小学校6年生で習う漢字④(派~論)
小学校六年生で習う漢字です。『小学校6年生で習う漢字①』(異~困)と 『小学校6年生で習う漢字②』(砂~寸)、 『小学校6年生で習う漢字③』(聖~脳)、 『小学校6年生で習う漢字④』(派~論)に分割しています。ご了承下さい。
漢字の説明の前に、漢字の成り立ちの話をしましょう。最古の漢字辞書は後漢(建光元年・西暦121年)の許慎(キョシン)の「説文解字(セツモンカイジ)」です。許慎はその中で漢字の成り立ちについて、四種類あるとしました。中学の教科書に掲載されるようになったので、解説致します。
①.物の形を象った(かたどった)『象形文字』(ショウケイモジ)、②.象形文字を基に点を打つことにより示された『指事文字』(シジモジ)、③.文字を組み合わせて造った『会意文字』(カイイモジ)、④.意味と音を示す文字を組み合わせた『形声文字』(ケイセイモジ)の四種です。『会意文字』と『形声文字』は漢字の足し算で表す事が出来ます。六年生の漢字については一覧にしてありますので象形・指事・会意・形声 六年生も御覧ください。
漢字の成り立ちについての解釈は四通りです。どの時代の漢字に重点を置くか、また「説文解字(セツモンカイジ)」にどれほど敬意を払うかにより、解釈が違う場合が稀(まれ)にあります。ある辞書では『見』を象形文字、別の辞書では目+儿の会意文字としています。漢字の解釈については諸説あることを御承知下さい。
『派(ハ)』pàiは、川の支流を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵(水)+巛の変形(川の分流)=派(川の本流から分かれた支流。分かれる)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、漢字の意味は『川の支流』、『分かれ』、『一部』です。
音読みは呉音が『ヘ』、漢音が『ハイ』、慣用音が『ハ』です。兵の一部を割いて遣わすことを派兵(ハヘイ)、学問の分かれを学派(ガクハ)、もとから分かれて生じたものを派生(ハセイ)といいます。
派(ハ)の漢字の仲間には氵を月に換えた脈(ミャク)があります。詳しくは『漢字の覚え方 派』をご覧ください。
『拝(ハイ)』bàiは、両手で拝む様子を表す漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、扌(手)+手手丁(両手で持った捧げもの)=拝(両手を胸元でくんで頭を垂れ、丁寧にお辞儀をする。拝む。おがむ)です。漢字の部首は『扌・てへん』、漢字の意味は『拝(おが)む』、『任命される』です。
旧字は拜ですが、常用漢字体の拝を使います。
音読みは呉音が『ヘ』、漢音が『ハイ』、訓読みが『拝(おが)む』です。お辞儀をすることを拝礼(ハイレイ)、神や仏など信仰対象を 拝むこと礼拝(ライハイ・レイハイ)、命令を謹(つつし)んで受けること拝命(ハイメイ)、二度繰り返して拝礼することを再拝(サイハイ)といいます。
再拝(サイハイ)は二度繰り返して拝礼するので、手紙の最後に記して敬意を示すのに使われます。
『背(ハイ)』bèiは、背を向けてそむいた様子を表す形声文字です。北が方角を表すようになったのでつくられた漢字です。漢字の足し算では、北(背を向けてそむいた)+月(身体)=背(背をむける。背)です。漢字の部首は『月・にくづき』、漢字の意味は『背(せ)』、『背(そむ)く』です。
音読みは呉音が『ヘ・ハイ』、漢音が『ハイ』です。訓読みは『背(せ)』、『背(せい)』、『背(そむ)く』です。背景(ハイケイ)、背水之陣(ハイスイのジン)、背信(ハイシン)、背中(せなか)の背です。
背水之陣(ハイスイのジン)』とは川を背にして陣をしき決死の覚悟で戦いに臨むこと。漢の将軍韓信が故意に川を背に布陣をし、兵に決死の覚悟をさせ勝利した故事によっています(史記・淮陰宏侯)。
背(ハイ)は北(ホク)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 北』をご覧ください。
『肺(ハイ)』fèiは、身体の肺(ハイ)を表す形声文字です。漢字の足し算では、月(身体)+市(布を広げる・双葉が開く)=肺(身体にある布を膨らませたような臓器。肺)です。漢字の部首は『月・にくづき』、漢字の意味は『肺(ハイ)』です。息を吸って空気を取り入れる器官です。
常用漢字体では9画に数えます。本来は8画の漢字です。
東洋では内臓全体を五臓六腑(ゴゾウロップ)といいます・五臓(ゴゾウ)http://bit.ly/1PK5g40 とは、肝臓・心臓・脾臓・肺・腎臓を指します。六腑(ロップ)http://bit.ly/1JCvySD とは、胆嚢・胃・小腸・大腸・膀胱・リンパ をいいます。
音読みは呉音が『ホ』、漢音が『ハイ』です。肺が炎症を起こした状態を肺炎(ハイエン)、心臓と肺を心肺(シンパイ)といいます。
肺(ハイ)は市(ハイ)の『単語家族』で、沛(ハイ)伂(ハイ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 巿』をご覧ください。市(ハイ)は4画、市(シ)は5画で本来別字です。
『俳(ハイ)』pái は、二人の俳優が演じている様子を漢字にした形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、イ(人間)+非(相対する二人)=俳(二人の俳優が演じる)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、意味は『俳優』、『掛け合いの芸』、『俳句』、『右左に歩く人』です。
