漢字の覚え方 次
今日は『次(ジ)』cìという漢字の『単語家族』について説明します。基本になる漢字は『次』です。音読みは『シ』、『ジ』、意味は『次(つぎ)』、『二番目』、『順序』、『そろえる』、『並べる』です。次、資、姿、恣、諮、茨などがこの漢字の『単語家族』、盗、吹、炊などの漢字が近い漢字です。
『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『次』に何を足すとどんな漢字になるのかを考えます。次は小学校3年生で習う漢字 で、資は小学校5年生で習う漢字 、姿は小学校6年生で習う漢字 、恣、諮、盗、吹、炊は中学校で習います。学校、学年に関係なく一緒に覚えましょう。
『次(ジ)』cìの漢字の説明の前に、『欠(ケン・ケツ)』quēの説明をします。
『欠(ケン・ケツ)』qiàn・quēは、人が口を開けて体を曲げる姿、欠伸(ケンシン・あくび)をする姿を表す象形文字です。また、『缺(ケツ・欠けた器)』quēの代用字として使い、『欠(か)ける』という意味を持ちます。
『欠(ケツ・かける)』は小学校4年生で習う漢字です。
『次(ジ)』cìは、二つのものを順序をつける様子を表した会意文字です(藤堂)。漢字の足し算では二(ふたつ)+欠(人が屈む)=次(人が屈んで一、二と順序をつける。次。つぎ。続く)です。漢字の部首は『欠・あくび』、意味は『次(つぎ)』、『二番目』、『順序』、『そろえる』、『並べる』です。
白川は人が口を開けて咨嗟(シサ)して嘆く形の象形、鎌田も人が吐息をついている象形としています。
音読みは呉音・漢音が『シ』、慣用音が『ジ』です。訓読みは『次(つぎ)』です。物事の次(つぎ)の回を次回(ジカイ)、二番目に生まれた男子を次男(ジナン)、順序に従うのを順次(ジュンジ)、一定の順序・なりゆき・事情を次第(シダイ)といいます。
順位を表す良い意味の漢字で、『ちか』、『つぎ』、『つぐ』、『ひで』、『やどる』と名前に使われます。
『次(ジ・つぎ)』は小学校3年生で習う漢字です。
『資(シ)』zīは、もとになるもの・もとになる資金を表す形声文字です。漢字の足し算では次(そろえる)+貝(財宝)=資(元になるため揃えたお金。資金。もと)です。漢字の部首は『貝・かい』、意味は『もとになる』、『持ち前の』、『資金を出して助ける』です。
音読みは呉音・漢音が『シ』です。訓読みは常用外に『資(もと)』がありますす。元手になるお金を資金(シキン)、元になるお金を融通することを融資(ユウシ)、元になる材料を資料(シリョウ)、持ち前の性質を資質(シシツ)、生活に役立てることを資生(シセイ)といいます。
非常に良い意味の漢字で、『すけ』、『たすく』、『ただ』、『とし』、『やす』、『よし』、『より』と名前に使われます。
『資(シ・もと)』は小学校5年生で習う漢字です。
『姿(シ)』zīは、女性が屈んで身づくろいする様子を表す形声文字です。漢字の足し算では次(人が屈む・順序良く)+女(女性)=姿(人が屈んで化粧する姿。女性が順序良く身支度する姿。容姿。すがた)です。女性だけでなく人間一般に使われます。漢字の部首は『女・おんな』、意味は『姿(すがた)』、『容姿』、『身支度する』です。
音読みは呉音・漢音が『シ』です。訓読みは『姿(すがた)』です。人の姿(すがた)・容(かたち)を容姿(ヨウシ)、勇ましい姿を勇姿(ユウシ)といいます。
非常に良い意味の漢字で、『かた』、『しな』、『たか』と名前に使われます。
『姿(シ・すがた)』は小学校6年生で習う漢字です。
『咨(シ)』zīは、意見を並べて相談する様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、次(次々に並べる)+口(言葉)=咨(次々に意見を並べて相談する。咨る。はかる)です。漢字の部首は『口・くちへん』、意味は『咨(はか)る』です。
音読みは呉音・漢音が『シ』です。訓読みは『咨(はか)る』です。
『咨(シ)』は常用漢字から外れています。
同じ意味の漢字に『諮(シ)』があります。常用漢字の『諮』を使い、『咨』を使うことはありません。
『諮(シ)』zī は、意見を並べて相談する様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、次(次々に並べる)+口(言葉)=諮(次々に意見を並べて相談する。諮る。はかる)です。漢字の部首は『言・ごんへん』、意味は『諮(はか)る』です。上位の者が、下位の者に相談するときに使います。
音読みは呉音・漢音が『シ』です。訓読みは『諮(はか)る』です。公の問題について、上位の者が皆に意見を問うことを諮問(シモン)といいます。
『諮(シ・はかる)』は中学校で習う常用漢字です。
『恣(シ)』zìは、意見を並べて相談する様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、次(次々に雑に並べる)+心=恣(次々に雑に心を構える。いい加減である。わがままである)です。漢字の部首は『心・こころ』、意味は『恣(ほしいまま)』です。
音読みは呉音・漢音が『シ』です。訓読みは『恣(ほしいまま)』です。気ままなこと、我儘(わがまま)な考えを恣意(シイ)といいます。
『恣(シ)』は平成22年度から追加して登録された中学生で習うようになった常用漢字です。
