漢字の覚え方 高
今日は『高(コウ)』gāoという漢字の『単語家族』(意味・発音上の漢字の仲間)について説明します。基本になる漢字は『高』です。音読みは『コウ』、意味は『高い』、『乾いた』です。高、稿、藳、藁、敲、蒿、嚆、膏、毫、豪、濠、壕などがこの漢字の『単語家族』です。
『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『高』に何を足すとどんな漢字になるのかを考えます。高は小学校2年生 、稿、豪は中学校で習います。学年、学校に関係なく一緒に覚えましょう。
『高(コウ)』gāoは、高い建物を描いた象形文字です。異体字として髙があります。漢字の部首は『高・たかい』、漢字の意味は『高い』です。建物・場所・位・腕前・値段・年・収入など多くのものが対象になります。
音読みは呉音・漢音ともに『コウ』、訓読みは『高(たか)い』です。高地にある平原を高原(コウゲン)、高い位を高位(コウイ)、高い値段を高価(コウカ)、高い評判を高名(コウミョウ)といいます。
大変縁起の良い漢字で、『あきら』、『うえ』、『かぎり』、『こう』、『すけ』、『たか』、『たかい』、『たかし』、『たけ』、『ほど』と名前に使われます。
『高(コウ・たかい)』は小学校2年生で習う漢字です。
『稿(コウ)』gǎoは、稿(わら)を表す形声文字です。漢字の足し算では、禾(穀物)+高(乾燥させた)=稿(穀物の茎の部分を乾燥させたもの。稿。わら)です。漢字の部首は『禾・のぎへん』、意味は『稿(わら)』、『下書き』です。
木が『恒久的』なものに対し、草や藁は一年草なので、『一時的』の意味があります。昔は木や竹の簡(カン)に字を書いていたので、草や藁に『下書き』、『走り書き』の意味あるようになりました。また、藁(わら)の散らかった様が『下書き』の散らかる様子に似ているからともいわれています。『稿(わら)』は『稾・藁(わら)』の字を使い、『下書き』の意味には『稿(コウ)』を使うのが普通です。
音読みは呉音・漢音とも『コウ』、訓読みは常用外の『稿(わら)』です。文章や詩の下書きを草稿(ソウコウ)、公表・印刷する元の文章を原稿(ゲンコウ)、雑誌や新聞に文章を寄せることを寄稿(キコウ)といいます。
『稿(コウ・わら)』は中学校で習う常用漢字です。
『藳・藁(コウ)』gǎoは、藳・藁(わら)を表す形声文字です。漢字の足し算では、艹(植物)+高(乾燥させた)+禾・木(穀物)=藳・藁(穀物の茎の部分を乾燥させたもの。藳・藁。わら)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、意味は『稾・藁(わら)』です。字体は禾と木、両方ありますが、意味は同じです。
音読みは呉音・漢音とも『コウ』、訓読みは『藳・藁(わら)』です。藳稭(わらしべ)、藳履・藳沓(わらぐつ)の藳です。『藳』は常用漢字から外れています。
『敲(コウ)』qiāoは、高い建物を敲(たた)く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、高(高い建物)+攴(動作)=敲(コウ)、漢字の部首は『攴・ぼくづくり』、意味は『敲(たた)く』です。
動作を表す攵(ぼくづくり)は、篆文で攴(ボク)pū、楷書体では攵(ボク)pūのデザインをとりますが、敲(たた)くは攴(ボク)のデザインをとります。
音読みは呉音は『キョウ』、漢音が『コウ』、訓読みは『敲(たた)く』です。人を訪れて門を敲くことを敲門(コウモン)、詩文の語句をあれこれ考えることを推敲(スイコウ)といいます。
唐の国に賈島(カトウ)という人がいました。漢詩の一句に「僧は敲(たた)く月下の門」、「僧は推(お)す月下の門」とどちらにしようか考えながら歩いているうちに韓愈(カンユ・官僚・詩人)の行列に突き当ってしまいました。このことから、文章を何度も練り直すことを推敲(スイコウ)と云うようになりました。韓愈はそれは敲(たた)くが良いと言ったそうです。
『敲(コウ・たたく)』は常用漢字からは外れています。
『皜(コウ)』hàoは、太陽が昇り始めて空が白くなる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、白(高い建物)+高(高く昇る)=皜(コウ)、漢字の部首は『白・しろ』、意味は『皜(しろ)い』、『けがれのない』です。
音読みは呉音は『ゴウ』、漢音が『コウ』、訓読みは『皜(しろ)い』です。潔白でけがれのない様を皜皜(コウコウ)といいます。
『皜(コウ・しろい)』は常用漢字からは外れています。
『縞(コウ)』gǎoは、白い絹を表す・縞模様を形声文字です。漢字の足し算では、糸(衣服・絹)+皜(白い)=縞(白い絹)です。漢字の部首は『糸・いとへん』、意味は『縞(しろ)い』、『縞(しま)』です。
縞(コウ)は白い絹を表しますが、我が国では縞(しま)模様を表す漢字です。
音読みは呉音・漢音ともに『コウ』、訓読みは『縞(しろ)い』、『縞(しま)』です。白絹の衣服を縞衣(コウイ)、縞のある絵がらを縞模様(しまモヨウ)をといいます。
『縞(コウ・しま)』は人名用漢字です。
『蒿(コウ)』hāoは、背の高い草。蒿(よもぎ)を様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、艹(植物)+高(高く伸びる)=蒿(背の高い草。蒿。よもぎ)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、意味は『蒿(よもぎ)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『コウ』、訓読みは『蒿(よもぎ)』です。よもぎのことを蓬蒿(ホウコウ)といいます。蒿(よもぎ)の茎でつくった矢を蒿矢(コウシ)といい、邪気(ジャキ)を払うとされています。
