小学校4年生で習う漢字④(敗~録)
小学校4年生で習う漢字を説明します。『小学校4年生で習う漢字①』(愛~極)と 『小学校4年生で習う漢字②』(訓~信)、 『小学校4年生で習う漢字③』(成~念)、 『小学校4年生で習う漢字④』(敗~録)に分割しています。ご了承下さい。
漢字の説明の前に、漢字の成り立ちの話をしましょう。最古の漢字辞書は後漢(西暦100年頃)の許慎(キョシン)の「説文解字(セツモンカイジ)」です。許慎はその中で漢字の成り立ちについて、四種類あるとしました。中学の教科書に掲載されるようになったので、解説致します。
①.物の形を象った(かたどった)『象形文字』(ショウケイモジ)、②.象形文字を基に点を打つことにより示された『指事文字』(シジモジ)、③.文字を組み合わせて造った『会意文字』(カイイモジ)、④.意味と音を示す文字を組み合わせた『形声文字』(ケイセイモジ)の四種です。『会意文字』と『形声文字』は漢字の足し算で表す事が出来ます。四年生の漢字については一覧にしてありますので象形・指事・会意・形声 四年生も御覧ください。
漢字の成り立ちについての解釈は四通りです。どの時代の漢字に重点を置くか、また「説文解字(セツモンカイジ)」にどれほど敬意を払うかにより、解釈が違う場合が稀にあります。ある辞書では『見』を象形文字、別の辞書では目+儿の会意文字としています。漢字の解釈については諸説あることを御承知下さい。
『敗(ハイ)』bàiは、二枚貝が二つに割れる姿を示しています。貝に動作を示す攵(ぼくづくり)を合わせます。漢字の足し算では、貝+攵(ぼくづくり)=敗(貝が離れて敗れる様子。破れる)です。漢字の部首は『攵・ぼくづくり』です。
動作を表す攵(ぼくづくり)は、篆文で攴(ボク)pū、楷書体では攵(ボク)pūのデザインをとります。
音読みでは『ハイ』、訓読みは『敗れる(やぶれる)』です。敗戦(ハイセン)、敗北(ハイボク)、腐敗(フハイ)、完敗(カンパイ)の敗です。
ここで、日本語の発音の問題をお話します。『ん』の後の『はひふへほ』は、『ぱぴぷぺぽ』に変わります。『ぱぴぷぺぽ』の方が言いやすいのです。完敗(カンパイ)、散歩(サンポ)、紺碧(コンペキ)、振幅(シンプク)、簡保(カンポ)等。これは日本人の唇の運動の問題で、漢字の読みの問題ではありません。
敗は貝の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 貝』をご覧ください。
『梅(バイ)』méiは、たくさん実を生・成(な)らせる梅の木を表わす形声文字です。漢字の足し算では、木(木・植物)+毎(子供をどんどん産む)=梅(どんどん実が成る梅。うめ)です。
異体字に『楳(バイ)』méiがります。木(木・植物)+某(子供をどんどん産む)=楳(どんどん実が成る楳。うめ)です。加藤常賢・白川静はこちらの方が本字としています。
音読みは呉音の『メ・マイ』は使わず、漢音の『バイ』を使います。訓読みは『うめ』です。白い梅をを白梅(ハクバイ)、紅い梅を紅梅(コウバイ)、寒い時期に咲く梅を寒梅(カンバイ)といいます。梅の実の生(な)る頃の長雨を梅雨(バイウ・つゆ)といいます。
『説文解字』によれば、枏(ゼン・ナン)であるとしています。加藤常賢によれば梅(うめ)と枏(くすのきの仲間)は古代は同じで、混用されていたとしています。
呉音(ゴオン)と漢音(カンオン)の話をします。呉音(ゴオン)とは今から1500年ほど前から、倭(やまと)朝廷(478年雄略天皇)が中国の宋王朝などの南朝から輸入した漢字の読み方です。五、六世紀は北朝(北魏)と交流がなかったので、輸入した漢語は、江南地方(呉)の中国語でした。この中国語に基づいた発音を呉音(ゴオン)といいます。
漢音とは、隋・唐によって中国は南北統一され、北方の長安に首都を定めました。大和(やまと)朝廷(607年遣隋使、630年遣唐使)がこの隋・唐から輸入した漢語の読み方を、中国(漢)の発音、漢音(カンオン)といいます。
呉音の『マイ』は漢音では『バイ』に変化します。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音もご覧ください。
梅は母(ボ)や海(カイ)と同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 母』をご覧ください。
『博(ハク)』bóは、多くのものを広く集める様子・広める様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、十(集める)+甫(平らで広い)+寸(手)=博(多くのものを広く集める。広い。ひろめる)です。漢字の部首は『十・ジュウ』、漢字の意味は『広い』、『ひろめる』、『うまく当てる』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ハク』、慣用音が『バク』です。広く学ぶこと・広く物事を知っている人を博学(ハクガク)、学問に広く通じている人・教授を博士(はかせ)、いろいろな物事を博物(ハクブツ)、金銭を掛けてさいころなどの勝負をうまく当てようとすることを博打(バクチ)といいます。
非常に良い意味の漢字で『とおる』、『はか』、『ひろ』、『ひろし』、『ひろむ』と名前、地名に使われます。、
博(ハク)は甫(ホ)、尃(フ)と同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 甫』をご覧ください。
『飯(ハン)』fànは、米の飯を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、飠(しょくへん・食糧)+反(反(そ)り返った蓆(むしろ))=飯(ばらばらになった米。食事)です。
音読みは漢音の『ハン』が普通で、呉音の『ボン』は使いません、訓読みは『めし』、『いい』です。夕飯(ユウハン)、赤飯(セキハン)、茶飯(チャめし)の飯です。
飯(ハン)は反(ハン)と同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 反』 をご覧ください。
『飛(ヒ)』fēiは、鳥が羽を使って飛ぶ様子を象った象形文字です。漢字の部首は『飛・とぶ』、意味は『飛(と)ぶ』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ヒ』、訓読みは『飛(と)ぶ』です。飛ぶ鳥を飛鳥(ヒチョウ)、飛ぶ燕(つばめ)を飛燕(ヒエン)、高く飛ぶことを飛躍(ヒヤク)、急用を知らせる飛ぶように速い使いを飛脚(ヒキャク)といいます。
