漢字の覚え方 余
今日は余、餘、除、徐、途、塗、叙、斜、茶という漢字について説明します。基本の漢字は『余』yúで、読み方は『ヨ』、『ジョ』、『ト』で漢字によって違います。意味は『取り除く』、『のばす』です。
漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算でを覚えると便利です『余(ヨ)』に何を足すとどんな漢字になるのかを考えます。茶は小学校2年、余は5年、除は6年生で習います。徐、途、塗、叙は中学校で習います。学校、学年に関係なくまとめて覚えてしまいましょう。
『余(ヨ)』yúは、柄のついた刃物を漢字にしたものです。膿を取り去る外科用の刃物。もしくは、道路で使う穢れを除く神器の刃物です。漢字の部首は『人』。意味は『取り除く』、『はみ出す』、『すすむ』、『のばす』です。
道路は危険な場所だったのでしょうか?戦争で敵が攻めてくるのが道路です。敵を殺してしまう場所が道路です。敵の首を運ぶのも道路です。従って道路は常に怨念(オンネン)、穢れ(けがれ)、邪霊(ジャレイ)に満ちており、穢れを除いて神聖な道路に戻して置く必要があったのです。
『餘(ヨ)』yúは、飠(食べ物)+余(はみ出す)=餘(食べ物の余りで、食べ物の余りを表す漢字です。漢字の部首は『食』。『余(ヨ)』と『餘(ヨ)』は本来別の漢字ですが、現在では『余』に統一され、『餘』の漢字は使いません。
『余・餘』の音読みは呉音・漢音ともに『ヨ』です。訓読みは『余(あま)す』、『余(あま)る』です。余剰(ヨジョウ)、余白(ヨハク)、余罪(ヨザイ)、余興(ヨキョウ)、余韻(ヨイン)、余裕(ヨユウ)の余です。
『余(ヨ)』は小学校で5年生で習う漢字 です。
余(あま)るは剰(あま)ると書くことがあります。詳しくは『漢字の覚え方 乗』をご覧ください。
『除(ジョ)』chúは、道路の穢(けが)れを除く様子を表す漢字です。漢字の足し算では阝(こざとへん・土、道)+余(取り除く)=除(道路の穢れを取り除く)です。意味は『取り除く』、『古いものを新しくする』です。『余』が余るの意味に使われるので、阝(こざとへん・土、道)を足した『除』を除くの意味で使います。部首は『阝・こざとへん』です。
音読みは呉音が『ジョ』、漢音が『チョ』、慣用音が『ジ』です。訓読みは『除(のぞ)く』です。『取り除く』の意味で、除去(ジョキョ)、除籍(ジョセキ)、解除(カイジョ)、削除(サクジョ)などの単語があります。また、』、『古いものを新しくする』の意味で、除夜(ジョヤ)、除目(ジモク)、除官(ジョカン)などの熟語があります。除夜(ジョヤ)とは古い年を除いて、新しい年を迎える夜のことです。
『除(ジョ)』は小学校6年生で習う漢字です。
『徐(ジョ)』xúは、道路の穢れを除き、安らかにする様子を漢字にしたものです。漢字の足し算では、彳(ぎょうにんべん・行く)+余(取り除く)=徐(穢れを除き安らかにする。ゆるやかに行く)です。漢字の部首は『彳・ぎょうにんべん』。意味は『ゆるやか』、『おもむろ』です。
音読みは『ジョ』、訓読みは『徐(おもむ)ろ』です。ゆるやかに、安全に行く事を徐行(ジョコウ)といいます。『徐』には安全の意味がふくまれています。
『徐(ジョ)』は中学校で習う常用漢字です。
『途(ト)』túは、穢(けが)れを除(のぞ)いた道路を漢字にしたものです。漢字の足し算では、辶(しんにょう・進む)+余(取り除く)=途(穢れを除いた道路)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、意味は『みち』です。
音読みは漢音が『ト』、呉音の『ズ』は使いません。訓読みは『みち』です。途の上を途上(トジョウ)といいます。道の半ばを途中(トチュウ)、物事のやり方を途方(トホウ)、ちょうどその時を途端(トタン)といいます。
『途(ト)』は中学校で習う常用漢字です。
『塗(ト)』túはコテを使って塗る様子を表す漢字です。余は刃物ではなくコテです。漢字の足し算では氵(水)+余(コテ)+土(泥)=塗(泥状のものをコテで塗る。塗る)です。漢字の部首は『土』、意味は『塗る』、『泥』、『塗(まみ)れる』です。
音読みは漢音が『ト』、呉音の『ズ』は使いません。訓読みは『塗(ぬ)る』、『塗(まみ)れる』です。塗装(トソウ)、塗料(トリョウ)、塗炭(トタン)、壁塗り(かべぬり)、地に塗れる(まみれる)の塗です。
『塗(ト)』は中学校で習う常用漢字です。
『叙・敍(ジョ)』xùは、順序良く述べる様子を示す漢字です。漢字の足し算では、途(すすむ)+又・攴(手の作業・作業)=叙・敍(順序良く作業する。述べる)です。『敍』は『叙』の異体字で常用漢字では『叙』に統一されています。漢字の部首は『又・また』です。
音読みは『ジョ』です。訓読みは『叙(の)べる』です。物事を順序立てて述べる事を叙述(ジョジュツ)、景色を述べる事を叙景(ジョケイ)、心情を述べる事を叙情(ジョジョウ)、順序の良く功績を称える事を叙勲(ジョクン)といいます。
