漢字の覚え方 臤
今日は臤(ケン)、堅(ケン)、樫(ケン)、鰹(ケン)、賢(ケン)、緊(ケン)、緊(キン)、腎(ジン)という漢字について説明します。基本の漢字は『臤(ケン)』qiānで、読み方は『ケン』で『キン』や『ジン』とも読むことがあります。共通した意味は『引き締まる』、『かたい』です。
竪(ジュ)については、音が違いますが、便宜上一緒に扱います。
漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。『臤(ケン)』に何を足すとどんな漢字になるのかを考えます。堅、賢、緊、腎は中学校で習う常用漢字、樫、竪は人名用漢字です。常用漢字(日常使う漢字)の指定に関係なく、漢字の足し算でまとめて覚えてしまいましょう。
最初に臤(ケン)の構成要素の臣(シン)を解説致します。
『臣(シン)』chénは、主君に仕える人を表す象形文字です。家臣が目を臥(ふ)した様子を描いています。漢字の部首は『臣・しん』、漢字の意味は『主君に仕える人』です。
音読みは呉音が『ジン』、漢音が『シン』、訓読みは『臣(おみ)』です。重要な職務にある臣下は重臣(ジュウシン)、忠義な臣下を忠臣(チュウシン)、律令制の太政官の長官・現在の省庁の長官を大臣(ダイジン)といいます。
非常に良い意味の漢字で、『お』、『おか』、『おん』、『きむ』、『しげ』、『たか』、『とみ』、『み』、『みつ』、『みる』と名前に広く使われます。
『臣(シン・おみ)』は小学校4年生で習う漢字です。
『臤(ケン)』qiānは、臣下(シンカ)の身体を緊張させる様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、臣(臣下)+又(手・動作)=臤(臣下(シンカ)の身体を緊張させる様子。しまってかたい。引き締まる)です。漢字の部首は『臣・しん』、漢字の意味は『引き締まる』、『かたい』です。
音読みは呉音が『ケン』、漢音が『カン』です。臤(ケン)の漢字自体を使うことはありませんが、堅、樫、鰹、賢、緊の構成要素になっています。
『臤(ケン)』は常用漢字から外れています。
『堅(ケン)』jiānは、引き締まって堅(かた)い様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、臤(引き締まる)+土(つち)=堅(引き締まって堅い様子。固い)です。漢字の部首は『土・つち』、漢字の意味は『堅(かた)い』、『充実する』です。
漢字の世界では、城(しろ)、 壁(かべ)、塞(とりで)、堀(ほり)など守るに関係した漢字には 土が使われることがあります。万里の長城などに使われる煉瓦(レンガ)などの影響でしょうか。。
音読みは呉音・漢音ともに『ケン』です。訓読みが『堅(かた)い』です。かたくて壊れないこと・厳重であることを堅固(ケンゴ)、堅い果実・しっかりした確かなことを堅実(ケンジツ)、堅く守ることを堅守(ケンシュ)といいいます。
漢字の世界では『かたい』について、ニュアンスの違いがあります。
★しまって堅い・充実してかたい・もろくない場合 堅い木材。手堅い商売。堅い守り。
★枯れて固い・固まってかたい・ゆるくない場合 頭が固い。団結が固い。地盤が固い。
★石のように硬い・軟(やわ)らかくない場合 石が硬い。表情が硬い。文章が硬い。
☆難(むず)しい場合も日本語では難(かた)いと表現することがあります。
難(かた)い 難(むず)しい 易(やさ)しくない場合。 解かり難い。
『堅(ケン・かたい)』は中学生 で習う常用漢字です。
『樫(かし)』は、樫(かし)の木を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、木(樹木)+堅(引き締まって堅い)=樫(引き締まって堅い木。かし)です。漢字の部首は『木・きへん』、漢字の意味は『樫(かし)』です。
樫(かし)は我が国でできた国字で音読みはありません。訓読みは『樫(かし)』です。ブナ科の常緑高木で、材はかたく器具をつくるのに用いられます。また、姥目樫(うばめがし)は備長炭の原料として有名です。
『樫(かし)』は人名用漢字です。
『鰹(かつお)』jiānは、回遊魚の鰹(かつお)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、魚(さかな)+堅(身の引き締まった)=鰹(身の引き締まった魚。鰹。かつお)です。漢字の部首は『魚・さかな』、漢字の意味は『鰹(かつお)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ケン』、訓読みが『鰹(かつお)』です。鰹の身を背割にし、内臓を取り去り、煮て、干したものを鰹節(かつおぶし)といいます。
