小学校2年生で習う漢字④(内~話)
ブログの許容量の関係で『小学校2年生で習う漢字①』(羽~言)と 『小学校2年生で習う漢字②』(戸~親)、 『小学校2年生で習う漢字③』(図~読)、 『小学校2年生で習う漢字④』(内~話)に分割しています。ご了承下さい。
漢字の説明の前に、漢字の成り立ちの話をしましょう。最古の漢字辞書は後漢(西暦100年頃)の許慎(キョシン)の「説文解字(セツモンカイジ)」です。許慎はその中で漢字の成り立ちについて、四種類あるとしました。中学の教科書に掲載されるようになったので、解説致します。
①.物の形を象った(かたどった)『象形文字』(ショウケイモジ)、②.象形文字を基に点を打つことにより示された『指事文字』(シジモジ)、③.文字を組み合わせて造った『会意文字』(カイイモジ)、④.意味と音を示す文字を組み合わせた『形声文字』(ケイセイモジ)の四種です。『会意文字』と『形声文字』は漢字の足し算で表す事が出来ます。二年生の漢字については一覧にしてありますので象形・指事・会意・形声 二年生も御覧ください。
漢字の成り立ちについての解釈は四通りです。どの時代の漢字に重点を置くか、また「説文解字(セツモンカイジ)」にどれほど敬意を払うかにより、解釈が違う場合が稀にあります。ある辞書では『見』を象形文字、別の辞書では目+儿の会意文字としています。漢字の解釈については諸説あることを御承知下さい。
『内(ナイ)』nèiは、家に入る様子を表す会意文字(カイイモジ)です。漢字の足し算で表は、冂(家)+入=内(家に入る。うち)です。漢字の部首は『冂・けいがまえ』、漢字の意味は『うち』、『入れる』です。
鎌田は入の音の入った形声文字、白川は金文まで遡って象形文字としています。
少し漢字の読み方の話をします。漢字の読み方には音(オン)読みと訓(くん)読みがあります。音読みには、漢字を輸入した時期により違いがあります。六朝時代の江南地方の読み・呉音(ゴオン)、唐の長安の読み・漢音(カンオン)、鎌倉時代に輸入した読み・唐宋音(トウソウオン)、日本で慣用的に読まれる慣用音(カンヨウオン)があります。訓読みは大和言葉(やまとことば)に合わせた読み方です。
音読みは呉音が『ナイ』、漢音が『ダイ』です。訓読みは『内(うち)』です。
もう少し発音の話をします。中国では六朝時代のn音が、唐の時代にはd音に変化しました。『内(nai・ナイ→daiダイ)』です。現在では『内』nei、の発音ですから、再びn音に戻ったのです。一方我が国では、呉音(六朝時代のn音)・漢音(唐時代のd音)ともに、統一されずに残ってしまい、『内・ナイ』と読んだり『内・ダイ』と読んだりします。呉音と漢音については呉音と漢音もご覧ください。
内定(ナイテイ)、内面(ナイメン)、境内(ケイダイ)、内裏(ダイリ)、内気(うちき)の内です。内は納と同じ仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 内』 をご覧ください。
縁起の良い漢字ですので名字、地名、名前に活躍している漢字です。名字では内川さん、内田さん、内山さん。名前では『うち』、『ただ』、『のぶ』、『まさ』、『はる』と読ませます。
『南(ナン)』nánは、小屋に入りこむ暖かい空気を表す漢字。南方民族の演奏する太鼓(たいこ)・銅鑼(どら)を表す漢字ともいわれています。漢字の部首は『十・じゅう』、漢字の意味は『南(みなみ)』です。
音読みは呉音が『ナン』、漢音が『ダン』、慣用音が『ナ』、訓読みが『南(みなみ)』です。南の方を南方(ナンポウ)、南の風を南風(ナンプウ・みなみかぜ)、南の方にある山を南山(ナンザン)といいます。我が国では北の比叡山延暦寺を北嶺(ホクレイ)、南の興福寺を南都(ナント)といいます。
南の『単語家族』には、楠などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 南』をご覧ください。
『肉(ニク)』ròuは、動物の肉の一切れを描いた象形文字です。漢字の一部として使われるときは月という形になります。漢字の部首は『肉・にく』、意味は『肉(にく)』、『人の体』、『肉に似たもの』、『生身の』、『親族』です。
音読みは呉音が『ニク』を使い、漢音の『ジク』は使いません。親・兄弟など親族の事を肉親(ニクシン)、肉を食べることを肉食(ニクショク)、果物の柔らかい可食部を果肉(カニク)、眼鏡を使わない生身の視力を肉眼(ニクガン)といいます。
