小学校3年生で習う漢字④(農~和)
小学校3年生で習う漢字を説明します。
『小学校3年生で習う漢字①』(悪~根)と 『小学校3年生で習う漢字②』(祭~進)、 『小学校3年生で習う漢字③』(世~童)、 『小学校3年生で習う漢字④』(農~和)に分割しています。ご了承下さい。
漢字の説明の前に、漢字の成り立ちの話をしましょう。最古の漢字辞書は後漢(西暦100年頃)の許慎(キョシン)の「説文解字(セツモンカイジ)」です。許慎はその中で漢字の成り立ちについて、四種類あるとしました。中学の教科書に掲載されるようになったので、解説致します。
①.物の形を象った(かたどった)『象形文字』(ショウケイモジ)、②.象形文字を基に点を打つことにより示された『指事文字』(シジモジ)、③.文字を組み合わせて造った『会意文字』(カイイモジ)、④.意味と音を示す文字を組み合わせた『形声文字』(ケイセイモジ)の四種です。『会意文字』と『形声文字』は漢字の足し算で表す事が出来ます。三年生の漢字については一覧にしてありますので象形・指事・会意・形声 三年生も御覧ください。
漢字の成り立ちについての解釈は四通りです。どの時代の漢字に重点を置くか、また「説文解字(セツモンカイジ)」にどれほど敬意を払うかにより、解釈が違う場合が稀にあります。ある辞書では『見』を象形文字、別の辞書では目+儿の会意文字としています。漢字の解釈については諸説あることを御承知下さい。
『農(ノウ)』nóngは、田畑の土を耕す様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、盥(両手)+辰(おおはまぐり)=農(おおはまぐりを使って田畑を耕す。耕す)です。漢字の部首は『辰・たつ』、漢字の意味は『耕(たがや)す』、『作物を育てる』です。
音読みは呉音が『ノウ』で、漢音の『ドウ』は使いません。畑を耕し、作物を育てる職業を農業(ノウギョウ)、農業を職業にする家を農家(ノウカ)、農業についての政治や制度を農政(ノウセイ)といいます。
呉音のナ行『ノウ』は、漢音ではダ行『ドウ』になります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音もご覧ください。
生産性のある非常に縁起の良い漢字で、『あつ』、『たか』、『たみ』、『つとむ』、『とき』、『とよ』、『なる』と名前に広く使われます。
漢字の世界では、古くは田畑は貝器(辰・おおはまぐり)で、『ねっとり』するように耕したとされています。液体の『ねっとり』した様子が濃(ノウ)です。
農の漢字の仲間には、濃、膿などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 農』をご覧下さい。
少し漢字の読み方の話をします。漢字の読み方は漢字を中国から輸入したときの読み方音読みと大和(やまと)言葉にあわせた訓読み(くんよみ)があります。音読みには、最初に輸入した中国江南地方(呉)の音である呉音(ゴオン)、遣唐使が持ち帰った長安の音である漢音(カンオン)、鎌倉仏教を通して入ってきた唐宋音(トウソウオン)、我が国で慣用的に使われる慣用音(カンヨウオン)があります。
『農』の呉音は『ノウ』です。漢音は『ドウ』です。『農』の場合は呉音の音が残り、呉音を使いますが、漢字によっては漢音を、呉音・漢音・唐宋音を使う場合もあります。延暦十一年に桓武天皇が漢音に統一する詔(みことのり)を出しましたが、呉音の読み方を改めるのは難しく、読み方が混合したまま、現在に至っています。
中国王朝の遷り変りによって、呉音のナ行は漢音ではダ行に変化しました、従って『農』の呉音は『ノウ』、漢音は『ドウ』 http://bit.ly/1LUTTpI (『呉音と漢音③』)と読みます。
『波(ハ)』bōは、水の波を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では氵(水)+皮(ななめ)=波(斜めの水。波)です。部首は『氵・さんずい』、意味は『波』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ハ』で、訓読みは『なみ』です。波浪(ハロウ)、電波(デンパ)、大波(おおなみ)、白波(しらなみ)の波です。
なみには『浪(ロウ)』という漢字もあります。こちら漢字は良い(綺麗)な浪の意味です。良、朗、郎などの仲間です。『瀾(ラン)』は続くなみ、『濤(トウ)』は大きいうねりののなみ。漢字は二語で安定します。『波浪(ハロウ)』、『波瀾(ハラン)』、『波濤(ハトウ)』はニュアンスが少し違いますが『なみ』です。『波浪(ハロウ)』、『波瀾(ハラン)』、『波濤(ハトウ)』は同じ意味の漢字を重ねた熟語です。
波(ハ)は皮(ヒ)の漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 皮』をご覧ください。
『配(ハイ)』pèiは、御酒を配る様子を表す漢字です。漢字の足し算では、酉(酒樽)+己(そばにいて配る人)=配(御酒を配る人。配る)です。漢字の部首は『酉・さけづくり・とり』。意味は『配る(くばる)』、『役目を与える』、『つれそう』です。
音読みは漢音の『ハイ』が普通で、呉音の『ヘ・ハイ』は使いません。訓読みは『配る(くばる)』です。御酒を配るの意味から、配達(ハイタツ)、配当(ハイトウ)。役割を与えるの意味で、支配(シハイ)、配下(ハイカ)。つれそう人の意味から配偶者(ハイグウシャ)等多くの熟語があります。
日本語では『ン』の後のh音は、pかb音に変化します。唇が動きやすいからです。従って『ハイ』は、年配(ネンパイ)、軍配(グンバイ)のように『パイ』、『バイ』と読むことがあります。
配(ハイ)に近い漢字には、妃(ヒ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 配・妃』をご覧下さい。
『倍(バイ)』bèiは、二倍を表す形声文字です。漢字の足し算では、イ(人の動作)+咅(左右)=倍(左右に分ける。二倍。ますます)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、意味は『左右に分ける』、『そむく』、『二倍になる』、『ますます』です。
音読みは呉音が『バイ・ベ』、漢音が『ハイ』です。道徳にそむくことを倍徳(バイトク)、ある数量を二つ合わせることを二倍(ニバイ)、三つ合わせることを三倍(サンバイ)、何倍であるかを示す比率を倍率(バイリツ)といいます。
倍(バイ)は咅(ホウ)の漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 咅』をご覧ください。
