漢字の覚え方 袁
今日は『袁(エン)』yuánという漢字の仲間について説明します。基本になる漢字は『袁』です。ゆったりした衣服を表しています。また、死者の衣服を表すという説もあります。袁、遠、園、猿などがこの漢字の仲間です。漢字学者の藤堂はこのような漢字の仲間を『単語家族』と表現していました。
『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。袁に何を足すと遠、園、猿になるのか考えます。遠、園は小学校2年生で習う漢字 、猿は中学生 で習う常用漢字です。学校、学年に関係なく一緒に覚えましょう。
『袁(エン)』yuánは、ゆったりした衣服・死者の衣服を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えると、衣(衣服)+口(ゆったりした)=袁(ゆったりした衣服)です。漢字の部首は『口・くち』、漢字の意味は『ゆったりした衣服』です。厳(おごそ)かな意味の良い漢字です。
『説文解字』には「長衣の皃(かたち)」とあります。
藤堂は、『説文解字』に従っては「ゆったりした衣服」とし、白川は「死者の襟(えり)もとに玉を加え、死者を遠行をおくる儀式」とし、加藤は『遠』について金文の形から延(エン)と関連付け「道路を歩くことの長い」としています。
袁世凱(エンセイガイ)さんのように姓で使われます。我が国では『袁』単独で使う事はありません。遠、園、猿の音符(漢字の音読みと意味を表すパーツ)として重要な漢字です。
少し漢字の成り立ちの話をしましょう。最古の辞書は後漢(西暦100年頃)の許慎(キョシン)の「説文解字(セツモンカイジ)」です。許慎はその中で漢字について六種の原理を説明しています。これを『六書(リクショ)』といいます。六種類のうち四種類は漢字の成り立ちについて、残りの二種類は漢字の使用法についてしるしています。
彼は、漢字の成り立ちを、物の形に象った(かたどった)『象形文字(ショウケイモジ)』、象形文字を基に点や線を打った『指事文字(シジモジ)』、文字を組み合わせた『会意文字(カイイモジ)』、意味と音を示す文字を組み合わせた『形声文字(ケイセイモジ)』の四種類に分類しました。
『袁(エン)』は口と衣を合わせた文字なので『会意文字』です。『遠』は辶(進む)と哀(エン・ゆったりした衣服)を組み合わせで、哀が音の(エン)を表すので『形声文字』です。数字の一、ニや上、下などは点や線で表わされた『指事文字』です。
漢字の殆どはこの『形声文字』です。漢字が足し算であるというのは、この漢字の成り立ちに関わっています。『形声文字』は音(音読み)が同じなので、音(音読み)を基に漢字の足し算で、漢字を覚えていきましょう。
また、『袁(エン)』yuánに近い漢字に 『睘(カン)』qióngがあります。『漢字の覚え方 睘』も御覧ください。
『遠(エン)』yuǎnは、遠くへ進む様子を示す形声文字です。死者を遠くへ送り出す様子を表すという説もあります。漢字の足し算で覚えるならば、辶(進む)+袁(ゆったり・長い)=遠(遠くへ進む。死者を遠くへ送る。遠く)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、漢字の意味は『遠く(とおく)』です。
藤堂は「間があいて、ゆとりがある」、白川は「死者を遠行」、加藤は「道路を歩くことの長い」としています。
音読みは呉音が『オン』・漢音が『エン』です。訓読みは『遠(とお)く』です。遠近(エンキン・おちこち・とおちか)、遠方(エンポウ)、遠足(エンソク)、久遠(クオン)の遠です。
『遠(オン・エン・とおい)』は小学校2年生で習う漢字です。
遠いの反対は近いです。『近(キン)』は斤の漢字の仲間です。詳しくは 『漢字の覚え方 斤』をご覧ください
『園(エン)』yuánは、周りを囲われた庭・別荘を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、囗(かこい)+袁(ゆったり囲む衣服)=園(垣根に囲われた土地。園。その)です。漢字の部首は『囗・くにがまえ』、意味は『園(その)』です。
同じ趣旨の漢字に『苑(エン)』yuàn があります。苑は夗の漢字の仲間です。興味のある方は『漢字の覚え方 夗』http://bit.ly/1v1q9hS をご覧下さい。『夗』に丸いの意味があり(お椀も夗の仲間)、『苑(エン)yuan』の方が丸い場所のニュアンスがありますが基本的に同じで、漢字の組み合わせが違います。
音読みは呉音・漢音ともに『エン』、訓読みは『園(その)』です。動物園(ドウブツエン)、公園(コウエン)、田園(デンエン)、失楽園(シツラクエン)、花園(はなぞの)の園です。
『園(エン・その)』は小学校2年生で習う漢字 です。
『猿(エン)』yuánは、手の長い猿を漢字にした形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、犭(動物)+袁(長い)=猿(手の長い動物。猿。さる)です。漢字の部首は『犭・けものへん』、意味は『猿(さる)』です。
本来の字は『猨(エン)』yuán。犭(動物)+爰(手と手)=猨(手の長い動物。猿。さる)といわれていますがhttp://bit.ly/2d1i63U 、現在では『猿』の漢字が使われています。
音読みは呉音が『オン』、漢音が『エン』で、訓読みは『猿(さる)』です。犬猿(ケンエン)、猿楽(さるガク)、猿回し(さるまわし)の猿です。
『猿(エン・さる)』は中学生 で習う常用漢字です。
猿(さる)は申(さる)と書く場合があります。申は、暦(レキ・こよみ)、時刻(ジコク)、方角(ホウガク)を示します。申は旧暦の7月、時間は午後3~5時、方角は西南西を表します。
中国を中心とした東アジアの世界では、子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉 戌 亥の十二支を使って暦、時刻、方角を表しました。数字でもなんでもない漢字の順番を覚えるの大変です。そこで、神様に新年の挨拶に来た十二種類の動物になぞらえて、十二支を宛てて覚えたのです。
猿(申・さる)は九番目に挨拶に来た動物と覚えるわけです。猿と犬 (戌・いぬ)は仲が悪く、喧嘩しながら来たので遅くなったとされています。鶏(酉・とり)が喧嘩の仲裁をしたため、猿と犬の間に入ってしまいました。
ちなみに一番目は牛(丑 ・うし)の背中に乗ってきた鼠(子・ねずみ)、十二番目は勢いよく走ってきて、神様の前を通り越してしまった猪( 亥・いのしし)です。
申については、『漢字の覚え方 申』をご覧ください。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-534b.html
『漢字の覚え方 袁』 袁 遠 園 猿
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.えんきん( )両用眼鏡。
2.小学校の えんそく( )。
3.どうぶつえん( )。
4.秘密の はなぞの( )。
5.交響曲 でんえん( )。
6.こうえん( )でラジオ体操。
7.政治家 えん( )世凱。
8.さる( )回しの芸。
9.けんえん( )の仲。
解説です。ゆったりが袁、死者が遠くへ行くのが辶で遠、、囗(かこい)が園、手の長い猿が犭(けものへん)を足して猿です。
解答です。遠近、遠足、動物園、花園、田園、公園、公苑、袁、猿、犬猿






































