音読みは呉音が『ベ』、漢音が『ハイ』です。俳優(ハイユウ)、徘徊(ハイカイ)、俳諧(ハイカイ)、俳句(ハイク)の俳です。
俳諧(ハイカイ)とは『おどけ』、『こっけい』味を持つ和歌・連歌のことで、この連歌の発句(ホック)が独立したものを俳句(ハイク)といいます。俳に『演じる』、『面白味』、諧に『調和』、『たわむれる』の意味があります。
俳(ハイ)は非(ヒ)の『単語家族』で、排(ハイ)、輩(ハイ)などの漢字の仲間があります。す。詳しくは 『漢字の覚え方 非』をご覧ください。
『班(ハン)』bānは、財宝を分ける様子を表す文字です。漢字の足し算で覚えるならば、王・玉(財宝)+刂(分ける)+王・玉(財宝)=班(財宝を二つに分ける。分けられたもの。班)です。漢字の部首は『玉・ぎょく、王・おうへん』、漢字の意味は『分ける』、『グループ』です。
玉(ギョク)は王(オウ)に省略して書かれることがあります。
音読みは呉音が『ヘン』、漢音が『ハン』です。人民に分けられた田を班田(ハンデン)、第一に分けられた席次のものを首班(シュハン)、分けられたグループの長(おさ)を班長(ハンチョウ)といいます。
班(ハン)の『単語家族』には、斑(ハン)などの漢字の仲間があります。す。詳しくは『漢字の覚え方 班』 をご覧ください。
『晩(バン)』wǎn は、夜を表す漢字です。漢字の足し算では、日(ひ)+免(暗い)=晩(日が暮れて暗くなる。夜)です。漢字の部首は『日・にちへん』、意味は『夜』、『遅くなる』です。
音読みは漢音の『バン』です。呉音の『モン』は使いません。訓読みは『晩い(おそい)』今晩(コンバン)、昨晩(サクバン)、晩年(バンネン)、晩婚(バンコン)の晩です。
『夕』は月が出る様子を表す漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 夕』をご覧ください
『夜』は月が再び出る様子を表す漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 亦・夜』をご覧ください。
晩(バン)は免(メン)の『単語家族』で、挽(バン)、勉(ベン)などの漢字の仲間があります。す。詳しくは『漢字の覚え方 免』をご覧ください。
『否(ヒ)』pǐ 、fǒuは、『否』と意思表明することです。漢字の足し算では、不(~しない)+口(くち・言葉)=否(否定する。ちがう。反対)です。部首は『口』です。安否(アンピ)、合否(ゴウヒ)、可否(カヒ)のようにある性質の逆の面を意味します。安否は無事かそうでないか、合否は合格かそうでないか、可否は可能かそうでないかを表します。
音読みは漢音の『ヒ』が普通で、呉音の『ビ』と読む事はありません。訓読みは『いな』です。否定(ヒテイ)、否決(ヒケツ)、安否(アンピ)、合否(ゴウヒ)、拒否(キョヒ)、否応(いやおう)なしの否です。
否(ヒ)は不(フ)の『単語家族』で、盃(ハイ)、胚(ハイ)などの漢字の仲間があります。す。詳しくは『漢字の覚え方 不』をご覧ください。
『批(ヒ)』pīは、手にとっったものを比べる映像を漢字にしたものです。漢字の足し算では、扌(手の動作)+比(比べる)=批(手にとって二つを比べる。良し悪しを決める)です。部首は『扌・てへん』、意味は『良し悪しを決める』です。
音読みは漢音の『ヘイ』、呉音の『ハイ』は使いません。慣用音の『ヒ』を使って下さい。批判(ヒハン)、批評(ヒヒョウ)、批准(ヒジュン)の批です。
批(ヒ)は比(ヒ)の『単語家族』で、庇(ヒ)、屁(ヘ)などの漢字の仲間があります。す。詳しくは『漢字の覚え方 比』をご覧ください。
『秘・祕(ピ)』bì 、mìは、神が必ず現れる神秘を表す漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、示(神様)+必(必ず)=秘・祕(神が必ず現れる神秘な。秘めた)です。漢字の部首は『示・しめすへん』です。漢字の意味は『神秘な』、『秘めた』、『通じがわるい』です。
神様に関係するので正字は祕ですが、常用漢字体は俗字の秘を採用しているので、秘を使って下さい。
音読みは呉音・漢音ともに『ヒ』。訓読みは『秘(ひ)める』です。人にかくして知らせない事を秘密(ヒミツ)、秘密の書類・機密の事務を扱う人を秘書(ヒショ)、便の通じが悪いことを便秘(ベンピ)といいます。
秘(ヒ)は必(ヒツ)の『単語家族』で、泌(ピ)、密(ミツ)などの漢字の仲間があります。す。詳しくは『漢字の覚え方 必』をご覧ください。
『腹(フク)』fùは、腹(はら)を表す形声文字です。漢字の足し算では、月(身体)+复(重なる・ふくれる)=腹(中に腸が重なって包まれている身体の部分。腹。はら)です。漢字の部首は『月・にくづき』、意味は『腹(はら)』、『母親』、『中ほど』、『胸のうち』です。
音読みは呉音・漢音ともに『フク』、訓読みは『腹(はら)』です。腹がすいたことを空腹(クウフク)、母親が同じことを同腹(ドウフク)、山の中ほどを中腹(チュウフク)、前もって心の中で考えておくことを腹案(フクアン)といいます。
腹(フク)は复(フク)の『単語家族』で、復(フク)、複(フク)などの漢字の仲間があります。す。詳しくは『漢字の覚え方 复』をご覧ください。
