小学校1年生で習う漢字①(一~水)
小学校1年生で習う漢字を説明します。ブログの許容量の関係で『小学校1年生で習う漢字①』(一~水)と『小学校1年生で習う漢字②』(正~六)に分割しています。ご了承下さい。
漢字の説明の前に、漢字の成り立ちの話をしましょう。最古の漢字辞書は後漢(西暦100年頃)の許慎(キョシン)の「説文解字(セツモンカイジ)」です。許慎はその中で漢字の成り立ちについて、四種類あるとしました。漢字の成り立ちは中学の教科書に掲載されるようになったので(私には説明が十分ではないように思います。しかし中学校の教科書に掲載されるということは、中学の入試に出題される可能性があります)、あえて解説致します。
①.物の形を象った(かたどった)『象形』(ショウケイ)、②.象形文字を基に線や点を打つことにより示された『指事』(シジ)、③.文字を組み合わせて造った『会意』(カイイ)、④.意味と音を示す文字を組み合わせた『形声』(ケイセイ)の四種です。『会意』と『形声』の文字は漢字の足し算で表す事が出来ます。一年生の漢字については一覧にしてありますので象形・指事・会意・形声 一年生も御覧ください。
漢字の成り立ちについての解釈は四通りです。どの時代の漢字に重点を置くか、また「説文解字(セツモンカイジ)」にどれほど敬意を払うかにより、解釈が違う場合が稀にあります。ある辞書では『見』を象形文字、別の辞書では目+儿の会意文字としています。漢字の解釈については諸説あることを御承知下さい。(中学入試で『見』の漢字の成り立ちについては設問しては不可ないと思います。)
『一(イチ)』yīは、占ないに用いる算木(サンぎ)一本の映像を漢字にした指事文字(シジモジ)です。漢字の部首は『一・いち』、漢字の意味は『ひとつ』、『同じ』、『ある』です。漢字では、一から四までの数字を、算木を増やす映像で表現しています。
音読みは呉音が『イチ』、漢音が『イツ』。訓読みは『一(ひと)』、『一(ひとつ)』です。一日(イチニチ・ついたち)、一番(イチバン)、一致(イッチ)、一見(イッケン)、一人(ひとり)の一です。
非常に縁起の良い漢字で『おさむ』、『か』、『かず』、『かた』、『かつ』、『くに』、『さね』、『すすむ』、『たか』、『ただ』、『ち』、『のぶ』、『はじむ』、『はじめ』、『ひ』、『ひじ』、『ひで』、『ひと』、『ひとし』、『まこと』、『まさし』、『もと』、『もろ』と広く名前に使われます。
一を使った漢字には、上の部分に点を足した上(ジョウ)、下の部分に点を足した下(ゲ)があります。詳しくは『漢字の覚え方 一』をご覧ください。
少し漢字の読み方の話をします。漢字の読み方は漢字を中国から輸入したときの読み方音読みと大和(やまと)言葉にあわせた訓読みがあります。音読みには、最初に輸入した中国江南地方の音である呉音(ゴオン)、遣唐使が持ち帰った長安の音である漢音(カンオン)、鎌倉仏教を通して入ってきた唐宋音(トウソウオン)、我が国で慣用的に使われる慣用音(カンヨウオン)があります。
『右(ウ・ユウ)』yòuという漢字はナ(右手)に口(祝いの器)を合わせた形声文字(ケイセイモジ)です。右手に祝器で『神を尋ねる』、『佑(たす)ける』を表します。漢字の足し算では、ナ(右手・ユウ)+口=右(右手の意味。助ける。右)です。漢字の部首は『口・くち』、漢字の意味は『右』、『右に行く』、『西の』、『上位の』、『佑(たす)ける』、『保守的な』です。
書くときは指の部分から腕の部分へと書きます。左払い(指)、横棒(腕)の順で横棒の方を長くします。
音読みは呉音が『ウ』、漢音が『ユウ』。訓読みは『みぎ』です。左右(サユウ)、右往左往(ウオウサオウ)、座右(ザユウ)、右左(みぎひだり)の右です。佑(ユウ)、祐(ユウ)、有(ユウ)、友(ユウ)の漢字の仲間があります。『漢字の覚え方 右』をご覧下さい。
『雨(ウ)』yǔは、空から降る雨を表した象形文字(ショウケイモジ)です。漢字の部首は『雨・あめ』。雪、雲、雷、電、震、霜などの意符(いふ・漢字の音を表さないパーツ)として重要な漢字です。
音読みは呉音・漢音ともに『ウ』。訓読みは『あめ・あま』、『さめ』です。雨の降る天気を雨天(ウテン)、雨の降る季節を雨季(ウキ)、春の静かな雨・綠豆から出来る乾麺を春雨(はるさめ)、梅の実がなるころの長雨を梅雨(バイウ・つゆ)、梅雨の長雨を五月雨(さみだれ)、初冬のパラパラ降る雨を時雨(しぐれ)といいます。
雨(ウ)を使った漢字には、漏(ロウ・もれる)、雫(ダ・ナ・しずく)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 雨』をご覧下さい。
