漢字の覚え方 丰
今日は丰(ホウ)、豊(ホウ)、夆(ホウ)、峰(ホウ)、逢(ホウ)、縫(ホウ)、峰(ホウ)、蜂(ホウ)、蓬(ホウ)、邦(ホウ)、封(フウ)という漢字について説明します。基本の漢字は『丰(ホウ)』fēngで、読み方は『ホウ』、共通した意味は『穂の先の三角に稔る』、『豊かに茂る』、『三角』、『三角にとがる』です。
艶(エン)については音が違いますが、ここでは一緒に覚えるためにまとめて扱っております。
漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。『丰(ホウ)』に何を足すとどんな漢字になるのかを考えます。小学校5年生で豊を習い、峰、蜂、縫、邦、艶、封は中学校で習う常用漢字、逢、峯、蓬は人名用漢字、丰、夆は常用漢字から外れていますが、漢字の足し算で一緒に覚えましょう。
『丰(ホウ)』fēngは、草の穂が△型に茂る様子を表す象形文字です。漢字の部首は『亅・たてぼう』、漢字の意味は『穂の先の三角に稔る』、『豊かに茂る』、『三角』、『三角にとがる』です。
音読みは呉音が『フウ・フ』、漢音が『ホウ』です。我が国では、丰(ホウ)の漢字を使うことはありませんが、豊(ホウ)、夆(ホウ)、峰(ホウ)、逢(ホウ)、縫(ホウ)、峰(ホウ)、蜂(ホウ)などの漢字の構成要素になっています。
丰(ホウ)は常用漢字から外れています。
『夆(ホウ)』féngは、人が左右両方から近付いて峠の頂点で出逢う様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、夂(足・歩く)+丰(三角)=夆(人が峠の頂点で出会う。逢う)です。漢字の部首は『夂・ちかんむり』、漢字の意味は『夆(あ)う』です。
白川は神が降り立つ様子を表しているとしています。
音読みは呉音が『フウ・フ』、漢音が『ホウ』、訓読みが『夆(あ)う』です。夆(あ)うについては『辶・しんにょう』を加えた『逢(あ)う』を使うのが普通です。
夆(ホウ)は常用漢字から外れています。
『逢(ホウ)』féngは、人が左右両方から近付いて出逢う様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、辶(すすむ)+夆(あう)=逢(左右両方から近付いて出逢う。バッタリ逢う)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、漢字の意味は『出逢う』、『バッタリ逢う』、『思いがけずに逢う』などです。
音読みは呉音が『ブ』、漢音が『ホウ』、訓読みは『逢(あ)う』です。出会ってしまうことを逢着(ホウチャク)、愛し合う男女が人目を避(さ)けて逢(あ)うことを逢(あ)い引(び)き、愛し合う男女がひそかに逢(あ)う時間を逢瀬(おうせ)といいます。
日本語の『あう』→『おう』の発音になりやすく、漢字の読み方というより発音の問題です。
逢(ホウ)は人名用漢字です。
『縫(ホウ)』féngは、糸で縫(ぬ)う様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、糸(いと)+逢(あう・三角)=縫(糸を使って布を夆(あ)わせる。縫う)です。漢字の部首は『糸・いとへん』、漢字の意味は『縫(ぬ)う』です。
音読みは呉音が『ブ』、漢音が『ホウ』、訓読みは『縫(ぬ)う』です。縫い合わせることを縫合(ホウゴウ)、布を裁(た)って衣服に縫(ぬ)い上げることを裁縫(サイホウ)といいます。
縫(ホウ)は中学生 で習う常用漢字です。
『峰(ホウ)』fēngは、左右の辺が△型に頂上で出会う様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、山(やま)+夆(三角)=峰・峯(左右の辺が△型に頂上で出会う様子。峰。みね)です。漢字の部首は『山・やま』、漢字の意味は『峰(みね)』です。
音読みは呉音が『フウ・フ』、漢音が『ホウ』、訓読みは『峰(みね)』です。山の頂きを峰頂(ホウチョウ)といいます。
逢(あ)うに通じ、縁起の良い漢字で『お』、『たか』、『たかし』、『ね』、『みね』と地名・人名に使われます。峰・峯(みね)は嶺(みね)とも書きます。
