漢字の覚え方 占
今日は『占(セン)』zhān、zhànという漢字の『単語家族』について説明します。基本になる漢字は『占(』です。音読みは『セン』か『テン』か『ネン』、意味は『占(うらな)う』、『占(し)める』です。占、店、点、粘、貼、拈、鮎、砧などがこの漢字の『単語家族』です。
『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『占』に何を足すと店、点、粘、貼、拈、鮎になるのかを考えます。店、点は小学校で2年生で、占、粘、貼は中学校で習います。
『占(セン)』zhān、zhànは、物事を占う様子を表す形声文字です。口は言葉ではなく、場所を示す記号と言われています。漢字の足し算では、卜(亀の甲羅をみて占う)+口(場所)=占(物事を占う。うらなう)です。漢字の部首は『卜・ぼく』、漢字の意味は『占(うらな)う』、『場所を示す』、転じて『占(し)める』です。
音読みは呉音・漢音ともに『セン』、訓読みは『占(うらな)う』、『占(し)める』です。星の運行をみて吉凶を占う術を占星術(センセイジュツ)、夢を占うことを占夢(センム)、独り占めを独占(ドクセン)、ある場所に居座ることを占拠(センキョ)といいます。
占(うらなう)うは卜(うらなう)うとも書きます。卜(ボク)は仆(フ)、赴(フ)、訃(フ)などの漢字と同じ仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 卜』をご覧下さい。
占(セン)は中学校で習う常用漢字です。
『店(テン)』diànは、決まった点(場所に)にお店を出す様子を表わす形声文字です。漢字の足し算では、广(家)+点=店(決まった場所に出す屋根付きの店。店)です。漢字の部首は『』、意味は『店(みせ)』、『宿屋』、『貸家』です。
音読みは呉音・漢音ともに『テン』です。訓読みは『店(みせ)』と常用外の『店(たな)』があります。店を開くで開店(カイテン)、店を閉めるで閉店(ヘイテン)、借家人を店子(たなこ)、夜のお店を夜店(よみせ)といいます。
店(テン)は小学校2年生で習う漢字です。
『点・點(テン)』diǎnは、小さな黒い点を表す形声文字です。漢字の足し算では、黒+占(占める)=點(黒い点をつける。点)です。漢字の部首は『灬・れっか』、漢の意味は『点』、『小さな印』、『特定の場所』、『ちょっとつける』、『ちょっと』、『点数』です。正字は點ですが、常用漢字体の点を使って下さい。
音読みは呉音・漢音ともに『テン』です。黒い点を黒点(コクテン)、終わりの場所を終点(シュウテン)、ちょっと火を点(つ)けるのを点火(テンカ)、印を付けて検査するのを点検(テンケン)といいます。
点(テン)は小学校2年生で習う漢字です。
『粘(ネン)』niánは、お米が粘(ねば)る様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、米(こめ)+占(占める)=粘(米が一つ所に留まって粘りが出る。粘る。ねばる)です。漢字の部首は『米・こめへん』、意味は『粘(ねば)る』です。
音読みは呉音が『ネン』、漢音が『デン』、訓読みは『粘(ねば)る』です。粘り着くことを粘着(ネンチャク)、粘り気のある液体が粘液(ネンエキ)、粘り気のある柔らかい膜を粘膜(ネンマク)といいます。
粘(ネン)は中学校で習う常用漢字です。
『颭(セン)』zhǎnは、風が颭(そよ)ぐ様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、風(かぜ)+占(占める。動かない)=颭(動かないものの上を風が通過する。颭(そよ)ぐ)です。漢字の部首は『風・かぜ』、意味は『颭(そよ)ぐ』です。
音読みは呉音・漢音ともに『セン』、訓読みは『颭(そよ)ぐ』です。我が国では、常用漢字を使って戦(そよ)ぐhttp://bit.ly/ZRPG0Y と書くのが多く、梵(そよ)ぐと書くこともあります。
颭(セン)は中学校で習う常用漢字から外れています。
『拈(ネン)』niānは、指先でつまんで拈(ひね)る様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、扌(手の動作)+占(占める。点)=拈(指を一つ所に集めてひねる、拈る)です。漢字の部首は『扌・てへん』、意味は『拈(ひね)る』です。
音読みは呉音が『ネン』、漢音が『デン』、訓読みは『拈(ひね)る』です。拈り出すことを拈出(ネンシュツ)といいます。
拈は中学校で習う常用漢字から外れています。