蒿(よもぎ)は蓬(よもぎ)とも書きます。
『蒿(コウ・よもぎ)』は常用漢字からは外れています。
『嚆(コウ)』hāoは、戦いの始めの矢がうなる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、口(音)+蒿(高く伸びる。よもぎの茎の矢)=嚆(矢がうなる。戦いの始め)です。漢字の部首は『口・くちへん』、意味は『矢がうなる』、『始める』です。
音読みは呉音は『キョウ』、漢音が『コウ』です。かぶら矢(戦いの開始に使う矢)、物事の初めを嚆矢(コウシ)といいます。
『嚆(コウ)』は常用漢字からは外れています。
『膏(コウ)』gāo、gàoは、脂ののった良い肉を表す形声文字です。漢字の足し算では、高(良い)+月(肉)=膏(脂ののった良い肉)です。漢字の部首は『月・にくづき』、意味は『脂ののった肉』、『うるおい』、『脂(あぶら)』、『心臓の下』です。
音読みは呉音・漢音ともに『コウ』、訓読みは『膏(あぶら)』です。あぶら薬を膏薬(コウヤク)、練り状の軟らかい薬を軟膏(ナンコウ)、心臓の下(膏)と横隔膜の上(肓)を膏肓(コウコウ)といい、漢字では身体の奥深くを指します。
身体の奥深い部分を膏肓(コウコウ)といい、病気がここに入ると、針も薬も届かないので治らないと言われています。「病(やまい)膏肓(コウコウ)に入る。」漢字の世界では、不治の病の事です。
『膏(コウ・あぶら)』は常用漢字からは外れています。
『毫(ゴウ)』háoは、細長い毛を表す形声文字です。転じて僅か意味があります。漢字の足し算では、高(高い・細長い)+毛=毫(細長い毛。ごくわずか)です。漢字の部首は『毛・け』、意味は『細長い毛』、『ごくわずか』、『毛筆』です。
音読みは呉音は『ゴウ』、漢音が『コウ』です。きわめて僅かのことを寸毫(スンゴウ)、筆を揮(ふる)うこと・知人に頼まれて書くことを揮毫(キゴウ)といいます。
『毫(ゴウ)』は常用漢字から外れています。
『豪(ゴウ)』háoは、ヤマアラシを表す様子を表す形声文字です。転じて堅い、強い、すぐれるの意味があります。漢字の足し算では、高(高い・かたい)+豕(動物)=豪(高い・かたい毛をもつヤマアラシ。堅い、強い、すぐれる)です。漢字の部首は『豕・いのこ』、意味は『堅い』、『強い』、『すぐれる』、『財産がある』、『オーストラリア』です。
音読みは呉音は『ゴウ』、漢音が『コウ』です。才知がひときわ優れている人・太っ腹な人を豪傑(ゴウケツ)、富んで財産があることを富豪(フゴウ)、剣のすぐれた使い手を剣豪(ケンゴウ)といいます。
『豪(ゴウ・たけし)』は中学校で習う常用漢字です。
『濠(ゴウ)』háoは、城下にめぐらした濠(ほり)。御濠(おほり)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵(水)+豪(大きい)=濠(市の中の大きな池。濠。ほり)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、意味は『濠(ほり)』です。
音読みは呉音は『ゴウ』、漢音が『コウ』です。訓読みが『濠(ほり)』です。城の防衛のため水の入った濠(ほり)を水濠(スイゴウ)、水の入っていない濠を空濠(からぼり)といいます。
水濠(スイゴウ)は馬術競技や障害走競技にも使われています。濠(ほり)は堀(ほり)とも書きます。
『濠(ゴウ・ほり)』は常用漢字から外れています。
『壕(ゴウ)』háoは、城下にめぐらした壕(ほり)を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、土+豪(大きい)=壕(城下にめぐらした壕。ほり)です。漢字の部首は『土・つちへん』、意味は『壕(ほり)』です。
音読みは呉音は『ゴウ』、漢音が『コウ』です。訓読みが『壕(ほり)』です。戦争で敵の砲弾から身を守るため土を掘った(塹)の溝・穴を塹壕(ザンゴウ)といいます。『壕』は常用漢字から外れています。
濠(ほり)、壕(ほり)は堀(ほり)とも書きます。堀(ほり)は屈(クツ)の漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 屈』をご覧ください。
『壕(ゴウ・ほり)』は常用漢字から外れています。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-95d6.html
『漢字の覚え方 高』 高 稿 藁 敲 嚆 膏 毫 豪 濠 壕
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.こうか( )な買い物。
2.こうげん( )の避暑地。
3.げんこう( )用紙。
4.わらぐつ( )をはく。
5.文章の すいこう( )をする。
6.さきがけ。こうし( )となる。
7.患部に こうやく( )を塗る。
8.すんごう( )も悪意はない。
9.ごうかい( )な人物。
10.ふごう( )になる。
11.3000m障害の すいごう( )。
12.ざんごう( )に身を隠す。
解説です。基本の漢字は高、原稿は禾(のぎへん)を足して稿、藳・藁(わら)は艹(くさかんむりと禾・木(穀物)を足して藳・藁、蒿(よもぎ)は艹(くさかんむり)を足して蒿、敲(たた)くは攴(ぼくづくり)を足して敲、肉のあぶらは月(にくづき)を足して膏、ほんのわずかは毛を足して毫、豪快は豕(いのこ・動物)を足して豪、濠は氵(さんずい)を足して濠、塹壕は土を足して壕です。
解答です。高価、高原、原稿、藳履・藳沓、推敲、嚆矢、膏薬、寸毫、豪快、富豪、水濠、塹壕。
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