小学校1年生で習う漢字②(正~六)
小学校1年生で習う漢字を説明します。ブログの許容量の関係で『小学校1年生で習う漢字①』(一~水)と『小学校1年生で習う漢字②』(正~六)に分割しています。ご了承下さい。
漢字の説明の前に、漢字の成り立ちの話をしましょう。最古の漢字辞書は後漢(西暦100年頃)の許慎(キョシン)の「説文解字(セツモンカイジ)」です。許慎はその中で漢字の成り立ちについて、四種類あるとしました。漢字の成り立ちは中学の教科書に掲載されるようになったので(私には説明が十分ではないように思います。しかし中学校の教科書に掲載されるということは、中学の入試に出題される可能性があります)、あえて解説致します。
①.物の形を象った(かたどった)『象形』(ショウケイ)、②.象形文字を基に線や点を打つことにより示された『指事』(シジ)、③.文字を組み合わせて造った『会意』(カイイ)、④.意味と音を示す文字を組み合わせた『形声』(ケイセイ)の四種です。『会意』と『形声』の文字は漢字の足し算で表す事が出来ます。一年生の漢字については一覧にしてありますので象形・指事・会意・形声 一年生も御覧ください。
漢字の成り立ちの解釈には四種類あります。どの時代の漢字に重点を置くか、また「説文解字(セツモンカイジ)」にどれほど敬意を払うかにより、解釈が違う場合が稀にあります。ある辞書(白川)では『見』を象形文字、別の辞書(藤堂・諸橋)では目+儿の会意文字としています。漢字の解釈については諸説あることを御承知下さい。(中学入試で『見』の漢字の成り立ちについては設問しては不可ないと思います。)
『正(セイ・ショウ)』zhèngは、目標に向かって真っ直ぐ進む様子を表す会意文字です。漢字の足し算では、一(目標)+止(足のかたち。進む)=正(目標に向かって真っ直ぐ進む。真っ直ぐ。正しい)です。漢字の部首は『止・とめる』、意味は『真っ直ぐ』、真っ直ぐからの『正しい』、『正式』、『ちょうど』です。
音読みは呉音が『ショウ』、漢音が『セイ』です。訓読みが『正しい(ただしい)』、『まさ』です。正解(セイカイ)、正常(セイジョウ)、正月(ショウガツ)、正夢(まさゆめ)の正です。
正の仲間の漢字には、政、整、征があります。興味のある方は『漢字の覚え方 正』をご覧ください。
少し漢字の読み方の話をします。漢字の読み方は漢字を中国から輸入したときの読み方音(オン)読みと大和(やまと)言葉にあわせた訓(くん)読みがあります。音読みには、最初に輸入した中国江南地方の音である呉音(ゴオン)、遣唐使が持ち帰った長安の音である漢音(カンオン)、鎌倉仏教を通して入ってきた唐宋音(トウソウオン)、我が国で慣用的に使われる慣用音(カンヨウオン)があります。
呉音の『ショウ』は漢音の『セイ』に変化することがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音 もご覧ください。
『生(セイ・ショウ)』shēngは、植物の生え出る様子を表す象形文字(ショウケイモジ)です。漢字の部首は『生・うまれる』、漢字の意味は『生きる(いきる)』、『生まれる(うまれる)』、『生える(はえる)』などがあります。
音読みは呉音が『ショウ』、漢音が『セイ』です。訓読みは『生きる(いきる)』、『生まれる(うまれる)』、『生える(はえる)』、『なま』、『き』、『ふ』です。生物(セイブツ・いきもの・なまもの)、生産(セイサン)、一生(イッショウ)、生薬(ショウヤク)、生意気(なまいき)、生粋(きっすい)、芝生(しばふ)の生です。
生の『単語家族』には、性、姓、牲があります。詳しくは『漢字の覚え方 生』をご覧ください。
呉音の『ショウ』は漢音の『セイ』に変化することがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音をご覧ください。
『青・靑(セイ・ショウ)』qīngは、水の青い様子を表した形声文字(ケイセイモジ)です。漢字の足し算では、生(生きる)+丼(井戸の中の清水)=青・靑(水の青い様子。青)です。漢字の部首は『青』、意味は『青い』、『若い』、『けがれない』などです。漢字の部分の月は、丼のデザインを変えたもので井戸の清水を表しています。漢字の字体は常用漢字に登録されている『青』を使って下さい。