『馬(メ・バ)』mǎは、馬を象った(かたどった)象形文字です。漢字の部首は『馬・うま』です。
発音の話をします。中国では六朝時代のm音が、唐の時代にはb音に変化しました。『馬(me・メ→baバ)』です。現在では『馬』maの発音ですから、再びm音に戻ったのです。一方我が国では、漢音(唐時代のb音)が主流ですが、呉音(六朝時代のm音)・唐宋音(宋時代のm音)もたまに使います。『馬・メ・マ』と読んだり『馬・バ』と読んだりするのです。気をつけましょう。呉音と漢音については呉音と漢音もご覧ください。
音読みは呉音が『メ』、漢音が『バ』、唐宋音が『マ』、訓読みが『うま』です。馬車(バシャ)、馬肉(バニク)、駿馬(シュンメ・シュンバ)、競馬(ケイバ・くらべうま)の馬です。馬の単語家族には、馬(メ・バ)、瑪(メ)、罵(バ)があります。詳しくは『漢字の覚え方 馬』をご覧ください。
『買(バイ)』mǎiという漢字は 貝に网(あみ)を足したものです。网は実際書くときには、罒(モウ・よこめ)と書きます。網から集めたお金を出して、品物を買う姿です。漢字の足し算では、网(罒・あみ)+貝(お金)=買(お金を出して買う)です。漢字部首は『貝・かい』です。
映像ではこんな感じです。
音読みでは、呉音が『メ』で、漢音の『バイ』を普通使います。訓読みは『買う(かう)』です。買い物(かいもの)、売買(バイバイ)、買収(バイシュウ)の買です。買(バイ)は貝(バイ)の仲間の漢字です。
『売・賣(バイ・マイ)』màiという漢字があります。商人の側に立った漢字です。買に出を足し合わせたものです。お金を出させて売ることを示します。漢字の足し算では、出(士)+買(買う)=賣(お金を出させて売る。売・賣)です。漢字の部首は『士・さむらい』です。
『賣』が正式な字体ですが、常用漢字体では省略した漢字の。『売』を使います。読み方は音読みは、呉音が『メ』、漢音の『バイ』が普通で、唐宋音の『マイ』とよむこともあります。訓読みが『うる』です。商売(ショウバイ)、販売(ハンバイ)、売値(うりね)、焼売(シュウマイ)の売です。
(イク・トク・中が四)という漢字があります。 賣(バイ・中が罒)に似た漢字で本来は別字でしたが、現在は混同されて両方使われます。やはり商売を表しています。これらの漢字の省略形が『買(バイ)』、『売(バイ)』です。我が国では日常に使う常用漢字体として買、売を使っています。詳しくは『漢字の覚え方 貝・買』をご覧ください。
『麦・麥(バク・むぎ)』màiは、麦を表す形声文字です。漢字の足し算では、來(麦の穂)+夂(すいにょう・足)=麦・麥(麦踏みをする姿。麦)です。漢字の部首は『麦・むぎ』、漢字の意味は『麦(むぎ)』です。麦をもたらす・運ぶ(夂・もたらす)姿をあらわしているとも言われています。
音読みは呉音が『ミャク』、漢音が『バク』、訓読みが『むぎ』です。麦の芽を麦芽(バクガ)といい、水あめ・ビールの原料になります。麦の実る秋(とき)を麦秋(バクシュウ)といい、初夏のことです。この場合、秋(あき)ではなく秋(とき・時期)です。
『來(ライ)』と『麥(ミャク・バク)』は同系の漢字とされており、古い発音はmlでlが残ったのが『來(ライ)』lai、mが残ったのが『麥(ミャク・バク)』maiと言われています。
麦は来の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 來』をご覧ください。
『半(ハン)』bànという漢字は、八に牛(うし)を合わせた漢字です。神にささげる神聖な牛を半分にする姿を表したものです。漢字の足し算では、八(わける)+牛(神聖な犠牲の牛)=半(半分に分ける)です。漢字の部首は『十』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ハン』で、訓読みは『半ば(なかば)』です。半分(ハンブン)、夜半(ヤハン)、半生(ハンセイ)、半月(ハンゲツ)、折半(セッパン)の半です。
『ッ』の後の『ハヒフヘホ』は『パピプペポ』になります。これは漢字の問題でなく、日本語の問題です。口唇(コウシン・くちとくちびる)の動きやすさに関係があります。折半(セッハン)より折半(セッパン)の方が日本語として言い易いのです。半は絆、伴と同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 八・半』をご覧ください。
