漢字の覚え方 監
今日は監(カン・ケン)、艦(カン)、鑑(カン)、檻(カン)、濫(ラン)、藍(ラン)、襤(ラン)、籃(ラン)、覧(ラン)、塩(鹽)(エン)という漢字について説明します。基本になる漢字は『監(カン・ケン)』jiànで、『水鏡』、『取り締まる』といったイメージがあり、同じ構成要素からなるため、漢字の足し算で表すことが出来ます。
漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。『監(カン・ケン)』に何を足したら艦(カン)、鑑(カン)、檻(カン)、濫(ラン)、藍(ラン)、襤(ラン)、籃(ラン)、覧(ラン)、塩(鹽)(エン)になるのかを考えてます。塩は小学4年生、覧は小学6年生 、監、艦、鑑、濫、藍は中学校で習う常用漢字です。学年、学校に関係なく一緒に覚えましょう。
『監(カン)』jiànは、見張る様子・取り締まる様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、臣(家臣・下を向く)+ノニ(人)+皿(水を張った皿)=監(水を張った皿をみる。監(み)る。見張る。取り締まる)です。漢字の部首は『皿・さら』、漢字の意味は『見張る』、『取り締まる役人』、『囚人を閉じ込める』です。
音読みは呉音が『ケン』、漢音が『カン』です。訓読みは常用外に『監(み)る』です。取り締まったり、指図する人を監督(カントク)、牢屋に収容することを収監(シュウカン)、律令制の大蔵省の出納を監督する役人を監物(ケンモツ)といいます。
良い意味の漢字で『あき』、『あきら』、『かね』、『ただ』、『てる』、『み』と名前に使われます。
漢字の世界では『みる』について、ニュアンスの違いがあります。
見(み)る 目立つ。目に止まる。現れる。見(ケン)http://bit.ly/ZCbIEZ
視(み)る 真っ直ぐ視る。注意して視る。視(シ)http://bit.ly/1Vps6QQ
看(み)る 手をかざして看る。よくみる。看(カン)http://bit.ly/1Z5TbdM
診(み)る 細かいところまですみずみまでみる。診(シン)http://bit.ly/1ygC0wK
察(み)る すみずみまでみる。察(サツ)http://bit.ly/1zwPD77
覧(み)る 高い所から下を覧る。覧(ラン)http://bit.ly/25ApacQ
臨(のぞ)む 高い所から下を臨む。臨(リン)http://bit.ly/1WvVxot
監(み)る 上から下のものをみて、みさだめる。監(カン)http://bit.ly/25ApacQ
観(み)る 多くのものを比べて観る。批評する。観(カン)http://bit.ly/11kw1b1
眺(なが)める 右に左にと広く見渡す。眺(チョウ)http://bit.ly/2t44mNH
望(のぞ)む 遠くの見えにくいものをもとめみる。望(ボウ)http://bit.ly/1v84fty
監(カン)は中学生 で習う漢字です。
『艦(カン)』jiànは、戦争に用いる大きな舟を表す形声文字です。漢字の足し算では、舟(ふね)+監(取り締まる)=艦(取り締まる舟。戦争に用いる大きな舟)です。『舟・ふね』、漢字の意味は『戦争に用いる大きな舟』です。
音読みは呉音が『ケン』、漢音が『カン』です。軍事目的をもった大小の船を艦艇(カンテイ)、二隻以上で編成された軍艦の部隊を艦隊(カンタイ)、艦隊の指揮を執る軍艦を旗艦(キカン)といいます。
舟は、漢字の世界では、ニュアンスが微妙に違います。
艇(テイ)はまっすぐ進む速いふね 『漢字の覚え方 廷』http://bit.ly/1FLcD6f
舟(シュウ)は小さいふね 『漢字の覚え方 舟』http://bit.ly/1DFvsUm
艦(カン)は戦う大きなふね 『漢字の覚え方 監』http://bit.ly/25ApacQ
船(セン)はやや大きなふね 『漢字の覚え方 㕣』http://bit.ly/1vmpZDd
舶(ハク)は海を渡るふね 『漢字の覚え方 白』 http://bit.ly/1rkEIHJ
艦艇(カンテイ)、船舶(センパク)、艦船(カンセン)、舟艇(シュウテイ)。漢字は二字で安定し、聞いた時に解かり易いので組み合わせて使うことがあります。
艦(カン)は中学生 で習う漢字です。
