漢字の覚え方 疋
今日は『疋(ソ)』shūという漢字の『単語家族』について説明します。基本になる漢字は『疋』です。音読みは『ソ』、意味は『足』、『一対』、『間隔』です。疋(ソ)、楚(ソ)、礎(ソ)、疎(ソ)、疏(ソ)、蔬(ソ)、梳(ソ)などがこの漢字の『単語家族』、走(ソウ)が疋(ソ)を使った漢字です。
『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『疋』に何を足すと楚、礎、疎、疏、蔬、梳、走になるのかを考えます。走は小学校2年生、疎、礎は中学校で習い、疋、楚人名用漢字です。一緒に覚えましょう。
『疋(ソ・ヒキ)』shū、pǐは、左右の相対する足を表す象形文字です。漢字の部首は『疋・ひき』、漢字の意味は『左右の相対する足』、転じて『一組』、その他に足のある動物を数える『匹(ひき)』があります。。
音読みは二通りあります。左右の相対する足を表す場合は、呉音が『ショ』、漢音が『ソ』です。左右の相対する足を表します。
足のある動物を数え、『匹(ヒキ)』と同じように使用しする場合は、呉音が『ヒチ』、漢音が『ヒツ』、慣用音『ヒキ』と読みます。ひとつでは一疋・一匹(イッピキ)、ふたつでは二疋・二匹(ニヒキ)、一人(ひとり)の男性を疋夫・匹夫(ヒップ)といいます。
疋(ソ・ヒキ)は人名用漢字です。
『楚(ソ)』chǔは、一つ一つの棘(とげ)がある楚(いばら)を表す形声文字です。漢字の足し算では、木木(木々)+疋(離れた)=楚(一つ一つ離れた棘のある木。いばら)です。漢字の部首は『木・き』、漢字の意味は『楚(いばら)』、転じて『ツンと痛い』、『すっきりした』です。また、古代中国の国名に楚(ソ)という国がありました。
音読みは呉音が『ショ』、漢音が『ソ』、訓読みが『楚(いばら)』と読みます。楚の国の歌を楚歌(ソカ)、棘のあるツンとした清らかさを清楚(セイソ)といいます。
秦の時代以降(子楚の偏諱)、楚(ソ)は荊州(ケイシュウ)とも呼ばれるようになったのは、皆さん御存知の通りです。
楚(いばら)は、荊(いばら)http://bit.ly/1vYy66K、茨(いばら)http://bit.ly/1p5H5hF、棘(いばら)http://bit.ly/2bIl6yrとも書きます。
楚(ソ)は人名用漢字です。
『礎(ソ)』chǔは、基礎(キソ)の石を表す形声文字です。漢字の足し算では、石(いし)+楚(離れた)=礎(一つ一つ間隔をおいて置かれた基礎の石。礎。いしずえ)です。漢字の部首は『石・いしへん』、漢字の意味は『礎(いしずえ)』です。
音読みは、呉音が『ショ』、漢音が『ソ』、訓読みは『礎(いしずえ)』です。建物を支える基(もと)・物事を成り立たせる基(もと)を基礎(キソ)、国の基礎を国楚(コクソ)といいます。
礎(ソ)は中学校で習う常用漢字です。
『疎(ソ)』shūは、一歩一歩の間隔が広い様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、疋(足)+束(たば、まとまり、間隔)=疎(一歩一歩の間隔が広い。疎ら。まばら)です。漢字の部首は『𤴔・ひきへん』、漢字の意味は『疎(まば)ら』、『疎(うと)い』です。
音読みは呉音が『ショ』、漢音が『ソ』です。訓読みは『疎(まば)ら』、『疎(うと)い』です。疎(うと)んじで遠(とお)ざけることを疎遠(ソエン)、戦争による被害を抑えるため移住することを疎開(ソカイ)といいます。
疎(ソ)は中学校で習う常用漢字です。
『疏(ソ)』shūは、難しい文書すらすら読みあげる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、疋(間隔)+㐬(流れる)=疏(難しい文書すらすら読みあげる)です。漢字の部首は『𤴔・ひきへん』、漢字の意味は『難しい文書すらすら読みあげる』です。律令制で弾正台(ダンジョウダイ)の第四位のを『疏(さかん)』といいます。
また、『疏(まば)ら』、『疏(うと)い』として 『疎(ソ)』と同じようにも使います。
