漢字の覚え方 且
今日は『且(ソ)』jūという漢字の仲間について説明します。基本になる漢字は『且(ソ)』です。まな板に食物を重ねた様子を表しています。組(ソ・くむ)、助(ジョ・たすける)、査(サ)、祖(ソ・おや)、租(ソ・みつぎ)、粗(ソ・あらい)、阻(ソ・はばむ)、狙(ソ・ねらう)、宜(ギ・よろしい)、誼(ギ・よしみ)、畳(ジョウ・たたみ)などがこの漢字の仲間です。これらの漢字は同じ『且(ソ)』という構成要素をもつので、漢字の足し算で表すことが出来ます。
漢字は足し算で表わす事が出来るものについては、意味を考えて漢字の足し算でを覚えると便利です。『且(ソ)』に何を足すと漢字の組、助、査、祖、租、粗、阻、狙、宜、誼、畳になるのか漢字(楷書体)の構成を考えます。組は小学校2年生で習う漢字 、助は小学校3年生で習う漢字 、査、祖は5年、租、粗、阻、宜、畳は中学校で習います。漢字の足し算で一緒に覚えましょう。
『且(ソ)』jūは、まな板の上に材料を重ねた様子を示す象形文字です。部首は『一・いち』、意味は『かさねる』、『まな板』、『そのうえに』です。『まな板』については別の漢字『俎』がつくられました。意味は『そのうえうに』、『かつ』で使われる事が多いです。
音読みは呉音が『ソ』で、漢音が『ショ』です。訓読みは『かつ』です。且つ(かつ)の且です。
画像は喜茂別(きもべつ)町のアスパラガスです。大変美味しいので、毎年親戚に送っています。郵便局の窓口で申し込むのですが、普通に働いている人が、郵便局の開いている時間に申し込むのは大変です。去年はネットで申し込めたのですが。。
『且(ソ・かつ)』は中学生 で習う常用漢字です。
『組(ソ)』zǔは、糸を組んだ様子を表した漢字です。意味は『組む』です。漢字の足し算で覚えるならば、糸+且(重ねる)=組(糸を重ねる。組む)です。部首は『糸・いとへん』です。
音読みは漢音の『ソ』が普通で、呉音の『ス』は使いません。訓読みは『組(く)む・組(くみ)』です。いくつかの成分によって一つのものを組み立てること・化合物を構成する成分およびその量の割合を 組成(ソセイ)、組み立てること・生物体を構成する細胞の集まりを組織(ソシキ)、共通の目的のために何人かが仲間を作ることを組合(くみあい)といいます。
『組(ソ・くむ)』は小学校2年生で習う漢字です。
『助(ジョ)』zhùは、力を加えて助ける様子を示す漢字です。意味は『助ける』です。漢字の足し算で覚えるならば、且(加える)+力(ちから)=助(力を加えて助ける)です。部首は『力・ちから』、漢字の意味は『力をかす』、『助ける』、『助けるはたらきをする』です。
音読みは呉音の『ジョ』で、漢音の『ソ』は使いません。訓読みは『助(たす)ける』です。危険な状態から救い助けることを救助(キュウジョ)、困っている人に力を貸すこと援助(エンジョ)・人助け(ひとだすけ)といいます。
『助(ジョ・たすける)』は小学校3年生で習う漢字です。
『査(サ)』cháは、検査することを示す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、木(き・木製品)+且(重なる)=査(木を重ねた柵。柵の前で検査する)です。阻(ソ・はばむ)と同系の漢字と言われています。往来に柵(さく)を設けて人を調べる事です。意味は『しらべる』、漢字の部首は『木』です。
音読みは漢音の『サ』が普通で、呉音の『ジャ』は使いません。検査(ケンサ)、査察(ササツ)、査証(サショウ)の査です。
『査(サ・しらべる)』は小学校5年生で習う漢字です。
検査の『検』は木の書類(木簡・モッカン)と実物を照らし合わせて調べる(僉)事を言います。
『祖(ソ)』zǔは、先祖のことを示す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、礻(神事)+且(重なる)=祖(世代が重なる。先祖)です。部首は『礻・しめすへん』、意味は『先祖』です。
音読みは呉音・漢音とも『ソ』です。訓読みは常用外(普段使わない読み方。中学校で習わない読み方)に『祖(おや)』があります。
祖先(ソセン)、先祖(センゾ)、祖父(ソフ)、祖国(ソコク)の祖です。
『祖(ソ・おや)』は小学校5年生で習う漢字です。
『租(ソ)』zūは、税金を表す形声文字です。古代の税といえば穀物です。漢字の足し算で覚えるならば、禾(のぎへん・稲)+且(重なる)=租(収穫の上に重なる税)です。部首は『禾・のぎへん』、意味は『税』、『かりる』、『みつぎ』です。
音読みは漢音の『ソ』が普通で、呉音の『ス』は使いません。訓読みは常用外(普段使わない読み方。中学校で習わない読み方)に『租(みつぎ)』があります。租税(ソゼイ)、租借(ソシャク)、租庸調(ソヨウチョウ)の租です。
『租(ソ・みつぎ)』は中学生 で習う常用漢字(普段日常で使う漢字。義務教育で覚える漢字)です。
『粗(ソ)』cūは、穂についている米を示す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、米(こめ)+且(重なる)=粗(重なった米。穂についている米。粗い)です。部首は『米・こめ』、意味は精米するまえの米から転じた『粗(あら)い』、『粗末な』です。
漢音の『ソ』が普通で、呉音の『ス』は使いません。訓読みは『粗(あら)い』です。粗食(ソショク)、粗末(ソマツ)、粗悪(ソアク)の粗です。
『粗(ソ・あらい)』は中学生 で習う常用漢字です
