漢字の覚え方 退

　今日は『退（タイ）』tuìという漢字の『単語家族』について説明します。基本になる漢字は『退』です。音読みは『タイ』、意味は『退（しりぞ）く』です。退、褪、腿などがこの漢字の『単語家族』です。

『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『退』に何を足すと褪、腿になるのかを考えます。退は小学校5年生で習う漢字 、褪、腿は中学校で習いませんが、一緒に覚えましょう。

　『退（タイ）』tuìは、日の下で足が止まる様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、日＋夊（足をひきずる）＋辶（進む）＝退（足をひきずって後退する。退く。しりぞく）です。部首は『辶・しんにょう』、意味は『退（しりぞ）く』、『引き下がる』です。

鋭い眼光にひるんで退く様子を表すとする説もあります。漢字の足し算では、辶（進む）＋艮（鋭い眼光）＝退（足をひきずって後退する。退く。しりぞく）です。

艮（コン・鋭い眼光）について詳しくは『漢字の覚え方 艮』http://bit.ly/1uYFXC7 をご覧ください。

音読みは呉音・漢音ともに『タイ』、訓読みは『退（しりぞ）く』、『退（ひ）く』です。後ろへ退くことを後退（コウタイ）、遠慮して引き下がることを辞退（ジタイ）、病気が治って病院を出ることを退院（タイイン）といいます。

『退（タイ・ひく）』は小学校5年生で習う漢字です。

　『褪（タイ）』tùn、tuìは、衣服の色が褪（あ）せる様子を表わす形声文字です。漢字の足し算では、衤（衣服）＋退（退く）＝褪（衣服の色が褪（あ）せる。色あせる）です。漢字の部首は『衤・ころもへん』、漢字の意味は『色褪（いろあ）せる』です。

音読みは呉音・漢音ともに『トン』、慣用音が『タイ』、訓読みは『褪（あ）せる』です。色が褪（あ）せることを褪色（トンショク・タイショク）といいます。

『褪（タイ・あせる）』は常用漢字から外れています。

　『腿（タイ）』tuǐ は、腿（もも）を表わす形声文字です。漢字の足し算では、月（身体）＋退（退く）＝腿（退くときに使う足の部分。腿。もも）です。漢字の部首は『月・にくづき』、漢字の意味は『腿（もも）』です。

漢字の世界では、脚（却）、腿（退）のように足の裏側・しりぞく方向を使う造字方法があります。

音読みは呉音・漢音ともに『タイ』、訓読みは『腿（もも）』です。股（また）から膝（ひざ）までを大腿（ダイタイ）・太腿（ふともも）、膝から足首までを小腿（ショウタイ）といいます。

『腿（タイ・もも）』は常用漢字から外れています。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-9e49.html

『漢字の覚え方 退』 退 褪 腿

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.たいいん（　　　）する。

2.受賞の じたい（　　　）。

3.衣服の色が あ（　）せる。

4.だいたいこつ（　　　　）。

5.ふともも（　　　）。

解説です。基本の漢字は退、色褪（あ）せるは衣（ころもへん）を足して褪、腿（もも）は月（にくづき）を足して腿です。

解答です。退院、辞退、褪せる、大腿骨、太腿。

漢字の覚え方 単

　今日は『単・單（タン）』dānという漢字の仲間（意味・発音・構造上の漢字の仲間）について説明します。基本になる漢字は『単・單』です。音読みは『タン』か『セン』、意味は『うちわ』、『一枚』、『上下に動く』です。単、憚、弾、戦、蝉、禅、箪などがこの漢字の仲間です。漢字学者の藤堂はこのような漢字の仲間を『単語家族』と表現していました。

『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『単』dānに何を足すと憚、弾、戦、蝉、禅、箪になるのかを考えます。単、戦は小学校4年生で習う漢字 、弾、禅 は中学生で習う常用漢字です。中学何年生で習うかは教科書によって異なります。箪は人名用漢字です。学年、学校にかかわらず一緒に覚えましょう。

　『単・單（タン）』dānは、藤製の団扇（うちわ）を動かす様子を表す象形文字です。漢字の部首は『ツ・つかんむり』です。意味は『上下に動かす』、『たたく』、『一枚の』、『一つの』です。單が本字ですが、常用漢字体の単を使って下さい。

音読みは呉音・漢音が『タン』、訓読みが『単（ひとえ）』です。一枚の着物を単衣（タンイ・ひとえ）、一人で馬に乗ることを単騎（タンキ）、全集などと違って一冊の出版物を単行本（タンコウボン）、ひと振りの刀で敵に切り込むこと・すぐ要点に触れることを単刀直入（タントウチョクニュウ）といいます。

単（タン）の反対は複（フク）です。詳しくは『漢字の覚え方 复』をご覧ください。

『単（タン・ひとえ）』は小学校4年生で習う漢字です。

　『弾（ダン）』tán、dànは、弓や琴の弦（ゲン）が上下に動く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、弓（ゆみ）＋単（上下に動かす）＝弾（弓や琴の弦（ゲン）を上下に動かす。弾く、ひく。はじく）です。漢字の部首は『弓・ゆみへん』、意味は『弾（はじ）く』、『弾（ひ）く』、『弾（はず）む』、『弾（たま）』、『悪事を弾（はじ）く』です。彈が本字ですが、常用漢字体の弾を使って下さい。

音読みは呉音が『ダン』、漢音が『タン』、訓読みは『弾（ひ）く』、『弾（はず）む』、『弾（たま）』と常用外の『弾（はじ）く』です。鉄砲・大砲の丸い弾を弾丸（ダンガン）、弾（はず）む性質を弾性（ダンセイ）、悪事を弾（はじ）き責（せ）める（劾・ガイ）ことを弾劾（ダンガイ）といいます。

