小学校6年生で習う漢字③(聖~脳)
小学校六年生で習う漢字です。『小学校6年生で習う漢字①』(異~困)と 『小学校6年生で習う漢字②』(砂~寸)、 『小学校6年生で習う漢字③』(聖~脳)、 『小学校6年生で習う漢字④』(派~論)に分割しています。ご了承下さい。
漢字の説明の前に、漢字の成り立ちの話をしましょう。最古の漢字辞書は後漢(建光元年・西暦121年)の許慎(キョシン)の「説文解字(セツモンカイジ)」です。許慎はその中で漢字の成り立ちについて、四種類あるとしました。中学の教科書に掲載されるようになったので、解説致します。
①.物の形を象った(かたどった)『象形文字』(ショウケイモジ)、②.象形文字を基に点を打つことにより示された『指事文字』(シジモジ)、③.文字を組み合わせて造った『会意文字』(カイイモジ)、④.意味と音を示す文字を組み合わせた『形声文字』(ケイセイモジ)の四種です。『会意文字』と『形声文字』は漢字の足し算で表す事が出来ます。六年生の漢字については一覧にしてありますので象形・指事・会意・形声 六年生も御覧ください。
漢字の成り立ちについての解釈は四通りです。どの時代の漢字に重点を置くか、また「説文解字(セツモンカイジ)」にどれほど敬意を払うかにより、解釈が違う場合が稀(まれ)にあります。ある辞書では『見』を象形文字、別の辞書では目+儿の会意文字としています。漢字の解釈については諸説あることを御承知下さい。
『聖(セイ)』shèngは、真っ直ぐ聞き取ることの出来る聖人を表す形声文字です。漢字の足し算では、耳(聞く)+呈(真っ直ぐ)=聖(真っ直ぐ聞き取ることの出来る聖人。聖人。理想的な人物。特の高い人)です。漢字の部首は『耳・みみ』、漢字の意味は『徳のすぐれた人』、『その道に優れた人』、『天子』、『けがれのない』、『神聖な』、『仏教の高徳の僧』です。
音読みは呉音が『ショウ』、漢音が『セイ』、唐宋音が『シン』です。訓読みが『聖(ひじり)』、常用外に『聖(きよ)い』があります。中国・東洋において理想的な人とする堯(ギョウ)、舜(シュン)、孔子(コウシ)などを聖人(セイジン)、極めて優れた詩人・杜甫のことを詩聖(シセイ)、宗教・信仰などにおいてけがれのないことを神聖(シンセイ)、キリスト教で聖人によって書かれた神聖な書物を聖書(セイショ)、仏教で徳の高い僧を聖人(ショウニン)といいます。
中国・東洋では最高級の漢字で、『あきら』、『あき』、『きよ』、『きよし』、『さと』、『さとし』、『さとる』、『たから』、『とし』、『まさ』と人名に使われます。
聖(セイ)は呈(テイ)の『単語家族』で、呈(テイ)、程(テイ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 呈』をご覧ください。
『盛(ジョウ・セイ)』shèng、chéngは、お皿に御馳走を盛った様子を表わす形声文字です。漢字の足し算では、皿(さら)+成(成す)=盛(皿に料理を盛る。もる。盛る)です。漢字の部首は『皿・さら』、意味は『盛(も)る』shèng、『盛(さか)ん』chéngです。
音読みは呉音が『ジョウ』、漢音が『セイ』、訓読みは『盛(も)る』、『盛(さか)ん』です。盛(さか)んな様子を盛況(セイキョウ)、極めて盛んで規模が大きなことを盛大(セイダイ)、岩手県の県庁所在地を盛岡(もりおか・盛り上がり栄える岡)といいます。
権勢の盛んな者も必ず衰えることを盛者必衰(ジョウシャヒッスイ)といいます。
盛りあがる様子のとても良い意味の漢字で『さかり』、『しげ』、『しげる』、『たけ』、『もり』と広く名前に使われます。
『誠(セイ)』chéngは、偽(いつわ)りのない、真心(まごころ)を表わす形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、言(言葉)+成(成す)=誠(物事を成す偽りのない言葉。まごころ。誠。まこと)です。漢字の部首は『言・ごんべん』、意味は『誠(まこと)』、『真心』、『言葉と心が一致している』です。
『言・ごんべん』ですが、言葉だけでなく実際に実行することを表します。試(ため)すは式(ルール)を言葉だけでなく実際に試(ため)す、護(まも)るは矍(大切なものを手にする)を言葉だけでなく実際に護(まも)ることを表します。
音読みは呉音が『ジョウ』、漢音が『セイ』、訓読みは『誠(まこと)』です。真心をもって人や物に対することを誠実(セイジツ)、正直な真心を誠意(セイイ)・誠心(セイシン)、忠実で正直さをもって忠義をつくすことを忠誠(チュウセイ)といいます。
誠(セイ)、盛(セイ)は成(セイ)の『単語家族』で、成(セイ)、城(ジョウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 成』をご覧ください。
『宣(セン)』xuānは、天子が神の意向を宣(の)べる様子を表わす形声文字です。漢字の足し算では、宀(建物・宮殿)+亘(わたる・めぐる)=宣(天子が神の意向を宣(の)べる)です。漢字の部首は『宀・うかんむり』、意味は『天子が命令を宣(の)べる』、『広く伝える』、『宣(の)べる』です。
音読みは呉音・漢音ともに『セン』、訓読みは常用外に『宣(の)べる』、『宣(のたま)う』があります。朝廷の命令を下に伝えることを宣旨(センジ)、意見を外部に広く表明することを宣言(センゲン)、宗教の教えを広めること宣教(センキョウ)といいます。
縁起の良い漢字で『しめす』、『すみ』、『つら』、『のぶ』、『のり』、『ひさ』、『ふさ』、『むら』、『よし』と名前に使われます。