異体字の峯(ホウ)は人名漢字になっていて、峰(ホウ)は中学生 で習う常用漢字です。
『烽(ホウ)』fēngは、烽(のろし)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、火(ひ)+夆(三角・山頂)=峰・峯(火が△型に燃え上がる烽。のろし)です。漢字の部首は『火・ひ』、漢字の意味は『烽(のろし)』です。
烽(のろし)は火をつけて烽火(のろし)と書くことが多いです。
音読みは呉音が『フウ・フ』、漢音が『ホウ』、訓読みは『烽(のろし)』です。敵襲などの変事の急報のため高く上げる煙を烽火(ホウカ・のろし)、また、戦争のたとえで烽火(ホウカ)を使います。
杜甫 『春望』 烽火(ホウカ)三月に連 (つら)なり → 戦いはもう何ヶ月も続いている
烽火(のろし)は狼の糞を使ったことから狼煙(のろし)とも書きます。
烽(ホウ・のろし)は常用漢字から外れています。
『蜂(ホウ)』fēngは、蜂(はち)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、虫(むし)+夆(三角)=蜂(女王蜂を中心に△型の集団ををなす蜂。はち)です。漢字の部首は『虫 ・むしへん』、漢字の意味は『蜂(はち)』です。
音読みは呉音が『フウ・フ』、漢音が『ホウ』、訓読みが『蜂(はち)』です。蜂の群れが一斉に飛び立つように事件が起こることを蜂起(ホウキ)、蜂の巣のことを蜂窠(ホウカ)・蜂巣(ホウソウ)、蜜をとるため蜂を飼育することを養蜂(ヨウホウ)といいます。
蜂(ホウ・はち)は中学校で習う常用漢字です。部首索引 虫(むし)も御覧ください。
『蓬(ホウ)』péngは、蓬(よもぎ)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、艹(植物)+逢(三角)=蓬(穂が△型になった植物。蓬。よもぎ)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、漢字の意味は『蓬(よもぎ)』、『もじゃもじゃ』、『仙人の住む山』です。
音読みは呉音が『ブ』、漢音が『ホウ』、訓読みが『蓬(よもぎ)』です。東の海の上にあり仙人の住む山を蓬莱山(ホウライサン)・蓬島(ホウトウ)、髪の毛が乱れてもじゃもじゃな頭を蓬頭(ホウトウ)、よもぎのことを漢語で蓬蒿(ホウコウ)といいます。
蓬(よもぎ)は蒿(よもぎ)とも書きます。
蓬(ホウ・よもぎ)は人名用漢字です。
『豊(豐)(ホウ)』fēngは、作物が豊(ゆたか)かな様子を表す形声文字です。正字は豐、常用漢字体は豊です。漢字の足し算で覚えるならば、丰丰(穀物を高く盛る)+山(高く)+豆(たかつき・器)=豊(豐)(収穫した作物がたかつきの上に一杯である。豊かである。ゆたか)です。漢字の部首は『豆・まめ』、漢字の意味は『豊(ゆた)か』、『作物がよく実る』、『豊臣(とよとみ)氏』です。
中国大陸では簡体字の『丰(ホウ)』fēngを使います。
音読みは呉音が『フ』、漢音が『ホウ』、訓読みが『豊(ゆた)か』です。作物がよく実って収穫が多いことを豊作(ホウサク)、豊かであることを豊富(ホウフ)、豊かで潤(うるお)いのあることを豊潤(ホウジュン)といいます。
大変縁起の良い漢字で、『あつ』、『かた』、『て』、『と』、『とよ』、『のぼる』、『ひろ』、『ひろし』、『みのる』、『もり』、『ゆた』、『ゆたか』、『よし』と姓・名前・地名に使われます。
豊(ホウ)は小学校5年生で習う漢字です。象形・指事・会意・形声 五年生 もご覧ください。
豊(レイ)は豐(ホウ)の省略した字形豊(ホウ)と同じ形ですが、豊(レイ)は豆(たかつき)にお供えを形よく盛った様子を表す漢字を表す別の漢字です。『漢字の覚え方 礼・禮』も御覧ください
『艶(エン)』yànは、艶(あで)やかな様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、豊(ゆたか)+色(いろごと)=艶(色つやが豊かなこと。艶(つや)やか。艶(あで)やか)です。漢字の部首は『色・いろ』、漢字の意味は『艶(つや)』、『艶(あで)やか』、『艶(なま)めかしい』、『艶(うるわ)しい』です。
白川は豔(エン)が本字で、艶(エン)は新たに造られた俗字であるとしています。
