小学校4年生で習う漢字②(訓~信)
小学校4年生で習う漢字を説明します。『小学校4年生で習う漢字①』(愛~極)と 『小学校4年生で習う漢字②』(訓~信)、 『小学校4年生で習う漢字③』(成~念)、 『小学校4年生で習う漢字④』(敗~録)に分割しています。ご了承下さい。
漢字の説明の前に、漢字の成り立ちの話をしましょう。最古の漢字辞書は後漢(西暦100年頃)の許慎(キョシン)の「説文解字(セツモンカイジ)」です。許慎はその中で漢字の成り立ちについて、四種類あるとしました。中学の教科書に掲載されるようになったので、解説致します。
①.物の形を象った(かたどった)『象形文字』(ショウケイモジ)、②.象形文字を基に点を打つことにより示された『指事文字』(シジモジ)、③.文字を組み合わせて造った『会意文字』(カイイモジ)、④.意味と音を示す文字を組み合わせた『形声文字』(ケイセイモジ)の四種です。『会意文字』と『形声文字』は漢字の足し算で表す事が出来ます。四年生の漢字については一覧にしてありますので象形・指事・会意・形声 四年生も御覧ください。
漢字の成り立ちについての解釈は四通りです。どの時代の漢字に重点を置くか、また「説文解字(セツモンカイジ)」にどれほど敬意を払うかにより、解釈が違う場合が稀にあります。ある辞書では『見』を象形文字、別の辞書では目+儿の会意文字としています。漢字の解釈については諸説あることを御承知下さい。
『訓(クン)』xùnは教える事、導く事を示す漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、言(言葉)+川=訓(川の流れの様に順序の良い言葉。教え)です。部首は『言・ごんべん』、意味は『教え』、『解釈』です。
音読みは呉音・漢音ともに『クン』、唐宋音が『キン』です。訓読みは常用外に『訓える』、『訓む』があります。訓練(クンレン)、教訓(キョウクン)、庭訓(テイキン)、訓読み(くんよみ)の訓です。
訓は川の漢字の仲間・『単語家族』です。他に順(ジュン)、巡(ジュン)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 川』をご覧ください。。
『単語家族』(藤堂博士)とは同し音を持ち、共通したイメージを持つ漢字の仲間のことです。『系列単語』(白川博士)という人もいます。
『軍(グン)』jūnは、車で円陣を組んだ様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、車+勹(包む)=軍(戦車で円陣をつくった集団。軍隊。戦)です。部首は『車・くるま』、意味は『兵士』、『軍隊』、『軍(いくさ)』です。
音読みは呉音・漢音とも『クン』、慣用音が『グン』、訓読みは常用外の『軍(いくさ)』があります。軍隊の将校を将軍(ショウグン)、軍隊と国事を軍国(グンコク)、軍隊の参謀を軍師(グンシ)といいます。
大変勇ましい漢字で『いく』、『いくさ』、『いさ』、『すすむ』、『むら』、『むれ』と名前に使われます。
軍の『単語家族』には運(ウン)、揮(キ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 軍』をご覧ください。
『郡(グン)』jùnは、行政区画を表す形声文字です。漢字の足し算では、君(君主・まとめる)+阝(邑・むら)=郡(まとまった村や町。郡。こおり)です。漢字の部首は『邑・阝おおざと』です。漢字の意味は『こおり』、『行政区画』です。現在の我が国では県の下に郡があります。
音読みは呉音が『グン』、漢音が『クン』、訓読みは『郡(こおり)』です。地方のに中央から役人を配して行政する制度を郡県制(グンケンセイ)といいます。役所のあった場所の山・一帯を郡山(こおりやま)と呼び、福島県郡山(ふくしまけんこおりやま)が有名で、大和郡山(やまとこおりやま)、茨木市郡山(いばらきしこおりやま)など全国に同じ地名があります。
郡(グン)は君(クン)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 君』をご覧ください。
『徑・径(ケイ)』jìngは人が歩く姿に巠を足した形声文字です。漢字の足し算では、彳(ぎょうにんべん・人が歩く姿)+巠(たて)=徑(人が直線状に歩く。近道)です。漢字の部首は『彳・ぎょうにんべん』です。
現在は常用漢字体である『径』を使うのが普通です。戦争に負ける前は、省略していない正字体(旧字体)の『徑』が使われていました。戦争に負けてからは省略した『径』が当用漢字・常用漢字として登録されたので、正字体の『徑』は使われなくなりました。
音読みは漢音の『ケイ』が普通です。呉音の『キョウ』と読むことはありません。訓読みは『みち』です。意味は『小径(こみち)』、『まっすぐに』、『ただちに』です。
数学では円の中心を通る(縦の)線を直径(チョッケイ)といいます。まっすぐな行いを径行(ケイコウ)といいます。銃口などの直径を口径(コウケイ)、直径の半分を半径(ハンケイ)、小さい径・路を径路(ケイロ)、本当に小さい径(みち)を小径(こみち)、山の中の径を山径(やまみち)といいます。
呉音の『キョウ』は漢音では『ケイ』になることがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音もご覧ください。
径は巠の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 巠』をご覧ください。
『型(ケイ)』xíngは、粘土製の型枠(かたわく)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、刑(枷・形)+土(土・粘土製)=型(基準となる一定の枠)です。漢字の部首は『土・つち』、意味は『型(かた)』です。一定の枠や基準には『型(ケイ)』を使い、物事の形(かたちには『形(ケイ)』を使います。
音読みは呉音が『ギョウ』、漢音が『ケイ』、訓読みが『型(かた)』と常用外の『型(のり)』があります。基準とするものを模型(モケイ)・型範(ケイハン)、同様の型を類型(ルイケイ)、大きな基準のサイズを大型(おおがた)、中くらいの基準のサイズを中型(チュウがた)、基準になる血液の型を血液型(けつえきがた)といいます。
型枠(かたわく)ですが木製のものが『模(モ)』、竹製のものが『範(ハン)』、粘土・土製のものが『型(ケイ)』xíngです。模(モ)は莫(バク)、幕(バク・マク)、膜(マク)の仲間。範(ハン)は氾(ハン)、犯(ハン)の仲間です。詳しくは、『漢字の覚え方 莫』、『漢字の覚え方 犯・氾』をご覧下さい。
型は开の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 形』をご覧ください。
『景(ケイ・ヱイ)』jǐng、yǐngは、高い建物によった光と影を漢字にしたものです。漢字の足し算では、日(ひ・日の光)+京(高い建物)=景(光と影、高いところからの眺め、景色。様子。日の影)です。漢字部首は『日』です。
