漢字の覚え方 令
漢字には意味・発音・構造上の漢字の仲間があります。今日は『令(レイ)』lìng という漢字を基本とした漢字の仲間について説明します。基本になる漢字は『令(レイ)』で、音読みは『レイ』、意味は『命令する』、『清らかな』、『大事な・長』、『人を並べる』です。令(レイ・よい)、冷(レイ・つめたい)、玲(レイ・たま)、怜(レイ・さとい)、伶(レイ)、鈴(レイ・リン・すず)、零(レイ)、澪(レイ・みお)、齢(レイ・とし)、領(リョウ)、嶺(レイ・みね)などがこの漢字の漢字の仲間、『命(メイ・いのち)』が近い漢字です。これらの漢字は、同じ『令(レイ)』という構成要素をもつので、漢字の足し算で表すことが出来ます。
漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味や発音を意識して漢字の足し算で覚えると便利です。『令(レイ)』に何を足すと冷(レイ・つめたい)、玲(レイ)、怜(レイ)、伶(レイ)、鈴(レイ・すず)、零(レイ)、澪(レイ・みお)、齢(レイ・とし)、領(リョウ)、嶺(レイ)になるのかを考えます。令、冷は小学校4年生習う漢字 、命は小学校3年生習う漢字 、領は5小学校5年生で習う漢字 、齢、鈴、零は中学校で習い、玲、怜、伶、澪、嶺は人名用漢字です。学年、学校に関係なく一緒に覚えましょう。
『令(リョウ・レイ)』lìngは、君主が清らかに人々に命令する姿を示す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、亼(人を集める)+卪(人々がひざまずく)=令(君主が清らかに人々に命令する。清らかな)です。漢字の部首は『人・ひとやね』です。漢字の意味は『命令する』、『清らかな』、『良い』、『大事な』、『人を並べる』、『おさ』です。
『説文解字』には「号を発するなり。亼と卪に従う」とあります。
音読みは呉音が『リョウ』・漢音は『レイ』です。訓読みは常用外に『令(おさ)』、『令(よ)い』があります。上位の者が下位のものに出す言いつけを命令(メイレイ)、命令の記された書類を令状(レイジョウ)、清らかなお譲さんを令嬢(レイジョウ)、君主の出す命令を令旨(リョウジ)、県の長官を県令(ケンレイ)、何をするにも良い月・陰暦の2月を令月(レイゲツ)といいます。
令(リョウ・レイ)は小学校4年生習う漢字です。象形・指事・会意・形声 四年生 もご覧ください。
呉音の『リョウ』は漢音で『レイ』と読むことがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音もご覧ください。
非常に縁起の良い漢字で、『おさ』、『なり』、『のり』、『はる』、『よし』と名前に使われます。
また、『令(レイ)』lìngに口(言葉)を添えた漢字が『命(メイ)』mìngで、ほぼ同じ意味で、その他に『命(いのち)』の意味があります。
『命(メイ)』mìngは、人々を集めて命令する様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、亼(集める)+卩(人が屈んだ姿)+口=命(人々を集めて命令する。いいつける。名付ける)です。漢字の部首は『口・くち』、意味は『命令する』、『いいつける』、『授ける』、『名を付ける』、『命(いのち)』です。
音読みは呉音が『ミョウ』、漢音が『メイ』、訓読みは『命(いのち)』です。天から授かった生きる定めを命(いのち)、名前を付けることを命名(メイメイ)、命令を下すことを下命(カメイ)、天から授かっためぐりあわせ(運)を運命(ウンメイ)、平安朝の宮中に仕える女官を命婦(ミョウブ)といいます。
非常に縁起の良い漢字で、『あきら』、『かた』、『とし』、『な』、『なが』、『のぶ』、『のり』、『まこと』、『み』、『みこと』、『みち』、『もり』、『や』、『よし』、『より』と名前に使われます。
命(ミョウ・メイ)は小学校3年生習う漢字です。象形・指事・会意・形声 三年生 もご覧ください。
『冷(レイ)』lěngは、清らかな氷の冷たい様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、冫(氷)+令(清らかな)=冷(清らかな氷が冷たい。冷たい。つめたい)です。漢字の部首は『冫・にすい』です。漢字の意味は『冷(つめ)たい』、『冷(ひ)える』です。
