小学校4年生で習う漢字③(成~念)
小学校4年生で習う漢字を説明します。『小学校4年生で習う漢字①』(愛~極)と 『小学校4年生で習う漢字②』(訓~信)、 『小学校4年生で習う漢字③』(成~念)、 『小学校4年生で習う漢字④』(敗~録)に分割しています。ご了承下さい。
漢字の説明の前に、漢字の成り立ちの話をしましょう。最古の漢字辞書は後漢(西暦100年頃)の許慎(キョシン)の「説文解字(セツモンカイジ)」です。許慎はその中で漢字の成り立ちについて、四種類あるとしました。中学の教科書に掲載されるようになったので、解説致します。
①.物の形を象った(かたどった)『象形文字』(ショウケイモジ)、②.象形文字を基に点を打つことにより示された『指事文字』(シジモジ)、③.文字を組み合わせて造った『会意文字』(カイイモジ)、④.意味と音を示す文字を組み合わせた『形声文字』(ケイセイモジ)の四種です。『会意文字』と『形声文字』は漢字の足し算で表す事が出来ます。四年生の漢字については一覧にしてありますので象形・指事・会意・形声 四年生も御覧ください。
漢字の成り立ちについての解釈は四通りです。どの時代の漢字に重点を置くか、また「説文解字(セツモンカイジ)」にどれほど敬意を払うかにより、解釈が違う場合が稀にあります。ある辞書では『見』を象形文字、別の辞書では目+儿の会意文字としています。漢字の解釈については諸説あることを御承知下さい。
『成(セイ)』chéngは、物事が成就(ジョウジュ)する様子を表わす会意文字です。漢字の足し算では、戈・戊(ほこ)+丁(打つ・丁寧)=成(ほこで打って作り上げる。成す)です。漢字の部首は『戈・ほこ』、意味は『成(な)す』、『成(な)る』です。
『説文解字』には「就(な)すなり。戊に従い、丁の声」とあります。
音読みは呉音が『ジョウ』、漢音が『セイ』、訓読みは『成(な)る』です。物事をまとめ上げることを成就(ジョウジュ)、努力の結果を成果(セイカ)、事業を立派にやり遂げる。またその功績を成功(セイコウ)、物事が発展して大きくなることを成長(セイチョウ)、成功と失敗・勝ち負け・処罰を成敗(セイバイ)といいます。
非常に良い意味の漢字で『あき』、『あきら』、『おさむ』、『さだ』、『さだむ』、『しげ』、『しげる』、『なり』、『なる』、『のり』、『はかる』、『はる』、『はる』、『ひで』、『ひら』、『ふさ』、『まさ』、『みち』、『みのる』、『よし』と広く名前に使われます。
一般に呉音の語尾(韻)が『ョウ』の場合、漢音の語尾(韻)は『エイ』になります。呉音の『ジョウ』は、漢音では『セイ』と発音します。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音をご覧ください。
成の『単語家族』には、誠、城などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 成』をご覧ください。
『省(ショウ・セイ)』xǐng、shěngは、反省する様子を表す形声文字です。足し算で覚えるならば、目+少(ちいさくする)=省(目を細めて反省する。省みる)。漢字の部首は『目・め』です。
現在の字形(楷書体と言います)では少に目で、上述のように解釈されています。古い字形では生(セイ・ショウ)に目を書いていました。生まれるは、若い芽を描いたもので、「生き生きと」「まっすぐ」などの意味があります。省だけが生と同じにセイとショウの読み方があるのはこのためです。
音読みは呉音が『ショウ』、漢音が『セイ』、訓読みが『省(かえり)みる』、『省(はぶ)く』です。自分の過去をまっすぐ正しく見るのが反省(ハンセイ)。生きて親元に帰るのが帰省(キセイ)。まっすぐに良く考えて省(はぶ)くのが省略(ショウリャク)、まっすぐな役所の行政区画が省(ショウ)です。
正しい、良い意味の漢字なので、『あきら』、『かみ』、『しょう』、『せい』、『はぶく』、『み』、『みる』、『よし』と多くの名前に使われます。
省は小の『単語家族』です。少 、消などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 小』をご覧ください。
『清(セイ)』qīngは、清(す)み切った水の様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵(水)+青=清(清(す)み切った水。清い)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、意味は『清い(きよい)』、『清む(すむ)』です。
音読みは呉音が『ショウ』は使わず、漢音の『セイ』が普通です。訓読みが『清い(きよい)』、『清む(すむ)』です。清潔(セイケツ)、清純(セイジュン)、清浄(ショウジョウ)、清水(しみず)の清です。清水(しみず)は常用漢字の付表に示されいる特別な訓読みです。
現在の北京語ではqīng(キン)という発音になりますが、中国の古代の発音は、呉音が『ショウ』、漢音の『セイ』に近いものであったと考えられています。
『静(セイ・ジョウ)』jìngは、争いが終わった様子を漢字にしたものです。漢字の足し算では青(きよい。清む)+争(戦争)=静(争いが終わって静かになる。静か)です。部首は『青』、意味は『静か(しずか)』です。
音読みは呉音が『ジョウ』、漢音が『セイ』です。訓読みは『静か(しずか)』です。静止(セイシ)、安静(アンセイ)、静脈(ジョウミャク)の静です。
清(セイ)、静(セイ)は青(セイ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 青』をご覧ください。
