漢字の覚え方 厂
今日は厂(ガン)という漢字を基本とした厂、岩、嵒、癌、岸、彦、顔、厳、原、源、願という仲間の漢字と厄、危、詭、炭について説明します。基本の漢字は『厂』で、読み方は『ガン』、『カン』、意味は、『崖(がけ)』です。
厄、危、詭、炭は音が違いますが、覚えるためにここでは一緒に扱います。
漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算でを覚えると便利です。厂に何を足すと岩、嵒、癌、岸、彦、顔、厳になるのか考えます。岩、顔、原は小学校2年生で習う漢字 、岸、炭は3年、願は小学校4年生で習う漢字 、源、厳、危は小学校6年生で習う漢字 です。彦は人名用漢字です。学年に関係なく漢字の足し算でまとめて覚えてしまいましょう。
『厂(カン・ガン)』hàn、ānは、切り立った崖(がけ)様子を表す象形文字です。漢字の部首は『厂・がんだれ』、意味は『崖(がけ)』、『厂型』、『切り立った』、『きちんとした』の意味があります。
音読みは呉音・漢音ともに『カン』、慣用音は『ガン』です。『厂』の字単独で使う事はありません。岩、岸、彦、顔、厳などの漢字に音と意味を表す音符(オンプ)として含まれます。
崖(ガイ)、涯(ガイ)については『漢字の覚え方 圭』をご覧ください。
『岩(ガン)』yánは、岩(いわ)を示す会意文字(藤堂・鎌田)・象形文字(白川)です。元の漢字は『巌・巖』は形声文字で、漢字の足し算では、山+口口・ツ(石の象形・厳しいい。ツは口口を省略した形)+厂(崖・がけ)+敢(あえて)=巌・巖(険しい山にあるゴツゴツした石。岩)です。部首は『山・やま』です。意味は『岩(いわ)』です。同じ意味の漢字に『嵒』があります。
現在使われている漢字は省略形の『岩(ガン)』yánです。漢字の足し算では、山+石(山にある石。岩)の会意文字です。意味は同じですが、敢(カン・あえて)gǎnの部分がありません。常用漢字に登録されている『岩』を使って下さい。『巌・巖』はあまり使われていませんが、少し前までは、名前にこちらの字『巌・巖』を使っている方が多くいらっしゃいました。『巌(ガン)』は人名用漢字です。
読みは呉音が『ゲン』、漢音が『ガン』です。訓読みは『岩(いわ)』です。岩石(ガンセキ)、岩塩(ガンエン)、溶岩(ヨウガン)、岩山(いわやま)、岩魚(いわな)の岩です。『岩』には『きちんとした』、『立派な』という良いイメージがあり、地名だけでなく、『いわお』、『かた』、『せき』、『たか』と人の名前に多く使われています。
『岩(ガン・いわ)』は小学校2年生で習う漢字 です。
『癌(ガン)』yánは、岩(いわ)のような塊のある病気を形声文字です。漢字の足し算では、疒(病気)+嵒(岩)=癌(岩(いわ)のような塊のある病気。癌。ガン)です。部首は『疒・やまいだれ』です。意味は『癌(ガン)』があります。
読みは呉音が『ゲン』、漢音が『ガン』です。体内にできる悪性の腫瘍(シュヨウ)をいいます。
癌(ガン)は常用漢字から外れています。
『岩魚(いわな)』 岩の魚と書いて岩魚(いわな)と読みます。水の清冽で岩の多い山地の渓流に棲むからです。山女(やまめ)よりも上流域に棲みます。
魚についての漢字は部首索引 魚(うお・さかな) をご覧ください。
『岸(ガン)』ànは、水際の岸の様子を表す漢字です。漢字の足し算では、山+厂(崖・がけ)+干(棒・水の杭)=岸(水際の岸。きし)です。部首は『山・やま』、意味は『岸(きし)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ガン』。訓読みは『岸(きし)』です。接岸(セツガン)、彼岸(ヒガン)、川岸(かわぎし)、河岸(かし)の岸です。
