小学校5年生で習う漢字③(制~独)
小学校5年生で習う漢字を説明します。『小学校5年生で習う漢字①』(圧~群)と 『小学校5年生で習う漢字②』(経~職)、 『小学校5年生で習う漢字③』(制~独)、『小学校5年生で習う漢字④』(任~領)に分割ししています。ご了承下さい。
漢字の説明の前に、漢字の成り立ちの話をしましょう。最古の漢字辞書は後漢(西暦100年頃)の許慎(キョシン)の「説文解字(セツモンカイジ)」です。許慎はその中で漢字の成り立ちについて、四種類あるとしました。中学の教科書に掲載されるようになったので、解説致します。
①.物の形を象った(かたどった)『象形文字』(ショウケイモジ)、②.象形文字を基に点を打つことにより示された『指事文字』(シジモジ)、③.文字を組み合わせて造った『会意文字』(カイイモジ)、④.意味と音を示す文字を組み合わせた『形声文字』(ケイセイモジ)の四種です。『会意文字』と『形声文字』は漢字の足し算で表す事が出来ます。個々の漢字についてはまとめてありますので象形・指事・会意・形声 五年生も御覧ください。
漢字の成り立ちについての解釈は四通りです。どの時代の漢字に重点を置くか、また「説文解字(セツモンカイジ)」にどれほど敬意を払うかにより、解釈が違う場合が稀にあります。ある辞書では『見』を象形文字、別の辞書では目+儿の会意文字としています。漢字の解釈については諸説あることを御承知下さい。
『制(セイ)』zhìは、木材の形を整える様子を表わす会意文字です。漢字の足し算覚えるならば、木+一+刂(刃物)=制(刃物を使って木材の形を整える。おさえつける。きまり)です。漢字の部首は『刂・りっとう』、意味は『形を整える』、『おさえつける』、『きまり』、『意のままにする』です。
音読みは呉音が『セ』、漢音が『セイ』です。芸術作品などを整えつくることを制作(セイサク)、威力で相手をおさえつけることを制圧(セイアツ)、法律の決まり・制度を法制(ホウセイ)、競争相手を押さえて権力を握ることを制覇を(セイハ)といいます。
『製(セイ)』zhìは、衣服を仕立てる様子を表わす形声文字です。漢字の足し算覚えるなば、制(形を整える)+衣(衣服)=製(衣服を仕立てる。材料を整えてものをつくる)です。漢字の部首は『衣・ころも』、意味は『衣服を仕立てる』です。衣服だけに限らず、材料を整えてものをつくる場合に使う漢字です。『物をつくる』です。
音読みは呉音が『セ』、漢音が『セイ』です。原材料に手を加えて大きいものを造ることを製造(セイゾウ)、原材料に手を加えて小さな品物を作ること・番組など作ることを製作(セイサク)、もとの物と同じものを作ることを複製(フクセイ)といいます。
制(セイ)、製(セイ)は同じの制(セイ)の仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 制』をご覧ください。
『性(セイ・ショウ)』xìngは、人の本質を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、忄(心)+生=性(生まれつきの心。人の本質)です。漢字の部首は『忄・りっしんべん』、意味は『人の本質』です。
音読みは呉音が『ショウ』、漢音が『セイ』です。訓読みが『さが』です。性質(セイシツ)、性格(セイカク)、男性(ダンセイ)、本性(ホンショウ)、性根(ショウコン・ショウね)の性です。
呉音の『ショウ』は漢音では『セイ』になります。音読みの呉音、漢音については『呉音と漢音』⑮http://bit.ly/1LUTTpI もご覧ください。
性(セイ)は生(セイ)の仲間の漢字で、牲(セイ)、姓(セイ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 生』をご覧ください。
『政(セイ・ショウ)』zhèngは、正しく行う政治を漢字にした形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、正(ただしい)+攵・攴(ぼくづくり・動作。行為)=政(正しく行う。政治)です。漢字の部首は『攵・攴・ぼくづくり』、意味は『正しく行う政治』です。
音読みは呉音が『ショウ』、漢音が『セイ』です。訓読みが『まつりごと』です。政治(セイジ)、政府(セイフ)、家政(カセイ)、摂政(セッショウ)の政です。
政(セイ)は正(セイ)の漢字仲間で、征(セイ)、整(セイ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 正』をご覧ください。
『勢(セイ)』shìは、制圧する力を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、埶(植物を植えて整える)+力(ちから)=勢(力をもって整える。制圧する力。転じて勢い。いきおい)です。漢字の部首は『力・ちから』、漢字の意味は『制圧する力』、『進み具合』、『勢(いきお)い』、『敵の勢い』です。
音読みは呉音が『セ』、漢音が『セイ』、慣用音が『ゼイ』、訓読みが『勢(いきお)い』、集団がもつ他の集団をおさえる力を勢力(セイリョク)、権力を握って勢のあることを権勢(ケンセイ)、変化していく物事の様子を情勢(ジョウセイ)、軍の勢力を軍勢(グンゼイ)といいます。
