漢字の覚え方 圭
今日は『圭(ケイ)』guīという漢字の仲間(意味・発音・構造上の漢字の仲間)について説明します。基本になる漢字は『圭』です。音読みは『ケイ』、意味は『綺麗な』、『高い』、『角のある』、『三角の』、『重ねる』です。圭、珪、奎、佳、桂、袿、挂、卦、掛、罫、街、厓、崖、涯、閨、畦、鮭、蛙などがこの漢字の仲間です。漢字学者の藤堂はこのような漢字の仲間を『単語家族』と表現していました。これらの漢字は『圭(ケイ)』という同じ構成要素を持つので、漢字は足し算で表わす事が出来るます。
漢字は足し算で表わす事が出来るのものは、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『圭』に何を足すとどんな漢字になるのかを考えます。街は小学校4年生で習う漢字 、佳、掛は中学生、崖は中学生 、涯は中学生で習うようになった常用漢字 で、圭、奎、桂は人名用漢字です。中学生で習う常用漢字は、何年で習うのか教科書によって異なりますが、一緒に覚えましょう。
常用漢字とは、一般社会で使用する漢字で、中学校終了までに習う漢字です。平成22年度に196字が追加されて2136字になりました。
『圭(ケイ)』guīは、土地の神様を祭る様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、土+土=圭(土地の神様を祭る。土を綺麗に高く盛る。高い。綺麗)です。漢字の部首は『土・つち』、意味は『綺麗な』、『高い』、『角のある』、『三角の』です。
古代中国では、天子が諸侯に土地を封ずる時に、土を綺麗に盛り上げ、土地神に祈りを奉げました。その時の土の形が圭で、領有の印として諸侯に与えた宝玉(ホウギョク)が珪といわれています。
『封(ホウ)』については同じ三角形を表す。丰(ホウ)の仲間で、音読みが『ホウ』です。『漢字の覚え方 丰』も御覧ください。
我が国においては建物・鉄道などの起工式の地鎮祭の時に、土を綺麗に高く盛り、土地神に御祈りをします。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『ケイ』です。諸侯に与える領主としての宝玉を玉圭(ギョクケイ)といいます。プロテニスプレヤーに錦織圭(にしこりけい)選手がこの漢字を使っています。
非常に縁起の良い・美しい漢字で『か』、『かど』、『きよ』、『きよし』、『けい』、『たま』、『よし』と人名に使われます。
圭(ケイ・土を三角に盛る)も良い意味の漢字ですが、垚(ギョウ・土を高く盛る)もまた非常に良い意味の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 堯』をご覧ください。
『圭(ケイ・かど)』は人名用漢字です。
『珪(ケイ)』guīは、天子が諸侯に与える三角形の玉器を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、王(宝石)+圭(土地の神様を祭る)=珪(天子が諸侯に与える三角形の玉器)です。漢字の部首は『王・ぎょく』、意味は『玉器』です。また化学元素の珪素(ケイソ)Siにもこの漢字を使います。
音読みは呉音が『カイ』、漢音が『ケイ』です。訓読みは『珪 (たま)』です。諸侯に与える領主としての宝玉を珪璋(ケイショウ)、珪酸を含む藻類を珪藻(ケイソウ)といいます。
『珪(ケイ・たま)』は常用漢字から外れています。
『奎(ケイ)』kuíは、大空に輝く三角の星座(中国では宿)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、大(大空)+圭(三角・高い)=奎(大空に輝く三角の星座。奎宿)です。漢字の部首は『大・だい』、意味は『奎宿(ケイシュク)』です。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『ケイ』、訓読みが『とかきぼし』です。東洋の星座である二十八宿の一つで、西洋のアンドロメダ座にあたります。
非常に縁起の良い漢字で『けい』、『ふみ』と人名に使われます。
『奎(ケイ・とかきぼし)』は人名用漢字です。
『佳(カ)』jiāは、美しい人を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、イ(人間)+圭(綺麗な)=佳(美しい人。佳い。よい)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、意味は『綺麗な人』、『佳(よ)い』です。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『カイ』、慣用音が『カ』です。訓読みは『佳(よ)い』です。良い景色・物語などの最高に面白い場面を佳境(カキョウ)、立派な芸術作品を佳作(カサク)、美しい人を佳人(カジン)といいます。
美しい良い漢字で『けい』、『よし』と人名に使われます。
『佳(カ・よし)』は中学生 で習う常用漢字です。
同じ美しい女性・赤ん坊を意味する漢字で『娃(エ・アイ)』waという漢字もあります。
『桂(ケイ)』<guìは、美しい樹木・桂(かつら)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、木(樹木)+圭(綺麗な)=桂(美しい樹木。桂。かつら)です。漢字の部首は『木・きへん』、意味は『桂(かつら)』です。中国では月の中にある神秘の木とされています。