意味は大きく分けて二種類あり、読み方が違います。『光と影』、『明暗』、『景色』の意味には景『ケイ』jǐngと読みます。純粋に『光の影』、『影をうつす』の場合、景『ヱイ』yǐngと読みます。
やがて、『光の影』、『影をうつす』専用の漢字『影(ヱイ)』が出来たので、『光の影』、『影をうつす』の意味に『景』を使うことは殆どなくなりました。
音読みは漢音の『ケイ』、漢音の『ヱイ・(エイ)』です。呉音の『キョウ』、『ヨウ』は使いません。現在のわが国ではヱとエを区別していません。景印(エイイン)、景観(ケイカン)、光景(コウケイ)、夜景(ヤケイ)、絶景(ゼッケイ)、景色(ケシキ)、景気(ケイキ)の景です。
景は京の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 京』をご覧ください。
『芸(ゲイ)』yìは、自然の植物に手を加えて栽培する様子を表す漢字です。漢字の足し算では、艹(植物)+埶(手を加える)+云(もやもやした雑草)=藝・芸(雑草を取って手を加えて栽培する。形よく仕上げる。転じて、技術。わざ)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、漢字の意味は、『形よく仕上げる』、『技術』、『才能』です。
書くのが大変なので、別の漢字『芸(ウン・雑草をとる)』yún http://bit.ly/1Tnh3Xf を、『藝(ゲイ)』yì http://bit.ly/1VppouX として使っています。常用漢字体(一般社会で使う漢字)は『芸(ゲイ)』なので、『芸(ゲイ)』を使って下さい。
音読みは呉音が『ゲ』、漢音が『ゲイ』です。宴会などで歌や踊りなどの芸を披露する人を芸者(ゲイシャ)、遊芸を職業とする人を芸人(ゲイニン)、人間による技術の成果・能力を芸術(ゲイジュツ)といいます。
芸(ウン)は云(ウン)の『単語家族』です。耘(ウン)、雲(ウン)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 云』をご覧ください。
藝(ゲイ)は埶(ゲイ)と同じ『単語家族』です。熱(ネツ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 埶』をご覧ください。
『欠(ケツ)』quēは、土器が欠ける様子を表す漢字です。本字は『缺(ケツ)』です。『欠』は『屈(かが)む』様子を表す『欠(ケン)』qiànという別の漢字ですが、『缺(ケツ)』quēの代用字として使われます。
本字の『缺(ケツ)』quēは、土器が欠ける様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、缶(土器)+夬(抉(えぐ)る)=缺(器が欠ける。欠ける、かける)です。漢字の部首は『缶・ほとぎ』、意味は『欠ける』、『足りない』です。
『缺(ケツ)』は『欠(ケン)』の漢字で代用するのが普通です。『欠(ケツ)』quēの漢字の部首は『欠・かける』です。
音読みは呉音が『ケチ』、漢音が『ケツ』、訓読みは『缺(か)ける』、『欠(か)ける』です。足りない点・短所を缺点・欠点(ケッテン)、足りないのを補うことを補缺・補欠(ホケツ)、欠けて不備のある状態を缺陥・欠陥(ケッカン)といいます。『缺』は常用漢字から外れており、常用漢字の『欠』を使って下さい。
欠伸(あくび・ケンシン)というのは、本来の『屈(かが)む』様子を表すので、『欠(ケン)』qiànと読みます。
欠(ケツ)は夬(ケツ)と同じ『単語家族』です。決(ケツ)、訣(ケツ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 夬』をご覧ください。
『結(ケツ)』jiēは、吉(よ)いものを紐(ひも)で結ぶ様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、糸+吉(吉いもの)=結(吉(よ)いものを紐(ひも)で結ぶ。結ぶ。まとめる)です。漢字の部首は『糸・いと』、漢字の意味は『結(むす)ぶ』、『つくる』、『まとめる』、『固める』、『しめくくる』です。
音読みは呉音が『ケチ』、漢音が『ケツ』、訓読みが『結(むす)ぶ』、『結(ゆ)う』です。ひと続きになるよう結ぶことを連結(レンケツ)、団体などをつくることを結成(ケッセイ)、氷が固まって張ることを結氷(ケッピョウ)、物事が終りになることを終結(シュウケツ)といいます。
結は吉の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 吉』をご覧ください。
『建(ケン)』jiànは、筆を真っ直ぐ建てる様子を表す会意文字です。漢字の足し算では聿(筆)+廴(まっすぐ行く)=建(筆を真っ直ぐ建てる。建てる。たてる)です。漢字の部首は『廴・えんにょう』、意味は『建てる』です。元は筆を建てるですが、建築物・国家など大きなものを建てるの意味に使います。
音読みは呉音が『コン』、漢音が『ケン』、訓読みが『建(た)てる』です。国を建てることを建国(ケンコク)、建てて築くことを建築(ケンチク)、仏教の塔や堂を建築することを建立(コンリュウ)といいます。
非常に良い意味の漢字で『けん』、『たけ』、『たけし』、『たける』、『たつ』、『たつる』、『たて』と名前に使われます。
一般的な『たてる』は『立てる』と書きます。詳しくは『漢字の覚え方 立』をご覧ください。
『健(ケン)』jiànは、人が健(すこ)やかな様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、イ(人間)+建(真っ直ぐ立つ)=健(人間が真っ直ぐ立つ。健やか。すこやか)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、意味は『健(すこ)やか』です。
音読みは呉音が『ゴン』、漢音が『ケン』、訓読みは『健(すこ)やか』です。体が元気で健(すこ)やかな様を健康(ケンコウ)、脚が丈夫で長い道のりを歩けることを健脚(ケンキャク)、体が丈夫で元気なことを健勝(ケンショウ)といいます。
非常に良い意味の漢字で『かつ』、『きよ』、『きよし』、『けん』、『たけ』、『たけし』、『たける』、『たつ』、『たて』、『たる』、『つよ』、『つよし』、『とし』、『まさる』、『やす』と広く名前に使われます。
建(ケン)、健(ケン)は同じ建(ケン)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 建』をご覧ください。
『験(ケン・ゲン)』yànは、実際に馬に乗ってその性能を験す(ためす)漢字です。検が書類なら、実際のものを調べて験す(ためす)のが『験』です。実際のものとは、当時の乗り物であった馬です。
漢字の足し算で覚えるならば、馬(うまへん・乗り物)+僉(そろえる)=験(良い乗り物かどうか実際に験す)です。部首は『馬』です。