宣(セン)の漢字の仲間には、愃(セン)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 宣』をご覧ください。
『専(セン)』zhuānは、それだけにひとすじ・ひたすらな様子を表す形声文字です(藤堂)。漢字の足し算では、叀(釣り下げる紡錘)+寸(手の動作)=専・專(何本もの糸を一つにまとめる。転じて。それだけにひとすじ。専(もっぱ)ら)です。漢字の部首は『寸・すん』、漢字の意味は『専(もっぱ)ら』です。
叀(セン)zhuanは釣り下げる紡錘を描いた象形(藤堂)といわれています。
音読みは呉音・漢音ともに『セン』、訓読みは『専(もっぱ)ら』です。一つの物事だけを懸命にすることを専一(センイツ)、自分の思うままに行うことを専行(センコウ)、ある特定の事柄だけを研究・仕事とすることを専門(センモン)といいます。
正しい字体は專ですが、常用漢字体(日常生活で使う字体)の専を使ってください。
専(セン)の『単語家族』には、伝・傳(デン・テン)、転・轉(テン)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 専』をご覧ください。
『泉(セン)』quánは、崖などの穴から流れる泉(いずみ)を表した象形文字です。漢字の部首は『水・みず』です。意味は『いずみ』、『あの世』などです。
『説文解字』には、「水の流出し、川の形に成るを象(かたど)る。」とあります。
音読みは呉音が『ゼン』、漢音ともに『セン』、訓読みは『泉(いずみ)』です。温泉(オンセン)、源泉(ゲンセン)、和泉・泉(いずみ)、黄泉(コウセン・よみ)の泉です。
大阪に和泉(いずみ)という地名・国名があります。漢字は二字で安定する性質があり、泉にわざわざ和(なご)やかを付けて和泉(いずみ)にしたのです。
増やすなら、減らすのもありで、下毛野(しもつけの)・上毛野(こうづけの)というう国名は、三字なので毛を省(はぶ)いて下野(しもつけの・しもつけ)・上野(こうづけの・こうづけ)にしました。上野(こうづけ)に『け』の音が含まれていないのに『こうづけ』と読むのはこのためです。
黄泉(コウセン・よみ)とは漢語で地下(黄色・土)の水を表し、あの世の事を指します。大和(やまと)言葉ではあの世を『よみ』といいます。大和言葉の語源は夜見、暗闇からきた言葉など諸説あります。
非常に良い意味の漢字で『い』、『いずみ』、『きよし』、『ずみ』、『み』、『みず』、『みぞ』、『もと』と地名・人名・名前に使われます。
泉(セン)の『単語家族』には、線(セン)、腺(セン)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 泉』をご覧ください。
『洗(セン)』xǐは、足の先を洗(あら)う様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵(水)+先(足の先)=洗(足先を水で洗う。あらう)です。漢字の部首は『氵。さんずい』、漢字の意味は『洗(あら)う』です。
音読みは呉音・漢音ともに『セン』、訓読みは『洗(あら)う』です。洗い清めることを洗浄(センジョウ)、洗い、練って良くすること・優雅・高尚なものにすることを洗練(センレン)、洗浄作用をもつ、石鹸 (せっけん)などの薬剤を洗剤(センザイ)といいます。
縁起の良い漢字で『きよ』、『よし』と名前に使われます。
洗(セン)は先(セン)の『単語家族』で、銑(セン)、筅(セン)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 先』をご覧ください。
『染(セン)』rǎnは、箱の中の液体に糸を浸して染める様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵(水・液体)+杂・朹・匭(木製の箱)=染(箱の中の液体に糸を浸して染める。そめる)です(藤堂)。漢字の部首は『木・き』、漢字の意味は『染(そ)める』、『染(し)み込む』、『影響を受ける』です。
『設文解字』には木は草木染(くさきぞめ)の材料、九は染色する回数とあります。
音読みは呉音が『ネン』、漢音が『ゼン』、慣用音が『セン』、訓読みは『染(そ)める』、『染(し)み』です。糸などに色素をしみ込ませて着色することを染色(センショク)、有毒成分の影響で汚れることを汚染(オセン)、病原体が体内に侵入すること・影響を受け、それに染まることを感染(カンセン)といいます。
染(セン)は九(キュウ)に従った漢字です。九については『漢字の覚え方 九』をご覧ください。
『善(ゼン)』shànは、神様の善い言葉を漢字にしたものです。漢字の足し算では、言(ごんべん・言葉)+羊(祈る)+言(ごんべん・言葉)=譱・善(神様の善い言葉。善い)です。譱は正式な字体ですが、書くのが大変なので古くから使われていません。常用漢字体の『善』を使って下さい。
音読みは呉音・漢音ともに『ゼン』で、訓読みは『善い(よい)』です。善悪(ゼンアク)、改善(カイゼン)、慈善(ジゼン)、善処(ゼンショ)、親善(シンゼン)の善です。
非常に縁起の良い漢字で、『さ』、『ぜん』、『ただし』、『たる』、『よし』と人の名前に使われます。
善(ゼン)の『単語家族』には、膳(ゼン)、繕(ゼン)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 詳・善』をご覧ください。
『奏(ソウ)』zòuは、神前に玉ぐしを両手で供える様子を表わす会意文字です。漢字の足し算では、(両手)+天(玉ぐし・供え物)=奏(神前に玉ぐしを両手で供える。すすめる。申し上げる。音を奏でる)です。
