漢字の覚え方 襄
今日は襄(ジョウ)、譲(ジョウ)、壌(ジョウ)、穣(ジョウ)、嬢(ジョウ)、攘(ジョウ)、醸(ジョウ)、嚢(ノウ)という漢字について説明します。基本の漢字は『襄(ジョウ)』xiāngで、読み方は『ジョウ』や『ノウ』、意味は『はらいのける』、『割りこませる』、『柔らかい』、『豊かにする』などがあります。
漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。『襄(ジョウ)』に何を足すとどんな漢字になるのかを考えます。譲、壌、嬢、醸は中学校で習う常用漢字、穣は人名用漢字です。常用漢字(日常使う漢字)の指定に関係なく、漢字の足し算でまとめて覚えてしまいましょう。
『襄(ジョウ)』xiāngは、中に割り込む様子を表す会意文字です(藤堂)。漢字の足し算で覚えるならば、衣(衣服・外側のおおい)+口口××己工(色々なものを混ぜる)=襄(中に割り込ませる。割り込ませて攘(はら)う。割り込ませて穣(ゆたか)にする。割り込ませて助ける。のぼる)です。漢字の部首は『衣・ころも』、漢字の意味は『のぼる』、『はらいのける』、『割りこませる』、『たすける』、『柔らかい』、『豊かにする』です。
藤堂は衣の中に色々な物を入れ混む意を含む、白川は死者の襟元に呪器の口・工を並べ邪霊を防ぐ様子で『祓(はら)いのける』としています。
音読みは呉音が『ソウ』、漢音が『ショウ』、慣用音が『ジョウ』です。助けて事を行うこと・君主を助けて政治を行うことを賛襄(サンジョウ)といいます。また、漢代より県が置かれた有名な中国の地名に襄陽(ジョウヨウ)があります。
襄(ジョウ)は常用漢字から外れています。
『譲・讓(ジョウ)』ràngは、場所をあけて譲(ゆず)る様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、言(言葉で促す)+襄(割り込ませる)=譲・讓(割り込ませて場所をあけて譲る。控えめな態度をとる)です。漢字の部首は『言・ごんべん』、漢字の意味は『譲(ゆず)る』、『控えめな態度をとる』です。
常用漢字では口口をハで置き換えて譲の字体を使います。
音読みは呉音が『ニョウ』、漢音が『ジョウ』、訓読みが『譲(ゆず)る』です。控えめで他人に譲ることを謙譲(ケンジョウ)、位を他人に譲ることを譲位(ジョウイ)、自分の主張を一部放棄し他人の主張を認めることを譲歩(ジョウホ)といいます。
譲(ジョウ)は中学生 で習う常用漢字です。
『壌(ジョウ)』rǎngは、耕された土を表す形声文字です。漢字の足し算では、漢字の足し算では、土(つち)+襄(柔らかい)=壌・壤(鋤き返して柔らかくした土。耕された土。つち)です。漢字の部首は『土・つち』、漢字の意味は『耕された土』です。
音読みは呉音が『ニョウ』、漢音が『ジョウ』、訓読みは常用以外に『壌(つち)』があります。です。を土壌(ドジョウ)といいます。
壌(ジョウ)は中学生 で習う常用漢字です。
『穣(ジョウ)』rángは、穀物が穣(ゆたか)にみのる様子を表す形声文字です。 禾(穀物)+襄(ゆたか)=穣・穰(穀物が穣(ゆたか)にみのる。ゆたか。みのる)です。漢字の部首は『禾・のぎへん』、漢字の意味は『穣(ゆたか)』、『穣(みのる)』です。
白川は虫害を祓いのける様子から豊穣(ホウジョウ)の意であるとしています。
音読みは呉音が『ニョウ』、漢音が『ジョウ』、訓読みは『穣(ゆたか)』、『穣(みのる)』ですです。穀物がみのりゆたかなことを豊穣(ホウジョウ)といいます。
非常に縁起の良い意味の漢字で『おさむ』、『しげ』、『みのる』、『ゆたか』と名前に使われます。
穣(ジョウ)は人名用漢字です。
