漢字の覚え方 安
今日は『安(アン)』ānという漢字の『単語家族』について説明します。基本になる漢字は『安』です。『安心する』、『落ち着く』、『考える』を表しています。安、案、按、鞍、晏、宴、鮟などがこの漢字の『単語家族』です。
『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。『安』に何を足すと案、按、鞍、晏、宴、鮟になるのか考えます。安は小学校3年生で習う漢字 、案は小学校4年生で習う漢字 、宴は中学校で習います。按、鞍、晏は人名用漢字です。一緒にまとめて覚えてしまいましょう。
『安(アン)』ānは、家の中で女性が安心している様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、宀(家)+女=安(家の中で女性が安心する。安らか)です。漢字の部首は『宀・うかんむり』、漢字の意味は『安心』、『安らか(やすらか)』、『落ち着かせる』、『安い(やすい)』です。
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音読みは呉音・漢音ともに『アン』です。訓読みは『安い(やすい)』、『安らか(やすらか)』です。安心(アンシン)、安定(アンテイ)、安全(アンゼン)、安売り(やすうり)、目安(めやす)の安です。
『安』のもともとの意味は『安心』、『安全』、『安定』、『安らか』で、価格が『安(やす)い』の意味はありません。価格が『安い』は『安らか』、『求めやすい』から転じた我が国独特の使い方です。
『安』はひらがなの『あ』の元になった漢字です。また『安らか』を表す非常に良い漢字で、『安田』、『安井』、『安』、『安藤』、『安室』、『安西』、『安斎』、『安部』、『安達』と名字・地名に使われる他、『やす』、『さだ』、『やすし』と多くの名前に使われます。
『安(やす)らか』の反対の『危ない』は厂(がけ)の下に人がいる様子を表す漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 厂』をご覧下さい。
『安(アン)』は小学校3年生で習う漢字です。
『案(アン)』ànは、机・考えるを表す形声文字です。漢字の足し算では、安(落ち着いた)+木=案(肱を落ち着かせる机。考える)です。漢字の部首は『木・き』、漢字の意味は『つくえ』、『考える』です。この机は肘掛(ひじかけ)の様な机です。『考える』の意味では『按』と同じです。
音読みは呉音・漢音ともに『アン』です。内容を考えて導くことを案内(アンナイ)、考えるべき事件を案件(アンケン)、思い考えるのを思案(シアン)、考えた答えが答案(トウアン)です。
『案(アン)』は小学校4年生で習う漢字 です。
『按(アン)』ànは、手で押える様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、扌+安(落ち着かせる)=按(手で押える。按摩する。手で調べる。)です。漢字の部首は『扌・てへん』、意味は『按摩する』、『手で調べる』、『考える』です。『考える』の意味では『案』と同じです。
音読みは呉音・漢音ともに『アン』です。手で押さえて摩擦するのを按摩(アンマ)、考えて適切に配るのを按配・按排・案配・案排(アンバイ)、考えて比例して分けるのを按分(アンブン)、調べて監察する役人を按察使(アゼチ)といいます。『按(アン)』は人名用漢字です。
ちなみに料理の塩加減は塩梅(アンバイ)と書きます。
『按(アン)』は人名用漢字です。
『鞍(アン)』ānは、鞍(くら)を表した形声文字です。漢字の足し算では、革(かわ)+安(落ち着く)=鞍(革製の人を落ち着かせる台。くら)です。漢字の部首は『革・かくのかわ』、意味は『鞍(くら)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『アン』です。訓読みは『鞍(くら)』です。鞍上(アンジョウ)、鞍馬(アンバ)、鞍替え(くらがえ)の鞍です。
『鞍(アン)』は人名用漢字です。
『晏(アン)』yànは、安らかに日が落ちる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、日(家)+安(やすらか)=晏(安らかに日が落ちる。やすらか)です。漢字の部首は『日・ひ』、意味は『日が落ちる』、『安らか』です。
音読みは呉音・漢音ともに『アン』です。訓読みは『晏(やす)らか』です。晏(やす)らかなさまを晏寧・安寧(アンネイ)、落ち着いた良い感じを晏然(アンゼン)といいます。安らかな漢字で、『おそ』、『さだ』、『はる』、『やす』と多くの名前に使われます。
『晏(アン)』は人名用漢字です。
『宴(エン)』yànは、家での宴会(エンカイ)を表す形声文字です。漢字の足し算では、宀(家)+晏(日が落ちる)=宴(日が落ちてからの宴会。酒盛り)です。漢字のバランス・デザインの問題で宀を上に、日を中に、女を下に書きます。漢字の部首は『宀・うかんむり』です。意味は『宴(うたげ)』、『酒盛り』、『楽しむ』です。
音読みは呉音・漢音ともに『エン』です。訓読みは『宴(うたげ)』です。宴会(エンカイ)、酒宴(シュエン)、宴(うたげ)の宴です。楽しい漢字で、『もり』、『やす』、『よし』と多くの名前に使われます。
『宴(エン)』は中学校で習う常用漢字です。
『鮟(アン)』ānは、鮟鱇(アンコウ)を表す形声文字です。漢字の足し算では、魚(さかな)+安(落ち着く)=鱇(落ち着いた魚。上から押さえられた平らな魚。鮟鱇。アンコウ)です。漢字の部首は『魚・さかなへん』、漢字の意味は『鮟鱇(アンコウ)』です。中国ではナマズを表します。
『鱇(コウ)』kāng(横に広い魚)と一緒に、鮟鱇(アンコウ)として使います。鱇は庚、康と同じ仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 庚』 をご覧下さい。
音読みは『コウ』です。水深100mほどの深海にすみ、肉食性で、頭部が大きく魚体の幅が広くて扁平な魚を鮟鱇(アンコウ)といいます。茨城県の名産で、冬になると肝(きも)が大きくなり美味な魚として有名です。俳句の季語はもちろん冬です。
魚を使った漢字について詳しくは部首索引 魚(うお・さかな) をご覧下さい。
『鮟(アン)』は常用漢字から外れています。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-1473.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.あんぜん( )地帯。
2.あんてい( )多数。
3.あんしん( )する。
4.スーパーの やすうり( )。
5.しあん( )のしどころ。
6.人を あんない( )する。
7.とうあん( )用紙を配る。
8.程合いを あんばい( )する。
9.良い会社に くらがえ( )する。
10.あんねい( )な暮らし。
11.えんかい( )の会場。
解説です。女性が家で落ち着くは安、机に手(按)をのせて考えるが按、手を載せた机(案)で考えるが案、鞍(くら)は革を足して鞍、日が安らかに落ちる様子は日を足して晏、家での宴会は宀を足して宴です。
解答です。安全、安定、安心、安売り、思案、案内、答案、按配・按排・案配・案排、鞍替え、晏寧、安寧、宴会