音読みは呉音が『カイ』、漢音が『ケイ』、訓読みは『桂(かつら)』です。桂でできた美しい舟を桂舟(ケイシュウ)、月の宮殿・美しい宮殿を桂宮(ケイキュウ)、将棋で使う駒の種類に桂馬(ケイマ)があります。
非常に縁起の良い漢字で『かつ』、『かつら』、『よし』と人名に使われます。
西洋の聖樹ローリエ・ローレルをこの月と桂の漢字を宛てて月桂樹(ゲッケイジュ)、その葉と枝で作られた冠(かんむり)を月桂冠(ゲッケイカン)といいます。
『桂(ケイ・かつら)』は人名用漢字です。
『挂(ケイ)』guàは、物を高い所に掛ける動作を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、扌(手の動作)+圭(高い)=挂(物を高い所に掛ける。挂(か)ける)です。漢字の部首は『扌・てへん』、意味は『挂(か)ける』です。
掛け算や気に掛けるに使える『掛(ケイ)』を使用し、『挂(ケイ)』はあまり使われません。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『カイ』、慣用音が『ケイ』、訓読みは『挂(か)ける』です。冠(かんむり)を挂けて職を辞めることを挂冠・掛冠(ケイカン・カイカン)といいます。
『挂(ケイ・かける)』は常用漢字でから外れています。
『卦(ケ)』guàは、算木を重ねて占う様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、圭(綺麗・重なる)+卜(卜う。うらなう)=卦(算木を重ねて占う。うらなう)です。漢字の部首は『卜・ぼく・うらない』、意味は『うらなう』です。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『カイ』、慣用音が『カ』です。易の占いの方法は算木を数えて、陰と陽の組み合わせ八卦(ハッケ・ハッカ)をつくり、八卦を二つ重ねて六十四卦とし、この卦(ケ)を基に占います。
『卦(ケ・うらなう)』は常用漢字から外れています。
『掛(ケ)』guàは、物を高い所に掛ける動作・数字の掛け算・気に掛ける様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、扌(手の動作)+圭(高い)+卜(卜う。うらなう・心の動き)=掛(物を高い所に掛ける動作・数字の掛け算・気に掛ける)です。漢字の部首は『扌・てへん』、意味は『掛(か)ける』、『掛(かかり)』、『掛け算』です。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『カイ』、慣用音が『カ』です。訓読みは『掛(か)ける』、『掛(かかり)』です。気に掛けること懸念・掛念(ケネン)、金銭の出し入れ(出納)をする掛・係(かかり)を出納掛・係(スイトウがかり)、間が多く掛けることを大掛(が)かり、割合を掛けた値引きを掛け値(かけね)といいます。
『掛(ケ・かける)』は中学生 で習う常用漢字です。
『罫(ケイ)』guǎiは、文字を真っ直ぐ書くために引いた線を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、罒(網目)+卦(綺麗な・掛ける)=罫(網目のように綺麗に線を引く。罫線)です。漢字の部首は『网・あみがしら』、意味は『罫線(ケイセン)』です。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『ケイ』です。罫線の引いてある紙を罫紙(ケイシ)といいます。
『罫(ケイ・すじめ)』は常用漢字からは外れています。
『袿(ケイ)』guīは、袿(うちかけ・うちぎ)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、衣(衣服)+圭(綺麗な・掛ける)=袿(衣服の上に掛ける。袿。うちかけ)です。漢字の部首は『衣・ころもへん』、意味は『袿(うちかけ・うちぎ)』です。
音読みは呉音が『カイ』、漢音が『ケイ』、訓読みは『袿(うちかけ・うちぎ)』です。婦人が礼服の上に掛ける綺麗な長い衣です。平安朝で貴婦人が襲(かさね)の上に着た衣服もいいます。
襠(うちかけ)、裲(うちかけ)とも書きますが、打掛(うちかけ)と書くことが多いです。
『袿(ケイ・うちかけ)』は常用漢字からは外れています。
『街(ガイ)』jiēは、綺麗に道路が整っている街を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、行(交差点・行く)+圭(綺麗)=街(綺麗に道路が整っている街。まち)です。漢字の部首は『行・ぎょうがまえ』、意味は『街(まち)』です。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『カイ』、慣用音が『ガイ』です。訓読みは『街(まち)』です。街の大通り・中央と地方を結ぶ道を街道(カイドウ)、街の通り・通りの旁(かたわら)を街頭(ガイトウ)、街の大通りを街路(ガイロ)といいます。
『街(ガイ・まち)』は小学校4年生で習う漢字 です。
『厓・崖(ガイ)』yai、yáは厓・崖(がけ)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるなら覚えるならば、厂(がけ)+圭(高い・角)=厓(切りたった厓。がけ)、厓+山=崖(切りたった崖。がけ)です。漢字の部首は『厂・がんだれ』、意味は『厓(がけ)』です。漢字の部首は『山・やま』、意味は『崖(がけ)』です。
