漢字の覚え方 前

今日は前（ゼン・セン）、煎（セン）、揃（セン）、剪（セン）、翦（セン）、彅（なぐ）という漢字について説明します。基本の漢字は『前（セン）』qiánとで、『揃（そろ）える』という共通したイメージがあります。

漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。『前』に何を足したら揃、煎、剪、翦、彅になるのかを考えます。前は小学校2年生で習う漢字 、煎は中学生で習うようになった常用漢字 で、揃（セン）は人名用漢字です。学年に関係なく一緒に覚えましょう。

前（ゼン）の古い字形は、舟のへさきを揃（そろ）えて前に進む様子を表す歬（セン）という字形でした。やがて必要に応じ、デザインを変更したうえで刂（刀・切りそろえる）をそえて前（まえ）の意味を、さらに扌(手）を足して揃（そろ）えるの意味の漢字が出来ていきました。

　『前（ゼン・セン）』qiánは、前へ進む様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、止（前へ進む足）＋舟（前へ進む）＋刂（刀・切りそろえる）＝前（前に進む。前）です。漢字の部首は『刂・りっとう』、漢字の意味は『前』、『以前の』、『進む』、『揃（そろ）える』、『おまえ』です。

前の漢字の部分である月は舟を表す月（ふなづき）です。元の漢字が舟だったので月の中を点で書きます。揃、煎にその名残り（月の中が点）があります。

音読みは呉音が『ゼン』、漢音の『セン』、訓読みは『前（まえ）』です。常用外の読み方に『前（さき）』があります。前と後ろで前後（ゼンゴ）、今より（以・より）前で以前（イゼン）、前に居る人をお前（まえ）、前に進むことを前進（ゼンシン）といいます。

前（ゼン）は小学校2年生で習う漢字 です。

　『揃（セン）』jiǎnは、揃（そろ）える様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、扌(動作）＋前＝揃（前に進む。前）です。漢字の部首は『扌・てへん』、漢字の意味は、『揃（そろ）える』、『全部がそうである』です。

音読みは呉音が『ゼン』、漢音の『セン』、訓読みは『揃（そろ）える』、『揃（そろ）い』です。一つにまとまっている一組を一揃（ひとそろ）い、全部が力作であることを力作揃（りきさくぞろ）いといいます。

前（セン・まえ）が前（まえ）を表す意味にに傾いたため、揃（そろ）える意味を表すようにつくられた漢字（藤堂）といわれています。

揃（セン）は人名用漢字です。

　『煎（セン）』jiānは、食品を揃（そろ）えて火を通す様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、前(揃える）＋灬（火）＝煎（食品を揃（そろ）えて火を通す。煎（い）る）です。漢字の部首は『灬・れっか』、漢字の意味は『煎（い）る』です。

音読みは呉音、漢音ともに『セン』、訓読みは『煎（い）る』です。小麦粉または米粉を餅（もち）状の生地にして煎（い）ったものを煎餅（センベイ）、茶の葉を湯で煎（セン）じたものを煎茶（センチャ）といいます。

煎（セン）は中学生で習うようになった常用漢字 です。

　『剪（セン）』jiǎnは、揃（そろ）えて切る様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、前(揃える）＋刀（かたな）＝剪（揃（そろ）えて切る。剪（き）る）です。漢字の部首は『刀・かたな』、漢字の意味は『剪（き）る』です。

音読みは呉音、漢音ともに『セン』、訓読みは『剪（き）る』です。樹木を刈り込むこと・余分な枝を切ることを剪定（センテイ）、賊をすべて平定することを剪伐（センバツ）といいます。

剪（セン）は常用漢字から外れています。

　『翦（セン）』jiǎnは、揃（そろ）えられた矢・端を揃えて切る様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、前(揃える）＋羽（矢羽）＝翦（揃（そろ）えてた矢。端をそろえて切る）です。漢字の部首は『羽・はね』、漢字の意味は『翦（やばね）』です。

