漢字の覚え方 谷
今日は『谷(コク)』gǔという漢字を基本にした漢字の仲間(漢字の発音・発音上の仲間)について説明します。基本になる漢字は『谷』です。音読みは『コク』、『ヨク』、『ヨウ』、意味は『谷』、『窪んだ所』、『満たす』です。谷、浴、欲、俗、容、溶、裕などがこの漢字の仲間の漢字です。
漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算でを覚えると便利です。『谷』に何を足すと浴、欲、俗、容、溶、裕になるのかを考えます。谷は小学校2年生で習う漢字 、浴は小学校4年生で習う漢字 、容は小学校5年生で習う漢字 、欲は小学校6年生で習う漢字 、俗、溶、裕が中学校で習います。漢字の足し算で一緒に覚えましょう。
『谷(コク)』gǔは、谷を表す会意文字です。水源から水が流れ出る様子とされています。漢字の足し算では、八(わかれる・流れる)+八(わかれる・流れる)+口(穴)=谷(水源がら水が流れ出る様子。谷)です。漢字の部首は『谷・たに』、漢字の意味は『谷(たに)』、『窪んだ所』、『満たす』などです。
音読みは呉音・漢音ともに『コク』、訓読みは『谷(たに)』、『谷(や)』です。谷に流れる細い源流を渓谷(ケイコク)、谷から吹き上げる風を谷風(たにかぜ)といいます。
『谷(コク・たに)』は小学校2年生で習う漢字 です。
『浴(ヨク)』yùは、水が満たされる様子・水を浴びる表わした形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、氵(水)+谷(滝壺)=浴(水が満たされる。水に浸す。水を浴びる)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、意味は『水に浸す』、『水を浴びる』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨク』、訓読みは『浴(あ)びる』です。お湯を浴びる部屋を浴室(ヨクシツ)、水を浴びることを水浴(スイヨク)、日光を浴びることを日光浴(ニッコウヨク)といいます。
『浴(ヨク・あびる)』は小学校4年生で習う漢字です。
『容(ヨウ)』róngは、中に入れる様子や中身を表わした形声文字です。漢字の足し算では、宀(家・うつわ)+谷(満たす)=容(中に入れる。その中身。姿)です。漢字の部首は『宀・うかんむり』、意味は『中に入れる』、『中身』、『姿』、『許す』、『受け入れる』、『たやすい』です。
音読みは呉音が『ユウ』、漢音が『ヨウ』です。訓読みは『容(い)れる』、『容(かたち)』です。中に入れる量を容量(ヨウリョウ)、入れた中身を内容(ナイヨウ)、姿(すがた)・容(かたち)を容姿(ヨウシ)、受け入れて認めることを容認(ヨウニン)、たやすいことを容易(ヨウイ)といいます。
『容(ヨウ・かたち)』は小学校5年生で習う漢字 です。
とても良い意味の漢字で、『いるる』、『おさ』、『かた』、『かたち』、『なり』、『ひろ』、『ひろし』、『まさ』、『もり』、『やす』、『よし』と名前に使われます。歴史上の人物では、幕末の京都守護職、松平容保(まつだいらかたもり)さんがいらっしゃいます。
『溶(ヨウ)』róngは、水の中に入れる様子や水の中で溶ける様子を表わした形声文字です。漢字の足し算では、氵(水)+容(中に入れる)=溶(水の中に入れる。水の中で溶ける)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、意味は『水の中に入れる』、『溶ける』です。
音読みは呉音が『ユウ』、漢音が『ヨウ』です。訓読みは『溶(と)ける』、『溶(と)く』です。物質が溶けた液体を溶液(ヨウエキ)、水に溶ける性質を水溶性(スイヨウセイ)、金属を火で溶かして接合することを溶接(ヨウセツ)、熱で溶けた岩石を溶岩(ヨウガン)といいます。
バラバラにすることを日本語で『とく』というのですが、漢字の世界では色々な漢字を使い分けています。
釈(と)く ひとつ、ひとつ。釈きほぐす。 『漢字の覚え方 尺』http://bit.ly/1tkspU4
解(と)く ばらばらにする。解きほぐす。 『漢字の覚え方 解』http://bit.ly/1N1uZka
溶 (と)く 水の中で溶かす。 『漢字の覚え方 溶』http://bit.ly/1xUYpv5
説 (と)く ひとつひとつ説明する。 『漢字の覚え方 説』http://bit.ly/1GMPByp
梳 (と)く 櫛(くし)で髪をさらさらにする。 『漢字の覚え方 疋』http://bit.ly/1JXetBr
解 釈(カイシャク)、解 説(カイセツ)のように二語の熟語にしても使います。
『溶(ヨウ・とける)』は中学校で習う常用漢字です。
金属の溶(と)けたものには鎔(ヨウ)róng、火で溶(と)けたものには熔(ヨウ)róngという漢字がありますが、常用漢字ではないので溶(ヨウ)に書き換えられます。