『番(バン)』fānは、田んぼに米を播(ま)く様子を表わす漢字です。漢字の足し算では、釆(米の型)+田=番(米型に種を田んぼに播(ま)く。播く回数。番)です。漢字の部首は『田・た』、意味は『回数』、『順番』、『つがい』、『見張り番』です。
動物の掌(てのひら)を表すという説もあります。一歩、二歩とやはり回数を示すと考えられます。
音読みは呉音が『ホン』、漢音『ハン』で、慣用音の『バン』が普通です。順序を示す回数を順番(ジュンバン)、その回数に当たるのが当番(トウバン)、京都に勤番した大工(匠)を番匠(バンショウ)、見張り番の人を番人(バンニン)といいます。
番の漢字の仲間には、播、幡、藩などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 番』をご覧ください。
『父(フ)』fùは、斧(おの)を持つ男性を表す漢字で、父(ちち)を表します。漢字の部首は『父・ちち』、漢字の意味は『父・ちち』、『年老いた男性』、『年長の男性』です。
漢字の成り立ちは、手にי(斧を表す)を足した指事文字(新漢和辞典)、手にי(斧を表す)を足した会意文字(漢字源)・(字統)と二説ありますが、意味は同じです。
音読みは呉音が『ブ』、漢音が『フ』、慣用音が『ホ』、訓読みが『父(ちち)』、『お父(とう)さん』です。父と兄を父兄(フケイ)、父と母を父母(フボ・ちちはは)といいます。伯父・叔父(おじ)、お父(とう)さんは常用漢字の付表にのっている特別な訓読みです。
父の『単語家族』には、斧などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 父』をご覧ください。
『風(フウ)』fěngは、風を表す形声文字です。古代中国では、伝説上の鳥や虫が羽を使って風を起こすと考えられていました。漢字の足し算では凡(帆)+鳥・虫=鳳・風(鳥・虫が起こした空気の流れで帆が動く様子。風。かぜ)です。漢字の部首は『風・かぜ』、意味は『風』、『ゆれる』、『世の動き』、『おもむき』です。
風(かぜ)は風を表す漢字としてそのまま使われ、鳳(おおとり)は風・聖人の神様(雄)として祭られ、めでたいしるしとして、天子や宮殿を表すようになりました。(凰が雌の神様といわれています)
音読みは呉音が『フウ・フ』、漢音が『ホウ』、訓読みが『風(かぜ)』、『風(かざ)』です。風と雲・世の中の変動を風雲(フウウン)、人の品位・おもむきを風格(フウカク)、風の吹く下手(しもて)を風下(かざしも)、風の力を風力(フウリョク)といいます。
『漢字の覚え方 凡』もご覧ください。
『分(ブン・フン・ブ)』fēn・fènという漢字は、八に刀(かたな)を合わせた漢字です。刀で二つに切り分ける事から、『分ける』の意味に使います。また小さく分けるの意味から『分析する』、『わかる』の意味にも使います。長さ・時間・角度の単位としても重要な漢字になっています。
漢字の足し算では、八(わける)+刀(かたな)=分(刀で分ける。わかる。小さい単位)です。漢字の部首は『刀・かたな』です。
音読みは呉音・漢音が『フン』、『ブン』、慣用音が『ブ』で、訓読みは『分ける(わける)』、『分かれる(わかれる)』です。分解(ブンカイ)、分配(ブンパイ)、分家(ブンケ)、分析(ブンセキ)、分身(ブンシン)、分速(フンソク)、一時五分(イチジゴフン)の分です。分は粉、貧、紛、盆と同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 分』をご覧ください。
『聞(ブン)』wénは、へだたりを示す門(モン)が含まれています。従って、『へだたりを通して聞こえてくる』、『へだたりを通して聞く』、『人の話したのを聞く』の意味があります。漢字の足し算では、門+耳=聞(へだたりを通して聞く。聞く)です。漢字の部首は『耳・みみ』、意味は『聞く』、『聞こえる』、『聞いて知ったこと』、『評判』です。
音読みは呉音が『モン』、漢音が『ブン』、訓読みは『聞(き)く』です。風聞(フウブン)、見聞(ケンブン)、外聞(ガイブン)、多聞(タモン)、前代未聞(ゼンダイミモン)などと使われます。聞は、門(モン)、問(モン)と同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 門』をご覧ください。呉音と漢音については呉音と漢音もご覧ください。