『奮(フン)』fènは、隹(とり)が飛ぼうとして羽ばたく様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、大(大きく)+隹(とり)+田(地面)=奮(隹が飛ぼうとして地上で力をこめて羽ばたく。力を一気に発する。奮う。ふるう)です。漢字の部首は『大・だい』、意味は『力を一気に発する』、『奮(ふる)う』です。
音読みが呉音・漢音ともに『フン』、訓読みが『奮(ふる)う』です。奮い立つことを奮起(フンキ)、奮いたって闘うことを奮闘(フントウ)・奮戦(フンセン)、勢い激しく奮いたつことを奮迅(フンジン)といいます。
奮(フン)は隹(スイ)を使った漢字です。隹(スイ)の『単語家族』で、推(スイ)、錐(スイ)、維(イ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 隹』 をご覧ください。
『並(ヘイ)』bìngは、人が並んでいる様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、立(人の立ち姿)+立(人)=竝・並(人が並んでいる。並ぶ。ならぶ。皆一様に。なみ)です。漢字の部首は『一・いち』、漢字の意味は『並(なら)ぶ』、『並(なみ)』です。
音読みは呉音が『ビョウ』、漢音が『ヘイ』です、訓読みは『並(なら)ぶ』、『並(なみ)』です。並(なら)んで行くことを並行(ヘイコウ)、並列(ヘイレツ)といいます。
並(ヘイ)の『単語家族』には、普(フ)、譜(フ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 並』をご覧ください。
『陛(ヘイ)』bìは、宮殿の階段を漢字にしたものです。漢字の足し算では、阝(こざとへんへん・土盛り)+比(そろって)+土=陛(宮殿の階段)です。『宮殿の階段』、『君主』、『陛下』です。漢字の部首は『阝・こざとへんへん』、意味は『宮殿の階段』、『君主』です。
階段の中で高貴なものを示すために、後からつくられた漢字です。威厳を強調するため高さの土を使っています。音読みですが『皆』の仲間(皆、階、諧)『漢字の覚え方 皆』は『カイ』と読むのですが、『陛』は白が土に替わり『ヘイ』と読みます。
音読みは漢音の『ヘイ』が普通で、呉音の『バイ』は使いません。訓読みは常用外の『きざはし』があります。陛下(ヘイカ)の陛です。
陛(ヘイ)は比(ヒ)の『単語家族』で、批(ヒ)、庇(ヒ)などの漢字の仲間があります。す。詳しくは『漢字の覚え方 比』をご覧ください。
『閉(ヘイ)』bìは、門を閉(と)ざす様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、門(モン)+才(さえぎる)=閉(門をさえぎる。閉ざす。閉る)です。漢字の部首は『門・もんがまえ』、漢字の意味は『閉(と)じる』、『すきまなくふさぐ』、『やめる』です。
音読みは呉音が『ハイ』、漢音が『ヘイ』、訓読みは『閉(と)じる』、『閉(しま)る』です。言葉につまること・手に負えなくて困ることを閉口(ヘイコウ)、出入り口などを閉ざすことを閉鎖(ヘイサ)、商売をやめること・その日の商いをやめることを閉店(ヘイテン)といいます。
閉(ヘイ)は才(サイ)に従った漢字です。才(サイ)については『漢字の覚え方 才』をご覧ください。
『片(ヘン)』piànは、木の切れ端を描いた象形文字です。漢字の部首は『片・かた』、漢字の意味は『きれはし』、『平らな切れ端』、『片側』です。
版築(ハンチク)という建築方法があります。板の間(あいだ)に土や石灰(現在ではコンクリート)を入れて叩いて固める建築方法です。版築に使われる左側の板を『爿(ショウ)』qiang、右側を『片(ヘン)』piànといいます。『爿(ショウ)』pánはベッドや床などの意味に発展し、『片(ヘン)』は片側を示す意味になりました。
音読みは呉音・漢音ともに『ヘン』、訓読みが『片(かた)』です。木の切れ端を木片(モクヘン)、簡単な短い言葉を片言(ヘンゲン)といいます。
片(ヘン)の反対側が爿(ショウ)といわれております。詳しくは『漢字の覚え方 爿』も御覧ください。
『補(ホ)』bǔは、布で補修(ホシュウ)する様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、衤(衣・衣服)+甫(平らにくっつける)=補(布をあてて衣服を補修する。補修する。補う)です。漢字の部首は『衤・ころもへん』、漢字の意味は『補(おぎな)う』、『助ける』です。
音読みは呉音が『フ』、漢音が『ホ』、訓読みが『補(おぎな)う』です。修理して補うことを補修(ホシュウ)、不足分を補う学習を補習(ホシュウ)、足りないものを補って供給することを補給(ホキュウ)、側にいて手助けすることを補佐(ホサ)といいます。
補(ホ)は甫(ホ)の『単語家族』で、捕(ホ)、哺(ホ)などの漢字の仲間があります。す。詳しくは『漢字の覚え方 甫』をご覧ください。
『暮(ボ)』mùは、日が沈んで見えない様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、莫(みえない)+日(太陽)=暮(日が沈んで見えない。暮れる)です。漢字の部首は『日・にち』、漢字の意味は『暮(く)れる』です。
映像ではこんな感じです。
音読みは漢音の『ボ』が普通、呉音の『モ・ム』は使いません。訓読みは『暮(くれ)る』です。朝暮(チョウボ)、日暮れ(ひぐれ)の暮です。