漢字の部分の月は、丹で染色の色を表しているという説もあります。
音読みは呉音が『ショウ』、漢音が『セイ』です。訓読みが『青・青い(あお・あおい)』です。青年(セイネン)、青春(セイシュン)、緑青(ロクショウ)、青田(あおた)、真っ青(まっさお)の青です。真っ青(まっさお)は常用漢字の付表に示されいる特別な訓読みです。
青の『単語家族』には、晴、清、精、静などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 青』をご覧ください。
呉音の『ショウ』は漢音の『セイ』に変化することがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音をご覧ください。
『夕(セキ)』xīは、夕方の月を表す象形文字です。漢字の部首は『夕・ゆう』です。漢字の意味は『夕方(ゆうがた)』、『よる』です。
音読みは呉音の『ジャク』刃使いません、漢音の『セキ』を使います。訓読みは『ゆう』です。朝夕(チョウセキ)、夕日(セキジツ)、夕映(セキエイ・ゆうばえ)、夕影(セキエイ・ゆうかげ)、夕方(ゆうがた)の夕です。
呉音の『ジャク』は漢音の『セキ』に変化することがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音をご覧ください。
夕の『単語家族』には、汐(セキ・夕方の汐)があります。詳しくは『漢字の覚え方 夕』をご覧ください。
『石(セキ)』shíは、石を表す象形文字です。厂は崖(がけ)を表し、口が石本体を表すといわれています。漢字の部首は『石・いし』です。
音読みは呉音が『ジャク』、漢音が『セキ』、慣用音が『シャク』、『コク』です。訓読みは『いし』です。岩石(ガンセキ)、石灰(セッカイ)、一石(イッセキ)、一石(イッコク・180ℓ)、砥石(といし)、小石(こいしの石です。
呉音の『ジャク』は漢音の『セキ』に変化することがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音をご覧ください。
碩(セキ)・跖(セキ)が同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 石』をご覧ください。
『赤(セキ)』chìは、燃え盛る火の色をデザインした会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、大(大きな)+火=赤(燃え盛る火の色。赤)です。漢字の部首は『赤・あか』、漢字の意味は『赤(あか)』、『赤い(あかい)』と『赤』から転じた『はだかの』です。
音読みは呉音が『シャク』、漢音が『セキ』です。訓読みは『赤(あか)』、『赤い(あかい)』です。赤心(セキシン)、赤道(セキドウ)、赤貧(セキヒン)、赤裸々(セキララ)、赤銅(シャクドウ)、赤信号(あかシンゴウ)の赤です。
呉音の『シャク』は漢音の『セキ』に変化することがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音をご覧ください。
赦(シャ)、嚇(カク)が同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 赤』をご覧ください。
『千(セン)』qiānは、人の姿を示した漢字です。古い字体では人に一を足して千と書きます。千は1000という数詞を意味します。人がどんどん進むからといわれています。このような漢字の用法を仮借(カシャ)といます。人は人間の行為全般を示しますが、千、億のように数を示す漢字にも使われます。漢字の部首は『十・じゅう』です。
音読みは呉音・漢音ともに『セン』で、訓読みは『ち』です。千金(センキン)、千里(センリ)千歳(センザイ・ちとせ)の千です。大変縁起の良い漢字で、千葉(ちば)、八千代(やちよ)、千代(ちよ)、千沙(ちさ)など人名・地名に使われています。