『岸(ガン・きし)』は小学校3年生で習う漢字です。
『彦・彥(ゲン)』yànは、良い男を表す形声文字です。漢字の足し算では、文(良い様子)+厂(くっきりとした)+彡(良い様子)=彥(くっきりとした良い様子の男)です。文も彡も良い様子を示す漢字です。部首は『彡・さんづくり』、意味は『良い男』です。字体は『彦』を使って下さい。
音読みは呉音・漢音ともに『ゲン』です。訓読みは『彦(ひこ)』です。俊彦、哲彦、和彦、英彦、秀彦、邦彦、光彦、弥彦、彦左衛門と名前に使われる大変良い意味の漢字です。『ひこ』の他には『お』、『さと』、『ひろ』、『やす』、『よし』という名前の読みがあります。
『彦(ゲン・ひこ)』は人名用漢字です。
『顔・顏(ガン)』yánは、格好良い顔を表す漢字です。漢字の足し算では、彦(良い男)+頁(頭)=顔(丸格好良い顔。顔)です。部首は『頁・おおがい』、意味は『顔(かお)』です。
音読みは呉音が『ゲン』、漢音は『ガン』、訓読みが『顔(かお)』です。紅顔(コウガン)、汗顔(カンガン)、笑顔(えがお)の顔です。顔は厂(ガン)の漢字仲間です。
『顔(ガン・かお)』は小学校2年生で習う漢字 です。
『厳・嚴(ゲン)』yánは、厳(きび)しい様子を表す漢字です。漢字の足し算では、敢(あえて)+厂(険しい)+口×2=嚴・厳(敢えて口やかましく厳しくする。厳しい。厳か)です。部首は『ツ・つかんむり』です。ツは口口を省略した形です。漢字の意味は『厳しい(きびしい)』、『厳か(おごそか)』、『敬う』、『尊ぶ』、です。字体は常用漢字体の『厳』を使ってください。
音読みは呉音が『ゴン』、漢音が『ゲン』、訓読みは『厳(きび)しい』、『厳(おごそ)か』、常用外に『厳(いつく)し』があります。荘厳(ソウゴン)、威厳(イゲン)、厳格(ゲンカク)、厳重(ゲンジュウ)、厳戒(ゲンカイ)の厳です。
良い意味の漢字ですので、『いつ』、『いつき』、『いわ』、『かね』、『たか』、『つよ』、『つよし』、『ひろ』、『よし』と名前に使われます。
『厳(ゲン・きびしい)』は小学校6年生で習う漢字 です。
『原(ゲン)』yuánは、原泉・源泉や平原や野原を表す形声文字です。もともとは原泉・源泉を表す漢字でしたが、平原や野原を表すようにもなりました。漢字の足し算では、厂(崖・がけ)+泉(いずみ)=原・厡(崖から湧き出る泉。原泉)です。部首は『厂・がんだれ』、意味は『原泉』、『もと』です。字体は常用漢字体に登録されている『原』を使って下さい。
音読みは呉音が『ゴン』、漢音が『ゲン』、慣用音が『ガン』、訓読みは『原(はら)』です。原因(ゲンイン)、原文(ゲンブン)、原則(ゲンソク)、野原(のはら)、河原(かわら)、海原(うなばら)の原です。日本語の発音の問題になりますが、『かわはら』→『かわら』、『うみはら』→『うなばら』のように発音します。発音しやすいからです。従って河原・川原(かわら)、海原(うなばら)と読みます。
『原(ゲン・はら)』は小学校2年生で習う漢字です。
『源(ゲン)』yuánは、漢字の足し算では、氵(水)+原(いずみ)=源(崖から湧き出る泉。原泉。水源)です。部首は『氵・さんずい』、意味は『水源(スイゲン)』、『源(みなもと)』です。『原(ゲン)』が平原や野原を表すようにもなったので水源には氵を足した『源(ゲン)』が使われます。