勢(セイ)は埶(ゲイ)の漢字の仲間で、藝(ゲイ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 埶』をご覧ください。
『精(セイ・ショウ)』jingは、精米した米を漢字にした形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、米(こめへん)+青(きれい)=精(綺麗な米。けがれない)です。部首は『米・こめへん』、意味は『けがれない』、『心の働き』、『体力・気力』です。
音読みは呉音が呉音が『ショウ』、漢音が『セイ』です。精米(セイマイ)、精力(セイリョク)、精巧(セイコウ)、精進(ショウジン)の精です。
精(セイ)は青(セイ)の漢字の仲間で、晴(セイ)、請(セイ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 青』をご覧ください。
『税(ゼイ)』shuiは、人民から取(と)る税(ゼイ)としての穀物(コクモツ)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、禾(穀物)+兌(取り去る)=税(人民から取(と)る税(ゼイ)としての穀物。税。ぜい)です。漢字の部首は『禾・のぎへん』、漢字の意味は『人民から取(と)る穀物』、『人民から取(と)る金銭』です。
音読みは呉音が『セ』、漢音が『セイ』、慣用音が『ゼイ』、国民が公共機関に納付する金銭を税金(ゼイキン)、税金を増やすことを増税(ゾウゼイ)、減らすことを減税(ゲンゼイ)、税金の納付を故意に逃れることを脱税(ダツゼイ)といいます。
義務を果たす大事な漢字で『おさむ』、『ちから』、『みつぎ』と地名・官職・名前に使われます。
税(ゼイ)は兌(ダ)の漢字の仲間です。脱(ダツ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 兌』をご覧ください。
『責(セキ)』zéは、借金を責める様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、朿(とげ・刺す)+貝(財貨)=責(借金を刺すように繰り返し責める。責める。せめる)です。漢字の部首は『貝・かい』、漢字の意味は『責(せ)める』、『果たさなければ負い目』、『繰り返す』です。
音読みは呉音が『シャク』、漢音が『サク』、漢音から変化した慣用音が『セキ』、訓読みが『責(せ)める』です。他人の失敗を叱り責めることを叱責(シッセキ)、果たさなければならない負い目や任務を責任(セキニン)、責任を引き受けることを引責(インセキ)、厳しくとがめる責めることを呵責(カシャク)といいます。
『績(セキ)』jìは、繊維を縒(よ)り合せて糸をつくる様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、糸(繊維)+責(重ねる・繰り返す)=績(繊維を重ねて糸にする。つむぐ)です。漢字の部首は『糸・いとへん』、漢字の意味は『繊維を合せて糸にする』、『績(つむ)ぐ』、『積み重ねた仕事』です。
音読みは呉音が『シャク』、漢音が『セキ』、訓読みが常用外の『績(つむ)ぐ』です。繊維をより合わせて糸をつくることを紡績(ボウセキ)、事業や研究で積み上げた成果を業績(ギョウセキ)、仕事や学業の成果の結果を成績(セイセキ)といいます。
績(つむ)ぐは紡(つむ)ぐと書くのが普通です。積み重ねた成果を表す大変良い漢字で、『いさ』、『いさお』、『さね』、『つみ』、『なり』、『のり』、『もり』と広く人名に使われます。
呉音の『シャク』は漢音では『セキ』と読むことがあります。赤(シャク・セキ)、石(シャク・セキ)などの漢字もそうです。音読みの呉音、漢音については『呉音と漢音』⑯http://bit.ly/1LUTTpI もご覧ください。
責(セキ)、績(セキ)は責(セキ)の漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 責』をご覧ください。
『接(セツ)』jiē は、くっつく様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、扌(手の動作)+妾(女性の召使・接待)=接(女性が接待する。くっつく。転じて。接ぐ)です。漢字の部首は『扌・てへん』、漢字の意味は『くっつく』、『接待する』、『つなぐ』、『出迎える』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ショウ』、慣用音が『セツ』、訓読みが『接(つ)ぐ』です。。客をもてなすことを接待(セッタイ)、くっつけることを接着(セッチャク)、骨を接ぐことを接骨(セッコツ)といいます。
接(セツ・つぐ)はは妾(ショウ)の漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 妾』 をご覧ください。
『設(セツ)』shè は、道具を使って物を備え付ける様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、言(言葉・道具)+殳(動作)=設(道具を使って物を備え付ける。設(もう)ける)です。漢字の部首は『言・ごんべん』、漢字の意味は『物を備え付ける』、『設(もう)ける』、『組織をつくる』、『条件を定める』です。