音読みは呉音が『ス』、漢音が『ソウ』、訓読みは『奏(かな)でる』です。天子に申し上げることを奏上(ソウジョウ)、音楽を奏(かな)でることを演奏(エンソウ)、管楽器を吹いて音楽を演奏すること吹奏(スイソウ)といいます。
奏(ソウ)は(ソウ)の『単語家族』で、送(ソウ)、湊(ソウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 送』をご覧ください。
『窓(ソウ)』chuāngは、窓を表す形声文字です。漢字の足し算では、穴(あな・明かりや空気を通す)+忩・悤(まど)=窓・窻(明かりや空気を通す窓。まど)です。漢字の部首は『穴・あなかんむり』、漢字の意味は『明かりや空気を通す窓』、『窓(まど)』、『勉強する部屋』です。
常用漢字体の窓を使います。異体字に『窗(ソウ)』があります。
音読みは呉音が『ソウ』、漢音が『ソウ(サウ)』、訓読みが『窓(まど)』です。列車の窓を車(シャソウ)、同じ部屋で勉強した仲間を同窓(ドウソウ)といいます。
窓(ソウ・まど)は忩(ソウ)の漢字の仲間で、総(ソウ)、聡(ソウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 忩』をご覧ください。
『創(ソウ)』chuāngは、刀で創(きず)をつける様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、倉(出し入れする)+刂(刀)=創(刀で創(きず)をつける。切り始める。創める。はじめる)です。漢字の部首は『刂・りっとう』、漢字の意味は『創(きず)』、『創(つく)る』、『創(はじ)める』です。倉(くら)の原義とは関係ないとも言われています(藤堂)。
音読みは呉音が『ショウ』、漢音が『ソウ』、訓読みが『創(つく)る』と常用外の『創(きず)』、『創(はじ)める』です。新しく事業を始めることを創業(ソウギョウ)、創(はじ)めて作りだすことを創作(ソウサク)、切り傷を創傷(ソウショウ)といいます。
創(きず)は、疵(きず)、瑕(きず)とあり、傷(きず)と書くのが普通です。
ニュアンスに違いがあります。
傷(きず)傷ついた人。心の傷も表します。 傷(きず)http://bit.ly/1rjHdtB
創(きず)刀でつけられた切り創。 創(きず)http://bit.ly/1LEcVib
瑕(きず)宝石につけた表面の瑕。欠点。 瑕(きず)http://bit.ly/1JaXWcB
疵(きず)ギザギザした疵。欠点。 疵(きず)http://bit.ly/1sPxUXG
創(ソウ)は倉(ソウ)の『単語家族』で、蒼(ソウ)、槍(ソウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 倉』をご覧ください。
『層(ソウ)』céngという漢字があります。尸(屋根)に曽をあわせた形声文字です。上へ上へと何段も重なる様子を示しています。漢字の足し算で示せば、尸(やね)+曽(かさねる)=層(上へ上と幾層も重なる。かさねる)です。漢字の部首は『尸・しかばね』、漢字の意味は『かさねる』、『人々の階級』です。
映像で表わすと
音読みは呉音が『ゾウ』、漢音が『ソウ』です。高層(コウソウ)ビル、地層(チソウ)の層です。
『層(ソウ)』の仲間の漢字には増 僧 憎 贈などがあります。『漢字の覚え方 曾』も御覧ください。
『操(ソウ)』cāoは、扌(てへん)に喿を足したものです。漢字の足し算では、扌(てへん・手の動作)+喿(いそがしい・つつましい)=操(手を忙しく動かし操る事。人の心がけ)です。漢字の部首は『扌・てへん』です。
音読みは『ソウ』、訓読みは『あやつる』、『みさお』です。体操(タイソウ)、操作(ソウサ)、操縦(ソウジュウ)、情操(ジョウソウ)、貞操(テイソウ)、操(みさお)、操り人形(あやつりにんぎょう)の操です。元の漢字である『喿』の意味を引き継いで、『みさお』と読むことに注意しましょう。
操(ソウ)は喿(ソウ)の『単語家族』で、藻(ソウ)、繰(ソウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 喿』をご覧ください。
『装(ショウ・ソウ)』zhuāngは衣装を示す漢字です。漢字の足し算では、壮(長い)+衣(衣服)=装(長い衣服。恰好良い服。飾る。装う)です。部首は『衣』、意味は『装う』、『装う』から転じた『そなえつける』です。
音読みは呉音が『ショウ』、漢音が『ソウ』です。訓読みは『装(よそお)う』です。衣装(イショウ)、装飾(ソウショク)、装置(ソウチ)、装備(ソウビ)の装です。
『装』は『裳(ショウ)』shangとほぼ同じイメージの漢字です。衣装(イショウ)、衣裳(イショウ)は同じ意味の漢字です。『裳』が中学校で習う漢字であるのに対し、『装』は小学校で習う漢字なので衣装の方を使う傾向にあります。
装(ショウ・ソウ)は爿(ショウ)の『単語家族』で、壮(ソウ)、荘(ソウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 爿』をご覧ください。
『蔵(ゾウ)』cáng、zàngは、蔵(くら)表す形声文字です。漢字の足し算では、艹(穀物)+臧(格好の良い家来・役人)=蔵(穀物を蔵にしまう役人。しまう。かくす。蔵。くら)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、漢字の意味は『しまっておく』、『かくす』、『蔵(くら)』です。