訓読みは『験す(ためす)』、音読みは慣用音の『ケン』が普通で、漢音・呉音の『ゲン』と読むこともあります。実験(ジッケン)、経験(ケイケン)、試験(シケン)、体験(タイケン)、霊験(レイゲン)の験です。験(ため)すは普通、試(ため)すの字を使うことが多いです。『試験』は同じ意味の漢字を重ねた熟語です。
ちなみに試(ため)すは式(ルール)と言葉を合わせた漢字です。『試』については、『漢字の覚え方 式』を御覧下さい。
験は僉の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 僉』をご覧ください。
『固(コ)』gùは、固(かた)める様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、古(ふるい・かたい)+囗(くにがまえ・囲う)=固(周りを固める)です。漢字の部首は『囗・くにがまえ』です。
音読みは呉音が『ク』、漢音が『コ』です。訓読みは『固(かた)い』、『固(かた)める』、『固(かた)まる』です。 固形(コケイ)、固体(コタイ)、固定(コテイ)、断固(ダンコ)、頑固(ガンコ)、確固(カッコ)の固です。
固は古の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 古』をご覧ください。
『功(ク・コウ)』gōngです。力(努力)を要した良い仕事を表す形声文字です。功を成すことを成功(セイコウ)というのです。漢字の足し算で表してみると、工(上手)+力(努力)=功(努力を要した良い仕事。功)です。漢字の部首は『力』です。
読み方は漢音の『コウ』が普通で、呉音の『ク』と読むこともあります。成功(セイコウ)、論功(ロンコウ)、功名(コウミョウ)、功徳(クドク)の功です。
功は工の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 工』をご覧ください。
『候(コウ)』hòuは、身分の高い人の様子をうかがう様(さま)を表す形声文字です。漢字の足し算では、イ(人間・側にいる)+侯(身分の高い人)=候(身分の高い人の側でようすをうかがう)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、漢字の意味は『様子をうかがう』、『候(そうろう)』、『待つ』、『状況・様子』です。
音読みは呉音が『グ』、漢音が『コウ』、訓読みが『候(そうろう)』です。敵の状況をうかがうことを斥候(セッコウ)、待っている物事の前ぶれを兆候(チョウコウ)、目上の人に御機嫌伺いをすることを伺候(シコウ)、天気の状況を天候(テンコウ)といいます。
候は侯(コウ・身分の高い人)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 侯』をご覧ください。
『好(コウ)』hǎoは、女性が子を大切にする漢字です。漢字の足し算では、女(女性)+子(子供)=好(女性が子を大切にする。好む。好く)です。漢字の部首は『女・おんなへん』、意味は『孝行する』です。意味は『好(この)む』、『好(す)く』、『よろしい』、『好(この)ましい』です。
音読みは呉音・漢音ともに『コウ』です。訓読みは『好(この)む』、『好(す)く』です。相手を好ましく思うこと、親切な気持ちを好意(コウイ)、好きなことと嫌いなことを好悪(コウオ)、良い事を好事(コウジ)といいます。
良い事はとかく邪魔が入りやすいとうい事を「好事魔多し」といいます。
好は子の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 子』をご覧ください。
『航(コウ)』hángは、船がまっすぐ進む様子を漢字にした形声文字(ケイセイモジ)です。漢字の足し算では、舟+亢(まっすぐ)=航(船が真っ直ぐ進む。航海する)です。漢字の部首は『舟』、意味は『航海する』、『勇ましく進む』、『堂々と進む』です。また、空中を海になぞらえ飛行機にも『航空(コウクウ)』という熟語で使います。
音読みは漢音が『コウ』、呉音が『ゴウ』です、航海(コウカイ)、航空機(コウクウキ)、出航(シュッコウ)の航です。勇ましく堂々とした漢字で、『かず』、『ふね』、『つら』、『わたる』と多くの名前に使われます。
航は亢の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 亢』をご覧ください。
『康(コウ)』kāngは、穀物の実が丈夫な様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、庚(かたい・丈夫な)+米(穀物)=康(穀物の実が丈夫な様子。丈夫な。無事)です。漢字の部首は『广・まだれ』、漢字の意味は『丈夫な』、『無事』です。
庚(かたい・丈夫な)を丈夫な杵(きね)と解し、米を撞(つ)いて食糧を得て、『康(やす)らか』という説もあります。
音読みは呉音・漢音ともに『コウ』、訓読みは常用外の『康(やす)らか』があります。健(すこ)やかで康(やす)らかな様子を健康(ケンコウ)、病状が安定して無事な様子を小康(ショウコウ)といいます。
非常に良い意味の漢字で『しず』、『しずか』、『みち』、『やす』、『やすし』、『よし』と名前に使われる漢字です。
康は庚の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 庚』をご覧ください。
『告(コク)』gàoは、牛が危ない状態にあることを警告する会意文字(藤堂)です。漢字の足し算では、牛+口(言葉)=告(牛が危ない状態にあると告げる。つげる)です。漢字の部首は『口・くち』、漢字の意味は『告(つ)げる』、『知らせる』、『訴える』です。
音読みは呉音・漢音ともに『コク』、訓読みは『告(つ)げる』です。告げ知らせることを告知(コクチ)、真心をこめて相手の欠点などを告げることを忠告(チュウコク)、被害者が加害者を訴えることを告訴(コクソ)といいます。
告(コク)の『単語家族』には酷(コク)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 告』をご覧ください。
『差(サ)』chàは、禾(のぎ・カ)に左を合わせたものです。禾の部分は羊を合わせたように見えますが、羊ではなく、禾のデザインされたものです。禾は穀物を表すのですが、ここでは、実の入ったものとそうでないものを選別している映像を表します。
ですから差(質・量の違い)という意味があります。その他には、『不揃(ふぞろ)いの』、『交差(コウサ)した』、『差し出す』などの意味があります。また、引き算である数からある数を引いた残りを示します。差額(サガク)の差ですね。漢字の足し算では、禾(のぎ・穀物)+左=差(左手で穀物を選別する。量・質の違い)です。漢字の部首は『工』です。