拈(ひね)るは捻(ひね)るとも書きます。『捻(ネン)』niǎnは念の漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 念』をご覧ください。
『帖(チョウ)』tièは、布や紙に書いたもの(手帖・画帖)を表す形声文字です。漢字の足し算では、巾(布)+占(占める)=帖(布や紙に書いたもの。書き物。)です。漢字の部首は『巾・はばへん』、意味は『書き物』です。海苔(のり)や半紙(はんし)など薄いものを数える時にも使います。
音読みは呉音・漢音ともに『チョウ』、慣用音が『ジョウ』です。絵を描くスケッチブックを画帖(ガジョウ)、手のひらサイズのノートを手帖(テチョウ)といいます。
手帖(テチョウ)は常用漢字の帳を使った手帳(テチョウ)と書くのが普通です。
帖(チョウ)は中学校で習う常用漢字から外れています。
『貼(テン・チョウ)』tiēは、二枚の貝をつける様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、貝(二枚貝)+占(占める)=貼(二つのものをくっつける。貼る)です。漢字の部首は『貝・かい』です。元は二枚の貝をくっつけるイメージの漢字でしたが、『帖(チョウ)』という漢字に引っ張られて、薄いものを貼(は)るイメージの漢字として使われます。意味は『貼(は)る』です。
音読みは呉音・漢音ともに『チョウ』、慣用音が『テン』です。訓読みは『貼(は)る』です。貼りつけることを貼付(チョウフ・テンプ)といいます。
貼(テン・チョウ)は平成22年度の改定により新たに登録された中学校で習う常用漢字です。
貼付(テンプ)は添付(テンプ)http://bit.ly/1uk1ukw と書くのが普通です。
『砧(チン)』zhēnは、布(ぬの・きぬ)のつや出しに使う石の台を表す形声文字です。漢字の足し算では、石(石製の台)+占(一定の場所)=砧(一定の場所で布を打つ。きぬた)です。漢字の部首は『石・いし』です。布(絹)のつや出しに木で杵(きね)で打つのですが、その時の石や木の台を布(きぬ)の板(いた)から砧(きぬた)といいます。
音読みは呉音・漢音ともに『チン』、訓読みが『砧(きぬた)』です。砧を打つ音を砧声(チンセイ)、杵(きね)と砧(きぬた)を砧杵(チンショ)といいます。
砧(チン)は中学校で習う常用漢字から外れています。
『鮎(ネン)』niánは、縄張(なわば)りをもつ魚の鮎(あゆ)を表す形声文字です。漢字の足し算では、魚(さかな)+占(占める)=鮎(縄張りをもつ魚。鮎。あゆ)です。漢字の部首は『魚・さかなへん』、意味は『鮎(あゆ)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ネン』、慣用音が『テン』です。訓読みは『鮎(あゆ)』です。鮎(あゆ)は香魚(あゆ)とも書きます。西瓜(スイカ)のような良い香りがするからです。
中国では鮎(ネン)は『なまず』です。漢字の足し算では、魚+粘(粘る。ヌルヌルした)=鮎(ヌルヌルした魚。鮎。なまず)です。
我が国では、発音の同じ『鯰(ネン)』niánを『なまず』に使っています。中国と日本では生息する動植物に差があり、漢字も違う字を使用することが多いのです。
魚を使った漢字について詳しくは部首索引 魚(うお・さかな) をご覧下さい。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-23d5.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.せんせい( )術。
2.どくせん( )禁止法。
3.八時 かいてん( )。
4.縁日の よみせ( )。
5.しゅうてん( )。
6.機械の てんけん( )。
7.ねんちゃく( )テープ。
8.ねんど( )細工。
9.費用の ねんしゅつ( )。
10.海苔 一じょう( )。
11.書類の ちょうふ( )。
12.あゆ( )の縄張り。
解説です。数字の十は占、、店は家を表す广(まだれ)を足して店、点は灬(れっか)を足して点、粘るは米を足して粘、拈(ひね)るは扌(てへん)を足して拈、手帖は巾(はばへん)を足して帖、貼(は)るは貝を足して貼、鮎は魚(さかなへん)に占(し)めるを足して鮎です。
解答です。占星術、独占、開店、夜店、終点、点検、粘着、粘土、捻出、拈出、帖、貼付、鮎
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