音読みは呉音が『ゾウ』、漢音が『ソウ』、訓読みが『蔵(くら)』です。物を貯めてしまっておくことを貯蔵(チョゾウ)、人に知らせないで大切にしまっておくことを秘蔵(ヒゾウ)、諸国からの貢(みつ)ぎ物などを納(おさ)めた蔵(くら)を大蔵(おおくら)、律令制で租税を司った役所・国家予算の編成、財務・通貨・金融を担当する行政機関を大蔵省(おおくらショウ)といいます。
非常に良い意味の漢字で『おさむ』、『ただ』、『とし』、『まさ』、『よし』と名前に使われます。
『臓(ゾウ)』zàngは、身体の中にしまわれた器官を表す形声文字です。漢字の足し算では、月(身体)+蔵(しまう)=臓(身体の中にしまわれた器官)です。漢字の部首は『月・にくづき』、漢字の意味は『身体の中にしまわれた器官』、『はらわた』です。
音読みは呉音が『ゾウ』、漢音が『ソウ』です。身体の内にある器官の総称を内臓(ナイゾウ)、血液を受け取り送り出す器官・物事の中心を心臓(シンゾウ)といいます。
東洋では内臓全体を五臓六腑(ゴゾウロップ)といいます・五臓(ゴゾウ)とは、肝臓・心臓・脾臓・肺・腎臓を指します。六腑(ロップ)とは、胆嚢・胃・小腸・大腸・膀胱・リンパhttp://bit.ly/1JCvySD をいいます。
蔵(ゾウ)、臓(ゾウ)は臧(ゾウ)の『単語家族』です。基本漢字の臧(ゾウ)について詳しくは『漢字の覚え方 蔵』をご覧ください。
『尊(ソン)』zūnは、上品で形の良い祭祀に用いる酒器を持つ様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、酋(祭祀に用いる酒器)+寸(手)=尊(上品で形の良い祭祀に用いる酒器を持つ。転じて尊(たっと)い、尊(とうと)い)です。漢字の部首は『寸・すん』、漢字の意味は、『尊(たっと)い』、『尊(とうと)い』、『大事に扱う』、『尊(みこと)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ソン』、訓読みは『尊(たっと)い』、『尊(とうと)い』です。尊く厳かなことを尊厳(ソンゲン)、優れていると認めてその人を敬うことを尊敬(ソンケイ)、寺院で最も重要な仏像を本尊(ホンゾン)といいます。
非常に良い意味の漢字で『たか』、『たかし』と名前に使われます。
尊(ソン)の『単語家族』には、噂(ソン)、鱒(ソン)、樽(ソン)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 尊』をご覧ください。
『存(ソン)』cúnは、残された子供を大切にする様を表す会意文字です。漢字の足し算では、在(そこにいる)+子=存(残された子供を大切にする。生きている。ある)です。漢字の部首は『子・こ』、漢字の意味は『存(あ)る』、『生きている』、『生きているか尋(たず)ねる』、『知っている』です。
音読みは呉音が『ゾン』、漢音が『ソン』です。訓読みは常用外の『存(あ)る』です。子供・大切な人の安否を問うことを存問(ゾンモン・ソンモン)といい、この漢字の核心です。生きるか死ぬかを存亡(ソンボウ)、生きていることを生存(セイゾン)、生きているかどうかを存否(ソンピ)、なくならないで存在し続けることを存続(ソンゾク)、知っていることを丁寧に存(ゾン)じ上げるといいます。
生きていることを表す、大切で、縁起の良い漢字で『あきら』、『あり』、『ありや』、『ある』、『さだ』、『すすむ』、『たもつ』、『つぎ』、『なが』、『のぶ』、『のり』、『まさ』、『やす』、『やすし』と広く名前に使われます。
存(ソン)は在・才(ザイ)と子(シ)に従う漢字です。『漢字の覚え方 才』と『漢字の覚え方 子』も御覧ください。
『宅(タク)』zhái は、定住している家を表す形声文字です。漢字の足し算では、宀(家・建物)+乇(定着した)=宅(定住している家。家)です。漢字の部首は『宀・うかんむり』、漢字の意味は『定住している家』、『すまい』です。
音読みは呉音が『ジャク』、漢音が『タク』です。自分の家を自宅(ジタク)、広い立派なすまいを邸宅(テイタク)といいます。
宅(タク)は乇(タク)の『単語家族』で、託(タク)、宅(タク)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 宅』 をご覧ください。
『担(タン)』dānは、肩で重い荷物を担(かつ)ぐ様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、扌(てへん・手)+旦(詹の省略・重い)=担・擔(肩で重い荷物を担ぐ。かつぐ)です。漢字の部首は『扌・てへん』、漢字の意味は『担(かつ)ぐ』、『責任を引き受ける』です。
音読みは呉音・漢音のともに『タン』、訓読みは『担(かつ)ぐ』、『担(にな)う』です。人を乗せて運ぶ道具を担架(タンカ)、一定の事柄を受け持つことを担当(タントウ)、責任を引き受けること・重すぎる仕事や責任を負担(フタン)といいます。
担(タン)は詹(セン)の『単語家族』で、澹(タン)、譫(セン)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 詹』をご覧ください。
『探(タン)』tànは、探る様子を表す漢字です。漢字の足し算では、扌(てへん・手)+罙・?(穴+又+火)=探(穴の中で火を頼りに探る。探す)です。漢字の部首は『扌・てへん』。意味は『探る(さぐる)』・『探す(さがす)』です。探の中の木は火の変形で松明(たいまつ)を表しています。
『説文解字』に「遠くに之を取るなり。手に従い罙(シン)の声」とあります。