音読みは呉音の『シャ』は使わず、漢音の『サ』を使います。違いを差異(サイ)、互い違いになることを交差(コウサ)、ある金額からある金額を引いた残りを差額(サガク)、使いを差し出すことを差遣(サケン)といいます。
京都近郊に嵯峨野(サガの)という名所がありますが、『嵯』は『不揃いの』、『凸凹した』山を表します。漢字の部首は『山』。峨もギザギザした山です。嵯峨に野がついていますから、嵯峨野というのは風光明媚な丘陵地といったところでしょうか。嵯峨天皇の嵯峨はこの字をつかいます。『嵯』は人名用漢字です。
差、嵯は左の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 左』をご覧ください。
『菜(サイ)』càiは、菜(な)っ葉を表す形声文字です。漢字の足し算では、艹(植物)+采(取る)=菜(取って食用にする植物。菜。な)です。。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、漢字の意味は『食用にする植物』、『菜(な)』、『おかず』です。
音読みは呉音・漢音ともに『サイ』、訓読みは『菜(な)』です。畑でつくる食用とする植物を野菜(ヤサイ)、中国原産の茎の白い菜(な)を白菜(ハクサイ)、日常のおかずを惣菜(ソウザイ)といいます。
菜は采の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 采』をご覧ください。
『最(サイ)』zuìは、冃(おおう)+取(耳を取る)=最(取った耳をおおう。良く耳を取る。もっとも)です。敵の耳を最も多く取った人が『最』(白川)です。
冃は漢字のデザインの都合上『日』になっています。漢字の似たデザインは統一されやすいのです。『最』の漢字の部首は『日・ひらび』です。
音読みは呉音・漢音とも『サイ』です。訓読みは『最も(もっとも)』です。最高(サイコウ)、最小(サイショウ)、最大(サイダイ)、最澄(サイチョウ)、最早(もはや)、最寄(もより)の最です。
映像にすると、こんな感じです。グラフを見てください。最高点は80点で、最低点は30点です。平均点は60点です。
最は取の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 取』をご覧ください。
『材(ザイ)』cáiは、材料の木材を表した形声文字です。漢字の足し算では、木(樹木)+才(切る)=材(山林から切り出した木。)です。漢字の部首は『木・きへん』、意味は『切り出した木』、『基礎になる素材』です。
音読みは呉音が『ザイ』、漢音が『サイ』です。木材(モクザイ)、素材(ソザイ)、材料(ザイリョウ)、角材(カクザイ)、適材(テキザイ)の材です。
材は才の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 才』をご覧ください。
『昨(サク)』zuóは、日(ひへん・ひにち)に乍を足したものです。漢字の足し算では、日(ひへん・ひにち)+乍(たちまち過ぎる)=昨(たちまち過ぎた日。きのう)です。部首は日(ひへん)です。意味は『きのう』、『すぐのむかし』です。
音読みは漢音の『サク』が普通で、呉音の『ザク』は使う事がありません。訓読みは熟字訓の『昨日(きのう)』があります。昨日(サクジツ・きのう)、昨年(サクネン)、昨夜(サクヤ)の昨です。
昨(サク)は乍(サク)の『単語家族』で、酢(ス)、搾(サク)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 乍』をご覧ください。
『刷(サツ)』shuāは、こすって文字を写し取る様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、尸(しり・汚れ)+巾(ぬの・ふく)+刂(刀)=刷(刀でこすって清める。こすって清める。転じてこすって文字を写す。刷(す)る)です。漢字の部首は『刂・りっとう』、漢字の意味は『こすって文字を写し取る』、『こすって清める』です。
音読みは呉音が『セチ』、漢音が『サツ』、訓読みが『刷(す)る』です。清めてすべて新しくすることを刷新(サッシン)、原稿に紙・布などを押し付けて(印)こすって文字を写しとることを印刷(インサツ)といいます。
『札(サツ)』zháは、札を止める様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、木(木片)+乙(止める)=札(木片を壁に止める。木の札。ふだ)です。漢字の部首は『木・きへん』、意味は『札(ふだ)』、我が国では『紙幣(シヘイ)』、『切符』の意味があります。
音読みは呉音が『セチ』、漢音が『サツ』、訓読みは『札(ふだ)』です。戸口に掲げて名前を表す木の札を表札(ヒョウサツ)、神社の守り札(ふだ)を御札(おふだ)、偽物の紙幣を偽札(にせサツ)、切符を改める入り口を改札(カイサツ)といいます。
札(サツ)は乙(オツ)の『単語家族』で、軋(アツ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 乙』をご覧ください。
『殺(サツ)』shā、shàiは、穀物を刈り取る様子を表す会意文字です(藤堂)。漢字の足し算では、メ(刈り取る)+朮(穀物)+殳(動作)=殺・殺(穀物を刈り取る。そぎ取る。転じて殺す)です。漢字の部首は『殳・るまた』、漢字の意味は『殺す』、『なくす』、『大いに』と『減らす』です。
『説文解字注』では、术・朮(穀物)に作るとありますが、杀をいのししなどの動物の象形とし、いけにえを殺す意味であるという説(鎌田)、たたりをなす獣を撃つという説(白川)もあります。
音読みは呉音が『セツ』、漢音が『サツ』、訓読みが『殺(ころ)す』です。人を殺すことを殺人(サツジン)、生き物を殺すことを殺生(セッショウ)、消しさることを抹殺(マッサツ)、大変忙しいことを忙殺(ボウサツ)といいます。
『減らす』の意味では呉音『サイ』を使います。二つのものの差を減らすことを相殺(ソウサイ)といいます。
『察(サツ)』cháは、家の隅々まで清める様子を表わす形声文字です。漢字の足し算では、宀(家)+祭(まつり・清い)=察(家の隅々まで清める。転じて隅々まで見る。見抜く)です。漢字の部首は『宀・うかんむり』、漢字の意味は『見抜く』、『曇りがない』、『よく見る』です。
音読みは呉音が『セチ』、漢音が『サツ』です。深くまで見抜くことを洞察(ドウサツ)、注意を与え(警)、鋭く見抜く(察)力をもった行政機関が警察(ケイサツ)、良く観て調べ考えることを観察(カンサツ)、見通しが良い事を察(サッ)しが良いといいます。
漢字の世界では『みる』について、多くの字があり、ニュアンスの違いがあります。
見(み)る 目立つ。目に止まる。現れる。見(ケン)http://bit.ly/ZCbIEZ
視(み)る 真っ直ぐ視る。注意して視る。視(シ)http://bit.ly/1Vps6QQ
看(み)る 手をかざして看る。よくみる。看(カン)http://bit.ly/1Z5TbdM