『畑(はたけ)』は、畑(はたけ)を表す会意文字です。漢字の足し算では、火(焼く)+田=畑(草を焼いて肥料にする畑。はたけ)です。畑は我が国でつくられた国字です。漢字の部首は『田・た』、漢字の意味は『畑(はたけ)』、『専門分野』です。
訓読みは『畑(はたけ)』、『畑(はた)』で、音読みはありません。田畑(たはた)、畑仕事(はたけしごと)、畑違(はたけちが)いの畑です。
非常に重要な漢字で『はた』、『はたけ』と地名・人名に使われます。
畑(はたけ)は田を使った漢字です。田ついては『漢字の覚え方 田』をご覧ください。
『発(ハツ)』fāは、弓をはじいて発射する様子を表す形声文字です。發が本字です。漢字の足し算では、癶(両足を左右に開く)+弓+殳(動作)=發(左右に足を開くようにパッと弓を発射する。発する)です。漢字の部首は『癶・はつがしら』、意味は『発射する』、『進み始める』、『おこる』、『明らかにする』、『あばく』、『弾丸・弓の数』です。
音読みは呉音が『ホチ』、漢音が『ハツ・ホツ』です。ある目的地に向かって進み始めることを出発(シュッパツ)、工夫して新しい事物を考え出すことを発明(ハツメイ)、世の中に知られていないことを見つけだすことを発見(ハッケン)、遺跡など掘ってあばくこと、明らかにすることを発掘(ハックツ)といいます。
発(ハツ)は癶(ハツ)の漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 癶』をご覧ください。
『反(ハン)』fǎnという漢字は、坂の反(そ)った様子や反物(タンもの)を漢字にしたものです。漢字の足し算では厂(がけ)+又(手)=反、厂(斜めの布)+又(手)=反です。意味は『反(そ)る』、『反(かえ)る』、『ふりかえる』、『布の長さ』です。
音読みは漢音が『ハン』、呉音が『ホン』、慣用音が『タン』、訓読みは『返(そ)る』で、常用外に『反(かえ)る』があります。あべこべであること・逆(さか)らうことを反対(ハンタイ)、権力に逆らうことを反抗(ハンコウ)、国家・君主に叛(そむ)くことを謀反(ムホン)、自分のした過(あやま)ちを悪かったと思うことを反省(ハンセイ)、光が水面に映ること・影響を及ぼしてあらわすことを反映(ハンエイ)、約30cm×10m(九寸×ニ丈八尺)の布地を一反(イッタン)といいます。
『坂(ハン)』bǎn という漢字は、坂を登る様子を形声文字です。漢字の足し算では、土+反(反る)=坂(反った土。坂。阪)です。部首は『土』、意味は『坂』です。
音読みは漢音が『ハン』、呉音が『ホン』で、慣用音に『バン』があります。訓読みは『さか』です。急坂(キュウハン)、登坂(トウハン・トハン)、坂東(バンドウ)、坂道(さかみち)の坂です。
『板(ハン)』bǎn
は、板が反(そ)る様子を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、木+反(反る)=板(反り返った板。板)です。部首は『木』、意味は『板(いた)』です。
丸木からとった木の板は、乾燥が不十分だと反りかってしまいます。木目があるからです。反らないようにするには、十分乾燥させたあとに板の形に製材する必要があります。
音読みは漢音が『ハン』、呉音が『ヘン』、慣用音が『バン』です。訓読みは『いた』です。合板(ゴウハン)、黒板(コクバン・くろいた)、看板(カンバン)の板です。
坂(ハン)、板(ハン)は反(ハン)の漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 反』をご覧ください。
『皮(ヒ)』píは、動物の皮を手で身体に被せる様子を漢字にしたものです。漢字の足し算では、广(動物の皮)+又(手)=皮(動物の皮を被る)です。漢字の部首は『皮・けがわ』、意味は『皮(かわ)』、『被る(こうむる)』、『斜め』などの多くの意味があります。
音読みは漢音の『ヒ』が普通で、呉音の『ビ』は使いません。訓読みは『かわ』です。皮膚(ヒフ)、皮革(ヒカク)、皮肉(ヒニク)、薄皮(うすかわ)、毛皮(けがわ)の皮です。
皮(ヒ)の漢字の仲間には、彼(ヒ)、波(ハ)、破(ハ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 皮』 をご覧ください。
『悲(ヒ)』bēiは、向こうにある人物・物を指す形声文字です。漢字の足し算では、非(左右に別れる)+心=悲(胸が裂けるようなせつない気持ち。悲しい)です。漢字の部首は『心・こころ』です。漢字の意味は『悲(かな)しい』、『悲しい気持ちを取り除く』、『あわれむ』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ヒ』です。訓読みは『悲(かな)しい』です。悲しく哀れなことを悲哀(ヒアイ)、悲しい見方(観)を悲観(ヒカン)、悲壮な願い・仏教でいう救いの誓いを悲願(ヒガン)、慈(いつく)しみ悲しい気持ちを取り除くことを慈悲(ジヒ)といいます。
『かなしい』は哀(かな)しいとも書きます。
悲(ヒ)は非(ヒ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 非』をご覧ください。
『美(ビ)』měiは、大きな美しい羊を表す会意文字です。漢字の足し算では、羊+大(大きい)=美(大きな美しい羊。美しい)です。漢字の部首は『羊・ひつじ』、意味『美しい』、『良い』、『善い』です。羊は古代中国では、縁起の良い動物とされていました。その羊が大きいので、『善い』、『美しい』の意味に使われます。
音読みは呉音が『ミ』、漢音が『ビ』、訓読みが『美(うつく)しい』です。美しい人を美人(ビジン)、善(よ)い味を美味(ビミ)、すぐれた徳を美徳(ビトク)、目元が美しいことを美目(ビモク)といいます。
呉音のマ行『ミ』は、漢音ではバ行『ビ』になります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音 もご覧ください。
特別な読み方に『美味(うま)い』、『美味(おい)しい』、『美濃(みの)』、『美作(みまさか)』があります。
非常に縁起の良い漢字で、『うま』、『うまし』、『きよし』、『とみ』、『はし』、『はる』、『ふみ』、『み』、『みつ』、『よ』、『よし』と広く名前に使われます。
また、草書体からひらがなの『み』が出来ました。美(ビ)は羊(ヨウ)を使った漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 羊』をご覧ください。