『円(エン)』yuánは、円形を表す形声文字です。正式な字体は『圓』です。円形を表す漢字は『員』と『圓』があり、『員(イン)』は円形の枠や円の中の人数を、『圓(エン)』は円形の枠そのものを表します。漢字の足し算では、□(円形○)+員(円形の枠)=圓(円形の形。まる。まるい形)です。字体は常用漢字に登録されている『円』を使って下さい。漢字の部首は『冂・けいがまえ・(円)』と『□・くにがまえ・(圓)』です。我が国では貨幣の単位として使われています。
音読みは呉音・漢音ともに『エン』、訓読みは『円い(まるい)』、『まる』と常用外の『まどか』、『つぶら』があります。円満(エンマン)、半円(ハンエン)、一円(イチエン)の円です。
大変お目出度い漢字で、姓名に使われます。円谷(つぶらや)さん、円(まどか)さん。噺家さんでは、圓生、圓楽、圓窓、圓遊、圓丈さん。噺家さんは正字体の『圓』を使われるようです。圓の仲間には員、韻、損などがあります。
詳しくは『漢字の覚え方 員』をご覧ください。
『王(オウ)』wángという漢字は、王様を表す漢字です。成り立ちには諸説あります。王位継承のおの(戉・エツ)を描いた象形文字とする説。天地(二)に大いなる人を合わせた会意文字とする説があります。漢字の部首は『王・おう』です。
音読みは呉音・漢音ともに『オウ』です。国王(コクオウ)、王室(オウシツ)、魔王(マオウ)の王です。『王』姓の人物が沢山います。王安石、王維、王昭君。王貞治さんも『王』姓です。
王の漢字の仲間には、皇、狂、匡などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 王』をご覧ください。
『音(オン)』yīnという漢字は、言(ゲン)という漢字に-を足した会意文字です。漢字の足し算では、言(言葉)+一(存在)=音(はっきりと言葉にしない音。おと)です。漢字の部首は『音』です。『音』は、『曰(エツ・言葉)』に関係しそうですが、漢字の足し算でいう、立+曰ではありません。
一を線と考えれば指事文字であると考えられます(鎌田)。
現在使われている漢字は、楷書体(カイショタイ)と呼ばれるものです。直接の元になる書体は、篆文(テンブン)と言い、秦の時代に確立した書体です。篆文の書体で『言』と『音』を見てください。言という漢字に-が入っているのがわかります。
『言(ゲン)』yanは辛(シン・はっきり)に口(くち)を足した会意文字(カイイモジ)です。部首は『言』、意味は『はっきりと口(くち)に出して言う』ことです。一方『音(オン)』yinは、言の口に-を入れ、『はっきりと言わない音(おと)』という意味です。
音読みは呉音が『オン』、漢音が『イン』、訓読みは『おと』、『ね』です。音訓(オンクン)、音楽(オンガク)、音物(インモツ)、音色(ねいろ)の音です。音の仲間には暗、闇、意、億、憶などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 音』をご覧ください。
『下(カ)』xiàという漢字は、線の下に点を打って下を表した指事文字(シジモジ)です。漢字の部首は『一・いち』、漢字の意味は『下(した)』、『下(しも)』、『下げる(さげる)』、『下りる(おりる)』です。
音読みは呉音が『ゲ』、漢音が『カ』、訓読みは『下(した)』、『下(しも)』、『下げる(さげる)』、『下る(くだる)』、『下りる(おりる)』です。下限(カゲン)、下流(カリュウ)、下界(ゲカイ)、下山(ゲザン)、上下(ジョウゲ・ショウカ・うえした)、風下(かざしも)、下見(したみ)、値段を下げる(さげる)、下手(へた)の下です。下手(へた)は常用漢字の付表にある特別な読み方です。
下は漢字の一に点を打った指事文字です。『漢字の覚え方 一』もご覧ください。
『火(カ)』huǒは、火が燃える様子を描いた象形文字です。漢字の部首は『火・ひ』です。火の文字が漢字の脚に使われるときは『灬・れっか』というデザインになります。漢字の意味は『火』、『火曜日』です。
音読みは呉音・漢音ともに『カ』、唐宋音が『コ』、訓読みが『ひ』・『ほ』です。火事(カジ)、火炎(カエン)、火曜(カヨウ)、花火(はなび)、火遠理命(ほおりのみこと)の火です。
火の仲間には火、灰、恢、炭、炎などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 火』をご覧ください。
