序良くしるす』の意味に使います。糸を巻き始めるそのもので、『始める』です。日本書紀の紀は日本の歴史の書き始めです。漢字の足し算では、糸+己(はじめる)=紀(糸巻きのはじめ。始める)です。漢字の部首は『糸』です。漢字の意味は『始める』、『紀(しる)す』、『筋道・のり』、『正しい』、『重要な』です。
音読みは漢音の『キ』が普通で、呉音が『コ』は使いません。訓読みは常用外に『紀(しる)す』があります。建国した元になる最初を紀元(キゲン)、旅行中の出来語を紀(しる)したものを紀行(キコウ)、年代の初めから百年を世紀(セイキ)、日本の歴史の書き始めを日本書紀(ニホンショキ)、要点を紀(しる)したものを紀要(キヨウ)といいます。
物事の始め、筋道、正しさを表す非常に良い意味の漢字で、『あき』、『おさ』、『おさむ』、『かず』、『かなめ』、『こと』、『しるす』、『すみ』、『ただ』、『ただし』、『つぐ』、『つな』、『とし』、『のり』、『はじめ』、『もと』、『よし』と広く地名・人名に使われます。
紀(キ)は己(コ)の『単語家族』です。紀の他には記(キ)、改(カイ)などが同じ『単語家族』の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 己』をご覧ください。
『喜(キ)』xǐは、太鼓を叩いて喜ぶ様子を表す漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、壴(太鼓)+口(楽しんで言う・歌う)=喜(太鼓を叩いて喜ぶ。よろこぶ)です。漢字の部首は『口・くち』、漢字の意味は『喜(よろこ)ぶ』です。
音読みは呉音が『コ』、漢音が『キ』、訓読みは『喜(よろこ)ぶ』です。喜び怒り哀しみ楽しみを喜怒哀楽(キドアイラク)、非常に喜ぶことを歓喜(カンキ)といいます。
非常に良い意味の漢字で『たのし』、『のぶ』、『はる』、『ひさ』、『ゆき』、『よし』と名前に使われます。
喜(キ)は壴(コ・チュウ)の『単語家族』で、鼓(コ)、樹(ジュ)などが同じ『単語家族』の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方壴』をご覧ください。
『旗(キ)』qíは、四角い旗(はた)を表した形声文字です。漢字の足し算では、方丿一(吹流し)+其(四角)=旗(四角い形の旗。旗)です。漢字の部首は『方』、漢字の意味は『旗』です。
音読みは漢音が『キ』、呉音が『ギ』、訓読みが『はた』です。国旗(コッキ)、旗手(キシュ)、反旗(ハンキ)、白旗(しろはた)、旗本(はたもと)の旗です。
旗(キ)は其(キ)の『単語家族』です。旗の他には期(キ)、基(キ)などが同じ『単語家族』の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 其』をご覧ください。
『器(キ)』qìは、色々な器(うつわ)を表す会意文字です。漢字の足し算では、口(入れ物)×4+犬(種類の多い)=器(色々な器。うつわ)です。漢字の部首は『口・くち』、意味は『器(うつわ)』、『才能』です。
音読みは呉音・漢音ともに『キ』、訓読みは『器(うつわ)』です。土で造った器を土器(ドキ)、心の広さ・才能・顔のかたちを器量(キリョウ)、役に立つ道具・細かい仕事をうまくすることを器用(キヨウ)、小規模な道具を器械(キカイ)といいます。
大器晩成(タイキバンセイ・タイキはおそくなる)とは、大きな器はすぐに出来ないように、大人物は世に出るまで時間がかかるという四字熟語です。
器(キ)は口に関係のある漢字です。『漢字の覚え方 口』もご覧ください。
『機(キ)』jīは、機(はた)を表す形声文字です。漢字の足し算では、木(木製品)+幺幺戈人(幾・細かい仕組み)=機(木製の細かい仕組みを人が動かす。機(はた)、仕組み、細かい働き)です。漢字の部首は『木・きへん』、漢字の意味は『機(はた)』、『仕組み』、『細かい働き』、『きっかけ』、『心の動き』です。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『キ』、訓読みは『機(はた)』です。動力を用いて操作する装置を機械(キカイ)、あるものが備えているはたらきを機能(キノウ)、重要な細かい秘密を機密(キミツ)、物事をするのに良いきっかけを機会(キカイ)、良い悪いなどの心の動きを機嫌(キゲン)といいます。
呉音が『ケ』の場合、漢音では『キ』と読むことがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音もご覧ください。
機(キ)は幾(キ)の『単語家族』で、磯(キ)、畿(キ)などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 幾』をご覧ください。
『議(ギ)』yìは、正しい筋道の話し合いを示す漢字です。漢字の足し算では、言(言葉)+義(正しい筋道)=議(正しい筋道の話し合い)です。部首は『言・ごんべん』、意味は『話し合う』、『批評する』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ギ』です。訓読みは常用外の『議る(はかる)』があります。会議(カイギ)、議論(ギロン)、抗議(コウギ)、不思議(フカシギ)の議です。
