漢字の覚え方 聿
今日は『聿(イツ)』yùという字を基本とした漢字の仲間について説明します。この漢字の仲間には聿、葎、筆、津という漢字が含まれ、聿(イツ)を使った漢字に書、建、盡、晝などの漢字があります。
漢字は足し算で表わす事が出来るものについて、意味を考えて漢字の足し算でを覚えると便利です。『聿』に何を足したら律、葎、筆、津、書、建、盡、晝、畫になるのかを考えてます。筆は小学3年生、昼(晝)、画(畫)、書は小学2年生、建は小学4年生 、律は小学6年生 、津、尽(盡)は中学校で習う常用漢字です。学年、学校に関係なく一緒に覚えましょう。
『聿(イツ)』yùは、聿(ふで)を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、ヨ(右手)+lニ(ふでをを表すデザイン)=聿(ふで)です。漢字の部首は『聿・ふでづくり』、漢字の意味は『聿(ふで)』、漢字の意味は『聿(ふで)』です。
音読みは呉音が『イチ』、漢音が『イツ』です。現在では、聿(イツ)を単独で使うことはありませんが、筆(ヒツ・竹製の筆。ふで)、律(リツ・リズムをとる)のパーツとして活躍している漢字です。
聿(イツ・ふで)は常用漢字ではありません。
『律(リツ)』lǜは、筆(ふで)で一行、二行とリズム良く書く様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、彳(行く)+聿(ふでを手で持つ)=律(一行、二行とリズム良く書く。箇条書き。転じて法則・おきて)です。漢字の部首は『彳・ぎょうにんべん』、漢字の意味は『音楽の調子』、『箇条書き』、『法則・おきて』です。
音読みは呉音が『リチ』、漢音が『リツ』です。刑罰についての規定を律(リツ)・行政の規則を令(リョウ)といい、あわせて古代国家の基本法を律令(リツリョウ)、社会秩序を維持するための規則を法律(ホウリツ)、仏教の僧の守る戒めと規則を戒律(カイリツ)、決まりに従い義理堅いことを律儀(リチギ)といいます。
律(リツ・おきて)は小学校6年生で習う漢字http://bit.ly/21pbuvo です。
『葎(リツ)』lǜは、葎(むぐら)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、艹(植物)+律(ならぶ)=葎(ならび茂って地面を覆う植物。むぐら)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、漢字の意味は『葎(むぐら)』です。
音読みは呉音が『リチ』、漢音が『リツ』、訓読みが『葎(むぐら)』です。6枚~8枚の葉が輪生し、茎には刺(とけ)があり、小さな白い花が咲きます。人家の近くの空き地などに多く、八重葎(やえむぐら)、車葎(くるまむぐら)など種類があります。空き地にはえるので荒れは果てた様子を思わせます。
八重葎 茂れる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり 恵慶法師
葎(リツ・むぐら)は常用漢字ではありません。
『筆(ヒツ)』bǐ は、竹製の筆(ふで)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、竹(竹製)+聿(ふでを手で持つ)=筆(竹製の筆。ふで)です。漢字の部首は『竹・たけかんむり』、漢字の意味は『筆(ふで)』です。
音読みは呉音が『ヒチ』、漢音が『ヒツ』、訓読みが『筆(ふで)』です。口でいわずに文字を書いて意思を通じあうことを筆談(ヒツダン)、本人に代わって筆をとることを代筆(ダイヒツ)、武家の秘書役・代筆者を右筆・祐筆(ユウヒツ)、黒鉛(コクエン)を芯(しん)とする木製の筆記用を鉛筆(エンピツ)といいます。
筆(ヒツ・ふで)は小学校3年生で習う漢字http://bit.ly/1vlSD7s です。
『津(シン)』jīnは、筆(ふで)でしめらせた潤(うるおい)いを表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵(水)+聿(ふで)+彡(良い感じ)=津(筆でしめらせた潤い。転じて潤いある安らかな水辺。津。つ)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、漢字の意味は『筆でしめらせた潤い』、『安らかな港』、『渡し場』、『潤う』です。
常用漢字体(普段使う漢字の字体)は津(シン)ですが、良い感じと『シン』という音(オン)を表す 彡(サン)が入った字体があります。
音読みは呉音・漢音ともに『シン』、訓読みが『つ』です。人体を流れる液体を津液(シンエキ)、興味があとからあとから湧いてくる様子を興味津津(キョウミシンシン)、全国の港や浜・国中至る所を津津浦浦(つつうらうら)、港を襲う大波を津波(つなみ)といいます。
安らかな漢字で『す』、『ず』、『つ』、『づ』と地名・人名に広く使われます。
津(シン・つ)は中学生 で習う常用漢字です。良い意味を表す彡(サン)について、詳しくは『漢字の覚え方 三』 をご覧ください。
聿(イツ)を使った漢字に書(ショ)があります。
『書(ショ)』shūは、筆を持って文字を書く姿を表わす形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、聿(ふで)+日(者の省略形・人)=書(筆で書きつける人。書く)です。漢字の部首は『日・にち』、漢字の意味は『書(か)く』、『手紙』、『文字』、『文字のスタイル』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ショ』、訓読みは『書(か)く』です。書き記したものを書物(ショモツ、家からの手紙を家書(カショ)、書き記す役割の人を書記(ショキ)、書きものをする神聖な場所を書斎(ショサイ)、きっちり(楷)と書く文字のスタイルを楷書(カイショ)といいます。
書(ショ・かく)は小学校2年生で習う漢字http://bit.ly/1CcJ09S です。
者(シャ)については『漢字の覚え方 者』 をご覧ください。
聿(イツ)を使った漢字に建(ケン)があります。