『弾（ダン・ひく）』は中学生 で習う常用漢字です。

　『憚（タン）』dànは、びくびくする様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、忄（心）＋單（上下に動かす）＝憚（心が上下に動いてびくびくする。憚る。はばかる）です。漢字の部首は『示・りっしんべん』、意味は『憚（はばかる）る』、『心配する』です。

音読みは呉音・漢音とも『タン』、訓読みが『憚（はばかる）る』です。遠慮すること・忌（い）み憚（はばか）ることを忌憚（キタン）といいます。

『憚（タン・はばかる）』は常用漢字（普段・日常で使う漢字）から外れています。

　『箪（タン）』dānは、薄い竹で編んだ箱を表す形声文字です。漢字の足し算では、 竹（竹製）＋単（一枚の・薄い）＝箪（薄い竹で編んだ箱）です。漢字の部首は『竹・たけかんむり』、意味は『竹製の箱』、『飯びつ』、『衣服を入れる箱』です。我が国では木製の衣服を入れる家具もも箪笥（タンス）と箪を使います。

音読みは呉音・漢音とも『タン』です。植物の瓢（ひさご）で出来た器を瓢箪（ヒョウタン）、竹製の器に持った食事を箪食（タンシ）といいます。

『箪（タン）』は常用漢字（普段・日常で使う漢字）から外れていますが、人名用漢字です。

　『戦（セン）』zhànは、武器を持って戦（たたか）う様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、単（上下にパタパタ動かす）＋戈（ほこ・武器）＝戦（武器を持って戦う。いくさ）です。漢字の部首は『戈・ほこづくり』、意味は『戦（たたか）う』、『戦（いくさ）』、『戦いにふるえる』、『戦（そよ）ぐ』です。本字は戰ですが、常用漢字の戦を使います。

音読みは呉音・漢音とも『セン』、訓読みは『戦（たたか）う』で、常用外に『戦（そよ）ぐ』があります。戦い争うことを戦争（センソウ）、戦う（闘う）ことを戦闘（セントウ）、戦いにふるえる（慄）ことを戦慄（センリツ）といいます。

戦（そよ）ぐは、颭（そよ）ぐ、梵（そよ）ぐとも書きます。

『戦（セン・たたかう）』は小学校4年生で習う漢字です。

　『禅（ゼン）』shànは、君主が天を祀（まつ）る儀式を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、 示（神様・天）＋単（平らな壇上）＝禅（君主が壇上で天を祀る。禅（ゆず）る）です。漢字の部首は『示・しめすへん』、意味は『禅（ゼン）』、『禅（ゆず）る』です。天を祀る儀式を禅（ゼン）といい、君主の特権です。その特権を譲ることを禅を受けるといい、禅とは禅（ゆず）ることを指すようになりました。本字は禪ですが、常用漢字の禅を使います。

また、壇上に静座をし修行することも禅（ゼン）chánといいます。

音読みは呉音が『ゼン』、漢音が『セン』、訓読みは常用外の『禅（ゆず）る』です。天子が徳の高い人に位を譲ることを禅譲（ゼンジョウ）、静座して真理を悟る修行を座禅（ザゼン）、座禅をして内観により真理を悟る仏教の宗派を禅宗（ゼンシュウ）といいます。

『禅（ゼン・ゆずる）』は中学生 で習う常用漢字です。

　『蝉（セン）』chánは、羽を上下に動かして鳴く蝉（せみ）を表す形声文字です。漢字の足し算では、虫＋単・單（上下にパタパタ動かす）＝蝉・蟬（羽を上下に動かして鳴く蝉。せみ）です。漢字の部首は『虫・むしへん』、意味は『蝉（せみ）』、『美しい』です。本字は蟬ですが、人名用漢字の蝉の字体を使います。

音読みは呉音が『ゼン』、漢音が『セン』、訓読みは常用外の『蝉（せみ）』です。蝉の抜け殻・はかない現世を空蝉（うつせみ）、美しい人を蝉蜎（センケン）、蝉の羽のように薄い絹を蝉紗（センサ）といいます。

『蝉（セン・せみ）』は常用漢字（普段・日常で使う漢字）から外れています。『蝉（セン）』は人名用漢字です。

蝉（せみ）は蜩（せみ・ひぐらし）とも書きます。『部首索引 虫（むし）』も御覧ください。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-4dca.html

『漢字の覚え方 単』 単 弾 憚 戦 箪 禅 蟬

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.長さの たんい（　　　）。

2.たんとうちょくにゅう（　　　　　）。

3.大砲の だんがん（　　　）。

4.ピアノを ひ（　）く。

5.悪事を　きゅうだん（　　　）。

6.きたん（　　　）ない意見。

7.せんそう（　　　）と平和。

8.せんとう（　　　）開始。

9.たんす（　　　）の整理。

10.ざぜん（　　　）する。

11.皇位を ぜんじょう（　　　）。

12.せみ（　）の脱け殻。

解説です。基本の漢字は単・單、弾（ひ）くは弓（ゆみへん）を足して弾、憚（はばか）るは忄（りっしんべん）を足して憚、箪笥（たんす）は竹（たけかんむり）を足して箪、戦（たたか）うは戈（ほこづくり）を足して戦、禅（ゆず）るは示（しめすへん）を足して禅、蟬（せみ）は虫（むしへん）を足して蝉です。

解答です。単位、単刀直入、弾丸、弾く、糾弾、忌憚、戦争、戦闘、箪笥、座禅、禅譲、蝉、蜩。

漢字の覚え方 冒

　今日は『冒（ボウ）』màoという漢字の仲間について説明します。基本になる漢字は『冒』です。音読みは『ボウ』、意味は『被せる』、『被（おお）いをとる』、『冒（おか）す』です。冒、帽、瑁、などがこの漢字の仲間です。漢字学者の藤堂は、このような漢字の仲間について『単語家族』という表現を使っていました。