『米(ベイ・マイ)』mǐは、穀物の小さな粒を表した象形文字です。十印の四方に小さな米粒を描いたものです。漢字の部首は『米・こめ』、意味は『こめ』、『よね』、『メートル』、『小さい』、『亜米利加・米利堅(アメリカ)』です。
音読みは呉音が『マイ』、漢音が『ベイ』、訓読みは『米(こめ)』、『米(よね)』です。精米した白いお米を白米(ハクマイ)、米と塩を米塩(ベイエン)といいます。米と同じの『単語家族』には迷(メイ・小さくて迷う)があります。詳しくは『漢字の覚え方 米』をご覧ください。
『歩(ホ)』bùという漢字があります。が少(ショウ)の仲間ではないかと思われるかも知れませんが違います。歩(ホ・ブ・フ)は止(シ)という漢字の親戚です。止(シ)という漢字は膝から下の足の象(かたど)ったものです。足は膝を含んだ足の象形です。歩くは左右の足を互い違いに出して歩くことから出来た漢字なのです。
漢字の部首は『止・とまる』、漢字の意味は『歩(ある)く』、『歩(あゆ)む』、『儲けの割合』、『勝敗の優劣』、『将棋の駒の一つ』です。
音読みは呉音が『ブ』、漢音が『ホ』、慣用音が『フ』、訓読みが『歩(ある)く』、『歩(あゆ)む』です。歩いて行くことを歩行(ホコウ)、文化、文明などが進んでいくことを進歩(シンポ)、乗り物に乗らないで歩いて行くことを徒歩(トホ)、勝敗の優劣が悪いことを歩(ブ)が悪いといいます。『漢字の覚え方 歩』も御覧ください。
『母(ボ)』mǔは、子供に授乳しているお母さんを表わす象形文字(藤堂・白川)です。真ん中の点は『おっぱい』を表わしています。漢字の部首は『毋・なかれ』、意味は『母(はは)』です。
最古の辞典『説文解字』にも「女に従い,子を褱(いだ)く形に象(かたど)る」とあります。女と一を合わせた会意文字とする説(諸橋轍次先生)、『おっぱい』を点と考えて指事文字とする説(鎌田正先生)もありますが、意味としては同じです。
音読みは呉音が『ム・モ』、漢音が『ボウ』、慣用音が『ボ』です。訓読みは『母(はは)』です。父と母で父母(フボ)、母の血筋を母系(ボケイ)、育った国を母国(ボコク)といいます。呉音と漢音については呉音と漢音もご覧ください。
お母(かあ)さん、乳母(うば)、母屋(おもや)は常用漢字の付表に載っている特別な訓読みです。母と同じの『単語家族』には毎(マイ)、梅(バイ)、海(カイ)などがあります。詳しくは『漢字の成り立ち 母』をご覧ください。
『方(ホウ)』fāngは、左右に張り出す耒(すき)を描いた象形文字(ショウケイモジ)です。左右の方向を表します。漢字の部首は『方・ほう』、漢字の意味は『方向』、『向き』、『方法』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ホウ』、訓読みは『方(かた)』です。方位(ホウイ)、方角(ホウガク)、方面(ホウメン)、上方(ジョウホウ・かみがた)、行方(いきかた・ゆくえ)の方です。行方(ゆくえ)は常用漢字の付表に載っている特別な訓読みです。
方の『単語家族』には放(ホウ)、訪(ホウ)、坊(ボウ)、妨(ボウ)などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 方』をご覧ください。
『北(ホク)』běiは、背を向けてそむいた様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、コ(左を向く人)+ヒ(右を向く人)=北(背をそむける)です。背を向ける方角が北です。漢字の部首は『ヒ・ひ』、漢字の意味は『北(きた)』、『逃げる』です。
音読みは呉音・漢音とも『ホク』です。訓読みは『北(きた)』です。南北(ナンボク)、敗北(ハイボク)、北斗(ホクト)、北極(ホッキョク)、北枕(きたまくら)の北です。
北は背(ハイ)と同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 北』をご覧ください。
『毎(マイ)』měiは、髪に飾りをつけた女性を表わす象形文字です。『子供が数人いるお母さん』、『毎日、廟堂にお祈りをするお母さん』から毎(ごと)にの意味が派生したといわれています。漢字の部首は『毋・なかれ』、意味は『いつも』、『そのつど』、『生い茂って薄暗い』です。