『建(ケン)』jiànは、筆を真っ直ぐ建てる様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、聿(筆)+廴(まっすぐ行く)=建(筆を真っ直ぐ建てる。建てる。たてる)です。漢字の部首は『廴・えんにょう』、意味は『建てる』です。元は筆を建てるですが、建築物・国家など大きなものを建てるの意味に使います。
音読みは呉音が『コン』、漢音が『ケン』、訓読みが『建(た)てる』です。国を建てることを建国(ケンコク)、建てて築くことを建築(ケンチク)、仏教の塔や堂を建築することを建立(コンリュウ)といいます。
建(ケン・たてる)は小学校4年生で習う漢字 です。
非常に良い意味の漢字で『けん』、『たけ』、『たけし』、『たける』、『たつ』、『たつる』、『たて』と名前に使われます。
建(ケン)の漢字の仲間には建、健、腱、鍵などの漢字があります。詳しくは 『漢字の覚え方 建』 をご覧ください。
聿(イツ)を使った漢字に盡(ジン)があります。
『盡・尽(ジン)』jìnは、筆の墨(すみ)が尽(つ)きてしまった様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、聿(ふで)+灬(筆に含まれる墨)+皿(皿の墨)=盡(筆の墨(すみ)が尽(つ)きてしまう。尽きる。つきる)です。漢字の部首は『尸・しかばね』、漢字の意味は『残り少なくなる』、『最後まで力を尽くす』、『尽(ことごと)く』です。
灬(れっか)は漢字の世界では火を表しますが、ここでは筆に含まれる墨が尽きる様子を表します。
正しい字体は盡ですが、省略した字体の尽が常用漢字として登録されているので、尽を使って下さい。聿(ふで)は書くのが大変なので尺に書き換えられることがあります。
音読みは呉音が『ジン』、漢音が『シン』、訓読みは『尽(つ)きる』、常用外の『尽(ことごと)く』です。力を尽くすことを尽力(ジンリョク)、日の出から日没までを尽日(ジンジツ)、一度の網でそこにいる魚を尽(ことごと)く捕らえることを一網打尽(イチモウダジン)といいます。
尽(ジン・つきる)は中学校で習う常用漢字です。
盡(ジン)の漢字の仲間には盡 燼 儘 贐 などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 尽』 をご覧ください。
聿(イツ)を使った漢字に畫(ガ・カク)があります。
『画・畫(ガ・カク)』huà、huóは、筆で区切りをつけて描いた絵を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、聿(ふで)+田一(田のように区切る)=畫(筆で区切りをつけて描く。描いた絵画。区切り。線を引いて考える)です。漢字の部首は『田・た』、意味は『絵画』、『区切る』、『考える』です。
正しい字体は畫ですが、省略した字体の画が常用漢字として登録されているので、画を使って下さい。聿(ふで)+一で区切るを表わします。晝(ひる)も同じ漢字の成り立ちで、太陽の出ている時間を区切るの意味があります。
音読みは呉音が『ガ・エ』huà 、漢音が『カイ』、訓読みが『画(えが)く』です。職業で絵をかく人を画家(ガカ)、フィルムの映像をスクリーンに映(うつ)し出したものを映画(エイガ)、線や色彩で物の形を平面上に画(えが)いたものを絵画(カイガ)といいます。
考える・区切るの意味では、音読みは呉音が『ワク』、漢音が『カク』huó と読み方が違います。ある事を行うのに方法や順序などを考えることを計画(ケイカク)、ある事を行うのに計画をたてることを企画(キカク)、土地などをいくつかの部分に区切ることを区画(クカク)といいます。
『画(ガ・カク・えがく)』は小学校2年生で習う漢字 です。
聿(イツ)を使った漢字に晝(チュウ)があります。
『昼(チュウ)』zhòuは、昼間の間(あいだ)を表す漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、聿(筆・書く)+日(太陽)・一(区切る)=晝・昼(一日のうち太陽が出ている間を書く。昼)です。漢字の部首は『日・にち』、漢字の意味は『昼(ひる)』です。
正しい字体は晝ですが、省略した字体の昼が常用漢字として登録されているので、昼を使って下さい。聿(ふで)は書くのが大変なので尺に書き換えられることがあります。
聿(書く)+一(区切る)の組み合わせは、区切ることを表します。畫(画)も同じ組み合わせの漢字です。略字は昼と画で似ていませんが、正字は晝と畫で近い漢字だということがわかります。
音読みは呉音・漢音ともに『チュウ』、訓読みは『昼(ひる)』です。昼と夜で昼夜(チュウヤ・ひるよる)、昼の食事が昼食(チュウショク)、明らかな(白)真昼を白昼(ハクチュウ)といいます。
昼(チュウ・ひる)は小学校2年生で習う漢字です。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/post-b8bf.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.ほうりつ( )を守る。
2.大宝 りつりょう( )。
3.やえむぐら( )。
4.えんぴつ( )と消しゴム。
5.ひつだん( )代議士。
6.興味しんしん( )。
7.つなみ( )。
8.しょもつ( )を読む。
9.としょかん( )。
10.けんちく( )物。
11.いちもうだじん( )。
12.かいが( )の観賞。
13.けいかく( )を立てる。
14.ちゅうしょく( )を摂る。
解説です。基本の漢字は聿、律(リツ)は彳(ぎょうにんべん)を足して律、葎(むぐら)は艹(くさかんむり)を足して葎、筆(ふで)は竹(たけかんむり)を足して筆、津(つ)は氵(さんずい)わ足して津、書(か)くは者を足して書、建てるは廴(えんにょう)を足して建です。
解答です。法律、律令、八重葎、鉛筆、筆談、津津、津波、書物、図書館、建築、一網打尽、絵画、計画、昼食。
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