暮(ボ)は莫(バク)の『単語家族』で、募(ボ)、慕(ボ)などの漢字の仲間があります。す。詳しくは『漢字の覚え方 莫』をご覧ください。
『宝(ホウ)』bǎoは、大切にしまってある宝石や財貨を表す会意文字です。漢字の足し算では、宀(建物)+王・玉(宝石)+缶(入れ物)+貝(財貨)=寶・宝(宝石や財貨を建物の中で大切に保存する)です。漢字の部首は『宀・うかんむり』、漢字の意味は『宝(たからら)』、『大切にする』、『通貨』です。
略字の宝が常用漢字体に登録されているので、宝を使います。
音読みは呉音・漢音ともに『ホウ』、慣用音が『ホ』、訓読みが『宝(たから)』です。宝の庫(くら)・貴重なものを多く含んでいることを宝庫(ホウコ)、便利で役立つのもの・貴重なものとして大切にすることを重宝(チョウホウ)といいます。
非常に縁起の良い漢字で、『かね』、『たか』、『たかし』、『たけ』、『とみ』、『とも』、『みち』、『よし』と名前に使われます。
宝(ホウ)は玉(ギョク)に従った漢字です。玉(ギョク)については詳しくは『漢字の覚え方 玉』 をご覧ください。
『訪(ホウ)』fǎngは、左右に言葉を広げて訪(たず)ねる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、言(言葉)+方(左右)=訪(左右に言葉を広げて訪ねる。訪れる)です。漢字の部首は『言・ごんべん』です。意味は『訪ねる(たずねる)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ホウ』、訓読みは『訪ねる(たずねる)』、『訪れる(おとずれる)』です。訪問(ホウモン)、来訪(ライホウ)、探訪(タンボウ)の訪です。『訪』は小学校6年生で習う漢字です。
訪(ホウ)は方(ホウ)の『単語家族』で、放(ホウ)、芳(ホウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 方』をご覧ください。
『亡(モウ・ボウ)』wáng、wúは、人が死んだことを表す会意文字(カイイモジ)です。古い字体の篆文(テンブン)を見てください。人(人間)を乚(囲い)で隠しています。漢字の足し算では、人(人間)+乚(囲い)=亡(人間が隠れる。なくなる。亡びる)です。漢字の部首は『亠・なべぶた』、漢字の意味は『亡びる(ほろびる)』、『逃げる』、『亡い(ない)』です。
音読みは二通りあります。『亡(ほろ)びる』wángの意味では呉音が『モウ』、漢音が『ボウ』、『亡(な)い』wúの意味では呉音が『ム』、漢音が『ブ』です。訓読みは『亡い(ない)』と『亡びる(ほろびる)』です。頼りにならないものを亡頼(ブライ・ムライ)、他国へ逃げることを亡命(ボウメイ)、死んだ人を亡者(モウジャ)、生きるるか死ぬかを存亡(ソンボウ)といいます。
亡(ボウ)の『単語家族』には、忙(ボウ)、忘(ボウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 亡』をご覧ください。
『忘(ボウ)』wàngは、忘れる様子を表した形声文字です。漢字の足し算では、亡(ない)+心=忘(心がない・忘れる)です。漢字の部首は『心・こころ』です。
音読みは呉音が『モウ』、漢音が『ボウ』、訓読みは『忘(わす)れる』です。忘れ去ることを忘却(ボウキャク)、年末に一年の苦労を忘れることを忘年(ボウネン)、人からの恩を忘れることを忘恩(ボウオン)といいますです。
忘(ボウ)は亡(ボウ)の『単語家族』で、望(ボウ)、忙(ボウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 亡』をご覧ください。
『棒(ボウ)』bàngは、細長い木を表す形成文字です。漢字の足し算では、木(木製品)+奉(両手で捧げる)=棒(両手で持つ木の棒)です。漢字の部首は『木・きへん』、漢字の意味は『棒(ボウ)』です。
音読みは呉音が『ボウ』、漢音が『ホウ』です。籠(かご)を持つ相手・仕事の仲間を相棒(あいボウ)、片棒(かたボウ)といいます。
棒(ボウ)は奉(ホウ)の『単語家族』で、俸(ホウ)、捧(ホウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 奉』をご覧ください。
『枚(マイ)』méiは、杖(つえ)に使う太さの木を表す会意文字です。漢字の足し算では、木(木製)+攴・攵(動作)=枚(手に持って使う木製品。杖。つえ。馬を打つ鞭。むち)です。漢字の部首は『木・きへん』、漢字の意味は『杖(つえ)』、『鞭(むち)』、『はみ』、『一本・一本』、『一枚、一枚』、『平らで薄いもの』です。
毎(マイ)と同様に同じような物を数えるときに使う漢字ですが、我が国では平らで薄いものに使います。
動作を表す攵(ぼくづくり)は、篆文で攴(ボク)pū、楷書体では攵(ボク)pūのデザインをとります。
音読みは呉音が『マイ・メ』、漢音が『バイ』です。一つ一つ数えあげることを枚挙(マイキョ)、紙や板などの平らで薄いものの数を枚数(マイスウ)といいます。
数が増えて行く良い意味の漢字で『かず』、『ひら』、『ふむ』と地名・人名に使われます。
枚(マイ)は攵(ボク)の『単語家族』で、牧(ボク)などの漢字の仲間があります。詳しくは)『漢字の覚え方 攴・攵』 をご覧ください
『幕(マク・バク)』mùは、巾(ぬの)で覆って見えなくする状態を表す形声文字です。漢字の足し算では、莫(みえない)+巾(ぬの)=幕(物をかくす布。幕。将軍がみえない場所。幕府)です。漢字の部首は布を表す『巾・はば』、漢字の意味は『物をかくす布』、『幕(マク)』、『幕府』、『芝居の区切り』、『相撲の幕内』です。