千(セン)は人(ジン)を使った漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 人』をご覧ください。
『川(セン)』chuānは、川の流れる様子を漢字にした象形文字(ショウケイモジ)です。意味は『川』、『川に沿って進む』です。漢字の部首は『川』です。
音読みは呉音・漢音ともに『セン』です。訓読みは『かわ』です。河川(カセン)、名川(メイセン)、四川(シセン)、山川(やまかわ)、西川(にしかわ)、川上(かわかみ)、川魚(かわざかな)、川遊び(かわあそび)の川です。川の『単語家族』には順、馴、巡などがあります。興味のある方は『漢字の覚え方 川』をご覧下さい。
『先(セン)』xiānは足の先を表す会意文字です。漢字の足し算では、止(足)+儿=先(人の足先。前。先)です。漢字の部首は『儿』、漢字の意味は『先(さき)』、『前の』です。
音読みは呉音・漢音ともに『セン』、訓読みは『さき』です。常用外の訓読みに『先ず(先ず)』があります。先生(センセイ)、先手(センテ)、祖先(ソセン)、庭先(にわさき)の先です。
先、洗、贊(賛)は同じ漢字の仲間です。興味のある方は『漢字の覚え方 先』をご覧下さい。
『早(ソウ)』zǎoは、薄暗い様子・時間が早く薄暗い様子を表す象形文字(ショウケイモジ)です。元々の映像は黒い染料であるハンノキの実(皁)とされています。漢字の部首は『日』、意味は『早い』、『薄暗い』です。時期・時刻が早いことを表します。動作・テンポが速いは『速(ソク)』の漢字を使います。
日+甲(人の頭)=早(人の頭に太陽が昇る。早い)の会意文字とする説が一般的です(許、鎌田)。
左は早朝の写真。右はハンノキの実『皁(ソウ)』を水に漬けたものです。
音読みは呉音・漢音ともに『ソウ』、慣用音が『サッ』です。訓読みは『早い(はやい)』です。早朝(ソウチョウ)、尚早(ショウソウ)、早速(サッソク)、早起き(はやおき)、早苗(ソウビョウ・さなえ)、早乙女(さおとめ)といいます。早と草は同じ漢字の仲間です。
興味のある方は『漢字の覚え方 早』をご覧下さい。
早苗(さなえ)、早乙女(さおとめ)は常用漢字の付表に掲載されている特別な読み方です。
『草(ソウ)』cǎoは、「さっと生える」草の様子を表す形声文字です。漢字の足し算では、艸(植物)+早(早い)=草(さっと生える植物。草)です。漢字の部首は『艹・くさかんむり』、意味は『草(くさ)』、『さっとした』です。
音読みは呉音が『ソウ』、漢音が『ショウ』です。訓読みは『草(クサ)』です。植物を食べるのを草食(ソウショク)、さっとした案を草案(ソウアン)、草で編んだ履(くつ)を草履(ゾウリ)、夏の勢いある草を夏草(なつくさ)といいます。また、草の上に寝ることを草臥(くさぶし)と言い、転じて、草臥(くたび)れると読ませます。草と早は同じ漢字の仲間です。
『足(ソク)』zúは、膝から足先までを描いた象形文字です。漢字の部首は『足・あし』、漢字の意味は『足(あし)』、『足』から転じた『足りる(たりる)』です。
白川・藤堂は象形文字とし、鎌田は指事文字としています。
音読みは呉音が『ソク』が普通、漢音の『ショク』は使いません。訓読みは『足(あし)』、『足(た)りる』、『足(た)す』です。自分で足りることを自足(ジソク)、満ち足りるのが満足(マンゾク)、手足(てあし)、足の下を足下(ソッカ・あしもと)といいます。
促(ソク・うながす)・捉(ソク・とらえる)が同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 足』をご覧ください。
『村(ソン)』cūnは、村の木々に村人が集まった様子の形声文字です。寸(スン)は人の手を示す象形文字で、ここでは人を示します。漢字の足し算では、木(村の木々)+寸(村人)=村(木々に人が集まった村。村)です。漢字の部首は『木』、漢字の意味は『村(むら)』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ソン』、訓読みは『むら』です。村落(ソンラク)、村長(ソンチョウ)、村里(むらざと)、村人(むらびと)の村です。