音読みは呉音、漢音ともに『セン』、訓読みは『翦（やばね』です。

翦（セン）は常用漢字から外れています。

　『彅（な）ぐ』は、彅（な）ぐ様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、弓（武具）＋剪(揃えて切る）＝彅（草などを揃（そろ）えて切る。彅（な）ぐ）です。漢字の部首は『弓・ゆみへん』、漢字の意味は『彅（な）ぐ』です。

彅（な）ぐは我が国でつくられた国字です。草彅（くさなぎ）さんと名前に使われます。

彅（な）ぐは薙（な）ぐhttp://bit.ly/1Isg57q と書くのが普通です。

彅（な）ぐは常用漢字から外れています。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-68cc.html

『漢字の覚え方 前』　前 煎 揃 剪 翦　彅

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.ぜんしん（　　　）と後退。

2.ぜんご（　　　）左右。

3.ひとそろ（　　　）いの道具。

4.せんべい（　　　）。

5.せんちゃ（　　　）を飲む。

6.枝の せんてい（　　　）。

解説です。基本の漢字は前、揃（そろ）えるは扌（てへん）を足して揃、煎（い）るは灬（れっか）を足して煎、剪（き）るは刀を足して剪、羽を足して翦、弓に剪を足して彅です。

解答です。前進、前後、一揃い、煎餅、煎茶、剪定。

10/29(土）北海道日本ハムファイターズ　日本一　おめでとうございます。

漢字の覚え方 彖

今日は『彖（タン）』tuànという字を基本とした彖（タン）、縁（エン）、篆（テン）、椽（テン）、掾（エン）という漢字について説明します。

漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。『彖』に何を足したら縁、篆、椽、掾になるのかを考えます。縁は中学校で習う漢字、篆、椽、掾常用漢字ではありませんが、一緒に覚えましょう。

　『彖（タン）』tuànは、お腹の垂れた豕（ぶた）を表す象形文字です。漢字の部首は『彐・いのこがしら』、漢字の意味は『垂れた』です。

藤堂は全体を絵とみて象形文字としていますが、『説文解字』には｢彑（カイ）に従い、豕（シ）に従う」とありますので、会意文字とも考えられます。

音読みは呉音・漢音ともに『タン』です。彖（タン）の漢字自体を使うことはありませんが、縁、篆、椽、掾の構成要素になっています。

彖（タン）は常用漢字から外れています。

　『縁（エン）』yuánは、布の端に垂れた部分のふちを表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、糸（糸・布）＋彖（垂れた）＝縁（布の端の垂れた部分。ふち。へり）です。漢字の部首は『糸・いとへん』、漢字の意味は『縁（ふち）』、『縁（へり）』、『手づる』、『えにし』です。

正字は緣ですが、常用漢字体の縁を使います。

音読みは呉音・漢音ともに『エン』、訓読みは『縁（ふち）』で、常用外に『縁（へり）』、『縁（よ）る』、『縁（えにし）』があります。物事の生因・起源・由来を縁起（エンギ）、仏門に入る日・祭りを行う日を縁日（エンニチ）、そうなった理由・関係のある人を縁故（エンコ）といいます。

大変良い意味の漢字で『まさ』、『むね』、『やす』、『ゆか』、『ゆかり』、『よ』、『よし』、『より』と名前に使われます。

縁（エン）は中学校で習う常用漢字です。

　『掾（エン）』yuànは、上官を支える役人を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、扌（動作）＋彖（周辺の）＝掾（上官を周辺から支える役人。副官）です。漢字の部首は『扌・てへん』、漢字の意味は『副官』、『補佐官』です。我が国の律令制では、国司の三等官をいいます。

音読みは呉音・漢音ともに『エン』、訓読みは『掾（じょう）』、『掾（たす）ける』です。訓読みの『掾（じょう）』は丞（ジョウ）の音を借りたものと思われます。

掾（エン）は常用漢字から外れています。

　『椽（テン）』chuánは、垂る木を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、木（木材）＋彖（垂れた）＝椽（屋根のてっぺんから下へ垂れ下がる垂木。たるき）です。漢字の部首は『木・きへん』、漢字の意味は『椽（たるき）』です。

