漢字の覚え方 才
今日は『才(サイ)』cáiという漢字の『単語家族』(漢字の発音・発音上の仲間)について説明します。基本になる漢字は『才』です。音読みは『サイ』、意味は『能力』、『切る』。才、材、財、在、裁、載、哉、栽、存、閉などがこの漢字の『単語家族』です。
『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『才』に何を足すと材、財、在、裁、載、存、閉になるのかを考えます。才は小学校2年生で、材は4年生、財、在は5年生、裁、存、閉は6年生、載、栽が中学校で習い、哉は人名用漢字です。一緒に覚えましょう。
『才(サイ)』cáiは、才能を表す漢字です。巛(川)を遮(さえぎ)る堰(せ)きを表す象形文字が元になったといわれています。切断の意味を含み、材料・素材から人間の才能を示す意味になったとされています。漢字の部首は『扌・てへん』です。漢字の意味は『能力』、『素質』です。
『説文解字』では巻六『才』部に収められています。「草木の初めなり」とあります。
音読みは呉音が『ザイ』、漢音が『サイ』です。持ち前の能力を才能(サイノウ)、才能の働(はたら)きを才覚(サイカク)、優れた人物・抜けめのない人を才子(サイシ)といいます。
『才(サイ)』は小学校2年生で習う漢字です。
我が国では年齢を表す『歳(サイ)』に代用して『才(サイ)』を使います。また、非常に良い意味の漢字で『かた』、『たえ』、『とし』、『もち』と名前に使われます。
『材(ザイ)』cáiは、材料の木材を表した形声文字です。漢字の足し算では、木(樹木)+才(切る)=材(山林から切り出した木。)です。漢字の部首は『木・きへん』、意味は『切り出した木』、『基礎になる素材』です。
音読みは呉音が『ザイ』、漢音が『サイ』です。木材(モクザイ)、素材(ソザイ)、材料(ザイリョウ)、角材(カクザイ)、適材(テキザイ)の材です。
『材(ザイ)』は小学校4年生で習う漢字です。
『財(ザイ)』cáiは、財産を適度に分けて役に立てる様子を表した形声文字です。漢字の足し算では、貝(貨幣・金銭)+才(切る)=財(財産を適度に分けて役に立てる。役に立つ金銭)です。漢字の部首は『貝・かいへん』、意味は『財産』、『金銭を切り盛りする』、『役に立つ金銭』です。
音読みは呉音が『ザイ』、漢音が『サイ』です。金銭を切り盛りして社会の役に立てる政策・部門を財政(ザイセイ)、役に立つ資産を財産(ザイサン)、値打ちのある役立つ金銭を財貨(ザイカ)といいます。
『財(ザイ)』は小学校5年生で習う漢字です。
『在(ザイ)』zàiは、じっとそこに止まっている様子を表した形声文字です。漢字の足し算では、土(土砂)+才(川を遮る)=在(切り止める。そこに在る。いる)です。漢字の部首は『土・つちへん』、意味は『在(あ)る』、『いる』です。
音読みは呉音が『ザイ』、漢音が『サイ』です。訓読みは『在(あ)る』です。人間や物事があることを存在(ソンザイ)、故郷にとどまっていることを在郷(ザイキョウ・ザイゴウ)、世間にとどまっている人を在家(ザイケ)、これまで(来)普通にあったことを在来(ザイライ)といいます。
『在(ザイ)』は小学校5年生で習う漢字です。
生きている。この世にいることを表す、大切で、縁起の良い漢字で『あき』、『あきら』、『ありや』、『すみ』、『とお』、『とみ』、『まき』、『みつる』と広く名前に使われます。
『在(ザイ)』zàiから派生した漢字に『存(ソン)』cúnがあります。残された子供を大切にする漢字で、転じて『存(あ)る』、『生きている』の意味に使います。
『存(ソン)』cúnは、残された子供を大切にする様を表す会意文字です。漢字の足し算では、在(そこにいる)+子=存(残された子供を大切にする。生きている。ある)です。漢字の部首は『子・こ』、漢字の意味は『存(あ)る』、『生きている』、『生きているか尋(たず)ねる』、『知っている』です。
音読みは呉音が『ゾン』、漢音が『ソン』です。訓読みは常用外の『存(あ)る』です。子供・大切な人の安否を問うことを存問(ゾンモン・ソンモン)といい、この漢字の核心です。生きるか死ぬかを存亡(ソンボウ)、生きていることを生存(セイゾン)、生きているかどうかを存否(ソンピ)、なくならないで存在し続けることを存続(ソンゾク)、知っていることを丁寧に存(ゾン)じ上げるといいます。
生きていることを表す、大切で、縁起の良い漢字で『あきら』、『あり』、『ありや』、『ある』、『さだ』、『すすむ』、『たもつ』、『つぎ』、『なが』、『のぶ』、『のり』、『まさ』、『やす』、『やすし』と広く名前に使われます。
『存(ソン)』は小学校6年生で習う漢字です。
『裁(サイ)』cáiは、衣服を仕立てるために布を切る様子を表した形声文字です。漢字の足し算では、才(切る)+戈(ほこ)+衣=裁(衣服を仕立てるために布を切る。裁つ。いる)です。漢字の部首は『衣・ころもへん』、意味は『裁(た)つ』、『切り分ける』転じて『よしあしの区別をつける』、『裁く』、『適当に按配する』です。