『席(セキ)』xíは、藁(わら)など集めて(庶)つくった座る場所を表す会意文字です。漢字の足し算では、庶(集める)+巾(布・シート)=席(藁(わら)など集めてつくった座る場所。席。せき)です。蓙(ござ)、莚(むしろ)、畳(たたみ)などを指します。漢字の部首は『广・まだれ』、漢字の意味は『席(セキ)』、『会合の場所』です。
音読みは呉音が『ジャク』、漢音が『セキ』、訓読みは常用外の『席(むしろ)』があります。座る場所を座席(ザセキ)、客が座る場所を客席(キャクセキ)、会合に出ることを出席(シュッセキ)、席(むしろ)を巻(ま)くように領土を攻め取ることを席巻(セッケン)といいます。
席(セキ)の『単語家族』には蓆(セキ)があります。詳しくは『漢字の覚え方 席』をご覧ください。
『積(セキ)』jīは、収穫した穀物を積む様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、禾(穀物)+責(重ねる・繰り返す)=積(穀物を重ねる。積む。つむ)です。漢字の部首は『禾・のぎへん』、漢字の意味は『積(つ)む』、『積み重ねる』、『広さ・量』、『掛け合わせる』です。
音読みは呉音が『シャク』、漢音が『セキ』、訓読みが『積(つ)む』、『積(つ)もる』です。積み重なった年を積年(セキネン)、雪が積もることを積雪(セキセツ)、平面の広さを面積(メンセキ)、立体の量を体積(タイセキ)といいます。
大変縁起の良い漢字で、『あつ』、『かず』、『かつ』、『さ』、『さね』、『つね』、『つみ』、『もち』、『もり』と広く名前に使われます。
積(セキ)は責(セキ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 責』をご覧ください。
『折(セツ)』zhé、shéは、木を折った様子を表す会意文字です。転じて折(お)ること、くじけること、死ぬことを表します。漢字の足し算では、扌(手の動作)+斤(おの・切る)=折(手で木を二つに切る。折る。おる)です。漢字の部首は『扌・てへん』、意味は『折(お)る』、『くじける』、『折れる様に亡くなる』、『きっぱり』です。
音読みは呉音が『セチ』、漢音が『セツ』です。訓読みは『折(お)る』、『折(お)れる』です。途中で中断してくじけることを挫折(ザセツ)、若いのに命が亡くなる様子を夭折(ヨウセツ)、相手の主張・攻撃をくじくこと・相手とのかけひきをを折衝(セッショウ)、二つに分けることを折半(セッパン)といいます。
折の『単語家族』には誓(セイ)、逝(セイ)、哲(テツ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 折』をご覧ください。
『節(セツ)』jiéは、竹の節(ふし)を表す漢字です。漢字の足し算では、竹+即(膝を折る人・ひざの関節)=節(竹の様に境目があって区切れた部分。節。区切り)です。部首は『竹・たけかんむり』、意味は『節(ふし)』、『区切り』、『竹製の割符』、『範囲・操』です。
音読みは呉音が『セチ』、漢音が『セツ』です。訓読みは『ふし』です。身体の(関)つなぎの節(ふし)を関節(カンセツ)、竹製の割符(わりふ)を持った正式な使いを使節(シセツ)、節句の正式な宴会を節会(セチエ)、一年の区切りを季節(キセツ)、範囲のある操(みさお)を節操(セッソウ)といいます。
節は卩の『単語家族』です。同じ漢字の仲間には即(ソク)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 卩・節』をご覧ください。
『説(セツ)』shuōは、解り易いように説(と)く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、言(言葉)+兌(脱ぐ)=説(一枚一枚着物を脱ぐように解き明かす。説明する)です。漢字の部首は『言・ごんべん』、漢字の意味は『わかるように述べる』、『考え』、『はなし』です。
音読みは呉音が『セチ』、漢音が『セツ』、慣用音が『ゼイ』、訓読みが『説(と)く』です。良く解るように述べることを説明(セツメイ)、話して相手を納得させることを説得(セットク)、学問上の考えを学説(ガクセツ)、虚構のおはなしを小説(ショウセツ)、歩きまわって説くことを遊説(ユウゼイ)といいます。
説(セツ)は兌(エツ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 兌』をご覧ください。
『浅(セン)』qiǎ<nは、海や川などの水深が浅い様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵(水)+戔(小さくけずる)=浅・淺(水深が浅い。浅い。あさい)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、漢字の意味は『浅(あさ)い』です。
音読みは呉音・漢音ともに『セン』、訓読みが『浅(あさ)い』です。深いことと浅いことを深浅(シンセン)、学問が浅いことを浅学(センガク)、考えの浅いことを浅慮(センリョ)、岸から遠くまで浅いことを遠浅(とおあさ)といいます。
浅(セン)は戔の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 戔』をご覧ください。
『戦(セン)』zhànは、武器を持って戦(たたか)う様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、単(上下にパタパタ動かす)+戈(ほこ・武器)=戦(武器を持って戦う。いくさ)です。漢字の部首は『戈・ほこづくり』、意味は『戦(たたか)う』、『戦(いくさ)』、『戦いにふるえる』です。本字は戰ですが、常用漢字の戦を使います。
