漢字の覚え方 大
今日は『大(ダイ・タイ)』dàiという漢字の『単語家族』について説明します。基本になる漢字は『大』です。音読みは『ダイ』、『タイ』、意味は『大きい』、『あまりに』、『おおよその』です。大、太、泰、汰、駄、達、燵などがこの漢字の『単語家族』です。
『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『大』に何を足すとどんな漢字になるのかを考えます。大は小学校で1年生で、太は2年生、達は4年生、泰、汰、駄は中学校で習います。一緒に覚えましょう。
『大(ダイ)』dàiは、人間が大の字に大きく立った姿を表す象形文字です。漢字の部首は『大・だい』、漢字の意味は『大きい』、『あまりに』、『おおよその』です。
音読みは呉音が『ダイ』、漢音が『タイ』。訓読みは『大(おお)』、『大(おお)きい』、『大(おお)いに』です。広くて大きいが広大(コウダイ)、野菜の大根(ダイコン・おおね)、おおよその意味が大意(タイイ)です。大人(おとな)、大和(やまと)は常用漢字表にある特別な訓読みです。
大(ダイ・タイ)は小学校で1年生で習う漢字です。
『大』の反対の漢字は『小』です。
『小(ショウ)』xiǎoの説明です。小という漢字は貝を三つ並べたもので、『小さい』ことを表します。漢字の部首は『小』。『小』に貝は含まれていませんが、元々は小さい貝を表現したものです。
音読みは、呉音・漢音ともに『ショウ』です。訓読みは『小(ちい)さい』、『こ』、『さ』、『お』です。『小山(こやま・おやま)』、『小田(おだ)』、『小野(おの)』、『小平(こだいら)』、『小西(こにし)』、『小林(こばやし)』と多くの名字に使われています。『小さくて綺麗』の意味があるので、『小夜(さよ)』、『小百合(さゆり)』と名前にも良く使われている漢字です。
小(ショウ)は、小(ショウ)、少(ショウ)、砂(サ)と同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 小』をご覧ください。
『太(タ・タイ)』tàiは、太(ふと)い様子を表す形声文字です。泰(タイ)の略字です。漢字の足し算では、大+両手+水=泰(たっぷりの水を使う。たっぷり。太い)です。略字では大+丶(省略)=太(太い)です。漢字の部首は『大・だい』、漢字の意味は『ゆったり』、『太い』、『たくさん』、『かなり』、『年長者・祖父』です。
音読みは呉音・漢音ともに『タイ』、慣用音が『タ・ダ』、訓読みが『太(ふと)い』、『太(ふと)る』です。ゆったりした平和の様(さま)を泰平・太平(タイヘイ)、かなり昔の事を泰古・太古(タイコ)、祖父のことを太公(タイコウ)、昔の最高行政機関を太政官(ダイジョウカン・ダジョウカン)といいます。
太(タ・タイ)は小学校で2年生で習う漢字です。
『泰(タイ)』tàiは、泰(タイ)の正字です。漢字の足し算では、大+両手+水=泰(たっぷりの水を使う。たっぷり。太い。やすらか)です。漢字の部首は『水・みず』、漢字の意味は『ゆったり』、『おおらか』、『たくさん』、『かなり』です。『太い』、『祖父』の意味では略字の太を使います。
音読みは呉音・漢音ともに『タイ』です。ゆったりした平和の様を泰平・太平(タイヘイ)、かなり昔の事を泰古・太古(タイコ)、山東省にある天子が即位する神聖な山を泰山・太山(タイザン)、ゆったりして物事に驚かない自然な様(さま)を泰然(タイゼン)といいます。
非常に良い意味の漢字で『あきら』、『とおる』、『ひろ』、『ひろし』、『や』、『やす』、『やすし』、『ゆたか』、『よし』と名前に使われます。
泰(タイ)は中学校で習う常用漢字です。
『汰(タ・タイ)』tàiは、たっぷりの(太)水で洗い流す様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、氵(水)+太(たっぷりの)=汰(たっぷりの水を使って洗い流す。たっぷり。太い)です。漢字の部首は『氵・さんずい』、漢字の意味は『たっぷりの水で洗い流す』、『選び分ける』です。
音読みは呉音・漢音ともに『タイ』は使いません、慣用音の『タ』を使います。水を流して選び分けること、善悪を区別すること、知らせ、命令を沙汰(サタ)、水で選び分けること、自然界の競走で不適合なものが滅びることを淘汰(トウタ)といいます。
汰(タ・タイ)は中学校で習う常用漢字です。
同じ『水で洗い流す』意味の漢字に『沙(シャ・サ)』shàがあります。
『沙(シャ・サ)』shàを漢字の足し算で表わすと、氵(水)+少(砂)=沙(水で洗われた砂。水で砂を洗い流す。沙)です。漢字の部首は『氵・さんずい』です。漢字意味は『沙(すな)』、『真砂(まさご)』、『よなげる』です。