現在の楷書体では言(ごんべん)が使われていますが、甲骨文字では工具を表す▽が描かれていて、途中で言(ごんべん)に変化した漢字です。
音読みは呉音が『セチ』、漢音が『セツ』、訓読みが『設(もう)ける』です。施設や機関などを設けることを設置(セッチ)、建物・道路などを新たに造ることを建設(ケンセツ)、構造物の建設法などの計画を図面に表すことを設計(セッケイ)といいます。
呉音のセチの『チ』韻は漢音ではセツの『ツ』韻になることがあります。音読みの呉音、漢音については『呉音と漢音』
21http://bit.ly/1LUTTpI もご覧ください
とても良い意味の漢字で『おき』、『のぶ』と名前に使われます。
設(セツ)は動作を表す殳(シュ)を使った漢字です。役、疫(エキ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 殳』をご覧ください。
『舌(ゼツ)』shéは、舌(した)を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、干(棒状の)+口(くち)=舌(口の中で出入りする棒状のもの。舌)です(藤堂)。漢字の部首は『舌・した』、意味は『舌(した)』です。
『説文解字』には「干(カン)に従い口に従う」とあります。
口から舌を出した形を表す象形文字(鎌田・白川・落合)とする説もあります。現在では象形文字とする説が主流の様です。
音読みは呉音が『ゼツ・ゼチ』、漢音が『セツ』です。訓読みは『した』です。おしゃべりを饒舌(ジョウゼツ)、舌先の戦いを舌戦(ゼッセン)といいます。
舌(ゼツ)sheは舌(した)を表す漢字で、仲間の漢字はありません。楷書体のデザインが同じ舌(カツ)huoは、丸い彫刻刀の氒(ケツ)を表す漢字で、『丸い』、『勢いのある』という意味があり、活(カツ)、括(カツ)、話(ワ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 舌』をご覧ください。
『絶(ゼツ)』juéは、刀で糸を断ち切る様子を示す会意文字です。漢字の足し算では、糸+刀+卩(節)=絶(糸を短い節に断ち切る。絶つ)です。部首は『糸・いとへん』、意味は『絶える(たえる)』、『絶つ(たつ)』、『絶えてないほど素晴らしい』です。旧字体は『絕』で刀が漢字に残っています。字体は常用漢字体の『絶』を使って下さい。
音読みは呉音が『ゼツ』、漢音が『セツ』。訓読みは『絶える(たえる)』、『絶つ(たつ)』です。非常に素晴らしい景色が絶景(ゼッケイ)、断って絶えるのが断絶(ダンゼツ)、言葉に詰まる・中国の漢詩が絶句(ゼック)、相対するものが無いのが絶対(ゼッタイ)です。音読みの『ゼツ』ですが、か行、た行の前では促音便になって『ゼッ』になります。
卩(セツ)は楷書体では形をかえることが知られており、巴の形をとることがあります。絶(ゼツ)は卩(セツ)を使った漢字です。
絶(ゼツ)は卩(セツ)の漢字の仲間で、節(セツ)、色(シキ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 卩』をご覧ください。
『銭(錢)(セン)』qiánは、小さい銭(ぜに)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、金(金属)+戔(小さい)=銭・錢(金属製のちいさいお金。銭。ぜに)です。漢字の部首は『金・かねへん』、漢字の意味は『銭(ぜに)』、『おかね』です。正字は錢ですが、常用漢字体の銭を使います。
音読みは呉音が『ゼン』、漢音が『セン』、訓読みが『銭(ぜに)』です。お金のことを金銭(キンセン)、古い銭を古銭(コセン)、入浴料金をとって入浴する風呂屋を銭湯(セントウ)、身に付いたお金・自分のお金を身銭(みぜに)、小額の金銭を小銭(こぜに)といいます。
春雨に小銭握って飯屋かな 風船
銭(セン)は戔(セン)の『単語家族』で、浅(セン)、残(ザン)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 戔』をご覧ください。
『祖(ソ)』zǔは、先祖のことを示す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、礻(神事)+且(重なる)=祖(世代が重なる。先祖)です。部首は『礻・しめすへん』、意味は『先祖』です。
音読みは呉音・漢音とも『ソ』です。祖先(ソセン)、先祖(センゾ)、祖父(ソフ)、祖国(ソコク)の祖です。
祖(ソ)は且(ソ)の漢字の仲間で、助(ジョ)、租(ソ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 且』をご覧ください。
『素(ソ)』sùは、縒(よ)り合せていない素(もと)の繭(まゆ)からでる一本の糸を表す文字です。漢字の足し算では、垂(垂れる)+糸=素(繭から垂れるもとの糸。もと)です。漢字の部首は『糸・いと』、漢字の意味は『素(もと)』、『白い』です。
音読みは呉音が『ス』、漢音が『ソ』、訓読みが『素(もと)』、『素(しろ)』です。素(もと)より備えている性質を素質(ソシツ)、靴を履いていない足を素足(スあし)、酒に酔っていない顔を素面(しらふ)、経験のない人・専門家でない人を素人(しろうと)といいます。