音読みは呉音・漢音とも『セン』、訓読みは『戦(たた)う』です。常用外の読み方(日常で使わない読み方)に『戦(そよ)ぐ』があります。戦い争うことを戦争(センソウ)、戦う(闘う)ことを戦闘(セントウ)、戦いにふるえる(慄)ことを戦慄(センリツ)といいます。戦は単の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 単』をご覧ください。
『選(セン)』xuǎnは、並んだもものの中から選ぶ様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、辶(実行する・動作の進行)+巽(台の上に並ぶもの)=選(並んだものの中から選ぶ。選ぶ)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、漢字の意味は『多くの中から選ぶ』、『選ぶ』です。
音読みは呉音・漢音ともに『セン』、訓読みが『選(えら)ぶ』です。多くの中から選ぶ・択ぶことを選択(センタク)、選ばれないことを落選(ラクセン)、代表者を投票・挙手などによって選ぶことを選挙(センキョ)、選び分けることを選別(センベツ)といいます。
辶(しんにょう)は、選(えら)ぶ、造(つく)る、述(の)べる、のように進行を伴う動作を表すことがあります。
選(えら)ぶは択(えら)ぶとも書きます。選択(センタク)とは同じ意味の漢字を並べた熟語です。
縁起の良い漢字で『かず』、『かつ』、『のぶ』、『よし』、『より』と名前に使われます。
選は巽の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 巽』 をご覧ください。
『然(ネン・ゼン)』ránは、燃(も)える「そのまま」の様子を表す漢字です。漢字の足し算では、月(肉)+犬(犬・動物)+灬(火)=然(動物の肉が燃える・焼ける様子。そのまま。そのとおり)です。漢字の部首は『灬・れっか』、漢字の意味は『そのまま』、『そのとおり』、『然(しか)り』、『様子』です。
然は燃(も)えている様子を表していましたが、燃えるにかかわらず、様子を表す漢字になりました。燃えるを表す漢字は火を足した燃(ネン)を使います。漢字の世界ではこのような関係が多くみられます。者(煮ている人・煮ている以外にも使う)と煮(灬を足して煮るを表す)も同じような関係にあります。
音読みは呉音が『ネン』、漢音が『ゼン』、訓読みは常用外に『然(さ)』、『然(しか)り』があります。自(みずか)らそうある様子を自然(シゼン)、生まれつきの自然のままの様子を天然(テンネン)、不意に起こる様子を突然(トツゼン)といいます。
然(ネン・ゼン)の『単語家族』には燃(ネン)、撚(ネン)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 然』 をご覧ください。
『争(ソウ)』zhēngは、手と手で物を取り合う様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、爫(手)+ヨ(手)+亅(物)=爭・争(手と手で物を取り合う。争う。あらそう)です。漢字の部首は『亅・はねぼう』、意味は『争(あらそ)う』です。
音読みは呉音が『ショウ』、漢音が『ソウ』、訓読みは『争(あらそ)う』です。兵器を持って戦い争うことを戦争(センソウ)、同じ目的に向かって競い争うことを競争(キョウソウ)、意見を主張して争うことを争議(ソウギ)といいます。
争(ソウ)は爫(ソウ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 爪』をご覧ください。
『倉(ソウ)』cāngは、倉(くら)を表す漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、食(食物)+口(入れる)=倉(食物を入れてしまう所。倉。くら)です。漢字の部首は『人・ひと』、漢字の意味は『倉(くら)』です。
藤堂は会意文字、白川・鎌田は象形文字としています。
音読みは呉音・漢音ともに『ソウ』、訓読みが『倉(くら)』です。物品や車などをしまっておく建物を倉庫(ソウコ)、穀物を蓄える倉を穀倉(コクソウ)、税や宝物などをおさめる官営の倉を正倉(ショウソウ)、倉庫に預ける保管料を倉敷(くらしき)といいます。
倉の『単語家族』には蒼(ソウ・倉に入れる青い穀物・あおい)、槍(ソウ・出し入れする棒・やり)、創(ソウ・刃物の傷)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 倉』をご覧ください。
『巣(ソウ)』cháoは、木の上にある鳥の巣(す)を表す漢字です。漢字の足し算では、畄(鳥の巣のかたち)+木=巣(木の上にある鳥の巣(す)。巣。す)です。漢字の部首は『ツ・つかんむり』、漢字の意味は『鳥の巣(す)』、『集まる』、『隠れ家』です。
音読みは呉音が『ジョウ』、漢音が『ソウ』、訓読みは『巣(す)』です。動物が巣をつくって生活することを営巣(エイソウ)、癌(ガン)など病原体の集まる場所を病巣(ビョウソウ)、卵細胞の集まる場所を卵巣(ランソウ)、巣や洞窟などの住家(すみか)・隠れ家を巣窟(ソウクツ)といいます。
『側(ソク)』cèは、契約の側にいる人を漢字にしたものです。漢字の足し算では、イ(にんべん・人)+則(契約・規則)=側(契約に立ちあう人。側にいる人)です。部首は『イ・にんべん』です。