音読みは呉音が『デン』、漢音が『テン』、訓読みが『椽（たるき）』です。

★｢茅茨（ボウシ）剪（き）らず采椽（サイテン）削（けず）らず｣という言葉がありますが、揃（そろ）えていない茅葺（かやぶき）、切りだしたままの椽（たるき）のことです。四字熟語では茅屋采椽（ボウオクサイテン）といい、質素な家の例えとして使われます。

椽（たるき）は垂木（たるき）と書くのが普通です。

椽（テン）は常用漢字から外れています。

　『篆（テン）』zhuànは、垂れた漢字の字体である篆書（テンショ）を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、竹（竹簡・文書）＋彖（垂れた）＝篆（字の端が垂れた書体。篆書・篆文）です。漢字の部首は『竹・たけかんむり』、漢字の意味は『篆書（テンショ）・篆文（テンブン）』です。

篆書（テンショ）・篆文（テンブン）とは漢字の字体の種類で、周の宣王の時代につくられた大篆（ダイテン）と、秦の李斯が大篆（ダイテン）を簡略化してつくったといわれる小篆（ショウテン）があります。この小篆が秦の時代に正式に統一書体として採用され、現在も使用されている楷書体（カイショタイ）の直接の先祖にあたります。

音読みは呉音が『デン』、漢音が『テン』です。印鑑に使われる字体で、篆文を印材に彫ることを篆刻（テンコク）といいます。

篆（テン）は常用漢字から外れています。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-dfd3.html

『漢字の覚え方 彖』　彖 縁 掾 椽 篆

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.神社の えんにち（　　　）で賑わう。

2.えんぎ（　　　）の良い漢字。

3.がくぶち（　　　）を購入する。

4.茅屋 さいてん（　　　）。

5.印鑑に使われる てんぶん（　　　　）。

解説です。基本の漢字は彖、縁（ふち）は糸（いとへん）を足して縁、掾（じょう）は扌（てへん）を足して掾、椽（たるき）は木を足して椽、竹（たけかんむり）を足して篆です。

解答です。縁日、縁起、額縁、采椽、篆文。

漢字の覚え方 爰

今日は『爰（エン）』yuán という字を基本とした漢字の仲間について説明します。この漢字の名間には爰（エン）、援（エン）、媛（エン）、緩（カン）、暖（ダン）、煖（ダン）という漢字が含まれます。

漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えてまとめて、漢字の足し算で覚えると便利です。『爰』に何を足したら援、媛、緩、暖、煖になるのかを考えます。暖は小学校6年生で習う漢字 、援、緩は中学校で習う常用漢字、媛は人名用漢字です。学校に関係なく、一緒に覚えましょう。

　『爰（エン）』yuán は、手と手の間にゆとりのある様子を表した会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、爫(手）＋一（あるもの・間）＋友・又（手）＝爰（手と手の間。ゆったり。ゆとり）です。漢字の部首は『爪・つめかんむり』、漢字の意味は『ゆったり』、『ゆとり』です。

音読みは呉音が『オン（ヲン）』、漢音が『エン（ヱン）』です。爰（エン）の漢字自体を我が国では使うことはありませんが、援、媛、緩、暖、煖の構成要素になっています。

爰（エン）は常用漢字から外れています。

　『援（エン）』yuánは、手を手で引いて援（たす）ける様子を表した形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、扌（手の動作・引く）＋爰（手と手で援ける・ゆとり）＝援（手を手で引いて援（たす）ける）です。漢字の部首は『扌・てへん』、漢字の意味は『手で引っ張り上げる』、『援（たす）ける』です。

音読みは呉音が『オン（ヲン）』、漢音が『エン（ヱン）』、訓読みは常用外に『援（たす）ける』がります。たすけることを漢語で援助（エンジョ）、脇から敵の攻撃をそらせて、味方の行動を掩（かば）うこと援（たす）けることを掩護・援護（エンゴ）といいます。