『鑑(カン)』jiànは、金属製の鑑(かがみ)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、金(金属)+監(水を張った皿)=鑑(金属製の鑑(かがみ)。姿を写して自分の戒めにする。資料。よく点検する。見分ける証拠)です。『金・かねへん』、漢字の意味は『鑑(かがみ)』、『鑑(かがみ)をみて反省する』、『資料を並べて手本とする書物』、『よく点検する』、『見分ける証拠』です。
音読みは呉音・漢音ともに『カン』、訓読みは『鑑(かんがみ)る』で、常用外に『鑑(かがみ)』があります。骨董品(コットウヒン)や資料などの真贋(シンガン)や良否を判定することを鑑定(カンテイ)、絵や写真などを示して解説した書物を図鑑(ズカン)、照合するときに使う印を印鑑(インカン)といいます。
良い意味の漢字で『あき』、『あきら』、『かた』、『かね』、『しげ』、『のり』、『み』、『みる』と名前に使われます。
鑑(カン)は中学生 で習う漢字です。
『檻(カン)』jiànは、檻(おり)を表す形声文字です。漢字の足し算では、木(木製)+監(取り締まる)=檻(中に閉じ込める木製の囲い。檻。おり)です。『木・き』、漢字の意味は『動物や罪人を閉じこめておく所』、『てすり』です。
音読みは呉音が『ゲン』、漢音が『カン』、訓読みは『檻(おり)』です。罪人を運ぶ檻のついた車を檻車(カンシャ)、強くいさめることを折檻(セッカン)といいます。
漢の朱雲が、孝成帝に諫言をして怒りかい、朝廷から出されそうとしたとき、朱雲が捉まった欄檻 (ランカン) 折れたことから、強く諫めることを折檻(セッカン)といいます。
檻(カン)は常用漢字から外れています。
『濫(ラン)』lànは、水が枠から溢れる様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵(みず)+監(上から下へ水鏡をみる。取り締まる。枠)=濫(水が枠の外にあふれる。濫れる)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、漢字の意味は『あふれる』、『濫(みだ)れる』、『濫(みだ)りに』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ラン』、訓読みは常用外に『濫(みだ)りに』、『濫(みだ)れる』があります。河川などの水が溢れることを氾濫(ハンラン)、濫(みだ)りに用いることを濫用(ランヨウ)といいます。
濫(ラン)は中学生 で習う常用漢字です。
『藍(ラン)』lánは、藍色(あいいろ)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、艹(植物)+監(みる)=藍(植物からみえてくる色。染められた色。藍色。あいいろ)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、漢字の意味は『藍(あい』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ラン』、訓読みは『藍(あい)』です。醗酵させた藍の葉を固めたものを藍玉(ランギョク・あいだま)、弟子が師にまさることを出藍(シュツラン)といいます。
☆「青(あお)はこれを藍(あい)より取りて藍より青し」(青の染料は、藍(あい)から取るものだが、もとの藍の葉より青くなる)という「荀子」の言葉より、弟子が師にまさることを出藍(シュツラン)といいます。
藍(ラン)は中学生で習うようになった常用漢字 です。
『襤(ラン)』lánは、衣服の中身が外にはみでる襤(ぼろ)を表す形声文字です。漢字の足し算では、衣(衣服)+濫(あふれる)=襤(衣服の中身が外にはみでる。襤。ぼろ)です。漢字の部首は『衣・ころもへん』、漢字の意味は『襤(ぼろ)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ラン』、訓読みは『襤(ぼろ)』です。ぼろの衣服を音読みで襤褸(ランル)といい、訓読みで襤褸(ぼろ)と読みます。
褸(ル・ぼろ)は、衣(衣服)+婁(細くつながる)=褸(やぶれて細くつながっている衣服)の意味です。襤褸(ランル)と二語の熟語にして使います。
漢語は、意味が同じで発音の異なる二語の熟語にした方が、聞いた時に解かりやすいからです。
襤(ラン)は常用漢字から外れています。
『籃(ラン)』lánは、竹製の籃(かご)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、竹(竹製)+監(取り締まる。枠)=籃(竹製の枠。籃。かご)です。漢字の部首は『竹・たけかんむり』、漢字の意味は『籃(かご)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ラン』、訓読みは『籃(かご)』です。幼児を守って安眠させる籃(かご)を揺籃(ヨウラン・ゆりかご)といいます。