イ(にんべん)は側(そば)にいることを表す事があります。休むは木の側で休む人。側は契約の側にいる人、伴う(ともなう)は二人の人の半分で側にいる人を表します。
音読みは漢音の『ソク』を使います。訓読みは『そば』、『かわ・がわ』です。側面(ソクメン)、体側(タイソク)、外側(そとがわ)の側です
側は則の『単語家族』です。則、測などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 則』をご覧ください。
『束(ソク)』shùは、木を紐(ひも)で束(たば)ねる様子を表わす会意文字です。漢字の足し算では、木+口(ひもで縛る)=束(木をひもで縛って、束ねる。たばねる)です。漢字の部首は『木・きへん』、意味は『束(たば)ねる』、『まとめる』、『束(たば)』、『つつしむ』、『縮める』です。
音読みは呉音が『ソク』、漢音が『ショク』、訓読みは『束(たば)ねる』です。髪を束ねることを束髪(ソクハツ)、礼服の帯をしめること・朝廷の礼服を束帯(ソクタイ)、縛って束ねること・自由を制限することを束縛(ソクバク)、物事を収めてまとめることを収束(シュウソク)、相手を縛る取り決めを約束(ヤクソク)、御札を束ねたものを札束(サツたば)といいます。
『身支度』、『つつしみ』、『まとめ』を表す非常に重要な漢字で、『き』、『さと』、『つか』、『つかぬ』、『つかね』と名前に使われます。
束の『単語家族』には、速、勅などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 束』をご覧ください。
『続(ゾク・ショク)』xùは、商売が長く続く事を表す漢字です。漢字の足し算では、糸(長い)+売(商売)=続(商売が長く続く。続く)です。漢字の部首は『糸・いとへん』、漢字の意味は『続(つづ)く』、『続(つづ)ける』です。
常用漢字体の『続』は省略字体で、本字は『續』です。書くのが大変なので、『続』を使います。賣の中の罒が四になる漢字で、『イク』と読み、やはり商売を表します。
漢字の足し算では、糸に(イク)を合わせます。基の漢字は
(イク)なので、似た漢字の賣(バイ・マイ)や賣の省略字体の売(バイ・マイ)の漢字が使われますが『バイ』とは読まず、『ゾク・ショク』と読みます。
字体については、常用漢字体である『続』の字体を使います。『續』はあまり使われる事はありません。
音読みは呉音の『ゾク』が普通で、まれに漢音の『ショク』と読みます。訓読みは『続(つづ)く』、『続(つづ)ける』です。保ち続けることを持続(ジゾク)、引き続き存在することを存続(ソンゾク)、前から行っていることをそのまま続けることを継続(ケイゾク)、切れ目なく続くことを連続(レンゾク)、一度では終わりにならず、何回か回を重ねて終わるドラマなどを続き物(つづきもの)といいます。
續(ゾク)の仲間の漢字には、読 讀(ドク)、瀆(トク)、贖(ショク)などがあります。
『卒(ソツ)』zúは、十人の兵士を率(ひき)いる小隊を表す会意文字です。漢字の足し算は、衣(まとう)+十(十人の兵士)=卒(十人の兵士をまとめる。小さくまとめる。転じて終わる)です。漢字の部首は『十・じゅう』、漢字の意味は『小さい』、『小さくまとめる』、『終わる』、『突然』です。異体字に『卆』があります。
音読みは呉音が『ソチ』、漢音が『ソツ』です。決められた課程を終わることを卒業(ソツギョウ)、小さい単位の兵隊・下級の兵隊を兵卒(ヘイソツ)、突然倒れることを卒中(ソッチュウ)といいます。
呉音の『チ』韻は漢音では『ツ』韻に変化することがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音 もご覧ください。
卒・卆の『単語家族』には、砕(サイ)、粋(スイ)などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 卒』をご覧ください。
『孫(ソン)』sūnは、孫(まご)を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、子+系(つながる)=孫(つながる子供。孫、まご)です。漢字の部首は『子・こ』、意味は『孫(まご)』です。
音読みは呉音・漢音とも『ソン』、訓読みは『孫(まご)』です。古い時代では系(ケイ)xiでなく糸(シ)siを書いていたので『ソン』sunの読み方になっています。一族の血を継いで生まれてくるものを子孫(シソン)、ひ孫を曾孫(ソウソン)といいます。
非常に縁起の良い漢字で『さね』、『ただ』、『ひこ』、『ひろ』、『まご』と人名に使われます。
孫(ソン)は系(ケイ)の『単語家族』です。系(ケイ)、係(ケイ)、遜(ソン)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方
系』をご覧ください。
『帯(タイ)』dàiは、帯(おび)を表す会意文字です(藤堂)。漢字の足し算では、丗(長い紐で通す)+冖+巾(ぬの)=帯(長い布で腰に巻く。腰に付ける。帯。おび)です。漢字の部首は『巾・はば』、意味は『帯(おび)』、『身につける』、『伴う』、『帯状の範囲』です。
本字は帶、常用漢字体の帯を使って下さい。
帯そのものを象(かたど)った象形文字とする説(白川)もあります。漢字の意味は同じです。
音読みは呉音・漢音ともに『タイ』、訓読みは『帯(おび)』、『帯(お)びる』です。眼を覆う帯状の布を眼帯(ガンタイ)、身につけて携えるものを携帯(ケイタイ)、一緒に伴って歩くことを帯同(タイドウ)、ある時刻と時刻の一定の間を時間帯(ジカンタイ)、太刀を帯びる人を帯刀(たちはき・たてわき)といいます。