『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『冒』に何を足すと帽、瑁になるのかを考えます。冒、帽は中学生 で習う常用漢字です。漢字の足し算で、一緒に覚えましょう。

　『冒（ボウ）』màoは、目の上に衣を被せる様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、冃（頭巾）＋目（め）＝冒（目の上に衣を被（かぶ）せる。被（おお）う。被うものをとりさる。冒す。おかす）です。部首は『目・め』、意味は『被（おお）う』、『被（おお）いをとる』、『冒（おか）す』です。

『説文解字』には、「冡して前するなり。冃に従い目に従う」とあります。

音読みは呉音の『モウ』は使わず、漢音の『ボウ』を使います。訓読みは『冒（おか）す』です。危険を恐れず押し切ってやることを冒険（ボウケン）、神聖なものを冒（おか）すことを冒瀆（ボウトク）、目が被さって見えない状態を冒昧（ボウマイ）、頭巾の先端転じて、文章・話の最初の部分を冒頭（ボウトウ）のといいます。

『冒（ボウ・おかす）』は中学生 で習う常用漢字です。

少し漢字の発音の話をします。音読みというのは中国から輸入した時の発音です。呉音というのは奈良時代前後に輸入した中国の呉地方の発音、漢音というのは平安時代に輸入した長安（漢）の発音です。

一般的に呉音のマ行は漢音のバ行に変化しましたhttp://bit.ly/1LUTTpI ④。従って、呉音の『モウ』は漢音では『ボウ』と発音します。どちらの音を使うかは漢字によって違い、冒、帽、瑁は漢音の『ボウ』を使い。海亀の瑁は呉音の『マイ』を使います。

同じような呉音と漢音の関係を持つ漢字に、幕（マク・バク）、膜（マク・バク）、木（モク・ボク）、文（モン・ブン）、万（マン・バン）などがあります。

　『帽（ボウ）』màoは、目の上に衣を被せる様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、巾（頭巾）＋冒（被（おお）う）＝帽（目の上に衣を被（かぶ）せるもの。帽子。ボウシ）です。部首は『巾・ぬのへん』、意味は『帽子（ボウシ）』です。

音読みは呉音の『モウ』は使わず、漢音の『ボウ』を使います。頭に被る物を帽子（ボウシ）、赤い帽子・赤い帽子の運送業を赤帽（アカボウ）、学生の帽子を学帽（ガクボウ）といいます。

『帽（ボウ）』は中学生 で習う常用漢字です。

　『瑁（ボウ）』màoは、上に衣を被せる宝石を表す会意文字です。漢字の足し算では、王（玉・宝石）＋冒（被せる）＝瑁（上に衣を被（かぶ）せる宝石。宝石）です。部首は『王・おうへん』、意味は『宝石（ほうせき）』です。

音読みは呉音が『モウ』、漢音が『ボウ』です。現在ではこの意味で使われることはありません。

　『瑁（マイ）』にもうひとつ意味があります。まぶたの垂れた海亀を表します。漢字の足し算では、王（玉・宝石）＋冒（被せる）＝瑁（まぶたの垂れた海亀。宝石（鼈甲）の原料。玳瑁。たいまい）です。漢字の意味は『玳瑁（タイマイ）』です。

玳瑁（タイマイ）は熱帯に生息するウミガメで、甲羅（コウラ）を鼈甲（ベッコウ）と呼んで宝石の原料にします。音読みは呉音が『マイ』、漢音が『バイ』です。甲羅の黒さを表す『玳（タイ）』daiと一緒に使います。

『玳（タイ）』は黛（タイ）、貸（タイ）などと同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 代』http://bit.ly/1tysNxb をご覧ください。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-a6c2.html

『漢字の覚え方 冒』　冒　帽

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.ぼうけん（　　　）小説。

2.ぼうとう（　　　）に述べる。

3.ぼうし（　　　）を被る。

4.運送業の あかぼう（　　　）さん。

5.ウミガメ　たいまい（　　　）。

解説です。基本の漢字は冒、帽子（ボウシ）は巾（ぬのへん）を足して帽、玳瑁（タイマイ）は王（おうへん・ぎょく）を足して瑁です。

解答です。冒険、冒頭、帽子、赤帽、玳瑁。

漢字の覚え方 咅

　今日は『咅（ホウ）』pǒuという漢字の仲間について説明します。基本になる漢字は『咅』です。音読みは『ホウ』、意味は『背を向ける』、『左右に分かれる』、『左右』です。咅（ホウ）、部（ブ・わける）、倍（バイ・ます）、培（バイ・つちかう）、陪（バイ・そえる）、賠（バイ・つぐなう）、剖（ボウ・さく）などがこの漢字の仲間です。これらの漢字は同じ『咅（ホウ）』という構成要素からなるので、漢字の足し算で表すことが出来ます。

漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。『咅』に何を足すと部、倍、剖になるのかを考えます。部、倍は小学校3年生で習う漢字 、陪は中学生で習う常用漢字 、培、賠、剖は中学生で習う常用漢字 です。中学何年生で習うかは教科書によって異なります。学年、学校に関係なく、漢字の足し算で一緒に覚えましょう。

　『咅（ホウ）』pǒuの説明をします。『否』の漢字の変形で、花のつぼみを表していました。部首は『口・くち』、意味は『拒否する』、『背を向ける』、『左右に分かれる』、『左右にはらいのける』です。

音読みは呉音は『フ』、漢音とも『フウ』、慣用音が『ホウ』です。『咅（ホウ）』は常用漢字から外れていますが、『部』、『倍』などの漢字のパーツ（音符）として活躍しています。

また、つぼみを表す漢字としては『蓓（バイ・ハイ）』bèiがあります。

　『部（ブ）』bù、bouは、区分けする様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、咅（左右）＋阝（邑・むら）＝部（左右に村を分ける。区分けする。部分）です。部首は『阝・邑・おおざと』、意味は『部分』、『分ける』、『区分した書物』です。

