漢字の覚え方 翟

　今日は『翟（テキ）』díという漢字の仲間について説明します。基本になる漢字は『翟（テキ）』で、共通するイメージは『高く飛ぶ』、音読みは『テキ』や『ヨウ』です。翟（テキ）、曜（ヨウ・てらす）、躍（ヨウ・おどりあがる）、擢（テキ・ぬきでる）、濯（タク・あらう）、櫂（トウ・かい）、耀（ヨウ・かがやく）、燿（ヨウ・てる）などがこの漢字の仲間です。これらの漢字は『翟（テキ）』という同じ構成要素を持つので、漢字の足し算で表すことが出来ます。

漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。『翟』に何を足すと曜、擢、濯、耀、燿、櫂、躍になるのかを考えます。曜は小学2年生 、濯、躍は中学校で習い、擢、櫂、耀、燿は人名用漢字です。学校、学年に関係なく一緒に覚えましょう。

　『翟（テキ）』díは、キジなどの隹が飛ぶ様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、羽（はね）＋隹（とり）＝翟（キジなどの隹が飛ぶ。抜き出る）です。漢字の部首は『羽・はね』、意味は『飛ぶ』、『抜き出る』です。特に雉（きじ）や雉の尾羽を指す（藤堂）といわれています。

音読みは呉音が『ジャク』・漢音が『テキ』です。雉の羽根で飾った衣を翟衣（テキイ）といいます。

翟（テキ）は常用漢字から外れています。

　『擢（テキ）』zhuóは、抜き出す様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、扌（人の動作）＋翟（高く飛ぶ）＝擢（高く飛ぶように抜き出す。抜き出る）です。漢字の部首は『扌・てへん』、意味は『抜き出す』、『抜き出る』です。

音読みは呉音が『ダク』、漢音が『タク』、慣用音が『テキ』です。多くの人の中から抜き出して用いることを抜擢（バッテキ）といいます。

擢（テキ・ぬきでる）は人名用漢字です。

　『濯（タク）』zhuóは、水から高く抜きあげるように洗う様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵（みず）＋翟（飛ぶ・抜き出る）＝濯（水から高く抜きあげるように洗う。濯ぐ。すすぐ）です。漢字の部首は『氵・さんずい』、意味は『濯（あら）う』、『濯（すす）ぐ』です。

音読みは呉音が『ダク』、漢音が『タク』、訓読みが『濯（あら）う』、『濯（すす）ぐ』です。水で洗い濯（すす）ぐことを洗濯（センタク）といいます。

濯（タク・あらう）は中学生 で習う常用漢字です。

　『櫂（トウ）』zhàoは、水から高く抜きあげるように洗う様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、木（木の製品）＋翟（飛ぶ・抜き出る）＝櫂（水からさっと抜きあげるようにする櫂。かい）です。漢字の部首は『木・きへん』、意味は『櫂（かい）』です。

音読みは呉音が『ジョウ』、漢音が『トウ』、訓読みが『櫂（かい）』です。船頭が船を漕ぎながら歌う歌を櫂歌（トウカ）といいます。

良い意味の漢字で『かい』、『かじ』と地名・人名に使われます。

櫂（トウ・かい）は人名用漢字です。

　『曜（ヨウ）』yàoは、高く輝く様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、日（太陽・輝く）＋翟（キジが高く飛ぶ）＝曜（高く光輝く。曜。てらす）です。漢字の部首は『日・にち』、意味は『輝く』、『照らす』です。

中国では古来より、太陽、月、火星、水星、木星、金星、土星の空高く輝く星を『七曜（シチヨウ）』といいます（春秋穀梁伝）。現在では、『七つの天体が守護する七つの日』という西洋の概念にあてはめて、曜の字を使っています。

音読みは呉音・漢音ともに『ヨウ』です。日曜日（ニチヨウビ）、月曜日（ゲツヨウビ）の曜です。大変に縁起の良い漢字で、『あきら』、『てらす』、『てる』の人名に使われます。