『花(カ)』huāは、艹(くさかんむり・植物)に化を足した花を表す形声文字(ケイセイモジ)です。漢字の足し算では、艹(くさかんむり・植物)+化(かわる)=花(蕾・つぼみから花と姿を変える花)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、意味は『はな』、『はなのように綺麗なもの』、『はなやか』です。
音読みは漢音の『カ』が普通で、呉音の『ケ』と読むこともあります。、訓読みは『はな』です。花瓶(カビン)、開花(カイカ)、国花(コッカ)、造花(ゾウカ)、花束(はなたば)、花嫁(はなよめ)、花火(はなび)の花です。花の漢字仲間には、化、貨、靴があります。詳しくは『漢字の覚え方 化』をご覧下さい。
『貝(バイ・ハイ・かい)』bèiという漢字は、二枚貝が開かれた姿を表す象形文字です。読み方は、訓読みの『かい』が普通で、音読みの『バイ』、『ハイ』は使いません。漢字の部首は『貝・かい』、『貝』はお金として流通していたため、『お金』・『財宝』などの意味があります。貝殻(かいがら)、貝塚(かいづか)、貝柱(かいばしら)の貝です。
貝の漢字仲間には、買(バイ)、唄(バイ)、狽(バイ)などの仲間の漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 貝・買』をご覧ください。
『気(キ)』qìは、米をふかす蒸気を示す形声文字です。正字は氣です。漢字の足し算では、气(ゆげ)+米=(米をふかす蒸気。蒸気。気体。いき)です。漢字の部首は『气・きがまえ』、漢字の意味は『気体』、『いき』、『気力』、『気持ち』です。字体は常用漢字に登録されている『気』を使って下さい。
音読みは呉音が『ケ』、漢音が『キ』です。人気(ニンキ)、健気(ケナゲ)、天気(テンキ)、気体(キタイ)、景気(ケイキ)、気持ち(キもち)の気です。気(キ)、汽(キ)、气(キ)は同じ仲間の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 气』をご覧ください。
『學・学(ガク・カク)』xué、xiaoという漢字は、生徒と先生が勉強している映像を示した漢字です。漢字の足し算では、爻(交わる)+両手(両手)+冖(わかんむり・覆う)+子=学(先生と生徒の交わり・学ぶこと)です。漢字の部首は『子』です。
現在は常用漢字体である『学』を使うのが普通です。戦争に負ける前は、正字体(旧字体)である『學』が使われていました。
音読みは呉音の『ガク』が普通で、漢音の『カク』は使いません。訓読みは『学ぶ(まなぶ)』です。学ぶ所を学校(ガッコウ)、学び習う(問う)ことを学問(ガクモン)、学問と芸術を学術(ガクジュツ)、学問に励むことを勉学(ベンガク)といいます。学は爻・交の仲間の漢字です。興味のある方は『漢字の覚え方 爻・交』をご覧ください。
『九(キュウ・ク)』jiǔは、手で示すいきどまりの状態、または龍の飛ぶ姿を漢字にした象形文字です。意味は『いきどまり』、『まがる』です。いきどまりの数字の『九』を表します。漢字の部首は『乙・おつ』です。
音読みは漢音の『キュウ』か、呉音の『ク』と読みます。訓読みは『ここのつ』、『ここの』です。九州(キュウシュウ)、九死(キュウシ)、九月(クガツ)、九重(キュウチョウ・ここのえ)、九日(ここのか)、九十九折(つづらおり)の九です。九十九折(つづらおり)は常用漢字の付表にある特別な読み方です。
究(キュウ)、仇(キュウ)、鳩(キュウ)の漢字の仲間があります。詳しくは『漢字の覚え方 九』をご覧ください。
『休(キュウ)』xiūは、人が木のそばで休んでいる様子を示した会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、亻(人)+木=休(木のそばで休息する。休む)です。漢字の部首は『亻・にんべん』、漢字の意味は『休む(やすむ)』です。『亻』は人の行為全般を表しますが、休(木のそば)、伴(人のそば)、側(契約のそば)のように人が側(そば)にいる場合にも使われます。
音読みは『キュウ』、訓読みは『休む(やすむ)』。許可を得て学校を休むことを休学(キュウガク)、会社に申請して取る休みを休暇(キュウカ)、会社が指定している休みの日を休日(キュウジツ)、休みの日が続くことを連休(レンキュウ)、春の長期休暇を春休み(はるやすみ)、夏の長期休暇を夏休み(なつやすみ)といいます。
やすらぐ漢字で『たね』、『のぶ』、『やす』、『やすむ』、『よし』と地名・人名に使われています。