『阻(ソ)』zǔは、阻(はば)む様子を示す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、阝(こざとへん・土盛り)+且(重なる)=阻(土盛りをして行く手を阻む)です。部首は『阝・こざとへん』、意味は『阻(はば)む』です。
阻、障、防など『阝・こざとへん』には阻む(はば)む、防(ふせ)ぐの意味があります。
音読みは漢音の『ソ』が普通で、呉音の『ショ』は使いません。訓読みは『阻(はば)む』です。阻止(ソシ)、阻害(ソガイ)、険阻(ケンソ)の阻です。
『阻(ソ・はばむ)』は中学生 で習う常用漢字です。
『狙(ソ)』jūは、獲物を狙う様子を表す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、犭(けものへん・獲物)+且(重ねる)=狙(獲物に狙いを重ねる。狙う)です。意味は『狙う』の他に重なるから『テナガザル』もあります。部首は『犭・けものへん』です。
音読みは漢音の『ソ』が普通で、呉音の『ショ』は使いません。訓読みは『狙(ねら)う』です。狙撃(ソゲキ)、狙公(ソコウ)の狙です。
『狙(ソ・ならう)』は平成22年度の改定により新たに中学生で習うようになった常用漢字漢字 です。
『俎(ソ)』zǔは、まな板の上に材料を重ねた様子を示す形声文字です。漢字の足し算で覚えるならば、从(重ねる)+且(まな板)=俎(供物を重ねる台。まな板)です。『まな板』を示す漢字『且』が、『そのうえに』の意味で使われるようになり、『まな板』については『俎』がつくられました。意味は『まな板』、漢字の部首は『人』です。
音読みは漢音の『ソ』が普通で、呉音の『ショ』は使いません。訓読みは『まないた』です。俎上(ソジョウ)とはまな板の上の材料の意味で、暗に絶体絶命のピンチを言います。
『俎(ソ・まないた)』は常用漢字から外れています。
少し変わった仲間に、宜(ギ)、誼(ギ)、畳(ジョウ)があります。意味が転じて(多少変わって)いるので音読みの読み方も少し違います。
『宜(ギ)』yíは、祖廟(ソビョウ)に対した供物(クモツ)が適当であることを表す漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、宀(うかんむり・祖廟)+且(重ねた供物)=宜(供物が適当である。宜しい)です。漢字の部首は『宀・うかんむり』、意味は『形よくお供えをする』、『形が良い』、『適切である』、『宜(よろ)しい』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ギ』で、訓読みは『宜(よろ)しい』です。適宜(テキギ)、便宜(ベンギ)の宜です。
非常に良い意味の漢字で『き』、『すみ』、『たか』、『なり』、『のぶ』、『のり』、『のる』、『まさ』、『やす』、『よし』、『よろし』と名前に使われます。
『宜(ギ・よろしい)』は中学生で習う常用漢字です。
『誼(ギ)』yìは、適当な関係を示す漢字です。漢字の足し算で覚えるならば、言(ごんべん・言葉)+宜(宜しい)=誼(宜しな言葉を交わす関係。よしみ)です。漢字の部首は『言・ごんべん』、意味は『よしみ』です。
音読みは呉音・漢音ともに『ギ』です。情誼(ジョウギ)、友誼(ユウギ)の誼です。
『誼(ギ・よしみ)』は良い意味の漢字ですので、『こと』、『よし』と人名用漢字になっています。
『畳(ジョウ)』diéは、畳(たた)む様子を表す会意文字です。漢字の足し算で覚えるならば、田+田+田(重なる)+宀(家)+且(重ねる)=疊・畳(薄く平たいものをたくさん重ねる。重ねる。平たいものを折って重ねる。畳む)です。漢字の部首は『田・た』、漢字の意味は『たくさん重ねる』、『畳む』、『畳んで重ねておく敷物』、『畳(たたみ)』です。
畾(ライ)ではなく晶(ショウ)を使った異体字があり、白川はこちらのほうが本字であろうとしています。
音読みは呉音が『ジョウ』、漢音が『チョウ』、訓読みは『畳(たたみ)』、『畳(たた)む』です。幾重にも重なること・大変喜ばしいことを重畳(チョウジョウ)、同一の語を重ねた言葉を畳語(ジョウゴ)といいます。
『畳(ジョウ・たたみ)』は中学生で習う常用漢字です。
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-3901.html
『漢字の覚え方 且』 且 組 祖 助 査 租 粗 狙 宜 誼 畳
参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。
少し練習しましょう。
1.か( )つ飲み、か( )つ歌う。
2.会社の そしき( )図。
3.マンションの管理 くみあい( )。
4.海難 きゅうじょ( )。
5.身体 けんさ( )。
6.せんぞ( )の供養。
7.そぜい( )公課。
8.そしょく( )に耐える。
9.そまつ( )な食事。
10.行動を そし( )する。
11.犯人を そげき( )する。
12.そじょう( )の鯉。
13.べんぎ( )図る。
14.ゆうぎ( )を結ぶ。
15.たたみ( )に座る。
解説です。その上には且、組むは糸を足して組、先祖は礻を足して祖、助けるは力を足して助、検査は木を足して査、税は禾を足して租、粗いは米を足して粗、阻むは阝を足して阻、狙うは犭を足して狙、まな板は从(重ねる)を足して俎、宜しいは宀(うかんむり・祖廟)を足して宜、良い関係は言を足して誼で、畳(たたみ)は田に宜を足しして畳です。
解答です。且つ、組織、組合、救助、検査、先祖、租税、粗食、粗末、阻止、狙撃、俎上、便宜、友誼、畳
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