音読みは呉音が『シャ』、漢音が『サ』です。訓読みは『沙(すな)』、『沙(まさご)』です。基本的に砂と同じに使います。砂と違う使用例としては、水ですすいで善悪をより分けること・沙汰(サタ)、芳香があり小さい花の咲く木・沙羅(サラ)があります。非常に良い、美しい漢字で『いさ』、『いさご』、『さ』、『す』、『すな』と名前に使われます。
沙(シャ・サ)は中学校で習う常用漢字です。
沙(シャ・サ)は、小(ショウ)、少(ショウ)、砂(サ)と同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 小』をご覧ください。
『駄(ダ)』tuó、duòは、太った馬・大きい馬を表す形声文字です。漢字の足し算では、馬+太=駄(太った馬・大きい馬。荷物を運ぶ馬)です。漢字の部首は『馬・うまへん』、漢字の意味は『荷物を運ぶ馬』です。
『駄(ダ)』は荷物を運ぶ大きな馬のことですが、我が国ではつまらない太った馬の意味にも使い、駄洒落(ダジャレ)、駄作(ダサク)のように『つまらない』の意味に使います。
音読みは呉音が『ダ』、漢音が『タ』です。馬で運ぶ荷物を荷駄(にダ)、お使いの報酬を駄賃(ダチン)、荷物が無い事・転じて役に立たない事を無駄(ムダ)、囲碁における打つ価値のない点を駄目(ダめ)といいます。
駄(ダ)は中学校で習う常用漢字です。
大の変わった漢字仲間に、達(タツ)dá、燵(タツ)があります。
『達(タツ)』dá、táは、すらすら達(とお)る様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、辶(進む)+羊+大(大いに)=達(羊が大いに進む。すらすらとおる。達する)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、漢字の意味は『とおる』、『達(タッ)する』、『すらすら理解する』、『優れる』、『届く』、『出世する』、『うまい』、『仲間』です。
漢字の上の部分土は大の変形です。
羊(ヨウ・ひつじ)については『漢字の覚え方 羊』をご覧ください。
漢字の世界では、物事の進む様子を動物と辶(しんにょう)で表す造字法があります。進むはは隹(トリ)、遅いは犀(サイ)、達するは羊(ヒツジ)です。
音読みは呉音が『ダチ』、漢音が『タツ』です。高い地位に出世することを栄達(エイタツ)、物事をすらすらこなす優れた人を達人(タツジン)、配り届けることを配達(ハイタツ)、対等に交わる親しい仲間を友達(ともダチ)といいます。
優れる様子を表す非常に良い意味の漢字で、『いたる』、『かつ』、『さと』、『さとし』、『さとる』、『しげ』、『すすむ』、『ただ』、『たつ』、『たて』、『と』、『とおる』、『のぶ』、『ひろ』、『みち』、『よし』と広く名前に使われます。
達(タツ)は小学校4年生で習う漢字です。
『燵(タツ)』は火が届く様子を表す日本製の国字です。漢字の足し算では、火+達(届く)=燵(火がうまく届く)です。
音読みは、達(タツ)から引用した『タツ』です。日本独特の暖房器具、炬燵(コタツ)に使う漢字で、火榻子(かたし)→炬燵(コタツ)を表すために室町時代以降に造られた漢字のようです。
燵(タツ)は常用漢字から外れています。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-07ec.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.だいこん( )と人参。
2.おとな( )と子供。
3.こうだい( )な敷地。
4.たいこ( )の昔。
5.ふと( )巻き寿司。
6.天下 たいへい( )。
7.たいぜん( )自若。
8.地獄の さた( )。
9.自然 とうた( )。
10.仕事が むだ( )になる。
11.郵便 はいたつ( )。
12.太鼓の たつじん( )。
13.こたつ( )布団。
解説です。基本の漢字は大、太いは丶を足して太、泰は大に水を足して泰、沙汰は氵(さんずい)を足して汰、荷物を運ぶ馬は駄、達(とお)すは辶(しんにょう)に羊で達、炬燵(コタツ)は火がうまく届くで燵です。
解答です。大根、大人、広大、太古、泰古、太、泰平、太平、泰然、沙汰、淘汰、無駄、配達、達人、炬燵。
« 漢字の覚え方 知 | トップページ | 漢字の覚え方 占 »
「タ行(タ )」カテゴリの記事
- 漢字の覚え方 代(2013.06.02)
- 漢字の覚え方 多(2017.07.17)
- 漢字の覚え方 它・也(2013.06.02)
- 漢字の覚え方 乇(2016.02.14)
- 漢字の覚え方 卓(2017.10.15)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/587183/59661434
この記事へのトラックバック一覧です: 漢字の覚え方 大:
コメント