援（たす）けるは助（たす）けるhttp://bit.ly/1qnAOOz とも書きます。

援（エン）は中学生 で習う常用漢字です。

　『猨（エン）』yuánは、手の長い猨（さる）を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、犭（動物）＋爰（手の長い・木の枝を引っ張る）＝援（手の長い獣。猿。テナガザル）です。漢字の部首は『犭・けものへん』、漢字の意味は『猿（さる）』です。

本字は『猨（エン）』ですが、現在は『猿（エン）』http://bit.ly/1sz2BAa の漢字が使われています。

音読みは呉音が『オン』、漢音が『エン』で、訓読みは『猿（さる）』です。犬猿（ケンエン）、猿楽（さるガク）、猿回し（さるまわし）の猿です。

猿（エン）は中学生 で習う常用漢字です。

　『媛（エン・ひめ）』yuànは、ゆったりとした美しい女性を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、女（女性）＋爰（ゆったり）＝媛（ゆったりとした女性。ひめ）です。漢字の部首は『女・おんな』、漢字の意味は『媛（ひめ）』です。

『説文解字』には｢美女なり｣の記載があります。

音読みは呉音・漢音ともに『エン（ヱン）』、訓読みは『媛（ひめ）』です。四国の伊予の国を愛媛（えひめ）といいます。

古事記には愛らしい太陽のような女性の愛比賣（えひめ）の記載があります。伊予の国の女神様が愛比賣（えひめ）→愛媛（えひめ）ということと思われます。

媛（エン・ひめ）は姫（キ・ひめ）とも書きます。

媛（エン）は人名用漢字です。

　『緩（カン）』huǎnは、緩く糸を結んだ様子を表した形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、糸（いと）＋爰（ゆとり）＝緩（緩く糸を結ぶ。緩い。ゆるい）です。漢字の部首は『糸・いとへん』、漢字の意味は『緩（ゆる）い』、『緩（ゆる）める』です。

音読みは呉音が『ガン』、漢音が『カン』、訓読みが『緩（ゆる）い』です。ゆったりとしていることと、せわしいことをを緩急（カンキュウ）、ゆったりとしてのろいことを緩慢（カンマン）、厳しさを緩め和らげることを緩和（カンワ）といいます。

大変良い意味の漢字で『のぶ』、『ひろ』、『ふさ』、『やす』と名前に使われます。

緩（カン）は中学生 で習う常用漢字です。

　『暖（ダン）』nuǎnは、太陽で暖（あたた）かい様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、日（太陽）＋爰（手と手で援ける・ゆとり）＝暖（太陽の援けで暖かい様子。暖かい）です。漢字の部首は『日・にち』、漢字の意味は『暖かい』です。

大昔は㬉（ダン）と書いていました。日（太陽）＋耎（柔らかい）＝㬉（太陽の柔らかい㬉かさ。あたたかい）です。現在では暖（ダン）の漢字が使われています。

音読みは呉音が『ナン』、漢音が『ダン』、唐宋音が『ノン』、訓読みが『暖（あたた）かい』です。暖かい気候を暖気（ダンキ）、酒屋の中を暖めるための簾（すだれ）を暖簾（ノンレン・ノレン）、暖かい潮の流れを暖流（ダンリュウ）といいます。

異体字に㬉（ダン）、暄（ダン）があります。

暖（ダン）は小学校6年生で習う漢字 です。

　『煖（ダン）』nuǎn は、火で暖（あたた）かい様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、火（ひ）＋爰（手と手で援ける・ゆとり）＝煖（火の援けで暖かい様子。煖かい。あたたかい）です。漢字の部首は『火・ひ』、漢字の意味は『煖かい』です。

音読みは呉音が『ナン』、漢音が『ダン』、訓読みは『煖（あたた）かい』です。暖（ダン）という漢字があるため、煖（ダン）が使われることはあまりありません。あたたかい衣服と充分な食事・贅沢な暮らしをを暖衣飽食・煖衣飽食（ダンイホウショク）といいます。

