漢字の覚え方 皮

　漢字には『単語家族』と呼ばれる漢字の仲間があります。今日は皮、彼、被、披、波、破、疲、という『単語家族』について説明します。基本の漢字は『皮』で、読み方は『ヒ』か『ハ』、意味は『皮』、『被る』、『斜め』、です。

　『単語家族』の漢字は足し算で表わす事が出来、『単語家族』ごとにまとめて覚えると便利です。『皮』に何を足すとどんな漢字になるのか漢字の構成を考えます。皮、波は小学3年、破は5年生で習います。被、披、疲、彼は中学校で習います。学校、学年に関係なくまとめて覚えてしまいましょう。

　『皮（ヒ）』piは、動物の皮を手で身体に被せる様子を漢字にしたものです。漢字の足し算では、广（動物の皮）＋又（手）＝皮（動物の皮を被る）です。漢字の部首は『皮・けがわ』、意味は『皮（かわ）』、『被（こう）むる』、『斜め』などの多くの意味があります。

音読みは漢音の『ヒ』が普通で、呉音の『ビ』は使いません。訓読みは『かわ』です。皮膚（ヒフ）、皮革（ヒカク）、皮肉（ヒニク）、薄皮（うすかわ）、毛皮（けがわ）の皮です。

『皮』は小学校3年で習う漢字です。

呉音の『ビ』は漢音では『ヒ』になることがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音をご覧ください。

　『彼（ヒ）』biは、向こうにある人物・物を指す漢字です。漢字の足し算では、彳（行く・向こうの）＋皮（斜め）＝彼（向こうの人物・物）です。漢字の部首は『彳・ぎょうにんべん』です。

　この漢字『彼』は代名詞です。『皮』に意味は薄く、（ヒ）biの音を借用しています。あえて申し上げれば、向こう側へ斜め（皮）に押しやることです。一般的に漢字の代名詞は元の漢字はありません。音だけを借用して使います。

音読みは呉音・漢音ともに『ヒ』。訓読みは『かれ』、『かの』です。彼岸（ヒガン）、彼氏（かれし）、彼女（かのじょ）、彼方（かなた）の彼です。

『彼』は中学校で習う常用漢字です。

　『被（ヒ）』bei、piは、衣・帽子を被る（かぶる）様子を漢字にしたものです。漢字の足し算では、衤（衣服）＋皮（動物の皮を被る）＝被（衣・帽子を被る。かぶる）です。漢字の部首は『衤・ころもへん』、意味は『被る（こうむる・かぶる）』、『被う（おおう）』です。

音読みは『ヒ』、訓読みは『被る（こうむる・かぶる）』、『被う（おおう）』です。被害（ヒガイ）、被爆（ヒバク）、被告（ヒコク）、被服（ヒフク）、帽子を被る（かぶる）の被です。

『被』は中学校で習う常用漢字です。

　『披（ヒ）』piは、被（かぶ）っているものを披（ひら）く様子の漢字です。漢字の足し算では、扌（手）＋皮（被る）＝披（被っている物を手で披く。ひらく）です。部首は『扌・てへん』、意味は『披く（ひらく）』です。

音読みは『ヒ』、訓読みは『披く（ひらく）』です。披露（ヒロウ）、披見（ヒケン）の披です。

『披』は中学校で習う常用漢字です。

　『波（ハ）』boは、水の波を漢字にしたものです。漢字の足し算では氵（水）＋皮（ななめ）＝波（斜めの水。波）です。部首は『氵・さんずい』、意味は『波』です。 音読みは呉音・漢音ともに『ハ』で、訓読みは『なみ』です。波浪（ハロウ）、電波（デンパ）、大波（おおなみ）、白波（しらなみ）の波です。