明日香(あすか)の枕詞(まくらことば)は飛ぶ鳥なので飛鳥(ヒチョウ)は飛鳥(あすか)と読みます。
篆文は鳥の羽を表しているといわれています。『漢字の覚え方 羽』も御覧ください。
『費(ヒ)』fèiは、財貨を払う様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、弗(左右に払う)+貝(財貨)=費(財貨を左右に払う。お金を使って減らす。費やす。ついやす)です。漢字の部首は『貝・かい』、意味は『お金を使って減らす』、『購入のためのお金』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ヒ』、訓読みは『費(つい)やす』、『費(つい)える』です。金銭・エネルギーなどを使ってなくすことを消費(ショウヒ)、無駄に使うことを浪費(ロウヒ)、用をたすための金銭を費用(ヒヨウ)、教育にかかる金銭を学費(ガクヒ)、食事にかかる費用を食費(ショクヒ)といいます。
費は弗の『単語家族』です。この『単語家族』には払、仏などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 弗』 をご覧ください。
『必(ヒツ)』bìは、棒を両側から当て木をして締め付けた様子を表した象形文字です。しっかりした状態になるので『必(かなら)ず』、『ぜひとも』の意味があるといわれています。漢字の部首は『心・こころ』、意味は『必(かなら)ず』、『ぜひとも』、『締め付ける』です。
『棒』ではなく『まさかり』を示している象形文字ともいわれます。この説では『まさかり』で成し遂げるから『必(かなら)ず』、『ぜひとも』の意味が生じたといわれています。
音読みは呉音が『ヒチ』、漢音の『ヒツ』を普通に使います。訓読みは『必(かなら)ず』です。必要(ヒツヨウ)、必死(ヒッシ)、必至(ヒッシ)、必須(ヒッス)、必罰(ヒツバツ)の必です。
呉音の『チ』韻は漢音では『ツ』韻に変化することがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音 もご覧ください。
必の『単語家族』には秘、泌などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 必』をご覧ください。
『票(ヒョウ)』piàoは、火の粉が舞い上がる様子を表す会意文字です。転じて、軽い札(ふだ)を表します。漢字の足し算では、要(細かい)+示(火の別デザイン)=票(細かい火の粉が舞い上がる。軽い札)です。漢字の部首は『示・しめす』、漢字の意味は『火の粉が舞い上がる』、『目立つ』、『軽い札(ふだ)』です。
ここでは示は神様ではなく火を表すデザインです。
音読みは呉音・漢音ともに『ヒョウ』です。各人の意思を用紙(票)に記入し提出することを投票(トウヒョウ)、記入しない白紙の投票を白票(ハクヒョウ)、金銭や取引の内容を記した用紙を伝票(デンピョウ)といいます。
『標(ヒョウ)』biāoは、高い所にある目印・目あてを表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、木+票(軽い・高い)=標(高い所にある目印。標。しるし)です。漢字の部首は『木・しめす』、漢字の意味は『標(しるし)』、『目あて』、『目安』です。
漢字の部首の『木』は栞(しおり)http://bit.ly/1w5WynW、標(しるし)など印をつけた木を表すことがあります。
音読みは呉音・漢音ともに『ヒョウ』です。訓読みは『標(しるし)』です。認識できるようにした標(しるし)を標識(ヒョウシキ)、判断の目安になる基準を標準(ヒョウジュン)、攻撃の目安になる的を標的(ヒョウテキ)といいます。
票(ヒョウ)、標(ヒョウ)は票(ヒョウ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 票』をご覧ください。
『不(フ)』fǒu、bùは、ふっくらした花の『がく』、ふくらんだ『つぼみ』を描いた漢字で象形文字です。『~しない』の否定詞として使われています。漢字の部首は『一・いち』です。
音読みは呉音の『フ』が普通で、慣用音の『ブ』も稀に使い、漢音の『フウ』は使いません。訓読みは『不(ず)』です。古い字体である篆文(テンブン)も示しておきます。
不安(フアン)、不運(フウン)、不振(フシン)、不利(フリ)、不粋(ブスイ)、不精(ブショウ)の不です。
不(フ)の『単語家族』には、否(ヒ)、杯(ハイ)、胚(ハイ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 不』をご覧ください。
『夫(フ)』fūは、成人した男性を表す象形文字です。漢字の部首は『大・だい』、漢字の意味は『成人した男性』、『夫(おっと)』、『仕事にたずさわる男』です。
大の上の横棒は、成人のしるしの冠(かんむり)を表しているといわれています。冠(かんむり)を支える簪(かんざし)も漢字に含まれており、『ささえる』の意味もあります。横棒を線と見て指事文字とする説(鎌田)もあります。
音読みは呉音・漢音ともに『フ』、慣用音が『フウ』、訓読みが『夫(おっと)』です。背が一丈の立派な男を丈夫(ジョウフ)、農業にたずさわる男で農夫(ノウフ)、夫と妻で夫婦(フウフ)といいます。
夫(フ)の『単語家族』には、芙(フ)、扶(フ)、麩(フ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 夫』をご覧ください。
『付(フ)』fùは、人に付(つ)く様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、イ(人間)+寸(手)=付(手を人に付ける。付ける。付き添う。付属する様子)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、漢字の意味は『付ける』、『付き添う』、『様子』、『手渡す』です。
音読みは呉音・漢音ともに『フ』、訓読みは『付(つ)く』です。付け加えることを付加(フカ)、主なものに所属し付き従うことを付属(フゾク)、顔の様子を顔付き(かおつき)、人に配り手渡すことを配布(ハイフ)といいます。