叙(の)べるは述(の)べると書くのが普通です。
のべるについては、漢字の世界では幾通りかあり、意味はほぼ同じですが、微妙なニュアンスが違います。
陳(の)べる つらねて言う。展開して陳べる 陳http://bit.ly/1odVQnE
述(の)べる 今までのいきさつを述べる 朮http://bit.ly/1QJM35Y
叙(の)べる 順序良く叙べる 叙http://bit.ly/1weWCjk
『叙(ジョ)』は中学校で習う常用漢字です。
『斜(シャ)』xiéは、斗(ひしゃく)が斜めになっている姿を漢字にしたものです。漢字の足し算では、余(ゆるやか)+斗(ひしゃく)=斜(ひしゃくの斜めの部分。斜めです。漢字の部首は『斗・とます』。意味は『斜め』です。
音読みは『シャ』で、訓読みは『斜(なな)め』、『斜(はす)』です。斜光(シャコウ)、斜面(シャメン)、傾斜(ケイシャ)、斜交(はすかい)といいます。
『斜(シャ)』は中学校で習う常用漢字です。
『縦(ジュウ)』は二人が縦に並んだ様子を表す漢字で、从(ジュウ)、従(ジュウ)の漢字の仲間です。『漢字の覚え方 从』もご覧ください。
『横(よこ・オウ)』は、炎が横に広がる様子を表す漢字で、黄(オウ・コウ)、廣(コウ)の仲間の漢字です。『漢字の覚え方 黄・広』もご覧ください。
余(ヨ)の少し変わった仲間の漢字に茶(チャ)と舎(シャ)があります。
『茶(チャ)』cháは、飲み物のお茶を表す漢字です。もとは一画多い荼(ト)tuと書きました。漢字の足し算では、艹(植物)+余(のばす)=茶・荼(葉を蒸してのばして製した茶。茶)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』です。。緊張をのばす飲み物という解釈もあります。
音読みは呉音が『ジャ』、漢音が『タ』、唐宋音が『サ』、慣用音が『チャ』です。茶会(サカイ・チャカイ)、茶碗(チャワン)、喫茶店(キッサテン)の茶です。
『茶(チャ)』は小学校2年生で習う漢字です。
『舎(シャ)』shèは、手足をのばしてくつろぐ家を表す形声文字です。漢字の足し算では、余(余裕)+口(建物)=舎(手足をのばしてくつろぐ家。宿)です。漢字の部首は『𠆢・ひとやね』、漢字の意味は『やど』、『いえ』、『はなす』です。
音読みは呉音・漢音ともに『シャ』です。易の建物を駅舎(エキシャ)、田とくつろぐ家で田舎(いなか)、皇族の家に仕えて雑務をする人を舎人(とねり)といいます。田舎(いなか)、舎人(とねり)は特別な訓読みです。
『舎(シャ)』は小学校5年生で習う漢字です。
『捨(シャ)』shěは、指をのばして捨(す)てる様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、扌(手の動作)+舎(手足をのばしてくつろぐ)=捨(指をのばして捨てる。すてる)です。漢字の部首は『扌・てへん』、漢字の意味は『捨(す)てる』です。
音読みは呉音・漢音ともに『シャ』です。訓読みは『捨(す)てる』です。取ることと捨てることを取捨(シュシャ)、寺や僧に金品を寄附することを喜捨(キシャ)といいます。
拾(ひろ)うは扌(てへん)に合http://bit.ly/ZXapRK を合わせます。
取(と)るは又(て)に耳http://bit.ly/1r1D3q7 を合わせます。
東洋・仏教の世界では良い意味で使われ、『いえ』、『えだ』、『すて』と名前に使われます。
捨(シャ)は小学校6年生で習う漢字です。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-bad1.html
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.よじょう( )人員。
2.よしん( )に警戒する。
3.じょや( )の鐘。
4.汚染を じょきょ( )する。
5.じょこう( )運転。
6.とちゅう( )経過。
7.発展 とじょう( )。
8.一敗 地に まみ( )れる。
9.水性 とりょう( )。
10.建物の とそう( )。
11.じょじゅつ( )する。
12.一大 じょじょうし( )。
13.しゃめん( )を滑り降りる。
14.きっさてん( )で休憩する。
解説です。基本の漢字が余、除くのは阝(こざとへん)を足して除、安全でゆっくり行くのが徐、除霊された正しい道が途、コテで塗るのが塗、順序良く述べるのが叙、斜めが斗(ひしゃく)を足して斜、のばして作る葉の飲み物が艹(くさかんむり)を足して茶です。
解答です。余剰、余震、除夜、除去、徐行、途中、途上、塗れる、塗料、塗装、叙述、叙情詩、斜面、喫茶店。
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