木(モク)を使った漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 木』 もご覧ください。
『玉(ギョク)』yùは、宝玉を連ねた状態を表す象形文字です。古い字体では王と一緒ですが、現在では点を打って王と区別しています。漢字の部首は『王』です。また、偏としての玉は王になります。
音読みは呉音が『コク』、漢音が『ギョク』です。訓読みは『たま』です。宝玉(ホウギョク)、玉音(ギョクオン)、玉葱(たまねぎ)の玉です。
『金(キン)』jīnは、土の中に含まれる砂金を表す形声文字です。漢字の足し算では、今(含む)+‥(粒)+土=金(土の中に含まれる砂金。金属)です。漢字の部首は『金・かね』、漢字の意味は『金属』、『お金』、『金曜日』です。
音読みは呉音が『コン』、漢音が『キン』で、訓読みは『かね』、『かな』です。金魚(キンギョ)、砂金(サキン)、金剛(コンゴウ)、黄金(オウゴン・こがね)の金です。
今(キン)、吟(ギン)、含(ガン)などの漢字が比較的近い漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 今』をご覧ください。
『空(クウ・そら)』kōngは、縦と横に広がりを持つ空間を表す形声文字(ケイセイモジ)です。漢字の足し算では、工(縦の広がり)+宀(天)+八(横の広がり)=空(縦横に広がる空間です。そら)です。漢字の部首は『穴・あなかんむり』です。
音読みは呉音の『クウ』が普通で、漢音の『コウ』は使いません。訓読みは『空(そら・から)』、『空しい(むなしい)』、『空ける(あける)』です。空間ですから天の空(そら)を示します。『空っぽ』、『空しい(むなしい)』などの意味もあわせ持ちます。空間(クウカン)、空手(カラテ)、空耳(そらみみ)の空です。
空は工、江、紅などの仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 工』をご覧ください。
『月(ゲツ・ガツ)』yuèは、三日月を象った(かたどった)象形文字です。漢字の部首は『月・つき』です。意味は『月』です。また地球の周りを月が一周する期間を『月』としました。漢字の意味は空と暦の『月』、『月曜日』です。
音読みは呉音が『ゴチ』、漢音が『ゲツ』、慣用音が『ガツ』、訓読みが『つき』です。満月(マンゲツ)、一月(イチガツ・ひとつき)、月曜(ゲツヨウ)、月光(ゲッコウ)、月並み(つきなみ)の月です。
また、月には肉を表す『月・にくづき』、舟を表す『月・ふなづき』があり、常用漢字の字体では区別していません。漢字の部首として『月・にくづき』の名称が残っています。
月の使った漢字には明(メイ)、朝(チョウ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 月』をご覧ください。
『犬(ケン)』quǎnは、犬を象った(かたどった)象形文字(ショウケイモジ)です。漢字の部首は『犬』です。漢字の部首は『犬・いぬ』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ケン』、訓読みが『いぬ』です。犬と猿で犬猿(ケンエン)、番をする犬が番犬(バンケン)、犬と馬で犬馬(ケンバ)、柴犬(しばいぬ)の犬です。犬の使った漢字には吠(ハイ)、哭(コク)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 犬』 をご覧ください。
『見(ケン)』jiànは、目立つものを人が見る様子を表した会意文字(藤堂)、ひざまずいて良く見る様子を表す会意文字(諸橋)です。漢字の足し算では、目+儿(人)=見(目を使って見る。外に見えてくる。現れる)です。漢字の部首は『見・みる』です。意味は『見る』、『あらわれる』、『お目にかかる』、『考え』などです。
漢字の原点の甲骨文字まで遡り、見る人を表す象形文字とする説もあります(白川)。中学の勉強では甲骨文字まで遡(さかのぼ)ること殆どないので、会意として覚えたほうが無難です。
音読みは呉音・漢音ともに『ケン』、訓読みは『見る(みる)』です。見たり聞いたりするのを見聞(ケンブン)、心の中の考えを意見(イケン)、お目にかかるのを見参(ケンザン)といいます。
見の仲間の漢字には現(ゲン)、硯(ケン)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 見』をご覧ください。