『府(フ)』fǔは、穀物などを集める官営の建物を表す形声文字です。漢字の足し算では、广(建物)+付(つける)=府(穀物などを集める官営の建物。転じて役所)です。漢字の部首は『广・まだれ』、漢字の意味は『穀物・書類などを集める官営の建物』、『役所』、『みやこ』です。
音読みは呉音・漢音ともに『フ』です。書類を入れておく蔵を府庫(フコ)、政治を行うところを政府(セイフ)、甲斐(かい)の国の行政の中心が甲府(コウフ)、駿河(するが)の国の行政の中心が駿府(スンプ)といいます。また、律令制の国の中心を府中(フチュウ)といい、東京と広島に地名が残っています。
付(フ)、府(フ)は付(フ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 付』をご覧ください。
『副(フク)』fùは、豊かなものを分けた小さい方を漢字にしたものです。漢字の足し算では、畐(ゆたか)+刂(りっとう・刀で切る)=副(二つにした小さい方。控え)です。意味は『従う』、『控え』の他に、副産物、副作用のように『余計に加える』もあります。
音読みは『フク』、訓読みは『副(そ)える』、『副(そ)う』です。副業(フクギョウ)、正副(セイフク)、副賞(フクショウ)、副菜(フクサイ)、副作用(フクサヨウ)、副島種臣(そえじまたねおみ)さんの副です。
副(フク)は畐(フク)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 畐』をご覧ください。
『粉(フン)』fěnは、米を細かく粉にする映像を漢字にしたものです。漢字の足し算では、米(こめへん・米)+分(分ける)=粉(米を粉にする。粉)です。漢字の部首は『米』です。おしろいの粉は古くは米の粉からつくられていました。
音読みは呉音・漢音ともに『フン』で、訓読みは、『こな』、『こ』です。骨を粉に身を砕くほど努力する事を粉骨砕身(フンコツサイシン)、粉々に砕くことを粉砕(フンサイ)、おしろいを塗って飾る事を粉飾(フンショク)、細かい粉を粉末(フンマツ)、粉を重ねて強調した言葉は粉々(こなごな)、小麦の粉を小麦粉(こむぎこ)といいます。
粉(フン)は分(フン)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 分』をご覧ください。
『兵(ヘイ)』bīngは、武器を持った軍人を表す会意文字です。漢字の足し算では、斤(おの)+一+ハ(人間)=兵(武器を持った軍事。兵。つわもの)です。漢字の部首は『八・はち』、漢字の意味は『兵・軍人』、『戦闘・軍事』です。
音読みは呉音が『ヒョウ』、漢音が『ヘイ』、訓読みに常用外の『兵(つわもの)』があります。軍隊の食糧を兵糧(ヒョウロウ)、兵士を隊に組織したものを兵隊(ヘイタイ)、軍事に用いる機材を兵器(ヘイキ)といいます。
呉音が『ヒョウ』は漢音の『ヘイ』に変わることがあります。呉音と漢音の関係については呉音と漢音もご覧ください。
兵(ヘイ)に使われている漢字、斤(キン)については『漢字の覚え方 斤』をご覧ください。
『別(ベツ)』biéは、骨と骨の関節を刀で別(わ)ける様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、另(骨と骨の関節)+刂(刀)=別(骨と骨の関節を刀で別(わ)ける。別ける)ですい。漢字の部首は『刂・りっとう』、漢字の意味は『一緒にいたものが離れる』、『特徴によって分け離す』、『もうひとつの』です。
音読みは呉音が『ベチ』、慣用音が『ベツ』、訓読みは『別(わか)れる』です。人と別れて離れることを別離(ベツリ)、あるものと違うものを特徴によって分け離すことを区別(クベツ)、もうひとつの屋敷を別荘(ベッソウ)といいます。『漢字の覚え方 別』もご覧ください。
『辺(ヘン)』biānは、顔の鼻のあたりを表す形声文字です。漢字の足し算では、辶(進む)+刀(鼻と口を書いた省略形)=辺(顔の鼻や口のあたり。あるものを中心とした付近。中央からはなれた場所)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、漢字の意味は『あるものを中心とした辺(あたり)』、『中央からはなれた場所』、『図形の線分』です。
鎌田や白川は鼻と辺境の道路について言及しています。
音読みは呉音・漢音ともに『ヘン』、訓読みは『辺(あたり)』、『辺(べ)』です。あるものの周りを周辺(シュウヘン)、中央から離れた国境を辺境(ヘンキョウ)、海のあたりを海辺(うみべ)、直角三角形の斜めの線分を斜辺(シャヘン)といいます。
正しい字体は大きくわけて二種類あります。自(鼻)に宀八に方(口の端)を書いて邊、冖八に口を書いて邉です。
どの漢字を名字に使うかはその家の伝承によって違い、斉・斎・齊(サイ)とともに戸籍(コセキ)係を悩ませる漢字の一つです。
辺(ヘン)のもとになる漢字自(ジ)、鼻(ビ)については『漢字の覚え方 自』をご覧ください。
『変・䜌(ヘン)』biànは、もつれた様に歩く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、亦(糸言糸の省略したデザイン。糸がもつれた)・䜌(もつれる)+夊(あし)・攵(動詞の記号)=変・變(もつれた状態。普通ではない。変)です。漢字の部首は『夊・すいにょう』、漢字の意味は『普通でない状態』、『別の状態』、『突然の異常な出来事』です。
正字の變の部首は『言・ことば』になります。
常用漢字体ではデザインの変更に伴い攵(ぼく)から夊(すいにょう)に代わっています。
白川は䜌(儀式の装飾)に攵(打つ)を加えた様子であるとしています。
音読みは呉音・漢音ともに『ヘン』、訓読みは『変(か)わる』です。ある状態や性質が別の状態や性質にかわることを変化(ヘンカ)、突然起こる政権の変化を政変(セイヘン)、普通ではない死に方を変死(ヘンシ)といいます。
変(ヘン)は䜌(ラン)の漢字の仲間です。『漢字の覚え方 䜌』もご覧ください。
『便(ベン)』biàn、piánは、平らで支障のない様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、イ(人間)+更(平ら)=便(人の作業が平らで支障のない様子です)。漢字の部首は『イ・にんべん』、漢字の意味は『平らで支障のない』、『たやすく』です。支障のない連絡が『便(たよ)り』です。