音読みは呉音の『マイ』が普通で、漢音の『バイ』は使いません。日々そのつどの事物を毎日(マイニチ)、朝のいつもを毎朝(マイあさ)・毎旦(マイタン)といいます。母と非常に近い漢字で、戦前は每という字体が使われていました。
毎と同じの『単語家族』には母(ボ)、梅(バイ)、海(カイ)などがあります。詳しくは『漢字の成り立ち 母』をご覧ください。
『妹(マイ)』mèiという漢字は、女に未を合わせた漢字です。漢字の足し算では、女+未(未だ成長していない)=妹(成長しきれていない女性)です。
音読みは呉音の『マイ』が普通で、漢音の『バイ』は使いません。訓読みは『いもうと』です。姉妹(シマイ)の妹です。従姉妹(いとこ・従父姉妹の略で慣用の読み方です)にも使われている漢字です。呉音と漢音については呉音と漢音もご覧ください。
妹は未(ミ)、味(ミ)、昧(マイ)、魅(ミ)と同じ仲間の漢字です。興味のある方は『漢字の覚え方 未』をご覧ください。
『万・萬(マン)』wànは、長く長く続く様子を描いた象形文字です。萬は大きなはさみをもったサソリを描いているといわれています。また万は卍の変形といわれ、こちらも長い・大きいを表します。漢字の部首は『一・いち』、意味は『千の十倍』、『非常に多い』です。
萬はサソリを表す漢字蠆(タイ)と非常に近い漢字です。萬が正字ですが、常用漢字体の万を使って下さい。
音読みは呉音が『モン』、漢音が『バン』、慣用音が『マン』です。非常に長い年月・長寿を祝福すろ言葉を万歳(バンザイ)、多くの国を万国(バンコク)、どうしても助からない状況を万死(バンシ)、我が国最古の歌集を万葉集(マンヨウシュウ・マンニョウシュウ)といいます。
『明(メイ・ミョウ)』míngは、明るい様子を表わす漢字です。漢字の足し算では、囧(ケイ・窓)+月=明(窓から入ってくる月の光。月光。明るい)です。漢字の部首は『日・にち』ですが、『日』は太陽ではなく窓を表す『囧』に漢字の省略形です。漢字の意味は『明るい』、『夜明け』、『物事にあかるい』、『明日』です。
音読みは呉音が『ミョウ』、漢音が『メイ』、唐宋音が『ミン』です。訓読みは『明(あ)かり』、『明(あか)るい』、『明(あき)らか』、『明(あ)ける』です。明るい星・金星のことを明星(ミョウジョウ)、明日の朝を明朝(ミョウチョウ)、中国の王朝の名前・活字の字体を明朝(ミンチョウ)、明るく朗らかな様子を明朗(メイロウ)といいます。
明は盟(メイ)、萌(ミョウ・ホウ)と同じ仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 明』をご覧ください。
『鳴(メイ)』míngは、鳥が鳴(な)く様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、口+鳥=鳴(鳥が口で音を出す。鳴く)です。漢字の部首は『鳥・とり』、意味は『鳥が鳴く』、『獣が鳴く』、『人がうめく』、『楽器を鳴らす』、『音が出る』です。
音読みは呉音が『ミョウ』、漢音が『メイ』です。訓読みは『鳴(な)く』、『鳴(な)らす』です。人の悲しいうめき声が悲鳴(ヒメイ)、雷の音を雷鳴(ライメイ)、鹿の鳴き声を鹿鳴(ロクメイ)といいます。
鳴(ミョウ)は鳥(チョウ)を使った漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 鳥』をご覧ください。
『毛(モウ)』máoは、髪の毛を表わす象形文字です。漢字の部首は『毛・け』、意味は『毛(け)』、『小さい』、『作物』、『一万分の一』です。
音読みは呉音の『モウ』が普通で、漢音の『ボウ』、慣用音の『モ』はあまり使いません。訓読みは『毛(け)』です。鳥の羽根の小さいものを羽毛(ウモウ)、作物の育たないことを不毛(フモウ)、0.3333を三割三分三厘三毛(サンモウ)といいます。
毛(モウ)の仲間の漢字には耄(モウ)があります。詳しくは『漢字の覚え方 毛』 をご覧ください。
『門(モン)』ménは、左右二枚の扉を設けた門を象った象形文字です。漢字の部首は『門・もんがまえ』、意味は『門((もん)』、『入口』、『家柄』、『仲間』です。