異体字に煗（ダン）、煊（ダン）があります。

煖（ダン）は常用漢字から外れています。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-1d32.html 

『漢字の覚え方 爰』 爰 援 媛 緩 煖 暖

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.けんじょ（　　　）を申し出る。

2.えひめ（　　　）県。

3.かんきゅう（　　　）自在。

4.規制 かんわ（　　　）。

5.かんだん（　　　）の差が激しい。

6.のれん（　　　）をくぐる。

解説です。基本の漢字は爰、援（たす）けるは扌（てへん）を足して援、媛（ひめ）は女を足して媛、緩（ゆる）いは糸を足して緩、暖（あたた）かいは日（にち）を足して暖、煖（あたた）かいは火を足して煖です。

解答です。援助、愛媛、緩急、緩和、寒暖、暖簾。

漢字の覚え方 兂

今日は『兂（シン）』zānという字を基本とした漢字の仲間について説明し、その覚え方を提唱します。この漢字の仲間には兂（シン）、兓（シン）、朁（サン）、簪（シン）、譖（シン）、潜（潛）（セン）、蚕（蠶）（サン）という漢字があります。

これらの漢字の仲間は、漢字の足し算で表わす事が出来、その意味を考えて漢字の足し算でを覚えると便利です。『兂』に何を足したら兓、朁、簪、譖、潜（潛）、蚕（蠶）になるのかを考えます。蚕は小学校6年生で習う漢字 、潜は中学校 で習う常用漢字です。学年、学校に関係なく一緒に覚えましょう。

　『兂（シン）』zānは、簪（かんざし）を表す会意文字です。漢字の部首は『儿・ひとあし』、漢字の意味は『簪（かんざし）』です

『兂（シン）』の漢字自体を使うことはありません。兂（かんざし）には竹を足した簪（かんざし）の漢字が使われます。

『兂（シン）』は常用漢字から外れています。

『先（セン）』は別字http://bit.ly/2aDRK5w です。

　『兓（シン）』jinは、狭（せま）いすき間に割り込む様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、兂（かんざし）＋兂（かんざし）＝兓（狭いすき間に割り込む）です。漢字の部首は『儿・ひとあし』、漢字の意味は『狭い』、『わりこむ』です。

音読みは呉音・漢音ともに『シン』です。我が国では『兓（シン）』の漢字自体を使うことはありません。

『兓（シン）』は常用漢字から外れています。

　『朁（サン）』cǎnは、簪（かんざし）を挿しこむ様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、兓（狭いすき間に割り込む）＋曰（動作）＝朁（簪（かんざし）を挿しこむ。挿しこむ）です。漢字の部首は『曰・ひらび』、漢字の意味は『かんざしを挿す』、『挿しこむ』です。

音読みは呉音が『ソン』、漢音が『サン』です。我が国では『朁（サン）』の漢字自体を使うことはありませんが、簪（かんざし）、潛（ひそ）むの部分として使われています。

『朁（サン）』は常用漢字から外れています。

『替（タイ）』は別字http://bit.ly/1NzK1An です。

　『簪（シン）』zānは、簪（かんざし）を表す会意文字です。漢字の足し算では、竹（竹製品）＋朁（かんざしを挿す）＝簪（竹製の簪。冠をとめるための簪。かんざし）です。漢字の部首は『竹・たけかんむり』、漢字の意味は『簪（かんざし）』です。

音読みは呉音・漢音ともに『シン』です。訓読みは『簪（かんざし）』です。 冠をとめるかんざしと冠のひもを簪纓（シンエイ）といいます。

簪（かんざし）は冠をとめるために挿す様子を表すの漢字ですが、女性の髪飾りにも使います。鈿（かんざし）http://bit.ly/1CxOFbf 、笄（かんざし）とも書きます。