音読みは呉音の『マク』、漢音の『バク』どちらも使います。軍隊の本陣で将軍のいる所です。開幕(カイマク)、徳川幕府(トクガワバクフ)の幕ですね。
『模(モ)』móは、煉瓦(レンガ)を造る時の木枠を表す形声文字です。大量コピーをする事を模(モ)という漢字を使って表しました。漢字の足し算では、莫(みえない)+木=模(木枠を使っての大量生産する)です。部首は『木・きへん』、漢字の意味は『型』、『模型』、『全体の大きさ』です。
音読みは呉音の『モ』が普通、漢音の『ボ』は使いません。模型(モケイ)・模範(モハン)の模ですね
当時の大量コピーは煉瓦(レンガ)です。敵対民族の侵入に煉瓦で造った長城で対抗したわけです。煉瓦の作成に粘土と木枠を使い、型抜きのときに粘土が見えなくなるので『模』という漢字が大量コピーを表したのです。
暗闇(くらやみ)で索(糸)を手で探るような状態を『暗中模索(アンチュウモサク)』と言います。『模は代用字です。見えないものを手で探る漢字は『摸(モ)』mōです。『暗中摸索』と書くのが正式です。『摸(モ)』mōは常用漢字ではないので使われないため『暗中模索』と書きます。
幕(マク・バク)、模(モ)は莫(バク)の『単語家族』で、膜(マク)、墓(ボ)、獏(バク)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 莫』をご覧ください。
『密(ミツ)』mìは、奥深い山を表す漢字です。漢字の足し算では、宓(ひそか)+山=密(奥深い山。密かな山。ひそか)です。部首は『宀・うかんむり』、意味は『密かな山』、『密ひそ)か』、『すきまのない』です。
宀(屋根・うかんむり)と必を足した宓(ミツ)に家に籠って『宓(ひそ)か』の意味があります。宓は常用漢字ではないので、常用漢字の密が普通使われます。また、密の漢字の成り立ちについては、山でなく火で、火を使った密(ひそ)かな儀式という説もあります。意味は同じです。
音読みは呉音が『ミツ・ミチ』、漢音が『ビツ』、訓読みは『密(ひそ)か』です。密かに会うことを密会(ミッカイ)、隙間のないほど親しい様を親密(シンミツ)、仏教の密かな教えを密教(ミッキョウ)、隙間なく閉めることを密閉(ミッペイ)、隙間なく細かいことを緻密(チミツ)といいます。
密(ミツ)は必(ヒツ)の『単語家族』で、秘(ピ)、泌(ヒツ・ヒ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 必』をご覧ください。
『盟(メイ)』méngは、盟約する様子を表した形声文字です。漢字の足し算では、明(神明・神)+皿(血を入れた皿)=盟(犠牲の血を皿に入れて神に誓いをたてる。盟約)です。古代中国では牛の犠牲にし、その血をすすり合って、神に前で誓いをたてました。これを『盟』といいます。漢字の部首は『皿・さら』です。意味は『誓う』、『盟約を交わす』です。
音読みは呉音が『ミョウ』、漢音が『メイ』、訓読みは常用外の『盟(ちか)う』です。誓って約束することを盟約(メイヤク)、同じ誓いをたてた関係を同盟(ドウメイ)、血をすすって誓うことを血盟(ケツメイ)といいます。
盟(メイ)は明(メイ)の『単語家族』で、萌(ホウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 明』をご覧ください。
『訳・譯(ヤク)』yìは、言葉を一つ一つ他の文句に言い換える様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、言(言葉)+尺・睪(ひとつ、ひとつ)=訳・譯(言葉を一つ一つ他の文句に言い換える。ヤク。わけ)です。漢字の部首は『言・ごんへん』、意味は『言い換える』、『訳(わけ)』です。
本字(歴史的な正字・旧字)は譯、常用漢字体は省略形の訳が使われています。
音読みは呉音が『ヤク』、漢音が『エキ』、訓読みが『訳(わけ)』です。ある言語の文章を他の言語に置き換えることを翻訳(ホンヤク)、双方の言葉を翻訳してそれぞれの相手に伝えることを通訳(ツウヤク)といいます
訳(ヤク)は尺(シャク)・睪(エキ)の『単語家族』で、駅(エキ)、繹(エキ)、澤(タク)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 睪』をご覧ください。
『郵(ユウ)』yóuは、命令を中継する宿場を表す会意文字です。漢字の足し算では、垂(垂れる・下る・中央から地方)+阝(村・邑)=郵(国境に置いた伝令のための屯所。飛脚の宿場)です。漢字の部首は『阝・おおざと』、漢字の意味は『郵便(ユウビン)』、『飛脚(ヒキャク)』です。
音読みは、呉音が『ウ』、漢音が『ユウ』です。はがきや荷物などを送り届ける通信事業を郵便(ユウビン)、郵便に関する政務を郵政(ユウセイ)、飛脚で送ること・郵便で送ることを郵送(ユウソウ)といいます。
郵(ユウ)は垂(スイ)に従った漢字です。垂(スイ)の『単語家族』で、睡(スイ)、錘(スイ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 垂』をご覧ください。