音読みは漢音が『タン』で呉音の『トン』は使いません。訓読みは『探る(さぐる)』・『探す(さがす)』です。探検・探険(タンケン)、探究(タンキュウ)、探偵(タンテイ)、探訪(タンボウ)の探です。
探(タン)は罙(シン)の『単語家族』で、深(シン)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 深・探』をご覧ください。
『誕(タン)』dànは、大きく言うこと・生まれることを表す形声文字です。漢字の足し算では、言(言葉)+延(のばす)=誕(大きく言う。転じて赤子が世に出る。生まれるむ)です。漢字の部首は『言・ごんべん』、意味は『大きく言う』、『生まれる』です。
『延(エン)』についてはdian→yienと音が変化したと考えられており(藤堂)、誕(タン)にその音が残っていると思われます。また旦(タン・日があらわれる)と近い関係にある漢字と言われています。
音読みは呉音が『ダン』、漢音が『タン』です。おおげさな嘘を嘘誕(キョタン)、とてつもなく大きいことを誕宏(タンコウ)、赤子が産まれることを誕生(タンジョウ)といいます。
誕(タン)は延(エン)の『単語家族』で、蛋・蜑(タン)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 延』をご覧ください。
『段(ダン)』duànは、石段の一段、一段降りる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、耑(布の上端と下端)+殳(動作)=段(上から下まで降りる。きざはし。階段)です。漢字の部首は『殳・ほこづくり』、漢字の意味は『きざはし』、『区分』、『等級』、『やり方』です。武術や囲碁・将棋の技術についての等級に使われます。
音読みは呉音が『ダン』、漢音が『タン』です。高低差のある場所をつなぐ段々のある構造物を階段(カイダン)、文章の区分を段落(ダンラク)、ある事を実現させるためにとる方法を手段(シュダン)、物事の進行の状態の区切りを段階(ダンカイ)といいます。
段(ダン)の『単語家族』には、鍛(タン)、緞(タン)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 段』をご覧ください。
『暖(ダン)』nuǎnは、太陽で暖(あたた)かい様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、日(太陽)+爰(手と手で援ける・ゆとり)=暖(太陽の援けで暖かい様子。暖かい)です。漢字の部首は『日・にち』、漢字の意味は『暖かい』です。
大昔は㬉(ダン)と書いていました。日(太陽)+耎(柔らかい)=㬉(太陽の柔らかい㬉かさ。あたたかい)です。現在では暖(ダン)の漢字が使われています。
音読みは呉音が『ナン』、漢音が『ダン』、唐宋音が『ノン』、訓読みが『暖(あたた)かい』です。暖かい気候を暖気(ダンキ)、酒屋の中を暖めるための簾(すだれ)を暖簾(ノンレン・ノレン)、暖かい潮の流れを暖流(ダンリュウ)といいます。
異体字に㬉(ダン)、暄(ダン)があります。
暖(ダン)は爰(エン)の『単語家族』で、緩(カン)、援(エン)などの仲間の漢字があります。詳しくは 『漢字の覚え方 爰』をご覧ください。
『値(チ)』zhíは、物の値打ちを示す形声文字です。漢字の足し算では、イ(人の経済行為)+直(まともに向かう)=値(物の値段。あたい)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、意味は『あたい』、『値段』です。
『イ・にんべん』は人間の行為全般を示しますが、倹、価、値、估、借、債のように経済行為に関する漢字にも使われます。
音読みは漢音が『チ』、漢音の『ジ』です。訓読みは『ね』、『あたい』です。価値(カチ)、値段(ねダン)、値千金(あたいセンキン)の値です。
「春宵一刻値千金(シュンショウイッコクあたいセンキン)」は春の宵(よい)は素晴らしい時間で千金に値するという意味です。
値(チ)は直(チョク)の『単語家族』で、植(ショク)、置(チ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 直』をご覧ください。
『宙(チュウ)』zhòuは、宇宙を表す形声文字です。漢字の足し算では、宀(屋根・蓋)+軸(中心に円運動する)=宙(北極を中心に円運動する宇宙。宇宙)です。漢字の部首は『宀・うかんむり』、漢字の意味は『宇宙(ウチュウ)』です。
中国では宇宙は、空の上にある蓋(ふた)のようなものに星座が張り付いて、北極星を中心に回っていると考えられていました。中国の星座は300位あるといわれており、西洋の12の星座は、中国では二十八の星座(宿)に相当しています。
音読みは呉音・漢音ともに『チュウ』です。宇宙の軸を宙(チュウ)といい、時間の広がりを示し、宇宙の蓋を宇(ウ)といい、空間の広がりを示します。合わせて宇宙(ウチュウ)です。
宇(ウ)については『漢字の覚え方 于』をご覧ください。
非常に縁起の良い漢字で『おき』、『そら』、『ひろし』、『みち』と名前に使われます。
宙(チュウ)は由(ユウ)の『単語家族』で、紬(チュウ)、抽(チュウ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 由』をご覧ください。
『忠(チュウ)』zhōngは、まじめな心の様子を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、中(かたよりのない)+心=忠(まじめな心)です。部首は『心』、意味は『まじめな心』です。