『鼻(ビ)』bíは、鼻を象(かたど)った形声文字です。漢字の足し算では、自(鼻)+畀(わたす。空気を引く)=鼻(空気を引く器官。鼻)です。漢字の部首は『鼻・はな』、意味は『鼻(はな)』、『最初』です。
音読みは呉音が『ビ』、漢音が『ヒ』、訓読みは『鼻(はな)』です。耳と鼻で耳鼻(ジビ)、最初の子供を鼻子(ビシ)、鼻の薬・賄賂(ワイロ)を鼻薬(はなぐすり)といいます。
鼻(ビ)は自(ジ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 自』をご覧ください。
『筆(ヒツ)』bǐは、竹製の筆(ふで)を表す形声文字です。漢字の足し算では、竹(竹製)+聿(ふでを手で持つ)=筆(竹製の筆。ふで)です。漢字の部首は『竹・たけかんむり』、漢字の意味は『筆(ふで)』です。
音読みは呉音が『ヒチ』、漢音が『ヒツ』、訓読みが『筆(ふで)』です。口でいわずに文字を書いて意思を通じあうことを筆談(ヒツダン)、本人に代わって筆をとることを代筆(ダイヒツ)、武家の秘書役・代筆者を右筆・祐筆(ユウヒツ)、黒鉛(コクエン)を芯(しん)とする木製の筆記用を鉛筆(エンピツ)といいます。
呉音の『チ』韻は、漢音では『ツ』韻になります。この読み方は、入声音と呼ばれ、中国ではモンゴル帝国の時代になくなりました。現代の北京語では『笔(ビー)』biになります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音もご覧ください。
筆(ヒツ)は聿(イツ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 聿』をご覧ください。
『氷(ヒョウ)』bīngは、氷を表す形声文字です。漢字足し算では、冫(氷の結晶)+水=氷・冰(水が凍って出来た氷。こおり)です。字体は二通りありますが、常用漢字体の氷を使ってください。漢字の部首は『水・みず』、意味は『氷(こおり)』です。
音読みは、呉音・漢音ともに『ヒョウ』、訓読みは『氷(こおり)』、『氷(ひ)』です。海に浮かぶ氷の山を氷山(ヒョウザン)、海流に乗って流れてくる氷を氷山(ヒョウザン)、その年に始めて張る氷を初氷(はつごおり)、雹(ヒョウ)や氷のように冷たい雨を氷雨(ひさめ)といいます。
『表(ヒョウ)』biǎoは、毛皮の衣服の表部分を示した漢字です。漢字の足し算では、毛(け・毛皮)+衣(ころも・衣服)=表(毛皮の衣服の表部分。表す)です。漢字の部首は『衣・ころも』です。
『表』は衣服の表側を表しますが、表現などの内面を表す意味、図表など記号を使って表すこと、辞表など公式な文書の意味もあります。音読みは呉音・漢音ともに『ヒョウ』で、訓読みは『おもて』、『表(あらわ)す』、『表(あらわ)れる』です。
表紙(ヒョウシ)、表面(ヒョウメン・おもてめん)、表現(ヒョウゲン)、公表(コウヒョウ)、年表(ネンピョウ)、図表(ズヒョウ)、辞表(ジヒョウ)の表です。
表裏を表す非常に大事な漢字で、『あき』、『あきら』、『うわ』、『お』、『おも』、『きぬ』、『こずえ』、『すず』、『と』、『よし』と多くの名前に使われます。
表(ヒョウ)の『単語家族』には、俵(ヒョウ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 表』をご覧下さい。
『秒(ビョウ)』miǎoは禾(のぎへん)に少で、稲・穀物の穂先の更に先端部分の象形です。転じて時間の極々短い単位に使われています。漢字の足し算では、禾(稲・のぎへん)+少=秒(稲の先端の細い部分。時間の小さい単位。秒)です。漢字の部首は『禾・のぎへん』です。時間・角度・緯度経度の単位になっています。
音読みは呉音の『ミョウ』は使わず、漢音の『ビョウ』を使います。秒速(ビョウソク)、毎秒秒(マイビョウ)、寸秒(スンビョウ)の秒です。
秒(ビョウ)は小(ショウ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 小』をご覧ください。
『病(ビョウ)』bìngは、病(やまい)に体が硬直する様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、疒(ベット)+丙(体が硬直する)=病(ベットの上で体が硬直する。病。やまい)です。漢字の部首は『疒・やまいだれ』、漢字の意味は『病(やまい)』、『病気』です。
音読みは呉音が『ビョウ』、漢音が『ヘイ』、訓読みが『病(やまい)』、『病(や)む』です。病気の人を病人(ビョウニン)、病人を治療する施設を病院(ビョウイン)、病気のあらたまった言い方を疾病(シッペイ)といいます。
呉音の『ビョウ』は、漢音では『ヘイ』になります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音もご覧ください。
疾(シツ)jiは矢(速い)http://bit.ly/1Isg57qで急な病気をいいます。
病(ビョウ)は丙(ビョウ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 丙』をご覧ください。
『品(ヒン)』pǐnは、いろいろな品物を表す会意文字です。漢字の足し算では、口(もの)+口(もの)+口(もの)=品(いろいろな品物)です。漢字の部首は『口・くち』、意味は『品(しな)』、『等級』、『位』、『人柄』です。
音読みは呉音が『ホン』、漢音が『ヒン』、訓読みが『品(しな)』です。品物の善し悪しを評価することを品評(ヒンピョウ)、品物の値打ち・人柄の良さを品位(ヒンイ)、人柄のことは品性(ヒンセイ)ともいいます。
品性を表す重要な文字で、『かず』、『かつ』、『しな』、『ただ』、『のり』、『ひで』と名前に使われます。
品(ヒン)の『単語家族』には臨(リン)があります。詳しくは『漢字の覚え方 品』をご覧ください。
『負(フ)』fùという漢字は、人が財貨を背負う姿を示しています。漢字の足し算では、人+貝(財貨)=負(財貨を背負う。背を見せて負ける)です。漢字の部首は『貝・かい』です。
漢字の意味は、背中にのせるで『負(お)う』、『頼りにする』です。背を向けることから、『そむく』、『負(ま)ける』の意味にも使われます。
音読みは呉音が『ブ』、漢音が『フウ』、慣用音が『フ』です。訓読みは『負(ま)ける』、『負(お)う』です。自分を頼りにすることを自負(ジフ)、やっかいなものを背負うことを負担(フタン)といいます。
負(フ)は貝(バイ)に近い漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 貝・買』をご覧ください。