同じ意味を表す漢字ですが、常用漢字の崖(ガイ)の方を良く使います。崖(ガイ)は平成22年度より新規に中学生で習うようになった常用漢字 に登録されました。
音読みは呉音が『ゲ』、漢音が『ガイ』、訓読みは『厓(がけ)』、『崖(がけ)』です。垂直に切りたった崖を断厓・断崖(ダンガイ)、切りたった谷を厓谷・崖谷(ガイコク)といいます。
厂(ガン)については『漢字の覚え方 厂』をご覧ください。
『厓(ガイ・がけ)』は常用漢字ではありませんが、『崖(ガイ・がけ)』は中学生で習うようになった常用漢字 です。
『涯(ガイ)』yáは、水際(みずぎわ)・水域の果てを表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵(水)+厓(がけ)=涯(水際(みずぎわ)。水域の果て。地の果て)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、意味は『涯(みぎわ)』、『地のはて』です。
音読みは呉音が『ゲ』、漢音が『ガイ』です。訓読みは『涯(みぎわ)』です。生きてから果てる(涯)までを生涯(ショウガイ)、地の果て、空の果、遠い異郷を天涯(テンガイ)といいます。
『涯(ガイ・みぎわ)』は中学生 で習う常用漢字です。
『閨(ケイ)』guīは、婦人の寝室を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、門(入口)+圭(三角・綺麗)=閨(綺麗な入口。三角の狭い入口。婦人の寝室)です。漢字の部首は『門・もんがまえ』、意味は『婦人の寝室』、『上品な女性』です。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『ケイ』、訓読みは『閨(ねや)』です。文学・芸術に秀でた女性を閨秀(ケイシュウ)、妻の親戚を中止とした勢力を閨閥(ケイバツ)といいます。
『閨(ケイ・ねや)』は常用漢字から外れています。
『畦(ケイ)』qíは、田の畦(あぜ)を表す形声文字です。漢字の足し算では、田+圭(綺麗に区切る)=畦(綺麗に田んぼを区分けする道。畦。あぜ)です。漢字の部首は『田・た』、意味は『畦(あぜ)』です。
音読みは呉音が『エ』、漢音が『ケイ』、訓読みは『畦(あぜ)』です。田畑でとれる穀物を畦稼(ケイカ)といいます。
『畦(ケイ・あぜ)』は常用漢字からは外れています。
畦(あぜ)は畔(あぜ)とも書きます。田と田を半分に分けるの意味で、半の仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 半』をご覧ください。
『鮭(ケイ)』guīは、鮭(さけ)を表す形声文字です。漢字の足し算では、魚+圭(綺麗な・三角の)=鮭(綺麗な形をした魚。鮭。さけ)です。漢字の部首は『魚・さかなへん』、意味は『鮭(さけ)』です。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『ケイ』、訓読みは『鮭(さけ)』です。鮭と鱒を鮭鱒(ケイソン・さけます)、身が紅い種類の鮭を紅鮭(べにざけ)といいます。
『鮭(ケイ・さけ)』は常用漢字からは外れています。
魚を使った漢字について詳しくは『部首索引 魚』をご覧下さい。
『蛙(ア)』wāは、蛙(かえる)を表す形声文字です。漢字の足し算では、虫(爬虫類)+圭(綺麗な・三角の)=蛙(三角の形をした爬虫類。蛙。かえる)です。漢字の部首は『虫・むしへん』、意味は『蛙(かえる)』です。
音読みは呉音が『エ』、漢音が『ワ』、慣用音が『ア』です。訓読みは『蛙(かえる)』です。蛙の鳴く声を蛙声(アセイ)、井戸の中の蛙を井蛙(セイア)といいます。
音読みは『ケイ』ではなく、『ワ』、我が国では『ア』です。蛙の鳴き声を表すと言われています。
『蛙(ア・かえる)』は常用漢字からは外れています。『部首索引 虫(むし)』も御覧ください。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/post-e566.html
『漢字の覚え方 圭』 圭 奎 珪 桂 佳 罫 挂 掛 袿 閨 畦 街 崖 涯 鮭 蛙
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.錦織 けい( )選手。
2.二十八宿の けい( )宿。
3.物語は かきょう( )に入った。
4.かつら( )離宮。
5.当たるも はっけ( )。
6.か( )け算。
7.腰を か( )ける。
8.かいどう( )を行く。
9.がいとう( )演説。
10.がけ( )の上の家。
11.しょうがい( )賃金。
12.あぜみち( )。
13.べにざけ( )。
14.かえる( )。
解説です。基本の漢字は圭、星座の奎は大(大空)を足して奎、佳(よ)いはイ(にんべん)を足して佳、桂(かつら)は木(きへん)を足して桂、卦(うらない)は卜(ぼく)を足して卦、掛けるは扌(てへん)と卜(ぼくづくり)を足して掛、街(まち)は行(ぎょうがまえ)を足して街、厓・崖(がけ)は厂(がんだれ)を足した厓・崖、涯(みぎわ)は厓に氵(さんずい)を足して涯、閨(ねや)は門を足して閨、畦(あぜ)は田を足して畦、鮭(さけ)は魚(さかなへん)を足して鮭で、蛙は虫を足して蛙です。
解答です。圭、奎、佳境、桂、八卦、掛け算、掛ける、街道、街頭、厓、崖、生涯、畦道、畔道、紅鮭、蛙。
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