村は寸の『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 寸』をご覧ください。
『大(ダイ)』dàiは、人間が大の字に大きく立った姿を表す象形文字です。漢字の部首は『大・だい』、漢字の意味は『大きい』、『あまりに』、『おおよその』です。
音読みは呉音が『ダイ』、漢音が『タイ』。訓読みは『大(おお)』、『大きい(おおきい)』、『大いに(おおいに)』です。広くて大きいが広大(コウダイ)、野菜の大根(ダイコン・おおね)、おおよその意味が大意(タイイ)です。大人(おとな)、大和(やまと)は常用漢字表にある特別な訓読みです。
大と同じ単語家族には太(タイ)、泰(タイ)があります。詳しくは『漢字の覚え方 大』をご覧ください。
『男(ダン)』nánは、田畑で力を出す男性を表す会意文字です。漢字の足し算では、田+力=男(田畑で力を出す男性。男)です。漢字の部首は『田・た』、漢字の意味は『男(おとこ)』です。
音読みは呉音が『ナン』、漢音が『ダン』。訓読みは『男(おとこ)』です。男女(ダンジョ)、男性(ダンセイ)、長男(チョウナン)、男前(おとこまえ)の男です。
男は田を使った漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 田』 をご覧ください。
『竹(チク)』zhúは、竹を描いた象形文字です。漢字の部首は『竹・たけ』です。意味は『竹(たけ)』です。竹製の笛を指すこともあり、糸竹(シチク)とは東洋の管弦楽器のことです。
音読みは呉音・漢音ともに『チク』、唐宋音が『シツ』、訓読みは『竹(たけ)』です。竹刀(チクトウ・しない)、爆竹(バクチク)、竹林(チクリン)、竹箆(シッペ)返しの竹です。
築(チク)、篤(トク)は同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 竹』をご覧ください。
『中(チュウ)』zhōng・zhòngは、旗竿の吹流しを描いた象形文字(ショウケイモジ)です(白川・藤堂・加藤・落合)。竿の真ん中で吹流しが風にゆられる映像です。竿の真ん中から『中』の意味に使われます。漢字の部首は『丨・ぼう』です。
また、口に|を加えて中(なか)や中(うち)を表す指事文字とする説(諸橋・加藤・鎌田)もあります。漢字の起源は一通りでないので、辞書により解釈が違うことがよくあります。漢字の成り立ちには諸説あることを御承知下さい。
現在の教育現場では、甲骨文字の段階では象形、のちに指事となった解釈するのが主流の様です。
音読みは呉音の『チュウ』が普通で、漢音の『ジュウ』があります。訓読みは『なか』で、『うち』、『あたる』と読むこともあります。中心(チュウシン)、中流(チュウリュウ)、中和(チュウワ)、年中(ネンジュウ)、途中(トチュウ)、中華(チュウカ)の中です。
中の『単語家族』には仲(チュウ)、沖(チュウ)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 中』をご覧ください。
『虫(チュウ)』chóngは、元々はまむしを描いた象形文字です。虫(チュウ)の正字は蟲(チュウ)で、蟲(むし)が沢山いる様子を示す会意文字です。蟲(チュウ・むし)は虫(ケ・まむし)を略字として用います。常用漢字に登録されている『虫』を使って下さい。
音読みは呉音が『ジュウ』、漢音が『チュウ』です。訓読みは『むし』です。昆虫(コンチュウ)、毛虫(けむし)、弱虫(よわむし)の虫です。
『部首索引 虫(むし)』も御覧ください。
『町(チョウ)』tǐngは、田畑の畔(あぜ)を漢字にした形声文字です。漢字の足し算では、田+丁(丁の字)=町(田畑の畦道)です。我が国では、畔道から転じた行政区画、町(チョウ・まち)の意味があります。部首は『田・た』、意味は『畔』から転じた『町(まち)』です。
音読みは呉音が『チョウ』、漢音が『テイ』です。訓読みは『まち』です。町内(チョウナイ)、町屋(まちや)の町です。町の漢字の仲間には丁 庁 町 頂 訂 汀 亭 停があります。詳しくは『漢字の覚え方 丁』をご覧ください。