音読みは呉音が『ブ』、漢音が『ホ』、慣用音が『フ』です。訓読みは常用外に『部（わ）ける』、『部（へ）』があります。全体をいくつかに分けたものの一つを部分（ブブン）、漢字の字書で文字を分類した一つのまとまりを部首（ブシュ）、組織の中心になる人たちを幹部（カンブ）、家の中を仕切って出来た部分を部屋（へや）といいます。部屋（へや）は常用漢字の付表に記されている特別な読み方です。

『部（ブ・わける）』は小学校3年生で習う漢字です。

　『倍（バイ）』bèiは、二倍を表す形声文字です。漢字の足し算では、イ（人の動作）＋咅（左右）＝倍（左右に分ける。二倍。ますます）です。漢字の部首は『イ・にんべん』、意味は『左右に分ける』、『そむく』、『二倍になる』、『ますます』です。

音読みは呉音が『バイ・ベ』、漢音が『ハイ』です。訓読みは常用外に『倍（ま）す』、『倍（そむ）く』があります。道徳にそむくことを倍徳（バイトク）、ある数量を二つ合わせることを二倍（ニバイ）、三つ合わせることを三倍（サンバイ）、何倍であるかを示す比率を倍率（バイリツ）といいます。

『倍（バイ・ます）』は小学校3年生で習う漢字です。

　『陪（バイ）』péiは、土をかけてそばにそえる様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、阝（阜・土盛り）＋咅（左右）＝陪（左右から土をかけて側にそえる。そえる。つき従う）です。部首は『阝・こざとへん』、意味は『そえる』、『つき従う』です。

『説文解字』には「土を重ねるなり。一に曰く満たすなり」とあります。

音読みは呉音が『ベ』、漢音が『ハイ』、慣用音が『バイ』です。訓読みは常用外に『陪（そ）える』があります。民間から選ばれた人が法廷で審議することを陪審（バイシン）、身分の高い人と同席することを陪席（バイセキ）といいます。

『陪（バイ・そえる）』は中学生 で習う常用漢字です。

　『培（バイ）』péiは、植物を育てる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、土（植物を植える土）＋咅（左右）＝培（左右から土をかけて植物を育てる。栽培する。培う。つちかう）です。部首は『土・つちへん』、意味は『育てる』、『培（つちか）う』です。

音読みは呉音が『バイ・ベ』、漢音が『ハイ』です。訓読みが『培（つちか）う』です。草木を育てること・微生物を育てることを培養（バイヨウ）、野菜・魚介類を育てることを栽培（サイバイ）といいます。

『培（バイ・つちかう）』は中学生 で習う常用漢字です。

　『賠（バイ）』péiは、お金で埋め合わせる・償う様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、貝（貨幣・財産）＋咅（左右）＝賠（左右からお金を集めて埋め合わせる・償う）です。部首は『貝・かいへん』、意味は『お金で埋め合わせる』、『償（つぐな）う』です。

音読みは呉音が『バイ・ベ』、漢音が『ハイ』です。訓読みは常用外に『賠（つぐな）う』があります。損害を埋め合わせて支払うこと・償（つぐな）うことを賠償（バイショウ）といいます。

償（つぐな）うは尚の漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 尚』をご覧ください。

『賠（バイ・つぐなう）』は中学生 で習う常用漢字です。

　『剖（ボウ）』pōuは、刀で二つに切り裂く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、咅（左右）＋刂（刀）＝剖（刀で二つに切り裂く。わける）です。部首は『刂・りっとう』、意味は『切り裂く』です。

音読みは呉音が『フ』、漢音が『ホウ』、慣用音が『ボウ』です。生物を切り裂いて（剖）、内部の構造を解き明かすことを解剖（カイボウ）といいます。

『剖（ボウ・さく）』は中学生 で習う常用漢字です。

　『蔀（ホウ）』bùは、左右から窓にあてがうむしろ・戸を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、艹（むしろ）＋部（左右からぴたりとあてる）＝蔀（左右から窓にあてがうむしろ・戸。蔀。しとみ）です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、意味は『蔀（しとみ）』です。

音読みは呉音が『ブ』、漢音が『ホウ』、訓読みがが『蔀（しとみ）』です。光をさえぎるための戸をいいます。

『蔀（ホウ・しとみ）』は中学校で習う常用漢字から外れています。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-0015.html

『漢字の覚え方 咅』　部　倍　培　陪　賠　剖

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.組織の かんぶ（　　　　）。

2.漢字の ぶしゅ（　　　　）。

3.自分の へや（　　　　）。

4.競争 ばいりつ（　　　　）。

5.ばいしん（　　　　）員裁判。

6.野菜の さいばい（　　　　）。

7.微生物の ばいよう（　　　　）。

8.損害 ばいしょう（　　　　）。

9.かいぼう（　　　　）実習。

解説です。基本の漢字は咅、部分は阝（おおざと）を右側に足して部、倍するは亻（にんべん）を足して倍、つき従うは阝（こざとへん）左側に足して陪で、野菜を栽培するは土を足して培、賠償するは貝を足して賠、解剖するは刂（りっとう）を足して剖です。

解答です。幹部、部首、部屋、倍率、陪審、栽培、培養、賠償、解剖

漢字の覚え方 咸

　今日は『咸（カン）』xiánという漢字の漢字の仲間（意味・発音上の漢字の仲間）について説明します。基本になる漢字は『咸（カン）』です。音読みは『カン』が『ゲン』、意味は『口を封じる』、『口を閉ざす』です。咸（カン）、感（カン）、憾（カン）、緘（カン・とじる）、減（カン・へる）、鹹（カン・しおからい）、鍼（カン・はり）などがこの漢字の仲間です。これらの漢字は同じ構成要素をもつので、漢字の足し算で表すことが出来ます。

漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算で覚えると便利です。『咸（カン）』に何を足したら咸、感、憾、緘、減になるのかを考えます。感は小学校3年生、減は小学校5年生 、憾は中学生 で習う常用漢字です。学年、学校に関係なく一緒に覚えましょう。

　『咸（カン）』xiánは、戉（まさかり）で人を脅して口を閉じさせる様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、戉（まさかり）＋口＝咸（まさかりでショックを与えて口を閉じさせる）です。漢字の部首は『口・くち』です。意味は『口を閉ざす』、『閉ざす』、『皆に口を閉じさせる』、『皆』です。

音読みは呉音が『ゲン』、漢音が『カン』です。秦の時代の都の咸陽（カンヨウ）は、現在でも大きな都市として有名です。

『咸（カン）』は常用漢字ではありません。

　『感（カン）』gǎnは、感動する様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、咸（戉・まさかりでショックを与えて口を閉じさせる）＋心＝感（口が開けられない程、心をうたれる。感動する）です。漢字の部首は『心・こころ』、意味は『感動する』、『感じる』、『ショックを受ける』です。

音読みは呉音が『コン』、漢音が『カン』です。物事に感じて動く心持を感情（カンジョウ）、刺激を受けて感動することを感激（カンゲキ）、ショックを受けて態度を変えることを感化（カンカ）、電気によるショックを感電（カンデン）といいます。

『感（カン）』は小学校3年生で習う漢字http://bit.ly/1Ro3ucX です。

　『憾（カン）』hànは、残念な気持ちを表す形声文字です。感がショックを受けて良い意味にも、悪い意味にも使われるようになったので、残念に思う気持ち用に造られた漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、忄（心の動き）＋感（心をうたれる）＝憾（残念な気持ち。残念に思う）です。漢字の部首は『忄・りっしんべん』、意味は『残念に思う』です。

音読みは呉音が『ゴン』、漢音とも『カン』です。心残り（遺）に残念に思う気持ちを遺憾（イカン）といいます。

『憾（カン）』は中学生 で習う常用漢字です。

　『緘（カン）』jiānは、糸で緘（と）じる様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、糸＋咸（閉ざす）＝緘（糸で緘（と）じる。）です。漢字の部首は『糸・いとへん』、意味は『糸で緘じる』、『口を閉ざす』です。

音読みは呉音が『ケン』、漢音が『カン』、訓読みは『緘（と）じる』です。封をして緘じることを封緘（フウカン）、口を閉じて何も言わせない命令を緘口令（カンコウレイ）といいます。

『緘（カン・とじる）』は常用漢字からは外れています。

緘口令（カンコウレイ）は箝口令（カンコウレイ・竹製のかせを口に嵌める）http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-930f.htmlとも書きます。

　『減（ゲン）』jiǎnは、水の流れを閉じて水量を減（へ）らす様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵（水）＋咸（閉ざす）＝減（水の流れを閉じて水量を減らす。減らす。へらす）です。漢字の部首は『氵・さんずい』、意味は『減（へ）らす』、『引く』です。

音読みは呉音が『ゲン』、漢音が『カン』、訓読みは『減（へ）らす）』、『減（へ）る』です。減って少なくなることを減少（ゲンショウ）、勢力が少なくなることを減退（ゲンタイ）、削って減らすことを削減（サクゲン）、引き算を減法（ゲンポウ）といいます。

『減（ゲン）』は小学校5年生で習う漢字です。

　『鹹（カン）』xiánは、口を閉ざす程塩辛い様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、鹵（アルカリ性のしお）＋咸（口を閉ざす）＝鹹（口を閉ざす程塩辛い。しおからい）です。漢字の部首は『鹵・しお』、意味は『塩辛い』、『鹹（しおから）い』です。

音読みは呉音が『ゲン』、漢音が『カン』です。訓読みは『鹹（しおから）い』です。塩分を含んだ水を鹹水（カンスイ）、塩分をたくさん含んでいる湖を鹹湖（カンコ）といいます。

鹹湖の水を中華麺に使ったことから、中華麺に使うアルカリ性の塩水を鹹水（カンスイ）と呼ぶことがあります。

『鹹（カン・しおからい）』は常用漢字からはずれています。

　『鍼（シン）』zhēnは、漢方の鍼（はり）を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、金（金属）＋咸（刺激する）＝鍼（金属製の鍼で人体を刺激して治療する。鍼。はり）です。漢字の部首は『金・かねへん』、意味は『鍼（はり）』です。

音読みは呉音・漢音ともに『シン』、訓読みが『鍼（はり）』です。治療に用いる鍼（はり）と灸（キュウ）を鍼灸・針灸（シンキュウ）といいます。漢字の成り立ちからすると、咸（カン）と同じ（カン）と読むはずですが、針（シン）zhenの影響を受けて鍼（シン）と読みます。

『鍼（シン・はり）』は常用漢字からはずれています。

鍼（はり）は針（はり）とも書きます。針（はり）は十の仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 十』http://bit.ly/1vHBPIs をご覧ください。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-740a.html

『漢字の覚え方 咸』　感　憾　緘　減　鹹　鍼

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.秦の都 かんよう（　　　）。

2.相手の かんじょう（　　　）に訴える。

3.かんでん（　　　）死。

4.いかん（　　　）に思う。

5.手紙を ふうかん（　　　）する。

6.かんこうれい（　　　　）を敷く。

7.人口が げんしょう（　　　）する。

8.費用の さくげん（　　　）。

9.塩分を含む かんすい（　　　）。

10.しんきゅう（　　　）医。

解説です。基本の漢字は咸、感じるは心を足して感、残念に思うは忄（りっしんべん）を足して憾、緘（と）じるは糸を足して緘、減らすは氵（さんずい）を足して減、鹹（しおからい）は鹵（しお）を足して鹹、鍼（はり）は金（かねへん）を足して鍼です。

