漢字の覚え方 漢

　今日は『漢（カン）』hànという漢字の『単語家族』（意味・発音上の漢字の仲間）について説明します。基本になる漢字は『𦰩（カン）』hànです。音読みは『カン』、意味は『渇く』、『乾く』、『炙（あぶ）る』です。漢、嘆、難、灘、儺などがこの漢字の『単語家族』です。

『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。𦰩（カン）に何を足すとどんな漢字になるのか
を考えます。漢は小学校で3年生で、難は6年生、嘆は中学校で習います。学年、学校に関係なく一緒に覚えましょう。

𦰩（カン）は漢の氵を抜いた漢字。この本文では堇（キン）で代用しています。御了承下さい。堇（キン）については『漢字の覚え方  堇』http://bit.ly/1RlZ9Su をご覧ください。

　『𦰩（カン）』hànは動物の革を火であぶった様子を表す会意文字で、燃やす様子、乾（かわ）いた様子、渇いた様子を表します。

漢字の足し算では、革（動物の革）＋火＝𦰩（動物の革を火であぶる。燃やす。乾いた。渇いた）です。単独で使うことはありません。漢、難、嘆の漢字の一部として使われています。

　『漢（カン）』hànは、涸（か）れた河を表す形声文字で、天の川のことです。やがて、揚子江の支流である漢水（カンスイ）、中国の漢王朝、漢民族、男をさすようになりました。

漢字の足し算では、氵（水）＋堇（乾いた）＝漢（天の川）です。漢字の部首は『氵・さんずい』、漢字の意味は『天の川』、『漢水』、『漢王朝』、『中国人』、『男』です。

音読みは呉音・漢音ともに『カン』、訓読みは常用外の『漢（おとこ）』があります。漢民族の字が漢字（カンジ）、良い男を好漢（コウカン）、中国の学問・技術を身に付けた才能を漢才（カンサイ）といいます。

『漢（カン）』は小学校3年生で習う漢字http://bit.ly/1Ro3ucX です。

　『難（ナン）』nán、nàn、nuóは、隹（とり）が炙（あぶ）られて辛（つら）い様子を表す形声文字です。『辛い』から、『なじる』、『わざわい』、『難（むずか）しい』、『難（かた）い』、『欠点』など多くの意味が派生しました。

漢字の足し算では、堇（炙る）＋隹（とり）＝難（隹（とり）が炙（あぶ）られて辛（つら）い。転じて難しい。むずかしい）です。漢字の部首は『隹・ふるとり』、意味は『わざわい』、『難（むずか）しい』、『欠点』です。

音読みは呉音が『ナン』、漢音が『ダン』、訓読みは『難（むずか）しい』、『難（かた）い』です。また、常用外の読み方に『難（にく）い』があります。難しい問題を難問（ナンモン）、難しいことと易しいことを難易（ナンイ）、解り難（にく）いことを難解（ナンカイ）、思いかけず身にふりかかる災いを災難（サイナン）といいます。

『難（ナン）』は小学校6年生で習う漢字http://bit.ly/1rMjElI です。

　『嘆（タン）』tànは、咽喉（のど）が渇いて嘆（なげ）く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、口（くち）＋堇（渇いた）＝嘆（咽喉（のど）が渇いて嘆（なげ）く）です。漢字の部首は『口・くちへん』、漢字の意味は『嘆（なげ）く』です。

音読みは呉音・漢音とも『タン』、訓読みは『嘆（なげ）く』です。嘆いてため息をつくことを嘆息（タンソク）、事情をよく話して頼み込むことを嘆願（タンガン）、心の深い感動を表現するのを詠嘆（エイタン）といいます。

『嘆（タン）』は中学校で習う常用漢字です。

　『灘（なだ）』tānは、水の流れが速い浅瀬や沖合の波の荒い場所、船で通るのが難しい場所を表す形声文字です。漢字の足し算では、氵（水）＋難（難しい）＝灘（船で通るのが難しい場所。灘、なだ）です。漢字の部首は『氵・さんずい』、意味は『灘（なだ）』、『海岸線』、『浅瀬』です。

音読みは呉音・漢音とも『タン』、慣用音が『ダン』ですが、あまり使われません。訓読みの『灘（なだ）』を使います。対馬海流による海の難所の玄界灘（ゲンカイなだ）、黒潮による海の難所の遠州灘（エンシュウなだ）、鳴門海峡の難所の播磨灘（はりまなだ）が有名です。また灘には海岸線を意味するため、海の見晴らしの良い土地にも灘と名付けられることがあります。神戸の灘（なだ）がそういわれています。

『灘（なだ）』は常用漢字から外れています。

　『儺（おにやらい）』nuóは、災難・疫病を追い払う行事を表す形声文字です。漢字の足し算では、イ（にんべん）＋難（災難・疫病）＝儺（人が災難や疫病を追い払う。儺、おにやらい）です。漢字の部首は『イ・にんべん』、意味は『儺（おにやらい）』です。

平安朝の宮中では、四つ目のお面をつけた官人が鬼を追い払ったとされ、現在では節分の豆まきの行事に引き継がれています。

音読みは呉音が『ナ』、漢音が『ダ』、訓読みは『儺（おにやらい）』です。

『魌（キ）』qī http://bit.ly/1p8NpVJ という、鬼を追い払う『儺（おにやらい）』を表す漢字もあります。

『儺（おにやらい）』は常用漢字から外れています。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-5008.html

『漢字の覚え方 漢』　漢　嘆　難　灘

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.かんじ（　　　　）の成り立ち。

2.中国の かん（　　）王朝。

3.なんもん（　　　　）の出題。

4.なんかい（　　　　）な問題。

5.さいなん（　　　　）に見舞われる。

6.えいたん（　　　　）を表す助動詞。

7.たんがん（　　　　）書の提出。

8.遠州なだ（　　）。

9.おにやらい（　　）。

解説です。基本の漢字は、漢は氵（さんずい）を足して漢、難（むずか）しいは隹（ふるとり）を足して難、嘆（なげ）くは口を足して嘆です、灘（なだ・海の難所）は氵（さんずい）を難に足して灘、儺（おにやらい）はイ（にんべん）を足して儺です。

解答です。漢字、漢、難問、難解、災難、詠嘆、嘆願、灘、儺。