『五(ゴ)』wǔは、占ないに用いる算木(サンぎ)を交差させる映像、容器の蓋(ふた)の映像を漢字にした文字です(白川)。漢字の足し算では、二(容器と蓋)+×(交差)=五(容器と蓋(ふた)の交わり。算木の交差。五)です。意味は『交差する』、『五の』、『容器の蓋』です。
『説文解字』には天と地とその間で交わるものとしています。
一から四の数字は簡単に、算木を増やす映像で表現していました。五については、算木を並べるのではなく、交差させて五の数を示しました。ⅠⅡⅢⅣⅤのローマ数字に似ていますね。漢字の部首ですが『二』です。二と関係なく、天と地を表すと考えられています(許、藤堂、鎌田)。
一般的にはニに従うので、会意文字ですが、一を二本と(天と地)と考えて、指事文字とする学者(藤堂、鎌田)が多いです。
音読みは呉音・漢音ともに『ゴ』です。訓読みは『いつ』、『いつつ』です。三々五々(サンサンゴゴ)、五月(ゴガツ・さつき)、五日(いつか)、五感(ゴカン)、五穀(ゴコク)の五です。
五の仲間の漢字には伍(ゴ)、吾(ゴ)、悟(ゴ)があります。詳しくは『漢字の覚え方 五』をご覧下さい。
『口(コウ)』kǒuは、口を象った(かたどった)象形文字です。漢字の部首は『口・くち』、意味は『口(くち)』、『あな』、『入口』、『物を数える単位』です。
音読みは呉音が『ク』、漢音が『コウ』、訓読みが『口(くち)』です。人数を数えたものが人口(ジンコウ)、口で論じるのを口論(コウロン)、口から口へ伝えることを口伝(クデン)、口で説得するのが口説く(クどく)、就職する入口を就職口(シュウショクぐち)といいます。
口(コウ)の仲間の漢字には叩(コウ・たたく)、釦(コウ・ぼたん)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 口』をご覧下さい。
『校(コウ・キョウ)』xiào、jiàoは、木を交(まじ)えて造る建物(千木造り・ちぎづくり)を表す形声文字です。漢字の足し算では、木+交(交わる)=校(木を交えて造る建物。学び舎)です。漢字部首は『木』です。意味は『千木造りの建物』、転じて『勉強する建物・学び舎』、『付き合せて較べる』です。
音読みは漢音の『コウ』が普通で、呉音の『キョウ』は使いません。『学び舎』関係の熟語には学校(ガッコウ)、校長(コウチョウ)、登校(トウコウ)などがあります。『付き合せて較べる』関係の熟語には校正(コウセイ)、校閲(コウエツ)などがあります。特別な読み方に、校倉造り(あぜくらづくり)があります。東大寺の正倉院の建物に使われている建築法で『千木造りの建物』の一種です。
校は爻・交の仲間の漢字です。興味のある方は『漢字の覚え方 爻・交』をご覧ください。
『左(サ)』zuǒという漢字は『ナ』に『工(コウ)』を合わせた会意文字です。左手に工具(錐・キリの事です)で、『左』、『神を尋ねる』、『助ける』を表します。漢字の足し算で表すと、ナ(左手)+工(工具)=左(左手の意味。助ける)です。漢字の部首は『工・こう』、漢字の意味は『左』、『左に行く』、『東の』、『下位の』、『佐(たす)ける』、『差』、『急進的な』、『酒呑み』です。
書き順はー(横棒)を先に書き、ノ(左払い)を後に書きます。指を表す横棒は短く書きます。
音読みは呉音・漢音ともに『サ』、訓読みは『ひだり』です。左と右は左右(サユウ)と言い、右も左も分からず混乱した状態を右往左往(ウオウサオウ)、それまでの官職から低い位置に遷ることを左遷(サセン)と言います。
古代中国では、右を尊び、左を卑しみました。我が国では、時代によって異なり左大臣・右大臣のように左(東の方角)を上位とすることもあります。
左の仲間の漢字には左、佐、差、磋、嵯があります『漢字の覚え方 左』をご覧ください。
『三(サン)』sānという漢字は、占ないに用いる算木(サンぎ)三本の映像を漢字にした指事文字(シジモジ)です。漢字の部首は『一・いち』、漢字の意味は『みっつ』です。漢字では、一から四までの数字を、算木を増やす映像で表現しています。
音読みは呉音・漢音ともに『サン』です。訓読みは『み』、『みっつ』、『みっ』です。三軍(サングン)、三途(サンズ)、三巴(みつどもえ)、三下(サンした)、三河(みかわ)の三です。三味線(しゃみせん)は常用漢字の付表にある特別な読み方です。
三の漢字の仲間には、彡(サン)、杉(サン)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 三』をご覧ください。
『山(サン)』shānという漢字は、山を象(かたど)った象形文字です。漢字の部首は『山・やま』です。