『簪（シン）』は常用漢字から外れています。

　『潜（潛）（セン）』qiánは、水に潜（もぐ）る様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、氵（水）＋朁（かんざしを挿す）＝潜（潛）（水に挿しこむ。水に潜る。もぐる。ひそむ）です。漢字の部首は『氵・さんずい』、漢字の意味は『潜（もぐ）る』、『潜（ひそ）む』です。

朁（シン）は書くのが大変ですから、替（タイ）を使って潜（セン）と書きます。

音読みは呉音が『ゼン』、漢音が『セン』、訓読みは『潜（もぐ）る』、『潜（ひそ）む』です。水に潜ることを潜水（センスイ）、ひそかに中に入り込むことを潜入（センニュウ）といいます。

『潜（セン・もぐる）』は中学校で習う常用漢字です。

　『譖（シン）』zènは、譖（そし）る様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、言（言葉）＋朁（かんざしを挿す）＝譖（言葉を深く挿しこむ。譖る。そしる）です。漢字の部首は『言・ごんべん』、漢字の意味は『譖（そし）る』です。

じわじわと挿しこむ様な中傷をいいます。異体字に替（タイ）を使った譛（シン）があります。

音読みは呉音・漢音ともに『シン』です。訓読みは『譖（そし）る』です。そしる言葉を譖言（シンゲン）、いわじわと次第に染み込むそしりを譖潤（シンジュン）といいます。

謗（そし）るhttp://bit.ly/1oh7v59、誹（そし）るhttp://bit.ly/1qQSVwG とも書きます。

『譖（シン・そしる）』は中学校で習う常用漢字から外れています。

　『蚕（サン）』cánは、天の漢字が使われていますが、正式な字体は蠶（サン）で、蚕（かいこ）の幼虫が桑の葉に潜って（潛）いる様子を表す漢字です。書くのがとても大変なので、略字の蚕（サン）を使います。漢字の部首は『虫・むし』です。

漢字の足し算では、濳（ひそむ）＋虫虫（むし）＝蠶（蚕（かいこ）の幼虫が桑の葉に潜って（潛）いる。蠶。かいこ）です。漢字の部首は同じく『虫・むし』です。

音読みは呉音が『ゾン』、漢音が『サン』、訓読みは『蚕（かいこ）』です。蚕（かいこ）は桑のの葉を食べて成長する蛾の幼虫です。成虫になる前に繭（まゆ）をつくります。子の繭から絹糸（きぬいと）をつくるのです。蚕を飼うことを養蚕（ヨウサン）といいます。

『蚕（サン）』は小学校6年生で習う漢字 です。

『部首索引 虫（むし）』も御覧ください。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-d706.html

『漢字の覚え方 兂』 兂 兓 朁 譖 簪 潜 蠶 蚕

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.冠に かんざし（　　）を挿す。

2.せんすい（　　　）作業。

3.せんにゅう（　　　）捜査。

4.人を そし（　　）る。

5.ようさん（　　　）業が盛んな地域。

6.かいこ（　　）から絹糸をとる。

解説です。基本の漢字は兂、兂と兂を足して兓、簪（かんざし）は竹を足して簪、潜（もぐ）るは氵を足して潜、譖（そし）るは言を足して譖、蠶（かいこ）は虫虫を足して蠶です。

解答です。簪、潜水、潛水、潜入、潛入、譖る、謗る、誹る、養蚕、養蠶、蚕、蠶

漢字の覚え方 人

今日は『人（ジン・ニン）』rénという字を基本とした人、千、年、囚という漢字を説明します。

漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算でを覚えると便利です。『人（ジン・ニン）』に何を足すと千、年、囚になるのかを考えます。人、千、年は小学校1年生、囚は中学校で習う常用漢字です。学年、学校に関係なく一緒に覚えましょう。

　『人（ジン・ニン）』rénは人を描いた象形文字です。漢字の部首は『人・ひと』です。

音読みは呉音が『ニン』、漢音が『ジン』、訓読みが『ひと』です。人生（ジンセイ）、主人（シュジン）、人気（ニンキ）、町人（チョウニン）、旅人（たびびと）、一人（ひとり）、二人（ふたり）の人です。

