漢字の覚え方 扁

今日は扁（ヘン）、編（ヘン）、偏（ヘン）、 遍（ヘン）、篇（ヘン）、 騙（ヘン ）、蝙（ヘン）という漢字の覚え方について提案します。
基本の漢字は『扁（ヘン）』biǎn で、『平たい』、『うすい』、『平らにのびる』などのイメージがあります。共通した音読みは『ヘン』です。藤堂はこれら扁、編、偏、遍、篇 の漢字には共通したイメージと音があり扁（ヘン）を基本とした『単語家族』と呼んでいました。

漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で、まとめて覚えると便利です。『扁』に何を足したら、編、偏、遍、篇、騙、蝙 になるのかを考えます。編は小学校5年生で習う漢字 、偏、遍は中学生 で習う常用漢字です。学年、学校に関係なく一緒に覚えましょう。

　『扁（ヘン）』biǎnは、門にはりつける名札（扁額）を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、戸（とびら）＋冊(うすい木の札）＝扁（門にはりつけるうすい札。扁額。うすい）です。漢字の部首は『戸・とだれ』、漢字の意味は『扁額』、『うすい』、『平らにのびる』、『漢字を左右に分けた左側』、『書類』です。

音読みは呉音・漢音ともに『ヘン』です。うすく平らなことを扁平（ヘンペイ）、咽喉にあるアーモンドの種に似た器官を扁桃腺（ヘントウセン）といいます。

扁（ヘン・うすい）は常用漢字から外れています。

　『編（ヘン）』biānは、糸でとじて書物を作る様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、糸（いと）＋扁（竹製の書類）＝編（書類を糸でとじて書物を作る。編（あ）む）です。漢字の部首は『糸・いとへん』、漢字の意味は『糸でとじて書物を作る』、『物を組み合わせて仕立てる』、『編（あ）む』、『文章』です。

音読みは呉音・漢音ともに『ヘン』、訓読みは『編（あ）む』です。資料を整理し、雑誌・書物などにまとめることを編集（ヘンシュウ）、書物などを方針を変えて編集し直すことを改編（カイヘン）、小説などの短い文章の作品を短編（タンペン）といいます。

良い意味の漢字で『つら』、『よし』と名前に使われます。

編（ヘン・あむ）は、小学校5年生で習う漢字 です。

　『偏（ヘン）』piānは、偏（かたよ）った状態を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、イ（人間の動作）＋扁（平らに伸びる）＝偏（平らに伸びて行き渡る。行き渡って離れる。偏る）です。漢字の部首は『イ・にんべん』、漢字の意味は『偏（かたよ）る』、『偏（ひとえ）に』、『漢字を左右に分けた左側』です。

音読みは呉音・漢音ともに『ヘン』、訓読みは『偏（かたよ）る』、『偏（ひとえ）に』です。一方に偏（かたよ）った考えを偏見（ヘンケン）、性質がねじけて素直でないこと偏屈（ヘンクツ）といいます。

イ（にんべん）を使って、離れた場所を表す造字方法は、僻（ヘキ）http://bit.ly/1Dn5mrV があります。

偏（ヘン・かたよる）は中学生 で習う常用漢字です。

　『遍（ヘン）』biànは、遍（あまね）く行く状態を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、辶（行く）＋扁（平らに伸びる）＝遍（まんべんなく全体に行き渡る。遍（あまね）く）です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、漢字の意味は『遍（あまね）く』、『はじめから終りまで』です。

古くは徧（ヘン）と書きました。

音読みは呉音・漢音ともに『ヘン』、訓読みは『遍（あまね）く』です。特殊ではなく極めて多くの 物事にあてはまるさまを普遍（フヘン）、弘法大師の八十八か所の霊場を歩くことを遍路（ヘンロ）といいます。

良い意味の漢字で『とお』、『ひろ』、『ひろし』と名前に使われます。

★「読書百遍義自（おの）ずから見（あらわ）る・読書百遍意自ずから通ず」 というのは、難しい書物であっても、繰り返し読むうちに意味が自然とわかるようになるものだという意味です。