診(み)る すみずみまでみる。診(シン)http://bit.ly/1ygC0wK
察(み)る すみずみまでみる。察(サツ)http://bit.ly/1zwPD77
覧(み)る 高い所から下を覧る。覧(ラン)http://bit.ly/25ApacQ
臨(のぞ)む 高い所から下を臨む。臨(リン)http://bit.ly/1WvVxot
監(み)る 上から下のものをみて、みさだめる。監(カン)http://bit.ly/25ApacQ
観(み)る 多くのものを比べて観る。批評する。観(カン)http://bit.ly/11kw1b1
眺(なが)める 右に左にと広く見渡す。眺(チョウ)http://bit.ly/1vDDgri
望(のぞ)む 遠くの見えにくいものをもとめみる。望(ボウ)http://bit.ly/1v84fty
察(サツ)は祭(サイ)の『単語家族』で、際(サイ)、擦(サツ)など同じ『単語家族』の漢字が仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 祭』をご覧ください。
『参(サン)』cān、shēnは、かんざしをした女性が仲間に加わる様子の象形文字です。漢字の部首は『ム』、意味は『仲間に入る』、『そこへ行く』、『照らし合わせる』と『そろわない』です。
藤堂は象形文字、白川は会意文字、鎌田は人彡(シン)を音符とする形声文字としています。
音読みは呉音・漢音ともに『サン』、訓読みは『参(まい)る』です。『そろわない』の意味では、呉音・漢音ともに『シン』と読みます。集まりに加わることを参加(サンカ)、他人の意見などを照らし合わせて自分の考えの手掛かりにすることを参考(サンコウ)、墓に参ることを墓参(はかまい)り、そろわないことを参差(シンシ)といいます。
参(サン)の『単語家族』には、惨(サン)、滲(シン)などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 参』をご覧ください。
『産(サン)』chǎnは、人間の子供が生まれる様子を表す漢字です。漢字の足し算では、文(きれいな・知識)+厂(格好の良い)+生(誕生)=産(きれいな格好の良い生命の誕生。人間の子供が生まれる。産まれる。産む)です。漢字の部首は『生・いきる』です。一般的に人間の子供が生まれる場合に使う漢字ですが、物をつくりだしたり、生活に必要な資金にも使います。
音読みは呉音が『セン』、漢音が『サン』、訓読みが『産(う)まれる』、『産(う)む』、『産(うぶ)』です。子供が生まれることを出産(シュッサン)、産まれたときに着る服を産着(うぶぎ)、物質を作り出すことを生産(セイサン)、個人・国などが所有している価値のある資金を財産(ザイサン)といいます。
産は、生(セイ)を使った漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 生』をご覧ください。
『散(サン)』sànは、竹の葉が散らす様子を表した会意文字です(藤堂)。漢字の足し算では、龷月(竹の葉)+攵(動作)=散(竹の葉が散らす。散らす。ちらす)です。漢字の部首は『攵・ぼくづくり』、漢字の意味は『散(ち)らす』、『ばらまく』、『しまりがない』、『気ままな』、『粉末の』です。
竹ではなく筋肉を撃って柔らげる様子を表す会意文字(白川)という説もあります。漢字の意味は同じです。
音読みは呉音・漢音ともに『サン』、訓読みは『散(ち)らす』、『散(ち)る』、『散(ち)らかる』です。ばらばらに分かれることを分散(ブンサン)、ばらまくようにお金を使うことを散財(サンザイ)、気ままに歩くことを散歩(サンポ)、粉末状の胃薬を胃散(イサン)といいます。
散の『単語家族』には、撒(サン・撒く・手でまく)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 散』をご覧ください。
『残(ザン)』cánは、骨が後に残(のこ)る様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、歹(骨)+戔(けずる。小さくする)=残・殘(骨が後に残(のこ)る。残る。そこなう。むごい)です。漢字の部首は『歹・がつへん』、漢字の意味は『残(のこ)る』、『そこなう』、『むごい』です。
音読みは呉音が『ザン』、漢音が『サン』で、訓読みが『残(のこ)る』です。後に残る悔しい思いを残念(ザンネン)、残って仕事をすることを残業(ザンギョウ)、無慈悲なことを平気ですることを残忍(ザンニン)といいます。
残(ザン)は戔(セン)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 戔』をご覧ください。
『士(シ)』shìは、男を表す象形文字です。男性のシンボルを表すとも、王・士族の継承を表す斧(おの)を表すともいわれています。部首は『士・さむらい』、意味は『おとこ』、『役人』、『士族・貴族』、『知識人』、『さむらい』です。
音読みは呉音が『ジ』、漢音が『シ』、訓読みは常用外(普通には使わない)の読み方に『士(さむらい)』があります。武装した立派な男子が武士(ブシ)、上位の軍人を士官(シカン)、博識な人を博士(はかせ)、人々(主に兵士)の意気込みを士気(シキ)といいます。
常用漢字(普段使う漢字)の付表(特別な読み方を示す)では、博士(はかせ)、一言居士(イチゲンコジ)と読むことになっています。
非常に縁起の良い漢字で、『あき』、『あきら』、『お』、『おさむ』、『こと』、『さち』、『ただ』、『つかさ』、『と』、『のり』、『ひと』、『まもる』と多くの名前に使われます。
士は仕など同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 士』をご覧ください。
『氏(シ)』shì、zhīは、薄い刃物を表す象形文字です。古代中国では、肉などの祭りの御馳走を、同じ一族で分ける習慣がありました。このとき使う刃物が氏で、この血縁集団が氏です。部首は『氏・うじ』、意味は『同じ女性先祖の血縁集団』、『貴族の家柄』、『王朝の名前』、『同じ神の共同体』、『人の名前に敬意を表する言葉』です。
音読みは呉音が『ジ』、漢音が『シ』、訓読みは『氏(うじ)』です。祖先を同じくする一族を氏族(シゾク)、同じ共同体や一族の神を氏神(うじがみ)、漢王朝を劉氏(リュウシ)といいます。
氏は紙、舐など同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 氏』をご覧ください。
『史(シ)』shǐは、歴史を記録する職業を表わす会意文字です。漢字の足し算では、中(竹札)+ヨ(手)=史(文字を記入する竹簡に記録する人。歴史官。官僚)です。漢字の部首は『口・くち』、意味は『歴史官』、『歴史書』、『学問のある』、『公文書』、『公文書に携わる役人』です。