『優(ユウ)』yōuは、優(やさ)しい様子・優(すぐ)れている様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、イ(人間の行為・側にいる人)+憂(うれえる)=優(憂える人。優しい。しとやか。優れる)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、漢字の意味は『優(やさ)しい』、『優(すぐ)れる』、『しとやか』、『役者』、『手厚い』です。
音読みは呉音が『ウ』、漢音が『ユウ』、訓読みは『優(やさ)しい』、『優(すぐ)れる』で、常用外に『優(まさ)る』があります。しとやかで気品があることを優雅(ユウガ)、非常にすぐれていることを優秀(ユウシュウ)、手厚くもてなすことを優遇(ユウグウ)、演技することを職業としている人を俳優(ハイユウ)といいます。
縁起の良い漢字で『かつ』、『すぐる』、『ひろ』、『まさ』、『まさる』、『ゆたか』と名前に使われます。
優(ユウ)は憂(ユウ)の『単語家族』で、擾(ジョウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 憂』をご覧ください。
『幼(ヨウ)』yòu、yāoは、幼(おさな)い子供を表す形声文字です。漢字の足し算では、幺(ちいさい)+力(ちから)=幼(力の弱い小さな子。幼い。おさない)です。漢字の部首は『幺・いとがしら』、漢字の意味は『幼(おさな)い』、『幼(おさな)い子』です。
音読みは、幼(おさな)い子の意味yòuでは呉音・漢音ともに『ユウ』、慣用音が『ヨウ』です。幼(おさな)いの意味yāoでは、呉音・漢音ともに『ヨウ』、訓読みが『幼(おさな)い』です。常用外に『幼(いとけな)い』があります。年齢が幼いこと・やり方が幼いことを幼稚(ヨウチ)、幼いこどもを幼児(ヨウジ)、年長者と年少者を長幼(チョウヨウ)といいます。
幼(ヨウ)は幺(ヨウ)の『単語家族』で、拗(ヨウ)、幽(ユウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 幺』 をご覧ください。
『欲(ヨク)』yùは、空白・不満を満たしたい様子を表わした形声文字です。漢字の足し算では、谷(満たす)+欠(空の)=欲(空白・不満を満たしたい。欲望)です。漢字の部首は『欠・あくび』、意味は『不満を満たしたい』、『欲しい』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨク』です。訓読みは『欲(ほっ)する』、『欲(ほ)しい』です。不足を感じて満たしたいと望む気持ちを欲望(ヨクボウ)、食べ物を欲しがる気持ちを食欲(ショクヨク)、欲望が無いことを無欲(ムヨク)といいます。『欲』は小学校6年生で習う漢字です。
同じ意味の漢字で名詞を表す『慾(ヨク)』yùがあります。こちらは、心を足して『欲しがる気持ち』を表します。『慾(ヨク)』は常用漢字でないので『欲(ヨク)』に書き換えます。
欲(ヨク)は谷(コク)の『単語家族』で、溶(ヨウ)、浴(ヨク)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 谷』をご覧ください。
『翌(ヨク)』yìは、明日(あした)を表す形声文字です。漢字の足し算では、翼(もう一つの羽)+立(時が来る)=翌(もう一つの日が来る。明日)です。漢字の部首は『羽・はね』、漢字の意味は『明日』、『その次の』です。
異体字に昱(ヨク)があります。日(ひにち)+立(時が来る)=昱(日が来る。明日)です。意味は同じです。
音読みは呉音が『イキ』、漢音が『ヨク』です。その次の日を翌日(ヨクジツ)、翌年の春を翌春(ヨクシュン)、明日は檜になろうという樹木を翌檜(あすなろ)といいます。
翌(ヨク)は異(イ)の『単語家族』で、翼(ヨク)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 異』をご覧ください。
『乱・亂(ラン)』luànは、もつれた糸を手で扱う様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、舌(爫+ヌ+冂+ム+ヌの省略形・糸のもつれた様)+乙(止める)=乱(もつれた糸を手で扱う。乱れる。みだれる)です。漢字の部首は『乙・おつ』、意味は『乱(みだ)れる』です。もつれた糸を手で扱い、乱れている様子を表します。正字(歴史的に正しい字・旧字)は亂です。常用漢字体の乱を使って下さい。
音読みは呉音・漢音が『ラン』、唐宋音が『ロン』、訓読みは『乱(みだ)れる』、『乱(みだ)す』です。乱れた世を乱世(ランセ・ランセイ)、荒々しく振る舞うことを乱暴(ランボウ)、乱れた行いを乱行(ランギョウ・ランコウ)といいます。
乱(ラン)は乙(オツ)に従った漢字です。乙(オツ)の『単語家族』には、札(サツ)、軋(アツ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 乙』をご覧ください。
『卵(ラン)』luǎnは、カエルやサンショウウオや魚の卵を象(かたど)った象形文字です。漢字の部首は『卩・ふしづくり』、漢字の意味は『卵(たまご)』、『修行中の身』です。爬虫類や鳥類の卵にも使います。
音読みは呉音・漢音ともに『ラン』、訓読みは『卵(たまご)』です。卵を産むことを産卵(サンラン)、卵の黄身を卵黄(ランオウ)、卵の白身を卵白(ランパク)、卵を産む動物を卵生(ランセイ)といいます。