『天(テン)』tiānは、頭上の天を表す指事文字です。大(人を表す)の頭上に線を引いたものです。漢字の足し算では、一+大(人間)=天(人間の頭上に広がる天。天)です。漢字の部首は『大・だい』です。漢字の意味は『天(テン)』、『自然』、『天国』などがあります。
音読みは呉音・漢音ともに『テン』、訓読みは『あま』、『あめ』です。天地(テンチ)、天然(テンネン)、天国(テンゴク)、天文(テンモン)、天晴(あっぱれ)、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)の天です。
天と同じ仲間の漢字には忝(テン)、添(テン)などがあります。詳しくは『漢字の覚え方 天』をご覧ください。
『田(デン)』tiánは、田を描いた象形文字です。四角に区切った耕作地を表します。我が国では水田を田(た)、水の張らない耕作地を畑(はたけ)として区別しています。漢字の部首は『田・た』、意味は『田(た)』、『産出する場所』です。
音読みは呉音が『デン』、漢音が『テン』、訓読みが『田(た)』です。田舎(デンシャ・いなか)とは耕地と住まいの事で、我が国ではふるさと、いなかを指します。美しい耕作地が美田(ビデン)、炭を産出する場所を炭田(タンデン)、田と畑を田畑(たはた)といいます。非常に重要な漢字で、地名、人名に良く使われ、お目出度い漢字の一つです。
田(デン)の『単語家族』には佃(デン)、鈿(デン)などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 田』をご覧ください。
『土(ド)』tǔは、土地を示した象形文字です。土が盛り上がっている様子を示します。漢字の部首は『土・つち』。漢字の意味は『土(つち)』、『土地』、『土地の神』、『土曜日』です。
音読みは呉音が『ツ』、漢音が『ト』、慣用音が『ド』、訓読みが『土(つち)』です。土砂(ドシャ)、本土(ホンド)、土地(トチ)、土佐(トサ)、黒土(くろつち)の土です。
土の『単語家族』には社(シャ)、吐(ト)があります。『漢字の覚え方 土』もご覧ください。
『二(ニ)』èrという漢字は、占ないに用いる算木(サンぎ)二本の映像を漢字にした指事文字(シジモジ)です。漢字の部首は『二・に』、漢字の意味は『ふたつ』です。漢字では、一から四までの数字を、算木を増やす映像で表現しています。
音読みは呉音が『ニ』・漢音が『ジ』です。訓読みは『ふた』、『ふたつ』です。二軍(ニグン)、二世(サンズ)、二天(みつどもえ)、二日(ふつか)、二十日(はつか)、二十歳(はたち)、二人(ふたり)の二です。二の『単語家族』http://bit.ly/1zexxch には弐、仁があります。
『日(ジツ・ニチ)』rìは、太陽を描いた象形文字です。漢字の部首は『日・ひ・にち』です。意味は『太陽』、『昼間』、『一日』、『日曜日』です。
音読みは呉音が『ニチ』、漢音が『ジツ』。訓読みは『ひ』、『か』です。昼と夜・いつもを日夜(ニチヤ)、日が昇っている間・日本と中国を日中(ニッチュウ)、暦の月と日・過ぎて行く時間を月日(つきひ)、晴れた良い日を日和(ひより)といいます。
一日(イチニチ・ついたち)、二日(ふつか)と数えます。
漢字では、季節や月の始めを立つと表現します(春の始まりが立春(リッシュン)・夏は立夏(リッカ)・秋は立秋(リッシュウ)・冬は立冬(リットウ))。月の初めを月立ち(つきたち)と言っていましたが、やがて一日を一日(つきたち・ついたち)と呼ぶようになりました。
衵(ジツ・ニチ)、汨(ベキ)などの漢字の仲間があります。『漢字の覚え方 日』も御覧ください。
『入(ニュウ)』rùは、入口を描いた象形文字です。また、中へ入れる様子を線で示した指事文字ともいわれています。漢字の部首は『入・いる』、意味は『入る(いる)』です。
音読みは呉音が『ニュウ』が普通で、漢音の『ジュウ』、慣用音の『ジュ』があります。訓読みは『入る(いる)』、『入る(はいる)』です。入門(ニュウモン)、乱入(ランニュウ)、入籍(ニュウセキ)、入内(ジュダイ)の入です。『漢字の覚え方 入』もご覧ください。
