漢字の覚え方 咼
今日は『咼(カ)』guǎという字を基本とした漢字の仲間について説明します。この漢字の仲間には咼(カ)、渦(カ・うず)、過(カ・すぎる)、鍋(カ・なべ)、禍(カ・わざわい)、堝(カ・るつぼ)、蝸(カ・かたつむり)、窩(カ・あな)という漢字が含まれます。これらの漢字は同じ構成要素をもち、同じ『関節』、『丸い』というイメージをもち、音読みは『カ』です。同じ構成要素をもつので、漢字の足し算で表わす事が出来るます。
漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。『咼(カ)』に何を足したら渦(カ・うず)、過(カ・すぎる)、鍋(カ・なべ)、禍(カ・わざわい)、堝(カ・るつぼ)、蝸(カ・かたつむり)、窩(カ・あな)になるのかを考えてます。過は小学校5年生で習う漢字 、渦、禍、鍋は中学校で習う常用漢字、咼、堝、蝸、窩 は常用漢字から外れていますが、学年、学校に関係なく一緒に覚えましょう。
『冎(カ)』guǎは、骨と骨の間の関節(カンセツ)の部分を表す象形文字です。漢字の部首は『冂・けいがまえ』、漢字の意味は『まるく穴をあける』、『自由に動く関節』、『回転する』です。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『カ』です。後に口を足して咼(カ)と書くようになりました(藤堂)。
冎(カ)は常用漢字から外れています。
『咼(カ)』guǎは、骨と骨の間の関節(カンセツ)の部分を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、冎(骨と骨の間の関節)+口(穴)=咼(骨と骨の間の関節。穴にはまって。自由に動く)です。漢字の部首は『口・くち』、漢字の意味は『まるく穴をあける』、『自由に動く』、『回転する』です。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『カ』です。咼(カ)の漢字自体を使うことはありませんが、渦(カ・うず)、鍋(カ・なべ)などまるい物を表す漢字の構成要素になっています。
咼(カ)は常用漢字から外れています。
『渦(カ)』guō、wōは、渦(うず)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵(水)+咼(自由に動く・回転する)=渦(水が回転する。渦。うず)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、漢字の意味は『渦(うず)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『カ』、訓読みが『渦(うず)』です。渦巻の中・混乱した騒ぎの中を過中(カチュウ)、水が渦巻くことを過旋(カセン)、潮流の激しい場所に出来る渦(うず)を渦潮(うずしお)といいます。
渦(カ)は中学生 で習う常用漢字です。
『過(カ)』guòは、過(す)ぎる様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、辶・辵(行く)+咼(自由に動く関節)=過(するすると通過する。行き過ぎる。過(あやま)つ)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、漢字の意味は『するすると通過する』、『行き過ぎる』、『過(あやま)つ』です。
音読みは呉音・漢音ともに『カ』、訓読みが『過(す)ぎる』、『過(あやま)つ』です。通り過ぎる人を過客(カカク)、過ぎ去った昔を過去(カコ)、やりそこなうことを過失(カシツ)、半分以上まで行くことを過半(カハン)といいます。
中国では異体字の过(カ)を使います。
漢字の部首は『辶・しんにょう』は足で道を行くことを表しています。足の向きや状態はいろいろあります。
☆前向きの場合 進(すす)む 迫(せま)る 迎(むか)える 邀(むか)える 近(ちか)づく 過 (すぎ)る 逼(せま)る 追(お)う 逢(あ)う 遇(あ)う 遭(あ)う 遘(あ)う 逅(あ)う
☆後ろ向きの場合 退(しりぞ)く 逆(さか)らう 逃(に)げる 逡(しりぞ)く 遁(のが)れる 避(さ)ける 遠(とお)のく
☆廻る場合 廻 (めぐ)る 巡(めぐ)る 辺(あた)り 遍(あまね)く
過(あやま)りは誤(あやま)りと書くのが普通です。詳しくは『漢字の覚え方 呉』http://bit.ly/1trKfDv をご覧ください。
過(カ)は小学校5年生で習う漢字 です。象形・指事・会意・形声 五年生 もご覧ください。
『禍(カ)』huòは、禍(わざわい)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、示(神事・天)+咼(まるくあいた穴)=禍(神の示すまるい落とし穴のようなもの。禍。わざわい)です。漢字の部首は『示・しめすへん』、漢字の意味は『禍(わざわい)』、『思いがけない不幸』です。