『部(ブ)』bù、bouは、区分けする様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、咅(左右)+阝(邑・むら)=部(左右に村を分ける。区分けする。部分)です。部首は『阝・邑・おおざと』、意味は『部分』、『分ける』、『区分した書物』です。
音読みは呉音が『ブ』、漢音が『ホ』、慣用音が『フ』です。全体をいくつかに分けたものの一つを部分(ブブン)、漢字の字書で文字を分類した一つのまとまりを部首(ブシュ)、組織の中心になる人たちを幹部(カンブ)、家の中を仕切って出来た部分を部屋(へや)といいます。部屋(へや)は常用漢字の付表に記されている特別な読み方です。
部(ブ)は咅(ホウ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 咅』をご覧ください。
『服(フク)』fúは、身体にピタリとつける衣服を表す形声文字です。漢字の足し算では、月(舟)+卩(人)+又(手)=服(人に手をピタリとつける。舟べり。身体にピタリとつける衣服)です。
舟をつけるようにピタリとつけるものから、衣服の意味になったといわれています(藤堂)。漢字の部首は『月・つきへん(ふなづき)』、意味は『衣服(イフク)』、『つき従う』、『離れない』、『体に取り入れる』です。
甲骨文字では、卩(屈んだ人)+又(手)で『降服(コウフク)』した人を表す漢字であるといわれています。
音読みは呉音が『ブク』、漢音が『フク』です。身体に身につける衣(ころも)を衣服(イフク)、権力につき従わせることを服従(フクジュウ)、罪人を離さないで仕事に従事させることを服役(フクエキ)、薬を体内に取り入れることを服用(フクヨウ)といいます。
『福(フク)』fúは、礻(しめすへん・神)に畐を合わせた漢字です。漢字の足し算では、礻(しめすへん・神)+畐(ゆたか)=福(神から恵まれた豊かさ)です。部首は『礻・しめすへん』、音読みは『フク』、訓読みは常用外の『さいわい』があります。
幸福の『幸(コウ・サチ)』は、裁判で刑罰から逃れた様子を示す漢字といわれています。『さいわい』は、普通『幸い』と書きます。
幸福(コウフク)、福祉(フクシ)、冥福(メイフク)、福音(フクイン)、祝福(シュクフク)、裕福(ユウフク)、招福(ショウフク)の福です。
福(フク)は畐(フク)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 畐』をご覧ください。
『物(ブツ)』wùは、いろいろな物を表す形声文字です。元の意味はいろいろな牛(うし)を表す漢字でしたが、いろいろな物を表すようになりました。漢字の足し算では、牛+勿(いろいろ・乱れる・わからない)=物(いろいろな物。もの)です。漢字の部首は『牛・うしへん』、漢字の意味は『物(もの)』です。
音読みは呉音が『モツ』、漢音が『ブツ』、訓読みは『物(もの)』です。物事の道理・運動・光・音などを研究する学問を物理(ブツリ)といいます。
漢字の世界では、生きている物を生物(セイブツ)、動く生き物を動物(ドウブツ)、根があって動かない(植)生き物を植物(ショクブツ)、黄色(広)の光る石・金属を含んだ石を鉱物(コウブツ)といいます。
物(ブツ)は勿の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 勿』をご覧ください。
『平(ヘイ)』píngは、浮草の平らに浮かぶ様子を描いた象形文字です(藤堂)。漢字の部首は『干・かん』、漢字の意味は『平(たい)ら』、『乱をしずめる』、『おだやか』、『平家』です。
手斧(チョウナ)で削った破片の左右に散る姿を表す会意文字(白川)ともいわれています。漢字の足し算では、于(手斧の形)+八(左右に散る破片)=平(手斧で平らに削る。たいら)です。
音読みは呉音が『ビョウ』、漢音が『ヘイ』、訓読みが『平(たい)ら』、『平(ひら)』です。平らかに等しい様子を平等(ビョウドウ)、おだやかで和やかな様子が平和(ヘイワ)、乱を鎮め安定させることを平定(ヘイテイ)、平穏で安らかなことを平安(ヘイアン)といいます。
呉音の『ビョウ』は、漢音では『ヘイ』になります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音もご覧ください。
平の『単語家族』には、評、坪などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 平』をご覧下さい。
『返(ヘン)』fǎnは、元来たほうへ返る様子を表す漢字です。漢字の足し算では、辶(しんにょう・進む)+反(さか)=返(元来たほうへ返る。返す)です。漢字の部首は『辶(しんにょう・』
音読み漢音が『ハン』、呉音が『ホン』ですが使いません。慣用音の『ヘン』を使います。訓読みは『返す(かえす)』です。返事(ヘンジ)、返答(ヘントウ)、借金を返す(かえす)の返です。『返』は小学校3年生で習う漢字です。
返(ヘン)は反(ハン)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 反』をご覧ください。
『勉(ベン)』miǎnは力を出して励むことを示す漢字です。漢字の足し算では、免(やっと)+力=勉(力を出して励む)です。漢字の部首は『力』です。
音読みは漢音の『ベン』です。呉音の『メン』は使いません。訓読みは『勉める(つとめる)』、『つとむ』、『まさる』です。勉強(ベンキョウ)、勉学(ベンガク)の勉です。
呉音のマ行(メン)は漢音ではバ行(ベン)に変わることがあります。呉音と漢音については呉音と漢音もご覧ください。
勉(ベン)は免(メン)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 免』をご覧ください。
『放(ホウ)』fàngは、放(はな)つ様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、方(左右)+攵(手の動作)=放(左右に自由にのばす。放つ)です。漢字の部首は『攵・ぼくづくり』、意味は『放つ』、『遠くにやる』、『そのままにしておく』です。
動作を表す攵(ぼくづくり)は、篆文で攴(ボク)pū、楷書体では攵(ボク)pūのデザインをとります。
音読みは呉音・漢音ともに『ホウ』、訓読みは『放つ(はなつ)』、『放れる(はなれる)』です。追放(ツイホウ)、放火(ホウカ)、放流(ホウリュウ)、放置(ホウチ)、放し飼い(はなしがい)の放です。