読みは呉音・漢音ともに『シ』、訓読みは常用外に『史(ふびと)』、『史(ふみ)』があります。人間社会の記録を歴史(レキシ)、天子の左右にいる秘書官を御史(ギョシ)、歴史官を太史(タイシ)、学問のある女性を女史(ジョシ)、司馬遷の記した歴史書を史記(シキ)といいます。
大変重要な威厳のある漢字で『さかん』、『ちか』、『ちかし』、『ひと』、『ふの』、『ふひと』、『ふびと』、『ふみ』、『み』と名前に使われます。
史は使、事など同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 史』をご覧ください。
『司(シ)』sīは、神の言葉を司(つかさど)る司祭・宮司を表す会意文字です。漢字の足し算では、口(神の言葉)+人(人間)=司(神の言葉を司(つかさど)る司祭。司る)です。神事以外にも使います。漢字の部首は『口・くち』、漢字の意味は『司(つかさど)る』、『役所』です。
音読みは呉音・漢音ともに『シ』、訓読みは『司(つかさど)る』です。会の進行を司る人を司会(シカイ)、国の行政を司る長官を国司(コクシ)、仕事を司る上役を上司(ジョウシ)、神社に仕え神事を司る人を宮司(グウジ)といいます。
大変重要な威厳のある漢字で『おさむ』、『かず』、『つとむ』、『もと』、『もり』と名前に使われます。
司の『単語家族』には、祠(シ・ほこら・神の場所)、伺(シ・うかがう・神の言葉を聞く)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 司』をご覧ください。
『試(シ)』shìは言(ごんべん・言葉、口に出してみる)に式を足したものです。漢字の足し算では、言(ごんべん・口に出してみる)+式(神事の一定のきまり、作法)=試(あるやり方をやってみる。試す)です。意味は『ためす』、『試験してみる』、『用いる』です。漢字の部首『言・ごんべん』は『言葉』の意味ですが、『護る(まもる)(実際に護る)』のように実際に言葉を口に出し『~してみる』の意味があります。
音読みは呉音・漢音ともに『シ』、訓読みは『試みる(こころみる)』、『試す(ためす)』、『もち』です。試験(シケン)、試練(シレン)、試用(シヨウ)、試問(シモン)、試し打ち(ためしうち)の試です。
試は式の『単語家族』です。拭(シキ・拭く・一定の決まりで拭く)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 式』をご覧ください。
『児・兒(ジ)』érは、小さい子供を表す象形文字です。漢字の部首は『儿・ひとあし』、意味は『子供』、『若者』です。小さい子供の髪型を表すという説と子供の頭頂部の柔らかい部分を表すという説があります。
漢字は常用漢字体の児(ジ)を使います。
音読みは呉音が『ニ』、漢音が『ジ』、訓読みは『児(こ)』です。乳飲み子を乳児(ニュウジ)、幼い子供を幼児(ヨウジ)、6歳~12歳の子供・童(わらべ)を児童(ジドウ)、幼児を育てることを育児(イクジ)、勇ましい若者を健児(ケンジ)といいます。
児は兒 の漢字の仲間です。睨(ゲイ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 兒』 をご覧ください。
『治(ジ・チ)』zhìは、水を和らげる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、氵(水)+台(やわらげる)=治(水を和らげる)です。漢字の部首は『氵・さんずい』です。元は河川の水量・氾濫を和らげる・治めるの意味ですが、政治・病気などにも使います。意味は『治(おさ)める』、『治(なお)す』です。
音読みは呉音が『ジ(ヂ)』、漢音が『チ』です。訓読みは『治(おさ)める』、『治(なお)す』です。河川の氾濫を治めることを治水(チスイ)、政事(まつりごと)を治めることを政治(セイジ)、病気を治(なお)すことを治療(チリョウ)といいます。
治はムの漢字の仲間です。始(シ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 ム・台』をご覧ください。
『辭・辞(ジ)』cíという漢字があります。亂(乱)れた糸を辛(シン・刃物)で断ち切る映像を示す漢字です。漢字の足し算では、亂(ラン・乱れる)+辛(シン・刃物)=辭・辞(乱れをさばくこと。さばく言葉)です。言葉に関係するので舌を足すと覚えても良いでしょう。
『辤・辞(ジ)』もあります。こちらは受け取るに辛いを足した漢字で、辞退することです。漢字の足し算では、受(ジュ・受け取る)+辛(シン・辛い)=辤・辞(受け取らないこと。やめる)です。漢字の部首は『辛・シン』です。
従って、『辞』には『ことば』、『やめる』、『ことわる』の意味があります。正式な字体は『辭・辤』ですが、常用漢字体の『辞』が使われます。音読みは呉音の『ジ』が普通で、漢音の『シ』と読むこともあります。訓読みは『辞める(やめる)』です。
職をやめることを辞職(ジショク)、辞めることを公表する書類を辞表(ジヒョウ)、官職の任命の書類(令)を辞令(ジレイ)、言葉の源を辞源(ジゲン)、感謝の言葉を謝辞(シャジ)、言葉を説明する書物を辞書(ジショ)といいます。
辞は辛の『単語家族』です。新(シン)、親(シン)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 辛・新』をご覧ください
『失(シツ)』shīは、手からするりと抜ける様子を表す会意文字です(藤堂)。漢字の部首は『大・だい』、漢字の意味は『失(うしな)う』、『うっかりと』、『あやまち』です。手足を舞わせて自失(ジシツ)の状態を表した象形文字という説(白川)もあります。
音読みは呉音が『シチ』、漢音が『シツ』、訓読みは『失(うしな)う』です。物が消えてなくなることを消失(ショウシツ)、言うべきではにことをうっかり言ってしまうことを失言(シツゲン)、過ちを過失(カシツ)といいます。
失(シツ)の『単語家族』には、鉄(テツ・すっと切れる)、迭(テツ・すっと替わる)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 失』をご覧ください。
『借(シャク)』jièは、借りる様子を表わす形声文字です。漢字の足し算では、イ(にんべん・経済活動・お金を都合する)+昔(重ねる)=借(何度もお金の都合つける。借りる。かりる)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、意味は『借(か)りる』です。
音読みは呉音が『シャク』、漢音が『セキ』、訓読みが『借(か)りる』です。借りたお金を借金(シャッキン)・借財(シャクザイ)、貸すことと借りることを貸借(タイシャク)、賃料(チンリョウ・代価の金銭)を払って借りることを賃借(チンシャク)といいます。
借は昔の『単語家族』です。惜(セキ)、籍(セキ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 昔』をご覧ください。