解答です。咸陽、感情、感電、遺憾、封緘、緘口令、箝口令、減少、削減、鹹水、鍼灸・針灸。

漢字の覚え方 漢

　今日は『漢（カン）』hànという漢字の『単語家族』（意味・発音上の漢字の仲間）について説明します。基本になる漢字は『𦰩（カン）』hànです。音読みは『カン』、意味は『渇く』、『乾く』、『炙（あぶ）る』です。漢、嘆、難、灘、儺などがこの漢字の『単語家族』です。

『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。𦰩（カン）に何を足すとどんな漢字になるのか
を考えます。漢は小学校で3年生で、難は6年生、嘆は中学校で習います。学年、学校に関係なく一緒に覚えましょう。

𦰩（カン）は漢の氵を抜いた漢字。この本文では堇（キン）で代用しています。御了承下さい。堇（キン）については『漢字の覚え方  堇』http://bit.ly/1RlZ9Su をご覧ください。

　『𦰩（カン）』hànは動物の革を火であぶった様子を表す会意文字で、燃やす様子、乾（かわ）いた様子、渇いた様子を表します。

漢字の足し算では、革（動物の革）＋火＝𦰩（動物の革を火であぶる。燃やす。乾いた。渇いた）です。単独で使うことはありません。漢、難、嘆の漢字の一部として使われています。

　『漢（カン）』hànは、涸（か）れた河を表す形声文字で、天の川のことです。やがて、揚子江の支流である漢水（カンスイ）、中国の漢王朝、漢民族、男をさすようになりました。

漢字の足し算では、氵（水）＋堇（乾いた）＝漢（天の川）です。漢字の部首は『氵・さんずい』、漢字の意味は『天の川』、『漢水』、『漢王朝』、『中国人』、『男』です。

音読みは呉音・漢音ともに『カン』、訓読みは常用外の『漢（おとこ）』があります。漢民族の字が漢字（カンジ）、良い男を好漢（コウカン）、中国の学問・技術を身に付けた才能を漢才（カンサイ）といいます。

『漢（カン）』は小学校3年生で習う漢字http://bit.ly/1Ro3ucX です。

　『難（ナン）』nán、nàn、nuóは、隹（とり）が炙（あぶ）られて辛（つら）い様子を表す形声文字です。『辛い』から、『なじる』、『わざわい』、『難（むずか）しい』、『難（かた）い』、『欠点』など多くの意味が派生しました。

漢字の足し算では、堇（炙る）＋隹（とり）＝難（隹（とり）が炙（あぶ）られて辛（つら）い。転じて難しい。むずかしい）です。漢字の部首は『隹・ふるとり』、意味は『わざわい』、『難（むずか）しい』、『欠点』です。

音読みは呉音が『ナン』、漢音が『ダン』、訓読みは『難（むずか）しい』、『難（かた）い』です。また、常用外の読み方に『難（にく）い』があります。難しい問題を難問（ナンモン）、難しいことと易しいことを難易（ナンイ）、解り難（にく）いことを難解（ナンカイ）、思いかけず身にふりかかる災いを災難（サイナン）といいます。

『難（ナン）』は小学校6年生で習う漢字http://bit.ly/1rMjElI です。

　『嘆（タン）』tànは、咽喉（のど）が渇いて嘆（なげ）く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、口（くち）＋堇（渇いた）＝嘆（咽喉（のど）が渇いて嘆（なげ）く）です。漢字の部首は『口・くちへん』、漢字の意味は『嘆（なげ）く』です。

音読みは呉音・漢音とも『タン』、訓読みは『嘆（なげ）く』です。嘆いてため息をつくことを嘆息（タンソク）、事情をよく話して頼み込むことを嘆願（タンガン）、心の深い感動を表現するのを詠嘆（エイタン）といいます。

『嘆（タン）』は中学校で習う常用漢字です。

　『灘（なだ）』tānは、水の流れが速い浅瀬や沖合の波の荒い場所、船で通るのが難しい場所を表す形声文字です。漢字の足し算では、氵（水）＋難（難しい）＝灘（船で通るのが難しい場所。灘、なだ）です。漢字の部首は『氵・さんずい』、意味は『灘（なだ）』、『海岸線』、『浅瀬』です。

音読みは呉音・漢音とも『タン』、慣用音が『ダン』ですが、あまり使われません。訓読みの『灘（なだ）』を使います。対馬海流による海の難所の玄界灘（ゲンカイなだ）、黒潮による海の難所の遠州灘（エンシュウなだ）、鳴門海峡の難所の播磨灘（はりまなだ）が有名です。また灘には海岸線を意味するため、海の見晴らしの良い土地にも灘と名付けられることがあります。神戸の灘（なだ）がそういわれています。

『灘（なだ）』は常用漢字から外れています。

　『儺（おにやらい）』nuóは、災難・疫病を追い払う行事を表す形声文字です。漢字の足し算では、イ（にんべん）＋難（災難・疫病）＝儺（人が災難や疫病を追い払う。儺、おにやらい）です。漢字の部首は『イ・にんべん』、意味は『儺（おにやらい）』です。

平安朝の宮中では、四つ目のお面をつけた官人が鬼を追い払ったとされ、現在では節分の豆まきの行事に引き継がれています。

音読みは呉音が『ナ』、漢音が『ダ』、訓読みは『儺（おにやらい）』です。

『魌（キ）』qī http://bit.ly/1p8NpVJ という、鬼を追い払う『儺（おにやらい）』を表す漢字もあります。

『儺（おにやらい）』は常用漢字から外れています。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-5008.html