漢字の部首は『辶・しんにょう』は足で道 を行くことを表しています。足の向きや状態はいろいろあります。

☆前向きの場合　進（すす）む　迫（せま）る　迎（むか）える　邀（むか）える　近（ちか）づく　過 （すぎ）る　逼（せま）る　追（お）う　遂（と）げる　逢（あ）う　遇（あ）う　遭（あ）う　遘（あ）う　邂（あ）う　逅（あ）う　連（つら）なる　通（とお）る

☆後ろ向きの場合　退（しりぞ）く　逆（さか）らう　逃（に）げる　逡（しりぞ）く　遁（のが）れる　避（さ）ける　遠（とお）のく　　遺（のこ）す　迭（か）わる　迂（まが）る　

☆戻る場合　還（かえ）る　返（かえ）す

☆廻る場合　廻 (めぐ）る　巡（めぐ）る　辺（あた）り　遊（あそ）ぶ　遍（あまね）く　遥（さまよ）う

☆足のスピード　速（はや）い　遅（おそ）い

☆歩く場所　道（みち）　径（こみち）

遍（ヘン・あまねし）は中学生 で習う常用漢字です。

　『篇（ヘン）』piānは、竹の札を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、竹（竹製）＋扁（竹製の書類）＝篇（竹製の書類。書物）です。漢字の部首は『竹・たけかんむり』、漢字の意味は『書物』、『詩や文を数える言葉』です。『書物』の意味では編（ヘン）と同じように使います。

音読みは呉音・漢音ともに『ヘン』です。書物を分けた前半部分を前篇・前編（ゼンペン）といいます。

篇（ヘン）は人名用漢字です。

　『騙（ヘン）』piànは、ひらりと馬に乗る様子・騙（だま）す様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、馬（うま）＋扁（平らに伸びる）＝騙（ひらりと馬に乗る。騙（だま）す）です。漢字の部首は『馬・うま』、漢字の意味は『ひらりと馬に乗る』、『騙（だま）す』です。

白川は曲乗りのような馬技、藤堂はひらりと馬に乗るとし、騙（だま）すは後から出来た俗語としています。

音読みは呉音・漢音ともに『ヘン』、訓読みは『騙（だま）す』、『騙（かた）る』です。馬の曲乗りを騙馬（ヘンバ）、騙（だま）しいつわることを騙詐 （ヘンサ）といいます。

騙（ヘン・だます）は常用漢字から外れています。

　『蝙（ヘン）』biānは、こうもりのことを表す形声文字です。漢字の足し算では、虫（むしへん・獣以外の動物）＋扁（平らに伸びる・ひらひら）＝蝙（ひらひらする動物。こうもり）です。『こうもり』は虫の仲間と考えられていました。意味は『こうもり』です。

同じこうもりを示す　『蝠（フク）』fú（横幅のある動物）と合わせて蝙蝠（ヘンプク・こうもり）として使います。漢字は二つ合わせて使うほうが、聞くときに解り易いからです。

音読みは呉音・漢音ともに『ヘン』、訓読みは『蝙蝠（こうもり）』です。

蝙（ヘン）は常用漢字から外れています。部首索引 虫(むし)も御覧ください。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/post-bb33.html 　

『漢字の覚え方 扁』 編 偏 遍 篇 騙 蝙

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.へんぺい（　　　）な形。

2.雑誌の へんしゅう（　　　）。

3.たんぺん（　　　）小説。

4.へんけん（　　　）をなくす。

5.ふへん（　　　）的な性質。

6.読書 ひゃっぺん（　　　）。

7.相手を だま（　　）す．

8.こうもり（　　　）。

解説です。基本の漢字は扁、編（あ）むは糸を足して編、偏（かたよ）るはイを足して偏、遍（あまね）くは辶（しんにょう）を足して遍、詩の篇（ヘン）は竹を足して篇、騙（だま）す馬を足して騙です。蝙蝠（こうもり）は虫を足して蝙です。

解答です。扁平、編集、短編、短篇、偏見、普遍、百遍、騙す、蝙蝠。