帯(タイ)の『単語家族』には、滞(タイ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 帯』をご覧ください。
『隊(タイ)』duìは、重量のある一団のまとまりを表す会意文字です。漢字の足し算では、阝(土盛り・大きい)+㒸(大きな豕・重い・大きい)=隊(重量のある一団のまとまり。大きなまとまり)です。漢字の部首は『阝・こざとへん』、漢字の意味は『一団のまとまり』、『兵隊の集団』です。
音読みは呉音が『ダイ』、漢音が『タイ』です。隊に所属する人を隊員(タイイン)、隊を指揮する人を隊長(タイチョウ)、一定の秩序をもって編成された軍人の集団を軍隊(グンタイ)といいます。
隊(タイ)については『漢字の覚え方 㒸』をご覧ください。
『達(タツ)』dá、táは、すらすら達(とお)る様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、辶(進む)+羊+大(大いに)=達(羊が大いに進む。すらすらとおる。達する)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、漢字の意味は『とおる』、『達(タッ)する』、『すらすら理解する』、『優れる』、『届く』、『出世する』、『うまい』、『仲間』です。
漢字の上の部分土は大の変形です。
羊(ヨウ・ひつじ)については『漢字の覚え方 羊』をご覧ください。
漢字の世界では、物事の進む様子を動物と辶(しんにょう)で表す造字法があります。進むはは隹(トリ)、遅いは犀(サイ)、達するは羊(ヒツジ)です。
音読みは呉音が『ダチ』、漢音が『タツ』です。高い地位に出世することを栄達(エイタツ)、物事をすらすらこなす優れた人を達人(タツジン)、配り届けることを配達(ハイタツ)、対等に交わる親しい仲間を友達(ともダチ)といいます。
優れる様子を表す非常に良い意味の漢字で、『いたる』、『かつ』、『さと』、『さとし』、『さとる』、『しげ』、『すすむ』、『ただ』、『たつ』、『たて』、『と』、『とおる』、『のぶ』、『ひろ』、『みち』、『よし』と広く名前に使われます。
達のは大の『単語家族』で、燵、太、泰などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 大』をご覧ください。
『単・單(タン)』dānは、藤製の団扇(うちわ)を動かす様子を表す象形文字です。漢字の部首は『ツ・つかんむり』です。意味は『上下に動かす』、『たたく』、『一枚の』、『一つの』です。單が本字ですが、常用漢字体の単を使って下さい。
音読みは呉音・漢音が『タン』、訓読みが『単(ひとえ)』です。一枚の着物を単衣(タンイ・ひとえ)、一人で馬に乗ることを単騎(タンキ)、全集などと違って一冊の出版物を単行本(タンコウボン)、ひと振りの刀で敵に切り込むこと・すぐ要点に触れることを単刀直入(タントウチョクニュウ)といいます。
単の『単語家族』には、戦、弾、蝉などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 単』をご覧ください。
『置(チ)』zhìは、物を真っ直ぐ置く様子を表した漢字です。漢字の足し算では、罒・网(網・固定する)+直(真っ直ぐな)=置(物を真っ直ぐ固定する。置く)です。部首は『罒・网・あみがしら』、意味は『置く』、『設ける』です。部首の『罒・网』には網で固定するという意味があります。
音読みは呉音・漢音ともに『チ』です。訓読みは『置く(おく)』です。設置(セッチ)、装置(ソウチ)、放置(ホウチ)、処置(ショチ)の置です。
置は直の『単語家族』で、植、殖などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 直』をご覧ください。
『仲(チュウ)』zhòngは、人と人との間に立つ映像を漢字にしたものです。漢字の足し算では、亻(にんべん・人)+中=仲(人と人との間に立つ。仲をとりもつ。なか)です。部首は『亻・にんべん』、意味は『仲(なか)』です。
音読みは漢音の『チュウ』が普通で、漢音の『ジュウ』があります。仲裁(チュウサイ)、仲春(チュウシュン)、仲秋(チュウシュウ)、仲間(なかま)、仲人(なこうど)の仲です。
兄弟の序列の真ん中もさします。上から年齢順に伯・仲・叔・季です。伯仲(ハクチュウ)という言葉はここから来ています。季節の春夏秋冬は『中』の代わりに『仲』を使っても良く、仲春、仲秋と『仲』を使う人が少なくないです。
仲のは中の『単語家族』で、沖、衷などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 中』をご覧ください。
『貯(チョ)』zhùは、財貨をため込む様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、貝(財貨)+宁(わく)=貯(あるところに財貨をため込む。貯(たくわ)える)です。漢字の部首は『貝・かい』、漢字の意味は『貯(たくわ)える』、『貯(た)める』です。
音読みは呉音・漢音ともに『チョ』、訓読みは常用外に『貯(たくわ)える』、『貯(た)める』があります。お金を貯(た)めることを貯金(チョキン)、財貨を貯えることを貯蓄(チョチク)、物を貯えてしまって(蔵)おくことを貯蔵(チョゾウ)といいます。
貯(たくわ)えるは蓄(たくわ)えるを使うのが普通で、蓄えるは「力を蓄える」など力にも使えます。詳しくは『漢字の覚え方 畜』をご覧ください。