呉音のナ行『ニン』nienは、漢音ではザ行『ジン』rien（半舌音・舌をとがらせジを発音しつつ発音。当時の日本人はジンと聞き取りました）になることがあります。現在の北京語の『レン』renの祖先にあたる言葉です。

漢語の日母は上古から六朝まで、すべてni-という形を備えていた。たとえば「人nien」「日niet」であった。それが唐代にはいると、前期の非鼻音化の現象に伴って「人rien」「日riet」となった。つまりni-の所がri-に変わった。このri-の発音は、じつはソリ舌音の要素を含むが、日本人にはジ・ゼのように聞こえた。そこで「人ジン・日ジツ・然ゼン」という漢音式の発音が生じたのであった。『漢和大辞典』藤堂明保　中国の文字とことば p1584

人（ジン）は小学校1年生で習う漢字です。

人は偏（ヘン）で使われるときはイ（にんべん）の形をとります。イ（にんべん）の意味・役割については幾つかあります。

①人間の性質・状態などを表す。

　仁（ジン）、伊（イ）、什（ジュウ）、伍（ゴ）、仲（チュウ）、伯（ハク）、侏（シュ）、俊（シュン）、佳（カ）、倅（ソツ）、倭（ワ）、傑（ケツ）、僕（ボク）

②イ（にんべん）は人の動作を表す

　代（タイ）、仮（カ）、任（ニン）、件（ケン）、伐（バツ）、何（カ）、作（サ）、伝（デン）、使（シ）、住（ジュウ）、信（シン）、促（ソク）、倒（トウ）、停（テイ）、備（ビ）、働（ドウ）、優（ユウ）

③イ（にんべん）は側（そば）にいる事、人の側（そば）でする行為を表す。

　仔（シ）、休（キュウ）、側（ソク）、傍（ボウ）、伴（ハン）、仕（シ）、付（フ）、仲（チュウ）伏（フク）、伽（カ）、佐（サ）、伺（シ）、佑（ユウ）、侍（ジ）、優（ユウ）

④イ（にんべん）は人の経済行為を表します。

価（カ）、倹（ケン）、借（シャク）、値（チ）、俸（ホウ）、債（サイ）、償（ショウ）、儲（チョ）

　『千（セン）』qiānは、人の姿を示した漢字です。古い字体では人に一を足して千と書きます。千は1000という数詞を意味します。人がどんどん進むからといわれています。このような漢字の用法を仮借（カシャ）といます（藤堂）。人は人間の行為全般を示しますが、千、億のように数を示す漢字にも使われます。漢字の部首は『十・じゅう』です。

段の『説文解字注』では、十に従い、人（ジン）の聲（セイ）とあり形声文字としており、白川の『字統』にも、同様の記載があります。。鎌田の『新漢語林』では、人＋一＝千の会意文字としています。我が国の解字の先駆者である加藤の『字源辞典』では、会意に声をかねると記しています。

漢字の成り立ちにつては象形、指事、会意、形声と分類されていますが、許の『説文解字』でおおざっぱに分類していて、個々の漢字について丁寧な記載がないので、漢字の研究者により分類に差異が生じていますが、どう捉えるかの違いで、漢字の成り立ちにつての解釈はおおむね同じです。

音読みは呉音・漢音ともに『セン』で、訓読みは『ち』です。千金（センキン）、千里（センリ）、千歳（センザイ・ちとせ）の千です。大変縁起の良い漢字で、千葉（ちば）、八千代（やちよ）、千代（ちよ）、千沙（ちさ）など人名・地名に使われています。

千（セン）は小学校1年生で習う漢字です。

　『年（ネン）』niánは、禾（実った稲）をもつ人を表す会意文字で、年一度の収穫の時期を表す漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、、禾（稲）＋人・千（人間）＝年（年一度の収穫。年）です。漢字の部首は『干・かん』です。