籃(ラン)は常用漢字から外れています。
『覧(ラン)』lǎnは、上から下へ全体的に覧(み)る様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、監(上から下へ水鏡をみる)+見(みる)=覧(上から下へ全体的に覧る。みる)です。漢字の部首は『見・みる』、漢字の意味は『上から下へ全体的にみる』、『一度に見渡す』、『見ることの尊敬』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ラン』、訓読みは常用外に『覧(み)る』があります。高い位置から展望を楽しむことを観覧(カンラン)、全体を見通せるようにした書物を総覧(ソウラン)、天皇陛下が観賞なさることを天覧(テンラン)といいます。
漢字の世界では『みる』について、ニュアンスの違いがあります。
見(み)る 目立つ。目に止まる。現れる。見(ケン)http://bit.ly/ZCbIEZ
視(み)る 真っ直ぐ視る。注意して視る。視(シ)http://bit.ly/1Vps6QQ
看(み)る 手をかざして看る。よくみる。看(カン)http://bit.ly/1Z5TbdM
診(み)る 細かいところまですみずみまでみる。診(シン)http://bit.ly/1ygC0wK
察(み)る すみずみまでみる。察(サツ)http://bit.ly/1zwPD77
覧(み)る 高い所から下を覧る。覧(ラン)http://bit.ly/25ApacQ
臨(のぞ)む 高い所から下を臨む。臨(リン)http://bit.ly/1WvVxot
監(み)る 上から下のものをみて、みさだめる。監(カン)http://bit.ly/25ApacQ
観(み)る 多くのものを比べて観る。批評する。観(カン)http://bit.ly/11kw1b1
眺(なが)める 右に左にと広く見渡す。眺(チョウ)http://bit.ly/2t44mNH
望(のぞ)む 遠くの見えにくいものをもとめみる。望(ボウ)http://bit.ly/1v84fty
良い意味の漢字で、『かた』、『ただ』、『み』と名前に使われます。
覧(ラン)は小学校6年生で習う漢字http://bit.ly/21pbuvo です。
『塩(エン)』yánは、塩(しお)を表す形声文字です。本字は鹽(エン)で、監(みる。水の中に現れる)+鹵(結晶)=鹽(点々と現れてくる結晶した塩。しお)です。書くのが大変なので、土+□(結晶)+皿(水の中)=塩(海水を煮詰めたり、土の上に浮いてくる塩の結晶。塩。しお)と書きます。漢字の部首は『土・つち』、漢字の意味は『塩(しお)』、『塩素(エンソ)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『エン』、訓読みは『塩(しお)』です。塩分濃度の高まりでおこる災害を塩害(エンガイ)、人間の生活に欠かせない米と塩を米塩(ベイエン)、塩素との化合することを塩化(エンカ)、イカなどを塩漬けにした発酵食品を塩辛(しおから)といいます。
塩(エン)は小学校4年生で習う漢字http://bit.ly/1JVSIGA です。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-ba50.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.かんとく( )の判断。
2.連合 かんたい( )。
3.植物 ずかん( )。
4.品物の かんてい( )。
5.せっかん( )。
6.河川の はんらん( )。
7.しゅつらん( )の誉れ。
8.ぼろ( )。
9.ゆりかご( )。
10.てんらん( )会。
11.えんぶん( )の少ない食事。
解説です。基本の漢字は監、混じるは舟を足して艦、鑑(かがみ)は金を足して鑑、檻(おり)は木を足して檻、濫(みだ)れるは氵(さんずい)を足して濫、藍(あい)は藍、襤(ぼろ)は衣を足して襤、鹽(しお)は鹵(土)を足して鹽(塩)です。
解答です。監督、艦隊、図鑑、鑑定、折檻、氾濫、出藍、襤褸、襤、褸、揺籠、揺籃、展覧、塩分。
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