放(ホウ)は方(ホウ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 方』をご覧ください。
『味(ミ・あじ)』wèiは、口に未を足し合わせた形声文字です。漢字の足し算では、口+未(ちいさい)=味(口で細かく吟味すること。味わう)です。漢字の部首は『口・くちへん』、意味は『味(あじ)』、『味(あじ)わう』です。
甘味(カンミ)は舌の先端、苦味(にがミ)は根元で感じると言われていましたが、現在では否定され、舌の部分による味覚(ミカク)の違いは無いそうです。
音読みは呉音の『ミ』が普通で、漢音の『ビ』は使いません。訓読みは『味(あじ)わう』・『味(あじ)』です。趣(おもむき)を心で感じ味わうのが趣味(シュミ)です。
呉音のマ行(ミ)は漢音ではバ行(ビ)に変わることがあります。どちらを使うかは漢字によって違います。呉音と漢音については呉音と漢音 もご覧ください。
他にも、意味(イミ)、味覚(ミカク)、味方(ミカタ)、味噌(ミソ)の味と良く使われる漢字です。ちなみに、味方の味は当て字で、本来は御方(ミカタ)と書いていました。
味(ミ)は未(ミ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 未』をご覧ください。
『命(メイ)』mìngは、人々を集めて命令する様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、亼(集める)+卩(人が屈んだ姿)+口=命(人々を集めて命令する。いいつける。名付ける)です。漢字の部首は『口・くち』、意味は『命令する』、『いいつける』、『授ける』、『名を付ける』です。
音読みは呉音が『ミョウ』、漢音が『メイ』、訓読みは『命(いのち)』です。天から授かった生きる定めを命(いのち)、名前を付けることを命名(メイメイ)、命令を下すことを下命(カメイ)、天から授かっためぐりあわせ(運)を運命(ウンメイ)、平安朝の宮中に仕える女官を命婦(ミョウブ)といいます。
非常に縁起の良い漢字で、『あきら』、『かた』、『とし』、『な』、『なが』、『のぶ』、『のり』、『まこと』、『み』、『みこと』、『みち』、『もり』、『や』、『よし』、『より』と名前に使われます。
命(メイ)は令(レイ)に近い漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 令』をご覧ください。
『面(メン)』miànは、顔の表側を表す会意文字です。漢字の足し算では、頁(あたま)+□(四角で囲った部分)=面(顔の表側。面。おもて)です。漢字の部首は『面・めん』、意味は『顔』、『おもて』、『マスク』、『向き合う』などです。
鎌田は指事文字、白川は象形文字、藤堂は会意文字としています。
音読みは呉音が『メン』、漢音が『ベン』、訓読みは『面(おもて)』、『面(おも)』、『面(つら)』です。顔を会わせることを面会(メンカイ)、顔の長い人を面長(おもなが)、直接あって応対することを面接(メンセツ)、平らな広がりを平面(ヘイメン)といいます。
呉音のマ行(メン)は漢音ではバ行(ベン)に変わることがあります。どちらを使うかは漢字によって違います。呉音と漢音については呉音と漢音もご覧ください。
面の『単語家族』には、麺、緬などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 面』ご覧下さい。
『問(モン)』wènは、へだたりを通して問いただす様子を表す形声文字です。『へだたりを通して問う』、『わからないことを問う』の意味があります。漢字の足し算では、門+口=問(へだたりを通して問う。問う)です。漢字の部首は『口・くち』、意味は『問(と)う』、『聞こえる』、『聞いて知ったこと』、『評判』です。
音読みは呉音が『モン』、漢音が『ブン』、訓読みは『問(と)う』です。質(ただ)し問うのが質問(シツモン)、責任を問うのが問責(モンセキ)、問いと答えを問答(モンドウ)、解答を問う事(題)や解決を問う事(題)を問題(モンダイ)といいます。
問(モン)は門(モン)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 門』をご覧ください。
『役(ヤク・エキ)』yìは、人を遠い所に行かせる・人を働かせる様子を表す会意文字です。漢字の足し算では彳(行く)+殳(動作)=役(人を遠い所に行かせる・人を働かせる)です。漢字の部首は『彳・ぎょうにんべん』、意味は『働かせる』、『遠い所に行かせる』、『仕事を割り振る』です。
音読みは呉音が『ヤク』、漢音が『エキ』です。公職にある働く人を役人(ヤクニン)、割り振られた仕事の内容(目)を役目(ヤクめ)、仕事で遠い所へ行かせることを行役(コウエキ)、与えられた役を演じる俳優を役者(ヤクシャ)といいます。
一般に呉音が『ヤク』と発音する場合は、漢音では『エキ』と発音します。呉音と漢音については呉音と漢音
もご覧ください。
大変重要な漢字で『つら』、『まもる』、『ゆき』と名前に使われます。
役(ヤク・エキ)の『単語家族』には、疫(エキ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 殳』をご覧下さい。
『薬ヤク)』yàoは、つぶ状の薬(くすり)を表す形声文字です。漢字の足し算では、艹(植物)+楽(つぶ状)=薬(植物由来のつぶ状にした薬。くすり)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、漢字の意味は『薬(くすり)』、『粉末状の物質』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ヤク』、訓読みは『薬(くすり)』です。丸い薬を丸薬(ガンヤク)、毒の入った薬を毒薬(ドクヤク)、熱・衝撃により爆発する粉末状の物質を火薬(カヤク)、薬となる食べ物を薬餌(ヤクジ)といいます。
薬(ヤク)は楽(ラク)の『単語家族』です。楽(ラク)は、団栗(つぶ状)の木、鈴(つぶ状)をつけた木・楽器といわれています。詳しくは『漢字の覚え方 楽』をご覧ください。
『由(ユ)』yóuは、口のついた壺(つぼ)や樽(たる)を描いた象形文字です。漢字の部首は『田・た』、漢字の意味は『・・から出てくる』、『由来する』、『生じるわけ』です。
音読みは呉音は『ユ』、漢音が『ユウ』、訓読みは『由(よし)』です。自(みずか)ら由(よ)るを自由(ジユウ)といい、英語のfreedomの日本語訳にしました。なぜそうなったかの筋道(理)を理由(リユウ)、物事のいわれを由来(ユライ)、目的地までにある地点によることを経由(ケイユ)といいます。