『嬢・孃(ジョウ)』niángは、柔らかい女性を表す形声文字です。女(女性)+襄(豊か・柔らかい)=嬢・孃(豊かで柔らかい女性。母親。娘)です。漢字の部首は『女・おんな』、漢字の意味は『母親』、『娘』です。我が国では未婚の女性に使われます。
嬢・孃(ジョウ)は、良い女で娘(ジョウ)とも書きます。白川は隋・唐の時代より娘(ジョウ)が用いられたとしています。
音読みは呉音が『ニョウ』、漢音が『ジョウ』、訓読みは常用外に『嬢(むすめ)』があります。家柄の良い娘や他人の娘を令嬢(レイジョウ)といいます。
嬢(ジョウ)は中学生 で習う常用漢字です。
『攘(ジョウ)』rángは、打ち払う様子を表す形声文字です。扌(手の動作)+襄(はらいのける)=攘(手で払いのける。攘う。はらう)です。漢字の部首は『扌・てへん』、漢字の意味は『攘(はら)う』、『入り込んで奪う』、『盗む』です。
音読みは呉音が『ニョウ』、漢音が『ジョウ』、訓読みは『攘(はら)う』です。入り込んだ外国人をしりぞけることを攘夷(ジョウイ)、自分の所に紛れ込んだ他人のものを盗むことを攘窃(ジョウセツ)といいます。
攘(ジョウ)は常用漢字から外れています。
『醸(ジョウ)』niàngは、御酒を醸(かも)す様子を表す形声文字です。酉(酒の壺)+襄(割り込む・豊かにする)=醸(酒の壺で豊かにする。醸す。かもす)です。漢字の部首は『酉・さけのとり』、漢字の意味は『醸(かも)す』です。
藤堂は醗酵する菌を蒸し米の中に割り込ませて酒をつくるとしています。
音読みは呉音が『ニョウ』、漢音が『ジョウ』、訓読みは『醸(かも)す』です。醗酵させて酒・醤油をつくることを醸造(ジョウゾウ)、吟味(ギンミ)した原料を用い丁寧に醸すこと吟醸(ギンジョウ)といいます。
醸(ジョウ)は中学生 で習う常用漢字です。
『嚢・囊(ノウ)』nángは、嚢(ふくろ)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、 東の略体(ひもで縛った嚢)+襄(割り込む・豊かにする)=嚢・囊(中に物を入れる嚢。ふくろ)です。漢字の部首は『口・くち』、漢字の意味は『嚢(ふくろ)』です。
音読みは呉音が『ノウ』、漢音が『ドウ』、訓読みは『嚢(ふくろ)』です。土を入れた嚢(ふくろ)を土嚢(ドノウ)、氷を入れた嚢(ふくろ)を氷嚢(ヒョウノウ)、嚢の中の錐(きり)を嚢中之錐(ノウチュウのきり)といいます。
呉音が『ノウ』のとき漢音では『ドウ』と読むことがあります。呉音と漢音も御覧ください。
☆嚢の中の錐(きり)は、錐の先が尖(とが)っているので嚢(ふくろ)からはみ出やす様に、賢い人は多くの人の中にいてもすぐに才能を表すことをいいいます。
嚢(ふくろ)は袋(ふくろ)と書くのが普通です。
嚢(ノウ)は常用漢字から外れています。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/post-5004.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.天皇陛下の じょうい( )。
2.解決のため じょうほ( )。
3.どじょう ( )の汚染対策。
4.ほうじょう( )の大地。
5.社長 れいじょう( )。
6.尊王 じょうい( )。
7.ぎんじょう( )酒。
8.のうちゅう( )の錐。
9.災害対策の どのう( )。
解説です。基本の漢字は襄、譲(ゆず)るは言を足して譲、壌(つち)は土を足して壌、穣(ゆたか)は禾(のぎへん)を足して穣、嬢(むすめ)は女を足して嬢、攘(はら)うは扌を足して攘、醸(かも)すは酉を足して醸、嚢(ふくろ)は東を足して嚢。
解答です。譲位、譲歩、土壌、豊穣、令嬢、攘夷、吟醸、嚢中、土嚢。