『年(ネン)』niánは、禾(実った稲)をもつ人を表す会意文字で、年一度の収穫の時期を表す漢字です。漢字の足し算では、禾(稲)+人=年(年一度の収穫。年)です。漢字の部首は『干・かん』です。
音読みは呉音の『ネン』を使い、漢音の『デン』は使いません。訓読みは『とし』、『とせ』です。一年(イチネン)、年間(ネンカン)、今年(ことし)、年魚(あゆ)、一昨年(イッサクネン・おととし)の年です。鮎(あゆ)は一年で大きくなるので年魚(あゆ)と書きます。
一般的に、呉音のナ行は漢音ではダ行に変わることがあります。内(ナイ・ダイ)、納(ノウ・トウ)、男(ナン・ダン)、年(ネン・デン)、念(ネン・デン)などです。呉音・漢音どちらが残っているかは漢字によって違います。詳しくは呉音と漢音をご覧ください。
年(ネン)は人(ニン)に従う漢字です。漢字の覚え方 人』も御覧ください。
『白(ハク)』báiは、頭蓋骨(ズガイコツ・トウガイコツ)を象(かたど)った象形文字です(白川)。また、木の実(どんぐり)の白い部分を表す象形文字ともいわれています(藤堂)。漢字の部首は『白・しろ』です。意味は『白(しろ)』、『あきらか』、『申す』などです。
音読みは呉音が『ビャク』、漢音が『ハク』、訓読みが『しろ』、『しら』です。告げて申すのが告白(コクハク)、あきらかなのが明白(メイハク)、紅と白で紅白(コウハク)、白い蓮を白蓮(ビャクレン)、白くなった髪を白髪(ハクハツ・しらが)、白と黒を白黒(しろくろ)といいます。
拍(ハク)、泊(ハク)、迫(ハク)、箔(ハク)、柏(ハク)、百(ヒャク)が白と同じ仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 白』をご覧ください。
『八(ハチ・ハツ・や・やっつ・よう)』bāは、両手を八の字に開いた映像を示す指事文字です。象形文字ととる説もあります。漢字の部首は『八』、漢字の意味は『開く』、『分ける』、『分けられた二つ』です。やがて数字の八(ハチ)を数える漢字として使われるようになりました。
音読みは『ハチ』、『ハツ』、訓読みは『やっつ』、『や』、『よう』です。意味としては、『八(ハチ)』です。八百屋(やおや)、八幡(ハチマン)、八日(ようか)、八卦(ハッケ)の八です。
『八』が数字の八に限定されるようになったので、『分ける』は『分(フン)』・『半(ハン)』の漢字に引き継がれました。また漢字の八からカタカナのハが出来ました。
興味のある方は『漢字の覚え方 八・分』、『漢字の覚え方 八・半』をご覧ください
『百(ヒャク)』bǎiは、白に一を足した漢字で、数字の百を表します。形声文字です。既存の漢字に一を足して数を表す漢字に百・千があります。漢字の部首は『白・しろ』、意味は『百(ヒャク)』、『多くの』です。
音読みは呉音が『ヒャク』、漢音が『ハク』、訓読みは『もも』です。百回(ヒャッカイ)、百薬(ヒャクヤク)、百代(ヒャクダイ)、百合(ゆり)の百です。大変縁起の良い漢字で人名・地名に使われています。百合(ゆり)という漢字ですが、多くの鱗茎(リンケイ)が合わさっている根をもつため百合と書くようです。大和言葉(やまとことば)のゆりは揺れる(ゆれる)からといわれています。
非常に重要な漢字で、百地(ももち)、百里(ヒャクリ)、八百津(やおつ)、八百善(やおゼン)、百子(ももこ)、小百合(さゆり)など地名、人名、屋号に良く使われ、お目出度い漢字の一つです。
百は白と同じ『単語家族』です。詳しくは『漢字の覚え方 白』をご覧ください。
『文(ブン・モン)』wénは、文字を描いた象形文字です。漢字の象形文字を指します。漢字の部首は『文・ぶん』、漢字の意味は『模様』、『文字』、『文(ふみ)』、『文化・教養』、我が国では貨幣の単位に『文(モン)』を使っていました。
漢字の世界では、象形文字を『文(モン)』といい、象形文字から派生した文字を『字(ジ)』。合わせて文字(モジ)といいます。
発音の話をします。中国では六朝時代のm音が、唐の時代にはb音に変化しました。『文(モン→ブン)』です。我が国では、漢音(唐時代のb音)が主流ですが、呉音(六朝時代のm音)もたまに使います。『文・モン』と読んだり『文・ブン』と読んだりするのです。詳しくは呉音と漢音をご覧ください。