『油(ユ)』yóuは、壺や樽から流れ出す油(あぶら)を表す形声文字です。漢字の足し算では、氵(液体)+由(壺や樽から流れ出る)=油(壺や樽から流れ出る液体。油。あぶら)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、漢字の意味は『油(あぶら)』です。
音読みは呉音は『ユ』、漢音が『ユウ』、訓読みは『油(あぶら)』です。炭化水素を主成分とする地下資源の油を石油(セキユ)、石油を産出する地域を油田(ユデン)、精製する前の石油を原油(ゲンユ)、うっかり注意を怠ることを油断(ユダン)といいます。
縁起の良い漢字で『ただ』、『みち』、『ゆ』、『ゆう』、『ゆき』、『よし』、『より』と名前に使われます。
呉音のウ韻『ユ』は、漢音のユウ韻『ユウ』に変化したものがあります。呉音と漢音については呉音と漢音 もご覧ください。
油は由の『単語家族』で、抽、宙、笛などの漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 由』をご覧下さい。
『有(ユウ・ウ)』yǒuは、右手で肉を持った様子を表す形声文字です。存在を示します。漢字の足し算で示せば、ナ(右手)+月(にくづき・にく)=有(肉を持つ。有る)です。漢字の部首は『月・にくづき』です。書き順はノ(左払い)、一(横棒)の順番で、指を表すノ(払い)は短く書きます。
音読みは呉音が『ウ』で、漢音が『ユウ』です。訓読みは『有(あ)る』です。国に権利が有るのを国有(コクユウ)。能力があるのを有能(ユウノウ)。有ることと無いことを有無(ウム)、空にまだ月の残ったまま夜が開けることを有明(ありあけ)といいます。
呉音のウ韻『ウ』は、漢音のユウ韻『ユウ』に変化したものがあります。呉音と漢音については呉音と漢音もご覧ください。
とても縁起の良い漢字で『あり』、『すみ』、『たもつ』、『とお』、『とも』、『なお』、『なり』、『みち』、『もち』、『り』と広く地名・人名に使われます。
有(ユウ)は右(ユウ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 右』をご覧ください。
『遊(ユウ)』yóuは、ゆらゆらと遊びまわる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、辶(進む)+斿(旗がゆらゆらする)=遊(ゆらゆらと遊びまわる。遊ぶ。あそぶ)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、意味は『遊(あそ)ぶ』、『旅をする』、『行ったり来たりする』です。
音読みは呉音が『ユ』、漢音が『ユウ』、訓読みは『遊(あそ)ぶ』です。牧畜をしながら旅することを遊牧(ユウボク)、酒食を用意して(宴)遊ぶことを遊宴(ユウエン)、行ったり来たりする交わりを交遊(コウユウ)、のんびり楽しんで歩くことを遊歩(ユウホ)、遊ぶための園を遊園地(ユウエンチ)といいます。
ゆったりとした縁起の良い漢字で『なが』、『ゆき』と名前に使われます。、
遊(ユウ)は斿(ユウ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 斿』をご覧下さい。
『予(ヨ)』yúは、丸い輪をずらして向こうへ押しやる様子を描いた象形文字です。漢字の部首は『亅・はねぼう』、意味は『伸びる』、『前もって』、『ゆとり』、『予(あらかじ)め』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨ』、訓読みは『予(あらかじ)め』です。、前もって感じることを予感(ヨカン)、予め推し測ることを予測(ヨソク)、予め定めたことを予定(ヨテイ)、ゆとりを持って準備したものを予備(ヨビ)、前もって決めた費用の見積もりを予算(ヨサン)といいます。
予(ヨ)の『単語家族』には、預(ヨ)、野(ヤ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 予』をご覧下さい。
『羊(ヨウ)』yángは、羊を漢字にした象形文字です。古代では羊は神聖な儀式、裁判、に使われていました。意味は『ひつじ』、『いのる』、『善い』です。非常に縁起の良い、素晴らしい漢字の一つです。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨウ』です。訓読みは『ひつじ』です。羊の毛を羊毛(ヨウモウ)、羊の皮を羊皮(ヨウヒ)、羊の肉を羊肉(ヨウニク)、牧場の羊を牧羊(ボクヨウ)、空に有る羊の星座は牡羊座(おひつじザ)といいます。
『洋(ヨウ)』yángは、大海原(おおうなばら)を表す形声文字です。漢字の足し算では、視氵(水)+羊(良い・広い)=洋(広い水。大海原)です。漢字の部首は『氵・さんずい』です。漢字の意味は『広い』、『大きい』、『大海原』、『外国の』などです。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨウ』です。広々と広がっている様を洋洋(ヨウヨウ)、西洋の学問を洋学(ヨウガク)、遠い海を遠洋(エンヨウ)といいます。
前途洋洋(ゼントヨウヨウ)な非常に縁起の良い漢字で、『うみ』、『きよ』、『なみ』、『ひろ』、『ひろし』、『み』と広く名前に使われます。
『様(ヨウ)』yàngは、舟が水に良い感じに浮かんでいる様(さま)を表す形声文字です。本字は樣です。漢字の足し算では、木(対象物)+羊(良い)+永(水に永く浮かぶ)=樣・様(舟が水に良い感じに浮かんでいる様。さま)です。永は時間の経過、羊は善い感じ、木は対象物を表すとされています。漢字の部首は『木・もくへん』、意味は『様(さま)』、『かたち』、『やりかた』です。また、我が国では、『相手にたいする尊敬』を表します。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨウ』、訓読みは『様(さま)』です。見本・物事の型・ありさま・理由を様子(ヨウシ・ヨウス)、物事の一定の型を様式(ヨウシキ)、装飾としての絵や形・物事の経過を模様(モヨウ)といいます。
羊(ヨウ)、洋(ヨウ)、様(ヨウ)は羊(ヨウ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 羊』をご覧ください。