音読みは呉音が『セン』は使いません。漢音の『サン』が普通です。訓読みは『やま』です。山陽(サンヨウ)、登山(トザン)、山車(だし)、築山(つきやま)、雪山(ゆきやま)の山です。山車(だし)、築山(つきやま)は常用漢字の付表にある特別な読み方です。
仙(セン)、疝(セン)が山と同じ漢字仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 山』をご覧ください。
『子(シ)』zǐ という漢字は、小さい子供を描いた象形文字です。上の部分は頭を、横棒は両手を描いています。漢字の部首は『子』です。また十二支の一番目に『子』の漢字をあてます。『ね』と読み、時刻は夜の十二時、方角は北、動物ではネズミにあてます。
音読みは呉音・漢音ともに『シ』です。唐宋音の『ス』をたまに使います。訓読みは『こ』、『ね』です。君子(クンシ)、利子(リシ)、子供(こども)の子です。帽子(ボウシ)、椅子(イス)、金子(キンス)、硝子(がらス)など道具の接尾辞にも使います。
仔、字などの『単語家族』(発音・意味上の仲間の漢字)があります。詳しくは『漢字の覚え方 子』をご覧ください。
『四(シ)』sìという漢字は、占ないに用いる算木(サンぎ)四本の映像を漢字にしたものです。古くは指事文字(シジモジ・線で表わす漢字)で亖と書いていましたが、デザインの変更があり四になりました。漢字の足し算では、囗+八=四で、会意文字です。漢字の部首は『囗・くにがまえ』、漢字の意味は『よっつ』です。
音読みは呉音・漢音ともに『シ』です。訓読みは『よ』、『よっつ』、『よっ』、『よん』です。四海(シカイ)、四天王(シテンノウ)、四番(よんばん)、四日(よっか)の四です。
泗、駟などの『単語家族』(発音・意味上の仲間の漢字)があります。詳しくは『漢字の覚え方 四』をご覧ください。
『糸(シ)』sīは糸の束(たば)を描いた象形文字です。糸の正字は『絲(シ)』ですが、現在は『糸』を常用漢字として使います。
音読みは呉音・漢音ともに『シ』、訓読みは『いと』です。絹糸(ケンシ・きぬいと)、糸竹(シチク)、糸車(いとぐるま)の糸です。
『漢字の覚え方 糸』もご覧ください。
『字(ジ)』zìは、文字を表す形声文字です。象形文字を文といい、象形文字から派生した会意文字・形声文字を字といいます。文の子だから字といいます。漢字の足し算では、宀(やね)+子=字(象形文字からつくられた字。字)です。漢字の部首は『子・こ』です。また、子が元服した時につける名を字(あざな)といいます。我が国では村の小区分を字(あざ)といいます。漢字の意味は『字(ジ)』、『あざな』、『あざ』です。
音読みは呉音が『ジ』、漢音が『シ』です。文字(モジ)、漢字(カンジ)、活字(カツジ)、字体(ジタイ)の字です。
字は子、仔と同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 子』をご覧ください。
『耳(ジ)』ěrは、耳を描いた象形文字です。漢字の部首は『耳・みみ』です。
音読みは呉音の『ニ』は使いません。漢音が『ジ』が普通です。訓読みが『耳(みみ)』です。耳や鼻の病気の治療を目的とする医療の分野を耳鼻科(ジビカ)、他人の噂などをいちはやく聞き込んでいることを地獄耳(ジゴクみみ)といいます。
耳は餌(ジ)と同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 耳』をご覧ください。
『七(シチ)』qīは、骨を切る映像を漢字にしたものです。意味は『きる』です。『七(シチ)』が『切る』の意味に使われることはなく、数字の『七』を表す漢字として使われます。『切る』の意味は漢字の『切(セツ)』に引き継がれています。
ある本には左に三、右に四と書かれています。
数字の五・六・七・八・九・十は元々の別の意味がある漢字に、数字を後から当てはめたものです。 漢字のこのような用法を仮借(カシャ)と言います。『七』の漢字の部首は『一・いち』です。
音読みは呉音の『シチ』が普通で、漢音の『シツ』と読むこともあります。訓読みは『なな』、『ななつ』、『なの』です。七福神(シチフクジン)、七月(シチガツ)、七宝(シッポウ)、七重(ななえ)、七日(なのか)、七夕(シチセキ・たなばた)の七です。七夕(たなばた)は常用漢字の付表にある特別な読み方です。
切(セツ)、叱(シツ)も七の仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 七・切』をご覧下さい。