『茨(シ)』cíは、棘(とげ)が並んだ植物を表す形声文字です。漢字の足し算では、艹(植物)+次(次々に並べる)=茨(棘(とげ)が並んだ植物。茨。いばら)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、意味は『茨(いばら)』、『並ぶ』です。バラ、カラタチなど野にある棘のある植物の総称です。
音読みは呉音が『ジ』、漢音が『シ』です。訓読みは『茨(いばら)』です。棘(とげ)のある植物を茨棘(シキョク)、茅(かや)http://bit.ly/1Mn63bh を並べて、ふいた屋根を茅茨(ボウシ)をといいます。
地名では関東の茨城(いばらき)県、大阪府茨木(いばらき)市が有名です。語源は茨(いばら)で棘のある植物の城、茨(いばら)のある地域、茅(かや)を切ったなど諸説あるようです。
茨(いばら)は荊(いばら)、棘(いばら)とも書きます。
『茨(シ)』は平成22年度から追加して登録された中学生で習うようになった常用漢字です。
荊(いばら)は、刑罰(ケイバツ)の鞭(むち)を作る植物という漢字の成り立ちです。詳しくは『漢字の覚え方 形』をご覧下さい。
☆『次』に近い漢字に『盗(トウ)』dào、があります。正字は『盜(トウ)』dàoです。冫(並べる)ではなく氵(さんずい)で『水・よだれ』を流して欲しがる姿を表していると言われています。常用漢字体の『盗(トウ)』を使って下さい。
『盜・盗(トウ)』dàoは、料理のお皿を盗(ぬす)む様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、氵(水)+欠(口を開ける)+皿(料理の皿)=盜・盗(よだれを垂らして、料理のお皿を盗(ぬす)む。ぬすむ)です。漢字の部首は『皿・さら』、意味は『盗(ぬす)む』です。
音読みは呉音が『ドウ』で、漢音の『トウ』を使います。訓読みは『盗(ぬす)む』です。他人のものをこっそり用いることを盗用(トウヨウ)、盗まれる災難を盗難(トウナン)、盗む人間を盗人(ぬすっと)といいます。
羨(セン・うらや)むという漢字も『氵・よだれ』をたらしている漢字です。
『盗(トウ・ぬすむ)』は中学校で習う常用漢字です。
☆『次』に近い漢字に『吹(スイ)』chuī、『炊(スイ)』chuīがあります。
『吹(スイ)』chuīは、体を曲げて吹く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、口+欠(人が屈む)=吹(人が体を曲げて口から息を出す。吹く)です。漢字の部首は『口・くち』、意味は『吹(ふ)く』です。
音読みは呉音・漢音ともに『スイ』、訓読みは『吹(ふ)く』です。息だけでなく、風が吹くにも使います。笛を吹くことを吹管(スイカン)、雪が乱れ降ることを吹雪(ふぶき)、息を吐くこと、生命の活気溢(あふ)れる様子を息吹(いぶき)といいます。
『吹(スイ・ふく)』は中学校で習う常用漢字です。
『炊(スイ)』chuīは、竹筒を吹いて煮炊きする様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、火+欠(人が屈む)=吹(人が屈んで竹筒を吹いて煮炊きする。炊く。たく)です。漢字の部首は『火・ひへん』、意味は『炊(た)く』です。
音読みは呉音・漢音ともに『スイ』、訓読みは『炊(た)く』、常用外の『炊(かし)ぐ』です。食事の支度(シタク)を炊事(スイジ)、飯を炊くことを炊飯(スイハン)、外で食事をしないで自分で煮炊きすることを自炊(ジスイ)、竈(かまど)からでる煙を炊煙(スイエン)といいます。
食事の支度を表す大変重要な漢字で、『い』、『かし』、『かしぎ』、『とぎ』、『とぐ』と人名・地名に使われます。
『炊(スイ・たく)』は中学校で習う常用漢字です。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-7122.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.事の しだい( )。
2.じなん( )の誕生。
3.しきん( )を増やす。
4.会議の しりょう( )。
5.しせい( )が良い人。
6.ようし( )端麗。
7.しもん( )機関。
8.しい( )的な判断。
9.いばらき( )県。
10.大阪府 いばらき( )市。
11.とうなん( )事件。
12.ふぶき( )。
13.春の いぶき( )。
14.すいはん( )器。
解説です。基本の漢字は次、資本は貝を足して資、姿は女を足して姿、咨(はか)るは口を足して咨、諮るはに言(ごんべん)を足して諮、恣(ほしいまま)は心を足して恣、盗むは皿を足して盗、吹くは欠に口を足して吹、炊(た)くは欠に火を足して炊です。。
解答です。次第、次男、資金、資料、姿勢、容姿、諮問、恣意、茨城、茨木、盗難、吹雪、息吹、炊飯。
おしまいに、漢字の成り立ちの話をしましょう。最古の漢字辞書は後漢(西暦100年頃)の許慎(キョシン)の「説文解字(セツモンカイジ)」です。許慎はその中で漢字の成り立ちについて、四種類あるとしました。
①.物の形を象った(かたどった)『象形文字』(ショウケイモジ)、②.象形文字を基に点を打つことにより示された『指事文字』(シジモジ)、③.文字を組み合わせて造った『会意文字』(カイイモジ)、④.意味と音を示す文字を組み合わせた『形声文字』(ケイセイモジ)の四種です。『会意文字』と『形声文字』は漢字の足し算で表す事が出来ます。
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