音読みは呉音・漢音ともに『エン』、訓読みが『艶(つや)』で、常用外に『艶(あで)やか』、『艶(なま)めかしい』、『艶(うるわ)しい』があります。恋文を艶書(エンショ)、男女の情事に関する噂を艶聞(エンブン)といいます。
艶(エン・つや)は中学生で習うようになった常用漢字 です。
『邦(ホウ)』bāngは、邦(くに)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、丰(三角の盛り土)+阝(領地)=邦(盛り土をした壇上で領有を宣言した領地。邦。くに)です。漢字の部首は『阝・邑・おおざと』、漢字の意味は『邦(くに)』、『領地』、『自国民』です。
読みは呉音が『ハウ』、漢音が『ホウ』、訓読みが『邦(くに)』です。邦の境界・領土を邦域(ホウイキ)、その国の人・外国に住む自国民(日本人)を邦人(ホウジン)、親しい関係にある国を友邦(ユウホウ)といいます。
邦(ホウ・くに)は中学生 で習う常用漢字です。
『封(フウ・ホウ)』fēngは、領土を与える様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、土(国土)+丰(三角の盛り土)=封(領土を与えて領主にする。土を盛り集める。合わせる。手紙の閉じ合わせる)です。漢字の部首は『寸・すん』、漢字の意味は『領土を与えて領主にする』、『土を盛り集める』、『合わせる』、『手紙の閉じ合わせる』です。
楷書体では、土土(国土。三角の盛り土)+寸(手の仕事)=封(領土を与えて領主にする。土を盛り集める。合わせる。手紙の閉じ合わせる)になります。
音読みは呉音が『フウ』、漢音が『ホウ』です。諸侯の領土を封域(ホウイキ)、封をした手紙を封書(フウショ)、出入りや通行を禁止することを封鎖(フウサ)といいます。
似ている漢字に圭(ケイ)があり、やはり三角の盛り土を表します。こちらは綺麗の意味に使う漢字が多いです。
封(フウ)は中学生 で 習う常用漢字です。
『幇(ホウ)』bāngは、両側から助ける様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、封(土を両側から盛り集める)+巾(ぬの)=幇(わらじのひもを通す両側の布の部分。両側から助ける)です。漢字の部首は『巾・はば』、漢字の意味は『わらじのひもを通す両側の布の部分』、『両側から助ける』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ホウ』です。わらじのひもを通す両側の布の部分を鞋幇(アイホウ)、両者の間をとりもつ者を幇間(ホウカン)、脇から力を添えて助けることを幇助(ホウジョ)といいます。
幇(ホウ)は常用漢字から外れています。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2017/09/post-5044.html
『漢字の覚え方 丰』 夆 豊 峰 峯 逢 縫 蜂 烽 邦 艶 封 幇
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.おうせ( )を楽しむ。
2.さいほう( )道具。
3.傷を ほうごう( )する。
4.山の みね( )。
5.のろし( )。
6.各地で ほうき( )する。
7.ようほう( )で蜜をとる。
8.ほうさく( )に恵まれる。
9.タレントの えんぶん( )。
10.在留ほうじん( )の安否。
11.ふうとう( )の中身。
12.道路の ふうさ( )。
13.殺人 ほうじょ( )。
解説です。基本の漢字は丰、夆(あ)うは夂(ちかんむり)を足して夆、逢(あ)うは辶を足して逢、縫(ぬ)うは糸をさらに足して縫、峰・峯(みね)は山を足して峰・峯、蜂(はち)は虫を足して蜂、豊(ゆた)かは丰丰に山と豆を足して豊、艶(つや)かは豊に色を足して艶、邦(くに)は阝(おおざと)を足して邦、封(フウ)は土土に寸を足して封、幇(ホウ)はさらに巾を足して幇です。
解答です。逢瀬、裁縫、縫合、峰、峯、嶺、烽火、狼煙、蜂起、養蜂、豊作、艶聞、邦人、封筒、封鎖、幇助。
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