良い意味の漢字で『しろ』、『すな』、『もと』と名前に使われます。
素(ソ)は糸(シ)を使った漢字です。糸について詳しくは『漢字の覚え方 糸』をご覧ください。
『総(ソウ)』zǒngは、糸をまとめて束(たば)ねた様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、糸(いと)+忩・悤(まとめる)=総・總(糸をまとめて束(たば)ねる。総て。すべて)です。漢字の部首は『糸・いとへん』、漢字の意味は『束ねる』、『まとめる』、『総(すべ)て』、『ふさ』です。
音読みは呉音が『ス』、漢音が『ソウ』、訓読みが『総(すべ)て』、『総(ふさ)』です。個々の物を一つにまとめることを総合(ソウゴウ)、全体を統一して管理すること・またその大臣を総理(ソウリ)、組織全員による会合を総会(ソウカイ)といいます。
良い意味の漢字で『のぶ』、『みち』と名前に使われます。
総(ソウ)は忩(ソウ)の『単語家族』で、窓(ソウ)、聡(ソウ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 忩』をご覧ください。
『造(ゾウ)』zàoは、材料をくっつけ合わす様子を表す会意文字(藤堂)です。漢字の足し算で覚えるならば、辶(足で進む)+告(牛の角にくっつける)=造(材料をくっつけ合わす。造る。つくる。とどく)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、意味は『造(つく)る』、『あるところまで届く』、『あわただしい』です。
音読みは呉音が『ゾウ』、漢音が『ソウ』、訓読みが『造(つく)る』です。素材を加工して形をこしらえることを造形(ゾウケイ)、物をこしらえることを造作(ゾウサ)、そそくさとしてあわだだしい様子を造次(ゾウジ)、学問・知識のいたる程度を造詣(ゾウケイ)といいます。
良い意味の漢字で『いたる』、『なり』、『なる』、『はじめ』、『みやつこ』と地名・人名・官位に使われるます。
造(つく)るは、作(つく)るhttp://bit.ly/1u0607V、創(つく)るhttp://bit.ly/1LEcVib とも書きます。
造(ゾウ)は告(コク)を使った漢字です。告について詳しくは『漢字の覚え方 告』 ご覧ください。
『像(ゾウ・ショウ)』xiàngは、イ(にんべん・人)に象を足し合わせた形声文字です。自然の大きなかたちを象(ショウ)と呼び、人に似せたかたち・実際のかたちを像(ゾウ)と呼びます。漢字の足し算では、イ(人間)+象(かたち)=像(人に似せたかたち。像。ゾウ)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、漢字の意味は『人に似せたかたち』、『人の目に映る実際のかたち』です。
音読みは呉音が『ゾウ』、漢音が『ショウ』です。神仏を象(かたど)った像・崇拝やあこがれを偶像(グウゾウ)、銅で作られた像を銅像(ドウゾウ)、人の姿を映(うつ)した絵や写真を肖像(ショウゾウ)、実際のかたちをイメージすることを想像・想象(ソウゾウ)、実際に映(うつ)るかたちを映像(エイゾウ)といいます。
縁起の良い漢字で『かた』、『すえ』、『のり』、『み』と名前に使われます。
像(ゾウ)は象(ゾウ)の漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 象』をご覧ください。
『増』zēngは、土が重なって増える様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、土(つち)+曽(重なる)=増(土を重ねる。増える。ふえる)です。漢字の部首は『土』、漢字の意味は『増(ふ)える』です。
音読みは、呉音・漢音ともに『ソウ』、慣用音の『ゾウ』を使います。訓読みは『増(ふ)える』、『増(ま)す』です。増えることを増加(ゾウカ)、増えることと減ることを増減(ゾウゲン)といいます。
増(ゾウ)は曾(ソウ)の『単語家族』で、層(ソウ)、憎(ゾウ)、贈(ゾウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 曾』をご覧ください。
『則(ソク)』zéは、鼎(かなえ)という器に契約の言葉を彫った様子を漢字にした会意文字(カイイモジ)です。漢字の足し算では、貝(鼎の省略形)+刂(りっとう・かたな)=則(鼎に契約の言葉を彫る。契約。ルール)です。部首は『刂・りっとう』、意味は『規則』、『すなわち』です。
則ち(すなはち・すなわち)は漢文の授業で習います。意味は『すぐさま』、『つまり』という副詞で『規則、『基準』から転じた使い方です。則ちを使った有名な文章が『論語(ロンゴ)』の為政(イセイ)扁にあります。紹介しておきます。
学びて思はざれば則(すなは)ち罔(くら)し。思ひて学ばざれば則(すなは)ち殆(あやふ)し。『論語(為政)』。意味は、学習しても良く考えて研究しなければ、つまりは理解があやふやである。自分の考えだけを深めても学習しなければ、つまりは独断に陥り危険である。
音読みは呉音・漢音ともに『ソク』です。訓読みは『すなわち』です。規則(キソク)、鉄則(テッソク)、付則(フソク)、法則(ホウソク)の則です。