音読みは呉音が『ザイ』、漢音が『サイ』です。訓読みは『裁(た)つ』、『裁(さば)く』です。衣服を仕立てるのに布を切ることを裁断(サイダン)、物事の是非を判断すること・法律を適用して裁くことを裁判(サイバン)、銀行・政党の長で総合的に判断を下す役職を総裁(ソウサイ)、物事を自分の考えで処理することを裁量(サイリョウ)といいます。
『裁(サイ)』は小学校6年生で習う漢字です
『載(サイ)』zǎiは、区分けして車に乗せる様子を表した形声文字です。漢字の足し算では、才(切る)+戈(ほこ)+車=載(区分けして車に乗せる。載せる)です。漢字の部首は『車・くるま』、意味は『車に載せる』、記録を書物に載せるとき、文章を雑誌や新聞に載せるときも、この漢字を使います。区分けして載せるからです。
音読みは呉音・漢音ともに『サイ』です。訓読みは『載(の)せる』です。荷物を車など積み載せることを積載(セキサイ)、書物のことを載籍(サイセキ)、書物に記録などを書いて記すことを記載(キサイ)、新聞・雑誌など公表物に写真や文書を載せることを掲載(ケイサイ)といいます。
『載(サイ)』は中学校で習う常用漢字です。
『哉(サイ・かな)』zāiは、言葉を区切る。様子、転じて『かな』、『や』など感嘆や疑問を表す形声文字です。漢字の足し算では、才(切る)+戈(ほこ)+口(言葉)=哉(言葉を区切る。感嘆や疑問を表す。かな。や)です。漢字の部首は『口・くちへん』、意味は『かな』、『や』です。
音読みは呉音が『セ・サイ』、漢音が『サイ』です。訓読みは『哉(かな)』、『哉(や)』です。人間の感嘆や疑問を表す大変に重要な文字で、『えい』、『か』、『かな』、『き』、『すけ』、『とし』、『ちか』、『はじめ』、『や』と広く人名に使われます。
『哉(サイ)』は人名用漢字です。
『善哉(ゼンザイ・よきかな)』とは梵語(サンンスクリット)sādhuの音訳で、『実に良い』の意味で、相手をほめたたえる言葉です。また餅の入ったつぶ餡(あん)の汁粉(しるこ)のこともいいます。
『栽(サイ)』zāiは、植物を栽培する様子を表した形声文字です。漢字の足し算では、才(切る)+戈(ほこ)+木(植物)=栽(植物の手入れをする。植物を栽培する。うえる)です。漢字の部首は『木・き』、意味は『植物の手入れをする』、『植える』です。
音読みは呉音・漢音ともに『サイ』です。植物を植えることを植栽(ショクサイ)、御盆のような植木鉢(うえきばち)に植物を植えて手入れを楽しむのを盆栽(ボンサイ)、植物に限らず、魚介類を育てることを栽培(サイバイ)といいます。縁起の良い文字で、『たね』と人名に使われます。
『栽(サイ)』は中学校で習う常用漢字です。
才(サイ)から派生した漢字に閉(ヘイ)』があります。
『閉(ヘイ)』bìは、門を閉(と)ざす様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、門(モン)+才(さえぎる)=閉(門をさえぎる。閉ざす。閉る)です。漢字の部首は『門・もんがまえ』、漢字の意味は『閉(と)じる』、『すきまなくふさぐ』、『やめる』です。
音読みは呉音が『ハイ』、漢音が『ヘイ』、訓読みは『閉(と)じる』、『閉(しま)る』です。言葉につまること・手に負えなくて困ることを閉口(ヘイコウ)、出入り口などを閉ざすことを閉鎖(ヘイサ)、商売をやめること・その日の商いをやめることを閉店(ヘイテン)といいます。
閉(ヘイ・しまる)は小学校6年生で習う漢字です。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-8f51.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.さいのう( )溢れる人。
2.てんさい( )と普通の人。
3.もくざい( )の輸入。
4.ざいりょう( )を揃える。
5.ざいせい( )の健全化。
6.ざいさん( )を分配する。
7.そんざい( )と時間。
8.生地を さいだん( )する。
9.高等 さいばん( )所。
10.写真を けいさい( )する。
11.貨物の せきさい( )量。
12.ぜんざい( )を食べる。
13.さいばい( )漁業。
14.趣味の ぼんさい( )。
解説です。基本の漢字は才、木製の材料が木を足して材、財産は貝を足して財、存在は土を足して在、裁(た)つは戈(ほこ)と衣を足して裁、載(の)せるは戈(ほこ)と車を足して載、哉(かな)は戈(ほこ)と口を足して哉、栽培は戈(ほこ)に木を足して栽です。
解答です。才能、天才、木材、材料、財政、財産、存在、裁断、裁判、掲載、積載、善哉、栽培、盆栽。
少し漢字の読み方の話をします。漢字の読み方には音(オン)読みと訓(くん)読みがあります。音読みには、漢字を輸入した時期により違いがあります。六朝時代の江南地方の読み・呉音(ゴオン)、唐の長安の読み・漢音(カンオン)、鎌倉時代に輸入した読み・唐宋音(トウソウオン)、日本で慣用的に読まれる慣用音(カンヨウオン)があります。訓読みは大和言葉(やまとことば)に合わせた読み方です。
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