議は我の『単語家族』です。義、儀、蛾などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 我・義』をご覧ください。
『求(キュウ)』qiúは、毛皮を引き締めるように纏う様子を漢字にした象形文字です。漢字の部首は『水』、意味は『引き締める』、『求める』、『身にまとう』です。
音読みは漢音が『キュウ』、呉音が『グ』です。訓読みは『求める(もとめる)』です。要求(ヨウキュウ)、追求(ツイキュウ)、請求(セイキュウ)の求です。
『求める』という意味の良い漢字で、『き』、『ひで』、『まさ』、『もと』、『もとむ』、『もとめ』、『やす』と多くの名前に使われます。
『救(キュウ)』jiùは、引き締めて救う様子を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、求(引き締める)+攵(動作)=救(引き締めて救う。すくう)です。部首は『攵・ぼくづくり』、意味は『救う』です。
音読みは漢音の『キュウ』が普通で、呉音の『ク』は使いません。訓読みは『救(すく)う』です。救急(キュウキュウ)、救護(キュウゴ)、救難(キュウナン)、救助(キュウジョ)の救です。
『救(すく)う』という意味の良い漢字で、『すけ』、『たすく』、『なり』、『ひら』、『やす』と多くの名前に使われます。
求(キュウ)、救(キュウ)は求(キュウ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 求』をご覧ください。
『泣(キュウ)』qìは涙の粒(つぶ)を流す姿を表す会意文字です。 漢字の足し算で覚えるならば、氵(水)+粒(つぶ)=泣(涙の粒を流す。泣く。なく)です。漢字の部首は『氵・さんずい』です。漢字の意味は『泣(な)く』です。
読みは呉音が『コウ』、漢音が」『キュウ』、訓読みは『泣(な)く』です。大声をあげて(号)涙を流す(泣)ことを号泣(ゴウキュウ)、泣いて訴えることを泣訴(キュウソ)といいます。
大声をあげて哭(な)くのは『哭(コク)』といいます。
泣(キュウ)は立(リュウ)の『単語家族』です。笠(リュウ)、粒(リュウ)について詳しくは『漢字の覚え方 立』をご覧ください。
『給(キュウ)』jǐ、gěiは元々は繭(まゆ)から糸を合わせる様子を表す漢字です。漢字の足し算では糸(糸)+合(合う。集める)=給(糸を合わせる。転じて継ぎ足す。与える)です。部首は『糸』、意味は『継ぎ足す』、『与える』です。
ちなみに『繭(ケン・まゆ)』という漢字は艹(桑・くわの葉上)に糸(蚕・かいこの蛹)と虫(蚕・かいこの幼虫)が乗っている映像です。
音読みは漢音の『キュウ』が普通で、呉音の『コウ』は使いません。訓読みは『給う(たまう)』です。給与(キュウヨ)、補給(ホキュウ)、給食(キュウショク)、支給(シキュウ)、恩給(オンキュウ)の給です。
給(キュウ)は合(ゴウ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 合』をご覧ください。
『挙(キョ)』jǔは、高く持ち上げる・取り上げる様子を表す漢字です。漢字の足し算では、與(両手。ともに)+手=擧・挙(両手で高く持ち上げる・取り上げる。挙げる。あげる)です。漢字の部首は『手・て』、漢字の意味は『高く持ち上げる』、『取り上げる』、『事を興す』、『ふるまい』、『みなで』です。
音読みは呉音が『コ』、漢音が『キョ』、訓読みは『挙(あ)げる』です。手を高く上げることを挙手(キョシュ)、選ばれて取り上げられることが選挙(センキョ)、式を挙げることを挙式(キョシキ)、国民みなを挙国(キョコク)といいます。
擧(キョ)は、常用漢字体の挙(キョ)と書くのが普通です。非常に良い意味の漢字で『しげ』、『たか』、『たつ』、『ひら』と名前に使われます。
挙・擧(キョ)は與(ヨ)と同じ仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 舁』をご覧ください。
『漁(ギョ)』yúは、魚を捕る様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、氵(さんずい・水)+魚(さかな)=漁(水辺で魚を捕る。りょう)です。漢字の部首は『氵・さんずい』です。
音読みは漢音の『ギョ』が普通で、呉音の『ゴ』は使いません。猟師(リョウシ)との混同から来た慣用音の『リョウ』があります。漁具(ギョグ)、漁業(ギョギョウ)、漁夫之利(ギョフのリ)、漁師(リョウシ)、不漁(フリョウ)の漁です。
漁は魚の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 魚』をご覧ください。
『共(キョウ)』gòngは、両手を差し出すささげ持つ様子を漢字にした会意文字です。漢字の足し算では、廿(ジュ・二十・物の形)+廾(両手)=共(左右の手に物を持ちささげる。共に。ともに)です。漢字の部首は『八・はち』、漢字の意味は『一緒に』、『ともに』、『両手で』です。
白川・藤堂は左右の手に物を持ちささげる形で会意文字とし、鎌田は指事文字と解しています。