音読みは呉音の『モン』を使い、漢音の『ボン』は使いません。訓読みは『門(かど)』です。門戸(モンコ)、一門(イチモン)、門限(モンゲン)、名門(メイモン)、門出(かどで)の門です。
門の漢字仲間には聞、問があります。詳しくは『漢字の覚え方 門』をご覧ください。
『夜(ヤ・よる)』yèは、月が出て亦(また)、月が出る様子を漢字にしたものです。漢字の足し算では、亦(また)+月=夜(また月が出る。昼の両側。夜)です。意味は『よる』です。『夜』は『亦』のデザインを少し変更したものです。
音読みは呉音・漢音ともに『ヤ』です。訓読みは『よ』、『よる』です。夜半(ヤハン)、夜行(ヤコウ)、夜景(ヤケイ)、深夜(シンヤ)、通夜(ツヤ)、夜風(よかぜ)、闇夜(やみよ)、昼夜(チュウヤ・ひるよる)の夜です。
夜は亦に月を足したもので、液、腋などの『単語家族』があります。詳しくは『漢字の覚え方 夜』をご覧ください。
『野(ヤ)』yěは、広がりを持つ野原を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、里(田と土)+予(広がる)=野(里で広がりを持つ野原・田畑。野)です。漢字の部首は『里・さと』、意味は『広がる大地』、『民間』、『範囲』、『ひなびた』、『自然』、『あらっぽい』です。
異体字に埜(ヤ)があります。漢字の足し算は、林(林・広がる)+土=埜(広がりを持つ土。野)です。漢字の成り立ちは違いますが、意味は同じです。
音読みは呉音・漢音ともに『ヤ』、訓読みは『野(の)』です。広い野原を原野(ゲンヤ)、町から離れた地を野外(ヤガイ)、分かれた範囲を分野(ブンヤ)、自然の性質を野性(ヤセイ)、あらっぽい勝手な気持ちを野心(ヤシン)といいいます。
野は予の『単語家族』があります。詳しくは『漢字の覚え方 予』をご覧ください。
『友(ユウ・とも)』yǒuは、右手と右手が重なったもので、良好な人間関係を表します。書き順は横棒、左払いです。左払いを長く書きます。漢字の足し算では、ナ(右手)+又(右手)=友(右手と右手を重ねる。友情の証。友達)です。漢字の部首は『又』です。
音読みは呉音が『ウ』、漢音が『ユウ』、訓読みが『友(とも)』です。友達同士の仲の良い情愛を友情(ユウジョウ)、親しい友達を親友(シンユウ)、といいます。友は右、祐、佑と同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 右』をご覧ください。
『用(ヨウ)』yòngは、板に棒で穴をあける様子を描いた会意文字です。漢字の足し算では、中(板に穴をあける)+卜(棒)=用・?(板をつらぬく。転じて通用する。用いる)です。漢字の部首は『用・もちいる』、意味は『用(もち)いる』、『通用する』、『用具』、『仕事』、『資金』です。
『説文解字』には「卜に従い中に従う」とあります。藤堂は「板に棒で穴をあけ通すことからつらぬき通すはたらきをいう」としています。
板に穴を空けて、工具・用具を表すのは漢字の世界では良くあります。二枚の板に縦穴をあける漢字が工で工具(きり・のみ)http://bit.ly/101tzpr を表します。用も同様の漢字の成り立ちです。
音読みは呉音が『ユウ』、漢音が『ヨウ』、訓読みが『用(もち)いる』です。心(意)を用いるのを用意(ヨウイ)、公の仕事を公用(コウヨウ)、費やす資金を費用(ヒヨウ)、心を使って警戒することを用心(ヨウジン)といいます。
用と同じ漢字仲間には甬(ヨウ)、庸(ヨウ)、通(ツウ)などがあります。用は、庸(ヨウ)、甬(ヨウ)、踊(ヨウ)、通(ツウ)、痛(ツウ)などと同じ仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 用』をご覧ください。
『曜(ヨウ)』yàoは、高く輝く様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、日(太陽・輝く)+翟(キジが高く飛ぶ)=曜(高く光輝く。曜。てらす)です。漢字の部首は『日・にち』、意味は『輝く』、『照らす』です。
中国では古来より、太陽、月、火星、水星、木星、金星、土星の空高く輝く星を『七曜(シチヨウ)』といいます(春秋穀梁伝)。現在では、『七つの天体が守護する七つの日』という西洋の概念にあてはめて、曜の字を使っています。
音読みは呉音・漢音ともに『ヨウ』です。日曜日(ニチヨウビ)、月曜日(ゲツヨウビ)の曜です。大変に縁起の良い漢字で、『あきら』、『てらす』、『てる』の人名に使われます。
