漢字の覚え方 于・夸
今日は『于(ウ)』yúという意味・発音・構造上の漢字の仲間について説明します。基本になる漢字は『于(ウ)』で、長い曲刀の姿を表しています。于、宇、迂、紆、芋、汚、誇、跨、袴などがこの漢字の仲間です。漢字学者の藤堂は、このような漢字の仲間について『単語家族』という表現を使っていました。
『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来るので、『単語家族』ごとにまとめて漢字を覚えると便利です。ここでは、『于』に何を足すとどんな漢字になるのかを考えます。宇は小学校6年生で習う漢字 、芋、汚、誇 は中学生で習う常用漢字です。中学何年生で習うかは教科書によって異なります。漢字の足し算で、一緒にまとめて覚えてしまいましょう。
『于(ウ)』yúは、長い曲刀の姿を漢字にしたものです。意味は『長い』、『曲がった』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ウ』です。我国では『于(ウ)』単独で使うことはありません、宇、迂、紆、汚などの漢字の一部として活躍しています。
『于(ウ)』は常用漢字から外れています。
『宇(ウ)』yǔは、大きな屋根の家や宇宙の様子を漢字にしたものです。漢字の足し算では、宀(うかんむり・屋根)+于(長く、曲がった)=宇(長く曲がった屋根。星が張り付いている宇宙)です。漢字の部首は『宀・うかんむり』、漢字の意味は『大きな屋根』、『宇宙』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ウ』です。宇宙(ウチュウ)、廟宇(ビョウウ)の宇です。苗字では宇野さん、宇多田さんの宇です。
宇宙の蓋を宇(ウ)といい、空間の広がりを示し、宇宙の軸を宙(チュウ)といい、時間の広がりを示します。合わせて宇宙(ウチュウ)です。
『宙(チュウ)』については『漢字の覚え方 由』http://bit.ly/1DrqpJ9 をご覧ください。
『宇(ウ)』は小学校6年生で習う漢字です。
『迂(ウ)』yūは、迂回して進む様子を漢字にしたものです。漢字の足し算で覚えるならば、辶(進む)+于(長い)=迂(迂回して進む。まがる。とおい)です。漢字の部首は『辶・しんにょう』、意味は『迂回して進む』、『遠い』、『うとい』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ウ』、訓読みは『迂(まが)る』、『迂(とお)い』があります。遠回りすることを迂回(ウカイ)、世事にうといことを迂闊(ウカツ)といいます。
漢字の部首は『辶・しんにょう』は足で道 を行くことを表しています。足の向きや状態はいろいろあります。
☆前向きの場合 進(すす)む 迫(せま)る 迎(むか)える 邀(むか)える 近(ちか)づく 過 (すぎ)る 逼(せま)る 追(お)う 遂(と)げる 逢(あ)う 遇(あ)う 遭(あ)う 遘(あ)う 邂(あ)う 逅(あ)う 連(つら)なる 通(とお)る 透(とお)る 達(とお)る 遣(つか)わす 這(は)う 辿(たど)る 迄(いた)る 込(こ)む 適(かな)う 遡(さかのぼ)る
☆後ろ向きの場合 退(しりぞ)く 逆(さか)らう 逃(に)げる 逡(しりぞ)く 遁(のが)れる 避(さ)ける 遠(とお)のく 遺(のこ)す 迭(か)わる 迂(まが)る 逝(ゆ)く 違(そむ)く 遜(へりくだ)る 遮(さえぎ)る
☆廻る場合 廻 (めぐ)る 巡(めぐ)る 辺(あた)り 遊(あそ)ぶ 遍(あまね)く 迷(まよ)う
☆足のスピード 速(はや)い 遅(おそ)い 迅(はや)い 遥(はる)か
『迂(ウ・まがる)』は中学校で習う常用漢字から外れています。
『紆(ウ)』yūは、道が糸の様に道が曲がりくねる様子を漢字にしたものです。漢字の足し算では、糸(いとへん・いと)+于(長い)=紆(糸の様に道が曲がりくねる)です。漢字の部首は『糸』、意味は『曲がりくねる』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ウ』です。紆余曲折(ウヨキョクセツ)以外には使わない漢字です。紆余曲折(ウヨキョクセツ)とは道が糸の様に道が曲がりくねることです。物事が順調にいかない場合も使います。