『葉(ヨウ)』yèは、三枚の葉(は)を表す形声文字です。漢字の足し算では、艹(草)+世(三枚)+木=葉(三枚の葉。葉。は)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、意味は『葉(は)』、『薄(うす)いもの』、『時代』、『いろいろな』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨウ』、訓読みは『葉(は)』です。秋になって葉が落ちること・落ちた葉を落葉(ラクヨウ・おちば)、秋になって紅く色づく葉を紅葉(コウヨウ・もみじ)、感情を伝えるいろいろな音声や文字を言葉(ことば)といいます。
葉(ヨウ)は枼(ヨウ)の『単語家族』で、蝶、牒、鰈(チョウ)など『薄いもの』の仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 枼』をご覧ください。
『陽(ヨウ)』yángは阝こざとへん(丘)に昜を足した形声文字で 丘に上がってあたたかい日の光を浴びる事を表しています。あたたかい光です。漢字の足し算で表わすならば、阝(こざとへん・丘)+昜(あたたかい)=陽(丘にあたたかい日の光が当たる様子)です。漢字の部首は『阝・こざとへん』です。
音読みは『ヨウ』、常用外の訓読みに『ひ』があります。太陽(タイヨウ)、陽性(ヨウセイ)、陽気(ヨウキ)、陰陽(インヨウ・オンヨウ)、陽だまり(ひだまり)の陽です。
陽(ヨウ)は昜(ヨウ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方
昜』をご覧ください。
『落(ラク)』lào、là、luòは、葉に各(つかえていた)水滴が落ちるイメージの形声文字です。葉(艸)と水(氵)を使います。 足し算で示せば、艹(くさかんむり)+氵(さんずい)+各(つかえる)=落(葉につかえていた水落ちる様子。落ちる)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ラク』、訓読みは『落ちる(おちる)』です。落日(ラクジツ)、落第(ラクダイ)、集落(シュウラク)の落です。
『落ちる』には落成(ラクセイ)のように出来上がる、集落(シュウラク)のように人々が落ち着いて住むの意味もあります。
少し古代の発音の話をします。『各(カク)』geは古代ではklakという音であったと考えられています。それがkak→ge、ke(各、客、格、挌、閣)とlak→la→lu(洛、絡、落、路)という二系統の発音に分かれ、日本に輸入されたので『カク』と『ラク』という二系統の音読みがあるのです。
落(ラク)は各(カク)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 各』をご覧ください。
『流(リュウ)』liúは、子供(子の字が逆さまになっています)が川に流れる映像を漢字にしたものです。漢字の足し算では、氵(さんずい・水)+子(子供)+川=流です。漢字の部首は『氵・さんずい』。意味は『流れる』です。『流れる』が基になって『伝わる・広がる』、『一派をなす』、『やり方』など多くの意味を持ちます。カタカナの『ル』は『流』の漢字がもとになってつくられました。
㐬(リュウ)は川に逆さになって落ちる子供を表しています。
音読みは漢音の『リュウ』が普通で、呉音の『ル』と読むこともあります。訓読みは『流れる(ながれる)』、『流す(ながす)』です。清流(セイリュウ)、漂流(ヒョウリュウ)、上流(ジョウリュウ)、流感(リュウカン)、流行(リュウコウ)、我流(ガリュウ)、流布(ルフ)、流転(ルテン)、河童の川流れ(ながれ)、流石(さすが)の流です。
呉音の『ル』は、漢音では『リュウ』に変わることがあります。どちらを使うかは漢字によって違います。呉音と漢音については『呉音と漢音』⑨ http://bit.ly/1LUTTpI もご覧ください。
流石(さすが)は漱石枕流(ソウセキチンリュウ)の故事に由来しています。昔、中国の頑固な知識人が『石を枕(まくら)に流れに口を漱(すす)ぎ』を間違えて『石に口を漱(すす)ぎ流れを枕にする』と言ってしまいました。間違えを認めずにいたため皮肉をこめて流石(さすが)といったのです。夏目漱石(ソウセキ)の漱石もこの故事に由来しています。
流の『単語家族』には、琉、硫などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 流』をご覧下さい。
『旅(リョ)』lǚ は、数人が移動する様子を表す会意文字です。移動するときに旗(はた)を使ったので漢字の中に旗が含まれています。漢字の足し算では、㫃・旗(はた)+从(人が二人)=旅(数人が隊を組んで移動する。旅。たび)です。漢字の部首は『方・ほうへん』、漢字の意味は『旅(たび)』です。
音読みは呉音が『ロ』、漢音が『リョ』、訓読みが『旅(たび)』です。旅をすることを旅行(リョコウ)、旅で感じる気持ちを旅情(リョジョウ)、旅の宿屋を旅籠(はたご)といいます。
『両(リョウ)』liǎngは、天秤の両側が釣り合う様子を描いた象形文字です。漢字の部首は『一・いち』、意味は『ふたつ』、『両方』、『重さの単位』、『お金の単位』です。
音読みは呉音・漢音ともに『リョウ』です。岸のこちら側と向こう側で両岸(リョウガン)、江戸時代の小判一枚を一両(イチリョウ)、二つの事を共に成立させることを両立(リョウリツ)、勢力が同じである二人の英雄を両雄(リョウユウ)といいます。
縁起の良い漢字で、『ふた』、『ふる』、『もろ』と名前に使われます。
両(リョウ)の『単語家族』には、輛(リョウ)があります。詳しくは『漢字の覚え方 両』をご覧下さい。
『緑(リョク・ロク)』lùは、竹の表皮の緑色を表す形声文字です。漢字の足し算では、糸(色)+彔(剥ぐ・皮)=緑(青竹の表皮の色。緑。みどり)です。漢字の部首は『糸・いとへん』、漢字の意味は『緑(みどり)』です。
竹の色は竹細工の薄い茶色を思い出しますが、青竹の緑を表すので、表皮を表す彔(剥ぐ・皮)の漢字を併せています。
音読みは呉音が『ロク』、漢音が『リョク』、訓読みが『緑(みどり)』です。春の頃の若々しい植物の緑を新緑(シンリョク)、新緑の頃の雨(あめ)を緑雨(リョクウ)、銅に生ずる青味のある緑の錆(さび)を緑青(ロクショウ)といいます。
縁起の良い漢字で『つか』、『つな』、『のり』、『みどり』と名前に使われます。
緑(リョク)は彔(ロク)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 彔』をご覧ください。