音読みは呉音が『ゴン』、漢音が『ゲン』、慣用音が『ガン』、訓読みは『源(みなもと)』です。源流(ゲンリュウ)、根源(コンゲン)、財源(ザイゲン)、起源(キゲン)、源泉(ゲンセン)、源(みなもと)の源です。
『源(ゲン・みなもと)』は小学校6年生で習う漢字 です。
『願(ガン)』yuànは、一心に願う様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、原(原泉。一つの源)+頁(頭)=願(一心に求め、願う。希望する)です。漢字の部首は『頁・おおがい』、意味は『願う(ねがう)』です
音読みは呉音が『ゴン』、漢音が『ゲン』、慣用音が『ガン』、訓読みは『願(ねが)う』です。志願(シガン)、願望(ガンボウ)、願書(ガンショ)、念願(ネンガン)、悲願(ヒガン)の願です。
『願(ガン・ねがう)』は小学校4年生で習う漢字 です。
厂を使った漢字に『厄(ヤク)』è、『危(キ)』wēi、『詭(キ)』guǐ、『跪(キ)』guì、があります。発音も『キ』とかなり違っています。
『危(キ)』wēiは、崖の下の危険な人を表す会意文字です。ク(人)+厄(崖下の人)=危(崖の下の危ない状態の人。危ない)です。漢字の部首は『卩・ふしづくり』、意味は『危ない』、『おそれる』、『高い』です。
音読みは呉音・漢音が『ギ』、慣用音が『キ』、訓読みは『危(あぶ)ない』、『危(あや)うい』です。悪い結果が予測される状況を危機(キキ)、危(あぶ)ないこと・悪い結果を招く可能性があること を危険(キケン)、おそれることを危惧(キグ)、身体・生命・物品を損なうような危険を危害(キガイ)、危険がさし迫っていることを危急(キキュウ)といいます。
髪の毛一本のわずかな違いで、非常に危ない状態に陥(おちい)る様子を危機一髪(キキイッパツ)といいます。一発(イッパツ)ではありません。
危険が急ぐ(せまる)状態で生き残れるか亡びるかの重要な秋(とき・重要な時期)を危急存亡の秋(キキュウソンボウのとき)といいます。
『危ない』の反対の『安(やす)らか』は女性の人が家の中でくつろいでいる様子を表す漢字です。詳しくは 『漢字の覚え方 安』をご覧下さい。
『危(キ・あぶない)』は小学校6年生で習う漢字 です。
『厄(ヤク)』èは、崖の下の不吉な人を表す会意文字です。厂(崖)+卩(屈んだ人)=厄(崖の下の危ない状態の人。不吉)です。漢字の部首は『厂・がんだれ』、意味は『厄(わざわい)』、『不吉』、『良くない廻(めぐ)り合わせ』です。
音読みは呉音が『アク』、漢音が『ヤク』です。訓読みは常用外の読み方に『厄(わざわい)』、『厄(くる)しむ』があります。災難にあう日を厄日(ヤクび)、身にふりかかる厄(わざわい)を厄難(ヤクナン)、不吉なめぐり合わせの年を厄年(ヤクどし)、他人に面倒を掛けることを厄介(ヤッカイ)といいます。
厄(ヤク・わざわい)は中学生 で習う常用漢字です。
『詭(キ)』guǐは、危ない言葉を表す形声文字です。言(言葉)+危(危険)=詭(危ない言葉で人をだます)です。漢字の部首は『言・ごんべん』、意味は『いつわる』、『だます』です。
音読みは呉音・漢音が『キ』です。こじつけの弁論を詭弁(キベン)、悪だくみを詭計(キケイ)、正しくない道を詭道(キドウ)といいます。
『詭(キ)』は常用漢字から外れています。
『跪(キ)』guìは、跪(ひざまず)く状態を表す形声文字です。足+危(危険)=跪(不安定な姿で屈む。跪く。ひざまずく)です。漢字の部首は『足・あしへん』、意味は『跪(ひざまず)く』です。