『測(ソク)』cèは、水の深さ測る様子を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、氵(水)+則(ルールを決める)=測(水のルールを決める。水深を測る)です。部首は『氵・さんずい』、意味は『測る』です。また心の奥を気持ちを測(はか)るにも使う漢字です。
音読みは呉音・漢音ともに『ソク』です。訓読みは『測る(はかる)』です。測深(ソクシン)、測量(ソクリョウ)、予測(ヨソク)、臆測(オクソク)の測です。
心の気持ちを測る(はかる)には忄(りっしんべん・心)の『惻(ソク・はかる・いたむ)』cèもありますが、常用漢字ではないので使いません。いたわしく思う心を、惻隠の情(ソクインのジョウ)『孟子』といいます。
則(ソク)、測(ソク)は則(ソク)の『単語家族』で、側(ソク)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 則』をご覧ください。
『属(屬)(ゾク)』shǔは、青虫が桑の葉に乗る様子を表す漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、尾+蜀(目の大きな青虫が葉に乗る)=属(屬)(青虫がおしりを付けて桑の葉に乗る。交尾する。付く。くっつく)です。漢字の部首は『尸・かばね』、漢字の意味は『付く』、転じて『仲間に入る』、『属(やから)』、『中世の官人の四等官。属(さかん)』です。
音読みは呉音が『ゾク』、漢音が『ショク』、訓読みが常用外の『属(やから)』、『属(さかん)』です。個人がある組織加わっていることを所属(ショゾク)、主になるものに付き従っていることを付属・附属(フゾク)、その国に付属している領土を属領(ゾクリョウ)といいます。
呉音の『ゾク』や『シキ』は漢音では『ショク』と読むことがあります。色(シキ・ショク)、式(シキ・ショク)などの漢字もそうです。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音もご覧ください
属(ゾク・ショク)は蜀(ゾク・ショク)の漢字の仲間で、蜀(ゾク・ショク)、嘱(ショク)、獨(ドク)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 蜀』 をご覧ください。
『率(ソツ)』shuàiは、率(ひき)いる様子を表す漢字です。漢字の足し算では、玄(細い糸)+冫冫(左右に払う)+十(まとめる)=率(はみ出ないように左右に払って引きしめてまとめる。引き締める)です。漢字の部首は『玄・げん』、漢字の意味は『率(ひき)いる』、『あるがままに』、『急に』です。
『説文解字』には「鳥を捕らえる畢(あみ)なり」とあり、鳥を捕らえている網の象形としています。
音読みは呉音が『ソチ』、漢音が『ソツ』、訓読みが『率(ひき)いる』です。引き連れることを引率(インソツ)、ありのままで隠すところがないことを率直(ソッチョク)、物事を深く考えずに軽々しく行うことを軽率(ケイソツ)といいます。
将軍を表す場合は特別に『率(スイ)』shuàiと読むこともあります。将率・将帥(ショウスイ・率いる人)です。
また、『率(リツ)』lǜと読んで『全体に対する部分の割合』を表します。
音読みは呉音が『リチ』、漢音が『リツ』です。ある事象の起こる可能性の割合を確率(カクリツ)、勝つ割合を勝率(ショウリツ)、ある数が他の数の何倍であるかを倍率(バイリツ)といいます。
率(リツ)の『単語家族』には、蟀(シュツ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 率』をご覧ください。
『損(ソン)』sǔnは、容器に穴があいた状態を示す会意文字です。漢字の足し算では、扌(手の動作)+員(円い容器)=損(容器を壊す。穴のあいた容器。損なう)です。漢字の部首は『扌・てへん』です。漢字の意味は『損なう(そこなう)』、『利益を失う』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ソン』です。『員(イン)』の仲間は縁起の良い字ですが、『損(ソン)』は印象が良くなく、読み方も違えて区別しています。訓読みは『損なう(そこなう)』です。破損(ハソン)、損失(ソンシツ)、損得(ソントク)、損益(ソンエキ)の損です。
損(ソン)は員(イン)の『単語家族』で、圓(エン)、韻(イン)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 員』をご覧ください。
『退(タイ)』tuìは、日の下で足が止まる様子を表す会意文字です(藤堂)。漢字の足し算では、日+夊(足をひきずる)+辶(進む)=退(足をひきずって後退する。退く。しりぞく)です。部首は『辶・しんにょう』、意味は『退(しりぞ)く』、『引き下がる』です。
鋭い眼光にひるんで退く様子を表すとする説(白川)もあります。漢字の足し算で覚えるならば、辶(進む)+艮(鋭い眼光)=退(足をひきずって後退する。退く。しりぞく)です。
艮(コン・鋭い眼光)について詳しくは『漢字の覚え方 艮』をご覧ください。
音読みは呉音・漢音ともに『タイ』、訓読みは『退(しりぞ)く』、『退(ひ)く』です。後ろへ退くことを後退(コウタイ)、遠慮して引き下がることを辞退(ジタイ)、病気が治って病院を出ることを退院(タイイン)といいます。