音読みは呉音が『ベン』、漢音が『ヘン』、慣用音が『ビン』、訓読みは『便(たよ)り』です。物事が支障なく進む状態・都合の良い事を便利(ベンリ)、自分に都合の良い機会に乗って巧みに利用することを便乗(ビンジョウ)、すらりと出る大きい排泄物を大便(ダイベン)、その場に応じた都合の良い処置うを便宜(ベンギ)といいます。
便(ベン)は更(コウ)が使われている漢字です。更の漢字について詳しくは『漢字の覚え方 更』をご覧ください。
『包(ホウ)』bāoは、お腹の子供の姿を表す象形文字(ショウケイモジ)です。勹(つつみがまえ)と己(子供の形)からなっています。漢字の部首は『勹・つつみがまえ』、漢字の意味は『つつむ』、『とりこむ』です。
音読みは呉音が『ヒョウ』、漢音が『ホウ』です。訓読みは『包む(つつむ)』です。『庖(ホウ)』の代用字としても『包』を使います。包帯(ホウタイ)、包装(ホウソウ)、庖丁・包丁(ホウチョウ)の包です。
包の『単語家族』には抱、砲、泡などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 包』をご覧ください。
『法(ホウ)』fǎは、法に照らして敗者を水に流す様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、氵(水)+去(去る。しりぞく)=法(法に照らして敗者を水に流す。法)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、意味は『法』、『手本』、『仏教の真理』です。
『説文解字』には「水に従う。廌(タイ)に従う。去に従う」とあります。
水に流すのは、廌(タイ)と呼ばれる法律を司る特別な羊(ひつじ)です。正字は灋(ホウ)です。書くのが大変で、普通は常用漢字体である法を使います。廌(タイ)の書き方ですが、途中まで鹿を書いて、鳥に下の部分を足して書きます。
音読みは呉音が『ホウ(ホフ)』、漢音が『ホウ(ハフ)』、慣用音が『ホッ・ハッ』です。人々の生活を取り締まるための決まりを法律(ホウリツ)、仏教の真理を説くことを説法(セッポウ)、仏教の僧が着る衣を法衣(ホウエ)、してはならない程度を法律できめたことを法度(ハット)といいます。
廌(タイ)は法律を司る特別な羊(ひつじ)です。廌(タイ)を使う漢字に推薦(スイセン)の薦(セン)があります。詳しくは『漢字の覚え方 薦』 『漢字の覚え方 去』をご覧ください。
『望(モウ・ボウ)』wàngは、 遠くの月を待ち望む様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、亡(ない)+月+壬(人が伸びあがる)=望(遠くの月を待ち望む)です。漢字の部首は『月・つき』、漢字の意味は『遠方を見る』、『待ち望む』、『良い評判』、『満月』です。
音読みは呉音が『モウ』、漢音が『ボウ』です。訓読みは『望む(のぞむ)』、『望(もち)』です。待ち望むことを待望(タイボウ)、本当に望んでいることを本望(ホンモウ)、評判の良い人格を人望(ジンボウ)、満月を望月(ボウゲツ・もちづき)といいます。
漢字の世界では『みる』について、多くの漢字があり、ニュアンスの違いがあります。
見(み)る 目立つ。目に止まる。現れる。見(ケン)http://bit.ly/ZCbIEZ
視(み)る 真っ直ぐ視る。注意して視る。視(シ)http://bit.ly/1Vps6QQ
看(み)る 手をかざして看る。よくみる。看(カン)http://bit.ly/1Z5TbdM
診(み)る 細かいところまですみずみまでみる。診(シン)http://bit.ly/1ygC0wK
察(み)る すみずみまでみる。察(サツ)http://bit.ly/1zwPD77
覧(み)る 高い所から下を覧る。覧(ラン)http://bit.ly/25ApacQ
臨(のぞ)む 高い所から下を臨む。臨(リン)http://bit.ly/1WvVxot
監(み)る 上から下のものをみて、みさだめる。監(カン)http://bit.ly/25ApacQ
観(み)る 多くのものを比べて観る。批評する。観(カン)http://bit.ly/11kw1b1
眺(なが)める 右に左にと広く見渡す。眺(チョウ)http://bit.ly/1vDDgri
望(のぞ)む 遠くの見えにくいものをもとめみる。望(ボウ)http://bit.ly/1v84fty
非常に縁起の良い漢字で、『望月』、『望岡』、『望野』と人名、地名に使われるほか、『のぞみ』、『のぞむ』、『み』、『もち』と名前に使われます。
望は亡の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 亡』をご覧ください。
『牧(ボク)』mùは、牛を飼う様子を表す会意文字です。漢字の足し算では牛+攴・攵(動詞の記号)=牧(牛を飼う。飼う場所。転じて人民を養う)です。漢字の部首は『牛・うし』、漢字の意味は『牛を飼う』、『飼う場所・牧(まき)』、『人民を養う』、『人格を豊かにする』です。
『説文解字』には「牛を養う人なり。攴に従い、牛に従う」とあります。
動作を表す攵(ぼくづくり)は、篆文で攴(ボク)pū、楷書体では攵(ボク)pūのデザインをとります。
音読みは呉音が『モク』、漢音が『ボク』です。訓読みは『牧(まき)』です。家畜を飼うことを牧畜(ボクチク)、キリスト教の指導者で人格を豊かにする人を牧師(ボクシ)、家畜を飼う場所を牧場(ボクジョウ・まきば)といいます。
『末(マツ)』mòは、木の梢(こずえ)の端(はし)を示す指事文字です。漢字の足し算では、一+木=末(木の先端を示す。末。すえ)です。漢字の部首は『木・き』、漢字の意味は『末(すえ)』、『細かい』、『小さい』です。
音読みは呉音が『マツ・マチ』、漢音が『バツ』、訓読みが『末(すえ)』です。木の先端・ものの端を末梢(マッショウ)、序列の後ろの席を末席(マッセキ)、細かく粉にすることを粉末(フンマツ)といいます。
末(マツ)の『単語家族』には沫(マツ・しぶき)があります。。詳しくは『漢字の覚え方 末』をご覧ください。
