漢字の覚え方 黄・広
今日は黄、横、広(廣)、鉱(鑛)、拡(擴)という漢字の仲間について説明します。基本の漢字は『黄』huángで、読み方は『コウ・オウ』、意味は『広がる火』です。
漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算でを覚えると便利です。『黄』に何を足すと横、廣、鑛、擴になるのかを考えます。黄、広は小学校2年生で習う漢字 、横は小学校3年生で習う漢字 、鉱は小学校5年生で習う漢字 、拡は小学校6年生で習う漢字 です。一緒に覚えてしまいましょう。
『黄(コウ・オウ)』huángは、炎の黄色を表した象形文字(ショウケイモジ)です。火矢を描いたものともされています。『光・コウ』guāngと非常に近い漢字です。漢字の部首は『黄・きいろ』、意味は『黄色』です。
『設文解字』によれば「地之色なり。田に從(したが)い炗に從う,炗の亦聲。炗,古文光。」とあります。炗(光)と近い漢字です。
常用漢字に登録されている字体は『黄』ですが、光を表す部分を『廿』に書く字体もあります。常用漢字の字体『黄』を使って下さい。
音読みは呉音が『オウ』、漢音が『コウ』です。訓読みは『き』です、黄金(オウゴン)、黄熱病(オウネツビョウ)、硫黄(イオウ)、黄道(コウドウ)、黄河(コウガ)、黄色(きいろ)の黄です。
『黄(コウ・オウ・き)』は小学校2年生で習う漢字です。
『横・橫(オウ)』héngは、炎の横への広がりを漢字にしたものです。横への広がりを強調するために木が添えられています。漢字の足し算では、木+黄(四方に広がる)=横(横へ広がる横木。横)です。漢字の部首は『木』、漢字の意味は『横(よこ)』、『枠をはみだす』です。
字体については『横』と『橫』があり常用漢字に登録されている字体は『横』です。
位置・状態を表す重要な漢字で、『横浜』、『横田』、『横川』、『横山』、『横井』と地名・苗字に使われています。
音読みは呉音が『オウ』が普通で、漢音の『コウ』は使いません。訓読みは『よこ』です。横断(オウダン)、横転(オウテン)、横領(オウリョウ)、横暴(オウボウ)、縦横(ジュウオウ・たてよこ)、横道(よこみち)の横です。
『横(オウ・よこ)』は小学校3年生で習う漢字です。
ちなみに『縦(たて)』zongは、真っ直ぐ伸びた縦(たて)の線を表す漢字です。漢字の足し算では、糸+從(たてに並ぶ人)=縦(真っ直ぐ伸びた縦。縦。たて)です。部首は『糸』、意味は『縦(たて)』、『ほしいままにする』です。縦の意味を強調するため糸が添えられています。『どこまでも伸びる縦』から 『ほしいまま』の意味が生まれました。
漢字の字体ですが、『縱』が正字ですが常用漢字に登録されている『縦』を使って下さい。『縦(ジュウ)』は『从(ジュウ)』、『従(ジュウ)』の漢字の仲間です。興味のある方は『漢字の覚え方 从』をご覧ください。
『斜(ななめ・シャ)』は柄杓(ヒシャク)が斜めになっている様子を表す漢字で、余(ヨ)、除(ジョ)、徐(ジョ)の仲間の漢字です。より興味のある方は『漢字の覚え方 余』をご覧ください。
音読みは慣用音の『ジュウ』が普通で、呉音の『シュ』、漢音の『ショウ』は使いません。訓読みは『たて』です。縦隊(ジュウタイ)、縦貫(ジュウカン)、縦横(ジュウオウ・たてよこ)、放縦(ホウショウ・ホウジュウ)の縦です。
『縦(ジュウ・たて)』は小学校6年生で習う漢字 です。
同じ発音で横を表す『衡(コウ)』héngという漢字がありますが、こちらは牛の角が横に広がる様子を表した漢字です。漢字の足し算で表わすと、行+角(つの)+大(広がる)=衡(牛の角が大きく横にひろがる。横)です。『横木』や『秤の横棒』、『つりあい』を示します。