波（なみ）は漢字の世界では幾つかあり、微妙にニュアンスが違います。

波（ハ）　　　斜めの波。普通の波。　　　　　　　　　波  『漢字の覚え方  皮』

浪（ロウ）　 清らかな浪。形の良い浪。               浪  『漢字の覚え方 良』 

瀾（ラン）　　大きな波。つながった波。　　　　　    瀾  『漢字の覚え方  闌』

漣（レン）　　小さなさざ波。　　　　　　　　　          漣  『漢字の覚え方  連』 

濤（トウ）　　大きなうねりの濤。　　　　　　　　　　　濤　『漢字の覚え方 寿』

『浪（ロウ）』は良い（綺麗）な浪の意味です。『瀾（ラン）』は横に続く大きななみ、『濤（トウ）』は大きいうねりのなみ。漢字は二語で安定します。『波浪（ハロウ）』、『波瀾（ハラン）』、『波濤（ハトウ）』はニュアンスが少し違いますが『なみ』です。『波浪（ハロウ）』、『波瀾（ハラン）』、『波濤（ハトウ）』は同じ意味の漢字を重ねた熟語です。

『波』は小学校3年生で習う漢字です。

　『破（ハ）』poは、石で皮が破れる様子を漢字にしたものです。漢字の足し算では、石＋皮＝破（石で皮が破れる）です。部首は『石』、意味は『破れる』です。

音読みは呉音・漢音ともに『ハ』で、訓読みは『破れる（やぶれる）』です。破壊（ハカイ）、破局（ハキョク）、難破（ナンパ）、破天荒（ハテンコウ）の破です。

『破』は小学校5年生で習う漢字です。

　『疲（ヒ）』pjは、疲れた様子を表す漢字です。漢字の足し算では、疒（病気）＋皮(斜め）＝疲（体が斜めになる。疲れる）です。部首は『疒・やまいだれ』、意味は『疲れる』です。

音読みは『ヒ』、訓読みは『疲れる（つかれる）』です。疲弊（ヒヘイ）、疲労（ヒロウ）の疲です。『疲』は中学校で習う常用漢字です。

　年老いた女性を『婆（バ）』poといいます。漢字の足し算では、波（斜め）＋女＝婆（腰が斜めになった女性。お婆さん）です。また夫の母や妻のことを『婆』を使ってあらわすこともあります。漢字の部首は『女』です。

音読みは呉音が『バ』で、漢音が『ハ』、唐宋音が『ホ・ポ』です。訓読みは『ばば』です。老婆（ロウバ）、産婆（デンバ）、お婆さん（おばあさん）、湯湯婆（ゆタンポ）の婆です。

呉音の『バ』は漢音で『ハ』になることがあります。音読みの呉音、漢音については呉音と漢音 をご覧ください。

『婆』は中学校で習う常用漢字です。

http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-346c.html

『漢字の覚え方 皮』 皮 彼 被 披 破 疲 波 婆

参考図書http://bit.ly/1Xs359Oです。漢字についてより詳しく知りたい方は、←左記ブログページの本をお読みください。

少し練習しましょう。

1.ひふ（　　　）の痒（かゆ）み。

2.ひにく（　　　）を言われる;。

3.けがわ（　　　）のコート。

4.暑さ寒さも ひがん（　　　）まで。

5.かれ（　）からのプレゼント。

6.帽子を かぶる（　）。

7.裁判の ひこく（　　　）人。

8.ひろうえん（　　　　　）に招待する。

9.はろう（　　　）注意報。

10.でんぱ（　　　）の受信状態。

11.はきょく（　　　）をむかえる

12.建物が はかい（　　　）される。

13.つかれ（　）をとる。

14.ひろう（　　　）の回復。

15.ろうば（　　　）心。

16.ゆたんぽ（　　　　　）。

解説です。毛皮は皮、遠方の代名詞は行くで彼、かぶるは衤（ころもへん）で被、披露するは扌（てへん）で披、斜（なな）めの水が波、破（やぶ）るは石を足して破、つかれるは疒（やまいだれ）で疲、御婆さんは波に女で婆です。

解答です。皮膚、皮肉、毛皮、彼岸、彼、被る、被告、披露宴、波浪、破局、破壊、電波、疲れ、疲労、老婆、湯湯婆。