『説文解字』には「穀（コク）の孰（ジュク）すなり」、「禾（カ・穀物）に従う千（セン）の聲（セイ・こえ）」とあります。

加藤の『字源辞典』では、形声字としており、白川の『字統』では会意、藤堂の『漢字源』では会意兼形声、鎌田の『新漢語林』では形声とあり、分類に差がありますが、成り立ちの解釈はおおむね同じです。

音読みは呉音の『ネン』を使い、漢音の『デン』は使いません。訓読みは『とし』、『とせ』です。一年（イチネン）、年間（ネンカン）、今年（ことし）、年魚（あゆ）、一昨年（イッサクネン・おととし）の年です。鮎（あゆ）は一年で大きくなるので年魚（あゆ）と書きます。

一般的に、呉音のナ行は漢音ではダ行に変わることがあります。内（ナイ・ダイ）、納（ノウ・トウ）、男（ナン・ダン）、年（ネン・デン）、念（ネン・デン）などです。呉音・漢音どちらが残っているかは漢字によって違います。

年（ネン）は小学校1年生で習う漢字です。

　『囚（シュウ）』qiúは、とらえられた人を表す会意文字で、漢字の足し算で覚えるならば、、囗（囲い）＋人（人間）＝囚（囲いの中に囚われた人）です。漢字の部首は『囗・くにがまえ』です。 漢字の意味は『囚（とら）われる』です。

音読みは呉音が『ジュ』、漢音が『シュウ』、訓読みは常用外に『囚（とら）われる』があります。罪を犯して牢屋に入れられている人を囚人（シュウジン・めしゅうど）といいます。

囚（シュウ）は中学校で習う常用漢字です。

人に大変関わり合いの深い漢字に『仁（ジン）』rénがります。

　『仁（ジン）』rénは、二人の人間が信頼し合う様子を表わす形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、イ（人間）＋二（ふたつ）＝仁（二人の人間が信頼し合う。隣人愛。思いやり）です漢字の部首は『イ・にんげん』、漢字の意味は『隣人愛』、『思いやり』、『柔らかい』です。

音読みは呉音が『ニ・ニン』・漢音が『ジン』です。人を慈しむ徳を仁徳（ニントク・ジントク）、仏法を守る二神を仁王（ニオウ）、人をあわれみ慈しむことを仁愛（ジンアイ）、杏（あんず）の柔らかい種の部分を杏仁（キョウニン・アンニン）といいます。

呉音のナ行『ニン』nienは、漢音ではザ行『ジン』rien（半舌音・舌をとがらせジを発音しつつ発音。当時の日本人はジンと聞き取りました）になることがあります。現在の北京語の『レン』renの祖先にあたる言葉です。

音読みの呉音、漢音については『呉音と漢音』②http://bit.ly/1LUTTpI をご覧ください。

漢字の草書体からひらがなの『に』が出来ました。

とても良い意味の漢字で、人間の性質を表す漢字では最高の漢字といえます。『きみ』、『きん』、『さと』、『さね』、『しのぶ』、『ただし』、『と』、『とよ』、『にん』、『のぶ』、『のり』、『ひさし』、『ひと』、『ひとし』、『ひろし』、『まさ』、『まさし』、『み』、『めぐみ』、『めぐむ』、『やすし』、『よし』と広く名前に使われています。

仁（ジン）は小学校6年生で習う漢字です。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-60a2.html

『漢字の覚え方 人』 人 千 年 囚 仁　

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.じんぶつ（　　　）を特定。

2.にんげん（　　　）の智慧。

3.ふたり（　　　）と努力。

4.たびびと（　　　）の出発。

5.値 せんきん（　　　）。

6.ちとせ（　　　）飴。

7.ねんし（　　　）の挨拶。

8.ことし（　　　）の目標。

9.しゅうじん（　　　）の監視。

解説です。基本の漢字は人、千（セン）は一を足して千、年（とし）は禾（稲・のぎへん）を足して年、囚（とら）われるは囗（くにがまえ）に入れて囚です。

解答です。人物、人間、二人、旅人、千金、千歳、年始、今年。囚人。