『満(マン)』mǎnは、水を一杯に満たす様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、氵(水)+㒼(いっぱいにおおう)=満(水を一杯に満たす。満たす。いっぱいにする)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、意味は『満(み)たす』です。水だけでなく色々なものに使うことが出来ます。
音読みは呉音が『マン』、漢音が『バン』、訓読みが『満(み)たす』です。まんまるの月を満月(マンゲツ)、期限いっぱいで終わることを満了(マンリョウ)、定員がいっぱいになることを満員(マンイン)といいます。
満は㒼の『単語家族』です。詳しくは 『漢字の覚え方 㒼』 をご覧ください。
『未(ミ)』wèiという漢字は、木が春を迎えて、これから葉を付けていく様子を表した象形文字です。漢字の部首は『木』、漢字の意味は『いまだ』、『小さい』です。
映像ではこんな漢字です。篆文(テンブン)と呼ばれる古い字体も載せておきます。
また、十二支の八番目を『未』という漢字を宛てました。十二支は、暦、時刻、方角を示します。『未』は旧暦の6月、時間は午後1~3時、方角は南南西、動物では羊に宛てられています。
中国を中心とした東アジアの世界では、子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥の十二支を使って暦、時刻、方角を示します。数字でもなんでもない漢字の順番を覚えるの大変です。そこで、神様に新年の挨拶に来た十二種類の動物になぞらえて、十二支を宛てて覚えているのです。
羊(未・ひつじ)は八番目に神様に挨拶に来た動物と覚えるわけです。ちなみに一番目は牛の背中に乗ってきた鼠(子・ねずみ)、十二番目は勢いよく走ってきて、神様の前を通り越してしまった猪(亥・いのしし)です。
羊については、『漢字の覚え方 羊』、『漢字の覚え方 詳・善』をご覧ください。
音読みは呉音の『ミ』が普通で、漢音の『ビ』と読むこともあります。訓読みは『未だ(いまだ)』・『未だ(まだ)』という副詞に使います。ですが、中学校では副詞はひらがなで書くことになっていますので、中学校では使えません。高校の漢文の授業に良く出てきます。
未来(ミライ)、未熟(ミジュク)、未到(ミトウ)、未練(ミレン)、未満(ミマン)、未亡人(ミボウジン)の未です。
未の『単語家族』には味、妹などがあります。詳しくは 『漢字の覚え方 未』覧ください。
『脈(ミャク)』mài、mòは、血液の流れる道筋を表す文字です。漢字の足し算では、月(身体)+派(水の枝分かれする流れ)=脈(血液の流れる道筋。脈)です。漢字の部首は『月・にくづき』、漢字の意味は『血液の流れる道筋』です。
音読みは呉音が『バク』、漢音が『ミャク』です。脈を打つことを脈動(ミャクドウ)、心臓の伸縮による血管の動きを脈拍・脈搏(ミャクハク)、血管のつながり・前後のつながりを脈絡(ミャクラク)といいます。
脈には近い漢字としては、派(ハ)があります。詳しくは 『漢字の覚え方 派』をご覧ください。
『民(ミン)』mínは、民衆を表す象形文字です。漢字の成り立ちでは、目に刺青をされた捕虜・使役者を表していました。やがて一般の人々を表す漢字になりました。漢字の部首は『氏・うじ』、漢字の意味は『一般の人々』、『民間の』です。
音読みは呉音が『ミン』、漢音が『ビン』、訓読みが『民(たみ)』です。市の住民・自立的な個人を市民(シミン)、国家を構成する人を国民(コクミン)、一般の人々・公の機関に属さないことを民間(ミンカン)といいます。
時代が降るとともに良い意味で使われるようになった漢字です。我が国では、特に明治以降で、非常に良い意味で使われ、『たみ』、『ひと』、『み』、『みたみ』、『もと』と名前に使われます。
呉音の『ミン』は漢音では『ビン』に変化することがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音 もご覧ください。
民の『単語家族』には、眠(ミン)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 民』をご覧ください。
『無(ム・ブ)』wúは、見えない神秘な神に対し二人で舞う人を表した文字です。漢字の足し算では、舞(儀式で舞う)+林(二人並ぶ)=無(見えない神秘な神に対し二人で踊る人。見えない。無い)です。漢字の部首は『』、意味は『みえない』、『存在しない』、『~しない』です。、中国では『无』wúという漢字を使います。
音読みは呉音が『ム』、漢音が『ブ』、訓読みは『無(な)い』です。有ることと無いことを有無(ウム)、普段と変わりが無いことを無事(ブジ)、法律をないがしろにすることを無法(ムホウ)、礼儀からはずれることを無礼(ブレイ)といいます。
呉音の『ム』は漢音では『ブ』に変化することがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音もご覧ください。
無の『単語家族』には、舞(ブ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 無』 をご覧ください。
『約(ヤク)』yuēは、糸で結ぶ様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、糸+勺(一部分)=約(糸の一部分を結ぶ。結ぶ。取り決めの印とする。結んで短くする)です。漢字の部首は『糸・いとへん』、漢字の意味は『結ぶ』、『取り決め』、『短くする』、『大体』です。
ロープを結ぶように自由な行動を制限することを制約(セイヤク)、当事者の間で取りきめること約束(ヤクソク)、要点をまとめ全体を短くすることを要約(ヨウヤク)、短くするように無駄を省はぶくことを節約(セツヤク)、おおよそを大約(タイヤク)といいます。
約(ヤク)は勺の『単語家族』で、約(ヤク)、的(テキ)、杓(シャク)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 勺』をご覧ください。
『勇(ユウ)』yǒngは、人が足踏みして勇気を出す様子を描いた形声文字です。漢字の足し算では、甬(足踏みする)+力=勇(人が足踏みをして勇気を出す。いさむ)です。漢字の部首は『力・ちから』、意味は『勇気を出す』、『奮い立つ』です。
音読みは呉音が『ユ・ユウ』、漢音が『ヨウ』、訓読みが『勇(いさ)ましい』です。心を奮い立たせる気持ちを勇気(ユウキ)、勇気をもって決断力があることを勇敢(ユウカン)、勇気のある男を勇士(ユウシ)、勇ましい姿を勇姿(ユウシ)といいます。鯨(くじら)のことを勇を使って勇魚(いさな)といいます。