音読みは呉音・漢音とも『チュウ』です。訓読みは常用外の『じょう』があります。忠実(チュウジツ・まめ)、忠告(チュウコク)、忠義(チュウギ)の忠です。良い意味の漢字なので『ただ』、『あつし』、『なる』、『じょう』、『きよし』と名前に使われます。
忠(チュウ)は中(ユウ)の『単語家族』で、仲(チュウ)、沖(チュウ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 中』をご覧ください。
『著(チョ)』zhùは、草を集める様子・目立つ様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、艹(植物)+者(集まる)=著(草を集める。転じて、目立つ)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、漢字の意味は『著(いちじる)しい』、『目立つように書く』、『著(あらわ)す』です。
音読みは呉音・漢音ともに『チョ』、訓読みは『著(いちじる)しい』、『著(あらわ)す』です。人が目立って有名なことを著名(チョメイ)、書物を目立つように書くくことを著作(チョサク)といいます。
呉音『ジャク』、漢音『チャク』と読ませて『着(き)る』、『着(つ)ける』の意味がありましたが、『着(チャク)』zhuóという俗字を使って使い分けるようになっています。
著(チョ)は者(シャ)の『単語家族』で、儲(チョ)、箸(チョ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 者』をご覧ください。
『庁(チョウ)』tīngは、床の平たい役所の様子を漢字にしたものです。漢字の足し算では、广(まだれ・建物)+丁(平たい)=庁(平らな床の役所。役所)です。部首は『广・まだれ』、意味は『役所』です。
『庁』の本字は『廳・廰』です。民衆の声を聴く場所を指します。漢字の足し算では、广(まだれ・建物)+聽・聴(聴く)=廳(民衆の声を聴く場所。役所)です。常用漢字体は『庁』が登録されています。『庁』を使って下さい。
聴くという漢字は、素直な心で耳をかたむけるという漢字の成り立ちです。詳しくは『漢字の覚え方 直』を御覧下さい。
音読みは呉音が『チョウ』、漢音が『テイ』です。支庁(シチョウ)、庁舎(チョウシャ)の庁です。
『頂(チョウ)』dǐngは、頭のてっぺんを漢字にしたものです。漢字の足し算では、丁(平たい)+頁(おおがい・頭)=頂(頭の平たい部分。てっぺん)です。部首は『頁・おおがい』、意味は『頂き(いただき)』です。
音読みは呉音の『チョウ』が普通、漢音の『テイ』は使いません。訓読みは『頂(いただ)き』です。頂上(チョウジョウ)、登頂(トウチョウ)、丹頂(タンチョウ)、頂戴(チョウダイ)の頂です。
庁(チョウ)、頂(チョウ)は丁(チョウ)の『単語家族』で、町(チョウ)、訂(テイ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 丁』を御覧下さい。
『潮(チョウ)』cháoは、太陽と月の引力で変わる海の水位変動(潮汐・チョウセキ)を表す漢字です。漢字の世界では、朝の水位変動を潮(チョウ・しお)いい、夕方の水位変動を汐(セキ・しお)といいます。ふたつ合わせて潮汐(チョウセキ)です。漢字の足し算では、氵(水)+朝=潮(朝の水位変動。潮。しお)です。漢字の部首は『氵・さんずい』です。意味は『潮(しお)』、『潮流(チョウリュウ)』、『潮(うしお)』です。
藤堂はもとは会意文字であるが楷書体では形声文字としています。
音読みは呉音の『ジョウ』は使いません。漢音の『チョウ』が普通です。訓読みは『しお』と常用外の『うしお』です。潮汐(チョウセキ)、干潮(カンチョウ)、満潮(マンチョウ)、渦潮(うずしお)、潮汁(うしおじる)の潮です。
潮(チョウ)は朝(チョウ)の『単語家族』で、嘲(チョウ)、廟(ビョウ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 朝』を御覧下さい。
『賃(チン)』lìnは、労働者を雇ってお金を払う様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、任(抱え込む)+貝(財貨・金銭)=賃(金銭を払って労働者を抱え込む。雇う。)です。漢字の部首は『貝・かい』、漢字の意味は『雇う』、『金銭を払う』です。
音読みは呉音が『ニン』、漢音が『ジン』、慣用音が『チン』です。労働力の対価としての金銭を賃金(チンギン)、品物を貸して代金をとることを賃貸(チンタイ)、代金を払って他人の物を借りることを賃借(チンシャク)といいます。
重要な漢字で『かぬ』、『かね』、『とお』と名前に使われます。
賃(チン)は壬(ニン)の『単語家族』で、任(ニン)、妊(ニン)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 壬』を御覧下さい。
『痛(ツウ)』tòngは、つきぬける痛みを表す形声文字です。疒(病気・けが)+甬(上下に通す)=痛(つきぬける痛みを)です。漢字部首は『疒・やまいだれ』、意味は『痛(いた)い』、『とことんまで』、『心が痛む』です。
音読みは呉音が『ツウ』、漢音が『トウ』、訓読みは『痛(いた)い』です。腰の痛みが腰痛(ヨウツウ)、心を痛めることを痛心(ツウシン)、とことんまでお酒を飲むことを痛飲(ツウイン)といいます。
建物が傷(いた)む、果実が傷(いた)む、死を悼(いた)む、故人を悼(いた)む、と漢字を使い分けています。