魚についての漢字は部首索引 魚(うお・さかな) もご覧下さい。
鰹(かつお)は常用漢字から外れています。
『賢(ケン)』xiánは、賢(かしこ)い様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、臤(身の引き締まった)+貝(財貨)=賢(財貨の出入りをしめる。抜け目のない。賢い。徳のすぐれた)です。 漢字の部首は『貝・かい』、漢字の意味は『賢(かしこ)い』、『徳のすぐれた』です。
音読みは呉音が『ゲン』、漢音が『ケン』、訓読みが『賢(かしこ)い』です。徳のすぐれた人物を賢者(ケンジャ)、賢くて物事の道理に通じている人ことを賢明(ケンメイ)といいます。
非常に良い意味の漢字で『かた』、『かつ』、『さか』、『さかし』、『さと』、『さとし』、『さとる』、『すぐる』、『たか』、『ただ』、『ただし』、『とし』、『のり』、『まさ』、『まさる』、『ます』、『やす』、『よし』、『より』と名前に使われます。
賢(ケン・かしこい)は中学生 で習う常用漢字です。
『緊(キン)』jǐnは、堅くしまった糸を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、臤(身の引き締まった)+糸(いと)=緊(堅くしまった糸。かたい。きつい。しまる。さし迫る)です。漢字の部首は『糸・いと』、漢字の意味は『かたい』、『きつい』、『しまる』、『さし迫る』です。
音読みは呉音・漢音ともに『キン』です。糸をピンと張ること・心や行動が引き締まることを緊張(キンチョウ)、厳しくさし迫ることを緊迫(キンパク)、事が重大でさし迫っていることを緊急(キンキュウ)といいます。
緊(キン)は中学生 で習う常用漢字です。
『腎(ジン)』shènは、腎臓(ジンゾウ)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、臤(身の引き締まった)+月(身体)=腎(身の引き締めて精力を蓄える器官。腎臓。ジンゾウ)です。 漢字の部首は『月・にくづき』、漢字の意味は『腎臓(ジンゾウ)』です。
音読みは呉音が『ジン』、漢音が『シン』です。漢方医学では、副腎を含めて腎といい、精力を蓄えてからだを引き締める器官と考えています(藤堂)。五臓の一つで、血液を清め尿を排出する器官です。
大切な肝臓と腎臓のように物事の大切な核を肝腎(カンジン)といいます。肝腎(カンジン)は肝心(カンジン)とも書きます。
腎(ジン)は中学生で習うようになった常用漢字 です。
『竪・豎(ジュ)』shùは、子供が立っている様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、臤(身の引き締める)+立・ 豆(たつ)=竪・豎(身を引き締めて主人の側に立つ。立つ。召使い。召使いの子供)です。 漢字の部首は『立・たつ』・『豆・まめ』、漢字の意味は『立つ』、『竪(たて)』、『召使い』、『召使いの子供』です。
音読みは呉音が『ジュ』、漢音が『シュ』、訓読みが『竪(たて)』です。子供のこと・小僧のことを竪子・豎子(ジュシ)、まっすぐに立つことを竪立・豎立(ジュリツ)といいます。
竪(ジュ)と豎(ジュ)は異体字の関係にありますが、竪(たて)、豎子(ジュシ)と書くことが多いです。
竪(たて)は縦(たて)と書くのが普通です。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/post-b646.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.けんご( )な要塞。
2.けんじつ( )な商売。
3.かし( )の木。
4.かつお( )。
5.けんじゃ( )の石。
6.けんめい( )な判断。
7.きんちょう( )をほぐす。
8.事態は きんぱく( )する。
9.じんぞう( )の検査。
10.かんじん( )要(かなめ)。
11.たてあな( )式住居。
解説です。基本の漢字は臤、堅(かた)いは土を足して堅、樫(かし)は木を足して樫、鰹(かつお)は魚を足して鰹、賢(かしこ)いは貝を足して賢、緊(さし迫る状態)は糸を足して緊、腎臓(ジンゾウ)は月(にくづき)を足して腎、竪(たて)は立を足して竪。
解答です。堅固、堅実、樫、鰹、賢者、賢明、緊張、緊迫、腎臓、肝腎、肝心、竪穴。
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