漢字の成り立ち 十
今日は『十(ジュウ)』shiという漢字の『単語家族』について説明します。基本になる漢字は『十』です。音読みは『ジュウ』、意味は『十』、『まとまった』、『多くの』。十、什、汁、針などがこの漢字の『単語家族』です。
『単語家族』は漢字の足し算で表わせます。『十』に何を足すとどんな漢字になるのかを考えます。十は小学校で1年生で、汁は中学校で習います。一緒に覚えましょう。
『十(ジュウ)』shiは、十を表す指事文字です。意味は『十』、『まとまった』、『多くの』です。数を表す算木をまとめ、中央に横の算木を置いた形です。漢字の部首は『十』です。ちなみに廾(ニジュウ)、卅(サンジュウ)という漢字もあります。

音読みは呉音の『ジュウ(ジフ)』を使います。漢音の『シュウ(シフ)』は使いません。慣用音の『ジッ』があります。訓読みは『とお』、『と』です。十二支(ジュウニシ)、十干(ジッカン)、十戒(ジッカイ)、十日(とおか)、二十日(はつか)、十八番(ジュウハチバン・おはこ)の十です。
古代中国で『十』の発音はzip『ジフ』、sip『シフ』であったと考えられています。入声音(ニッショウオン)と呼ばれるp k tの発音は現在の中国の北京語では消滅しています。一方、我が国では輸入した時の発音『ジフ』が『ジュウ』、『ジッ』になり現在に至っています。
十の慣用音『ジッ』の解説です。古代の日本では古代中国語の影響で『十』を『ジフ』と発音していました。我が国では『フ』の後にカ行、サ行、タ行、ハ行が来ると、促音便の『ッ』と発音します。言いやすいからです。そのため『ジフ』はカ行、サ行、タ行、ハ行の前では、促音便の『ジッ』と発音し、現在に至っています。十干(ジフカン→ジッカン)、十戒(ジフカイ→ジッカイ)、十手(ジフテ→ジッテ)、十得(ジフトク→ジットク)、十哲(ジフテツ→ジッテツ)などと読みます。
本物の芸を、真作の茶器になぞらえて『御箱(おはこ)』といいます。歌舞伎の演目を十八を『歌舞伎十八番』と言ったことから、本物の芸、得意な演目を『十八番(ジュウハチバン・おはこ)』というようになりました。
『十』は小学校1年生で習う漢字http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/1-faaf.htmlです。
『什(ジュウ)』shiは、十人の兵隊を表す形声文字です。意味は『十人の』、『多くの』です。漢字の足し算では、亻(人間)+十=什(十人の兵隊。多くの)です。漢字の部首は『亻・にんべん』です。
音読みは呉音の『ジュウ(ジフ)』を使います。漢音の『シュウ』は使いません。十人の兵隊の頭を什長(ジュウチョウ)、たくさんある器(うつわ)を什器(ジュウキ)といいます。『什』は常用漢字からは外れています。
『汁(ジュウ)』zhiは、具沢山の汁を表す形声文字です。漢字の足し算では、氵(水)+十(たくさんの)=汁(具沢山の汁)です。漢字の部首は『氵・さんずい』です。
音読みは呉音・漢音ともに『シュウ』。慣用音が『ジュウ』です。訓読みは『汁(しる)』です。果汁(カジュウ)、汁粉(しるこ)、味噌汁(みそしる)の汁です。『汁』は中学校で習う常用漢字です。
『針(シン)』zhenは、針(はり)を表す形声文字です。漢字の足し算では、金(金属)+十(十字状の)=針(金属製の先のとがった針。はり)です。漢字の部首は『金・かねへん』、漢字の意味は『針(はり)』、『先を示す』です。

音読みは呉音・漢音ともに『シン』です。古代中国で『十』の発音はzip『ジフ』であったと考えられています。このpがmに変化したした形が呉音・漢音の『シン』です。訓読みは『針(はり)』です。羅針盤の示す方向を針路(シンロ)、漢方の針と灸を針灸・鍼灸(シンキュウ)、磁石の針の示す方向・物事の頼りになるものを指針(シシン)といいます。『針』は小学校6年生で習う漢字です。
針(はり)は鍼(はり)とも書きます。鍼(はり)は咸の仲間の漢字です。詳しくは『漢字の成り立ち 咸』http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-740a.htmlをご覧ください。
数字について掲載ページです。
『一~十』については『小学校で習う漢字 一~十』http://bit.ly/1Dj8euf をご覧ください。
『十』については『漢字の成り立ち 十』http://bit.ly/1vHBPIs をご覧ください。
『九』については『漢字の成り立ち 九』http://bit.ly/1stAJfE をご覧ください。
『八』については『漢字の成り立ち 八』http://bit.ly/1oh7Q82 をご覧ください。
『七』については『漢字の成り立ち 七』http://bit.ly/1syuLKo をご覧ください。
『六』については『漢字の成り立ち 六』http://bit.ly/1nuIhQf をご覧ください。
『五』については『漢字の成り立ち 五』http://bit.ly/1Njlajg をご覧ください。
『四』については『漢字の成り立ち 四』http://bit.ly/1MD9Txx をご覧ください。
『三』については『漢字の成り立ち 三』http://bit.ly/1ygC0wK をご覧ください。
『二』については『漢字の成り立ち ニ』http://bit.ly/1zexxch をご覧ください。
『一』については『漢字の成り立ち 一』http://bit.ly/1NtgKrn をご覧ください。
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.じゅうがつ( )とおか( )。
2.じゅうにし( )の卯(うさぎ)。
3.芭蕉の じってつ( )。
4.じゅうはちばん( )を「おはこ」という。
5.はたち( )の誕生日
6.じゅうき( )は日用の物品。
7.オレンジ かじゅう( )。
8.味噌 しる( )。
9.物事の ししん( )。
解説です。数字の十は十、十人の兵隊・多い物品が什、汁(しる)は氵(さんずい)を足して汁、針(はり)は金(かねへん)を足して針です。
解答です。十月十日、十二支、十哲、十八番、二十、二十歳、什器、果汁、汁、指針。
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