『礼(レイ)』lǐは、神様にお供え物をする形声文字です。本字は禮です。漢字の足し算では、示(神様)+豊(沢山の供え物)=禮・礼(神様にお供え物をする。禮。レイ)です。漢字の部首は『示・しめすへん』です。漢字の意味は『礼(レイ)』、『正しい行い』、『挨拶(あいさつ)』です。
音読みは呉音が『ライ』、漢音が『レイ』です。正しい行いの作法を礼儀(レイギ)、神仏を拝むことを礼拝(ライハイ・レイハイ)、仏の功徳を讃(たた)えること・褒め讃えることを礼讃・礼賛(ライサン)といいます。
非常に正しい漢字で『あき』、『あきら』、『あや』、『いや』、『うや』、『かた』、『なり』、『のり』、『ひろ』、『ひろし』、『まさ』、『まさし』、『みち』、『ゆき』、『よし』と広く名前に使われます。
『礼』からひらがなの『れ』、カタカナの『レ』が出来ました。
礼・禮(レイ)の『単語家族』には醴(レイ・あまざけ・祭礼に使う酒)、鱧(レイ・はも・祭礼に使う魚)がありあます。詳しくは『漢字の覚え方 礼』をご覧ください。
『列(レツ・レチ)』lièは、歹(かばねへん・がつへん・骨)に刀を合わせた漢字です。骨を切断し、横に並べることを示します。漢字の足し算では、歹(かばねへん・がつへん・骨)+刂(りっとう・かたな)=列(骨を切断し、並べること)です。漢字の部首は『刂・りっとう』、意味は『切り分ける』、『横に並べる』、『つらねる』です。縦に並べることは『行(ギョウ)』といいます。
映像(鶏の骨)では、こんな感じです。
音読みは漢音の『レツ』が普通で、呉音の『レチ』と読むことはありません。訓読みは『列(つら)ねる』です。列国(レッコク)、行列(ギョウレツ)、序列(ジョレツ)、列車(レッシャ)、整列(セイレツ)、日本列島(ニホンレットウ)の列です。
また、『列』は、人の首の骨を表していると言われており、非常に烈しい(はげしい)漢字です。また、『列ねる(つらねる)』は常用外の読み方で中学校では使いません。
列(レツ)の『単語家族』には、例(レイ)、裂(レツ)、烈(レツ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 列』をご覧下さい。
『練(レン)』liànは、生糸を選り分けて上質なものにする過程(練る)を表す形声文字です。漢字の足し算では、糸+柬(選ぶ)=練(生糸を選り分けて上質なものにする。練る。ねる)です。漢字の部首は『糸・いとへん』、漢字の意味は『練(ね)る』、『捏(こ)ねる』、『鍛える』、『技術をを上げる』、『良い物を選ぶ』です。
音読みは呉音・漢音ともに『レン』、訓読みは『練(ね)る』です。練り上げた上質な絹を練絹(レンケン)、繰り返し習い技術を上げることを練習(レンシュウ)、教え込み(訓)技術を上げることを訓練(クンレン)、練った辛子を練辛子(ねりがらし)といいます。
鍛え上げる良い意味の漢字で『ねり』、『よし』と名前に使われます。
練(レン)は柬(カン)の『単語家族』で、東(トウ)の『単語家族』http://bit.ly/1odVQnE ではありません。詳しくは『漢字の覚え方
柬』をご覧ください。
『路(ロ)』lùは、各の系列の漢字です。音が(ロ)と少し違うのですが、基点と基点を結ぶイメージは『絡(ラク)』luòと同じです。扁(へん)には足を使います。漢字の足し算では、足+各=路(基点と基点を結ぶ横の路)です。漢字の部首は『足・あしへん』、意味は『みち』、『考え方』、『行き方』です。
イメージとしては、こんな感じです。
音読みは呉音が『ル』、漢音は『ロ』、訓読みは『路(みち)』、『路(じ)』です。線路(センロ)、帰路(キロ)、陸路(リクロ)、信濃路(しなのじ)、小路(こみち)の絡です。
大変重要な漢字で、『じ』、『のり』、『みち』、『ゆく』と名前に使われます。
ちなみに経(た)てのみちを『経・經(ケイ)』という漢字で表現します。詳しくは『漢字の覚え方 巠』をご覧ください。
通過する道筋、たてよこのみちを経路(ケイロ)といいます。
路(ロ)は各(カク)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 各』をご覧ください。
『和(ワ)』hé、huòは、和(やわ)らぐ様子、和(なご)むを様子表す形声文字です。漢字の足し算では、禾(しなやか)+口(動作)=和(稲の様にしなやかに、和らぐ様子)です。漢字の部首は『口・くち』です。意味は『和(やわ)らぐ』、『和(なご)む』、『和(あ)える』、『大和(やまと)』、『日本』です。
音読みは呉音が『ワ』、漢音が『カ』、唐宋音が『オ』、訓読みは『和(やわ)らぐ』、『和(なご)む』、『和(あ)える』です。平らか(諍いのない)に和んだ様子を平和(ヘイワ)、丸くおさまって解決することを和解(ワカイ)、良くまとまった状態を調和(チョウワ)、現在の奈良県、日本の古い国名を大和(やまと)、良い天気を日和(ひより)といいます。
『和』の草書体から、ひらがなの『わ』、旁(つくり・漢字の右側)からかたかなの『ワ』が出来ました。
非常に良い意味の漢字で『あい』、『あえ』、『かず』、『かた』、『かつ』、『かのう』、『たか』、『ちか』、『とし』、『とも』、『な』、『のどか』、『ひとし』、『まさ』、『ます』、『みきた』、『やす』、『やすし』、『やまと』、『やわ』、『やわら』、『よし』、『より』、『わたる』と名前に使われます。
和(ワ)は禾(カ)の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 禾』をご覧ください。
参考図書http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-c740.htmlです。
漢字についてより詳しく知りたい方は、下記の本をお読みください。
篆文(テンブン)を中心にした体系的な記述・韻の説明は、諸橋轍次先生の『新漢和辞典』、藤堂明保先生の『漢字源』・『漢字の過去と未来』を参考にさせて頂いてます。
甲骨文字・金文のもつ呪術的な解釈には白川静先生の『字通』・『字統』・『漢字』・『中国古代の文化』を参考にさせて頂いています。
漢字の伝来や常用漢字の解釈については、大島正二先生の『漢字伝来』、高島俊男先生の『漢字と日本人』を参考にさせて頂いています。
日本語については、金田一京助先生の『日本語の変遷』、大野晋先生の『日本語の文法を考える』、新村出先生の『広辞苑』を参考にさせて頂いております。
最近の研究については、落合淳思先生の『漢字の成り立ち』を参考にさせて頂いております。
医学用語については伊藤正男・井村裕夫・高久史麿先生の『医学大辞典』を参考にさせて頂いております。
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