『種(シュ)』zhòngは、植物の種を植える様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、禾(穀物)+重(上から下)=種(上から下へと種を土に植えこむ。種。たね)です。漢字の部首は『禾・のぎへん』、漢字の意味は『種(たね)』、『血筋』、『種類(シュルイ)』、『植える』です。
音読みは呉音が『シュ』、漢音が『ショウ』、訓読みが『種(たね)』です。植物の種を種子(シュシ)、性質・形態など共通するものを分類したそれぞれを種類(シュルイ)、血統が同じで子孫を残す生物を種(シュ)・species、実際に使用するための火の元になる小さな火を火種(ひだね)といいます。
大変に縁起の良い漢字で『おさ』、『かず』、『くさ』、『しげ』、『たね』、『ふさ』と名前に使われます。
種(シュ)は動(ドウ)、重(ジュウ)と同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 重』をご覧ください。
『周(シュウ)』zhōuは、田の中に米がいっぱい行き渡る様子を表す会意文字です。鎌田は指事文字としています。漢字の足し算では、田(足)+口(四角い領域)=周(田の中に米がいっぱい行き渡る。行き届く。あまねし。まわり)です。部首は『口・くち』、意味は『周(まわ)り』、『あまねし』、『めぐる』、『古代中国の王朝』です。
『設文説字』では「密なり。用と口に従う」とあり、「善く其の口を用いる即ち密」の注もあります。白川は盾の文様とし、鎌田は鐘などの彫刻、藤堂は田の中に米のいっぱいある形と解しています。
音読みは呉音が『シュ・ス』、漢音が『シュウ』、訓読みは『周(まわ)り』です。周りを周囲(シュウイ)、あまねく行き届くことを周到(シュウトウ)、まる一年を周年(シュウネン)、円の周りを円周(エンシュウ)といいます。
非常に縁起の良い漢字で、『あまね』、『あまねし』、『いたる』、『かた』、『かぬ』、『かね』、『ただ』、『ちか』、『ちかし』、『なり』、『のり』、『ひろし』、『まこと』と多くの名前に使われます。
周(シュウ)は週(シュウ)、鯛(チョウ)など同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 周』をご覧ください。
『祝(シュク・シュウ)』zhù、zhouは、示(しめすへん・神事)に兄を足したものです。漢字の足し算では、示(神事)+兄(神に祈りを奉げる人)=祝(神に祈りを奉げている状況。祝う)です。漢字の部首は『示・しめすへん』です。
音読みは呉音・漢音が『シュク』、漢音が『シュウ』で、訓読みは『祝(いわ)う』です。祝賀(シュクガ)、祝宴(シュクエン)、祝言(シュウゲン)、祝儀(シュウギ)、祝辞(シュクジ)、祝詞(のりと)の祝です。祝詞(のりと)は義務教育では習いませんが、常用漢字表に掲載されている特別な読み方です。
祝は呪など同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 祝・呪』をご覧ください。
『順(ジュン)』shùnは、上手く流れる様子を映像にした漢字です。漢字の足し算では、川+頁(頭。人間)=順(水が流れるように、逆らわずに人が進む。順う)です。部首は『頁・おおがい』、意味は『上手くすすむ』、『逆らわない』、『順う』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ジュン』、訓読みは『順う(したがう)』です。順位(ジュンイ)、順序(ジュンジョ)、順当(ジュントウ)、従順(ジュウジュン)、順応(ジュンノウ)の順です。
順(ジュン)は川(セン)の『単語家族』です。他に訓(クン)、巡(ジュン)などの同じ『単語家族』の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 川』をご覧ください。。
『初(ショ)』chūは、布・衣に刃物を初めて当てる様子を表す漢字です。漢字の足し算は、衤(布・衣)+刀(刃物)=初(布・衣に最初に刃物を入れて切る。初め。はじめ)です。漢字の部首は『刀・かたな』、漢字の意味は『初(はじ)め』です。
音読みは呉音が『ソ』、漢音ともに『ショ』、訓読みは『初(はじ)め』、『初(はつ)』、『初(うい)』、『初(そ)め』です。一番初めを最初(サイショ)、夏の初めを初夏(ショカ)、物事や芝居などの初めの日を初日(ショニチ)、元日の太陽を初日(はつひ)、初めの戦闘を初陣(ういジン)、年始に行う書く儀式を書き初(ぞ)めといいます。
大変縁起の良い漢字で、『うい』、『うぶ』、『しょ』、『そめ』、『はじめ』、『はつ』、『もと』と名前に使われます。
初(ショ)は刀(トウ)に近い漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 刀』をご覧ください。。
『唱(ショウ)』chàngは、明らかに曰う、歌う様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、口+昌(明るく)=唱(日のように明るく物事を曰う。となえる。うたう)です。漢字の部首は『口・くちへん』、意味は『唱える(となえる)』、常用外の『唱(うた)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ショウ』です。訓読みが『唱える(となえる)』です。仏様の名を唱えるのことを唱名(ショウミョウ)、独りでハッキリ歌うのが独唱(ドクショウ)、合わせてハッキリ歌うのが合唱(ガッショウ)です。歌とほぼ同じ意味ですので二つ合わせて唱歌(ショウカ)といいます。
唱は昌の『単語家族』です。娼(ショウ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 昌』をご覧ください。
『松(ショウ)』sōngは、葉が細く見通しの良い植物、松を表す漢字です。漢字の足し算で表わすと、木+公(公開する)=松(葉が細く、向こう側が見える植物。松。まつ)です。漢字の部首は『木・きへん』、漢字の意味は『松(まつ)』、常緑樹から『長寿』、『繁茂』を示します。
音読みは呉音が『シュ』、漢音が『ショウ』です。訓読みは常用外の『松(まつ)』です。松と柏で長寿・節操を表す松柏(ショウハク)、松と竹と梅で長寿・節操・清廉潔白を表す松竹梅(ショウチクバイ)、植物はカタカナで書きますが、漢字で書くと黒松(くろまつ・クロマツ)、赤松(あかまつ・アカマツ)の松です。
松(ショウ)は公(コウ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 公』をご覧ください。
『焼・燒(ショウ)』shāoは、焼(や)ける様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、火+堯(高い)=焼・燒(火が高い、焼ける、やける)です。漢字の部首は『火・ひへん』、意味は『焼(や)ける』です。字体は常用漢字体(社会一般的に使用する漢字)の焼を使ってください。