『衡(コウ)』héngは、行、桁の仲間の漢字です。『単語家族 行』については『漢字の覚え方 行』をご覧ください。
『広・廣(コウ)』guǎngは、光の広がりを漢字にしたものです。漢字の足し算で覚えるならば、广(家)+黄(光;)=廣・広(家の中の光の広がり。広い)です。漢字の部首は『广・まだれ』です。
『廣』が正字ですが、常用漢字に登録されている字体は省略形の『広』です。『広』の字を使って下さい。
音読みは呉音・漢音ともに『コウ』です。訓読みは『広い(ひろい)』です。広大(コウダイ)、広言(コウゲン)、広義(コウギ)、広場(ひろば)の広です。
『広』は縁起の良い漢字で地名・名字・名前に使われます。『お』、『たけ』、『とお』、『ひろ』、『ひろし』、『みつ』と読みます。
『広(コウ・ひろい)』は小学校2年生で習う漢字 です。
『鉱・鑛(コウ)』kuàngは、黄色の金属を含む鉱石を表す漢字です。漢字の足し算では金(金属)+廣(黄色の光)=鑛・鉱(黄色の金属。精製していない鉱石)です。部首は『金・かねへん』、意味は『鉱石』です。『礦(コウ)』kuàngは、全く同じ意味の漢字で『石・いしへん』が使われています。
『鑛』が正字ですが、常用漢字に登録されている字体は省略形の『鉱』です。『鉱』の字を使って下さい。
音読みは呉音・漢音ともに『コウ』です。訓読みは『あらがね』です。鉱石(コウセキ)、鉱脈(コウミャク)、鉱物(コウブツ)、鉱業(コウギョウ)の鉱です。
『鉱(コウ・あらがね)』は小学校5年生で習う漢字 です。
『拡・擴(カク)』kuòは、手で広げる様子を表す漢字です。漢字の足し算では、扌+廣(広い)=擴・拡(手で広げる。拡大する)です。部首は『扌・てへん』、意味は『拡大する』です。
『擴』が正字ですが、常用漢字に登録されている字体は省略形の『拡』です。『拡』の字を使って下さい。
音読みは呉音・漢音ともに『カク』kuakです。訓読みは常用外の『拡がる(ひろがる)』があります。拡大(カクダイ)、拡張(カクチョウ)、拡散(カクサン)の拡です。
『拡(カク・ひろがる)』は小学校6年生で習う漢字 です。
少し音読みの話をさせてください。『黄(コウ)』の漢字の仲間の音読みはhuáng、héng、kuàngなどです。ただ日本人は『ng』の鼻濁音がとても苦手なので、漢字を輸入した時に『ng』の音を『ウ』に置き換えました。従って、『黄』の漢字の仲間の音読みは『コウ』か『オウ』と読みます。
『拡(カク)』kuakについては、中国の方で劇的な変化が起こり、元時代以降に語尾のp,k,tの発音が消滅しました。従って『拡(カク)』kuakの発音は現代北京語ではkuòになります。我が国では輸入した古い発音kが残っているので、『拡』は『拡(カク)』kuakと発音します。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-5414.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.きいろ( )のハンカチ。
2.温泉の いおう( )成分。
3.おうごん( )の輝き。
4.水戸 こうもん( )。
5.たてよこ( )斜め
6.飛行機の そうじゅう( )。
7.資金の おうりょう( )。
8.こうだい( )土地。
9.ひろば( )で遊ぶ。
10.ダイヤの こうみゃく( )。
11.市民権の かくだい( )。
12.かくせい( )機を使った演説。
解説です。基本漢字は黄、横へ広がるは木を足して横、家の中の広がりは广(まだれ)を足して廣(広)、黄色の金属は金を足して鉱、手で広げるのが扌(てへん)を足して拡です。
解答です。黄色、硫黄、黄金、黄門、縦横、操縦、横領、広大、広場、鉱脈、拡大、拡声。
« 漢字の覚え方 公 | トップページ | 漢字の覚え方 亢 »
コメント