『蓉(ヨウ)』róngは、蓮(はす)の花を表す様子や水の中で溶ける様子を表わした形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、艹(植物・草)+容(中に入れる)=蓉(容器のような花)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』です。蓮の花は芙蓉(フヨウ)といいます。『芙(フ)』fuは『大きい花』で大きな容器の様な花が咲くという意味です。
音読みは呉音が『ユウ』、漢音が『ヨウ』です。『蓉』は人名用漢字です。
芙(フ・大きな花)は夫(フ・大きい)の『単語家族』で、扶(フ)などの仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 夫』をご覧ください。
蓮(レン・はす・根が連なる植物)は連(レン・連なる)の『単語家族』で、漣(レン)などの仲間の漢字http://bit.ly/1HDDHFM があります。
『欲(ヨク)』yùは、空白・不満を満たしたい様子を表わした形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、谷(満たす)+欠(空の)=欲(空白・不満を満たしたい。欲望)です。漢字の部首は『欠・あくび』、意味は『不満を満たしたい』、『欲しい』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨク』です。訓読みは『欲(ほっ)する』、『欲(ほ)しい』です。不足を感じて満たしたいと望む気持ちを欲望(ヨクボウ)、食べ物を欲しがる気持ちを食欲(ショクヨク)、欲望が無いことを無欲(ムヨク)といいます。
『欲(ヨク・ほしい)』は小学校6年生で習う漢字です。
同じ意味の漢字で名詞を表す『慾(ヨク)』yùは、空白・不満を満たしたい様子を表わした形声文字です。漢字の足し算では、谷(満たす)+欠(空の)=欲(空白・不満を満たしたい。欲望)です。漢字の部首は『欠・あくび』、意味は『不満を満たしたい』、『欲しい』です。
があります。こちらは、心を足して『欲しがる気持ち』を表します。『慾(ヨク)』は常用漢字でないので『欲(ヨク)』に書き換えます。
『俗(ゾク)』súは、世間の習わしを表わす形声文字です。漢字の足し算では、イ(人間)+谷(受け入れる)=俗(人間の習わしを受け入れる。俗)です。漢字の部首は『イ・にんべん』、意味は『世間の習わし』、転じて『風流がなく卑しい』、『出家していない』です。
音読みは呉音が『ゾク』が普通で、漢音の『ヨク』は使いません。世間の習わしを習俗(シュウゾク)、低く卑しいことを低俗(テイゾク)、出家していない名前を俗名(ゾクミョウ)といいます。
『俗(ゾク)』は中学校で習う常用漢字です。
『裕(ユウ)』yùは、ゆったりした衣服を表す形声文字です。漢字の足し算では、衤(衣服)+谷(満たす)=裕(ゆったりした衣服。ゆとりがある)です。漢字の部首は『衤・ころもへん』、意味は『余裕がある』、『豊かである』、『ゆとりがある』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ユ』で、慣用音が『ユウ』です。豊かで限界までは余りがあることを余裕(ヨユウ)、財産が豊かで余裕があることを裕福(ユウフク)、富んで生活が豊かであることを富裕(フユウ)といいます。
大変良い意味の漢字で『すけ』、『ひろ』、『ひろし』、『まさ』、『みち』、『やす』、『ゆたか』と人名に使われます。
『裕(ユウ)』は中学校で習う常用漢字です。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-4a36.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.紅葉の けいこく( )。
2.山と たにがわ( )。
3.にっこうよく( )。
4.一階の よくしつ( )。
5.ないよう( )を確認。
6.ようい( )な計算。
7.すいようえき( )を作る。
8.むよく( )の勝利。
9.しょくよく( )の秋。
10.地域の しゅうぞく( )。
11.よゆう( )のある態度。
12.ゆうふく( )な家庭。
解説です。基本の漢字は谷、浴びる氵(さんずい)を足して浴、容器は宀(うかんむり)を足して容、溶けるは容に氵(さんずい)を足して溶、欲は欠を足して欲、俗はイ(にんべん)を足して俗、裕(ゆたか)はゆったりの服で衤(ころもへん)を足して裕です。
解答です。渓谷、谷川、日光浴、浴室、内容、容易、水溶液、無欲、食欲、習俗、余裕、裕福。
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