音読みは呉音が『ギ』・漢音が『キ』、訓読みは『跪(ひざまず)く』です。跪いて拝むことを拝跪(ハイキ)といいます。
『跪(キ・ひざまずく)』は常用漢字から外れています。
『炭(タン)』tàn、『厚(コウ)』hòu も厂(ガン)を使った漢字です。発音が『タン』、『コウ』とかなり違っています。
『炭(タン)』tànは、山で掘りだした石炭や、山で造った木炭を表す会意文字です。漢字の足し算では、山+厂(崖)+火=炭(山で造られた火のもとになるもの。炭。すみ)です。漢字の部首は『火・ひ』、意味は『炭(すみ)』、『炭素』です。
音読みは呉音・漢音ともに『タン』、訓読みは『炭(すみ)』です。地中に埋もれた古代の植物が長い年月の間に石化して炭になったものを石炭(セキタン)、木で造った炭を木炭(モクタン)、石炭を掘るための坑(あな)を炭坑(タンコウ)といいます。
『炭(タン・すみ)』は小学校3年生で習う漢字 です。
『厚(コウ)』hòuは、下が厚(あつ)い状態を表す会意文字です。漢字の足し算では、厂(崖型)+亯の逆さ文字(高いの逆さにした文字)=厚(建物の下の部分が厚い。厚い)です。漢字の部首は『厂・がんだれ』、漢字の意味は『厚(あつ)い』、『厚(あつ)みがある』、『豊か』です。
『説文解字』には「山陵の厚いなり。亯(亯の逆さ文字)に従い、厂に従う」とあります。
高いの逆さにした漢字はフォントでは表現出来ないので、亯で代用させて頂きます。
音読みは呉音が『グ』、漢音が『コウ』、訓読みが『厚(あつ)い』です。生活を豊かにすることを厚生(コウセイ)、厚い情け・深い思いやりを厚情(コウジョウ)といいます。
『厚(コウ・あつい)』は小学校5年生で習う漢字 です。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-28d6.html
hhtp://bit.ly/1nj7Nro 『漢字の覚え方 厂』
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう
1.いわな( )と山魚女(やまめ)。
2.ようがん( )の流出。
3.暑さ寒さも ひがん( )まで。
4.うみひこ( )とやまひこ( )神話。
5.がんめん( )を負傷。
6.えがお( )が良い人。
7.そうごん( )な邸宅。
8.げんかく( )家庭。
9.かわら( )で芋煮会。
10.げんそく( )禁止。
11.げんいん( )と結果。
12.ざいげん( )の確保。
13.生命の きげん( )。
14.がんしょ( )を提出。
15.がんぼう( )が叶う。
16.きけん( )な状態。
17.きき( )一髪。
18.道理に合わない きべん( )。
19.かしこまって はいき( )する。
20.もくたん( )に火をつける。
解説です。基本の漢字は厂、岩は山と口を足して岩、癌は疒(やまいだれ)と嵒を足し、岸は山と干(水辺の杭)を足して岸、彦は文と彡を足して彦(良い男)、顔は彦に頁を足して顔、厳しいはツと敢を足して厳、原は元は厂に泉で原、源(みなもと)は氵(さんずい・水)を足して源、一心に願うは原に頁を足して願、危は厂(がけ)に人を足して危、詭は危ない言葉で言を足して詭、跪(ひざまず)くは不安定に足を付くで跪、炭(すみ)は厂に山と火を足して炭です。
解答です。岩魚、溶岩、彼岸、彦、顔面、笑顔、荘厳、厳格、河原、川原、原則、原因、財源、起源、願書、願望、危険、危機、詭弁、拝跪、木炭
« 漢字の覚え方 奇 | トップページ | 漢字の覚え方 元 »
コメント