貯のは宁の『単語家族』で、佇などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 宁』をご覧ください。
『兆(チョウ)』zhàoという漢字は、占ないに使う亀の甲羅に出来る『ひび』を表した象形文字です。漢字の部首うは『儿・ひとあし』です。意味は『分かれる』・『離れる』です。『兆』そのものは占いの意味の『兆(きざ)し』、『まえぶれ』の意味に使われています。
音読みは呉音は『ジョウ』、漢音が『チョウ』、訓読みは『兆(きざ)し』です。春の兆し(きざし)、兆候(チョウコウ)、前兆(ゼンチョウ)、吉兆(キッチョウ)の兆です。また数の単位として億の一万倍を兆といいます。縁起の良い漢字で『とき』、『よし』と読んで名前に使われます。
兆の『単語家族』には、挑、跳、桃などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 兆』をご覧ください。
『腸(チョウ)』chángは体(月を使います)のなかにある長い部分を表す漢字です。漢字の足し算では、肉・月(からだ)+昜(ながい)=腸(体の中の長い部分)です。漢字の部首は『月・にくづき・身体いの一部』です。
音読みは漢音の『チョウ』が普通の読み方で、呉音の『ジョウ』は使いません。常用外の訓読みに『はらわた』があります。大腸(ダイチョウ)、胃腸(イチョウ)、小腸(ショウチョウ)、盲腸(モウチョウ)の腸です。
腸(チョウ)は昜(ヨウ)と同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 昜』をご覧ください。
『低(テイ)』dīは、背の低(ひく)い人を表す形声文字です。漢字の足し算では、イ(人間)+氐(ナイフの下)=低(背の低い人。低い。ひくい)です。部首は『イ・にんべん』、意味は『背の低い人』、『低(ひく)い』です。
音読みは呉音が『タイ』、漢音が『テイ』、訓読みは『低(ひく)い』です。高いことと低いことを高低(コウテイ)、低い気圧を低気圧(テイキアツ)、低い音を低音(テイオン)、価格の低いことを低廉(テイレン)といいます。
低いの反対は高いです。高は高の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 高』をご覧ください。
『底(テイ)』dǐは、建物の底(そこ)を表す形声文字です。漢字の足し算では、广(建物)+氐(ナイフの下)=底(建物の底(そこ)。底、そこ)です。部首は『广・まだれ』、意味は『物の下』、『底(そこ)』、『奥』、『際限』です。
音読みは呉音が『タイ』、漢音が『テイ』、訓読みは『底(そこ)』です。海の底を海底(カイテイ)、奥にある真の力を底力(そこぢから)、際限がわからないことを底(そこ)知れないといいます。
低、底は氐(テイ)と同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 氐』をご覧ください。
『停(テイ)』tíngは、停止する様子を漢字にしたものです。漢字の足し算では、亻(人の動作)+亭(一点)=停(一点に止まる。停止する)です。部首は『亻・にんべん』、意味は『止まる』、『とどまる』です。
音読みは呉音が『ジョウ』、漢音が『テイ』、慣用音が『チョウ』です。訓読みは常用外の『停まる(とどまる)』があります。停止(テイシ)、停戦(テイセン)、停留所(テイリュウジョ)の停です。
停は丁(テイ)と同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 丁』をご覧ください。
『的(テキ)』dí、dìは、白い的(まと)を表す形声文字です。漢字の足し算では、白+勺(一部をとる)=的(白い部分の真ん中。的。まと)です。漢字の部首は『白・しろ』、漢字の意味は『的(まと)』、『目標』、『的にあたる』、『~のような・様子』です。
音読みは呉音が『チャク』、漢音は『テキ』、訓読みは『的(まと)』です。的(まと)に当たることを的中(テキチュウ)、実現しようとする目標を目的(モクテキ)、的に当たるように確かなことを的確(テキカク)、知性を感じさせる様子を知的(チテキ)といいます。
的は勺(シャク)と同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 勺』をご覧ください。
『典(テン)』diǎnは、台の上に置かれた基本となる書物を表す会意文字です。漢字の足し算では、冊(竹簡に書かれた文書)+一+八(台)=典(台の上に置かれた基本となる書物。基本)です。漢字の部首は『八・はち』、漢字の意味は『基本となる書物』、『基本』、『基本にそって行う儀式』、『特別の扱い』です。
音読みは呉音・漢音ともに『テン』、訓読みは常用外の『典(のり)』、『典(さかん)』です。基本になる経文書いた文書を経典(キョウテン・ケイテン)、古い時代に書かれた基本になる書物を古典(コテン)、規範になる法律を典範(テンパン)、形式に従って行う行事・儀式を式典(シキテン)、特別の待遇・扱いを特典(トクテン)といいます。
縁起の良い重要な漢字で『おき』、『さかん』、『すけ』、『つかさ』、『つね』、『のり』、『ふみ』、『みち』、『もり』、『よし』、『より』と名前に使われます。
典(テン)は冊(サツ・サク)を使った漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 冊』をご覧ください。