七夕(たなばた)は棚(たな・天に架かる橋・神の供物を載せる棚)と機織(はたおり)からきていると言われています。
『車(シャ)』chēは、馬に引かせる馬車を表した象形文字です。今では、車は自動車のことですが、昔は馬(我が国では牛)が引いた車のことでした。漢字の部首は『車』です。
音読みは呉音・漢音ともに『シャ』、訓読みは『車(くるま)』です。汽車(キシャ)、自動車(ジドウシャ)、牛車(ギッシャ)、山車(だし)、車掌(シャショウ)の車です。山車(だし)は常用漢字表に掲載されている特別な訓読みです。
車の仲間の漢字には俥、陣などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 車』をご覧ください。
『手(シュ)』shǒuは、手を描いた象形文字です。五本の指を描いています。漢字の部首は『手・て』です。
音読みは呉音が『シュ』を使います。漢音の『シュウ』は使いません。訓読みは『て』、『た』です。手記(シュキ)、手芸(シュゲイ)、手下(シュカ・てした)、手足(てあし)、上手(ジョウズ・うわて)、下手(へた)の手です。上手(ジョウズ)・下手(へた)は常用漢字表に掲載されている特別な訓読みです。
手を使った漢字には看http://bit.ly/1Z5TbdM などがあります。
『十(ジュウ)』shíは、十を表す指事文字です。意味は『十』、『まとまった』、『多くの』です。数を表す算木をまとめ、中央に横の算木を置いた形です。漢字の足し算では、一+l=十(算木をまとめた十。ジュウ)です。漢字の部首は『十』です。
甲骨文字では針(はり)の形を象(かたど)る象形文字ともいわれています。(鎌田)
音読みは呉音の『ジュウ』を使います。漢音の『シュウ』は使いません。慣用音の『ジッ』があります。訓読みは『とお』、『と』です。十二支(ジュウニシ)、十干(ジッカン)、十戒(ジッカイ)、二十日(はつか)、十八番(ジュウハチバン・おはこ)の十です。
十の慣用音『ジッ』の解説です。古代の日本では古代中国語の影響で『十・ジフ』と発音していました。フは日本語の促音便(ソクオンビン)が適用されます。カ行、サ行、タ行、ハ行の前で『フ』は、『ッ』と発音する促音便になります。十干(ジフカン→ジッカン)、十戒(ジフカイ→ジッカイ)、十手(ジフテ→ジッテ)、十得(ジフトク→ジットク)、十哲(ジフテツ→ジッテツ)などと読みます。
十の『単語家族』には什(ジュウ)、汁(ジュウ)があります。詳しくは『漢字の覚え方 十』をご覧ください。
『出(シュツ)』chūは、足が線から出る様子を示す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、止(足)+一=出(足が線から出る。出る)です。漢字の部首は『凵・うけばこ』です。漢字の意味は『出る(でる)』、『現れる』、『生まれる』、『抜きんでる』です。
甲骨文字では、足が出る象形文字(白川・鎌田)とされています。
音読みは呉音が『スチ』、漢音が『シュツ』、訓読みが『出る(でる)』です。また『出す』の意味限定で呉音・漢音共通の『スイ』があります。出力(シュツリョク)、出現(シュツゲン)、出生(シュッショウ・シュッセイ)、傑出(ケッシュツ)、出納(スイトウ)、出口(でぐち)の出です。
出の『単語家族』には拙(セツ)、咄(トツ)、屈(クツ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 出』をご覧ください。
『女(ジョ)』nǚは、女性を表す象形文字です。座っている姿といわれています。漢字の部首は『女』です。
音読みは呉音が『ニョ』、漢音が『ジョ』、慣用音が『ニョウ』です。訓読みは『おんな』、『め』です。男女(ダンジョ)、天女(テンニョ)、女御(ニョウゴ・ニョゴ)、女子(ジョシ・おなご)、乙女(おとめ)、早乙女(さおとめ)、海女(あま)の女です。乙女(おとめ)、早乙女(さおとめ)、海女(あま)は常用漢字表に掲載されている特別な訓読みです。
女(ジョ)は如(ジ)、恕(ジョ)と同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 女』をご覧ください。
『小(ショウ)』xiǎoは、小さなは貝を三つ並べた象形文字です。漢字の部首は『小』です。漢字の意味は『小さい』、『小さくて綺麗』、『消える』です。小には貝が含まれていませんが、貝を使った『小さい』を意味する漢字には『瑣(サ)』suo、『鎖(サ)』suoがあります。