『覧(ラン)』lǎnは、上から下へ全体的に覧(み)る様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、監(上から下へ水鏡をみる)+見(みる)=覧(上から下へ全体的に覧る。みる)です。漢字の部首は『見・みる』、漢字の意味は『上から下へ全体的にみる』、『一度に見渡す』、『見ることの尊敬』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ラン』、訓読みは常用外に『覧(み)る』があります。高い位置から展望を楽しむことを観覧(カンラン)、全体を見通せるようにした書物を総覧(ソウラン)、天皇陛下が観賞なさることを天覧(テンラン)といいます。
漢字の世界では『みる』について、ニュアンスの違いがあります。
見(み)る 目立つ。目に止まる。現れる。見(ケン)http://bit.ly/ZCbIEZ
視(み)る 真っ直ぐ視る。注意して視る。視(シ)http://bit.ly/1Vps6QQ
看(み)る 手をかざして看る。よくみる。看(カン)http://bit.ly/1Z5TbdM
診(み)る 細かいところまですみずみまでみる。診(シン)http://bit.ly/1ygC0wK
察(み)る すみずみまでみる。察(サツ)http://bit.ly/1zwPD77
覧(み)る 高い所から下を覧る。覧(ラン)http://bit.ly/25ApacQ
臨(のぞ)む 高い所から下を臨む。臨(リン)http://bit.ly/1WvVxot
監(み)る 上から下のものをみて、みさだめる。監(カン)http://bit.ly/25ApacQ
観(み)る 多くのものを比べて観る。批評する。観(カン)http://bit.ly/11kw1b1
眺(なが)める 右に左にと広く見渡す。眺(チョウ)http://bit.ly/2t44mNH
望(のぞ)む 遠くの見えにくいものをもとめみる。望(ボウ)http://bit.ly/1v84fty
良い意味の漢字で、『かた』、『ただ』、『み』と名前に使われます。
覧(ラン)の『単語家族』には、欖(ラン)、攬(ラン)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 覧』・『漢字の覚え方 監』をご覧ください。
『裏(リ)』lǐという漢字は、衣に里(きちんと区画した田畑)を足した形声文字です。衣服の裏側は縦糸と横糸が組み合って、きちんとした田畑(里)のようだからです。漢字の足し算では、衣+里(縦横のきちんと区画した田畑)=裏衣服の裏地。うら)です。漢字の部首は『衣・ころも』。
漢字の意味は『裏(うら)』、『物事の内側』です。
漢字の出来方は、衣を上下に分割し、間に里を挟(はさ)んで作ります。また『裡(リ)』という漢字は衣のかわりに衤(ころもへん)を合わせたもので、『裏』の異体字で、同じ漢字です。
音読みは呉音・漢音ともに『リ』、訓読みが『裏(うら)』です。表と裏を表裏(ヒョウリ)、宮中の内側を内裏(ダイリ)、互いに矛盾したしていた良くない事を裏腹(うらはら)といいます。
裏(リ)は里(リ)の『単語家族』で、理(リ)、鯉(リ)などの漢字の仲間があります。詳しくは 『漢字の覚え方 里』をご覧ください。
『表(ヒョウ)』biǎoという漢字があります。『裏』の反対の漢字です。『表』は毛皮の衣服の表面を示した漢字なのです。漢字の足し算では、毛(毛皮)+衣(ころも・衣服)=表(毛皮の衣服の表部分。表す)です。
『表』は衣服の表側を表しますが、表現などの内面を表す意味、図表など記号を使って表すこと、辞表など公式な文書の意味もあります。音読みは『ヒョウ』で、訓読みは『おもて』、『表(あらわ)す』、『表(あらわ)れる』です。
『表』は小学校3年生で習う漢字です。俵が同じ仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 表』をご覧ください。
『律(リツ)』lǜは、筆(ふで)で一行、二行とリズム良く書く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、彳(行く)+聿(ふでを手で持つ)=律(一行、二行とリズム良く書く。箇条書き。転じて法則・おきて)です。漢字の部首は『彳・ぎょうにんべん』、漢字の意味は『音楽の調子』、『箇条書き』、『法則・おきて』です。
音読みは呉音が『リチ』、漢音が『リツ』です。刑罰についての規定を律(リツ)・行政の規則を令(リョウ)といい、あわせて古代国家の基本法を律令(リツリョウ)、社会秩序を維持するための規則を法律(ホウリツ)、仏教の僧の守る戒めと規則を戒律(カイリツ)、決まりに従い義理堅いことを律儀(リチギ)といいます。
律(リツ)は聿(イツ)の『単語家族』で、葎(リツ)、筆(ヒツなどの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 聿』をご覧ください。
『臨(リン)』línは、高い所から下を見る様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、臣(下を見る目)+人(ひと)+品(いろいろ)=臨(高い所から下方のいろいろな物を見る。臨む。のぞむ)です。漢字の部首は『臣・しん』、漢字の意味は『臨(のぞ)む』、『面と向かう』です。
音読みは呉音・漢音ともに『リン』、訓読みが『臨(のぞ)む』です。海に臨むことを臨海(リンカイ)、死に面と向かうことを臨終(リンジュウ)、医者が病床に臨むこと・医療の実際を臨床(リンショウ)といいます。