退(タイ)の『単語家族』には、褪(タイ)、腿(タイ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 退』をご覧ください。
『貸(タイ)』dàiは、お金が入れ代わる様子を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、代(代わる)+貝(カイ・お金)=貸(お金が代わる。転じて、貸す)です。漢字の部首は『貝』、意味は『貸す』です。
音読みは呉音・漢音とも『タイ』です。訓読みは『貸す(かす)』です。賃貸(チンタイ)、貸借(タイシャク)、貸与(タイヨ)、貸付け(かしつけ)の貸です。
貸(か)すの反対の借(か)りるは、昔の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 昔』をご覧ください。
貸(タイ)は代(ダイ)の『単語家族』で、袋(タイ)、黛(タイ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 代』をご覧ください。
『態(タイ)』tàiは、あることが出来る状態・心構えを表す形声文字です。漢字の足し算では、能(出来る)+心(心構え)=態(あることが出来る状態。心構え)です。漢字の部首は『心・こころ』、漢字の意味は『心構え』、『ありさま』、『様子』です。我が国では、『ことさらに』の意味に用い『態(わざ)と』、『態々(わざわざ)』と読ませることがあります。
音読みは呉音・漢音ともに『タイ』、訓読みは『態(わざ)』です。その時の人や物事のありさまを状態(ジョウタイ)、ある物事や情勢に対してとる構えを態勢(タイセイ)、物事のありさまや病気の具合を様態(ヨウタイ)といいます。
態(タイ)は能(ノウ・タイ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 能』をご覧ください。
『団(ダン)』tuánは、まとまって固まる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、專(まとまる)+□(固める。枠)=団(團)(まとまって丸く固まる。丸い。ひとかたまり)です。漢字の部首は『□・くにがまえ』、漢字の意味は『丸い』、『ひとかたまり』、『人が集まる』、『まるいもの』です。
正字は團で、常用漢字体の団を使ってください。
音読みは呉音が『ダン』、漢音が『タン』、唐宋音が『トン』です。人や動物が集まってひとかたまりになることを集団(シュウダン)、住宅を計画的、集団的に建てたものを団地(ダンチ)、布地を縫い合わせて中に綿などを入れまとめた寝具を布団(フトン)といいます。
団(ダン)は專(セン)の仲間の漢字で、伝(傳)(デン)、転(轉)(テン)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 専』をご覧ください。
『断(ダン)』duànは、糸をずばりと切る様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、乚(切る)+糸×4+斤(おの)=斷・断(斧でずばりと切る。断つ。たつ)です。漢字の部首は『斤・おの』、意味は『断(た)つ』、『ずばりと切る』。『断(た)つ』から転じた、『絶える』、『定める』、『断(ことわ)る』です。正字は『斷』、ですが省略形の『断』が常用漢字体として登録されています。『断』を使って下さい。
音読みは呉音が『ダン』、漢音が『タン』、訓読みは『断(た)つ』、『断(ことわ)る』です。ずばりと切ることを切断(セツダン)、ずばりと判断することを断定(ダンテイ)、続いていたことを断ちきることを断絶(ダンゼツ)といいます。
思い切りの良いはっきりとした漢字で『さだ』、『さだむ』、『たけし』、『とう』と名前に使われます。
断(ダン)は斤(キン)が使われている漢字です。斤(キン)の『単語家族』には、近(キン)、欣(キン)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 斤』をご覧ください。
『築(チク)』zhúは、土を竹・木製の道具で築(つ)き固める様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、筑(竹製の道具と手と工作)+木(木製の道具)=築(土を竹・木製の道具で築(つ)き固める。築く。きずく)です。漢字の部首は『竹・たけんかんむり』、漢字の意味は『土を築(つ)き固める』、『土台をつくる』です。
音読みは呉音・漢音ともに『チク』、訓読みは『築(きず)く』、『築(つ)く』です。建物を土台からつくり上げることを建築(ケンチク)、城を築(きず)くことを築城(チクジョウ)、庭園などに土を盛ってつくった小山を築山(つきやま)といいます。
築(チク)は竹(チク)の『単語家族』で、筑(チク)、篤(トク)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 竹』をご覧ください。
『張(チョウ)』zhāngは、弓・楽器に弦を張る様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、弓+長=張(弓・楽器に弦を張る。はる)です。漢字の部首は『弓』、漢字の意味は『張る(はる)』、『大きく張る』、『張りつめる』、『緊張する』、『強い』です。