音読みは呉音が『ショ』、漢音が『ソ』、訓読みは『疏(さかん)』です。言い訳することを弁疏(ベンソ)、経典を詳しく説明したものを義疏(ギショ・ギソ)といいます。
疏(ソ)は人名用漢字です。
『蔬(ソ)』shūは、野菜、特に青物を表す形声文字です。漢字の足し算では、艹(植物)+疏(間隔・まばら)=蔬(間隔をあけて植えられている植物。野菜・特に青物)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、漢字の意味は『野菜』、『あおもの』、『粗末な植物』です。
音読みは呉音が『ショ』、漢音が『ソ』です。野菜、特にあおものを蔬菜(ソサイ)、野菜を主に食べること・粗末な食事を蔬食(ソショク)といいます。
蔬(ソ)は常用漢字から外れています。
『梳(ソ)』shūは、髪の毛を木製の櫛(くし)で梳(と)かす様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、木(木製)+疏(まばらにする)=梳(櫛(くし)で髪の毛を梳(と)かす・とかす)です。漢字の部首は『木・きへん』、漢字の意味は『梳(と)かす』、『梳(くしけず)る』です。
音読みは呉音が『ショ』、漢音が『ソ』です。訓読みは『梳(と)かす』、『梳(くしけず)る』です。髪の毛を梳(と)かして顔を洗うこと・容姿を調えることを梳洗(ソセン)、髪の毛を梳かすことを梳頭(ソトウ)といいます。
バラバラにすることを日本語で『とく』というのですが、漢字の世界では色々な漢字を使い分けています。
釈(と)く ひとつ、ひとつ。釈きほぐす。 『漢字の覚え方 尺』http://bit.ly/1tkspU4
解(と)く ばらばらにする。解きほぐす。 『漢字の覚え方 解』http://bit.ly/1N1uZka
溶(と)く 水の中で溶かす。 『漢字の覚え方 溶』http://bit.ly/1xUYpv5
説(と)く ひとつひとつ説明する。 『漢字の覚え方 説』http://bit.ly/1GMPByp
梳(と)く 櫛(くし)で髪をさらさらにする。 『漢字の覚え方 疋』http://bit.ly/1JXetBr
解釈(カイシャク)、解説(カイセツ)のように二語の熟語にしても使います。
梳(ソ)は常用漢字から外れています。
疋(ソ)を用いた漢字に走(ソウ)があります。
『走(ソウ)』zǒu は、人が走る姿を表した会意文字です。漢字の足し算では、大(大人の人)+疋(足)=走(人が走る。走る)です。漢字の部首は『走・はしる』、意味は『走る』、『逃げる』、『走らす』です。
音読みは呉音が『ス』、漢音が『ソウ』、訓読みは『走(はし)る』です。敗れて逃げることを敗走(ハイソウ)、競って走ることを競走(キョウソウ)、人の手足になって走る狗(いぬ)を走狗(ソウク)といいます。
走(ソウ)は小学校2年生で習う漢字 です。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-d8f7.html
『漢字の覚え方 疋』 楚 礎 疎 走
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.犬 にひき( )。
2.ひっぷ( )の勇。
3.四面 そか( )。
4.せいそ( )な人。
5.きそ( )工事。
6.戦争で そかい( )する。
7.三経 ぎしょ( )。
8.そさい( )園芸。
9.髪を と( )かす
10.きょうそう( )する。
解説です。基本の漢字は疋、楚(いばら)は林を足して楚、礎(いしずえ)は石を足して礎、礎(いしずえ)は石を足して礎、疎(まば)らは束を足して疎、疏(すらすら読む)は㐬を足して疏、蔬(そさい)は艹(くさかんむり)、梳(と)かすは木を足し、走(はし)るは大を足します。
解答です。ニ疋、ニ匹、疋夫、匹夫、楚歌、清楚、基礎、疎開、義疏、蔬菜、梳(と)かす、競走。
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