漢字の世界では『みる』について、ニュアンスの違いがあります。
見(み)る 目立つ。目に止まる。現れる。見(ケン)http://bit.ly/ZCbIEZ
視(み)る 真っ直ぐ視る。注意して視る。視(シ)http://bit.ly/1Vps6QQ
看(み)る 手をかざして看る。よくみる。看(カン)http://bit.ly/1Z5TbdM
診(み)る 細かいところまですみずみまでみる。診(シン)http://bit.ly/1ygC0wK
察(み)る すみずみまでみる。察(サツ)http://bit.ly/1zwPD77
覧(み)る 高い所から下を覧る。覧(ラン)http://bit.ly/25ApacQ
臨(のぞ)む 高い所から下を臨む。臨(リン)http://bit.ly/1WvVxot
監(み)る 上から下のものをみて、みさだめる。監(カン)http://bit.ly/25ApacQ
観(み)る 多くのものを比べて観る。批評する。観(カン)http://bit.ly/11kw1b1
眺(なが)める 右に左にと広く見渡す。眺(チョウ)http://bit.ly/2t44mNH
望(のぞ)む 遠くの見えにくいものをもとめみる。望(ボウ)http://bit.ly/1v84fty
臨(リン)は品(ヒン)に従った漢字です。品(ヒン)については『漢字の覚え方 品』をご覧ください。
『朗(ロウ)』lǎngは、朗(ほが)らかな様子を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、良(清らか)+月=朗(清らかな明るい月。朗らか)です。漢字の部首は『月・つき』、意味は『朗(ほが)らか』、『明るい』、『すがすがしい』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ロウ』。訓読みは『朗(ほが)らか』です。明朗(メイロウ)、朗読(ロウドク)の朗です。
非常に良い意味の漢字で、『あき』、『あきら』、『お』、『さえ』、『とき』、『ほがら』、『ろう』と名前に使われます。
朗(ロウ)は良(ロウ・リョウ)の『単語家族』で、浪(ロウ)、郎(ロウ)、廊(ロウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 良』をご覧ください。
『論(ロン)』lúnは、筋道を立てて述べる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、言(言葉)+侖(筋道・整理された書類)=論(筋道を立てて述べる)です。漢字の部首は『言・ごんべん』、漢字の意味は『筋道を立てて述べる』、『筋を通した意見』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ロン』です。訓読みに常用外の『論(あげつら)う』があります。言葉を交わして意見を述べ合うことを議論(ギロン)、意見を闘わせる討論(トウロン)、筋を整えて述べることを論述(ロンジュツ)、社会問題について世間の人々の持っている意見を世論(よロン・セロン)、物事の優劣を批評し論じることを評論(ヒョウロン)、意見・考えを順序良く述べた文・学問上の研究結果を記した文を論文(ロンブン)といいます。孔子とその弟子の会話をまとめた書に論語(ロンゴ)があります。といいます。
非常に良い意味の漢字で、『とき』、『のり』と名前に使われます。
論(ロン)は侖(リン)の『単語家族』で、倫(リン)、輪(リン)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 侖』をご覧ください。
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本を、下記の本をお読みください。
篆文(テンブン)を中心にした体系的な記述・韻の説明は、諸橋轍次先生の『新漢和辞典』、藤堂明保先生の『漢字源』・『漢字の過去と未来』を参考にさせて頂いてます。
甲骨文字・金文のもつ呪術的な解釈には白川静先生の『字通』・『字統』・『漢字』・『中国古代の文化』を参考にさせて頂いています。
漢字の伝来や常用漢字の解釈については、大島正二先生の『漢字伝来』、高島俊男先生の『漢字と日本人』を参考にさせて頂いています。
日本語については、金田一京助先生の『日本語の変遷』、大野晋先生の『日本語の文法を考える』、新村出先生の『広辞苑』を参考にさせて頂いております。
最近の研究については、落合淳思先生の『漢字の成り立ち』を参考にさせて頂いております。
医学用語については伊藤正男・井村裕夫・高久史麿先生の『医学大辞典』を参考にさせて頂いております。
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小学校のころから海外に滞在しているので、読むのはともかく、書くのが散々なものなので、自力で勉強してみようかなと思ってこのブログを見つけました。ものすごく勉強になっております!o(*^▽^*)o 似たような漢字をまとめて解説されているので、とても解りやすいです。今までずっとこういうのを探していました…!これからも引き続き、参考にさせていただきますヽ(´▽`)/
投稿: birdy | 2016年6月20日 (月) 16時54分
コメント有難う御座います。解りやすいですと言って頂いて励みになります。
宜しくお願い致します。
投稿: 風船 | 2016年6月20日 (月) 19時24分