音読みは呉音が『モン』、漢音が『ブン』、訓読みは『ふみ』です。空の模様が天文(テンモン)、文による感化が文化(ブンカ)、身体に入れる模様・入れ墨を文身(ブンシン)、陰暦の七月を文(ふみ)にちなんで文月(ふみづき・ふづき)といいます。
非常に良い意味の漢字で『あき』、『あや』、『いと』、『すじめ』、『とも』、『のぶ』、『のり』、『ひさ』、『ひとし』、『ふみ』、『ふみし』、『ふむ』、『ふん』、『み』、『や』、『やす』、『ゆき』、『よし』と名前に使われます。
紋(モン)、蚊(ブン・か)が同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 文』をご覧ください。
『木(ボク・モク)』mùは、木を描(えが)いた象形文字です。漢字の部首は『木・き』です。漢字の意味は『木(き)』、『木製の』、『木曜日』、『五行の木・春・青』です。
音読みは呉音が『モク』、漢音が『ボク』、訓読みは『木(き)』です。大きな木を大木(タイボク)、日本刀を模した木の刀を木刀(ボクトウ)、原料にするために切り出した木を木材(モクザイ)、草と木を草木(ソウモク・くさき)、地面に生えている木を木立(こだち)といいます。沐(モク)が木と同じ仲間の漢字です。
呉音のモは漢音のボに変化することがあります。詳しくは呉音と漢音をご覧ください。
非常に重要な漢字で、『き』、『こ』、『しげ』と地名・人名に使われています。『漢字の覚え方 木』 もご覧ください。
『本(ホン)』běnは木の根元を示す指事文字です。映像は木の根元に一印をたしたものです。物事の根本(コンポン。ねもと)を表します。漢字の足し算では、木(き)+一(木の根元を示す線)=本(木の根元。物事の中心。はじめ。本当の。書物)です。漢字の部首は『木・き』です。意味は『本(もと)』、『本当の』、書物の『本(ホン)』、『太い』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ホン』、訓読みは『本(もと)』です。実際にそうであることを本当(ホントウ)、教えのもとになる書物を教本(キョウホン)、本当の心を本心(ホンシン)、商いのもとになるお金を資本(シホン)、物事が成り立っている基礎になるもの・木のもとを根本(コンポン・ねもと)といいます。
笨(ホン)が本と同じ仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 本』をご覧ください。
『名(メイ・ミョウ)』míngは、人の名前を表す会意文字です。夕方に名前を口にして呼び合う様子を示すといわれています(暗くなれば相手を確認するのに名前を呼ぶからです)。漢字の足し算では、夕(夕方)+口(口にする)=名(夕方に口にして存在を示す名前。名)です。漢字の部首は『口・くち』、漢字の意味は『名』、『評判』、『有名な』などがあります。
音読みは呉音が『ミョウ』、漢音が『メイ』、訓読みは『名(な)』です。有名(ユウメイ)、本名(ホンミョウ)、命名(メイメイ)、姓名(セイメイ)、名前(なまえ)の名です。
呉音のミョウは漢音のメイに変化することがあります。詳しくは呉音と漢音をご覧ください。
銘(メイ・金属に名を刻む)が名と同じ仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 名』をご覧ください。
『目(モク)』mùは、目を描いた象形文字です。漢字の部首は『目・め』、漢字の意味は『目(め)』、『目印』、『網の目』、『すじ目』、『国司の四等官』などです。
音読みは呉音が『モク』が普通です。漢音の『ボク』はあまり使いません。訓読みは『め』、『ま』です。目でみる方向・目指すものを目的(モクテキ)、目印のついた文書を目録(モクロク)、網の目を網目(あみめ)、木のすじ目を木目(モクめ)、目の意味ある動きを目配せ(めくばせ)といいます。
『立(リュウ・リツ)』lìは、人が立っている姿を示す会意文字です。漢字の足し算では、大(大人の人)+一(地面)=立(地面の上に立つ人。立つ)です。漢字の部首は『立・たつ』です。漢字の意味は『立(た)つ』、『立(た)てる』です。季節の始まりも『立』が使われます。