『漢字の覚え方 漢』　漢　嘆　難　灘

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.かんじ（　　　　）の成り立ち。

2.中国の かん（　　）王朝。

3.なんもん（　　　　）の出題。

4.なんかい（　　　　）な問題。

5.さいなん（　　　　）に見舞われる。

6.えいたん（　　　　）を表す助動詞。

7.たんがん（　　　　）書の提出。

8.遠州なだ（　　）。

9.おにやらい（　　）。

解説です。基本の漢字は、漢は氵（さんずい）を足して漢、難（むずか）しいは隹（ふるとり）を足して難、嘆（なげ）くは口を足して嘆です、灘（なだ・海の難所）は氵（さんずい）を難に足して灘、儺（おにやらい）はイ（にんべん）を足して儺です。

解答です。漢字、漢、難問、難解、災難、詠嘆、嘆願、灘、儺。

漢字の覚え方 愛

今日は『愛（アイ）』àiという漢字の仲間について説明します。基本になる漢字は『愛』です。音読みは『アイ』、意味は『愛（いと）しい』、『胸につかえた想い』です。愛、曖、噯などがこの漢字の仲間です。

漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算でを覚えると便利です。『愛』に何を足すと曖、噯になるのかを考えます。愛は小学校4年生で習う漢字 、曖は中学生で習うようになった常用漢字 です。一緒に覚えましょう。

　『愛（アイ）』àiは、心が切ない様・愛（いと）しい様子を表わす形声文字です。漢字の足し算は、旡（胸を詰まらせる）＋心＋夂（足をひきずる・ひざまずく）＝愛（足を跪くほど、胸を詰まらせるほど愛しい。いとしい。アイ）です。漢字の部首は『心・こころ』、意味は『愛（アイ）』、『愛（いと）しい』、『愛（め）でる』です。

スタンプにしてます。興味のある方はどうぞご覧ください。
http://line.me/S/sticker/1174726

音読みは呉音が『オ・アイ』、漢音が『アイ』、訓読みは常用外の『愛（いと）しい』、『愛（め）でる』です。愛（いと）しい心情を愛情（アイジョウ）、国を愛することを愛国（アイコク）、愛することと憎むことを愛憎（アイゾウ）といいます。

愛（アイ・めでる）は小学校4年生で習う漢字 です。

常用外の読み方とは、中学校の義務教育までには習わない読み方です。中学までの国語の授業では使いません。

非常に良い意味の漢字で『あい』、『あき』、『さね』、『ちか』、『ちかし』、『つね』、『なり』、『なる』、『のり』、『ひで』、『まな』、『めぐむ』、『やす』、『よし』、『より』と広く名前に使われます。

　『曖（アイ）』àiは、日が雲につつまれて暗い様子を表わす形声文字です。漢字の足し算では、日（太陽）＋愛（胸につかえた気持ち）＝曖（太陽が雲につかえて暗い。暗い）です。漢字の部首は『日・にちへん』、意味は『暗い』です。

音読みは呉音が『オ・アイ』、漢音が『アイ』。暗くてはっきりしない様を曖昧（アイマイ）といいます。

太陽が未だ昇りきっていない暗い状態が昧（マイ）です。昧（マイ）の漢字の仲間には妹（マイ・まだ小さい女）、味（ミ・小さいものまで吟味する）などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 未』をご覧ください。

曖（アイ）、昧（マイ）は平成22年度に新たに登録された中学生で習うようになった常用漢字 です。

　『噯（アイ・おくび）』àiは、胸につかえたガスが口から出る様子を表わす形声文字です。漢字の足し算では、口＋愛（胸につかえた気持ち）＝噯（胸につかえたガスが口から出る様子。噯。おくび）です。漢字の部首は『口・くちへん』、意味は『噯（おくび）』です。

音読みは呉音が『オ・アイ』、漢音が『アイ』、訓読みは『噯（おくび）』です。噯気（アイキ・おくび）とは胸につかえたガスが口から出るものです。噯（おくび）にも出さないとは、一言も話さないことをいいます。

曖（アイ・おくび）は常用漢字から外れています。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-eb6f.html

『漢字の覚え方 愛』　愛　曖　噯

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.あいじょう（　　　）に溢れる。

2.あいこく（　　　）心。

3.しんあい（　　　）なる友。

4.あいまい（　　　）な態度。

5.おくび（　）にも出さない。

解説です。基本の漢字は愛、曖昧（アイマイ）は日を足して曖、噯（おくび）は口を足して噯です。

解答です。愛情、愛国、親愛、曖昧、噯。

漢字の覚え方 殹

　今日は『殹（エイ）』yìという漢字の『単語家族』について説明します。基本になる漢字は『殹』です。音読みは『イ・エイ』、意味は『箱にしまう』です。醫、翳などがこの漢字の『単語家族』です。

『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『殹』に何を足すと醫、（医）、翳になるのかを考えます。医は小学校3年生で習う漢字 、翳は常用漢字ではありませんが、一緒に覚えましょう。

　『殹（エイ）』yìは、矢を箱にしまう様子を表わす会意文字です。漢字の足し算では、医（箱に入った呪術用の矢）＋殳(動作）＝殹（矢を箱にしまう。しまう）です。漢字の部首は『殳・ほこづくり』、意味は『しまう』です。

音読みは呉音が『アイ』、漢音が『エイ』です。殹の漢字単独で使われることはありません。醫、翳の漢字のパーツ（音符）として働いています。

　『医（イ）』yīは医術をする様子を表す漢字です。本字は醫（イ）で、医はその省略形です。漢字の足し算では、医（箱に入った呪術用の矢）＋殳(動作）＋酉（呪術用の酒）＝醫(道具や薬を使って病気を治す。医療行為。医）です。醫の漢字の部首は『酉・とり』、医の漢字の部首は『匚・はこがまえ』です。漢字の意味は『病気・怪我を治す』、『病気・怪我を治す人』です。