『伝(デン・テン)』chuánは、人から人へ伝える様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、イ(人間)+云(專の省略デザイン・糸を紡ぐ)=傳・伝(人から人へと糸のように伝える。伝える)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、漢字の意味は『伝える』、『言い伝え』、『人の一代記』、『人や物の中継地』です。
正しい字体は傳、一般に使う常用漢字体は伝です。
音読みは呉音が『デン』、漢音が『テン』、訓読みは『伝(つた)える』です。人に頼んで用件を伝えることを伝言(デンゴン)、語り伝えられてきた話・言い伝えを伝説(デンセツ)、個人の生涯の記録を伝記(デンキ)、宿場と宿場をつなぐ伝送用の馬を伝馬(テンマ)といいます。
傳・伝は專(セン)と同じ『漢字の覚え方 専』をご覧ください。
『徒(ト)』túは、一歩、一歩を土を踏みしめて行く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、彳(行く)+土+足=徒(一歩、一歩を土を踏みしめて行く。かちありき)です。漢字の部首は『彳・ぎょうにんべん』、漢字の意味は『徒歩(かちありき)』、一歩、一歩から『歩兵』、『弟子』、『むなしい』、『徒(いたずら)に』です。
音読みは呉音が『ド』、漢音が『ト』です。訓読みは常用外に『徒(かち)』があります。乗り物に乗らないで一歩一歩行くことを徒歩(トホ・かち・かちありき)、むなしい苦労を徒労(トロウ)、弟子のことを徒弟(トテイ)といいます。東京の下町には御徒町(おかちま)という町があります。
走(はし)るは大+足で漢字の成り立ちが違い、音読みも『ソウ』で違います。徒(ト)は土(ト)の『単語家族』です。吐(ト)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 土』 をご覧ください。
『努(ド)』nǔは、力を抜かず頑張る様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、奴(召使い)+力=努(召使いが手を抜かず頑張る。努(つと)める)です。漢字の部首は『力・ちから』、漢字の意味は『努(つと)める』です。
音読みは呉音が『ヌ』、漢音が『ド』、訓読みが『努(つと)める』です。力を尽くして一所懸命行うことを努力(ドリョク)といいます。
努(ド)は奴(ド)の『単語家族』です。怒(ド)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 奴』をご覧ください
『灯(トウ)』dēngは、一点の火を漢字にしたものです。漢字の足し算では、火(ひへん・火)+丁(一点)=灯(一点の火。あかり。ともしび)です。部首は『火・ひへん』、意味は『ともしび』です。元・明以来『燈』の代用字として使われてきました。
音読みは呉音が『チョウ』、漢音が『テイ』、唐宋音が『チン』です。他に『燈』の代用字として『トウ』と読みます。訓読みは『ひ』、『灯り(あかり)』、『ともしび』です。稀に『チン』と読みます。灯火・燈火(トウカ)、灯台・燈台(トウダイ)、点灯・点燈(テントウ)、提灯(チョウチン)の灯・燈です。『灯』は小学校4年生で習う漢字、『燈』は人名用漢字です。
『灯』の本字は『燈』です。登(持ち上げられた)火を指します。漢字の足し算では、火(ひへん・火)+登(持ち上げられた)=燈(高く持ち上げられた火。ともしび)です。音読みは呉音・漢音ともに『トウ』です。
灯(チョウ・トウ)は丁』チョウ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 丁』をご覧ください。
燈(トウ)は登(トウ)、豆(トウ)、頭(トウ)などと同じ仲間の漢字『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 豆』をご覧ください。
『堂(ドウ)』tángは、地面より高い場所。高尚な建物を表す形声文字です。漢字の足し算では、尚(高い)+土=堂(地面より高い、高尚な建物)です。漢字の部首は『土』、意味は『堂』です。
音読みは呉音が『ドウ』、漢音が『トウ』です。縁起の良い漢字で人名の『たか』という訓読みがあります。堂上(ドウジョウ)、食堂(ショクドウ)、威風堂々(イフウドウドウ)の堂です。
堂は党(トウ)、尚(ショウ)と同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 尚』をご覧ください。
『働(ドウ)』は、人が働(はたら)く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、イ(人間)+動(動く)=働(人が動いて働く。はたらく)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、漢字の意味は『働(はたら)く』です。
音読みは漢字のルールに従って『ドウ』、国字ですので呉音・漢音の区別はありません。訓読みが『働(はたら)く』です。体や智能を使って働くことを労働(ロウドウ)といいます。
働は動(ドウ)、重(ジュウ)と同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 重』をご覧ください。
『特(トク)』tèは、群れの中でじっとしているリーダーの牛を表す会意文字です。漢字の足し算では、牛(うし)+寺(じっと待つ)=特(群れの中でじっとしているリーダーの牛。おうし。リーダー。特別)です。漢字の部首は『牛・うしへん』、意味は『おうし』、『特別な』、『とりわけ』です。