音読みは呉音・漢音とも『ショウ』、訓読みは『焼(や)ける』です。焼き捨てることを焼却(ショウキャク)、仏教で香を焚(た)くことを焼香(ショウコウ)、発熱を伴う化学反応・一般的には炎を上げて燃えること。または、体内でブドウ糖を燃やしエネルギーを得ることを燃焼(ネンショウ)といいます。
焼は、堯の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 堯』をご覧ください。
『象(ゾウ・ショウ)』xiàngという漢字は、動物の象を描いた象形文字(ショウケイモジ)です。意味は象そのものです。象は陸上動物で最も大きなものですから、『大きなかたち』、『大きなしるし』を象で表わすようになりました。
イラストにするとこんな感じです。古い字体の甲骨文字も載せておきます。鼻が長く書かれています。字というより絵に近いです。また記憶のために気象(キショウ)の絵も描きました。
晴れ・雨・雷など自然の大きなかたち・しるしを気象(キショウ)、物事の共通要素をぬき出してまとめたかたちを抽象(チュウショウ)、現実のかたちになった出来事を現象(ゲンショウ)、目標となるかたちを対象(タイショウ)、物のかたちをまねてつくった文字を象形文字(ショウケイモジ)と言います。これら『かたち』に関する『象』の読み方は漢音の『ショウ』です。
象牙(ゾウゲ)など動物の象に関する漢字の『象』は呉音の『ゾウ』と読みます。漢字の部首は『豕・いのこ』、。縁起の良い漢字で『かた』、『きさ』、『たか』、『のり』と名前に使われます。
象の『単語家族』には像があります。詳しくは『漢字の覚え方 象』をご覧ください。。
『照(ショウ)』zhàoは、周りを照らしている映像を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、昭(あきらか)+灬(れっか・火の光)=照(周りをあきらかに照らす)です。部首は『灬・れっか』、意味は『てらす』、『照らし合わせる』です。『昭』が形容詞として使われるので灬を加えて動詞にした漢字です。『昭』よりも使い道が広く、照らすの意味が強いです。
音読みは『ショウ』、訓読みは『照(て)る』、『照(て)らす』です。照会(ショウカイ)、照合(ショウゴウ)、照度(ショウド)、照明(ショウメイ)、参照(サンショウ)、対照(タイショウ)の照です。
照(ショウ)は召(ショウ)、沼(ショウ)と同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 召』をご覧ください。
『賞(ショウ)』shǎngは、功労に報いて財貨を与える様子を示す形声文字です。漢字の足し算では、尚(上の)+貝(お金・財宝)=賞(功労に報いて財貨を与える)です。部首は『貝・かい』です。
音読みは『ショウ』です。賞与(ショウヨ)、恩賞(オンショウ)、受賞(ジュショウ)の賞です。縁起の良い漢字で『たか』、『たかし』、『ほむ』、『よし』、『めづ』と多くの名前に使われています。
賞(ショウ)は党(トウ)、尚(ショウ)と同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 尚』をご覧ください。
『笑(ショウ)』xiàoは、「ホホ」と笑う様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、竹(しなる)+夭(ほそい)=笑(細い竹のように上品に「ホホ」と笑う。わらう)です。漢字の部首は『竹・たけかんむり』、『「ホホ」と笑う』、『笑(わら)う』です。異体字に口を添えた咲(ショウ)xiaoがあります。
音読みは呉音・漢音ともに『ショウ』、訓読みは『笑(わら)う』、『笑(え)む』です。笑った顔を笑顔(えがお)、しかたなく笑うことを苦笑(クショウ)・苦笑(にがわら)い、微(ひそ)かに笑うことを微笑(ビショウ)・微笑(ほほえ)みといいます。
笑(ショウ)は夭(ヨウ)、咲(ショウ)と同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 夭』ご覧ください。
『臣(シン)』chénは、主君に仕える人を表す象形文字です。家臣が目を臥(ふ)した様子を描いています。漢字の部首は『臣・しん』、漢字の意味は『主君に仕える人』です。
音読みは呉音が『ジン』、漢音が『シン』、訓読みは『臣(おみ)』です。重要な職務にある臣下は重臣(ジュウシン)、忠義な臣下を忠臣(チュウシン)、律令制の太政官の長官・現在の省庁の長官を大臣(ダイジン)といいます。
非常に良い意味の漢字で、『お』、『おか』、『おん』、『きむ』、『しげ』、『たか』、『とみ』、『み』、『みつ』、『みる』と名前に広く使われます。『漢字の覚え方 臣』 もご覧ください。
『信(シン)』xìnは、約束した言葉を守る様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、イ(人間)+言(言葉)=信(人が言葉を守る。まこと。信じる)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、意味は『信じる』、『まこと』、『約束する』です。
音読みは呉音・漢音ともに『シン』、訓読みは常用外に『信(まこと)』があります。人として約束を守り義務を果たすことを信義(シンギ)、その人を信じて用いること・確かであると信じることを信用(シンヨウ)、信じて頼ることを信頼(シンライ)といいます。
非常に良い意味の漢字で、『あき』、『あきら』、『こと』、『さだ』、『さね』、『しげ』、『しの』、『ただ』、『ちか』、『とき』、『とし』、『のぶ』、『のぶる』、『まこと』、『まさ』、『みち』と地名、人名に広く使われます。
参考図書http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-c740.htmlです。漢字についてより詳しく知りたい方は、下記の本をお読みください。
篆文(テンブン)を中心にした体系的な記述・韻の説明は、諸橋轍次先生の『新漢和辞典』、藤堂明保先生の『漢字源』・『漢字の過去と未来』を参考にさせて頂いてます。
甲骨文字・金文のもつ呪術的な解釈には白川静先生の『字通』・『字統』・『漢字』・『中国古代の文化』を参考にさせて頂いています。
漢字の伝来や常用漢字の解釈については、大島正二先生の『漢字伝来』、高島俊男先生の『漢字と日本人』を参考にさせて頂いています。
日本語については、金田一京助先生の『日本語の変遷』、大野晋先生の『日本語の文法を考える』、新村出先生の『広辞苑』を参考にさせて頂いております。
最近の研究については、落合淳思先生の『漢字の成り立ち』を参考にさせて頂いております。
医学用語については伊藤正男・井村裕夫・高久史麿先生の『医学大辞典』を参考にさせて頂いております。
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