勇ましくて、非常に良い意味の漢字ですので、『いさ』、『いさお』、『いさまし』、『いさみ』、『いさむ』、『お』、『さ』、『そよ』、『たけ』、『たけし』、『とし』、『はや』、『よ』と名前に使われます。
勇は用の『単語家族』で、甬(ヨウ)、涌(ヨウ)、湧(ユウ)などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 用』をご覧ください。
『要(ヨウ)』yàoは、女性の腰を漢字にしたものです。要は人の身体の重要な部分なので、『大切な』の意味が生じ、転じて『必要な』、『要る』の意味が加わりました。漢字の足し算で表わすと、襾(おおいかんむり・両手と頭)+女=要(女性の腰。重要な。要る)です。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨウ』です。訓読みは『かなめ』、『要る(いる)』です。重要(ジュウヨウ)、肝要(カンヨウ)、必要(ヒツヨウ)、要求(ヨウキュウ)、要石(かなめいし)の要です。
肝要(カンヨウ)の肝は肝臓(カンゾウ)のことです。要は腰(こし)のことです。身体の重要な部分に例えて重要なことをいいます。
肝(カン)は、干(カン)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 干』をご覧ください。
要の『単語家族』には腰などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 要』をご覧ください。
『養(ヨウ)』yǎngは、良い肉を食べて養生する様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、羊(良い)+食(食べる・食物)=養(良い肉を食べて養生する。養う。やしなう)です。漢字の部首は『食・しょく』、漢字の意味は『養(やしな)う』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨウ』、訓読みは『養(やしな)う』です。養い育てることを養育(ヨウイク)、生物が自ら養うために外から取り入れる成分を栄養(エイヨウ)、教え育てること・幅広い知識や理解力を教養(キョウヨウ)、魚介類などを養い殖やすことを養殖(ヨウショク)といいます。
非常に良い意味の漢字で『おさ』、『かい』、『きよ』、『すけ』、『のぶ』、『まもる』、『やす』、『よし』と名前に使われます。
養は羊の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 羊』をご覧ください。
『浴(ヨク)』yùは、水が満たされる様子・水を浴びる表わした形声文字です。漢字の足し算では、氵(水)+谷(滝壺)=浴(水が満たされる。水に浸す。水を浴びる)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、意味は『水に浸す』、『水を浴びる』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨク』、訓読みは『浴(あ)びる』です。お湯を浴びる部屋を浴室(ヨクシツ)、水を浴びることを水浴(スイヨク)、日光を浴びることを日光浴(ニッコウヨク)といいます。
浴は谷(コク)の『単語家族』です。他には溶、容などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 谷』をご覧ください。。
『利(リ)』lìは、刃物が鋭い様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、禾(稲)+刂(刀)=利(刃物が鋭くてスッと稲を刈り取れる。刃が鋭い。スッと通る)です。漢字の部首は『刂・りっとう』、漢字の意味は『刃が鋭い』、『スッと通る』、『もうけ』です。
音読みは呉音・漢音ともに『リ』、訓読みが『利(き)く』です。刃の鋭い様を鋭利(エイリ)、水がスッと通るのを水利(スイリ)、都合が良い様子を便利(ベンリ)、もうけを利益(リエキ)、口利きがうまいことを利口(リコウ)といいます。
利の『単語家族』には、痢、梨などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 利』をご覧ください。
『陸(リク)』lùは、陸地を表す形声文字です。漢字の足し算では阝(おか)+坴(高い土盛りをした場所)=陸(盛り上がった大地。陸地。おか)です。漢字の部首は『阝・こざとへん』、意味は『陸地』、『丘』です。
音読みは呉音が『ロク』、漢音が『リク』です。訓読みは常用外の『みち』、『む』があります。盛り上がった大地を陸地(リクチ)、陸地に上がることを上陸(ジョウリク)、陸上で戦う軍隊を陸軍(リクグン)、福島県から青森県にかけて陸奥(みちのく・むつ)といいます。非常に縁起の良い漢字で『あつ』、『あつし』、『くが』、『たか』、『たかし』、『ひとし』、『みち』、『む』、『むつ』と多くの名前に使われます。
陸は坴の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 六・睦』をご覧ください。
『良(ロウ・リョウ)』liángは、優れている様子を漢字にしたものです。米を精米する様子が元になって出来た漢字と言われています。漢字の部首は『艮・こんづくり』、意味は『質が良い』、『優れている』、『清らか』です。
音読みは呉音が『ロウ』、漢音が『リョウ』です。訓読みは『良(よ)い』です。良質(リョウシツ)、良好(リョウコウ)、善良(ゼンリョウ)、良人(おっと)、野良(のら)の良です。良人(おっと)、野良(のら)は特別な訓読みです。
非常に良い意味の漢字で『あきら』、『お』、『かず』、『かた』、『さね』、『すけ』、『たか』、『つか』、『つかさ』、『つぎ』、『なおし』、『なか』、『なが』、『ながし』、『はる』、『ひこ』、『ひさ』、『ふみ』、『まこと』、『まこと』、『み』、『みよし』、『よし』、『ら』、『ろ』、『ろう』と多くの名前に使われる漢字です。
良の『単語家族』には、浪、浪、狼などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 良』をご覧ください。