曜は躍(ヤク)、濯(タク)などと同じ仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 翟』をご覧ください。
『來・来(ライ)』láiは、麦の穂が垂れる様子を象った象形文字です。麦がもたらされることから『来(く)る』の意味に使われます。漢字の部首は『木・き』、意味は『来(く)る』、『来(きた)る』、『ある時点からのち』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ライ』、訓読みは『来(く)る』、『来(きた)る』です。伝わりもたらされたことを伝来(デンライ)、次の時代を来世(ライセイ)、死んでからのあの世を来世(ライセ)、他の地方から来ることを来遊(ライユウ)といいます。
来の『単語家族』には麦などの漢字があります。漢字の成り立ちについて詳しくは『漢字の覚え方 來』をご覧ください。
『里(リ)』lǐという漢字は 田に土・社(やしろ・土地神)を足したものです。漢字の足し算では、田+土(社の略字=里(人が田を耕す。人里。土地神のいるところ。)です。部首は『里』、意味は『人里(ひとざと)』、『地方の田舎』を表します。また人がきちんと管理している田畑を表します。転じて、行政区画、距離(約500m、日本では約4km)を示します。
音読みは呉音・漢音ともに『リ』、訓読みでは『さと』と読みます。一里塚(イチリづか)の里です。里は、理、裏などと同じ仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 里』をご覧ください。
『理(リ)』lǐは、漢字の足し算では、王(ぎょく)+里(筋目)=理(玉に入っている筋目。きちんとした美しいもの。理)です。漢字の部首は『王・ぎょく』、音読みは『リ』、訓読みは常用外の読み方で『理める(おさめる)』、『ことわり』があります。
きちんと正しく解ることを理解(リカイ)。きちんとした考えのもとにイメージする(想う)ことを理想(リソウ)。髪をきちんとすることを理髪(リハツ)。きちんとした考え方の由(いきさつ)を理由(リユウ)と言います。漢字に玉(ギョク・たま)が付いていて良い意味に使われ、とても大事な漢字です。
理は、里、裏などと同じ仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 里』をご覧ください。
『話(ワ)』huàは、勢い良く話す様子を表わす漢字です。漢字の足し算では、言(言葉)+舌(カツ・勢い良い)=話(勢い良く話す。はなす)です。漢字の部首は『言・ごんべん』、意味は『話』、『話(はな)す』です。
音読みは呉音が『エ』、漢音が『カ・カイ』、唐宋音が『ワ』です。世間での話。転じて面倒をみるを世話(セワ)、会って話すのが会話(カイワ)、話の題目を話題(ワダイ)といいます。話は、活、括などと同じ仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 舌』をご覧ください。
以上で、小学校二年生で習う漢字の成り立ちと解説はおしまいです。
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、下記の本をお読みください。
篆文(テンブン)を中心にした体系的な記述、韻、呉音・漢音の説明は、諸橋轍次先生の『新漢和辞典』、藤堂明保先生の『漢字源』・『漢字の過去と未来』を参考にさせて頂いてます。
甲骨文字・金文のもつ呪術的な解釈には白川静先生の『字通』・『字統』・『漢字』・『中国古代の文化』を参考にさせて頂いています。
漢字の伝来や常用漢字の解釈については、大島正二先生の『漢字伝来』、高島俊男先生の『漢字と日本人』を参考にさせて頂いています。
日本語については、金田一京助先生の『日本語の変遷』、大野晋先生の『日本語の文法を考える』、新村出先生の『広辞苑』を参考にさせて頂いております。
最近の研究については、落合淳思先生の『漢字の成り立ち』を参考にさせて頂いております。
医学用語については伊藤正男・井村裕夫・高久史麿先生の『医学大辞典』を参考にさせて頂いております。
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