音読みは呉音が『ワ』、漢音が『カ』、訓読みが常用外の『禍(わざわ)い』、『禍(わざわい)』、『禍(まが)』です。思いがけない禍(わざわい)と福(フク)を禍福(カフク)、禍の原因になるものを禍根(カコン)、思いがけない災難を禍災(カサイ)といいます。
禍(わざわ)いは災(わざわ)いhttp://bit.ly/1DkHp4v と書くのが普通です。
禍(カ)は中学生 で習う常用漢字です。
『鍋(カ)』guōは、鍋(なべ)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、金(金属)+咼(まるい穴・回転する)=過(金属製の丸い穴状のもの。鍋。なべ)です。漢字の部首は『金・かねへん』、漢字の意味は『鍋(なべ)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『カ』、訓読みが『鍋(なべ)』です。食物を煮る、揚げる、ゆでる、蒸すなどの加熱調理をする器で、金属製のほか、陶器製のものがあります。
また、鍋(なべ)料理のことをいい、牡蠣(かき)鍋、牛(ギュウ)鍋、牡丹(ボタン)鍋、石狩鍋、寄せ鍋など多くの美味しい料理があります。
鍋(カ)は平成22年より中学生で習うようになった常用漢字 です。
『蝸(カ)』wōは、蝸牛(かたつむり)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、虫(むし)+咼(まるく・渦巻状の)=蝸(まるい虫。かたつむり)です。漢字の部首は『虫・むしへん』、漢字の意味は『蝸牛(かたつむり)』です。
角(つの)のある牛(うし)と一緒に使って蝸牛(カギュウ・かたつむり)です。漢字の世界では貝類も虫を使って表します。
音読みは呉音が『ケ』、漢音ともに『カ』、訓読みが『蝸牛(かたつむり)』です。かたつむりを漢字で表したものが蝸牛(カギュウ・かたつむり・まいまい)、蝸牛の角(つの)・非常に小さいものを蝸角(カカク)といいます。
蝸(カ)は常用漢字から外れています。『部首索引 虫(むし)』も御覧ください。
『窩(カ)』wōは、まるく抉(えぐ)られえた様な穴を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、穴(あな)+咼(まるく)=窩(まるい穴)です。漢字の部首は『穴・あなかんむり』、漢字の意味は『まるい穴』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ワ』、慣用音が『カ』です。蜂の巣を蜂窩(ホウカ)、眼球の収まる頭蓋骨のまるい穴を眼窩(ガンカ)といいます。
窩(カ)は常用漢字から外れています。
『堝(カ)』guōは、坩堝(るつぼ)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、土(土器製)+咼(まるく)=堝(土器製の金属を溶かす坩堝。るつぼ)です。漢字の部首は『土・つちへん』、漢字の意味は『坩堝(るつぼ)』です。
現在は土器製ではなく高温に耐える金属・セラミック製になっています。
音読みは呉音・漢音ともに『カ』です。金属を溶かす丸い土器を坩堝(カンカ・るつぼ)といいます。
堝(カ)は常用漢字から外れています。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/post-1fc1.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.鳴門の うずしお( )。
2.かちゅう( )の人。
3.現在と かこ( )。
4.重大な かしつ( )。
5.かこん( )を残す。
6.かたつむり( )。
7.なべ( )焼きうどん。
8.がんか( )骨折。
9.るつぼ( )で金属を溶かす。
解説です。基本の漢字は咼、渦(うず)は氵(さんずい)を足して渦、過ぎるは辶・しんにょうを足して過、禍(わざわ)いは示を足して禍、蝸牛(かたつむり)は虫を足して蝸、鍋(なべ)は金を足して鍋、窩(まるい穴)は穴を足して窩、坩堝(るつぼ)は土を足して堝です。
解答です。渦潮、渦中、過去、過失、禍根、蝸牛、鍋、眼窩、坩堝。
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「標茶六三の文庫で読む500+α」を運営しています。私が2007年に発信したブログに、この記事がみごとに回答してくれていました。本日発信のブログに貴サイトを紹介させていただきました。目から鱗でした。ありがとうございます。本名、山本藤光。ビジネス書の著作はこちらの名前で書いています。
投稿: 標茶六三 | 2017年8月18日 (金) 04時00分
標茶六三さん
コメント有難うございます。
過ぎるについて、藤堂は『漢字源』で、するするとさわりなく通過すること。白川は『字統』で、通行するために禍(わざわい)を除く意であろうと述べています。いずれも骨に関する記述があります。
私の方は好きなものを週末だけ細々とやっております。
宜しくお願い致します。
投稿: 風船 | 2017年8月19日 (土) 21時34分