音読みは呉音・漢音ともに『チョウ』、訓読みは『張る(はる)』です。拡張(カクチョウ)、緊張(キンチョウ)、出張(シュッチョウ)、弛張(シチョウ)、言い張る(いいはる)の張です。強い漢字で『つよ』、『とも』、『はり』、『ばり』、『はる』と名前に使われます。
張るの反対は弛(ゆる)むです。『弛(シ・ゆるむ)』shiは弓の糸が也(広い・大きい)から成る漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 它・也』をご覧ください。
張(チョウ)は長(チョウ)の『単語家族』で、張(チョウ)、脹(チョウ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 長』をご覧ください。
『提(テイ)』tí、dī は、手を差し出して持つ様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、扌(手の動作)+是(まっすぐ伸ばす)=提(手を伸ばして持つ。ひっさげる。差し出す)です。漢字の部首は『扌・てへん』、漢字の意味は『ひっさげる』、『差し出す』、『主張する』です。
音読みは呉音が『ダイ』、漢音が『テイ』、訓読みは『提(さ)げる』です。書類などを公の場にさし出すことを提出(テイシュツ)、会議などで意見を出すこと・主張することを提案(テイアン)、自分の物品や設備を役立てるために差し出すことを提供(テイキョウ)、手に吊下げた灯りを吊灯・提灯(チョウチン)といいます。
提(テイ)は是(ゼ)の『単語家族』で、題(ダイ)、堤(テイ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 是』をご覧ください。
『程(テイ)』chéngは、穀物の真っ直ぐに垂れた実の部分を表す形声文字です。漢字の足し算では、禾(穀物)+呈(真っ直ぐに垂れた部分)=程(穀物の真っ直ぐに垂れた実の部分。一定の量。基準。度合い。道のり)です。漢字の部首は『禾・のぎへん』、漢字の意味は『一定の量』、『基準』、『道のり』です。
音読みは呉音が『ジョウ』、漢音が『テイ』、訓読みが『程(ほど)』です。物事の大小・高低・優劣などの度合いを程度(テイド)、物事の変化する道筋を過程(カテイ)、目的地などに行く道のりを行程(コウテイ)といいます。
程(テイ)は呈(テイ)の『単語家族』で、聖(セイ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 呈』をご覧ください。
『適(テキ)』shì、díは、皇帝が思うままに適(ゆ)く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、辶(行く・進む)+帝・啇(皇帝)=適(皇帝が思うままに適(ゆ)く。転じて適(かな)う)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、漢字の意味は『思うままに適(ゆ)く』、『適(かな)う』、『あてはまる』、『心地よい』です。
啇に締(し)まるの意味があり、まとまって適(ゆ)く。転じて適(かな)うという説(藤堂)もあります。
音読みは呉音が『シャク』、漢音が『テキ・セキ』、訓読みは常用外の『適(ゆ)く』、『適(かな)う』があります。その場の状態・条件などによくあてはまることを適応(テキオウ)、条件・目的・などにあてはまること・程度が程良いことを適当(テキトウ)、具合がよくて快いことを快適(カイテキ)といいます。
非常に良い意味の漢字で『あたる』、『あつ』、『あり』、『かなう』、『かのう』、『まさ』、『ゆき』、『ゆく』、『より』と広く名前に使われます。
『敵(テキ)』díは、皇帝がわたり合う敵相手・敵(かたき)を表す形声文字です。漢字の足し算では、帝・啇(皇帝)+攵(行動)=敵(皇帝がわたり合う相手。敵。かたき)です。漢字の部首は『攵・ほこづくり』、漢字の意味は『対等にわたりあう』、『敵(かたき)』です。
啇に締(し)まるの意味があり、まとまって敵(かたき)にあたるという説(藤堂)もあります。
音読みは呉音が『ジャク』、漢音が『テキ』、訓読みは『敵(かたき)』です。相手を敵とみなして対抗することを敵対(テキタイ)、かねてからの敵を宿敵(シュクテキ)、芝居で悪人の役を敵役(かたきやく)といいます。
適(テキ)、敵(テキ)は啇(テキ)の仲間の漢字で、滴(テキ)、摘(テキ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 啇』をご覧ください。
『統(トウ)』tǒngは、統(す)べる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、糸(すじ・まとまる)+充(いきわたる)=統(端から全体にいきわたる。統(す)べる)です。漢字の部首は『糸・いとへん』、漢字の意味は『つながる』、『ひとつにまとめる』です。
音読みは呉音・漢音ともに『トウ』、訓読みは『統(す)べる』です。一定の順序を追って続いているつながり・血筋を系統(ケイトウ)、一つにまとめることを統一(トウイツ)、正しい系統を正統(セイトウ)といいます。
