漢字の覚え方 羊
今日は『羊(ヨウ)』yángという漢字の仲間について説明します。基本になる漢字は『羊』です。音読みは『ヨウ』、意味は『羊(ひつじ)』、『広い』、『良い』です。羊、洋、様、養などがこの漢字の仲間です。また羊を使った漢字に、美、達などの漢字があります。
漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。『羊』に何を足すと羊、洋、様、養になるのかを考えます。羊、洋、様、美は小学校3年生で習う漢字 、養は小学校4年生で習う漢字 です。一緒に覚えましょう。
『羊(ヨウ)』yángは、羊を漢字にした象形文字です。古代では羊は神聖な儀式、裁判、に使われていました。意味は『ひつじ』、『いのる』、『善い』です。非常に縁起の良い、素晴らしい漢字の一つです。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨウ』です。訓読みは『ひつじ』です。羊の毛を羊毛(ヨウモウ)、羊の皮を羊皮(ヨウヒ)、羊の肉を羊肉(ヨウニク)、牧場の羊を牧羊(ボクヨウ)、空に有る羊の星座は牡羊座(おひつじザ)といいます。
『羊(ヨウ・ひつじ)』は小学校3年生で習う漢字です。
羊(ひつじ)は未(ひつじ)と書く場合があります。未は、暦(レキ・こよみ)、時刻(ジコク)、方角(ホウガク)を示します。未は旧暦の6月、時間は午後1~3時、方角は南南西を表します。
中国を中心とした東アジアの世界では、子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉 戌 亥の十二支を使って暦、時刻、方角を表しました。数字でもなんでもない漢字の順番を覚えるの大変です。そこで、神様に新年の挨拶に来た十二種類の動物になぞらえて、十二支を宛てて覚えたのです。
ちなみに一番目は牛の背中に乗ってきた鼠(子・ねずみ)、十二番目は勢いよく走ってきて、神様の前を通り越してしまった猪(亥・いのしし)です。
羊(未・ひつじ)は八番目に挨拶に来た動物と覚えるわけです。ちなみに一番目は牛の背中に乗ってきた鼠(子・ねずみ)、十二番目は勢いよく走ってきて、神様の前を通り越してしまった猪(亥・いのしし)です。
未については『漢字の覚え方 未』をご覧ください。
『洋(ヨウ)』yángは、大海原(おおうなばら)を表す形声文字です。漢字の足し算では、氵(水)+羊(良い・広い)=洋(広い水。大海原)です。漢字の部首は『氵・さんずい』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨウ』です。広々と広がっている様を洋洋(ヨウヨウ)、西洋の学問を洋学(ヨウガク)、遠い海を遠洋(エンヨウ)といいます。
前途洋洋(ゼントヨウヨウ)な非常に縁起の良い漢字で、『うみ』、『きよ』、『なみ』、『ひろ』、『ひろし』、『み』と広く名前に使われます。
『洋(ヨウ・ひろ)』は小学校3年生で習う漢字です。
『様(ヨウ)』yàngは、舟が水に良い感じに浮かんでいる様(さま)を表す形声文字です。本字は樣です。漢字の足し算では、木(対象物)+羊(良い)+永(水に永く浮かぶ)=樣・様(舟が水に良い感じに浮かんでいる様。さま)です。永は時間の経過、羊は善い感じ、木は対象物を表すとされています。漢字の部首は『木・もくへん』、意味は『様(さま)』、『かたち』、『やりかた』です。また、我が国では、『相手にたいする尊敬』を表します。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨウ』、訓読みは『様(さま)』です。見本・物事の型・ありさま・理由を様子(ヨウシ・ヨウス)、物事の一定の型を様式(ヨウシキ)、装飾としての絵や形・物事の経過を模様(モヨウ)といいます。
『様(ヨウ・さま)』は小学校3年生で習う漢字です。
『養(ヨウ)』yǎ<ngは、良い肉を食べて養生する様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、羊(良い)+食(食べる・食物)=養(良い肉を食べて養生する。養う。やしなう)です。漢字の部首は『食・しょく』、漢字の意味は『養(やしな)う』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨウ』、訓読みは『養(やしな)う』です。養い育てることを養育(ヨウイク)、生物が自ら養うために外から取り入れる成分を栄養(エイヨウ)、教え育てること・幅広い知識や理解力を教養(キョウヨウ)、魚介類などを養い殖やすことを養殖(ヨウショク)といいます。
非常に良い意味の漢字で『おさ』、『かい』、『きよ』、『すけ』、『のぶ』、『まもる』、『やす』、『よし』と名前に使われます。
『養(ヨウ・やしなう)』は小学校4年生で習う漢字です。