音読みは呉音が『リョウ』・漢音は『レイ』です。訓読みは『冷(つめ)たい』、『冷(ひ)える』、『冷(さ)める』です。食品など凍らせるこを冷凍(レイトウ)、恐怖を感じるときに出る冷たい汗を冷汗(レイカン・ひやあせ)、冷たい馬鹿にした笑いを冷笑(レイショウ)、冷たく落ち着いている様(さま)を冷静(レイセイ)といいます。
冷(レイ)は小学校4年生で習う漢字です。
『鈴(レイ)』língは、清らかな音のする鈴(すず)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、金(金属)+令(清らかな)=鈴(清らかな音のする金属。鈴。すず)です。漢字の部首は『金・かねへん』です。漢字の意味は『鈴(すず)』です。
音読みは呉音が『リョウ』・漢音は『レイ』、唐宋音が『リン』です。訓読みは『鈴(すず)』です。風に揺られて鳴る鈴を風鈴(フウリン)、古代日本で官吏が出張の際(駅)に持つ鈴を駅鈴(エキレイ)、花が鈴のような蘭(ラン)を鈴蘭(すずラン)といいます。
鈴(レイ・すず)は中学生 で習う常用漢字です。
綺麗な漢字で『すず』、『りん』と地名・人名に良く使われます。
『怜(レイ)』liánは、冷静な賢明さを表す形声文字です。漢字の足し算では、忄(心)+令(冷静)=怜(冷静な賢明さ。怜い。さとい)です。漢字の部首は『忄・りっしんべん』です。漢字の意味は『怜(さと)い』です。
音読みは呉音が『リョウ』・漢音は『レイ』です。訓読みは『怜(さと)い』です。頭の働きが鋭くて利口であることを怜悧(レイリ)といいます。
大変良い意味の漢字で、『さと』、『さとし』、『とき』と人名に使われます。
怜(レイ)は人名用漢字です。
『玲(レイ)』língは、宝石の清らかな様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、王(宝石)+令(清らかな)=玲(清らかな音のする宝石。その音色)です。漢字の部首は『王・おうへん・たま』です。漢字の意味は『綺麗な宝石』、『宝石の鳴る音』です。
音読みは呉音が『リョウ』・漢音は『レイ』です。玉の鳴る涼しい音・宝玉の綺麗な様子を玲瓏(レイロウ)といいます。
大変良い意味の漢字で、『あきら』、『たま』と人名に使われます。
玲(レイ)は人名用漢字です。
『伶(レイ)』língは、音楽を演奏する人・俳優を様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、イ(人間)+令(清らかな)=伶(清らかな音のする人間。音楽を演奏する人。清らかな姿の人間。俳優)です。漢字の部首は『イ・にんへん』です。漢字の意味は『演奏家』、『俳優』です。
音読みは呉音が『リョウ』・漢音は『レイ』です。音楽を演奏する人・俳優を伶人(レイジン)といいます。
伶(レイ)は人名用漢字です。
『零(レイ)』língは、清らかな雫(しずく)を表す形声文字です。漢字の足し算では、雨(水滴)+令(清らかな)=零(清らかなしずく。雫。落ちる。細い)です。漢字の部首は『雨・あめかんむり』です。漢字の意味は『雫(しずく)』、『落(お)ちる』、『細(ほそ)い』です。また英語のzeroに宛てて『零(ゼロ)』として使います。
音読みは呉音が『リョウ』・漢音は『レイ』です。草木が枯れ落ちること・栄えていたものが落ちぶれることを零落(レイラク)、点が全く無いことを零点(レイテン)、温度がマイナスになることを零下(レイカ)、規模が極めてわずかなことを零細(レイサイ)といいます。
零(レイ)は中学生 で習う常用漢字です。
『澪(レイ)』língは、細い水路を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵(水)+零(細い)=澪(細い水路。転じて舟の道筋。みお)です。漢字の部首は『氵・さんずい』です。漢字の意味は『細い水路』、『澪(みお)』です。
音読みは呉音が『リョウ』・漢音は『レイ』です。訓読みは『澪(みお)』です。舟の通り道を表す木の杭(標)を澪標(レイヒョウ・みおつくし)といいます。澪標(みおつくし)から先は水が浅くなっていて舟の航行が出来ないわけです。