音読みは呉音・漢音ともに『イ』です。医院（イイン）、医師（イシ）、医薬（イヤク）、医者（イシャ）、名医（メイイ）の医です。

医（イ）は小学校3年生で習う漢字です。

　『翳（エイ）』yìは、羽根を翳（かざ）して翳（かげ）をつくる様子を表わす形声文字です。漢字の足し算では、医（箱に入った呪術用の矢）＋殳(動作）＋羽（羽根）＝翳（羽根を翳（かざ）して翳（かげ）をつくる。翳。かげ）です。身分の高い人の姿を隠す羽根製の扇をさします。漢字の部首は『羽・はね』、漢字の意味は『翳（かげ）』、『翳（かざ）す』です。

音読みは呉音が『アイ』、漢音が『エイ』、訓読みは『翳（かげ）』、『翳（かざ）す』です。光のの当らない暗い部分・その微妙な変化を陰翳・陰影（インエイ）といいます。

翳（エイ）は常用漢字から外れています。

常用漢字の影（エイ）http://bit.ly/1EOsiBW で代用することあります。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-c527.html

『漢字の覚え方 殹』　医　翳

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.いしゃ（　　　）と病気。

2.いやくひん（　　　）の販売。

3.めいい（　　　）と評判。

4.いんえい（　　　）。

5.かげ（　）りゆく部屋。

解説です。基本の漢字は殹、醫（イ）は酉（さかづくり）を足して醫、省略形は医、翳（かげ）は羽を足して翳です。

解答です。医者・醫者、医薬品・醫薬品、名医・名醫、陰翳・陰影、翳

漢字の覚え方 昷

　今日は『昷（オン）』wēnという漢字の仲間（意味・発音上の漢字の仲間）について説明します。基本になる漢字は『昷』です。意味は『こもる』です。昷、温、慍、媼などがこの漢字の仲間です。漢字学者の藤堂はこのような漢字の仲間を『単語家族』と表願していました。『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『昷』に何を足すとどんな漢字になるのかを考えます。温は小学校3年生で習う漢字 、慍、媼は常用漢字から外れていますが、一緒に覚えましょう。

　『昷（オン）』wēnは、蓋のついた器を表す象形文字です。中にこもる様を表します。漢字の部首は『皿・さら』。意味は『蓋のついた器』、『こもる』です。漢字の上の部分は人と書くのが歴史的ですが、日と書くのが常用的です。

音読みは呉音・漢音ともに『オン』です。昷の漢字単独で使うことはありませんが、温、慍、媼の漢字の一部として活躍しています。漢字の上の部分は人と書くのが歴史的ですが、日と書くのが常用的です。

昷（オン）は常用漢字から外れています。

　『温（オン）』wēnは 、器に入った温かいスープを表す形声文字です。漢字の足し算では、氵（水）＋昷（蓋つきの器）＝温（器に入った温かいスープ。温かい。あたたかい）です。漢字の部首は『氵・さんずい』、漢字の意味は『温（あたた）かい』、『熱が中にこもる』、『ぬくもり』、『温めてよみ返る』です。

音読みは呉音・漢音ともに『オン』、唐宋音が『ウン』です。訓読みは『温（あたた）かい』です。古い言葉を温めてよみ返らせることを温故（オンコ）、穏やかで誠実な様を温厚（オンコウ）、空気のぬくもりの程度を気温（キオン）、中国浙江省にある温かな地域を温州（ウンシュウ）といいます。

普通、日・気候・気象が『あたたかい』は『暖かい』と書きます。

『温（オン・あたたかい）』は小学校3年生で習う漢字です。

　『慍（ウン）』yùnは、怒（いか）りが心の中にこもる様子を表す形声文字です。近漢字の足し算では、忄（心の動き）＋昷（こもる）＝慍（怒りが心の中にこもる。慍る。いかる）です。漢字の部首は『忄・りっしんべん』、意味は『慍（いか）る』、『慍（うら）む』、『不平に思う』です。

音読みは呉音・漢音とも『ウン』、慣用音が『オン』です。訓読みは『慍（いか）る』、『慍（うら）む』です。『論語』に登場する漢字です。「人知らずして慍（いか）らず。（人に名前が知られなくても、不平に思わない）」の慍です。

『慍（ウン・いかる）』は常用漢字から外れています。

　『媼（オウ）』ǎoは、老いて体の丸くなった御婆さんを表す形声文字です。漢字の足し算では、女（女性）＋昷（こもる。丸くなる）＝媼（老いて体の丸くなった御婆さん。媼。おうな）です。漢字の部首は『女・おんな』、意味は『媼（おうな）』です。

音読みは呉音・漢音とも『オウ』、訓読みは『媼（おうな）』、『媼（おみな）』です。年をとった女の人を老媼（ロウオウ）、翁（おきな）と媼（おうな）を翁媼（オウオウ）といいます。

『媼（オウ）』は常用漢字から外れています。

翁（おきな）は御爺さんを表します。公 の『単語家族』です。詳しくは 『漢字の覚え方 公』 をご覧ください。

我が国の古語では男性を『き』、女性を『み』といいいます。翁（おきな）・媼（おみな）、伊耶那岐命（いざなぎのみこと）・伊耶那美命（いざなみのみこと）がそうです。

饂飩（うどん）の饂（ウン）や蘊蓄（ウンチク）の蘊（ウン）もこの仲間の漢字です。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-b4ac.html

『漢字の覚え方 昷』 温 慍 媼 饂 蘊

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.天候と きおん（　　　）。

2.おんこ（　　　）知新。

3.あたた（　　　）かいスープ。

4.あたた（　　　）かい日。

5.人知らずして いか（　　）らず。

6.翁と おうな（　　）。

解説です。基本の漢字は昷、温（あたた）めるは氵（さんずい）を足して温、慍（いか）るは忄（りっしんべん）を足して慍、媼（おうな・おみな）は女を足して媼です。

解答です。気温、温故、温かい、暖かい、慍、媼。