痛(ツウ)は用(ヨウ)の『単語家族』で、通(ツウ)、桶(ツウ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 用』を御覧下さい。
『展(テン)』zhǎnは、平らに広げてのばす様子を表す会意文字です。漢字の足し算で社、尸(尻)+工×4(重し)+衣(衣服)=展(身体を重しにして尻の下に敷いて平らにのばす。おしのばす)です。漢字の部首は『尸・しかばね』、漢字の意味は『平らに広げ並べる』、『隅から隅まで広がる』、 『巻いたものを開く』です。
音読みは呉音・漢音ともに『テン』、訓読みは常用外に『展(の)べる』があります。広くひろげること・次の段階に進むことを展開(テンカイ)、物事の勢いが伸び広がって盛んになることを発展(ハッテン)、手紙を自分自身で開いて欲しいことを親展(シンテン)、遠くまで見渡すこと・見通しを展望(テンボウ)といいます。
良い意味の漢字で『のぶ』、『ひろ』と名前に使われます。
『討(トウ)』tǎo葉で問い詰める様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、言(言葉)+肘(引き締める)=討(言葉で問い詰める)です。言葉だけでなく「追及して敵を攻め立てる・すみずみまで詳しく調べる」の意味にも使われます。部首は『言・ごんべん』、意味は『言葉で問い詰める』、意味が派生して『討(う)つ』、『詳しく調べる』です。
音読みは呉音・漢音ともに『トウ』、訓読みは『討(う)つ』です。意見を出し合い議論を戦わせることを討論(トウロン)、良く調べることを検討(ケントウ)、軍勢を差し向けて反抗するものを討つことを討伐(トウバツ)といいます。
討(トウ)は肘(チュウ)の『単語家族』で、酎(チュウ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 肘』を御覧下さい。
『党(トウ)』dǎngは、集まった人を表す形声文字です。漢字の足し算では、尚(たっとぶ)+儿(ひとあし・人)=党(人をたっとぶ。集まる人)です。党には異体字の『黨』があります。こちらの漢字の足し算は、尚+黒(煙突・暖炉)で『黨(トウ)』dangです。こちらも暖炉に人で、人が集まるの意味です。常用漢字に登録されているのは『党』の字体なので『党』を使って下さい。
仲間の意味から『偏(かたよ)る』、『親しむ』、『助ける』などの意味もあります。
音読みは呉音・漢音ともに『トウ』です。残党(ザントウ)、徒党(トトウ)、自民党(ジミントウ)の党です。漢字の部首は『儿・ひとあし』です。
縁起の良い漢字で『あきら』、『とも』、『まさ』と人名に使われています。
党(トウ)は尚(ショウ)の『単語家族』で、堂(ドウ)、常(ジョウ)、掌(ショウ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 尚』を御覧下さい。
『糖(トウ)』tángは、穀物からつくられた糖を表す形声文字です。漢字の足し算では、米(穀物)+唐(中国・良いもの・穀物の実)=糖(穀物からつくられた糖。甘いもの)です。漢字の部首は『米・こめへん』、漢字の意味は『穀物からつくられた糖』、『甘いもの』です。
『糠(コウ・ぬか)』kāngには穀物の外側、粗末なものの意味があるため、甘い『糖(トウ)』tángは、良いものの意味のある『唐(トウ)』tángに米を足した漢字になり、読み方も違います。
古代中国では西周(紀元前1000年頃)より麦芽を酵素によって糖化(トウカ)した、水飴状のものが存在し、糖の最初と考えられています。やがてサトウキビの汁を煮詰めた固形状の沙糖(サトウ)・石蜜(セキミツ)が出現します。前漢の劉邦に石蜜(セキミツ・固体状の糖)、五斛(ゴコク・5×14.9リットル)が献上されたと記録にあります。我が国には鑑真和尚によってもたらされました。
音読みは呉音が『ドウ』、漢音が『トウ』です。サトウキビやサトウダイコンなどを煮詰めて作る固体状・砂状の糖を砂糖(サトウ)といいます。
糖(トウ)は庚(コウ)の『単語家族』で、唐(トウ)、康(コウ)、糠(コウ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 庚』を御覧下さい。
『届(カイ)』jièは、届(とど)くことを表す形声文字です。漢字の足し算では、尸(身体)+凵(穴)+土(土)=届(行き場を失って極まった状態。決められた場所に到達してしまった。届く)です。漢字の部首は『尸・しかばね』、漢字の意味は『届(とど)く』、『届(とど)ける』、『申し出る』です。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『カイ』ですが、我が国では使われません。訓読みは『届(とど)く』です。欠席することを申し出る文書を欠席届(ケッセキとど)けといいます。
決められた時刻・場所などに届けることを表す重要な漢字で『あつ』、『いたる』、『ゆき』と名前に使われます。
古い字体は屆(カイ)で、現在では届(カイ)と書かれています。『漢字の覚え方 届』も御覧下さい。
『難(ナン)』nán、nànは、隹(とり)が炙(あぶ)られて辛(つら)い様子を表す形声文字です。『辛い』から、『なじる』、『わざわい』、『難(むずか)しい』、『難(かた)い』、『欠点』など多くの意味が派生しました。
漢字の足し算では、?(炙る)+隹(とり)=難(隹(とり)が炙(あぶ)られて辛(つら)い。転じて難しい。むずかしい)です。漢字の部首は『隹・ふるとり』、意味は『わざわい』、『難(むずか)しい』、『欠点』です。