音読みは呉音『ドク』、漢音が『トク』です。とりわけすぐれた長所を特長(トクチョウ)、別(わ)けても目立つさまを特別(トクベツ)、特別の権利を特権(トッケン)といいます。
特は寺の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 寺』をご覧ください。
『得(トク)』děi、déは、歩いて手に入れる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、彳(行く)+旦(貝のデザイン・財貨)+寸(手)=得(歩いて手に入れる。得る。もうける。得をする)です。漢字の部首は『彳・ぎょうにんべん』、漢字の意味は『得(え)る』、『もうける』、『機会に恵まれる』、『うまくあたる』です。
お金を手に入れる漢字が㝵(トク)で、『機会に恵まれる』、『うまくあたる』などの意味が加わった漢字が得(トク)です。
音読みは呉音・漢音ともに『トク』、訓読みは『得(え)る』、『得(う)る』です。自分の思い通りになること・そのことが巧いことを得意(トクイ)、手に入れることを獲得(カクトク)、成功と失敗・利益と損失を得失(トクシツ)、物事を理解し自分のものにすることを会得(エトク)といいます。
得は㝵の『単語家族』です。棏(トク)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 㝵』をご覧ください。
また、寸を使った漢字については『漢字の覚え方 寸』をご覧ください。
『毒(ドク)』dúは、害を与える物質を表わす会意文字です。漢字の足し算では、生(エキス)+母(子を産む)=毒(摂取しすぎると毒になるエキス。強壮剤。毒。どく)です。強壮剤の他に毒々しい女性という説もあります。漢字の部首は『母・なかれ』、漢字の意味は『毒(ドク)』、『ひどい』、『瑇瑁・毒冒(タイマイ・海亀の一種)』です。
毒も母や毎の『単語家族』といわれていますが、意味がかなり変化してきており、発音も区別するために違っています。
音読みは呉音が『ドク』、漢音が『トク』、常用外の訓読みに『ぶす』があります。海亀の『瑇瑁・毒冒(タイマイ)』のときだけ『タイ』と読みます。毒に中(あた)ることを中毒(チュウドク)、ひどい皮肉を毒舌(ドクゼツ)、毒を分解することを解毒(ゲドク)、魔女のような嘴(くちばし)をもつ海亀を毒冒(タイマイ)といいます。
毒草(ドクソウ)のトリカブトの根を附子(フシ・ブス)と呼びます。猛毒で矢の先に塗って使います。毒に『ぶす』の訓読みがあるのは、このためと言われています。危険・狩猟を表す重要な漢字で、人名・地名に使われます。
毒は母(ボ)や海(カイ)と同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 母』をご覧ください。
『熱(ネツ)』rèは、熱(あつ)くなる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、埶(植物の栽培に夢中になる)+灬(火)=熱(火が集中して熱くなる。熱い。あつい)です。漢字の部首は『灬・れっか』、意味は『熱(あつ)い』、『夢中になる』です。
音読みは呉音が『ネツ・ネチ』、漢音が『ゼツ』、訓読みは『熱(あつ)い』です。病気・炎症などで身体が熱を持つことを発熱(ハツネツ)、物事に夢中になることを熱中(ネッチュウ)、感情が激しい事を熱烈(ネツレツ)、冷めないで残っている熱を余熱(ヨネツ)といいます。
熱(ネツ)は埶(ゲイ)の仲間の漢字ですが燃(ネン・もえる)の影響を受けて、熱(ネツ)という読み方をします。
熱(ネツ)は埶(ゲイ)と同じ『単語家族』です。藝(ゲイ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 埶』をご覧ください。
『念(ネン)』niànは、心の中で思う様子を表す漢字です。漢字の足し算では、今(含む)+心(心の動き)=念(心の中に強く思う。念じる)です。部首は『心』、意味は『念じる』です。
音読みは呉音の『ネン』が普通で、漢音の『デン』は使いません。信念(シンネン)、無念(ムネン)、念願(ネンガン)、念仏(ネンブツ)、念力(ネンリキ)の念です。
念の『単語家族』には、捻、稔、鯰などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 念』をご覧ください。
参考図書http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-c740.htmlです。漢字についてより詳しく知りたい方は、下記の本をお読みください。
篆文(テンブン)を中心にした体系的な記述・韻の説明は、諸橋轍次先生の『新漢和辞典』、藤堂明保先生の『漢字源』・『漢字の過去と未来』を参考にさせて頂いてます。
甲骨文字・金文のもつ呪術的な解釈には白川静先生の『字通』・『字統』・『漢字』・『中国古代の文化』を参考にさせて頂いています。
漢字の伝来や常用漢字の解釈については、大島正二先生の『漢字伝来』、高島俊男先生の『漢字と日本人』を参考にさせて頂いています。
日本語については、金田一京助先生の『日本語の変遷』、大野晋先生の『日本語の文法を考える』、新村出先生の『広辞苑』を参考にさせて頂いております。
最近の研究については、落合淳思先生の『漢字の成り立ち』を参考にさせて頂いております。
医学用語については伊藤正男・井村裕夫・高久史麿先生の『医学大辞典』を参考にさせて頂いております。
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