『料(リョウ)』liàoは、米・穀物(コクモツ)を斗(ます)に入れる様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、米(米・穀物)+斗(ます)=料(ますに入れて穀物をはかる。はかる。転じてもとになるもの)です。漢字の部首は『斗・とます』、漢字の意味は『はかる』、『もとになるもの』、『手当』、『代金』です。
音読みは呉音・漢音ともに『リョウ』です。はかり選ぶことを料簡(リョウケン)、物事(料)をうまく処理するもと・調理することを料理(リョウリ)、製品のもとになるものを原料(ゲンリョウ)、社員に支払う報酬を給料(キュウリョウ)といいます。
料(リョウ)は米(マイ)を使った漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 米』 をご覧ください。
『量(リョウ)』liángは、穀物(コクモツ)を量(はか)る様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、日(穀物)+重(重さ)=量(穀物(コクモツ)の重さ。量(はか)る。)です。部首は『里・さと』、意味は『量(はか)る』です。重さを示す重が一と里にデザインされていますが、もともとは重です。
白川は橐(ふくろ)を象った象形文字であるとしています。
音読みは呉音が『ロウ』、漢音が『リョウ』、訓読みは『量(はか)る』と常用外の『量(かさ)』です。人間のもつ力や気持ちの大きさにも使います。人としての能力の大きさを力量(リキリョウ)、物の多い少ないの程度を分量(ブンリョウ)、地点間の距離や位置を測(はか)る・量(はか)ることを測量(ソクリョウ)、物体に働く地球の重力の大きさ(ようするに重さ)を重量(ジュウリョウ)といいます。
非常に重要な漢字で『かず』、『さと』、『とも』、『はかり』、『はかる』と名前に使われます。
量の『単語家族』には糧があります。詳しくは『漢字の覚え方 量』 をご覧ください。
『輪(リン)』lúnは、車がきちんと回転する様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、車+侖(整理された書類)=輪(車がきちんと回転する。きちんとした輪。わ)です。漢字の部首は『車・くるま』、漢字の意味は『車の輪』、『自動車』、『円形のもの』、『まわり』、『順番』です。
音読みは呉音・漢音ともに『リン』、訓読みは『輪(わ)』です。車の前方の輪(わ)を前輪(ゼンリン)、樹木にみられる年ごとに出来る輪(わ)年輪(ネンリン)、物の周りの線を輪郭(リンカク)、順番を決めて交替で物事にあてることを輪番(リンバン)、指にはめる輪(わ)を指輪(ゆびわ)といいます。
輪は侖と同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 侖』をご覧ください。
『類(ルイ)』lèiは、似たものを集めてグループにする様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、米(植物の代表)+犬(動物の代表)+頁(頭・特徴)=類(植物なら植物、動物なら動物、似たものを集めて区分けする。たぐい。にる。)です。漢字の部首は『頁・おおがい』、漢字の意味は『仲間・グループ』、『類(たぐい)』、『似る』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ルイ』、訓読みは常用外の『類(たぐい)』があります。生き物の仲間を生類(ショウルイ)、同じ性質の仲間を種類(シュルイ)、似ているものを類似(ルイジ)、事物を性質・系統などにより分けることを分類(ブンルイ)といいます。
類(ルイ)も米(マイ)を使った漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 米』をご覧ください。
『令(レイ)』língは、君主が清らかに人々に命令する姿を示す会意文字です。漢字の足し算では、亼(人を集める)+卩(人々がひざまずく)=令(君主が清らかに人々に命令する。清らかな)です。漢字の部首は『人・ひとやね』です。漢字の意味は『命令する』、『清らかな』、『大事な』、『人を並べる』です。
音読みは呉音が『リョウ』・漢音は『レイ』です。上位の者が下位のものに出す言いつけを命令(メイレイ)、命令の記された書類を令状(レイジョウ)、清らかなお譲さんを令嬢(レイジョウ)、君主の出す命令を令旨(リョウジ)、県の長官を県令(ケンレイ)といいます。
呉音の『リョウ』は漢音では『レイ』になることがあります。
音読みの呉音、漢音については呉音と漢音もご覧ください。
非常に縁起の良い漢字で、『おさ』、『なり』、『のり』、『はる』、『よし』と名前に使われます。
『冷(レイ)』lěngは、清らかな氷の冷たい様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、冫(氷)+令(清らかな)=冷(清らかな氷が冷たい。冷たい。つめたい)です。漢字の部首は『冫・にすい』です。漢字の意味は『冷(つめ)たい』、『冷(ひ)える』です。
音読みは呉音が『リョウ』・漢音は『レイ』です。訓読みは『冷(つめ)たい』、『冷(ひ)える』、『冷(さ)める』です。食品など凍らせるこを冷凍(レイトウ)、恐怖を感じるときに出る冷たい汗を冷汗(レイカン・ひやあせ)、冷たい馬鹿にした笑いを冷笑(レイショウ)、冷たく落ち着いている様(さま)を冷静(レイセイ)といいます。
呉音の『リョウ』は漢音では『レイ』に変化することがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音もご覧ください。
令、冷は同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 令』をご覧ください。
『例(レイ)』lìは、イ(にんべん・人のする作業)に列(並べる)を足したものです。漢字の足し算では、イ(にんべん・人のする作業)+列(並べる)=例(決まった順に並べる。たとえ)です。漢字の部首は『イ・にんべん』です。意味は『決まった順序』、『しきたり』、『たとえ』、『くらべる』です。
決まった順に並べるとこんな感じです。