音読みは呉音が『ナン』、漢音が『ダン』、訓読みは『難(むずか)しい』、『難(かた)い』です。また、常用外の読み方に『難(にく)い』があります。難しい問題を難問(ナンモン)、難しいことと易しいことを難易(ナンイ)、解り難(にく)いことを難解(ナンカイ)、思いかけず身にふりかかる災いを災難(サイナン)といいます。
難(ナン)は?(カン)の『単語家族』で、漢(カン)、嘆(タン)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 漢』を御覧下さい。
『乳(ニュウ)』rǔは、乳(ちち)を飲ませて赤ん坊を育てる様子を表す漢字です。漢字の足し算では、孚(赤ん坊を手にする)+乙(ツバメのように食べ物を与えて育てる)=乳(乳(ちち)を飲ませて赤ん坊を育てる。乳。ちち)です。漢字の部首は『乙・おつ』、意味は『乳(ちち)』、『ねっとりした液体』、『育てる』です。
音読みは呉音が『ニュウ』、呉音が『ジュ』、訓読みが『乳(ちち)』、『乳(ち)』です。乳を含ませ育てることを哺乳(ホニュウ)、牛の乳を牛乳(ギュウニュウ)、母親にかわって子に乳を与え育てる役を乳母(ニュウボ・うば・めのと)といいます。
乳(ニュウ)は乙(オツ)に従った漢字です。その他に乙(オツ)に従った漢字ですには乱(ラン)があります。詳しくは『漢字の覚え方 乙』を御覧下さい。
『認(ニン)』rènは、時間をかけてそれと認めることを表わす形声文字です。漢字の足し算では、言(言葉・考え)+忍(我慢する)=認(時間をかけて認める。認める。承知する)です。漢字の部首は『言・ごんべん』、意味は『認める』、『承知する』、『許す』です。
音読みは呉音が『ニン』、漢音が『ジン』、訓読みは『認(みと)める』です。はっきりと認めることを確認(カクニン)、良いと許すことを認可(ニンカ)、公に認めることを公認(コウニン)といいます。
認(ニン)は刃(ジン)の『単語家族』で、忍(ニン)、靭(ジン)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 刃』を御覧下さい。
『納(ノウ)』nàは、税として納(おさ)める糸・織物を漢字にしたものです。漢字の足し算で覚えるならば、糸(糸・織物)+内(入れる)=納(税として糸・織物を納める。おさめる)です。漢字の部首は『糸・いとへん』、意味は『納める(おさめる)』です。
読み方は沢山あります。呉音が『ノウ』、漢音が『ドウ』、唐宋音が『ナ』、『ナン』、『ナッ』、慣用音が『トウ』です。訓読みは『納める(おさめる)』です。納税(ノウゼイ)、納品(ノウヒン)、納豆(ナットウ)、納屋(ナや)、納戸(ナンド)、出納(スイトウ)の納です。
漢字で『おさめる』は収、納、治、修と書き、それぞれニュアンスが違います。
収(おさ)める 取り集めて収(おさ)め入れる 収 http://bit.ly/1qdrGTb
納(おさ)める 税として納(おさ)める 納 http://bit.ly/1rL8dSP
治(おさ)める 河川の氾濫を治(おさ)める。治(なお)す 治 http://bit.ly/1szLDmw
修(おさ)める 形良くする。学問を身につける。直す。 修 http://bit.ly/2cyVQPw
納(ノウ)は内(ナイ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 内』を御覧下さい。
『脳・腦(ノウ)』nǎoは、頭の中の様子を漢字にしたものです。漢字の足し算では、月(にくづき・身体の部分)+ツ・巛(髪の毛)+囟(人間の頭)=脳・腦(毛の生えている頭の中。脳)です。漢字の部首は『月・にくづき』、意味は『脳』です。
音読みは呉音の『ノウ』を使い、漢音の『ドウ』は使いません。大脳(ダイノウ)、首脳(シュノウ)、頭脳(ズノウ)の脳です。正字は腦ですが、字体は常用漢字体の『脳』を使って下さい。
囟(サイ・シン・シ)は頭を表す漢字で、田で省略することもあります。思(シ)、細(サイ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 囟』をご覧ください。
呉音が『ノウ』と発音する場合は、漢音では『ドウ』と発音することがあります。呉音と漢音については『呉音と漢音』の③ http://bit.ly/1LUTTpI もご覧ください。
脳(ノウ)は?(ノウ)の『単語家族』で、悩(ノウ)、瑙(ノウ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 脳』を御覧下さい。
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
篆文(テンブン)を中心にした体系的な記述・韻の説明は、諸橋轍次先生の『新漢和辞典』、藤堂明保先生の『漢字源』・『漢字の過去と未来』を参考にさせて頂いてます。
甲骨文字・金文のもつ呪術的な解釈には白川静先生の『字通』・『字統』・『漢字』・『中国古代の文化』を参考にさせて頂いています。
漢字の伝来や常用漢字の解釈については、大島正二先生の『漢字伝来』、高島俊男先生の『漢字と日本人』を参考にさせて頂いています。
日本語については、金田一京助先生の『日本語の変遷』、大野晋先生の『日本語の文法を考える』、新村出先生の『広辞苑』を参考にさせて頂いております。
最近の研究については、落合淳思先生の『漢字の成り立ち』を参考にさせて頂いております。
医学用語については伊藤正男・井村裕夫・高久史麿先生の『医学大辞典』を参考にさせて頂いております。
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