地面を一と捉えて考える人は指事文字としています。
音読みは呉音・漢音は『リュウ』ですが、慣用音の『リツ』が一般的です。訓読みは『立つ(たつ)』、『立てる(たてる)』です。建立(コンリュウ)、立春(リッシュン)、起立(キリツ)、立地(リッチ)の立です。笠(リュウ)が立と同じ仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 立』をご覧ください。
『力(リョク・リキ)』lìは、手の筋肉を描いた象形文字です。また、田畑で使う耒(すき)を描いた象形文字という説もあります。漢字の部首は『力・ちから』です。意味は『力(ちから)』、『努力して』です。
音読みは呉音が『リキ』、漢音が『リョク』、訓読みが『力(ちから)』です。能力(ノウリョク)、努力(ドリョク)、力量(リキリョウ)、馬力(バリキ・仕事量の単位)、力仕事(ちからしごと)の力です。
この『単語家族』には力(リキ)、肋(ロク)、勒(ロク)などの漢字があります。詳しくは『漢字の覚え方 力』をご覧ください。
『林(リン)』línは、林の様子を表した会意文字です。木をふたつ並べて林を表現しました。漢字の部首は『木・き』、意味は『林(はやし)』、『たくさん』です。
音読みは呉音・漢音ともに『リン』、訓読みが『はやし』です。竹の林が竹林(チクリン・たけばやし)、林のように沢山立っている状態を林立(リンリツ)、山の林を山林(サンリン)といいます。大変重要な漢字ですので、地名・人名として多く使われています。
淋(リン・長い雨・淋しい)と同じ仲間の漢字です。詳しくは『漢字の覚え方 林』をご覧ください。
『六(ロク)』liùは、覆(おお)いをした穴、高い土盛りをした場所。神様を呼ぶための幕舎の象形文字です。数字の六を示すようになりました。このような漢字の用法を仮借(カシャ)といいます。六~九の漢字はもともと意味の違う漢字を借りて、数字を表すようになったものです。漢字の部首は『八』、意味は『六(ロク)』、『高い』です。『高い』の意味は『陸(リク)』liuに引き継がれているといわれています。
音読みは呉音が『ロク』、漢音が『リク』です。訓読みは『む』、『むつ』、『むっつ』、『むい』です。意味としては、『六(ロク)』。六日(むいか)、六衛府(リクエフ)、六法(ロッポウ・リクホウ)、六根(ロッコン)の六です。
坴(リク)、陸(リク)、睦(ボク)が同じ漢字の仲間です。詳しくは『漢字の覚え方 六』をご覧ください。
以上で小学校1年生で習う漢字の解説は終了です。
参考図書http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-c740.htmlです。漢字についてより詳しく知りたい方は、下記の本をお読みください。
篆文(テンブン)を中心にした体系的な記述・韻の説明は、諸橋轍次先生の『新漢和辞典』、藤堂明保先生の『漢字源』・『漢字の過去と未来』を参考にさせて頂いてます。
甲骨文字・金文のもつ呪術的な解釈には白川静先生の『字通』・『字統』・『漢字』・『中国古代の文化』を参考にさせて頂いています。
漢字の伝来や常用漢字の解釈については、大島正二先生の『漢字伝来』、高島俊男先生の『漢字と日本人』を参考にさせて頂いています。
日本語については、金田一京助先生の『日本語の変遷』、大野晋先生の『日本語の文法を考える』、新村出先生の『広辞苑』を参考にさせて頂いております。
漢字の成り立ちについては、諸橋轍次先生、藤堂明保先生、白川静先生と微妙に解釈が異なることがあります。漢字には楷書体、小篆、古文など様々の字体があり、先生によって解釈の主体が違うからです。
小学校・中学校など教育分野の解釈では、諸橋轍次先生の『新漢和辞典』系の解釈が主として用いられるようです。
大学生・研究者での解釈では、諸橋轍次先生に加え、藤堂明保先生の『漢字源』系の解釈も用いられています。
民間、立命館関係者の間では、白川静先生の『字通』・『字統』系の解釈に人気があります。
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