『紆(ウ)』は中学校で習う常用漢字から外れています。
『芋(ウ)』yùは、芋(いも)を漢字にしたものです。漢字の足し算で覚えるならば、艹(植物)+于(長く曲がった)=芋(地下に大きい芋を作る植物。芋)です。意味は『いも』です。いも全般を指します。
音読みは呉音・漢音ともに『ウ』です。訓読みは『いも』です。里芋(さといも)、薩摩芋(さつまいも)、じゃが芋(いも)の芋です。いもは、薯、藷とも書きます。
薯、藷については『漢字の覚え方 者』をご覧ください。
『芋(ウ・いも)』は中学生 で習う常用漢字です。
『汚・汙(オ)』wuは、水たまりの様子を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、氵(さんずい・みず)+于(曲がる)=汚(曲がった水。窪んだ水。水たまり。汚い)です。『汚』と『汙』はデザインが違うだけで同じ漢字です。常用漢字体の『汚』を使います。
音読みは呉音・漢音ともに『オ』です。訓読みは『汚(きたな)い』、『汚(よご)れる』、『汚(けが)らわしい』です。汚染(オセン)、汚濁(オダク)、汚職(オショク)の汚です。
『汚(オ・きたない)』は中学生 で習う常用漢字です。
『夸(コ)』kuāという漢字があります。大きく長いことを示す形声文字です。大きいに于を足して少しデザインを変えたものです。漢字の『夸(コ)』自体を使う事はありませんが、誇、跨、袴の大事なパーツになっています。『夸』も『于』と同し仲間の漢字です。
『誇(コ)』kuàは、大きく言う様子を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、言(言葉)+夸(大きい)=誇(大きく言う。誇張する)です。漢字の部首は『言・ごんべん』です。
音読みは慣用音の『コ』です。呉音の『ケ』、漢音の『カ』は使いません。訓読みは『誇(ほこ)る』です。誇示(コジ)、誇張(コチョウ)、誇大(コダイ)の誇です。
『誇(コ・ほこる)』は中学生 で習う常用漢字です。
『跨(コ)』kuàは、大きく跨(また)ぐ様子を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、足+夸(大きい)=跨(大きく跨ぐ。跨ぐ)です。漢字の部首は『足』です。
音読みは慣用音の『コ』です。呉音の『ケ』、漢音の『カ』は使いません。訓読みは『跨(また)ぐ』、『また』です。線路を跨ぐ橋を跨線橋(コセンキョウ)、跨(股・また)の下を跨下(コカ)といいます。「韓信の跨くぐり」という有名な故事があります.
『跨(コ・またぐ)』は中学校で習う常用漢字から外れています。
『袴(コ)』kùは、袴(はかま)を示す形声文字です。漢字の足し算では、衣+夸(またぐ)=袴(跨(また)いで履(は)く袴。はかま)です。漢字の部首は『衤・ころもへん』です。
音読みは漢音の『コ』を使います。呉音の『ク』がありますが、ほとんど使いません。訓読みは『袴(はかま)』です。
『袴(コ・はかま)』は中学校で習う常用漢字から外れています。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-c30f.html
『漢字の覚え方 于・夸』 于 宇 紆 迂 芋 誇 汚 跨 袴
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.うちゅう( )ステーション。
2.悪路を うかい( )する。
3.うよきょくせつ( )して捗(はかど)らない。
4.さといも( )を供(そな)える。
5.おしょく( )で逮捕される
6.油 よご( )れ。
7.世界に ほこ( )る技術。
8.こだい( )広告。
9.こせんきょう( )を渡る。
10.羽織と はかま( )。
解説です。基本漢字は于、宇宙は冖(屋根)を合わせて宇、迂回するは辶(進む)を足して迂、曲がりくねった漢字は糸を合わせて紆、大きく言うのは言を足して誇、跨るは足を合わせて跨、袴は衣を合わせて袴です。
解答です。宇宙、迂回、紆余曲折、里芋、汚職、汚れ、誇る、誇大、跨線橋、袴。
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