日旺日（ニチヨウビ）など『曜』の代わりに『旺』http://bit.ly/1CcLPYG 使われますが、教育現場では間違いとされています。代用字は意味が同じもの、省略したものが使われます。『曜』は羽に隹（とり）で『上にあがる』の意味、『旺』は日に王で『王さまが盛んな様子』の意味があり、音も違うので『旺（オウ）』を『曜（ヨウ）』の代用字に使うのは無理があるようです。

曜（ヨウ・てらす）は小学校で2年生で習う漢字http://bit.ly/1TnGMiq です。

　『燿（ヨウ）』yàoは、火が高く燃えて輝く様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、火（ひ）＋翟（キジが高く飛ぶ）＝燿（火が高く燃えて輝く。てらす。ひかり）です。漢字の部首は『火・ひ』、意味は『輝く』、『照らす』です。

音読みは呉音・漢音ともに『ヨウ』です。徳が目立つように輝く様子を燿徳（ヨウトク）といいます。大変に縁起の良い漢字で『てる』の人名に使われます。

燿（ヨウ・てる）は人名用漢字です。

　『耀（ヨウ）』yàoは、光が高く照り輝く様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、光（太陽・光）＋翟（キジが高く飛ぶ）＝耀（光が高く照り輝く。耀く。かがやく）です。漢字の部首は『光・ひかり』、意味は『耀（かがや）く』、『照らす』です。

音読みは呉音・漢音ともに『ヨウ』です。訓読みに『耀（かがや）く』があります。耀くような栄（さか）え方を栄耀（エイヨウ）、蝉が明るい光に飛び込むこと・君主が自分の徳を明らかにすること耀蟬（ヨウゼン）といいます。大変に縁起の良い漢字で、『あきら』、『てらす』、『てる』、『ひかり』、『ひかる』と人名に使われます。

耀（ヨウ・かがやく）は人名用漢字です。

　『躍（ヤク）』yuèは、躍（おどり）りあがる様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、足（あし）＋翟（キジが飛ぶ）＝躍（躍りあがる。高く飛び上がる。目にとまる）です。漢字の部首は『足・あしへん』、意味は『躍りあがる』、『高く飛び上がる』、『目にとまる』です。

音読みは呉音・漢音ともに『ヤク』、訓読みが『躍（おど）る』です。勢いよく躍ること・めざましく活動することを活躍（カツヤク）、高く飛び上がることを跳躍（チョウヤク）、性格・態度などがありありと表れていることを躍如（ヤクジョ）といいます。

『とぶ』は漢字の世界ではニュアンスの違いがあります。二字組み合わせて使うこともあります。飛躍（ヒヤク）、飛翔（ヒショウ）、跳躍（チョウヤク）などです。

飛（と）ぶ　羽を使って空高く飛ぶ

跳（と）ぶ　足を使って地面から離れる

翔（と）ぶ　神の使いが空を翔（かけ）めぐる

躍（おど）る　足を使って高く躍（おど）りあがる　

躍（ヤク・おどる）は中学生 で習う常用漢字です。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-27e7.html

『漢字の覚え方 翟』 曜 躍 濯　擢　櫂　耀

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.主任に ばってき（　　　）。

2.せんたく（　　　）日和。

3.舟と かい（　）。

4.日 ようび（　　　）。

5.大 かつやく（　　　）。

6.えいよう（　　　）栄華。

7.面目 やくじょ（　　　）する。

解説です。基本の漢字は翟、抜擢は扌を足して擢、濯（すす）ぐは氵を足して濯、櫂（かい）は木を足して櫂、曜日は日を足して曜、耀（ひかり）は光を足して耀、燿（てら）すは火を足して燿、躍（おど）るは足を足して躍です。

解答です。抜擢、洗濯、櫂、曜日、活躍、栄耀、躍如。