非常に良い意味の漢字で『おさ』、『おさむ』、『かね』、『すぶる』、『すみ』、『すめる』、『つづき』、『つな』、『つね』、『のり』、『むね』、『もと』と広く名前に使われます。
統(トウ)は充(ジュウ)の『単語家族』で、銃(ジュウ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 充』をご覧ください。
『銅(ドウ)』tóngは、金属の銅Cuを表す形声文字です。漢字の足し算では、金(金属)+同(穴)=銅(穴のあけやすい柔らかい金属。銅)です。漢字の部首は『金・かねへん』です。
音読みは呉音が『ヅウ』、漢音が『トウ』ですが、慣用的に読まれる(慣用音)『ドウ』を使います。訓読みは常用外の『あかがね』があります。銅板(ドウバン)、青銅(セイドウ)、分銅(ブンドウ)の銅です。
大和言葉では、黄色に輝く金を黄金(こがね)、白く輝く銀を銀(しろがね)、赤く輝く銅(あかがね)、黒く輝く徹を鉄(くろがね)と呼んでいました。
金(キン)は今(キン)の『単語家族』で『漢字の覚え方 今』、銀(ギン)は艮(コン)の『単語家族』で『漢字の覚え方 艮』も御覧ください。
銅(ドウ)は同(ドウ)の『単語家族』で、胴(ドウ)、洞(ドウ)などの仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 同』 をご覧ください。
『導(ドウ)』dǎoは、一定の方向にひっぱて行く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、道(頭を向けて歩く方向。道)+寸(手の動作)=導(一定の方向にひっぱて行く。案内する。導く)です。漢字の部首は『寸・すん』、意味は『導(みちび)く』、『案内する』です。
音読みは呉音が『ドウ』、漢音が『トウ』、訓読みは『導(みちび)く』です。伝え導くことを伝導(デンドウ)、誘い導くことを誘導(ユウドウ)といいます。
導(ドウ)は道(ドウ)の『単語家族』です。首(シュ)が使われている漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 首』をご覧ください。
『徳・德(トク)』déは、徳のある行いを漢字にしたものです。漢字の足し算では、彳(行い)+直(真っ直ぐな)+心=徳(真っ直ぐな心の行い。徳)です。部首は『彳・ぎょうにんべん』、意味は『立派な行ない』、『徳』です。字体は常用漢字体の徳を使います。
『徳』は『直』の単語家族ではないように思いますが、旧字体の『德』を見れば、直の名残りの横棒があるのが解ります。目の部分はデザインの都合で罒(よこめ)になっていいます。
音読みは呉音・漢音ともに『トク』です。。道徳(ドウトク)、人徳(ジントク)、美徳(ビトク)、得用・徳用(トクヨウ)の徳です。
「早起きは三文の徳」というのは、朝早起きをすると健康に良く、何か良いこともおこることがある。ということわざです。三文(サンモン)は昔のお金。徳は得とも書きます。
徳(トク)は直(チョク)の『単語家族』です。稙(シュ)、殖(ショク)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 直』をご覧ください。
『独(ドク)』dúは、犬が単独(一匹)で守っている様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、犭(犬)+蜀(青虫がくっつく)=独・獨(犬が一匹場所について守っている。独り。ひとり)です。漢字の部首は『犭・けものへん』、漢字の意味は『ひとり者』、『ただ一つの』、『自分だけで』です。
正字は獨(ドク)で、常用漢字体の独(ドク)を使います。
音読みは呉音が『ドク』、漢音が『トク』、訓読みが『独(ひと)り』です。配偶者のいないこと。ひとりものを独身(ドクシン)、そのものだけが特別にもっていることを独特(ドクトク)、自分ひとりだけのものにすること独占(ドクセン)といいます。
獨(ドク)は蜀(ショク)の『単語家族』で、燭(ショク)、属(ゾク)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 蜀』をご覧ください。
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本、下記の本をお読みください。
篆文(テンブン)を中心にした体系的な記述・韻の説明は、諸橋轍次先生の『新漢和辞典』、藤堂明保先生の『漢字源』・『漢字の過去と未来』を参考にさせて頂いてます。
甲骨文字・金文のもつ呪術的な解釈には白川静先生の『字通』・『字統』・『漢字』・『中国古代の文化』を参考にさせて頂いています。
漢字の伝来や常用漢字の解釈については、大島正二先生の『漢字伝来』、高島俊男先生の『漢字と日本人』を参考にさせて頂いています。
日本語については、金田一京助先生の『日本語の変遷』、大野晋先生の『日本語の文法を考える』、新村出先生の『広辞苑』を参考にさせて頂いております。
最近の研究については、落合淳思先生の『漢字の成り立ち』を参考にさせて頂いております。
医学用語については伊藤正男・井村裕夫・高久史麿先生の『医学大辞典』を参考にさせて頂いております。
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