『美(ミ・ビ)』měiは、大きな美しい羊を表す会意文字です。漢字の足し算では、羊+大(大きい)=美(大きな美しい羊。美しい)です。漢字の部首は『羊・ひつじ』、意味『美しい』、『良い』、『善い』です。羊は古代中国では、縁起の良い動物とされていました。その羊が大きいので、『善い』、『美しい』の意味に使われます。
音読みは呉音が『ミ』、漢音が『ビ』、訓読みが『美(うつく)しい』です。美しい人を美人(ビジン)、善(よ)い味を美味(ビミ)、すぐれた徳を美徳(ビトク)、目元が美しいことを美目(ビモク)といいます。
特別な読み方に『美味(うま)い』、『美味(おい)しい』、『美濃(みの)』、『美作(みまさか)』があります。
非常に縁起の良い漢字で、『うま』、『うまし』、『きよし』、『とみ』、『はし』、『はる』、『ふみ』、『み』、『みつ』、『よ』、『よし』と広く名前に使われます。
また、草書体からひらがなの『み』が出来ました。
『美(ミ・ビ・うつくしい)』は小学校3年生で習う漢字 です。
恙(ヨウ・つつが虫)・痒(ヨウ・かゆい)も羊(ヨウ)の仲間の漢字ですが、こちらは羊(ひつじ)の象形ではなく、恙(つつが虫)の象形です。元気な状況をつつが虫にやられていない意味から恙(つつが)ないといいます。虫にやられたのが痒(かゆ)いです。
また羊(ヨウ)に近い漢字に、詳(ショウ)、翔(ショウ)、祥(ショウ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 詳』をご覧ください。
羊を使った漢字には『達(タツ)』、『遅(チ)』などがあります。
『達(タツ)』dá、táは、すらすら達(とお)る様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、辶(進む)+羊+大(大いに)=達(羊が大いに進む。すらすらとおる。達する)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、漢字の意味は『とおる』、『達(タッ)する』、『すらすら理解する』、『優れる』、『届く』、『出世する』、『うまい』、『仲間』です。
漢字の上の部分土は大の変形です。
音読みは呉音が『ダチ』、漢音が『タツ』です。高い地位に出世することを栄達(エイタツ)、物事をすらすらこなす優れた人を達人(タツジン)、配り届けることを配達(ハイタツ)、対等に交わる親しい仲間を友達(ともダチ)といいます。
優れる様子を表す非常に良い意味の漢字で、『いたる』、『かつ』、『さと』、『さとし』、『さとる』、『しげ』、『すすむ』、『ただ』、『たつ』、『たて』、『と』、『とおる』、『のぶ』、『ひろ』、『みち』、『よし』と広く名前に使われます。
達(タツ)は小学校4年生で習う漢字です。
大(ダイ・タイ)の仲間の漢字、太、泰などについて詳しくは『漢字の覚え方 大』をご覧ください。
羊を使った漢字、遅(チ)の正字は遲(チ)で、もとは羊ではなく犀(サイ)がゆっくり歩く(辶・進む)様子を表す漢字です。犀(サイ)の仲間の漢字です。
『遅(チ)』chíは、犀(サイ)がゆっくり歩く様子を表す漢字です。漢字の足し算では、辶(進む)+犀(サイ・ゆっくり歩く)=遲・遅(犀(サイ)がゆっくり歩く。遅い。遅れる)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、漢字の意味は『遅(おそ)い』、『遅(おく)れる』、『気長に待つ』です。
音読みは呉音が『チ』、漢音が『ジ』、訓読みは『遅(おそ)い』、『遅(おく)れる』です。物事が定時より遅れて延びることを遅延(チエン)、遅いことと速いことを遅速(チソク)、文章を書くことが遅いことを遅筆(チヒツ)、日が長くなり遅くまで明るくなった春の日を遅日(チジツ)、決められた時刻に遅れることを遅刻(チコク)といいます。
遅(チ・おそい)は中学生 で習う常用漢字です。
待ってあげる意味を表すため、『まつ』と名前に使われることがあります。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-d55b.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.ひつじ( )飼い。
2.ようもう( )布団。
3.日本海と たいへいよう( )。
4.前途 ようよう( )。
5.ようす( )をみる。
6.綺麗な もよう( )。
7.えいよう( )のある食物。
8.深い きょうよう( )。
9.びみ( )な御馳走。
10.見返り びじん( )。
解説です。基本の漢字は羊、洋(広い海)は氵(さんずい)を足して洋、様子は木と永を足して様、養うは食を足して養、美(うつく)しいは大を足して美です。
解答です。羊、羊毛、太平洋、洋洋、様子、模様、栄養、教養、美味、美人
« 漢字の覚え方 算 | トップページ | 漢字の覚え方 史 »
コメント