音読みは漢音の『キョウ』が普通で、呉音の『ク・クウ』は使いません。訓読みは『とも』です。共学(キョウガク)、公共(コウキョウ)、共鳴(キョウメイ)、共済(キョウサイ)の共です。
共(キョウ)の『単語家族』には、拱(キョウ)、洪(コウ)などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 共』をご覧ください。
『協(キョウ)』xiéは、力を合わせる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、十(合わせる)+劦(力と力と力を足す)=協(力を合わせる)です。漢字の部首は『十・じゅう』、漢字の意味は『力をあわせる』、『かなう』です。『協』の異体字に『叶』があります。
音読みは呉音は『ギョウ』、漢音が『キョウ』です。訓読みは常用外の『協(かな)う』です。力を合わせてことにあたることを協力(キョウリョク)、力を合わせて一緒に働くことを協同(キョウドウ)、相談して約束することを協約(キョウヤク)といいます。
縁起の良い漢字で『かな』、『かなう』、『かのう』、『やす』と地名、名字、人名に使われます。
協(キョウ)は劦(キョウ)の『単語家族』です。この『単語家族』には、脅(キョウ)、脇(キョウ)などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 劦』をご覧ください。
『鏡(キョウ)』jìngは、金(かねへん・金属)に竟(境目)を足したもので、鏡(かがみ)を表す形声文字です。漢字の足し算では、金(かねへん・金属)+竟(境目)=鏡(境目がはっきり映る金属。鏡)です。漢字の部首は『金・かねへん』です。
音読みは『キョウ』、訓読みは『かがみ』です。特別な読み方で『眼鏡』の訓読みを『めがね』といいます。眼鏡(ガンキョウ・めがね)、鏡台(キョウダイ)、望遠鏡(ボウエンキョウ)、手鏡(てかがみ)の鏡です。
眼鏡(めがね)は常用漢字表の付表に掲載されている特別な訓読み、熟字訓(ジュクジクン)です。
『競(キョウ・ケイ)』jìngは、竟(神に祈る。神の返答)×2の映像です。漢字の足し算では、竟(神に祈る。神の返答)+竟(神に祈る。神の返答)=競(二人で神に祈る姿)です。漢字の部首は『立・たつ』です。
二人並んで神に祈る姿からやがて『競う(きそう)』、『くらべる』、『競り合う(せりあう)』の意味になりました。字形的には、音の中の-が抜けた形になっています。書く時に竟竟にならないように注意してください。
『競』の漢字の成り立ちですが、言(言葉)+ル(ひとあし・人間)と解釈し、人が言い争うという説があります。それは篆文(テンブン)の字体では、言と音がほぼ同じ字体であるためです。『言』か『音』かどう採るかによって解釈が違うわけです。篆文とは現在使われている楷書体(カイショタイ)の元になる字体です。
音読みは呉音が『キョウ』、漢音が『ケイ』、訓読みは『競う(きそう)』、『競る(せる)』です。競演(キョウエン)、競技(キョウギ)、競争(キョウソウ)、競走(キョウソウ)、競売(キョウバイ・ケイバイ)、競輪(ケイリン)、競馬(ケイバ)の競です。『競売(キョウバイ)』ですが、法律用語としては『ケイバイ』と読みます。
鏡、競は竟の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 兄・竟』をご覧ください。
『極(キョク)』jíは、木製の軸の両端を表す漢字です。漢字の足し算では木(木製)+亟(両端)=極(木製の軸の両端。軸。中心。両端、極み)です。漢字の部首は『木・きへん』、漢字の意味は『中心』、『末端』、『この上ない』、『軸の両端』です。
音読みは呉音が『ゴク』、漢音が『キョク』、訓読みは『極(きわ)み』、『極(きわ)まる』です。物事のギリギリを極限(キョクゲン)、この上なく小さいことを極小(キョクショウ)、地軸の南の端を南極(ナンキョク)、極めて寒いことを極寒(ゴクカン・ゴッカン)といいます。
極は亟の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 亟』をご覧ください。
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、下記の本をお読みください。
篆文(テンブン)を中心にした体系的な記述・韻の説明は、諸橋轍次先生の『新漢和辞典』、藤堂明保先生の『漢字源』・『漢字の過去と未来』を参考にさせて頂いてます。
甲骨文字・金文のもつ呪術的な解釈には白川静先生の『字通』・『字統』・『漢字』・『中国古代の文化』を参考にさせて頂いています。
漢字の伝来や常用漢字の解釈については、大島正二先生の『漢字伝来』、高島俊男先生の『漢字と日本人』を参考にさせて頂いています。
日本語については、金田一京助先生の『日本語の変遷』、大野晋先生の『日本語の文法を考える』、新村出先生の『広辞苑』を参考にさせて頂いております。
最近の研究については、落合淳思先生の『漢字の成り立ち』を参考にさせて頂いております。
医学用語については伊藤正男・井村裕夫・高久史麿先生の『医学大辞典』を参考にさせて頂いております。