大和言葉の語源は澪(みお)つ串(くし)と言われています。和歌では『身を尽くす』と掛け言葉として使われ、また大阪市の市章となっています。
澪(レイ・みお)は、綺麗で、舟を導く良い意味の漢字で、人名用漢字です。
『齢(レイ)』língは、年齢を表す形声文字です。漢字の足し算では、歯(歯の状態)+令(並ぶ)=齢(歯の状態を並ばせる。歯がない→歯が生える→歯が生え換わる→歯が抜ける。年月を表す。齢。とし)です。漢字の部首は『歯・はへん』です。漢字の意味は『齢(とし)』、『年齢(ネンレイ)』です。
音読みは呉音が『リョウ』・漢音は『レイ』です。訓読みは常用外の『齢(とし)』、『齢(よわい)』があります。生まれてからの年数を年齢(ネンレイ)といいます。
我が国では生まれた年を零(ゼロ)とする満年齢(マンネンレイ)が使われています。また宗教・占いや古い時代では生まれて年を一歳として正月ごとに年を加えるを数え年が使われることがあります。齢は書くのが大変なので令で代用することが多いです。
縁起の良い漢字で『とし』、『なか』、『よ』と名前に使われます。
齢(レイ)は中学生 で習う常用漢字です。
『領(リョウ)』lǐngは、首筋の綺麗なところを表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、令(きれい)+頁(首・頭)=領(首筋の綺麗なところ。転じて大事な場所)です。漢字の部首は『頁・おおがい』です。漢字の意味は『首』、『うなずく』、『大事な場所』、『収める』、『受け取る』です。
たたんだ衣服をの受け渡しに領(首筋)を持つことから、『収(おさ)める』、『受け取る』の意味に使います。
音読みは呉音が『リョウ』・漢音は『レイ』です。身体の大事な(首と腰)場所・重要なことを要領(ヨウリョウ)、おさめている土地を領土(リョウド)、理解してうなずくことを領解・了解(リョウカイ)、受け取ることを受領(ジュリョウ)、受け取り収めることを領収(リョウシュウ)、首(くび)と袖(そで)、転じて目立つ人物を領袖(リョウシュウ)といいます。presidentの訳語に大統領(ダイトウリョウ)を使います。
領(リョウ)は小学校5年生で習う漢字です。
『嶺(レイ)』lǐng は、山の嶺(みね)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、山(やま)+領(首・頭)=嶺(山の首筋。嶺。みね)です。漢字の部首は『山・やま』です。漢字の意味は『嶺(みね)』です。
音読みは呉音が『リョウ』・漢音は『レイ』です。訓読みは常用外の『嶺(みね)』です。京都の北にある嶺(みね)で比叡山延暦寺のことを北嶺(ホクレイ)、水系を分けている山の嶺(みね)を分水嶺(ブンスイレイ)といいます。
嶺(みね)は峰・峯(みね・ホウ)とも書きます。縁起の良い漢字で『ね』、『みね』と地名・人名に使われます。
嶺(レイ・みね)は人名用漢字です。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-289e.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.めいれい( )する。
2.良家の れいじょう( )。
3.捜査 れいじょう( )。
4.れいとう( )食品。
5.れいせい( )対応。
6.ふうりん( )が鳴る。
7.れいさい( )企業。
8.みおつくし( )。
9.ねんれい( )を記入する。
10.ようりょう( )を得ない。
11.固有の りょうど( )。
12.南都 ほくれい( )。
解説です。基本の漢字は令、冷(ひ)えるは冫(にすい)を足して冷、鈴(すず)は金(かねへん)を足して鈴、怜(さと)いは忄(りっしんべん)を足して怜、玲(レイ・美しい宝石)は工(おう)を足して玲、伶(レイ・音楽家)はイ(にんべん)を足して伶、零(レイ・しずく)は雨(あめかんむり)を足して零、澪(みお)は氵(さんずい)を足して澪、齢(とし)は歯を足して齢、領(うなずく)は頁(おおがい)を足して領、嶺(みね)は山を足して嶺です。
解答です。命令、令嬢、令状、冷凍、冷静、風鈴、零細、澪標、年齢、要領、領土、北嶺。
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