音読みですが呉音・漢音ともに『ショウ』です。訓読みは『小さい(ちいさい)』、『こ』、『さ』、『お』です。『小山(こやま・おやま)』、『小田(おだ)』、『小野(おの)』、『小平(こだいら)』、『小西(こにし)』、『小林(こばやし)』と多くの名字に使われています。『小さくて綺麗』の意味があるので、『小夜(さよ)』、『小百合(さゆり)』と名前にも良く使われている漢字です。
小の漢字の仲間には少、肖、消などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 小』をご覧ください。
『上(ジョウ)』shàngという漢字は、線の上に点を打って上を表した指事文字(シジモジ)です。漢字の部首は『一・いち』、漢字の意味は『上(うえ)』、『上(かみ)』、『上げる(あげる)』、『上る(のぼる)』です。
音読みは呉音が『ジョウ』、漢音が『ショウ』です。訓読みは『上(うえ)』、『上(うわ)』、『上(かみ)』、『上げる(あげる)』、『上る(のぼる)』です。上限(ジョウゲン)、上流(ジョウリュウ)、上下(ジョウゲ・ショウカ・うえした)、風上(かざかみ)、上手(ジョウズ・うわて・かみて)の上です。
上は漢字の一に点を打った指事文字です。『漢字の覚え方 一』もご覧ください。
『森(シン)』sēnは、森(もり)を表す会意文字です。木をみっつ合わせて、たくさんの木がびっしりと茂った森を表しました(藤堂・鎌田・白川)。漢字の部首は『木・き』、漢字の意味は『森(もり)』、『多くの』、『静かな』です。
音読みは呉音・漢音ともに『シン』、訓読みは『森(もり)』です。樹木が多い場所を森と林で森林(シンリン)、多く並び連なるのを森羅(シンラ)、静かで閑(のんびり・しずか)を森閑(シンカン)といいます。
森羅万象(シンラバンショウ)とは、天地の間に存在する万物やあらゆる現象をいいます。
非常に重要な漢字で、『しげ』、『しげる』、『もり』と読み、森、森田、森川、川森と地名・人名に使われています。
森は漢字の木を三つ合わせた会意文字です。『漢字の覚え方 木』 『漢字の覚え方 林』もご覧ください。
『人(ジン・ニン)』rénは人を描いた象形文字です。漢字の部首は『人・ひと』です。
音読みは呉音が『ニン』、漢音が『ジン』、訓読みが『ひと』です。人生(ジンセイ)、主人(シュジン)、人気(ニンキ)、町人(チョウニン)、旅人(たびびと)、一人(ひとり)、二人(ふたり)の人です。
『漢字の覚え方 人』も御覧ください。
『水(スイ)』shuǐは、水の流れを描いた象形文字です。漢字の部首は『水・みず』、意味は『みず』です。漢字の部首で扁に使われるときは『氵・さんずい』、脚(あし)に使われるときは『氺・したみず』というデザインになります。
音読みは呉音・漢音ともに『スイ』、訓読みは『みず』です。洪水などを防ぎ水を制御することを治水(チスイ)、川の水流れを利用して動力を得る車状の仕掛けを水車(スイシャ)、大雨による河川の氾濫を大水(おおみず)、岩の間などから湧き出る清んだ水を清水(しみず)、水の表面を水面(みなも)といいます。『漢字の覚え方 水』もご覧ください。
続きは『小学校1年生で習う漢字②』(正~六)http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/1-2209.htmlをご覧ください。
参考図書http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-c740.htmlです。漢字についてより詳しく知りたい方は、下記の本をお読みください。
篆文(テンブン)を中心にした体系的な記述・韻の説明は、諸橋轍次先生の『新漢和辞典』、藤堂明保先生の『漢字源』・『漢字の過去と未来』を参考にさせて頂いてます。
甲骨文字・金文のもつ呪術的な解釈には白川静先生の『字通』・『字統』・『漢字』・『中国古代の文化』を参考にさせて頂いています。
漢字の伝来や常用漢字の解釈については、大島正二先生の『漢字伝来』、高島俊男先生の『漢字と日本人』を参考にさせて頂いています。
日本語については、金田一京助先生の『日本語の変遷』、大野晋先生の『日本語の文法を考える』、新村出先生の『広辞苑』を参考にさせて頂いております。
医学用語については伊藤正男・井村裕夫・高久史麿先生の『医学大辞典』を参考にさせて頂いております。
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