音読みは『レイ』、訓読みは『例(たと)える』です。決まった会が例会(レイカイ)、決まりから外れることを例外(レイガイ)、先のしきたりが先例(センレイ)、実際にためすのが実例(ジツレイ)、比較してくらべるのを比例(ヒレイ)と言います。
例は列と同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 列』をご覧ください。
『歴(レキ)』lìは、収穫した穀物について順次作業していく様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、厂(建物)+禾禾(穀物)+止(足)=歴・歷(収穫した穀物について順次作業していく。順次)です。漢字の部首は『止・とまる』、漢字の意味は『順次』、『経る』、『代々』、『何回も』、『はっきりと』です。
『説文解字』には「過ぐるなり。止に従い厤(レキ)の声」とあります。
常用漢字体では禾禾(穀物)でなく木木になっていますが、常用漢字体の歴を使いましょう。
音読みは呉音が『リャク』、漢音が『レキ』、訓読みは常用外に『歴・歷(へ)る』があります。人間社会が経てきた経過を歴史(レキシ)、何回も戦争を経験したことを歴戦(レキセン)、はっきりしている様子を歴然(レキゼン)といいます。
歴は暦と同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 秝』をご覧ください。
『連(レン)』liánは、車がいくつも連なって進む(辶)様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、辶(進む)+車=連(車がいくつも連なって進む。連なる。つらなる)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、漢字の意味は『連(つら)なる』、『連(つ)れる』、『連(つ)れ』です。
音読みは呉音・漢音ともに『レン』、訓読みは『連(つら)なる』、『連(つ)れる』、『連(つ)れ』です。連なり合うことを連合(レンゴウ)、つながり結びつくこと。関係することを連係・連繋(レンケイ)、つながっている枝・親戚を連枝(レンシ)、いつも一緒にいる連れ・いつもの客を常連(ジョウレン)といいます。
連の漢字の仲間には、蓮(レン・はす)、漣(レン・さざなみ)など連なるイメージの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 連』をご覧ください。
『老(ロウ)』lǎoは、老人が杖(つえ)をついている様子を象(かたど)った象形文字です。漢字の部首は『老・おいがしら』、漢字の意味は『老(お)いる』、『老(ふ)ける』、『経験のある』、『物事を知っている』です。
音読みは呉音。漢音ともに『ロウ』、訓読みは『老(お)いる』、『老(ふ)ける』です。長く経験を積んだ巧みな様子を老練(ロウレン)、年をとって物事に長じている人の敬称で長老(チョウロウ)、年老いた先生・僧侶を老師(ロウシ)、年老いた父を老父(ロウフ)といいます。
老の漢字の仲間には、姥(ボ・うば)、蛯(えび)などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 老』をご覧ください。
『労(ロウ)』láoは、炎のように力を出し尽くして働く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、(取り囲む炎)+力=労(炎のように力を出し尽くして働く。仕事をやりとげる。労(ねぎら)う、労(いた)わる、疲れる)です。漢字の部首は『力・ちから』、漢字の意味は『仕事をやりとげる』、『労(ねぎら)う』、『労(いた)わる』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ロウ』、訓読みが常用外の『労(ねぎら)う』、『労(いた)わる』です。激しい仕事を労働(ロウドウ)、仕事をやりとげた功績を功労(コウロウ)、つかれることを疲労(ヒロウ)、慰(なぐさ)め労(ねぎら)うことを慰労(イロウ)といいます。
労はの『単語家族』です。栄(エイ)、営(エイ)などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 栄』をご覧ください。
『録(ロク)』lùは、綺麗にした青銅器に文字を刻む様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、金(金属・青銅器)+彔(はがす)=錄・録(青銅器を綺麗にして文字を刻む。文字を錄(しる)す)です。漢字の部首は『金・かねへん』、漢字の意味は『しるす』、『文章』です。字体は常用漢字体の『録』を使って下さい。
音読みは呉音が『ロク』、漢音が『リョク』です。文字にして書き残すことを記録(キロク)、音を記録することを録音(ロクオン)、後に付ける補足の文章・本体にそえられたものを付録(フロク)といいます。
録(ロク)は彔(ロク)の『単語家族』です。碌(ロク)、緑(リョク)などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 彔』をご覧ください。
これで小学校4年生で習う漢字の成り立ちと解説はおしまいです。
参考図書http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-c740.htmlです。
漢字についてより詳しく知りたい方は、下記の本をお読みください。
篆文(テンブン)を中心にした体系的な記述・韻の説明は、諸橋轍次先生の『新漢和辞典』、藤堂明保先生の『漢字源』・『漢字の過去と未来』を参考にさせて頂いてます。
甲骨文字・金文のもつ呪術的な解釈には白川静先生の『字通』・『字統』・『漢字』・『中国古代の文化』を参考にさせて頂いています。
漢字の伝来や常用漢字の解釈については、大島正二先生の『漢字伝来』、高島俊男先生の『漢字と日本人』を参考にさせて頂いています。
日本語については、金田一京助先生の『日本語の変遷』、大野晋先生の『日本語の文法を考える』、新村出先生の『広辞苑』を参考にさせて頂いております。
最近の研究については、落合淳思先生の『漢字の成り立ち』を参考にさせて頂いております。
医学用語については伊藤正男・井村裕夫・高久史麿先生の『医学大辞典』を参考にさせて頂いております。
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